このルールに関して、英語を正文とし、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社が著作権を持ちます。
英文は http://magic.wizards.com/en/gameinfo/gameplay/formats/comprehensiverules にあります。
(このファイルの最後にも詳細は記述してあります)
このファイルは、マジック・ザ・ギャザリングのComprehensive Rulesを、Japan Netrep *ぱお*/米村 薫 とジャッジ・コミュニティが 2021-02-19 に翻訳したものです。
この翻訳に関して疑問等ありましたら、*ぱお*/米村 薫 までメールでご連絡ください。
0. はじめに
1. ゲームの考え方
200. 全般
300. 総則
5. ターンの構造
500. 総則
600. 総則
7. その他のルール
700. 総則
800. 総則
803. 「左翼への攻撃」「右翼への攻撃」選択ルール
10. 用語集
この文書は、マジック・ザ・ギャザリングの競技的ゲームプレイにおける最高権威である。この文章は、章立てられたルールと、用語集からなっている。ルールの多くは細分化され、それぞれのルールとサブルールには番号が振られている。(なお、サブルールの項番において"l"と"o"はそれぞれ"1"、"0"と似ているため欠番となっている。たとえば、rule 704.5kの次はrule 704.5m、rule 704.5n、rule 704.5p となっている。)
この文章は公開された以降に更新されることがある。最新版は https://magic.wizards.com/en/game-info/gameplay/rules-and-formats/rules からダウンロードできる。質問がある場合、http://Support.Wizards.com/ に問い合わせて回答を得ることができる。
100.1. このマジックのルールは、2人ないしそれ以上のプレイヤーによるゲームに適用される。2人による対戦と、3人以上のプレイヤーによる多人数戦がある。
100.2. ゲームをするにあたって、各プレイヤーは、自分の、定形のマジックのカードで作られたデッキと、トークンやカウンターを示す小さな物、ライフ総量をはっきり示す方法、を必要とする。
100.2a 構築環境(各プレイヤーが自分のデッキを作っておいて持ち寄るという遊び方)では、各デッキの最小枚数は60枚である。構築 デッキは、任意の枚数の基本 土地・カードと、特定の英語名ごとに4枚以下の基本 土地以外のカードからなる。
100.2b リミテッド環境(各プレイヤーが未開封のブースター・パックなどのマジックの商品を一定量受け取り、それと基本 土地・カードだけを用いて会場内で自分のデッキを組むという遊び方)では、各デッキの最小枚数は40枚である。リミテッドにおいては、そのパックに含まれていたものであるかぎり、同じカードを何枚デッキに入れても問題ない。
100.3. カジュアル変種ルールには、そのためにデザインされたカードや定形外のマジックのカード、あるいはダイスなどの追加の道具を必要とするものがある。rule 9〔カジュアル変種ルール〕参照。
100.4. 各プレイヤーはデッキの他に、ゲームとゲームの間にデッキを調整するための追加のカードであるサイドボードを持つことが認められることがある。
100.4a 構築環境では、サイドボードには最大15枚のカードを使用してもよい。4枚制限(rule 100.2a 参照)はデッキとサイドボードをあわせた状態で適用される。
100.4b 個人が対戦を行なうリミテッド環境では、そのプレイヤーのカード・プールの中でデッキに入らなかったカードすべてがそのプレイヤーのサイドボードとなる。
100.4c 双頭巨人戦のリミテッド環境では、チームのカード・プールの中でどちらのプレイヤーのデッキにも入らなかったカードがチームのサイドボードとなる。
100.4d 「チーム戦」変種ルールが適用されるそれ以外の多人数戦のリミテッド環境では、チームのカード・プールの中でどのプレイヤーのデッキにも入らなかったカードは、いずれか1人のプレイヤーのサイドボードとなる。各プレイヤーはそれぞれにサイドボードを持ち、プレイヤー間での受け渡しは認められない。
100.5. デッキに特定の枚数以上のカードが含まれていなければならない場合、その枚数のことをデッキの最小枚数と呼ぶ。統率者戦以外のデッキでは、デッキの最大枚数は存在しない。
100.6. ほとんどのマジックの大会(他のプレイヤーと、賞を求めて競い合う組織化プレイ)には、マジック・イベント規定(http://www.wizards.com/WPN/Events/Rules.aspx)に定められている追加のルールが適用される。例えば、古いセットからのカードはすべて禁止、などである。(訳注:日本語版は http://mjmj.info/data/ で公開されている)
100.6a ほとんどの大会は、複数のマッチからなる。2人対戦のマッチは通常1人のプレイヤーが2勝するまで行なわれる。多人数戦のマッチは通常1ゲームからなる。
100.6b プレイヤーは最寄りの大会を見つけるため、Magic Store & Event Locator http://www.wizards.com/Locator/ を使用することができる。
100.7. 一部のプロモカードや『Unglued』『Unhinged』『Unstable』のカードは銀枠で印刷されている。それらのカードはカジュアルなプレイのためのものであり、このルールで扱っていない機能や文章を持っていることがある。
101.1. カードの文章がルールに直接矛盾しているときは、カードの記述が優先される。カードはその特定の状況に適用されるルールだけを無視する。このルールの例外として、プレイヤーはいつでも投了することができる(rule 104.3a 参照)。
101.2. あるルールまたは効果によって何かをしてもよい、あるいは何かをするとされている時に、他の効果によって同じことができないとされていた場合、「できない」という効果が優先される。
例:「このターン、あなたは土地を1枚追加でプレイしてよい」という効果があり、他方では「このターン、あなたは土地をプレイすることはできない」という効果があった場合、土地のプレイを禁止する効果のほうが優先される。
101.3. カードの指示の一部が実行不可能であった場合、その部分は無視される。(多くの場合、カードにこれの処置が明記されている。そうでなければ、なんの効果ももたらさない)
101.4. 複数のプレイヤーが同時に何らかの選択を行なったり処理したりする場合、アクティブ・プレイヤー(そのターンのプレイヤー)が必要な選択をすべて行ない、そのあとでターン進行順で次のプレイヤー(通常、アクティブ・プレイヤーの左隣に座っているプレイヤー)が必要な選択を行なっていく。選択の終わった後、同時に処理する。このルールは「アクティブ・プレイヤー・非アクティブ・プレイヤー順ルール」(またはAPNAP順ルール)と呼ばれる。
例:「それぞれのプレイヤーはクリーチャーを1体生け贄に捧げる」というカードがあった場合、まずアクティブ・プレイヤーが自分がコントロールしているクリーチャーを1体選び、それから非アクティブ・プレイヤーがターン進行順にそれぞれ自分がコントロールしているクリーチャーを1体ずつ選ぶ。その後でそれらのクリーチャーが同時に生け贄に捧げられる。
101.4a 効果によって各プレイヤーが手札やライブラリーなど非公開の領域からカードを選ぶ場合、そのカードは選ばれた時点では裏向きのままになる。しかし、どのカードを選んだかは明白に示されなければならない。
101.4b プレイヤーは、rule 101.4a の例外を除いて、その前のプレイヤーがどのような選択を行なったかを知った上で選択を行なう。
101.4c 1人のプレイヤーが複数の選択を同時に行なう場合、書かれている順で選択を行なう。順番が指定されていなければ、そのプレイヤーが順番を決める。
101.4d 非アクティブ・プレイヤーの行なったいずれかの選択によってアクティブ・プレイヤー、またはターン順で前にいる非アクティブ・プレイヤーによる選択が必要となった場合、その時点で残っているすべての選択のためにAPNAP順が再び開始される。
101.4e ゲームの開始時に複数のプレイヤーが選択や処理をする場合、開始プレイヤーをアクティブ・プレイヤー、他のプレイヤーを非アクティブ・プレイヤーとして扱う。
102.1. プレイヤーとは、そのゲームに参加している各人のことである。アクティブ・プレイヤーとは、現在進行中のターンのプレイヤーのことである。他のプレイヤーのことを、非アクティブ・プレイヤーと呼ぶ。
102.2. 2人対戦においては、プレイヤーの対戦相手とはもう一方のプレイヤーのことである。
102.3. チームによる多人数戦においては、同じチームに属する他のプレイヤーはチームメイトであり、同じチームに属さないプレイヤーは対戦相手である。
102.4. 呪文や能力が、「あなたのチーム/your team」という表記を「あなたやあなたのチームメイト/you and/or your teammates」の省略として使うことがある。チームによる多人数戦以外のゲームにおいては、「あなたのチーム」は「あなた」と同じものを示す。
103.1. ゲームを始めるとき、どちらが先攻後攻を選ぶかを決める。マッチの第1ゲーム(単一のゲームからなるマッチを含む)においては、その方法は相互に納得できる方法(コイン投げや、ダイスを振るなど)であれば何でもよい。複数のゲームからなるマッチにおいては、直前のゲームで負けたプレイヤーがどちらが先攻かを決定する。前のゲームが引き分けであった場合、前のゲームで先攻・後攻を決めたプレイヤーが決定する。先攻となったプレイヤーは開始プレイヤーである。通常、ターン進行は開始プレイヤーから時計回りに進む。
103.1a 「共有チーム・ターン」選択ルールを用いているゲームにおいては、開始プレイヤーではなく開始チームが存在する。
103.1b アーチエネミー戦においては、この種の方法を用いて先攻を決めることはなく、必ず魔王が先攻となる。
103.1c 1枚のカード(《権力行使/Power Play》)は、そのコントローラーが開始プレイヤーとなるとしている。この効果はこの決定の後に処理され、この項目の手順を上書きする。
103.2. 開始プレイヤーを決定した後、それぞれのプレイヤーは自分のデッキを切り直し、カードが不規則な順序になるようにする。その後、対戦相手のデッキを切り直したりカットしたりしてもよい。プレイヤーのデッキは以後そのプレイヤーのライブラリーとなる。
103.2a プレイヤーがサイドボード(rule 100.4 参照)または差し替えカードで示されているカード(rule 713 参照)を使っている場合、切り直す前にそれらを脇に置く。
103.2b プレイヤーが、自分が所有していて相棒 能力を持つカードをゲームの外部から公開したい場合、サイドボードを脇に置いた後で公開することができる。こうして公開できるのは1枚だけであり、デッキがそのカードの相棒 能力の条件を満たしている場合だけである(rule 702.138〔相棒〕参照)。
103.2c 統率者戦では、各プレイヤーは切り直す前に自分のデッキから自分の統率者を取り出し、オモテ向きで統率領域に置く。rule 903.6 参照。
103.2d コンスピラシー・ドラフトにおいては、プレイヤーは切り直す前にそれぞれ自分のサイドボードから好きな枚数の策略・カードを統率領域に置く。rule 905.4 参照。
103.3. それぞれのプレイヤーは20点の初期ライフ総量を持つ。変種ルールによっては異なるライフ総量を持つ場合もある。
103.3a 双頭巨人戦では、各チームの初期ライフ総量は30点である。
103.3b ヴァンガード戦では、各プレイヤーの初期ライフ総量は20点に自分のヴァンガード・カードによるライフ補正子を加えたものである。
103.3c 統率者戦では、各プレイヤーの初期ライフ総量は40点である。
103.3d 2人ブロール戦では、各プレイヤーの初期ライフ総量は25点である。多人数ブロール戦では、各プレイヤーの初期ライフ総量は30点である。
103.4. 各プレイヤーは自分の初期手札枚数に等しい枚数のカードを引く。初期手札枚数は通常7枚である(ただし効果によって初期手札枚数が変わることがある)。最初の手札が満足できるものでなかったプレイヤーは、マリガンを行なうことができる。まず、開始プレイヤーがマリガンを行なうかどうかを決め、その後、ターン順に各プレイヤーが同様の選択を行なう。全プレイヤーが選択を終えた後、マリガンすることを選んだプレイヤーは同時にマリガンを行なう。マリガンとは、自分の手札のカードを自分のライブラリーの中に混ぜて切り直し、初期手札枚数に等しい枚数の新しい手札を引き、そしてそのカードのうちそのプレイヤーがマリガンした回数に等しい枚数を好きな順番で自分のライブラリーの一番下に置くことである。これ以上マリガンをしないと決めたら、そのカードがそのプレイヤーの開始時の手札となり、それ以降マリガンをすることはできない。この手順は、すべてのプレイヤーがマリガンしなくなるまで繰り返される。プレイヤーは、最初の手札が0枚になるまではマリガンをすることができ、それ以降はそれ以上のマリガンはできない。
103.4a ヴァンガード戦では、各プレイヤーの初期手札枚数は7枚に自分のヴァンガード・カードによる手札補正子を加えたものである。
103.4b 効果によって「あなたがマリガンをできる状態で」何か処理を実行すると書かれている場合、そのプレイヤーはその処理を、マリガンするかしないかを決定する時に行なってもよい。これは1回目のマリガンである必要はなく、他のプレイヤーがマリガンするかどうか決めていようがいまいが関係ない。その処理をした場合、そのプレイヤーは改めてマリガンするかどうかの選択を行なう。
103.4c 多人数戦とブロール戦では、そのプレイヤーがライブラリーの一番下に置く枚数やマリガンできる回数を決める上で、1回目のマリガンは計算に入れない。以降のマリガンは、通常通り数える。
103.4d 「共有チーム・ターン」選択ルールを用いる多人数戦において、まず開始チームの各プレイヤーがマリガン行なうかどうかを選択し、その後他のチームそれぞれのプレイヤーがターン順に同様の選択を行なう。チームメイトはマリガンを行なうかどうか相談してもよい。その後、全てのマリガンが同時に行なわれる。チームメイトがマリガンをしないことを選んだ後でも、もう一方のプレイヤーはマリガンすることができる。
103.5. 開始時の手札にある場合にプレイヤーが何か処理を行なうことができるカードが存在する。マリガンの手順(rule 103.4 参照)が終わった後、開始プレイヤーはそれらの処理を好きな順番で行なってよい。その後、他のプレイヤーがターン進行順に同様の処理を行なう。
103.5a 戦場に出した状態でゲームを始めてもよいというカードがあった場合、その処理を行なったプレイヤーはそのカードを戦場に出す。
103.5b 開始時の手札から公開してもよいというカードがあった場合、その処理を行なったプレイヤーはそのカードを公開する。そのカードは、最初のターンが始まるまで公開されたままとなる。この方法で公開できるのは、各カードにつき一度だけである。
103.5c 「共有チーム・ターン」選択ルールを用いる多人数戦においては、開始チームのプレイヤーはそのチームの望む順番でこれらの処理を行なってもよい。この決定について、チームメイトと相談してもよい。その後、他のチームのプレイヤーがターン進行順に同様の処理を行なう。
103.6. プレインチェイス戦においては、開始プレイヤーが自分の次元デッキの一番上のカードを取ってオモテ向きに置く。そのカードが現象・カードだった場合、そのカードを次元デッキの一番下に置き、次元・カードがオモテ向きになるまでこの手順を繰り返す。そのオモテ向きになった次元・カードが開始次元となる。(rule 901〔プレインチェイス戦〕参照)
103.7a 2人対戦では、先攻のプレイヤーは、最初のターンのドロー・ステップ(rule 504〔ドロー・ステップ〕参照)を飛ばす。
104.1. いずれかのプレイヤーが勝った、またはゲームが引き分けになった、あるいはそのゲームが再び開始されたら、そのゲームは即座に終わる。
104.2. ゲームの勝利となる条件がいくつか存在する。
104.2a ゲームに残っているプレイヤー1人から見た対戦相手全員がゲームから除外された場合、その残っているプレイヤーの勝ちとなる。これは即座に処理され、そのプレイヤーが勝利できないというあらゆる効果を無視する。
104.2b 効果によってプレイヤーの勝ちとなることがある。
104.2c チームによる多人数戦においては、少なくとも1人のプレイヤーがゲームに残っているチームから見て他のチーム全てがゲームから除外された場合、その残っているプレイヤーのいるチームの勝ちとなる。勝ちとなったチームのプレイヤーは、そのプレイヤー自身が負けになっていたとしても、全員が勝ちとなる。
104.3. ゲームの敗北となる条件がいくつか存在する。
104.3a プレイヤーはいつでも投了できる。投了したプレイヤーは即座にゲームから除外され、そして負けとなる。
104.3b プレイヤーのライフ総量が0以下になったら、そのプレイヤーは次に優先権が発生したとき、ゲームに負ける。これは状況起因処理である。rule 704〔状況起因処理〕参照。
104.3c ライブラリーに残っているよりも多いカードを引くことが求められたら、残されているカードをすべて引き、次に優先権が発生したときにそのゲームに負ける。これは状況起因処理である。rule 704〔状況起因処理〕参照。
104.3d プレイヤーが10個以上の「毒カウンター/poison counter」を得た場合、次に優先権が発生するときにそのプレイヤーは負けとなる。これは状況起因処理である。rule 704〔状況起因処理〕参照。
104.3e 効果によってプレイヤーの負けになることがある。
104.3f あるゲームにおいて、あるプレイヤーが勝利条件と敗北条件を同時に満たした場合、そのプレイヤーはそのゲームに負ける。
104.3g チームによる多人数戦では、そのチームのプレイヤー全てがそのゲームで負けたときにチームもそのゲームに負ける。
104.3h 影響範囲限定 選択ルール(rule 801 参照)を用いた多人数戦において、あるプレイヤーの勝ちになる効果は、その代わりに、そのプレイヤーの影響範囲内にいる対戦相手すべてを負けにする。これによってゲームが終わるわけではない。
104.3i 皇帝戦において、皇帝がゲームに負けたチームは負けとなる(rule 809.5 参照)。
104.3j 統率者戦において、1つのゲームを通して、単一の統率者から21点以上の戦闘ダメージを受けたプレイヤーは負けとなる。(これは状況起因処理である。rule 704、rule 903.10 参照。)
104.3k 大会においては、ジャッジによって課せられる懲罰の結果としてゲームに負けることがある。rule 100.6 参照。
104.4. ゲームが引き分けとなる条件がいくつか存在する。
104.4a ゲームに残っていたプレイヤー全員が同時に負けた場合、ゲームは引き分けとなる。
104.4b 「影響範囲限定」選択ルールを用いないゲーム(二人戦を含む)において、ゲームが選択的でない処理による「ループ」を作り、それを止める方法がない場合、ゲームは引き分けとなる。選択可能な処理が含まれるループによって引き分けになることはない。
104.4c 効果によってゲームが引き分けになることがある。
104.4d チームによる多人数戦においては、残っていたチーム全てが同時に負けた場合、ゲームは引き分けとなる。
104.4e 「影響範囲限定」選択ルールを使った多人数戦において、ゲームを引き分けにする呪文や能力の効果は、その呪文や能力のコントローラーとその影響範囲内にいるプレイヤーを引き分けにする。それらのプレイヤーはゲームから除外され、他のプレイヤーによってゲームが続けられることになる。
104.4f 「影響範囲限定」選択ルールを使った多人数戦において、ゲームが選択的でない処理による「ループ」を作り、それを止める方法がない場合、そのループに含まれるオブジェクトをコントロールしているプレイヤー、ならびにその各プレイヤーの影響範囲内にいるプレイヤーは、そのゲームにおいて引き分けとなる。それらのプレイヤーはゲームから除外され、他のプレイヤーがゲームを続ける。
104.4g チーム同士による多人数戦においては、そのチームの残っているプレイヤーすべてが引き分けに終わった場合、そのチームも引き分けになる。
104.4h 「皇帝戦」変種ルールにおいて、その皇帝がゲームに引き分けになった場合、チームも引き分けになる(rule 807.5 参照)。
104.4i 大会においては、ゲームに参加しているプレイヤー全員の同意によって引き分けにできる。rule 100.6 参照。
104.5. プレイヤーが負けになったら、そのプレイヤーはゲームから除外される。プレイヤーが引き分けになったら、そのプレイヤーはゲームから除外される。多人数戦のルールで、プレイヤーがゲームから除外される場合について記述されている。rule 800.4 参照。
104.6. ゲームを再び開始するカード(《解放された者、カーン》)が存在する。再び開始されたゲームにその時点で参加している全てのプレイヤーは、即座に新しいゲームを開始する。rule 719〔ゲームを再び開始する〕参照。
105.1. マジックでいう色とは、「白/White」「青/Blue」「黒/Black」「赤/Red」「緑/Green」である。
105.2. オブジェクトは、上記の5つの色のうちで1つないしそれ以上の色を持つこともあり得るし、無色であることもありうる。オブジェクトの色は、マナ・コストに含まれるマナ・シンボルの色である。カードの背景色や枠の色は関係しない。オブジェクトの色は、色指標や特性定義能力によって定義されることもある。rule 202.2 参照。
105.3. 効果によってオブジェクトの色が変わったり、無色のオブジェクトが色を得たりすることがある。効果によってオブジェクトが新しい色を得る場合、(効果に「それ(またはこれ)の他の色に加えて/in addition to its other colors」と書かれていない限り)それまでの色に関係なく、得た色だけを持つ。効果によって、色を持つオブジェクトが無色になることもある。
105.4. プレイヤーが色を選ぶ場合、上記の5色の中から選ばなければならない。「多色/multicolored」や「無色/colorless」は色ではない。
105.5. 効果が「色2色の組/color pair」を参照する場合、それは5色のうちちょうど2色を意味する。色の組み合わせは10組存在し、白青、白黒、青黒、青赤、黒赤、黒緑、赤緑、赤白、緑白、緑青である。
106.1. マナはマジックの基礎となるリソースである。プレイヤーはマナを消費して、呪文を唱えたり能力を起動したりする場合などのコストを支払う。
106.1a 5色のマナが存在する。「白/White」「青/Blue」「黒/Black」「赤/Red」「緑/Green」である。
106.1b マナのタイプは6種類である。「白/White」「青/Blue」「黒/Black」「赤/Red」「緑/Green」、ならびに「無色/Colorless」である。
106.2. マナはマナ・シンボル(rule 107.4 参照)によって表される。マナ・シンボルはマナ・コストを示すのにも使われる(rule 202 参照)。
106.3. マナはマナ能力(rule 605 参照)の効果によって生み出される。それ以外にも、呪文やマナ能力以外の能力の効果によって生み出されることもある。マナを生み出す呪文や能力は、プレイヤーにマナを加えさせる。マナが呪文によって生み出された場合、そのマナの発生源はその呪文である。マナが能力によって生み出された場合、そのマナの発生源はその能力の発生源(rule 113.7 参照)である。
106.4. 効果がプレイヤーにマナを加えさせる場合、そのマナはプレイヤーのマナ・プールに置かれる。これ以降、コストを支払うために即座に使うこともできるし、未消費のマナとしてマナ・プールに残しておくこともできる。各プレイヤーのマナ・プールは、各ステップならびにフェイズの終了時に空になる。それをプレイヤーがマナを失うという。マナを生成したり未消費のマナを参照したりするカードは、オラクルで訂正され、マナ・プールという明示的な表現を使わなくなっている。
106.4a コストを支払うためにマナを消費した後でマナがマナ・プールに残っている場合、そのプレイヤーはどのマナが残っているかを宣言する。
106.4b マナ・プールにマナ・プールに残した状態でプレイヤーが優先権をパスした場合(rule 117 参照)、そのプレイヤーはどのマナが残っているかを宣言する。
106.5. 能力が、タイプの定義されていないマナを生み出す場合、代わりに マナを生み出さない。
例:《隕石のクレーター》は「{T}: あなたがコントロールしているパーマネントの色1色を選ぶ。その色のマナ1点を加える。」という能力を持つ。あなたが色のついたパーマネントをコントロールしていない場合に《隕石のクレーター》のマナ能力を起動したとしても、マナを生み出すことはない。
106.6. 呪文や能力の中には、生み出したマナをどう使うかについて限定のあるものや、そのマナを消費した呪文や能力に影響を及ぼす追加の効果を持つもの、そのマナを消費したときに誘発する遅延誘発型能力(rule 603.7a 参照)を作るものがある。それらはマナのタイプには影響を及ぼさない。
例:プレイヤーのマナ・プールに、クリーチャー・呪文を唱えるためにだけ消費できる{R}{G}がある。そのプレイヤーが《倍化の立方体》の、「{3},{T}:あなたが持つ各タイプの未消費のマナの量を2倍にする。」という能力を起動した。そのプレイヤーのマナ・プールには{R}{R}{G}{G}があり、そのうちで{R}{G}は好きな目的で使うことができる。
106.6a 置換効果の中には、呪文や能力が生み出すマナの量を増加させるものがある。その場合、その呪文や能力によって作られるあらゆる制限や追加効果は、生み出されたマナ全てに適用される。呪文や能力が、そのマナが消費されたときに誘発する遅延誘発型能力を作る場合、それぞれのマナごとに別々の遅延誘発型能力が作られる。呪文や能力が、そのマナが消費された場合に継続的効果や置換効果を作る場合、それぞれのマナごとに別々の効果が作られる。
106.7. 他のパーマネントが生み出すことができるマナのタイプによってマナを生み出す能力がある。「生み出すことができる/could produce」マナのタイプとは、そのパーマネントの能力がその時点で解決され、すべての存在する置換効果が適用されたとして生み出されるマナのタイプのことである。その能力のためのコストが支払えるかどうかは考慮しない。そのパーマネントがマナを生み出さない場合、あるいは生み出すマナのタイプが定義されない場合、どのタイプのマナも生み出すことはできない。
例:《風変わりな果樹園》は「{T}:対戦相手がコントロールしている土地が生み出すことのできる色1色のマナ1点を加える。」という能力を持つ。対戦相手が土地をコントロールしていなかった場合、《風変わりな果樹園》のマナ能力を起動してもマナを生み出すことはできない。これは、あなたと対戦相手がそれぞれ《風変わりな果樹園》だけを出している場合も同じである。ただし、あなたがそれに加えて《森》をコントロールしていた場合、あなたの《風変わりな果樹園》も対戦相手の《風変わりな果樹園》も{G}を生み出すことができる。
106.8. 何らかの効果が混成マナ・シンボルで表されるマナ1点をプレイヤーのマナ・プールに加える場合には、そのプレイヤーがそのシンボルのいずれか半分を選ぶ。色 マナである半分を選んだ場合、その色のマナ1点をそのプレイヤーのマナ・プールに加える。不特定マナである半分を選んだ場合、そこに示されている数の不特定マナをそのプレイヤーのマナ・プールに加える。
106.9. 何らかの効果がファイレクシア・マナ・シンボルで表されるマナ1点をプレイヤーのマナ・プールに加える場合には、そのシンボルの色のマナ1点をそのプレイヤーのマナ・プールに加える。
106.10. 効果が、不特定マナ・シンボルで表されるマナをプレイヤーのマナ・プールに加えるとなっている場合、その量の無色 マナをそのプレイヤーのマナ・プールに加える。
106.11. 効果が、1個以上の氷雪マナ・シンボルで表されるマナをプレイヤーのマナ・プールに加えるとなっている場合、その量の無色 マナをそのプレイヤーのマナ・プールに加える。
106.12. 「マナを引き出す目的で[パーマネント]をタップする/tap [a permanent] for mana」とは、そのパーマネントの、起動コストに{T}シンボルを含むマナ能力を起動するということを意味する。rule 605〔マナ能力〕参照。
106.12a パーマネントが「マナを引き出す目的でタップされるたび」あるいは特定の種類のマナを引き出す目的でタップされるたびに誘発する能力は、その種のマナ能力が解決されてマナを出すたび、あるいは特定種類のマナを出すたびに誘発する。
106.12b パーマネントが「マナを引き出す目的でタップされる」こと、あるいは特定の種類や量のマナを出す目的でタップされることに適用される置換効果は、その能力を解決してマナ(あるいは特定の種類や量のマナ)を生成する間にそのマナ 生成 イベントを変更する。
106.13. あるカード(《魔力奪取》)が、あるプレイヤーの持つ未消費のマナ全てを失わせ、他のプレイヤーに「これによって失われたマナ」を加えることがある(同一のプレイヤーでも構わない)。これは、前者のプレイヤーのマナ・プールを空にし、この方法で空にされたマナを後者のプレイヤーのマナ・プールに入れるということを意味する。どのパーマネント、呪文、能力によって作られたかということは変更されず、そのマナに課せられている制限や追加の効果も変更されない。
107.1. マジックのゲームでは、整数だけを用いる。
107.1a 分数や小数を選んだり、分数や小数分のダメージを与えたり、ライフを得たりするようなことはできない。呪文や能力によって分数が出てくる可能性がある場合、その呪文や能力に切り上げか切り捨てかが明記されている。
107.1b ほとんどの場合、マジックにおいては正の数と0だけを用いる。負の数を選んだり、負の値のダメージを与えたり、ライフを得たりすることはできない。クリーチャーのパワーなど、ゲーム中に値として負の数が存在することはありうる。計算や比較のために負の値を用いる必要がある場合、そのまま負の値を用いる。効果の結果を定める計算の結果が負の数になった場合、その効果が、プレイヤーのライフ総量やクリーチャーやクリーチャー・カードのパワーやタフネスを、倍にしたり特定の値にしたりするものでない限り、0として扱う。
例:3/4クリーチャーが-5/-0の修整を受けた場合、そのクリーチャーは-2/4になり、戦闘ではダメージを割り振らない。パワーとタフネスの合計は2である。+3/+0の修整を与えると、パワーは1になる。
例:《ヴィリジアンの社交家》は1/2クリーチャーで、「{T}:ヴィリジアンの社交家のパワーに等しい点数の{G}を加える。」という能力を持つ。効果によって-2/-0されていた場合、この能力を起動してもあなたのマナ・プールにマナが加えられることはない。
例:《カメレオンの巨像》は4/4クリーチャーで、「{2}{G}{G}:ターン終了時まで、カメレオンの巨像は+X/+Xの修整を受ける。Xはこれのパワーに等しい。」の能力を持つ。効果によって-6/-0された後でこの能力を起動した場合、これは-2/4クリーチャーのままである。-4/2になるわけではない。
107.1c ルールや能力がプレイヤーに「望む数/any number」を選ばせる場合、そのプレイヤーは、0以上の任意の整数を選ぶことができる。
107.2. 未定義の数字が結果であれ計算中であれ出てきた場合、代わりに0を用いる。
107.3. 多くのオブジェクトは、まだ決定されていない数を必要とする部分にXの文字を用いている。オブジェクトによっては、Xの値を定義する能力が存在する。それ以外の場合、そのコントローラーがXの値を選ぶ。
107.3a 呪文や起動型能力がマナ・コスト、代替コスト、追加コスト、起動コストに{X}、[-X]、あるいはXを含む場合、Xがその呪文や能力の文章内で定義されていない限り、その呪文や能力のコントローラーが呪文を唱えるあるいは能力を起動する行為の一部としてXの値を選び、宣言する(rule 601〔呪文を唱えること〕参照)。呪文がスタック上にある間、マナ・コスト、代替コスト、追加コストに含まれるXは宣言された値である。起動型能力がスタックにある間、起動コストに含まれるXは宣言された値である。
107.3b Xがその呪文の文章によって定義されていないマナ・コストに{X}を含む呪文を、マナ・コストもXを含む代替コストも支払わずに唱えられる効果によって唱える場合、Xについての適正な選択は0だけである。これはコストを減らす効果によって0になったとしても適用されない。rule 601〔呪文を唱えること〕参照。
107.3c 呪文や起動型能力のコストあるいは文章に{X}、[-X]、Xが含まれ、その値がその呪文や能力の文章によって定義されている場合、その呪文や能力がスタックにある間のXの値はその値である。その呪文や能力のコントローラーは値を選ぶことはできない。ただし、その呪文や能力がスタックにある間にも、Xの値が変動することはあり得る。
107.3d 待機 コストや変異 コストなど、特別な処理に関するコストに{X}やXが含まれている場合、そのXはその特別な処理をするプレイヤーがそのコストを支払う直前に選ぶ。
107.3e 呪文や能力が、他のオブジェクトの持つ、マナ・コスト、代替コスト、追加コスト、起動コストに含まれる{X}やXを参照する場合、その呪文や能力の文章に含まれるすべてのXはそのオブジェクトのために選ばれたあるいは定義されたXの値を用いる。
107.3f Xがマナ・コスト、代替コスト、追加コスト、起動コストではない文中にある場合、そのXが定義されていなかったなら、その呪文や能力のコントローラーがそのXの値を(スタックに積まれたときか解決された時かいずれか)必要な時点で選ぶ。
107.3g スタック以外のいずれかの領域にあるカードのマナ・コストに含まれる{X}の値は、文章中でXの値が定義されていたとしても、0として扱われる。
107.3h 効果によってプレイヤーが{X}を含むオブジェクトのマナ・コストを支払う場合、そのオブジェクトがスタック上にある呪文でない限り、Xの値は0として扱われる。呪文である場合、Xの値はその呪文が唱えられた時に選ばれ、あるいは決定された値である。
107.3i 通常、あるオブジェクト上にXが複数ある場合、その値は、同じ瞬間には同じ値を取る。
107.3j オブジェクトが能力を得た場合、その能力に含まれるXの値はその能力によって定義される。その能力が定義していない場合、0となる。これは rule 107.3i の例外である。これは能力を与える効果、文章変更効果、コピー 効果によって発生することがある。
107.3k オブジェクトの起動型能力の起動コストに{X}、[-X]、Xが含まれる場合、その能力のXの値はそのオブジェクトや他に起動されたそのオブジェクトの能力で選んだXとは関係しない。これは rule 107.3i の例外である。
107.3m オブジェクトの戦場に出たときの誘発型能力や置換効果がXを参照していて、かつ、解決されてそのオブジェクトになる呪文がコストの一部としてXの値を選んでいた場合、そのパーマネントのXの値は0であるが、その能力のXの値はその呪文のXの値に等しい。これはrule 107.3i の例外である。
107.4. マナ・シンボルとは、{W}{U}{B}{R}{G}{C}、{0}{1}{2}{3}{4}の類の数字シンボル、変数シンボル{X}、{W/U}{W/B}{U/B}{U/R}{B/R}{B/G}{R/G}{R/W}{G/W}{G/U}の混成シンボル、{2/W}{2/U}{2/B}{2/R}{2/G}の単色混成マナ・シンボル、{W/P}{U/P}{B/P}{R/P}{G/P}のファイレクシア・マナ・シンボル、ならびに氷雪マナ・シンボル{S}の総称である。
107.4a 単色 マナ・シンボルは5つ存在し、{W}は白、{U}は青、{B}は黒、{R}は赤、{G}は緑に対応する。これらのシンボルはその色のマナを示すと同時に、コストに含まれるその色のマナ1点を意味する。コストに含まれる色 マナは、該当する色のマナでしか支払うことはできない。rule 202〔マナ・コストと色〕参照。
107.4b 数字シンボル({1}など)や変数シンボル({X}など)がコストに含まれる場合、不特定マナを示す。コストに含まれる不特定マナは、任意の色 マナ、あるいは無色 マナで支払うことができる。rule 107.3 参照。
107.4c 無色 マナ・シンボル{C}は無色 マナ1点を意味する。無色のマナでしか支払うことができないコストを表すためにも用いられる。
107.4d {0}は0マナを意味し、コストのかからない呪文や起動型能力でコスト欄に書かれる。rule 118.5 参照。
107.4e 混成マナ・シンボルもまた色 マナ・シンボルであり、それぞれシンボルの半分の部分で示されている2種類のうちどちらか1つの方法で支払うことができるコストを意味している。混成マナ・シンボル{W/U}は白か青のいずれかのマナ1点で支払うことができる。単色混成マナ・シンボル{2/B}は黒マナ1点か、任意のマナ2点で支払うことができる。混成マナ・シンボルはその構成色全ての色である。
例:{G/W}{G/W}は、{G}{G}か{G}{W}か{W}{W}で支払うことができる。
107.4f ファイレクシア・マナ・シンボルは色 マナ・シンボルであり、{W/P}は白、{U/P}は青、{B/P}は黒、{R/P}は赤、{G/P}は緑である。ファイレクシア・マナ・シンボルは、その色のマナ1点かあるいは2点のライフを支払うことで支払うことができるコストを意味する。
例:{W/P}{W/P}は、{W}{W}か、{W}とライフ2点か、ライフ4点で支払うことができる。
107.4g ルール・テキストにおいて、ファイレクシア・シンボル{P}が色つきの背景なしで書かれていた場合、それは5つのファイレクシア・マナ・シンボルのいずれか好きなものを意味する。
107.4h コストで使われている場合、氷雪マナ・シンボル{S}は、氷雪の発生源(rule 106.3 参照)から生み出された任意のタイプのマナ1点によって支払うことのできるコストを意味する。不特定マナ・コストを減少させる効果は、{S}コストを減少させることはできない。{S}シンボルはコストを支払うために消費した、氷雪の発生源から生み出された任意のタイプのマナに言及するために使われることがある。氷雪は色でもマナのタイプでもない。
107.5. タップ・シンボルは{T}である。起動コストに含まれるタップ・シンボルは、「このパーマネントをタップする」ということを意味する。既にタップ状態のパーマネントをタップしてコストを支払うことはできない。そのプレイヤーの最近のターン開始時から続けてコントロールしているのでない限り、クリーチャーの、起動コストにタップ・シンボルを含む能力を使うことはできない。rule 302.6 参照。
107.6. アンタップ・シンボルは{Q}である。起動コストに含まれるアンタップ・シンボルは、「このパーマネントをアンタップする」ということを意味する。既にアンタップ状態のパーマネントをアンタップしてコストを支払うことはできない。そのプレイヤーの最近のターン開始時から続けてコントロールしているのでない限り、クリーチャーの、起動コストにアンタップ・シンボルを含む能力を使うことはできない。rule 302.6 参照。
107.7. プレインズウォーカーの起動型能力は、それぞれ、忠誠シンボルをコストに持つ。プラスの忠誠シンボルは上向きの矢印であり、中にプラスのついた数字を含む。マイナスの忠誠シンボルは下向きの矢印であり、中にマイナスのついた数字またはXを含む。中性の忠誠シンボルは上向きでも下向きでもなく、中に0を含む。[+N]は「このパーマネントの上にN個の忠誠カウンターを置く」を、[-N]は「このパーマネントの上からN個の忠誠カウンターを取り除く」を、[0]は「このパーマネントの上に0個の忠誠カウンターを置く」をそれぞれ意味する。
107.8. Lv系カードの文章欄には2つのLvシンボルが含まれており、そのそれぞれは常在型能力を意味するキーワード能力である。Lvシンボルは数の範囲(「N1-N2」など)か、あるいは数字1つとプラス記号(「N3+」など)を含む。Lvシンボルと同じ横縞に書かれている能力は、その常在型能力の一部である。その横縞に書かれているパワー/タフネスの書かれた箱も同じである。rule 710〔Lv系カード〕参照。
107.8a 「{Lv N1-N2} [能力] [P/T]」は、「このクリーチャーがN1個以上のLvカウンターを持ち、N2個より多いLvカウンターを持たないなら、これは基本のパワーとタフネスが[P/T]であり、[能力]を持つ。」を意味する。
107.8b 「{Lv N3+}[能力] [P/T]」は、「このクリーチャーがN3個以上のLvカウンターを持つなら、これは基本のパワーとタフネスが[P/T]であり、[能力]を持つ。」を意味する。
107.9. オデッセイ・ブロックのカードで、名前の左に墓石アイコンがあるものがある。これは、墓地にあるときに機能する能力があることを意味している。墓地にあるときにもわかりやすいようにアイコンがあるだけで、ゲーム的には意味を持たない。
107.10. 未来予知セットに含まれる「ミライシフト」カードでは、左上隅にタイプ・アイコンが描かれている。カード・タイプが1つである場合、アイコンでそのタイプを示している。クリーチャーなら鈎爪、ソーサリーなら炎、インスタントなら稲妻、エンチャントなら日の出、アーティファクトなら聖杯、土地なら連峰のアイコンが用いられている。複数のカード・タイプを含むカードでは、白と黒の線が交差した記号が用いられている。これらのアイコンは、ゲーム的には意味を持たない。
107.11. プレインズウォーカー・シンボルは{PW}で表される。プレインチェイス戦・カジュアル変種ルールにおいて用いられる次元ダイスの1面に刻まれている。rule 901〔プレインチェイス戦〕参照。
107.12. カオス・シンボルは{CHAOS}で表される。プレインチェイス戦・カジュアル変種ルールにおいて用いられる次元ダイスの1面に刻まれており、また、次元ダイスを振った結果を参照する能力にも使われている。rule 901〔プレインチェイス戦〕参照。
107.13. 色指標とは、一部のカードのタイプ行左端に記されている円形のシンボルのことである。このシンボルの色によってカードの色が定義される。rule 202〔マナ・コストと色〕参照。
107.14. エネルギー・シンボルは{E}である。これはエネルギー・カウンター1個を表す。{E}を支払う場合、プレイヤーは自分の持つエネルギー・カウンターを1個取り除く。
107.15. 英雄譚の文章欄には章シンボルが含まれており、そのそれぞれは誘発型能力を示すキーワード能力である。章シンボルはローマ数字を含んでおり、ここでは「rN」で記す。章シンボルの右の区切られた文章欄に書かれた文章は、それの表す誘発型能力の効果である。rule 714〔英雄譚・カード〕参照。
107.15a 「{rN} ― [効果]/{rN}-[Effect]」は、「この英雄譚の上に1つ以上の伝承カウンターが置かれたとき、これの上の伝承カウンターの数がこれまでN未満でN以上になった場合、[効果]。」を意味する。
107.15b 「{rN1}, {rN2} ― [効果]/{rN1}, {rN2}-[Effect]」は「{rN1} ― [効果]」と「{rN2} ― [効果]」と同じである。
108.1. カードの文章を決定する際には、オラクルを用いる。オラクルはギャザラー・カード・データベース http://gatherer.wizards.com/ で参照できる。
108.2. ルールや文章に「カード」と記されていた場合、マジックのカードか、マジックのカードによって表されているオブジェクトを指す。
108.2a ほとんどのマジックのゲームにおいては、2.5インチ(6.3cm)×3.5インチ(8.8cm)ほどの大きさの、定形のマジックのカードだけを用いる。一部のフォーマットでは、より大きいサイズで裏面の異なる定形外のマジックのカードが含まれる。
108.2b トークンは、カード大のゲーム補助物品によって示されていたとしても、ルールの適用に関してはカードとしては扱わない。
108.3. カードのオーナーとは、そのカードをデッキに入れてゲームを始めたプレイヤーのことである。ゲーム中に外部から加えられたカードがあった場合、それについてはそれを加えたプレイヤーのことである。ゲーム開始時点で統率領域にカードがある場合、それについてはそのカードを統率領域に置いたプレイヤーのことである。法律上の所有権はアンティを除いてゲームのルール上は考慮しない(rule 407 参照)。
108.3a 「単一次元デッキ」選択ルールを用いたプレインチェイス戦においては、次元 コントローラーが次元デッキに含まれるカードすべてのオーナーであるとして扱う。rule 901.6 参照。
108.3b プレイヤーに、自分がオーナーであるカードをゲームの外部から選んでゲームに入れる呪文や能力が存在する(rule 400.11b 参照)。外部にあるカードがマジックのゲームに含まれる場合、そのオーナーは rule 108.3 の規定によって決定される。外部にあるカードがマジックのゲームのサイドボードである場合(rule 100.4 参照)、そのオーナーはそのカードをサイドボードに入れてゲームを始めたプレイヤーである。それ以外の場合、外部にあるカードのオーナーは法律上の所有者である。
108.4. カードは、そのカードがパーマネントや呪文を表していない限り、コントローラーを持たない。パーマネントや呪文を表している場合、コントローラーはそれらのルールによって決定される。rule 110.2 および rule 112.2 参照。
108.5. 定形外のマジックのカードは、統率領域(rule 408 参照)以外にある状態でゲームを開始することはできない。何らかの効果が定形外のマジックのカードをゲーム内に持ち込む場合、その効果は発生しない。そのカードはゲームの外部にあり続ける。
108.6. カードについての追加の情報は、rule 2〔カードの部分〕参照。
109.1. オブジェクトとは、スタック上の能力、カード、カードのコピー、トークン、呪文、パーマネント、紋章のことである。
109.2. 呪文や能力が「カード/card」「呪文/spell」「発生源/source」「計略/Scheme」という単語なしでカード・タイプやサブタイプを用いてオブジェクトを表現している場合、戦場に出ているそのカード・タイプやサブタイプのパーマネントのことを意味する。
109.2a 呪文や能力が「カード/card」という単語と領域名を用いてオブジェクトを表現している場合、その領域にありその表現に合うカードのことを意味する。
109.2b 呪文や能力が「呪文/spell」という単語を用いてオブジェクトを表現している場合、スタックにありその表現に合う呪文のことを意味する。
109.2c 呪文や能力が「発生源/source」という単語を用いてオブジェクトを表現している場合、どの領域にあるかに関係なく、その表現に合う、能力やダメージやマナの発生源のことを意味する。rule 113.7 および rule 609.7 参照。
109.2d 計略・カードの能力が「この計略/this scheme」という表記を含む場合、統率領域にある、その能力が印刷されている計略・カードのことを意味する。
109.3. オブジェクトの特性とは、名前、マナ・コスト、色、色指標、カード・タイプ、特殊タイプ、サブタイプ、ルール文章、能力、パワー、タフネス、忠誠度、手札補正子、ライフ補正子のことである。オブジェクトはこれらの特性の全てを持つこともあるし、一部だけを持つこともある。それ以外の、カード、呪文、パーマネントに関する情報、例えば、パーマネントがタップされているかどうか、呪文の対象、オブジェクトのオーナーおよびコントローラー、オーラが何にエンチャントしているか、などは特性ではない。
109.4. スタックか戦場にあるオブジェクトだけにコントローラーが存在する。どちらの領域にもないオブジェクトは、どのプレイヤーにもコントロールされていない。rule 108.4 参照。このルールには6つの例外がある。
109.4a マナ能力のコントローラーは、それがスタックにあるかのように決定される。rule 605〔マナ能力〕参照。
109.4b 紋章は、それを統率領域に置いたプレイヤーにコントロールされている。rule 114〔紋章〕参照。
109.4c プレインチェイス戦において、オモテ向きの次元・カードならびに現象・カードは、次元 コントローラーとして指定されているプレイヤーにコントロールされている。多くの場合それはアクティブ・プレイヤーである。rule 901.6 参照。
109.4d ヴァンガード戦において、ヴァンガード・カードはそのオーナーにコントロールされている。rule 902.6 参照。
109.4e アーチエネミー戦において、計略・カードはそのオーナーにコントロールされている。rule 904.7 参照。
109.4f コンスピラシー・ドラフトにおいて、策略・カードはそのオーナーにコントロールされている。rule 905.5 参照。
109.5. オブジェクトに記されている「あなた/You」という語で示されるプレイヤーは、その現在のコントローラーか、(プレイヤーがそれをプレイしたり唱えたり起動したりしようとしている最中なら)コントローラーになる予定のプレイヤーか、(コントローラーが存在しない場合には)オーナーである。常在型能力の場合には、そのオブジェクトの現在のコントローラー(戦場にない場合には、そのカードのオーナー)を指す。起動型能力の場合には、その能力を起動したプレイヤーを指す。遅延誘発型能力を除く誘発型能力の場合には、能力が誘発した時のそのオブジェクトのコントローラーを指す。遅延誘発型能力のコントローラーについては、rule 603.7d-f 参照。
110.1. パーマネントとは、戦場に出ているカードやトークンのことである。パーマネントは無期限に戦場に残り続ける。カードやトークンは、戦場に出たときにパーマネントとなり、戦場から他の領域に効果やルールによって移動したときにパーマネントでなくなる。
110.2. パーマネントのオーナーは、それを表すカードのオーナーである。(ただしトークンの場合については rule 111 参照。)パーマネントのコントローラーは、通常、それをコントロール下で戦場に出したプレイヤーである。パーマネントには必ずコントローラーが1人存在する。
110.2a 効果によってプレイヤーがオブジェクトを戦場に出す場合、特に書かれていなければ、そのオブジェクトはそのプレイヤーのコントロール下で戦場に出る。
110.2b 効果によってプレイヤーが他のプレイヤーのパーマネント呪文のコントロールを得た場合、そのプレイヤーはその呪文がなるパーマネントをコントロールするが、そのパーマネントの本来のコントローラーはその呪文をスタックに置いたプレイヤーである。(この違いは多人数戦で意味を持つ。rule 800.4c 参照。)
110.3. トークンでないパーマネントの特性は、カードに記載されている値であり、それに継続的効果によって修整を受ける。rule 613〔継続的効果の相互作用〕参照。
110.4. パーマネント・タイプは5つ存在し、「アーティファクト/artifact」「クリーチャー/creature」「エンチャント/enchantment」「土地/land」「プレインズウォーカー/planeswalker」である。インスタント・カードやソーサリー・カードは戦場に出ることはできないので、パーマネントになることはあり得ない。部族・カードが戦場に出ることができるかできないかは、それ以外のカード・タイプによる。rule 3〔カード・タイプ〕参照。
110.4a 「パーマネント・カード/permanent card」という語は、戦場に出ることができるカードのことを指す。すなわち、アーティファクト・カード、クリーチャー・カード、エンチャント・カード、土地・カード、プレインズウォーカー・カードのことである。
110.4b 「パーマネント呪文/permanent spell」という語は、解決によって戦場に出る呪文のことを指す。すなわち、アーティファクト・呪文、クリーチャー・呪文、エンチャント・呪文、プレインズウォーカー・呪文のことである。
110.4c パーマネントが何らかの方法ですべてのパーマネント・タイプを失った場合、それはそのまま戦場にあり続ける。それはパーマネントである。
110.5. パーマネントの位相とは、物理的な状態のことである。位相には4つの種類があり、それぞれ2種類のいずれかの状態を取る。すなわち、タップ/アンタップ、反転/非反転、オモテ向き/裏向き、フェイズ・イン/フェイズ・アウトである。パーマネントは、4組の位相それぞれについて必ずどちらかの状態である。
110.5a 位相は特性ではないが、位相によってパーマネントの特性が変化しうる。
110.5b パーマネントは、呪文や能力によって特に指示されない限り、アンタップ、非反転、オモテ向き、フェイズ・インの位相で戦場に出る。
110.5c パーマネントは、呪文や能力やターン起因処理が位相を変更しない限り、その位相が何も影響を持たなくても、元の位相を保つ。
例:《ディミーアのドッペルゲンガー》は「{1}{U}{B}: 墓地にあるクリーチャー・カード1枚を対象とし、それを追放する。ディミーアのドッペルゲンガーは、この能力を得ることを除き、そのカードのコピーになる。」という能力を持つ。これが反転カード《呪師の弟子》のコピーになったとする。《呪師の弟子》の能力によってこのクリーチャーは反転し、《ディミーアのドッペルゲンガー》の能力を持った《暴く者、智也》になる。その後、このパーマネントが《ルーン爪の熊》のコピーになった場合、反転位相は何も意味を持たないが、反転位相のままである。その後で再びコピー 能力を用いて《鼠の短牙》(別の反転カード)のコピーになった場合、《ディミーアのドッペルゲンガー》の能力を持った《憎まれ者の傷弄り》(《鼠の短牙》の反転位相)になる。
110.5d パーマネントだけが位相を持つ。戦場にないカードは持たない。追放されているカードが裏向きになることはあるが、それはパーマネントの裏向き 位相とは何ら関係ない。同様に、戦場にないカードは、物理的にどういう状態であろうと、タップしているわけでもアンタップしているわけでもない。
111.1. 効果によってトークンが戦場に出ることがある。トークンとは、カードによって表現されていないパーマネントを表現するために用いるマーカーのことである。
111.2. トークンを生成したプレイヤーがそのオーナーである。トークンはそのプレイヤーのコントロール下で戦場に出る。
111.3. トークンを生成する呪文や能力がトークンの特性の値を定める場合、その値はトークンの「文章」になる。この方法で定義された特性値は、カードに記載されている値と機能的に同値である。たとえば、これによって定められた特性値はトークンのコピー可能な値である。トークンは、それを生成した呪文や能力によって定義されていない特性を持たない。
例:《翡翠の魔道士》は「{2}{G}: 緑の1/1の苗木クリーチャー・トークンを1体生成する」という能力を持つ。これによって生成されたトークンは、マナ・コストや特殊タイプ、ルール文章、能力を持たない。
111.4. トークンを生成する呪文や能力が、そのトークンの名前とサブタイプを定める。特に書かれていない限り、トークンの名前は、そのサブタイプと同じである。例えば、ゴブリン・スカウト・クリーチャー・トークンはゴブリン・スカウトという名前であり、クリーチャー・タイプはゴブリンとスカウトの二つとなる。トークンが戦場に出た後では、名前が変わってもサブタイプは変わらない。その逆も同じである。
111.5. 呪文や能力がトークンを生成する場合、何らかのルールや効果によってそのトークンの特性のうち1つ以上を持つパーマネントが戦場に出ることができなくなっていたら、そのトークンは生成されない。
111.6. トークンは、パーマネント一般、あるいはそのトークンのカード・タイプやサブタイプに影響を及ぼすものの影響を受ける。トークンは(マジックのカードと同じ裏面であったり、マジックのパックから出てきたものであったりしても)カードとしては扱われない。
111.7. 戦場以外の領域に存在するトークンは、消滅する。これは状況起因処理である。rule 704 参照。(トークンが領域を移動した場合、消滅する前に、それによる誘発型能力は誘発する)
111.8. 戦場を離れたトークンは、他の領域に移動することもないし、戦場に戻ることもない。そのようなトークンが領域を変更しようとする場合、その代わりに現在の領域にありつづける。次に状況起因処理をチェックする時点で、消滅する。rule 704 参照。
111.9. 効果の中に、プレイヤーに伝説の トークンを生成するように指示するものがある。それらは、「create [name], a ...」としてそのトークンの特性を列記していることがある。これは、与えられた名前を持ち列記された特性を持つトークンを生成するという指示と同じである。(日本語版では、「「〇〇」という名前の...トークンを1体生成する。」というテンプレートに統一されたままです。)
111.10. 効果の中に、定義済みのトークンを生成するように指示するものがある。それらの効果は、生成されるトークンの特性を決定するにあたって下の定義を用いる。定義済みのトークンを生成する効果は、その定義済みの特性を変更したり何かを追加したりすることがある。
111.10a 「宝物/Treasure」・トークンとは、「{T}, このアーティファクトを生け贄に捧げる:好きな色1色のマナ1点を加える。」を持つ、無色の宝物・アーティファクト・トークンである。
111.10b 「食物/Food」・トークンとは、「{2}, {T}, このアーティファクトを生け贄に捧げる:あなたは3点のライフを得る。」を持つ、無色の食物・アーティファクト・トークンである。
111.10c 「金/Gold」・トークンとは、「このアーティファクトを生け贄に捧げる:好きな色1色のマナ1点を加える。」を持つ、無色の金・アーティファクト・トークンである。
111.10d 「ウォーカー/Walker」・トークンとは、ウォーカーという名前を持つ黒の2/2のゾンビ・クリーチャー・トークンである。
111.10e 「破片/Shard」・トークンとは、「{2}, このエンチャントを生け贄に捧げる:占術1を行い、その後、カード1枚を引く。」を持つ無色のエンチャント・トークンである。
111.11. パーマネント呪文のコピーは、その解決に際してトークンになる。そのトークンは、そのトークンになった呪文の特性を持つ。トークンを生成することに言及した置換効果や誘発型能力からは、そのトークンは「生成」されたものとしては扱われない。
112.1. 呪文とは、スタックにあるカードのことである。唱えるための最初の手順で(rule 601〔呪文を唱えること〕参照)、カードは呪文になり、オーナーの手札などの元あった領域からスタックの一番上に移動する(rule 405〔スタック〕参照)。呪文は解決されるか(rule 608〔呪文や能力の解決〕参照)、打ち消されるか(rule 701.5 参照)、その他の方法でスタックから離れるまでスタックに残る。さらなる情報は、rule 6〔呪文、能力、効果〕参照。
112.1a 呪文のコピーは、それがカードによって示されていなくても呪文である。rule 706.10 参照。
112.1b カードのコピーを唱えさせる効果が存在する。その効果によって唱えた場合、そのコピーは呪文である。rule 706.12 参照。
112.2. コピーでない呪文のオーナーは、その呪文を表現しているカードのオーナーである。コピーである場合のオーナーは、それをコントロール下でスタックに積んだプレイヤーである。呪文のコントローラーは、通常、それをスタックに積んだプレイヤーである。呪文には必ずコントローラーが1人存在する。
112.3. コピーでない呪文の特性は、カードに記載されている値であり、それに継続的効果によって修整を受ける。rule 613〔継続的効果の相互作用〕参照。
112.4. 効果によってパーマネント呪文の特性が変更された場合、その効果はその呪文が解決されたパーマネントにも適用され続ける。rule 400.7 参照。
例:効果が黒のクリーチャー・呪文を白にした場合、そのクリーチャーが戦場に出るときにも白であり、その色を変える効果が残っている限り白であり続ける。
113.1a 能力には、オブジェクトの持つ特性で、そのオブジェクトがゲームに影響を及ぼせるようにするものが含まれる。オブジェクトの能力はそのルール文章またはそれを生成した効果によって定義される。ルールや効果によってオブジェクトが能力を得ることもある。(能力を与える効果には、大抵の場合「持つ」「得る」と書かれている。)能力は効果を作る(rule 609〔効果〕参照)。
113.1b 能力には、プレイヤーが持つ、ゲームがそのプレイヤーに及ぼす影響を変更するものがある。効果によって与えられない限り、通常、プレイヤーは能力を持たない。
113.1c 能力には、スタック上にある起動型あるいは誘発型能力が含まれる。この種の能力はオブジェクトである。(rule 6〔呪文、能力、効果〕参照)
113.2. 能力は、それを持っているオブジェクトに影響を及ぼすことがある。他のオブジェクトやプレイヤーにも影響を及ぼすことがある。
例:「このクリーチャーではブロックできない」というのは能力である。
113.2b カードを唱えるための追加コストや代替コストは、カードの能力である。
113.2c 1つのオブジェクトが複数の能力を持つことがある。そのオブジェクトがカードである場合、一行に並べられて書かれるあらかじめ定義された能力(rule 702〔キーワード能力〕参照)を除き、オブジェクトの文章の各段落は別個の能力を表す。カードでない場合、それを生成した効果によって複数の能力を得ることがある。また、オブジェクトは呪文や能力によって能力を得ることがある。1つのオブジェクトが同じ能力を複数持っている場合、それられは独立に機能する。これによって、能力が一つだけの時よりもより多くの効果を生むこともあるし、そうでないこともある。詳しい情報は各能力を参照のこと。
113.2d 能力は、1つまたは複数の単発的効果または継続的効果を作る。継続的効果の中には、置換・軽減効果が含まれる。rule 609〔効果〕参照。
113.3a 呪文能力とは、インスタントまたはソーサリー・呪文が解決される間に処理される指示のことである。rule 113.6 に示す、起動型能力や誘発型能力や常在型能力でない、インスタントまたはソーサリー・呪文の文章は呪文能力である。
113.3b 起動型能力はコストと効果を持ち、通常は「[コスト]:[効果。][(あるなら)起動指示。]」という書式で書かれている。この種の能力は、そのプレイヤーが優先権を持っているときならいつでも起動できる。そうしたなら、その能力はスタックに積まれ、打ち消されるか解決されるかその他の方法でスタックから離れるまでスタックに残る。rule 602〔起動型能力の起動〕参照。
113.3c 誘発型能力は誘発条件と効果を持ち、「……とき/when」「……たび/whenever」「……時/at」を含む(通常はこれから始まる)「[誘発条件], [効果。]」という書式で書かれている。誘発イベントが発生するたび、その次にいずれかのプレイヤーが優先権を得る時にその能力はスタックに積まれ、打ち消されるか解決されるかその他の方法でスタックから離れるまでスタックに残る。rule 603〔誘発型能力の扱い〕参照。
113.3d 常在型能力は普通の文で書かれ、単にその効果が発生する。常在型能力は、パーマネントがその能力を持って戦場にある間機能し続ける継続的効果を生み出すか、あるいはその能力を持つオブジェクトが特定の領域にある間に機能する。rule 604〔常在型能力の扱い〕参照。
113.4. 起動型能力や誘発型能力の一部はマナ能力である。マナ能力は特別なルールに従う。マナ能力はスタックを使わず、特定の条件下では優先権がないときにさえ起動することができる。rule 605〔マナ能力〕参照。
113.5. 起動型能力の中には忠誠度能力と呼ばれるものがある。忠誠度能力は、以下の特殊ルールが適用される。プレイヤーは自分がコントロールしているパーマネントの忠誠度能力を、自分のメイン・フェイズの間、スタックが空で、優先権を持っていて、どのプレイヤーもそのターンにそのパーマネントの忠誠度能力を起動していない場合にのみ起動できる。rule 606〔忠誠度能力〕参照。
113.6. インスタントまたはソーサリー・呪文の能力は、通常、そのオブジェクトがスタックにある間にのみ機能する。他のオブジェクトの能力は、通常、そのオブジェクトが戦場にある間にのみ機能する。例外は以下の通り。
113.6a 特性定義能力は、ゲームの外部も含むあらゆる場所で機能する。rule 604.3 参照。
113.6b どの領域で機能するかが書かれている能力は、その領域でのみ機能する。
113.6c あるオブジェクトの持つ、それ自身のマナ・コストを払うのではなく代替コストを支払うことをプレイヤーに認める能力その他のそれを唱えるためのコストを変更する能力はスタックにある間に機能する。
113.6d オブジェクトの、その特定のオブジェクトをプレイするあるいは唱えることに制限や修整をもたらす能力は、プレイできるあるいは唱えられる領域にある間とスタックにある間に機能する。その特定のオブジェクト自身にそれをプレイするあるいは唱えることに制限や修整をもたらす他の能力を与えるそのオブジェクトの能力は、スタックにある間にのみ機能する。
113.6e オブジェクトの能力で、その特定のオブジェクトをどの領域からプレイする、あるいは唱えることができるかを限定したり修整したりする能力は、ゲームの外部を含むどこにあっても機能する。
113.6f オブジェクトの能力で、それが打ち消されないと書かれているものは、スタックにある間に機能する。
113.6g オブジェクトの能力で、それが戦場に出る状況を変更するものは、そのオブジェクトが戦場に出てくるに際して機能する。rule 614.12 参照。
113.6h オブジェクトの能力で、それにカウンターを置けないとするものは、そのオブジェクトが戦場にある間に加えて、そのオブジェクトが戦場に出る際にも機能する。
113.6i オブジェクトの、戦場にある間に支払うことのできないコストを必要とする起動型能力は、そのコストを支払うことができる領域にある間に機能する。
113.6j 戦場以外の領域にある間にのみ誘発しうる誘発条件を持つ誘発型能力は、その誘発しうる領域にある間に機能する。その誘発型能力が他に誘発条件を持っていた場合、単一の誘発型能力が複数の領域で機能することもありうる。
例:《赦免のスラル》は「赦免のスラルが戦場に出るか、これが憑依しているクリーチャーが死亡するかしたとき、エンチャント1つを対象とし、それを破壊する。」という能力を持つ。1つめの誘発条件は戦場にある間に機能するが、2つめの誘発条件は追放 領域にある間に機能する。rule 702.54〔憑依〕参照。
113.6k コストや効果が、そのオブジェクトを特定の領域から移動させるものである場合、その領域にある間にのみ機能する。その能力の誘発条件として、あるいはその能力のそれ以前のコストや効果として、そのオブジェクトをその領域に移動すること、あるいはそのオブジェクトがオーラである場合にはそれがエンチャントしているオブジェクトが戦場を離れることが含まれている場合は、この限りではない。その能力の効果が、そのオブジェクトを特定の領域から移動させる効果を持つ遅延誘発型能力を作る場合も同様である。
例:《組み直しの骸骨》は「{1}{B}: あなたの墓地にある組み直しの骸骨をタップ状態で戦場に戻す。」という能力を持つ。この能力は、《組み直しの骸骨》が自分の墓地にある間にしか起動できない。
113.6m ゲームの開始前、デッキ 構築に関するルールを変更する能力が存在する。その種の能力は、この総合ルールだけでなく、マジック・イベント規定その他特定のフォーマットでのデッキ 構築ルールを定めた文書を変更する。しかしながら、その種の能力によっても、あるフォーマットにおいて禁止や制限されているカードは禁止あるいは制限されているままである。現在のマジック・イベント規定は、http://wpn.wizards.com/en/resources/rules-documents から参照できる。(訳注:日本語訳は http://mjmj.info/ 以下で公開されている)
113.6n 紋章、次元・カード、ヴァンガード・カード、計略・カード、策略・カードの能力は統率領域において機能する。rule 114〔紋章〕、rule 901〔プレインチェイス戦〕、rule 902〔ヴァンガード戦〕、rule 904〔アーチエネミー戦〕、rule 905〔コンスピラシー・ドラフト〕参照。
113.7. 能力の発生源は、それを作ったオブジェクトである。スタックにある起動型能力の発生源は、起動した能力を持つオブジェクトである。スタックにある、または誘発してスタックに積まれるのを待っている誘発型能力の発生源は、(遅延誘発型能力を除き)誘発した能力を持つオブジェクトである。遅延誘発型能力の発生源については、rule 603.7d-f 参照。
113.7a いったん起動し、または誘発したら、能力はその能力の発生源とは独立して スタックに存在する。以降、その能力の発生源を破壊したり除去したりしても、能力には影響を及ぼさない。いくつかの能力は、その能力が直接何かをするのではなく、その能力の発生源に何かをさせることに注意すること(例えば、「クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。放蕩紅蓮術士はそれに1点のダメージを与える」)。このような場合、起動型能力を宣言したり誘発型能力をスタックに置いたりする時点でその発生源の情報を参照する起動型能力や誘発型能力は、その能力がスタックに置かれる時点でそれらの情報をチェックする。それ以外の理由で発生源の情報を参照する能力は、その能力の解決時にその情報をチェックする。いずれにせよ、チェックする時点で発生源が既に元あった領域にない場合、その能力の発生源の、その領域を離れる直前の情報を使う。すでに存在しなくなっていても、発生源がその処理を行なう。
113.8. スタックにある起動型能力のコントローラーは、その能力を起動したプレイヤーである。スタックにある誘発型能力のコントローラーは、遅延誘発型能力を除き、その能力が誘発したときにその能力の発生源をコントロールしていたプレイヤーである。コントローラーがいない場合、その能力が誘発した時のその能力の発生源のオーナーである。遅延誘発型能力のコントローラーについては、rule 603.7d-f 参照。
113.9. スタックにある起動型能力や誘発型能力は呪文ではないので、呪文を打ち消すものによっては打ち消されない。スタックにある起動型能力や誘発型能力は、能力を打ち消すと書かれている効果によって打ち消される。常在型能力はスタックを用いないので、打ち消されることはない。
113.10. 効果によって、オブジェクトの能力が追加されたり、あるいは取り除かれたりすることがある。能力を追加する効果は、そのオブジェクトが能力を「得る/gain」もしくは「持つ/have」などと書かれる。能力を取り除く効果は、そのオブジェクトが能力を「失う/lose」と書かれる。
113.10a 起動型能力を追加する効果には、その能力の起動指示が含まれることがある。それらの指示はそのオブジェクトに追加された能力の一部になる。
113.10b 能力を取り除く効果は、その能力が複数あっても全て取り除く。
113.10c 複数の効果が同じ能力を追加して取り除いた場合、一般には最新のものが優先される。継続的効果の相互作用について、詳しくは rule 613 参照。
113.11. 効果によって、オブジェクトは特定の能力を得なくなることがある。それらの効果では、そのオブジェクトはその能力を「持つことができない/can't have」と書かれている。もしオブジェクトがその能力を持っている場合、その能力を失う。また、効果やキーワード・カウンターによってその能力をそのオブジェクトに得させることもできない。呪文や能力の解決がその特定の能力をそのオブジェクトに得させる継続的効果を作る場合、その継続的効果のその部分は適用されないが、その継続的効果の他の部分は適用され、またその解決された呪文や能力の作る他の継続的効果は作られる。常在型能力によって作られた、その特定の能力を得させる継続的効果は、そのオブジェクトに適用されない。
113.12. オブジェクトの特性を定めたり、あるいは単にそのオブジェクトの性質を決めたりする効果は、効果によって得られる能力とは区別される。オブジェクトが能力を「得る」もしくは「持つ」時、その能力は他の効果によって取り除かれることがありうる。一方、効果によってオブジェクトの特性が定義された場合(「[パーマネント]は[特性値]である/[permanent] is [characteristic value]」)、それは能力を得させることにはならない(rule 604.3 参照)。同様に、効果によってオブジェクトがある性質を得た場合(「[パーマネント]はブロックされない」)、それは能力を得させもしないし特性を定義することもない。
例:《ムラガンダの印刻》は「能力を持たないクリーチャーは+2/+2の修整を受ける。」と書かれている。《ルーン爪の熊》(能力を持たないクリーチャー)が「エンチャントされているクリーチャーは飛行を持つ」と書かれたオーラでエンチャントされている場合、+2/+2の修整を受けることはない。「エンチャントされているクリーチャーは赤である」あるいは「エンチャントされているクリーチャーはブロックされない」と書かれたオーラでエンチャントされている場合、変わらず+2/+2の修整を受ける。
114.1. 効果によって、紋章が統率領域に置かれることがある。紋章とは、1つまたはそれ以上の能力を持つオブジェクトを表すマーカーであり、それ以外の特性は持たない。
114.2. 紋章を生成する効果は「[プレイヤー]は[能力]を持つ紋章を得る。/[Player] gets an emblem with [ability]」と書かれる。これは、[プレイヤー]は[能力]を持つ紋章を統率領域に置くことを意味する。紋章のオーナーはそのプレイヤーであり、そのプレイヤーがその紋章をコントロールする。
114.3. 紋章は、それを生成した効果によって定義された能力以外の特性を持たない。紋章は名前を持たず、カード・タイプを持たず、マナ・コストを持たず、色を持たない。
114.5. 紋章はカードでもパーマネントでもない。「紋章」はカード・タイプではない。
115.1. 呪文や能力の一部は、そのコントローラーに1つかそれ以上の対象を選ばせる。対象とは、その呪文や能力が影響を及ぼす、オブジェクトやプレイヤーである。それらの対象は呪文や能力をスタックに積む行程の一部として宣言される。対象は、他の呪文や能力によって指示されない限り、変更することはできない。
115.1a インスタント・呪文やソーサリー・呪文は、その文章中に「[何か]を対象とする/target [something]」という表記がある場合、対象をとる。この[何か]とは、オブジェクトやプレイヤーを示す表現でなければならない。対象の選択は、呪文を唱える際に行なう。rule 601.2c 参照。(インスタントやソーサリーの文章内にある起動型能力や誘発型能力が「対象」の語を用いていたとしたら、その呪文ではなく能力が対象をとる。)
例:「このカードをサイクリングしたとき、クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは-1/-1の修整を受ける」という能力を持つソーサリー・カードがあった場合、誘発型能力は対象をとるが、呪文が対象をとるとは限らない。
115.1b オーラ・呪文は、必ず、対象を取る。オーラの対象は、エンチャントのキーワード能力によって規定される(rule 702.5〔エンチャント〕参照)。対象の選択は、呪文を唱える際に行なう。rule 601.2c 参照。オーラ・パーマネントは対象を取らない。オーラ・呪文だけが対象を取る。(オーラ・パーマネントの起動型能力や誘発型能力は対象を取ることがあり得る。)
115.1c 起動型能力は、「[何か]を対象とする/target [something]」という表現で影響を及ぼすものを特定している場合、対象をとる。この[何か]とは、オブジェクトやプレイヤーを示す表現でなければならない。対象の選択は、能力を起動する際に行なう。rule 602.2b 参照。
115.1d 誘発型能力は、「[何か]を対象とする/target [something]」という表現で影響を及ぼすものを特定している場合、対象をとる。この[何か]とは、オブジェクトやプレイヤーを示す表現でなければならない。対象の選択は、能力をスタックに積む際に行なう。rule 603.3d 参照。
115.1e 装備や接合などキーワード能力の一部は、対象を取る起動型能力や誘発型能力を意味している。また、変容などキーワード能力の一部は、呪文に対象を取らせるようにする。それらの場合、「[何か]を対象とする」という表現はその能力そのものには表記されていないが、キーワード能力のルールに記載されている。(キーワードの注釈文にもしばしば「対象」の語が含まれている。)rule 702〔キーワード能力〕参照。
115.2. 呪文や能力の対象としては、通常、パーマネントだけが適正である。この例外は、(a) その呪文や能力が他の領域にあるオブジェクトやプレイヤーを対象にできると明記されているときと、(b) 呪文や能力のように戦場に存在することがありえないオブジェクトを対象とするときだけである。rule 115.4 参照。
115.3. 同じ「target」の語で示される中で(日本語版では、「[性質]N個」あるいは「[性質]N個か[性質]M個」などとしてまとめられている中で)、同じ対象を複数回選ぶことはできない。複数の対象群がある場合、同一のオブジェクトやプレイヤーを(条件を満たしているなら)それぞれ1回ずつ対象に取ることができる。この規定は、呪文や能力の対象を選ぶときと、呪文や能力の対象を変更したり新しい対象を選んだりするとき(rule 115.7 参照)の両方に適用される。
115.4. 英語版では、ダメージ関連の呪文や能力の中に、「target [something]」ではなく、「any target」や「another target」、「two targets」などを取るものがある。これらの対象は、クリーチャーかプレイヤーかプレインズウォーカーでありうる。クリーチャーでないアーティファクトや呪文など、その他のゲーム上のオブジェクトは選択できない。日本語版では、それらは書き下され、「クリーチャーN体かプレインズウォーカーN体かプレイヤーN人を対象とする。」というような表現になっている。
115.5. スタックにある呪文や能力は、それ自身の対象としては不適正である。
115.6. 対象を取りうる呪文や能力には、0個の対象を選べるものもある。そのような呪文や能力も対象を取りうる呪文や能力ではあるが、1個以上の対象を選んでいるときのみ対象を取る。
115.7. 呪文や能力の効果を変更することを認める効果や、呪文や能力の対象を新しく選ばせる効果が存在する。
115.7a 効果によってプレイヤーが呪文や能力について「その(それらの)対象を変更する/change the target(s)」場合、呪文や能力の対象は、他の適正な対象にだけ変更できる。対象を変更できない場合、元の対象がすでに不適正になっていたとしても、元の対象がそのまま対象になったままになる。対象すべてを適正な別の対象に変更できない場合、それらの対象はすべて変更されずに元のまま残る。
115.7b 効果によってプレイヤーが呪文や能力について「対象1つを変更する/change a target」場合、rule 115.7a の記載に従うが、対象の中の(すべてを変更するかまったく変更しないかを選ぶのではなく)1つだけを変更することができる。
115.7c 効果によってプレイヤーが呪文や能力について「任意の対象を変更する/change any targets」場合、rule 115.7a の記載に従うが、対象の中の(すべてを変更するかまったく変更しないかを選ぶのではなく)任意の一部を変更することができる。
115.7d 効果によってプレイヤーが呪文や能力について「新しい対象を選ぶ/choose new targets」場合、そのプレイヤーはその現在の対象のうち望む数を、それが不正な対象であったとしても、そのままに残しておいてもよい。プレイヤーが新しく選んだ対象は適正でなければならないし、そのままに残してある対象を不適正にするものであってはならない。
115.7e 呪文や能力の対象を変更したり新しい対象を選んだりする場合、その変更が適正かどうかを判断するためには最終的に定められた対象だけを確認する。
例:「クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人と、他のクリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。電弧の痕跡はその前者に2点のダメージを与え、その後者に1点のダメージを与える。」というソーサリー《電弧の痕跡》の現在の対象が、順に《ルーン爪の熊》と《ラノワールのエルフ》であるとする。あなたが「呪文1つを対象とする。あなたはそれの新しい対象を選んでもよい。」というインスタント《移し変え》を《電弧の痕跡》を対象に唱えた場合、1つめの対象を《ラノワールのエルフ》に、2つめの対象を《ルーン爪の熊》に変えることができる。
115.7f 呪文や能力は、1つ以上のものを対象として(ダメージやカウンターなどの)効果を「分割/divide」したり「分配/distribute」したりすることがある。その種の呪文や能力のための対象を変更したり新しく選んだりする場合、元の分割を変更することはできない。
115.8. モードを持つ呪文や能力は、モードごとに異なった対象の取り方をする場合がある。モードを持つ呪文や能力の対象を変更したり新しく選んだりする効果によっては、そのモードは変更されない。(rule 700.2 参照)
115.9. オブジェクトの中には、他の呪文や能力が対象を取るかどうかを見るものがある。文章によって、それがチェックするのは対象の現在の状態であるか、あるいは選ばれた時点での状態であるか、その両方を見るかが違う。
115.9a 「単一の対象を持つ[呪文や能力]/[spell or ability] with a single target」を見るオブジェクトは、その呪文や能力がスタックに積まれた時点で合計何回オブジェクトやプレイヤーが対象として選ばれたかを数える。現時点で適正である対象の数を数えるのではない。同一のオブジェクトやプレイヤーが複数回対象として選ばれていた場合、それぞれを別々に数える。
115.9b 「[何か]を対象とする[呪文や能力]/[spell or ability] that targets [something]」を見るオブジェクトは、その呪文や能力の対象がその時点でどうなっているかを見る。対象にしたオブジェクトが元あった領域に存在し、あるいは対象にしたプレイヤーがまだゲームに残っているのであれば、その対象がその呪文や能力にとって不適正になっていたとしても、その現在の情報を用いる。オブジェクトがその領域になくなっていたり、プレイヤーがゲームに存在しなくなっているのであれば、その対象は無視され、最後の情報は用いられない。
115.9c 「[何か]のみを対象とする[呪文や能力]/[spell or ability] that targets only [something]」は、その呪文や能力がスタックに積まれたときにいくつの異なったオブジェクトやプレイヤーを対象として選んだか(その後対象を変更する効果によって変更されたものも含む)を数える。現時点で適正である対象の数を数えるのではない。その数が1であれば(その呪文や能力が同一のオブジェクトやプレイヤーを複数回対象にしていても)その呪文や能力の対象は、rule 115.9b に書かれている通りにチェックされる。
115.10. 呪文や能力は、対象にしていないオブジェクトやプレイヤーに影響を及ぼすことがある。一般に、その種のオブジェクトやプレイヤーは呪文や能力の解決時まで選択されない。rule 608〔呪文や能力の解決〕参照。
115.10a オブジェクトやプレイヤーが呪文や能力の影響を受けるからといって、そのオブジェクトやプレイヤーが自動的にその呪文の対象になるわけではない。そのオブジェクトやプレイヤーが、その呪文や能力の文章内、あるいはキーワード能力のルール内の「対象」の語を用いて指定されていない限り、対象ではない。
116.1. 特別な処理は、プレイヤーが優先権を持っているときに行なう、スタックを用いない処理である。ゲームが自動的に作る、ターン起因処理や状況起因処理と混同してはならない。(rule 703〔ターン起因処理〕、rule 704〔状況起因処理〕参照)
116.2a 土地をプレイすることは特別な処理である。土地をプレイするとは、その土地を元あった領域(通常はそのプレイヤーの手札)から戦場に出すことである。何も効果がない場合、プレイヤーは自分のターンの間に1度だけこの処理を行なうことができる。プレイヤーは自分のメイン・フェイズの間、優先権を持っていてスタックが空であれば、この特別な処理を行なうことを選んでもよい。rule 305〔土地〕参照。
116.2b 裏向きのパーマネントをオモテ向きにすることは特別な処理である。プレイヤーが優先権を持っているときならいつでも、この処理を行なうことができる。rule 707〔裏向きの呪文やパーマネント〕参照。
116.2c 効果の中には、後でプレイヤーに何らかの処理を認めるものがある。その多くは継続的効果の終了や、遅延誘発型能力の誘発の中止である。そうすることは特別な処理である。その効果が遅延誘発型能力の誘発を中止させたり継続的効果を終了させたりすることを許している場合、その効果に特にタイミングの制限が書かれていない限り、プレイヤーが優先権を持っているときならいつでもこの処理を行なうことができる。
116.2d 常在型能力からの効果によって、その能力からの効果をある期間だけ失わせるという処理を行なえることがある。そうすることは特別な処理である。プレイヤーが優先権を持っているときならいつでもこの処理を行なうことができる。
116.2e 「あなたがインスタントを唱えられるときならいつでも、あなたは《待ち受ける禿鷹》を捨ててもよい」という能力を持つカード(《待ち受ける禿鷹》)が存在する。そうすることは特別な処理である。プレイヤーが優先権を持っているときならいつでもこの処理を行なうことができる。
116.2f 待機 能力つきのカードを手札に持つプレイヤーは、そのカードを追放することができる。これは特別な処理である。プレイヤーが優先権を持っているときで、そのカードをスタックに積むことによって唱え始めることができるときならいつでもこの処理を行なうことができる。rule 702.61〔待機〕参照。
116.2g 相棒を選んだプレイヤーは、{3}を支払ってそのカードをゲームの外部から手札に持ってくることができる。これは特別な処理である。プレイヤーは、優先権を持っていてスタックが空で自分のターンのメイン・フェイズの間であればいつでも、この処理をすることができるが、そのゲームでまだこの処理をしていない場合に限られる。rule 702.138〔相棒〕参照。
116.2h 予顕を持つカードが手札にあるプレイヤーは、{2}を支払ってそのカードを裏向きに追放することができる。これは特別な処理である。プレイヤーは、自分のターンの間優先権を持っているときならいつでも、この処理をすることができる。rule 702.142〔予顕〕参照。
116.2i プレインチェイス戦においては、次元ダイスを振ることは特別な処理である。プレイヤーはこの処理を、自分のメイン・フェイズの間、優先権を持っていてスタックが空であれば行なうことができる。この処理を行なうためのコストとして、そのターンに既に行なったこの処理の回数に等しい量のマナが必要である。そのターンの間に効果によって次元ダイスを振っていた場合、次元ダイスを振った回数と等しくならないことに注意すること。rule 901〔プレインチェイス戦〕参照。
116.2j コンスピラシー・ドラフトにおいては、統率領域にある裏向きの策略・カードをオモテ向きにすることは特別な処理である。プレイヤーは、優先権を持っているときならいつでもこの処理を行なうことができる。rule 905.4a 参照。
116.3. プレイヤーが特別な処理を行なった場合、そのプレイヤーがその後で優先権を得る。
117.1. 呪文や能力がいずれかのプレイヤーに何か処理を行なうよう指示していない限り、ある時点でどちらのプレイヤーが処理を行なえるかは、優先権のシステムによって決定される。優先権を持つプレイヤーは呪文を唱えたり、能力を起動したり、特別な処理を行なったりできる。
117.1a プレイヤーは、優先権を持っているときならいつでもインスタント・呪文を唱えることができる。プレイヤーは、自分のメイン・フェイズの間で優先権を持っているときにスタックが空であればインスタント以外の呪文を唱えることができる。
117.1b プレイヤーは、優先権を持っているときならいつでも起動型能力を起動できる。
117.1c プレイヤーが優先権を持っているときならいつでも取れる特別な処理が存在する。他の特別な処理については、自分のメイン・フェイズの間で優先権を持っているときにスタックが空であれば可能である。rule 116〔特別な処理〕参照。
117.1d プレイヤーは、優先権を持っている時か、呪文を唱えたり能力を起動したりする途中でマナの支払いが必要な時、あるいは(呪文を唱えたり解決したりしている間や、能力を起動したり解決したりしている間も含む)ルールや効果がマナの支払いを求めた時ならいつでもマナ能力を起動できる。
117.2. 他の能力や処理は、ゲームのルールによって自動的に作られたり実行されたりするか、または優先権を得ることなくプレイヤーによって実行される。
117.2a 誘発型能力は、呪文を唱えている間や能力を起動している間、あるいは呪文や能力を解決している間であっても、いつでも誘発する(rule 603〔誘発型能力の扱い〕参照)。しかしながら、能力は誘発した瞬間には何もしない。いずれかのプレイヤーが優先権を得る時点で、誘発していてまだスタックに積まれていない能力はスタックに積まれる。rule 117.5 参照。
117.2b 常在型能力は継続的にゲームに影響を及ぼす。優先権は関係しない。(rule 604〔常在型能力の扱い〕、rule 611〔継続的効果〕参照)
117.2c ターン起因処理は、特定のステップやフェイズが始まったときに自動的に発生する。これはプレイヤーが優先権を得るよりも前に処理される。rule 117.3a 参照。ターン起因処理は各ステップやフェイズが終わったときにも自動的に発生し、それ以降にプレイヤーが優先権を得ることはない。rule 703〔ターン起因処理〕参照。
117.2d 状況起因処理は特定の条件を満たしたときに自動的に発生する。rule 704〔状況起因処理〕参照。これはプレイヤーが優先権を得る直前に処理される。rule 117.5 参照。
117.2e 呪文や能力を解決すると、プレイヤーに選択を求めたり処理を行なわせたりマナ能力の起動を許可したりすることがある。プレイヤーがそうした場合にも、呪文や能力の解決中にはいずれのプレイヤーも優先権を得ない。rule 608〔呪文や能力の解決〕参照。
117.3. どちらのプレイヤーが優先権を持っているかは、以下のルールによって定められる。
117.3a アクティブ・プレイヤーは、ほとんどのフェイズとステップの開始時に、ターン起因処理(ドロー・ステップの間にカードを1枚引くことなど。rule 703 参照)の後、そのフェイズやステップの開始時に誘発する能力がスタックに積まれた後で優先権を得る。ただし、アンタップ・ステップには優先権は発生せず、通常はクリンナップ・ステップにも優先権は発生しない(rule 514.3 参照)。
117.3b 呪文や能力(マナ能力を除く)が解決されたら、アクティブ・プレイヤーが優先権を得る。
117.3c 呪文を唱えたり、能力を起動したり、特別な処理を行なったりしたプレイヤーは、その後で優先権を得る。
117.3d プレイヤーが優先権を持っていて何も処理をしないことを選んだ場合、そのプレイヤーはパスしたことになる。そのプレイヤーのマナ・プールにマナが残っている場合、何がどれだけ残っているかを宣言する。その後、ターン順で次のプレイヤーが優先権を得る。
117.4. 全てのプレイヤーが続けてパス(すべてのプレイヤーが何も処理を行なわずにパスすることをそう言う)した場合、スタックの一番上のオブジェクトが解決される。この時点でスタックが空の場合、そのフェイズやステップは終了する。
117.5. いずれかのプレイヤーが優先権を得る場合、ゲームはまず該当する状況起因処理を単一のイベントとして行なう(rule 704〔状況起因処理〕参照)。状況起因処理が一つも発生しなくなるまでチェックが繰り返される。その後、誘発型能力がスタックに積まれる(rule 603〔誘発型能力の扱い〕参照)。この手順は、それ以上の状況起因処理が発生せず、能力が誘発しない状態になるまで繰り返される。その後で、該当するプレイヤーが優先権を得る。
117.6. 「共有チーム・ターン」選択ルールにおいて、個人ではなくチームが優先権を得る。rule 805〔「共有チーム・ターン」選択ルール〕参照。
117.7. 優先権を持つプレイヤーが、他の呪文や能力がスタックにある間に呪文を唱えたり起動型能力を起動したりした場合、新しい呪文や能力は、その前の呪文や能力に「対応して」唱えられ、あるいは起動された、という。新しい呪文や能力は、一番最初に解決されることになる。rule 608〔呪文や能力の解決〕参照。
118.1. コストとは、他の処理をするため、あるいは他の処理を妨げるために必要な処理や支払いのことである。コストを支払うとは、プレイヤーがそのコストを含む呪文、能力、効果で特定されている指示を実行することである。
118.2. コストにマナの支払いが含まれる場合、コストを支払うプレイヤーはマナ能力を起動する機会を得る。呪文を唱えたり起動型能力を起動したりするためのコストの支払いは、rule 601.2f-h に示された手順を取る。
118.3. プレイヤーは、コストを完全に支払うために必要なリソースを持たずにそのコストを支払うことはできない。例えば、ライフが1点しかないプレイヤーは、2点のライフをコストとして支払うことはできないし、タップ状態のパーマネントをタップすることでコストを支払うことはできない。rule 202〔マナ・コストと色〕、rule 602〔起動型能力の起動〕参照。
118.3a マナを支払うことは、プレイヤーのマナ・プールから指示されただけのマナを取り除くことによって行なわれる(プレイヤーはいつでも0点のマナを支払うことができる)。支払いの後でマナ・プールにマナが残っている場合、そのプレイヤーは何がどれだけ残っているかを宣言する。
118.3b ライフを支払うことは、プレイヤーのライフ総量から指示されただけの点数のライフを減らすことによって行なわれる(プレイヤーはいつでも0点のライフを支払うことができる)。
118.3c コストを支払うことが義務である場合にも、マナ能力を起動することは義務ではない。
例:あるプレイヤーが「アーティファクトでない呪文を唱えるためのコストは{1}多くなる。」という《磁石のゴーレム》をコントロールしている。他のプレイヤーが、待機状態のソーサリー・カードから最後の時間カウンターを取り除いた。そのプレイヤーは可能ならばその呪文を唱えなければならないが、そうするためには{1}のコストが必要である。マナ・プールに充分なマナがある場合にはそのコストを支払わなければならない。しかし、そのマナを出すためのマナ能力を起動することは義務ではない。そのカードはただ追放されたままになる。
118.4. コストの中に{X}やXが含まれることがある。rule 107.3 参照。
118.5. コストが{0}によって表されていたり、{0}にまで減少したりすることがある。その類のコストを支払うためにプレイヤーが取らなければならない処理は、支払うことを宣言するだけである。コストの支払いにリソースが必要ないが、自動的に支払われるわけではない。
118.6. マナ・コストを持たないオブジェクトが存在する。これは、支払うことができないコストを意味する。能力も、マナ・コストを持たないオブジェクトのマナ・コストを元にコストを決めた場合に、支払うことができないコストを持つことがある。支払うことができないコストを持つ呪文を唱えたり、能力を起動したりすることは適正な処理であるが、支払うことのできないコストを支払おうとすることは不適正な処理である。
118.6a 支払うことができないコストが、何らかの効果によって加算されたり、追加コストが加わったりしても、そのコストは支払うことができないままである。支払うことができないコストに、マナ・コストを払わずに唱えてもよいという効果などの代替コストが適用された場合、その代替コストを支払うことは適正である。
118.7. プレイヤーが実際に支払うコストは、効果によって変更されたり減らされたりすることがある。コストのマナ部分がコスト減少効果によってまったくなくなった場合、{0}として扱う。そうして変更されたコストを支払うことは、元のコストを支払ったのと同じように扱う。
118.7a 一定量の不特定マナをコストから減少させる効果は、そのコストの不特定マナ部分にだけ影響する。そのコストの、色 マナや無色 マナの部分には影響を及ぼさない。
118.7b 一定量の色 マナや無色 マナがコストから減る場合、そのコストがそのタイプのマナを求めていなかったなら、コストからその量の不特定マナが減らされる。
118.7c 一定量の色 マナがコストから減る場合、その減る量がそのコストに含まれるその色のマナよりも多かったなら、その色のマナはなくなるまで減り、余剰分の不特定マナが減る。
118.7d 一定量の無色 マナがコストから減る場合、その減る量がそのコストに含まれる無色 マナよりも多かったなら、無色 マナはなくなるまで減り、余剰分の不特定マナが減る。
118.7e 混成マナ・シンボルで示されているある量のマナがコストから減る場合、そのコストを支払うプレイヤーはそのコスト減少が適用される時点でそのシンボルのうちいずれか半分を選ぶ(rule 601.2f 参照)。色 マナである半分を選んだ場合、その色のマナ1点を減らす。不特定マナである半分を選んだ場合、そこに示されている数の不特定マナを減らす。
118.7f ファイレクシア・マナ・シンボルで示されているマナがコストから減らされる場合、そのシンボルの色のマナ1点が減らされる。
118.7g 1個以上の氷雪マナ・シンボルで示されているある量のマナがコストから減らされる場合、そのコストはその量の不特定マナだけ減らされる。
118.8. 呪文や能力の一部は追加コストを持つ。追加コストは、呪文のルール文章に記されているコスト、あるいは他の効果によって呪文や能力に適用されるコストであり、呪文のマナ・コストあるいは能力の起動コストを支払うのと同時にそのコントローラーが支払わなければならない。キーワードとして記される追加コストも存在する。rule 702 参照。
118.8a 追加コストは、唱えられる一つの呪文あるいは起動される一つの能力に複数適用されることがある。呪文や能力のコントローラーは、それらのコストを支払う意思を、rule 601.2b に基づいて宣言する。
118.8c 効果によってプレイヤーが「可能ならば」呪文を唱えるように指示されていた場合、その呪文が非公開領域にある何らかの値を持つカードを含む強制の追加コストを持っていたならば、その必要なカードがその領域に存在したとしてもその呪文を唱えることは強制されない。
118.8d 追加コストによって呪文のマナ・コストが変化することはなく、単にそれを唱えるために支払うコストが変化するだけである。呪文のマナ・コストを参照する呪文や能力は、その元の値を参照する。
118.9. 代替コストを持つ呪文が存在する。代替コストは呪文の文章に記されているか、または他の効果によって適用されるコストで、そのコントローラーが呪文のマナ・コストを支払うのではなく支払うことができるコストのことである。代替コストは「あなたは[このオブジェクトの]マナ・コストを支払うのではなく[処理]してもよい/You may [action] rather than pay [this object's] mana cost」あるいは「あなたは[このオブジェクトを]そのマナ・コストを支払うことなく唱えてよい/You may cast [this object] without paying its mana cost.」と書かれている。キーワードとして記される代替コストも存在する。rule 702 参照。
118.9a 単一の呪文を唱えるに際しては、代替コストは1つしか適用できない。その呪文のコントローラーは、そのコストを支払う意思を、rule 601.2b に基づいて宣言する。
118.9b 代替コストは一般的に選択可能である。呪文を唱えることを認める効果は、特定の代替コストの支払いを必要とすることがある。
118.9c 代替コストによって呪文のマナ・コストが変化することはなく、単にそれを唱えるに際して支払うべきコストが変化するだけである。呪文のマナ・コストを参照する呪文や能力は、その元の値を参照する。
118.9d 呪文を唱えるために代替コストを支払う場合、その呪文に影響を及ぼす追加コストやコスト増加、コスト減少はその代替コストに対して適用される(rule 601.2f 参照)。
118.10. コストの支払いは、1つの呪文、能力、効果に対してしか適用できない。たとえば、プレイヤーはクリーチャーを1体だけ生け贄に捧げることで、2つのパーマネントがそれぞれ持つ、コストにクリーチャーを1体生け贄に捧げなければならない起動型能力を起動することはできない。また、呪文や能力の解決は、効果の一部が他の呪文や能力のコストとして求められていることと同じであっても、そのコストを支払ったことにはならない。
118.11. コストを支払うための処理は、効果によって修整されることがある。その結果、実際の処理が表記されている内容と一致しなくても、そのコストは支払われたものとして扱う。
例:累加アップキープ・コストとして「カードを1枚引く」というものを持つエンチャント、《精神の渦》と「あなたがカードを引くなら、代わりに、あなたはそのドローを飛ばしてもよい。」という能力を持つ《片意地な使い魔》をコントロールしている時、そのプレイヤーは《精神の渦》の累加アップキープ・コストを支払うことを選んだ上でカードを引かないことを選んでもよい。その場合でも、累加アップキープ・コストは支払われたものとして扱う。
118.12. 呪文や起動型能力、誘発型能力の中に、「[ある処理]する。[プレイヤーが][そうした/しなかった/できない]なら、[効果]/[Do something]. If [a player] [does, doesn't or can't], [effect]」、あるいは「[プレイヤーは][ある処理]してもよい。[そのプレイヤーが][そうした/しなかった/できない]なら、[効果]/[A player] may [do something]. If [that player] [does, doesn't, or can't], [effect]」というものがある。この場合の[ある処理]はコストであり、呪文や能力の解決時に支払う。「[そうした(しなかった)]なら」という節は、そのプレイヤーがその選択的コストを支払うことを選んだり、あるいは選択的でないコストを支払い始めたりしたかどうかをチェックする。実際にどのようなイベントが発生したかは問わない。
例:あなたが「プレイヤーが呪文1つを唱えたとき、行き詰まりを生け贄に捧げる。そうしたなら、そのプレイヤーの各対戦相手は、カードを3枚引く。」というエンチャント、《行き詰まり》をコントロールしている。ある呪文が唱えられて《行き詰まり》の能力が誘発したあと、《行き詰まり》を追放する別の能力を起動したとしたら、《行き詰まり》の能力が解決された時点で「行き詰まりを生け贄に捧げる」というコストを支払うことはできないので、どのプレイヤーもカードを引くことはない。
例:対戦相手が「このターン、クリーチャーが対戦相手のコントロール下で戦場に出るなら、代わりにそれはあなたのコントロール下で戦場に出る。」という呪文《標本集め》を唱えた。一方、あなたは「偽皮操りがオモテ向きになったとき、あなたは『あなたの手札にある変異を持つクリーチャー・カードを1枚、オモテ向きに戦場に出す。』を選んでもよい。そうしたなら、偽皮操りをオーナーの手札に戻す。」という能力を持つ変異持ちクリーチャー《偽皮操り》を裏向きでコントロールしている。《偽皮操り》をオモテ向きにし、変異を持つクリーチャー・カードを1枚手札から選び、戦場に出そうとする。《標本集め》の効果によってそのクリーチャーは対戦相手のコントロール下で戦場に出るが、コストを支払うことを選んだので、《偽皮操り》はオーナーの手札に戻る。
118.12a カードの中には「[あるプレイヤーが別の処理]しないかぎり、[処理]する/[Do something] unless [A player does something else]」と書かれているものがある。これは「[あるプレイヤーは別の処理]してもよい。そうしないなら、[処理]する/[A player may do something else]. If [that player doesn't], [do something]」というのと同じ意味である。
118.12b 効果の中にはプレイヤーに領域から探すかどうかを選ばせ、その領域で見つけたカードに追加の処理を行なわせ、その後に「[プレイヤーが]そうしたなら/If [a player] does」節が続くものがある。この節はプレイヤーが探すことを選んだかどうかをチェックするものであり、そのプレイヤーが追加の処理を行なったかどうかを参照するものではない。
118.13. コストの中には、混成マナ・シンボルやファイレクシア・マナ・シンボルなど、複数の方法で支払うことができるマナ・シンボルを含むものがある。
118.13a 呪文のマナ・コストや起動型能力の起動コストに複数の方法で支払うことができるマナ・シンボルが含まれている場合、そのシンボルの分を支払う方法の選択は、それのコントローラーがその呪文や能力の提示に際して行なう(rule 601.2b 参照)。
118.13b 呪文や能力の解決中に支払われるコストに複数の方法で支払うことができるマナ・シンボルが含まれている場合、そのコストを支払う直前に、そのコストを支払うプレイヤーがそのシンボルの分を支払う方法を選ぶ。
118.13c 特別な処理に伴うコストに複数の方法で支払うことができるマナ・シンボルが含まれている場合、そのコストを支払う直前に、その特別な処理を行なうプレイヤーがそのシンボルの分を支払う方法を選ぶ。
119.1. 各プレイヤーの初期ライフ総量は20点である。変種ルールの中にはこれと異なる初期ライフ総量を定めるものもある。
119.1a 双頭巨人戦では、各チームの初期ライフ総量は30点である。rule 810〔「双頭巨人戦」変種ルール〕参照。
119.1b ヴァンガード戦では、各プレイヤーの初期ライフ総量は20点にそのヴァンガード・カードのライフ補正子を加えた値である。rule 902〔ヴァンガード戦〕参照。
119.1c 統率者戦では、各プレイヤーの初期ライフ総量は40点である。rule 903〔統率者戦〕参照。
119.1d 2人ブロール戦では、各プレイヤーの初期ライフ総量は25点である。多人数ブロール戦では、各プレイヤーの初期ライフ総量は30点である。rule 903.12〔ブロール 選択ルール〕参照。
119.2. プレイヤーに与えられたダメージは、通常、そのプレイヤーのライフをその量だけ失わせる。rule 120.3 参照。
119.3. 効果がプレイヤーにライフを得させたり失わせたりする場合、そのプレイヤーのライフ総量はそれだけ変動する。
119.4. コストや効果がプレイヤーに1点以上の量のライフを支払うことを認める場合、そのプレイヤーはライフ総量がその値以上の場合に限って支払うことができる。ライフを支払った場合、その支払った分だけライフ総量が減少する、つまり、プレイヤーはその支払った分のライフを失う。
119.4a 双頭巨人戦において、コストや効果がプレイヤーに1点以上の量のライフを支払うことを認める場合、そのプレイヤーはそのチームの共有ライフ総量が、そのチームの両プレイヤーの支払うライフ総量値以上の場合に限って支払うことができる。ライフを支払った場合、その支払った分だけ共有ライフ総量が減少する。
119.4b プレイヤーは自分や自分のチームのライフ総量に関わらず、また効果によってライフの支払いが禁じられているときであっても、いつでも0点のライフを支払うことができる。
119.5. 効果がプレイヤーのライフ総量を特定の値にする場合、そのプレイヤーはライフ総量をその値にするために必要な量のライフを得たり失ったりする。
119.6. プレイヤーのライフ総量が0以下になった場合、そのプレイヤーは状況起因処理としてゲームに負ける。rule 704 参照。
119.7. 効果によってプレイヤーがライフを得られない場合、そのプレイヤーは自分よりもライフ総量が多いプレイヤーとライフ総量を交換することはできない。その場合、交換は発生しない。同様に、効果によってライフを再配分する場合、そのプレイヤーのライフ総量が多くなるような新しいライフ総量を受け取ることはできない。加えて、そのプレイヤーにライフを得させることを含むコストは支払うことができず、そのプレイヤーがライフを得るイベントを置換する置換効果は何もしない。
119.8. 効果によってプレイヤーがライフを失わない場合、そのプレイヤーは自分よりもライフ総量が少ないプレイヤーとライフ総量を交換することはできない。その場合、交換は発生しない。同様に、効果によってライフを再配分する場合、そのプレイヤーのライフ総量が少なくなるような新しいライフ総量を受け取ることはできない。加えて、そのプレイヤーにライフを支払わせることを含むコストは支払うことができない。
119.9. 「[プレイヤー]がライフを得るたび……/Whenever [a player] gains life, ...」という誘発型能力は、「いずれかの発生源が[プレイヤー]にライフを得させるたび……/Whenever a source causes [a player] to gain life, ...」として扱う。プレイヤーが0点のライフを得た場合、ライフを得るイベントは発生せず、従ってこの種の能力は誘発しない。
119.10. 「[プレイヤー]がライフを得るなら、……/If [a player] would gain life, ...」という置換効果は、「発生源が[プレイヤー]にライフを得させるなら、……/If a source would cause [a player] to gain life, ...」として扱う。プレイヤーが0点のライフを得る場合、ライフを得るイベントは発生せず、この種の効果は適用されない。
120.1. オブジェクトはクリーチャー、プレインズウォーカー、プレイヤーにダメージを与えることができる。一般に、ダメージはダメージを受けるオブジェクトまたはプレイヤーに不利な影響を与える。ダメージを与えたオブジェクトはそのダメージの発生源である。
120.2. いずれのオブジェクトもダメージを与えることができる。
120.2a ダメージは、戦闘の結果として与えられることがある。攻撃クリーチャーもブロック・クリーチャーも、戦闘ダメージ・ステップにそのパワーに等しいだけの戦闘ダメージを与える。
120.2b ダメージは呪文や能力の効果として与えられることがある。その呪文や能力が、どのオブジェクトがそのダメージを与えるかを特定する。
120.3. ダメージは、受ける側がプレイヤーであるかパーマネントであるか、また発生源や(ダメージを受けるのがパーマネントであれば)受ける側の特性に応じて、以下の1つ以上の結果をもたらす。
120.3a 感染を持たない発生源からプレイヤーに与えられたダメージは、そのプレイヤーのライフをその量だけ減らす。
120.3b 感染を持つ発生源からプレイヤーに与えられたダメージは、その発生源のプレイヤーに、そのプレイヤーにその量の毒カウンターを与えさせる。
120.3c プレインズウォーカーに与えられたダメージは、そのプレインズウォーカーからその量の忠誠カウンターを取り除く。
120.3d 萎縮や感染を持つ発生源からクリーチャーに与えられたダメージは、その発生源のコントローラーに、そのクリーチャーにその量の-1/-1カウンターを置かせる。
120.3e 萎縮も感染も持たない発生源からクリーチャーに与えられたダメージは、そのクリーチャーが負う。
120.3f 絆魂を持つ発生源から与えられたダメージは、他の結果に加え、その発生源のコントローラーにその量のライフを得させる。
120.4a まず、与えるダメージを発生させる効果に、パーマネントに与える余剰のダメージを代わりに他のパーマネントやプレイヤーに与えると明記されていた場合、そのダメージのイベントはそのように変更される。その1つ目のパーマネントがクリーチャーである場合、余剰のダメージとは、そのクリーチャーが既に負っているダメージや同時に受ける他の発生源からのダメージを考慮して、致死ダメージ(rule 120.6 参照)を超えるダメージのことである。1つ目のパーマネントがプレインズウォーカーの場合、余剰のダメージとは、同時に受ける他の発生源からのダメージを考慮してそのプレインズウォーカーの忠誠度を超えるダメージの量のことである。1つ目のパーマネントがクリーチャーでもプレインズウォーカーでもある場合、余剰のダメージはそれら2つの量のうち大きい方になる。
120.4b 次に、ダメージが、置換効果や軽減効果によって修整されてから与えられる(rule 614〔置換効果〕、rule 615〔軽減効果〕参照)。ダメージが与えられたことによって誘発する能力はこの時点で誘発し、スタックに積まれるのを待つ。
120.4c 3番目に、与えられたダメージが結果に変換され、その結果(ライフの喪失やカウンターなど)に影響を及ぼす置換効果によって修整される。
例:「あなたがライフを得るなら、代わりに あなたはその2倍の点数のライフを得る。」というエンチャント、《加護の反射》をコントロールしているプレイヤーが3/3の萎縮と絆魂持ちのクリーチャーで攻撃し、2/2クリーチャーでブロックされた。防御プレイヤーはブロック・クリーチャーが受ける次の2点のダメージを軽減する呪文を唱えた。この場合、ダメージのイベントは「2/2クリーチャーが3点のダメージを受ける。3/3クリーチャーが2点のダメージを受ける」というのが最初の状態である。軽減効果が適用され、ダメージのイベントは「2/2クリーチャーが1点のダメージを受ける。3/3クリーチャーが2点のダメージを受ける」になる。これが結果に変換されると、「2/2クリーチャーに-1/-1カウンターが1個置かれる。アクティブ・プレイヤーが1点のライフを得る。3/3クリーチャーが2点のダメージを負う」になる。《加護の反射》の効果が適用され、「2/2クリーチャーに-1/-1カウンターが1個置かれる。アクティブ・プレイヤーが2点のライフを得る。3/3クリーチャーが2点のダメージを負う」となり、これでダメージのイベントが発生する。
例:防御プレイヤーがクリーチャー1体と、「あなたがクリーチャーをコントロールしているなら、あなたのライフ総量を1点以下に減少させるダメージは、代わりに あなたのライフの総量が1点になるまで減少させる。」というエンチャント、《崇拝》をコントロールしている。そのプレイヤーのライフは現在2点で、ブロックされなかった5/5クリーチャー2体によって攻撃されている。そのプレイヤーは、その攻撃クリーチャーのうち1体を対象にして「クリーチャー1体を対象とする。このターン、次にそれが与えるダメージをすべて軽減し、0にする。あなたは、これにより軽減されたダメージに等しい点数のライフを得る。」というインスタント《畏敬の一撃》を唱えた。ダメージのイベントは「防御プレイヤーが10点のダメージを受ける」というのが最初の状態である。《畏敬の一撃》の効果が適用され、「防御プレイヤーが5点のダメージを受ける。防御プレイヤーが5点のライフを得る。」になる。これが結果に変換されて、「防御プレイヤーは5点のライフを失う。防御プレイヤーは5点のライフを得る。」になる。このダメージのイベントがプレイヤーのライフ総量を1未満にしないので、《崇拝》の効果は適用されない。これでダメージのイベントが発生する。
120.5. クリーチャーやプレインズウォーカーが受けたダメージは、それを破壊しない。同様に、その発生源が破壊するわけでもない。そのパーマネントが受けたダメージの結果によってクリーチャーやプレインズウォーカーを破壊、あるいは他の方法でオーナーの墓地に置くのは、状況起因処理である。rule 704 参照。
例:プレイヤーが「クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。稲妻はそれに3点のダメージを与える。」というインスタント、《稲妻》を、2/2クリーチャーを対象として唱えた。《稲妻》がそのクリーチャーに3点のダメージを与えた後、そのクリーチャーは状況起因処理によって破壊される。《稲妻》や、それの与えたダメージがそのクリーチャーを破壊したわけではない。
120.6. クリーチャーが負ったダメージは、そのパーマネントがクリーチャーでなくなったとしても、クリンナップ・ステップまで残る。クリーチャーが負ったダメージの合計がそのタフネス以上になったら、そのクリーチャーは致死ダメージを受けたことになり、状況起因処理として破壊される(rule 704 参照)。パーマネントが負ったダメージは、再生する(rule 701.15〔再生する〕参照)か、あるいはクリンナップ・ステップの間に(rule 514.2 参照)取り除かれる。
120.7. ダメージの発生源とは、それを与えたオブジェクトである。効果によってプレイヤーがダメージの発生源を選ぶ場合、パーマネントか、スタックにある呪文(パーマネント呪文を含む)か、スタックにあるオブジェクトや適用を待つ置換・軽減効果や誘発を待つ遅延誘発型能力によって参照されるオブジェクト(そのオブジェクトがすでにもとあった領域に存在しない場合であっても)か、あるいは統率領域にあるオモテ向きのオブジェクトを選ぶことができる。ダメージを与えることができない発生源も、適正な選択となりうる。rule 609.7 参照。
120.8. 発生源が0点のダメージを与える場合、それはダメージを与えない。ダメージを与えたことによって誘発する能力は誘発しない。その発生源によって与えられたダメージを増加させる、あるいはその発生源にそのダメージを他のオブジェクトやプレイヤーに与えさせる置換効果は置換するイベントがないので何も効果を持たない。
120.9. 特定の発生源から受けるダメージによって誘発する能力で、その効果が「受けたダメージ」に言及している場合、それはその特定の発生源から受けたダメージだけに言及しており、他の発生源によって同時に与えられたダメージには言及していない。
120.10. 誘発型能力の中には、パーマネントが余剰のダメージを受けているかどうかを見るものがある。それらの能力は、そのパーマネントが1つ以上の発生源からダメージを受けた後で見る。それらの発生源が合計でクリーチャーの致死ダメージを超えるダメージをそのクリーチャーに与えていたなら、そのクリーチャーに与えた余剰のダメージは、その差に等しい量である。それらの発生源が合計でプレインズウォーカーの忠誠度を超えるダメージをそのプレインズウォーカーに与えていたなら、そのプレインズウォーカーに与えた余剰のダメージは、その差に等しい量である。そのパーマネントがクリーチャーでもプレインズウォーカーでもある場合、そのパーマネントに与えた余剰のダメージは、それら2つの量の大きい方である。
121.1. プレイヤーがカードを引くとは、自分のライブラリーの一番上にあるカード1枚を自分の手札に入れるということである。これは各プレイヤーのドロー・ステップに、ターン起因処理として行なわれる。また、これは呪文や能力の、コストや効果としても行なわれる。
121.2. カードを同時に引くことができるのは1枚だけである。複数枚のカードを引くように指示された場合、そのプレイヤーはその回数だけカードを引くことを繰り返す。
121.2a 複数枚のカードを引くという指示は、引かれるカードの枚数を参照する置換効果によって変更されることがある。この変更は、カードを引く個別の処理を扱うよりも前に行なわれる。rule 616.1f 参照。
121.2b プレイヤーが各ターンに2枚以上のカードを引くことができない、という効果が存在する。この種の効果はカードを引く個別の処理に適用される。カードを複数枚引く場合、その一部は実行される。ただし、プレイヤーがカードを複数枚引いてもよいという効果の場合、そのプレイヤーは引くことを選ぶことはできない。同様に、そのプレイヤーはカードを複数枚引くことを含むコストを支払うこともできない。
121.2c 効果によって複数人がカードを引く場合、まずアクティブ・プレイヤーが指定された枚数のカードを引き、その後ターン順で他のプレイヤーがカードを引く。
121.2d 「共有チーム・ターン」選択ルールを用いたゲームにおいて、ルールや効果によって複数人がカードを引く場合、まずアクティブ・チームのプレイヤーが好きな順番で指定された枚数のカードを引き、それから非アクティブ・チームが同じように処理する。
121.3. プレイヤーのライブラリーにカードがない状態で効果がそのプレイヤーにカードを引くかどうかを選ばせる場合、そのプレイヤーはカードを引くことを選ぶことができる。一方、カードを引くことができないという効果がある状況下で、他の効果がそのプレイヤーにカードを引くかどうかを選ばせる場合、そのプレイヤーはカードを引くことを選ぶことはできない。
121.3a カードを引くプレイヤー以外のプレイヤーが決定する場合にも、同じ原理が適用される。カードを引くプレイヤーのライブラリーにカードがなかったとしても、カードを引くことを選ぶことはできる。カードを引くプレイヤーがカードを引くことができないという効果があれば、カードを引くことを選ぶことはできない。
121.4. カードがないライブラリーからカードを引こうとしたプレイヤーは、次にいずれかのプレイヤーが優先権を得る時にゲームに負ける。(これは状況起因処理である。rule 704 参照。)
121.5. 効果が「引く/draw」という語を使わずにプレイヤーのライブラリーからそのプレイヤーの手札に動かす場合、そのプレイヤーはそのカードを引いてはいない。これは、カードを引くことで誘発する能力や、カードを引くことを置換する効果がある場合、またはそのプレイヤーのライブラリーが空である場合に違いが生じる。
121.6a カードを引くことを置換する効果は、影響を受けるプレイヤーのライブラリーが空であるためにそのプレイヤーがカードを引くことができない場合にも適用される。
121.6b 効果が、複数枚のカードが引かれるうちの1回を置換する場合、その置換効果は次の1枚を引く前に完全に処理される。
121.6c カードが引かれた後、そのカードに対して追加で何らかの処理をする効果が存在する。カードを引くことが置換された場合、その追加の処理は、その置換効果やそれ以外の置換効果の結果引かれたカードに対しては行なわれない。
121.7. 置換効果や軽減効果によってカードが引かれることがある。その場合、元のイベントの中でこの効果によって置換されなかった部分があれば、その部分が先に処理され、その後でカードが1枚ずつ引かれる。
121.8. 呪文が唱えられている間に他の呪文や能力がカードを引かせた場合、その引いたカードはその呪文が唱え終わる(rule 601.2i 参照)か唱える手順が巻き戻される(rule 723〔不正な処理の扱い〕参照)まで裏向きのままである。これは能力の起動に関しても同じである。効果によってプレイヤーが引くカードを公開する(または公開してもよい)場合、そのカードは呪文が唱えられたあと、あるいは能力が起動されたあとで公開される。裏向きの間、その引いたカードは特性を持たないものとして扱われ、その呪文や能力の、カードが特定の特性を持つことを必要とするコストの一部の支払いに使うことはできない。
121.9. 効果によってプレイヤーがカードを引くに際して公開するという選択肢が与えられている場合、そのプレイヤーはそのカードを引くに際し、公開するかどうかを選ぶ前にそのカードを見ることができる。
122.1. カウンターとは、オブジェクトやプレイヤーの上に置かれるマーカーであり、その特性を修整したり、能力と相互作用したりするものである。カウンターはオブジェクトではなく、特性を持たない。トークンはカウンターではなく、カウンターはトークンではない。同名のカウンターには互換性がある。
122.1a クリーチャーまたは戦場以外の領域にあるクリーチャー・カードの上に置かれている+X/+Y カウンター(X、Yはそれぞれ数字である)はそのパーマネントのパワーにXを加え、タフネスにYを加える。同様に、-X/-Y カウンターはその分だけパワーやタフネスから引く。rule 613.4c 参照。
122.1b パーマネントあるいは戦場以外の領域にあるカードの上にあるキーワード・カウンターは、そのオブジェクトにそのキーワードを与える。キーワード・カウンターでありうるキーワードは、飛行、先制攻撃、二段攻撃、接死、速攻、呪禁、破壊不能、絆魂、威迫、到達、トランプル、警戒、ならびにそれらのキーワードの変種である。rule 613.1f 参照。
122.1c 戦場に出ているプレインズウォーカーの上に置かれた忠誠カウンターは、そのプレインズウォーカーの忠誠度を示す。忠誠度が0のプレインズウォーカーは、状況起因処理でそのオーナーの墓地に置かれる。rule 704 参照。
122.1d いずれかのプレイヤーが10個以上の毒カウンターを持った場合、そのプレイヤーは状況起因処理でゲームに負ける。rule 704 参照。プレイヤーが1個以上の毒カウンターを持っている場合、そのプレイヤーは「毒を受けている/poisoned」と言う(双頭巨人戦に関する追加の規定は rule 810 参照)。
122.2. オブジェクト上のカウンターは、そのオブジェクトがある領域から他の領域に移動した場合には保持されない。これらのカウンターは「取り除かれた/removed」のではなく、単に消滅するだけである。rule 400.7 参照。
122.3. 単一のパーマネントに、+1/+1カウンターと-1/-1カウンターが乗っている場合、その2つのうちで少ないほうと同数だけ、両方のカウンターを取り除く。(訳注:両方が同数である場合、その両方を全て取り除く。)rule 704 参照。
122.4. ある種類のカウンターをN個を超えて持つことができないという能力を持つパーマネントの上に、その種類のカウンターがN個を超えて置かれた場合、N個を残して取り除く。これは状況起因処理である。rule 704 参照。
122.5. カウンターを「動かす/move」とは、カウンターを現在ある場所から取り除き、他のオブジェクトの上に置くことを言う。それらの処理のどちらかが不可能な場合、カウンターを動かすことも不可能であり、カウンターが取り除かれることも置かれることもない。これは、元置かれていたオブジェクトと動かす先のオブジェクトが同一である場合や、動かす元のオブジェクトに該当するカウンターがない場合、あるいは動かす先のオブジェクトにカウンターを置くことができなかったり既に本来の領域になかったりする場合に起こりうる。
122.6. オブジェクトの上にカウンターが置かれることを参照する呪文や能力は、そのオブジェクトが戦場に出ている間にカウンターが置かれることと、そのオブジェクトが戦場に出るに際してカウンターが置かれることの両方を参照する。
122.6a オブジェクトがカウンターを置いた状態で戦場に出ることによってカウンターを得る場合、そのオブジェクトにカウンターを置く効果にはどのプレイヤーがそれらのカウンターを置くかが書かれている場合がある。書かれていなかった場合、そのオブジェクトのコントローラーがそれらのカウンターを置く。
122.7. 「N個目の[種類]カウンター/the Nth [kind] counter」がオブジェクトに置かれたとき(たび)に誘発する能力は、その種類のカウンターが1個以上そのオブジェクトに置かれることによって、それ以前にはN個のその種類のカウンターが置かれておらず、それ以降にはN個以上のその種類のカウンターが置かれているようになったときに誘発する。
122.8. 誘発型能力に、あるオブジェクトのすべてのカウンターを他のオブジェクトに置くと書かれていてその能力の誘発条件や効果がそのカウンターが置かれていたオブジェクトが戦場を離れることを見るものであった場合、プレイヤーはカウンターをオブジェクト間で動かすわけではなく、1つ目のオブジェクトの上にあったカウンターと同種同数のカウンターを2つ目のオブジェクトの上に置く。
200.1. カードの部分には、名前、マナ・コスト、絵、色指標、タイプ行、エキスパンション・シンボル、文章欄、パワーとタフネス、忠誠度、手札補正子、ライフ補正子、絵の著作権表記、権利表記、コレクター番号がある。カードによっては、これらの部分の一部または全部が複数存在することもある。
200.2. カードの部分の一部は、そのオブジェクトの特性でもある。rule 109.3 参照。
200.3. カードでないオブジェクト(トークン、カードのコピー、呪文のコピー)もカードの一部分を持つが、それは特性でもあるものに限られる。rule 111、rule 706 参照。
201.2. カードの名前は、何語版であるかにかかわらず、常にその英語名であるとして扱う。
201.2a 2つ以上のオブジェクトが1つ以上の共通する名前を持っている場合、それらのうち1つ以上が別の名前を持っていたとしても、それらは同じ名前を持つ、名前を持たないオブジェクトは、名前を持たないそれ以外のオブジェクトも含む、どのオブジェクトとも同じ名前を持つことはない。
201.2b 呪文や能力の中に、名前の異なる複数のオブジェクトに言及するものがある。それらのオブジェクトは、そのそれぞれが1つ以上の名前を持ち、グループ内のどの2つのオブジェクトも共通の名前を持たない場合にのみ、それらは名前の異なるオブジェクトである。
例:プレイヤーが「あなたのアップキープの開始時に、あなたが異なる名前を持つ4体以上のデーモンをコントロールしている場合、あなたはこのゲームに勝利する。」という能力を持つ《リリアナの契約》と、名前が異なるデーモン3体と裏向きで名前を持たないクリーチャー1体をコントロールしている。そのクリーチャー4体の中に名前を持たないもの1体が含まれているので、これらのクリーチャー4体は異なる名前を持つ4体以上のデーモンではなく、《リリアナの契約》の能力は誘発しない。
201.2c 呪文や能力の中に、あるオブジェクトが他のオブジェクトやオブジェクト群と異なる名前を持つかどうかを見るものがある。1つ目のオブジェクトが1つ以上の名前を持ち、他のオブジェクトのどれとも共通する名前を持っていない場合、他のオブジェクトの中に名前を持たないものがあったとしても、その1つ目のオブジェクトは他のオブジェクト(群)と異なる名前を持つ。1つ目のオブジェクトが名前を持たない場合、他のオブジェクトがそれぞれ名前を持っていたとしても、それは他のオブジェクトと異なる名前を持つとは言わない。
201.3. 効果によってプレイヤーが名前1つを選ぶ場合、そのプレイヤーはオラクルに存在するカードの名前を選ばなければならない(rule 108.1 参照)。プレイヤーは、カードの名前でないトークンの名前を指定することはできない。
201.3a プレイヤーが特定の特性を持つ名前1つを選ぶよう指示された場合、そのプレイヤーはオラクルのテキストがそれらの特性と一致するカードの名前を選ばなければならない(rule 108.1 参照)。
例:《没収》には「アーティファクトの名前1つを選ぶ」とある。プレイヤーは、そのゲームのフォーマットで適正かどうかにかかわらず、どのアーティファクト・カードの名前を選んでもよい。戦場に出ている《島》が何らかの効果によりアーティファクトになっていたとしても、島を選ぶことはできない。
201.3b 分割カードを選びたい場合、両方ではなく、そのどちらか半分の名前を指定しなければならない(rule 708 参照)。特定の特性の名前を選ぶように指示された場合、その名前を選べるかどうか判断するにあたってはその半分の特性を用いる。
201.3c 反転カードの反転状態での名前を選びたい場合、そうしてもよい(rule 709 参照)。特定の特性の名前を選ぶように指示された場合、その名前を選べるかどうか判断するにあたっては反転した特性によって修整されたそのカードの特性を用いる。
201.3c 両面カードの第2面の名前を選びたい場合、そうしてもよい(rule 711 参照)。特定の特性の名前を選ぶように指示された場合、その名前を選べるかどうか判断するにあたっては第2面の特性だけを用いる。
201.3e 合体カードの合体後の第2面の名前を選びたい場合、そうしてもよい(rule 712 参照)。特定の特性の名前を選ぶように指示された場合、その名前を選べるかどうか判断するにあたっては合体した第2面の特性だけを用いる。
201.3f プレイヤーが当事者カードの代替の名前を選びたい場合、そうしてもよい(rule 715 参照)。特定の特性の名前を選ぶように指示された場合、その名前を選べるかどうか判断するにあたっては代替の特性によって修整されたそのカードの特性を用いる。
201.4. 文章中で名前を用いてそのオブジェクトが参照されていた場合、それはその特定のオブジェクトだけを指す。たとえ名前が何らかの効果によって変更されていてもそうであるし、同名の他のオブジェクトは示さない。
201.4a 能力の効果が他の能力をオブジェクトに得させ、またその得た能力が元の能力の発生源を名前で参照していた場合、その名前で示されるのはその能力を得させた能力を持つオブジェクト自身だけである。その2つ目の能力が1つ目の能力の発生源以外で同じ名前を持つオブジェクトを指すことはない。ただし、この2つ目の能力が1つ目の能力の発生源を異なる公開領域に移動させた場合、その名前はその発生源が新しい領域でなったオブジェクトだけを指す。この規定は2つめの能力が新しいオブジェクトにコピーされた場合にも適用される。
例:《排水路の汚濁》は「あなたがコントロールしているトークンでないクリーチャーが1体死亡するたび、排水路の汚濁の上にスライム・カウンターを1個置き、その後、『このクリーチャーのパワーとタフネスは、それぞれ排水路の汚濁の上に置かれているスライム・カウンターの数に等しい』を持つ緑のウーズ・クリーチャー・トークンを1体生成する」という能力を持つ。この、トークンが得た能力は、そのトークンを生成した《排水路の汚濁》自身のことだけを参照し、他の《排水路の汚濁》のことは参照しない。また、このトークンのコピーの持つ能力も、その元のトークンを生成した《排水路の汚濁》だけを参照する。
201.4b そのオブジェクト自身を名前で参照している能力を名前の異なるオブジェクトが得た場合、得られた能力に含まれる、前者のカードを参照するために用いられている前者の名前はすべて後者の名前であるとして扱われる。
例:《水銀の精霊》は、「{U}:クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、水銀の精霊はそれのすべての起動型能力を得る。」という能力を持つ。この能力によって「{G}:棍棒のトロールを再生する」という(訳注:《棍棒のトロール》の持つ)能力を得た場合、その得た能力を起動して《水銀の精霊》を再生することができる。その能力を元々持っていた《棍棒のトロール》を再生するわけではない。
例:連繋(秘儀)を持ち、「クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。氷河の光線はそれに2点のダメージを与える」というインスタント《氷河の光線》を、《木霊の手の内》に連繋した場合、その対象となったものにダメージを与えるのはその《木霊の手の内》である。
例:《ディミーアのドッペルゲンガー》は、「{1}{U}{B}:墓地にあるクリーチャー・カード1枚を対象とし、それを追放する。ディミーアのドッペルゲンガーはそのカードのコピーとなり、この能力を得る。」《ディミーアのドッペルゲンガー》の能力を、《ルーン爪の熊》を対象に起動した場合、《ディミーアのドッペルゲンガー》は《ルーン爪の熊》のコピーになり、この能力を得る。この得られる能力は、「{1}{U}{B}:墓地にあるクリーチャー・カード1枚を対象とし、それを追放する。ルーン爪の熊はそのカードのコピーとなり、この能力を得る。」として扱われる。
201.4c 伝説の カードの中には、そのカードの名前を省略して記述しているものがある。このようにして用いられている省略形は、そのカードの名前がすべて書かれているものとして扱う。
201.5. 『イコリア:巨獣の棲処』のカードその他のプロモカードの中には、バージョンによって、左上にその本来の名前と異なる名前が書かれており、通常の名前はその下の2行目に書かれているものがある。これらのカードは、通常は名前が書かれているところに印刷されている名前ではなく、その2行目に書かれている名前だけを持つ。その名前はフレイバー・テキストとして扱われ、ゲームプレイ上の効果は持たない。
202.1. カードのマナ・コストはカードの上辺に記されているマナ・シンボルで示される(rule 107.4 参照)。ほとんどのカードでは、このシンボルは右上隅にある。未来予知セットの一部のカードで、マナ・シンボルの記されている位置がイラストの左側になっている。
202.1a オブジェクトのマナ・コストは、そのカードを唱えるためにそのプレイヤーのマナ・プールから消費しなければならないマナを表す。そのオブジェクトのマナ・コストにファイレクシア・マナ・シンボル(rule 107.4f 参照)が含まれない限り、オブジェクトのマナ・コストを支払う際には、有色 無色のマナ・シンボル全てのタイプや、不特定マナ・コストが正しくなければならない。
202.1b マナ・コストを持たないオブジェクトが存在する。これには、すべての土地・カードと、マナ・コストがあるべきところにマナ・シンボルが記されていないカード、トークン(トークンを生成した効果に特に書かれていない限り)、定形外のマジックのカードがある。マナ・コストがないということは、支払うことのできないコストを意味する(rule 118.6 参照)。土地は、コストを支払うことなくプレイされる(rule 305〔土地〕参照)。
202.2. オブジェクトの色は、マナ・コストに含まれるマナ・シンボルの色である。カードの背景色や枠の色は関係しない。
202.2a マジックで色とは、白、青、黒、赤、緑である。白のマナは{W}、青は{U}、黒は{B}、赤は{R}、緑は{G}で表わされる。
例:マナ・コスト{2}{W}のオブジェクトは白であり、マナ・コストが{2}のオブジェクトは無色であり、マナ・コストが{2}{W}{B}のオブジェクトは白でも黒でもある。
202.2b コストの中に色のついたマナ・シンボルを含まないオブジェクトは無色である。
202.2c マナ・コストの中に、5種類の色のうちで2種類以上の色のマナが含まれているオブジェクトは、そのそれぞれのマナ・シンボルの色を持つ。多色のカードのほとんどは金色の背景で印刷されているが、背景が金色でなくても多色であることがありうる。
202.2d マナ・コストに混成マナ・シンボルやファイレクシア・マナ・シンボルを含むオブジェクトは、そのオブジェクトの他の色に加えて、そのマナ・シンボルのそれぞれの色でもある(混成マナ・シンボルを持つほとんどのカードは2色に塗りわけられた枠を持つ。rule 107.4e 参照)。
202.2e オブジェクトは、タイプ行の左に印刷された色指標を持つことがある。そのオブジェクトはその色指標で示されているそれぞれの色である。(rule 204 参照)。
202.2f 効果によってオブジェクトの色が変わったり、無色のオブジェクトが色を得たり、色を持つオブジェクトが無色になったりすることがある。rule 105.3 参照。
202.3. オブジェクトの、点数で見たマナ・コストは、マナ・コストに含まれるマナの量を色を気にせずに数えたものである。
例:マナ・コスト{3}{U}{U}は、点数で見たマナ・コストに換算すると5になる。
202.3a そのオブジェクトが変身する両面パーマネントの第2面や合体 パーマネントでないかぎり、マナ・コストを持たないオブジェクトの点数で見たマナ・コストは0である。
202.3b 変身する両面パーマネントの第2面の点数で見たマナ・コストは、それが第1面のマナ・コストを持つかのように計算する。パーマネントが変身する両面カードの第2面をコピーしていた場合(そのコピーしたカードがもともと両面カードだったとしても)、そのパーマネントの点数で見たマナ・コストは0である。
例:《高原の狩りの達人》はマナ・コストが{2}{R}{G}の変身する両面カードであり、点数で見たマナ・コストは4である。これが変身して第2面(《高原の荒廃者》)になった後も、点数で見たマナ・コストは4である。
例:《高原の荒廃者》のコピーとして戦場に出た《クローン》の点数で見たマナ・コストは0である。
例:《昆虫の逸脱者》は第1面のマナ・コストが{U}の変身する両面カードの第2面である。これが《高原の荒廃者》のコピーになった場合、その点数で見たマナ・コストは0になる。
202.3c 合体 パーマネントの点数で見たマナ・コストは、それがそれを表す各カードの第1面を合計したマナ・コストを持つかのように計算する。パーマネントが合体 パーマネントをコピーしていた場合(そのコピーが別の2枚の合体カードで表されていたとしても)、そのパーマネントの点数で見たマナ・コストは0である。
202.3d スタックにない分割カードや、スタック上で融合状態にある分割呪文の点数で見たマナ・コストは、それぞれの半分のマナ・コストの合計から決定される。そうでなければ、分割カードがスタック上にある場合、その呪文の点数で見たマナ・コストは唱えるように選ばれた側の半分のマナ・コストから決定される。rule 708〔分割カード〕参照。
202.3e マナ・コストに{X}を含むオブジェクトの点数で見たマナ・コストを計算する場合、そのオブジェクトがスタックにない限りXは0として扱う。オブジェクトがスタックにある間、Xはその選ばれた値を持つ。
202.3f 混成マナ・シンボルをマナ・コストに含むオブジェクトの点数で見たマナ・コストを計算する場合、各混成マナ・シンボルのもっとも大きい値を取る。
例:マナ・コストが{1}{W/U}{W/U}であるカードの点数で見たマナ・コストは3である。
例:マナ・コストが{2/B}{2/B}{2/B}であるカードの点数で見たマナ・コストは6である。
202.3g ファイレクシア・マナ・シンボルをマナ・コストに含むカードの点数で見たマナ・コストを計算する場合、各ファイレクシア・マナ・シンボルは1点として扱う。
例:マナ・コストが{1}{W/P}{W/P}であるカードの点数で見たマナ・コストは3である。
202.4. オブジェクトのルール文章に記されている追加コストや、他の効果によって追加されているコストは、マナ・コストの一部ではない(rule 601〔呪文を唱えること〕参照)。それらのコストは、その呪文の持つ他のコストと同時に支払われる。
203.1. カードの上半分に記されているものが絵であり、ルール上は特に意味はない。例えば、絵で空を飛んでいるように見えたとしても、ルール文章に飛行を持つと書かれていなければ、そのクリーチャーは飛行を持たない。
204.1. 色指標は、タイプ行の左、絵のすぐ下に印刷されている、一色またはそれ以上の色で塗られた丸印である。色指標は、マナ・コストを持たない土地でないカードに記されていることが多い。
204.2. 色指標を持つオブジェクトは、その色指標で表される各色である。
205.1. タイプ行は、絵のすぐ下に印刷されており、カード・タイプ(あるならばサブタイプ、特殊タイプも)が記されている。
205.1a 効果によってオブジェクトのカード・タイプが定められることがある。その場合、新しいカード・タイプが以前のカード・タイプを置き換える。カウンターや効果、負っているダメージは、新しいカード・タイプでは意味がなくなるとしても、そのオブジェクトに残る。同様に、効果によってあるオブジェクトのサブタイプが定められた場合、新しいサブタイプは以前の同種のサブタイプ(クリーチャー・タイプ、土地タイプ、アーティファクト・タイプ、エンチャント・タイプ、プレインズウォーカー・タイプ、呪文タイプ)を置き換える。オブジェクトのあるカード・タイプが失われた場合、そのカード・タイプ以外にそのサブタイプを用いるカード・タイプを持っていない場合、そのカード・タイプを失っている間、それにともなうサブタイプは失われる。逆にサブタイプを失わせても、カード・タイプには何の影響もない。
205.1b オブジェクトのカード・タイプやサブタイプ、特殊タイプを変更する効果の中には、元のカード・タイプやサブタイプ、特殊タイプが残ると明記されているものがある。この場合、そのオブジェクトの、以前のカード・タイプやサブタイプ、特殊タイプは全て残る。このルールは、「タイプに加え/in addition to its types」や「[タイプ、サブタイプ、特殊タイプ]でもある/still a [type, subtype, or supertype]」という表記に適用される。また、「アーティファクト・クリーチャー/artifact creature」になる、と書かれた効果があるが、これも同様に以前のカード・タイプおよびサブタイプを全て残す効果である。オブジェクトが「[クリーチャー・タイプ]・アーティファクト・クリーチャーになる/becomes a [creature type or types] artifact creature」と書かれた効果があるが、これらも以前のカード・タイプおよびクリーチャー・タイプ以外のサブタイプを全て残す効果である。既存のクリーチャー・タイプは置き換えられる。
例:「全ての土地は1/1のクリーチャーである。それらは土地でもある。」という能力によって、土地は、クリーチャーでもあり土地でもあることになる。もし影響を受ける土地の中にアーティファクトでもあるものがあったなら、それは「アーティファクト・土地・クリーチャー」になる。「クリーチャー」や「土地・クリーチャー」になるわけではない。この効果は、アーティファクトと土地という両方のカード・タイプを保持する。また、この効果によって、それまでに持っていた土地タイプや特殊タイプが失われることもない。
例:「全てのアーティファクトは1/1のアーティファクト・クリーチャーである」という能力によって、アーティファクトでもエンチャントでもあるパーマネントは、アーティファクト・クリーチャー・エンチャントになる。
205.2a カード・タイプには、「アーティファクト/Artifact」「策略/Conspiracy」「クリーチャー/Creature」「エンチャント/Enchantment」「インスタント/Instant」「土地/Land」「現象/Phenomenon」「次元/Plane」「プレインズウォーカー/Planeswalker」「計略/Scheme」「ソーサリー/Sorcery」「部族/Tribal」「ヴァンガード/Vanguard」がある。rule 3〔カード・タイプ〕参照。
205.2b オブジェクトの中には、複数のカード・タイプを持つものもある(例えば、アーティファクト・クリーチャー)。この類のオブジェクトには、そのいずれかのカード・タイプに適用される効果は全て適用される。
205.3a カードは、タイプ行に書かれているサブタイプを持つ。
205.3b 次元以外のカード・タイプのサブタイプは常に一単語であり、長い横線の後に列記されているそれぞれの単語が別々のサブタイプである。その種のオブジェクトは複数のサブタイプを持ちうる。次元のサブタイプは長い横線の後に記されているが、複数の単語からなることもあり、長いダッシュの後に記されている単語すべてで1つのサブタイプである。
例:「基本 土地 ─ 山」とは、そのカードが土地で、サブタイプとして山を持つことを意味している。「クリーチャー ─ ゴブリン・ウィザード」とは、そのカードがクリーチャーで、ゴブリンとウィザードというサブタイプを持つことを意味している。「アーティファクト ─ 装備品」とは、そのカードがアーティファクトで、装備品というサブタイプを持つことを意味している。
205.3c 複数のタイプを持つカードが複数のサブタイプを持つ場合、それぞれのサブタイプは該当するタイプにおけるサブタイプとして扱う。
例:《ドライアドの東屋》のタイプ行には「土地・クリーチャー ─ 森・ドライアド」と記されている。森は土地タイプであり、ドライアドはクリーチャー・タイプである。
205.3d オブジェクトは、その持つタイプに対応しないサブタイプを得ることはできない。
205.3e 効果によってプレイヤーがサブタイプを選ぶ場合、必ず、その該当するサブタイプとして存在するものの中から1つだけ選ばなければならない。例えば、クリーチャー・タイプを選ぶときに土地タイプを選ぶことはできない。
例:クリーチャー・タイプを選ぶ場合、「マーフォーク」や「ウィザード」は適正である。しかし「マーフォーク・ウィザード」は不正である。「アーティファクト」「対戦相手」「沼」「トラック」などはクリーチャー・タイプではないので不正である。
205.3f 記載されているサブタイプが変更されているカードが多数存在する。多くのカードは後にサブタイプを得ている。カードのサブタイプは、オラクルを参照して決定される(rule 108.1 参照)。
205.3g アーティファクトにはそれ専用のサブタイプ群が存在する。それらのサブタイプはアーティファクト・タイプと呼ばれる。アーティファクト・タイプには、「手掛かり/Clue」「からくり/Contraption」「装備品/Equipment」(rule 301.5 参照)「食物/Food」「城砦/Fortification」(rule 301.6 参照)「金/Gold」「宝物/Treasure」「機体/Vehicle」(rule 301.7 参照)がある。
205.3h エンチャントにはそれ専用のサブタイプ群が存在する。それらのサブタイプはエンチャント・タイプと呼ばれる。エンチャント・タイプには、「オーラ/Aura」(rule 303.4 参照)「カルトーシュ/Cartouche」「呪い/Curse」「ルーン/Rune」「英雄譚/Saga」(rule 714 参照)「破片/Shard」「祭殿/Shrine」がある。
205.3i 土地にはそれ専用のサブタイプ群が存在する。それらのサブタイプは土地タイプと呼ばれる。土地タイプには、「砂漠/Desert」「森/Forest」「門/Gate」「島/Island」「棲み家/Lair」「神座/Locus」「鉱山/Mine」「山/Mountain」「平地/Plains」「魔力炉/Power-Plant」「沼/Swamp」「塔/Tower」「ウルザの/Urza's」がある。このうち、「森」「島」「山」「平地」「沼」は基本土地タイプである。rule 305.6 参照。
205.3j プレインズウォーカーにはそれ専用のサブタイプ群が存在する。それらのサブタイプはプレインズウォーカー・タイプと呼ばれる。プレインズウォーカー・タイプには、「アジャニ/Ajani」「アミナトゥ/Aminatou」「アングラス/Angrath」「アーリン/Arlinn」「アショク/Ashiok」「バスリ/Basri」「ボーラス/Bolas」「ケイリクス/Calix」「チャンドラ/Chandra」「ダク/Dack」「ダレッティ/Daretti」「ダブリエル/Davriel」「ドムリ/Domri」「ドビン/Dovin」「エルズペス/Elspeth」「エストリッド/Estrid」「フレイアリーズ/Freyalise」「ガラク/Garruk」「ギデオン/Gideon」「ファートリ/Huatli」「ジェイス/Jace」「ヤヤ/Jaya」「ジェスカ/Jeska」「カーン/Karn」「カズミナ/Kasmina」「ケイヤ/Kaya」「キオーラ/Kiora」「コス/Koth」「リリアナ/Liliana」「ルーカ/Lukka」「ナヒリ/Nahiri」「ナーセット/Narset」「ニコ/Niko」「ニッサ/Nissa」「ニクシリス/Nixilis」「オーコ/Oko」「ラル/Ral」「ローアン/Rowan」「サヒーリ/Saheeli」「サムト/Samut」「サルカン/Sarkhan」「セラ/Serra」「ソリン/Sorin」「ザット/Szat」「タミヨウ/Tamiyo」「テヨ/Teyo」「テフェリー/Teferi」「テゼレット/Tezzeret」「ティボルト/Tibalt」「タイヴァー/Tyvar」「ウギン/Ugin」「ヴェンセール/Venser」「ヴラスカ/Vraska」「ビビアン/Vivien」「ウィル/Will」「ウィンドグレイス/Windgrace」「レン/Wrenn」「ゼナゴス/Xenagos」「ヤングー/Yanggu」「ヤンリン/Yanling」がある。
205.3k インスタントとソーサリーには共有のサブタイプ群が存在する。それらのサブタイプは呪文・タイプと呼ばれる。呪文・タイプには、「出来事/Adventure」「秘儀/Arcane」「罠/Trap」がある。
205.3m クリーチャーと部族には共有のサブタイプ群が存在する。それらのサブタイプはクリーチャー・タイプと呼ばれる。クリーチャー・タイプには、「アドバイザー/Advisor」「霊基体/Aetherborn」「同盟者/Ally」「天使/Angel」「アンテロープ/Antelope」「類人猿/Ape」「射手/Archer」「執政官/Archon」「軍団/Army」「工匠/Artificer」「暗殺者/Assassin」「組立作業員/Assembly-Worker」「エイトグ/Atog」「オーロクス/Aurochs」「アバター/Avatar」「アズラ/Azra」「アナグマ/Badger」「バーバリアン/Barbarian」「バジリスク/Basilisk」「コウモリ/Bat」「熊/Bear」「ビースト/Beast」「ビーブル/Beeble」「狂戦士/Berserker」「鳥/Bird」「ちらつき蛾/Blinkmoth」「猪/Boar」「運び手/Bringer」「ブラッシュワグ/Brushwagg」「カマリッド/Camarid」「ラクダ/Camel」「カリブー/Caribou」「キャリアー/Carrier」「猫/Cat」「ケンタウルス/Centaur」「セファリッド/Cephalid」「キマイラ/Chimera」「市民/Citizen」「クレリック/Cleric」「コカトリス/Cockatrice」「構築物/Construct」「臆病者/Coward」「カニ/Crab」「クロコダイル/Crocodile」「サイクロプス/Cyclops」「ダウスィー/Dauthi」「亜神/Demigod」「デーモン/Demon」「脱走者/Deserter」「デビル/Devil」「恐竜/Dinosaur」「ジン/Djinn」「犬/Dog」「ドラゴン/Dragon」「ドレイク/Drake」「ドレッドノート/Dreadnought」「ドローン/Drone」「ドルイド/Druid」「ドライアド/Dryad」「ドワーフ/Dwarf」「イフリート/Efreet」「卵/Egg」「エルダー/Elder」「エルドラージ/Eldrazi」「エレメンタル/Elemental」「象/Elephant」「エルフ/Elf」「大鹿/Elk」「眼/Eye」「フェアリー/Faerie」「イタチ/Ferret」「魚/Fish」「旗手/Flagbearer」「狐/Fox」「カエル/Frog」「ファンガス/Fungus」「ガーゴイル/Gargoyle」「細菌/Germ」「巨人/Giant」「ノーム/Gnome」「ヤギ/Goat」「ゴブリン/Goblin」「神/God」「ゴーレム/Golem」「ゴルゴン/Gorgon」「墓生まれ/Graveborn」「グレムリン/Gremlin」「グリフィン/Griffin」「ハッグ/Hag」「ハーピー/Harpy」「ヘリオン/Hellion」「カバ/Hippo」「ヒポグリフ/Hippogriff」「ホマリッド/Homarid」「ホムンクルス/Homunculus」「ホラー/Horror」「馬/Horse」「人間/Human」「ハイドラ/Hydra」「ハイエナ/Hyena」「イリュージョン/Illusion」「インプ/Imp」「インカーネーション/Incarnation」「昆虫/Insect」「ジャッカル/Jackal」「クラゲ/Jellyfish」「巨大戦車/Juggernaut」「カヴー/Kavu」「麒麟/Kirin」「キスキン/Kithkin」「騎士/Knight」「コボルド/Kobold」「コー/Kor」「クラーケン/Kraken」「ラミア/Lamia」「ラマスー/Lammasu」「ヒル/Leech」「リバイアサン/Leviathan」「ルアゴイフ/Lhurgoyf」「リシド/Licid」「トカゲ/Lizard」「マンティコア/Manticore」「マスティコア/Masticore」「傭兵/Mercenary」「マーフォーク/Merfolk」「メタスラン/Metathran」「ミニオン/Minion」「ミノタウルス/Minotaur」「モグラ/Mole」「モンガー/Monger」「マングース/Mongoose」「モンク/Monk」「猿/Monkey」「ムーンフォーク/Moonfolk」「ハツカネズミ/Mouse」「ミュータント/Mutant」「マイア/Myr」「神秘家/Mystic」「ナーガ/Naga」「オウムガイ/Nautilus」「ネフィリム/Nephilim」「ナイトメア/Nightmare」「夜魔/Nightstalker」「忍者/Ninja」「貴族/Noble」「ノッグル/Noggle」「ノーマッド/Nomad」「ニンフ/Nymph」「タコ/Octopus」「オーガ/Ogre」「ウーズ/Ooze」「オーブ/Orb」「オーク/Orc」「オーグ/Orgg」「カワウソ/Otter」「アウフ/Ouphe」「雄牛/Ox」「カキ/Oyster」「センザンコウ/Pangolin」「農民/Peasant」「ペガサス/Pegasus」「ペンタバイト/Pentavite」「邪魔者/Pest」「フェルダグリフ/Phelddagrif」「フェニックス/Phoenix」「ファイレクシアン/Phyrexian」「操縦士/Pilot」「ピンチャー/Pincher」「海賊/Pirate」「植物/Plant」「法務官/Praetor」「プリズム/Prism」「昇華者/Processor」「兎/Rabbit」「ネズミ/Rat」「レベル/Rebel」「反射/Reflection」「サイ/Rhino」「装具工/Rigger」「ならず者/Rogue」「黒貂/Sable」「サラマンダー/Salamander」「侍/Samurai」「砂漠の民/Sand」「苗木/Saproling」「サテュロス/Satyr」「カカシ/Scarecrow」「末裔/Scion」「蠍/Scorpion」「スカウト/Scout」「彫像/Sculpture」「農奴/Serf」「海蛇/Serpent」「霊気装置/Servo」「シェイド/Shade」「シャーマン/Shaman」「多相の戦士/Shapeshifter」「サメ/Shark」「羊/Sheep」「セイレーン/Siren」「スケルトン/Skeleton」「スリス/Slith」「スリヴァー/Sliver」「ナメクジ/Slug」「蛇/Snake」「兵士/Soldier」「サルタリー/Soltari」「落とし子/Spawn」「スペクター/Specter」「スペルシェイパー/Spellshaper」「スフィンクス/Sphinx」「蜘蛛/Spider」「スパイク/Spike」「スピリット/Spirit」「裂片/Splinter」「スポンジ/Sponge」「イカ/Squid」「リス/Squirrel」「ヒトデ/Starfish」「サラカー/Surrakar」「生存者/Survivor」「触手/Tentacle」「テトラバイト/Tetravite」「サラカス/Thalakos」「飛行機械/Thopter」「スラル/Thrull」「ツリーフォーク/Treefolk」「三葉虫/Trilobite」「トリスケラバイト/Triskelavite」「トロール/Troll」「海亀/Turtle」「ユニコーン/Unicorn」「吸血鬼/Vampire」「ヴィダルケン/Vedalken」「ヴィーアシーノ/Viashino」「ボルバー/Volver」「壁/Wall」「邪術師/Warlock」「戦士/Warrior」「奇魔/Weird」「狼男/Werewolf」「鯨/Whale」「ウィザード/Wizard」「狼/Wolf」「クズリ/Wolverine」「ウォンバット/Wombat」「蟲/Worm」「レイス/Wraith」「ワーム/Wurm」「イエティ/Yeti」「ゾンビ/Zombie」「ずべら/Zubera」がある。
205.3n 次元にはそれ専用のサブタイプ群が存在する。それらのサブタイプは次元・タイプと呼ばれる。次元・タイプには、「アラーラ/Alara」「アーコス/Arkhos」「アズゴル/Azgol」「ベレノン/Belenon」「ボーラスの瞑想領土/Bolas's Meditation Realm」「ドミナリア/Dominaria」「エクィロー/Equilor」「エルガモン/Ergamon」「ファバシン/Fabacin」「イニストラード/Innistrad」「イクァターナ/Iquatana」「アー/Ir」「カルドハイム/Kaldheim」「神河/Kamigawa」「カーサス/Karsus」「ケファライ/Kephalai」「キンシャラ/Kinshala」「コルバーン/Kolbahan」「キネス/Kyneth」「ローウィン/Lorwyn」「ルヴィオン/Luvion」「メルカディア/Mercadia」「ミラディン/Mirrodin」「モアグ/Moag」「モンセン/Mongseng」「ムラガンダ/Muraganda」「新ファイレクシア/New Phyrexia」「ファイレクシア/Phyrexia」「パイルリー/Pyrulea」「ラバイア/Rabiah」「ラース/Rath」「ラヴニカ/Ravnica」「レガーサ/Regatha」「セゴビア/Segovia」「セラの領土/Serra's Realm」「シャドウムーア/Shadowmoor」「シャンダラー/Shandalar」「ウルグローサ/Ulgrotha」「ヴァラ/Valla」「ヴリン/Vryn」「ワイルドファイア/Wildfire」「ゼレックス/Xerex」「ゼンディカー/Zendikar」がある。
205.4a オブジェクトは、特殊タイプを持つことがある。カードの特殊タイプはカード・タイプの直前に書かれる。特殊タイプには、「基本/Basic」「伝説の/Legendary」「持続/Ongoing」「氷雪/Snow」「ワールド/World」がある。
205.4b 特殊タイプの中には特定のカード・タイプに強く関連づけられているものもあるが、オブジェクトの特殊タイプはそのカード・タイプやサブタイプとは独立している。オブジェクトのカード・タイプまたはサブタイプが変更になった場合、特殊タイプはそのまま維持される。オブジェクトが特殊タイプを得たり失ったりした場合、すでに持っている特殊タイプはそのまま残る。
例:「すべての土地は1/1のクリーチャーである。それらは土地でもある。」という能力があった場合、影響を受けた土地が伝説の 土地であれば、そのまま伝説の パーマネントのままである。
205.4c 「基本/basic」という特殊タイプを持った土地は基本 土地である。この特殊タイプを持たない土地は基本でない土地である。
第8版以前に作られたカードは「基本」という語で基本 土地を表示していない。それらの古いカードにおいては、名前が《森》《島》《山》《平地》《沼》《冠雪の森》《冠雪の島》《冠雪の山》《冠雪の平地》《冠雪の沼》の10種類のいずれかであるものを基本 土地とする。
205.4d 「伝説の/legendary」という特殊タイプを持つパーマネントは、「レジェンド・ルール」と呼ばれる、伝説の パーマネントに関する状況起因処理に従う。rule 704.5k 参照。
205.4e 「伝説の/legendary」という特殊タイプを持つインスタントやソーサリーである呪文は、唱える上で制約を受ける。プレイヤーは、伝説の クリーチャーか伝説の プレインズウォーカーをコントロールしていないかぎり、伝説の インスタントやソーサリーである呪文を唱えられない。
205.4f 「ワールド/world」という特殊タイプを持つパーマネントは、「ワールド・ルール」と呼ばれる、ワールド・パーマネントに関する状況起因処理に従う。rule 704.5k 参照。
205.4g 「氷雪/snow」という特殊タイプを持つパーマネントは、氷雪 パーマネントである。この特殊タイプを持たないパーマネントは、その名前によらず、氷雪でないパーマネントである。
205.4h 「持続/Ongoing」という特殊タイプを持つ計略・カードは、計略の状況起因処理の例外である(rule 704.6e 参照)。
206.1. エキスパンション・シンボルは、そのカードがマジックのどのセットのものかを示すものであり、通常は絵の右下に記されている。これはゲームには影響しない。
206.2. エキスパンション・シンボルの色はそのカードのそのセットにおける希少度を示すものである。赤橙色は神話レア、金色はレア、銀色はアンコモン、黒または白がコモンか基本 土地である。紫は特殊な希少度を表すために用いられる。現時点で存在するのは、『時のらせん』カード・セットの、レアよりも希少度の高いタイムシフト・カードだけである。(エクソダスよりも古いセットでは、希少度に関らず、全てのシンボルは黒で書かれていた。また、第5版までの基本セットのカードには、エキスパンション・シンボルはついていなかった。簡体中国語版の第5版には"V"のエキスパンション・シンボルが存在した)
206.3. かつては、ある特定のセットからのカードに影響する呪文や能力は、そのセットのエキスパンション・シンボルだけをチェックしていた。それらのカードはオラクルで訂正され、あるセットで「その名前で初めて印刷された」カードに影響を及ぼすようになった。
206.3a その名前で初めて印刷されたのが『Arabian Nights』拡張セットにおいてであるパーマネントやカードを参照するカード(《City in a Bottle》)が存在する。該当する名前は、《アブー・ジャーファル/Abu Ja'far》《アラジン/Aladdin》《アラジンのランプ/Aladdin's Lamp》《アラジンの指輪/Aladdin's Ring》《アリ・ババ/Ali Baba》《Ali from Cairo》《Army of Allah》《Bazaar of Baghdad》《鳥の乙女/Bird Maiden》《スレイマンの壺/Bottle of Suleiman》《真鍮人間/Brass Man》《Camel》《City in a Bottle》《真鍮の都/City of Brass》《クォムバッジの魔女/Cuombajj Witches》《サイクロン/Cyclone》《踊る円月刀/Dancing Scimitar》《ダンダーン/Dandan》《砂漠/Desert》《Desert Nomads》《砂漠の竜巻/Desert Twister》《Diamond Valley》《Drop of Honey》《黒檀の馬/Ebony Horse》《Elephant Graveyard》《エル・ハジャジ/El-Hajjaj》《アーグの盗賊団/Erg Raiders》《アーナム・ジン/Erhnam Djinn》《目には目を/Eye for an Eye》《魚の肝の油/Fishliver Oil》《空飛ぶ絨毯/Flying Carpet》《空飛ぶ男/Flying Men》《ガズバンのオーガ/Ghazban Ogre》《象亀/Giant Tortoise》《Guardian Beast》《ハスランの女オーガ/Hasran Ogress》《ハール・ジャッカル/Hurr Jackal》《Ifh-Biff Efreet》《島魚ジャスコニアス/Island Fish Jasconius》《Island of Wak-Wak》《Jandor's Ring》《ジャンドールの鞍袋/Jandor's Saddlebags》《宝石の鳥/Jeweled Bird》《Jihad》《ジュナン・イフリート/Junun Efreet》《Juzam Djinn》《Khabal Ghoul》《King Suleiman》《密林の猿人/Kird Ape》《Library of Alexandria》《磁力の山/Magnetic Mountain》《Merchant Ship》《メタモルフォーゼ/Metamorphosis》《Mijae Djinn》《ムーア人の騎兵/Moorish Cavalry》《ナフス・アスプ/Nafs Asp》《オアシス/Oasis》《Old Man of the Sea》《Oubliette》《篤信/Piety》《Pyramids》《悔悟せる鍛冶屋/Repentant Blacksmith》《Ring of Ma'ruf》《ルフ鳥の卵/Rukh Egg》《Sandals of Abdallah》《砂嵐/Sandstorm》《Serendib Djinn》《Serendib Efreet》《Shahrazad》《シンドバッド/Sindbad》《Singing Tree》《魔術師の女王/Sorceress Queen》《Stone-Throwing Devils》《不安定性突然変異/Unstable Mutation》《ウォー・エレファント/War Elephant》《ワイルーリーの狼/Wyluli Wolf》《Ydwen Efreet》である。
206.3b その名前で初めて印刷されたのが『Antiquities』拡張セットにおいてであるパーマネントやカードを参照するカード(《Golgothian Sylex》)が存在する。該当する名前は、《クルーグの護符/Amulet of Kroog》《Argivian Archaeologist》《Argivian Blacksmith》《アルゴスのピクシー/Argothian Pixies》《Argothian Treefolk》《終末の時計/Armageddon Clock》《Artifact Blast》《Artifact Possession》《Artifact Ward》《アシュノッドの供犠台/Ashnod's Altar》《アシュノッドの戦具/Ashnod's Battle Gear》《アシュノッドの人体改造器/Ashnod's Transmogrant》《エイトグ/Atog》《破城槌/Battering Ram》《青銅のタブレット/Bronze Tablet》《Candelabra of Tawnos》《秘宝の防御円/Circle of Protection: Artifacts》《Citanul Druid》《粘土像/Clay Statue》《機械仕掛けの鳥/Clockwork Avian》《サルディアの巨像/Colossus of Sardia》《珊瑚の兜/Coral Helm》《崩壊/Crumble》《呪われた拷問台/Cursed Rack》《Damping Field》《爆破/Detonate》《Drafna's Restoration》《ドラゴン・エンジン/Dragon Engine》《Dwarven Weaponsmith》《魔力流出/Energy Flux》《フェルドンの杖/Feldon's Cane》《Gaea's Avenger》《Gate to Phyrexia》《ゴブリン職工団/Goblin Artisans》《Golgothian Sylex》《ぶどう弾カタパルト/Grapeshot Catapult》《Haunting Wind》《ハーキルの召還術/Hurkyl's Recall》《象牙の塔/Ivory Tower》《ジェイラム秘本/Jalum Tome》《Martyrs of Korlis》《Mightstone》《石臼/Millstone》《ミシュラの工廠/Mishra's Factory》《ミシュラの戦争機械/Mishra's War Machine》《Mishra's Workshop》《再帰のオベリスク/Obelisk of Undoing》《オニュレット/Onulet》《Orcish Mechanics》《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》《Phyrexian Gremlins》《Power Artifact》《Powerleech》《Priest of Yawgmoth》《原初の土/Primal Clay》《拷問台/The Rack》《ラカライト/Rakalite》《Reconstruction》《Reverse Polarity》《Rocket Launcher》《ラト=ナムの賢人/Sage of Lat-Nam》《多相の戦士/Shapeshifter》《粉砕の嵐/Shatterstorm》《Staff of Zegon》《露天鉱床/Strip Mine》《Su-Chi》《Tablet of Epityr》《Tawnos's Coffin》《タウノスのワンド/Tawnos's Wand》《タウノスの武具/Tawnos's Weaponry》《テトラバス/Tetravus》《ティタニアの歌/Titania's Song》《Transmute Artifact》《トリスケリオン/Triskelion》《ウルザの報復者/Urza's Avenger》《Urza's Chalice》《ウルザの鉱山/Urza's Mine》《Urza's Miter》《ウルザの魔力炉/Urza's Power Plant》《ウルザの塔/Urza's Tower》《槍の壁/Wall of Spears》《Weakstone》《異形の騒霊/Xenic Poltergeist》《ヨーグモスの悪魔/Yawgmoth Demon》《ヨーティアの兵/Yotian Soldier》である。
206.3c その名前で初めて印刷されたのが『Homelands』拡張セットにおいてであるパーマネントやカードを参照するカード(《Apocalypse Chime》)が存在する。該当する名前は、《修道院のガーゴイル/Abbey Gargoyles》《Abbey Matron》《上天の嵐/Aether Storm》《Aliban's Tower》《Ambush》《待ち伏せ部隊/Ambush Party》《Anaba Ancestor》《アナーバのボディガード/Anaba Bodyguard》《アナーバのシャーマン/Anaba Shaman》《Anaba Spirit Crafter》《アン=ハヴァの治安官/An-Havva Constable》《An-Havva Inn》《An-Havva Township》《An-Zerrin Ruins》《Apocalypse Chime》《Autumn Willow》《Aysen Abbey》《アイゼンの官吏/Aysen Bureaucrats》《Aysen Crusader》《Aysen Highway》《Baki's Curse》《Baron Sengir》《Beast Walkers》《Black Carriage》《影写し/Broken Visage》《甲殻/Carapace》《Castle Sengir》《Cemetery Gate》《Chain Stasis》《Chandler》《Clockwork Gnomes》《機械仕掛けの駿馬/Clockwork Steed》《Clockwork Swarm》《Coral Reef》《暗黒の迷路/Dark Maze》《Daughter of Autumn》《死者の代弁者/Death Speakers》《Didgeridoo》《Drudge Spell》《乾きの呪文/Dry Spell》《Dwarven Pony》《Dwarven Sea Clan》《Dwarven Trader》《Ebony Rhino》《情け知らずのエロン/Eron the Relentless》《Evaporate》《Faerie Noble》《一角獣の饗宴/Feast of the Unicorn》《フェロッズの封印/Feroz's Ban》《Folk of An-Havva》《忘却/Forget》《葬列/Funeral March》《Ghost Hounds》《Giant Albatross》《巨大カキ/Giant Oyster》《Grandmother Sengir》《大いなる人狼/Greater Werewolf》《Hazduhr the Abbot》《Headstone》《Heart Wolf》《血に飢えた霧/Hungry Mist》《Ihsan's Shade》《Irini Sengir》《鉄爪族の呪い/Ironclaw Curse》《Jinx》《Joven》《Joven's Ferrets》《ジョーヴンの泥棒道具/Joven's Tools》《Koskun Falls》《Koskun Keep》《迷宮のミノタウルス/Labyrinth Minotaur》《Leaping Lizard》《Leeches》《Mammoth Harness》《Marjhan》《記憶の欠落/Memory Lapse》《商人の巻物/Merchant Scroll》《メサ・ファルコン/Mesa Falcon》《Mystic Decree》《Narwhal》《Orcish Mine》《原初の秩序/Primal Order》《Prophecy》《Rashka the Slayer》《浅瀬の海賊/Reef Pirates》《Renewal》《Retribution》《Reveka》《Wizard Savant》《Root Spider》《Roots》《Roterothopter》《Rysorian Badger》《Samite Alchemist》《シー・スプライト/Sea Sprite》《Sea Troll》《センギアの従臣/Sengir Autocrat》《Sengir Bats》《Serra Aviary》《セラの獣小屋/Serra Bestiary》《Serra Inquisitors》《セラの聖騎士/Serra Paladin》《鋸刃の矢/Serrated Arrows》《縮小/Shrink》《Soraya the Falconer》《Spectral Bears》《Timmerian Fiends》《拷問/Torture》《Trade Caravan》《休戦/Truce》《Veldrane of Sengir》《Wall of Kelp》《Willow Faerie》《Willow Priestess》《Winter Sky》《Wizards' School》である。
206.4. プレイヤーは、そのカードがそのフォーマットで認められているセット(あるいは特にマジック・イベント規定によって認められているカード)に含まれている限り、どの版からでもカードを構築 デッキに入れてよい。現在の構築フォーマットの定義については、マジック・イベント規定(http://wpn.wizards.com/en/resources/rules-documents)を参照のこと。
206.5. エキスパンション・シンボルの完全な一覧は、マジックのウェブサイトのCard Set Archiveコーナー(http://magic.wizards.com/en/game-info/products/card-set-archive)から確認できる。
207.1. 文章欄は、カードの下半分にある。多くの場合、ここにはそのカードの能力を定義するルール文章が書かれている。
207.2. 文章欄には、ゲーム上意味を持たないイタリック体の(日本語版では文字サイズが小さいまたは教科書体である)文章が書かれていることがある。
207.2a 注釈文は、カッコにくくられたイタリック体(日本語版では文字サイズが一段小さい)の文章であり、そのカードに適用されるルールの要約である。これはそれが対応する能力と同じ行に書かれていることが多いが、その能力でなくカード全体の注釈の場合、独立した行に書かれていることもある。
207.2b フレイバー・テキストは、イタリック体(日本語版では教科書体)で書かれた、絵と同様にゲームに雰囲気を出すための文章である。これはルール文章の下に記載される。
207.2c 能力語は、能力の最初にイタリック体で書かれている(以前の日本語版ではフォントが区別されておらず、―で区切られていることで区別する必要があった)。能力語は、同様の機能を持ったカードを区別できるようにするために定められたキーワードのようなものであるが、ルール上の意味を持たず、総合ルールに独立した項目を持たない。能力語には、「一徹(いってつ)/adamant」「附則(ふそく)/addendum」「大隊(だいたい)/Battalion」「湧血(ゆうけつ)/Bloodrush」「魂力(こんりき)/Channel」「彩色(さいしょく)/Chroma」「盟友(めいゆう)/Cohort」「星座(せいざ)/Constellation」「収斂(しゅうれん)/converge」「動議(どうぎ)/Council's Dilemma」[昂揚(こうよう)/delirium」「版図(はんと)/Domain」「威光(いこう)/Eminence」「激昂(げきこう)/Enrage」「窮地(きゅうち)/Fateful hour」「獰猛(どうもう)/Ferocious」「圧倒(あっとう)/Formidable」「壮大(そうだい)/Grandeur」「暴勇(ぼうゆう)/Hellbent」「英雄的(えいゆうてき)/Heroic」「刻印(こくいん)/Imprint」「神啓(しんけい)/Inspired」「同調(どうちょう)/Join Forces」「族系(ぞくけい)/Kinship」「上陸(じょうりく)/Landfall」「副官(ふくかん)/Lieutenant」「金属術(きんぞくじゅつ)/Metalcraft」「陰鬱(いんうつ)/Morbid」「協議(きょうぎ)/Parley」「光輝(こうき)/Radiance」「強襲(きょうしゅう)/Raid」「結集(けっしゅう)/Rally」「紛争(ふんそう)/Revolt」「魔巧(まこう)/Spell Mastery」「奮励(ふんれい)/Strive」「掃引(そういん)/Sweep」「誘引(ゆういん)/Tempting Offer」「スレッショルド(すれっしょるど)/Threshold」「宿根(しゅっこん)/Undergrowth」「議決(ぎけつ)/Will of the council」がある。
207.3. 一部のカードには、文章欄の背景に装飾的アイコンが描かれている。例えば、ラヴニカの各ギルドに関するカードの多くで文章欄にギルド・アイコンが含まれており、『ミラディンの傷跡』ブロックではほとんどのカードの文章欄に陣営アイコンが含まれている。また、プロモカードの多くにも装飾的アイコンが描かれている。これらのアイコンはゲームのプレイに影響を及ぼさない。
207.4. 次元・カードの、「あなたが{CHAOS}を出すたび」という誘発型能力の左側には、カオス・シンボル{CHAOS}が記されている。このシンボルそのものはルール上特別な意味を持たない。
208.1. クリーチャー・カードの右下には、スラッシュで区切られた二つの数字が記されている。一つ目の数字はパワー(戦闘中に与えるダメージの量)であり、二つ目の数字はタフネス(破壊されるのに必要なダメージの量)である。例えば、2/3というのはそのオブジェクトが2のパワーと3のタフネスを持つことを示している。パワーやタフネスは、効果によって修整を受けたりある値に変更されたりすることがある。
208.2. 一部のクリーチャー・カードでは、パワーもしくはタフネスの値が固定値ではなく * になっているものがある。
208.2a カードは、何らかの条件に基づいてパワーやタフネスを定める特性定義能力を持つことがある(rule 604.3 参照)。この種の能力は、「[このクリーチャーの][パワーまたはタフネス]は〜である/[This creature's] [power or toughness] is equal to 〜」あるいは「[このクリーチャーの]パワーとタフネスはそれぞれ〜である/[This creature's] power and toughness are each equal to 〜」と書かれる。この能力はゲームの外部も含むあらゆる場所において機能する。決定できない値を計算上などで用いる必要がある場合、その値を0として扱う。
例:《Lost Order of Jarkeld》のパワーやタフネスはそれぞれ1+*であり、「Lost Order of Jarkeldが戦場に出るに際し、対戦相手1人を選ぶ」「Lost Order of Jarkeldのパワーとタフネスはそれぞれ、そのプレイヤーがコントロールしているクリーチャーの数に1を加えたものに等しい」という能力を持つ。《Lost Order of Jarkeld》が戦場にない間、プレイヤーは選ばれていないので、パワーとタフネスはともに1+0、つまり1/1となる。
208.2b クリーチャーのパワーやタフネスを、それが戦場に出るに際して、あるいはオモテになるに際して、いくつかの特定の値の中から1つに設定する置換効果を作る常在型能力を持つカードが存在する(rule 614〔置換効果〕参照)。その種の能力は、「[このクリーチャー]が戦場に出るに際し〜/As [this creature] enters the battlefield . . . 」「[このクリーチャー]がオモテ向きになるに際し〜/As [this creature] is turned face up . . . ,」「[このクリーチャー]は〜として戦場に出る。/[this creature] enters the battlefield as . . .」といった書式で、複数のパワーとタフネスの組(さらに追加の特性がついていることもある)が記されている。これらの効果で選ばれ、あるいは決定された特性は、そのクリーチャーのコピー可能な値に影響を及ぼす(rule 706.2 参照)。カードが戦場にない間、パワーとタフネスはともに0として扱う。
208.3. クリーチャーでないパーマネントは、そのカードにパワーやタフネスが記載されていたとしても(機体など)、パワーやタフネスを持たない。クリーチャーでないオブジェクトが戦場にない場合、そのカードにパワーやタフネスが記載されていない限り、パワーやタフネスを持たない。
208.3a クリーチャーでないパーマネントのパワーやタフネスに影響を及ぼす効果が発生する場合、その効果は、そのパーマネントがクリーチャーでない限り何もしないが、発生する。
例:《経験豊富な操縦者》は「経験豊富な操縦者が機体1つに搭乗するたび、ターン終了時まで、その機体は+1/+1の修整を受ける」という能力を持つ。この誘発型能力は、その機体が登場された後、クリーチャーになる前に解決される。この継続的効果は発生し、この機体がクリーチャーになったらその機体に適用される。
208.4. クリーチャーのパワーやタフネスを特定の値に定める効果の中には、そのクリーチャーの「基本のパワー/base power」「基本のタフネス/base toughness」「基本のパワーとタフネス/base power and toughness」を扱うものがある。後に、他の継続的効果によって、そのクリーチャーのパワーやタフネスが修整されることがありうる。rule 613〔継続的効果の相互作用〕参照。
208.5. クリーチャーのパワーが何らかの理由で値を持たない場合、それは0となる。タフネスも同じである。
209.1. プレインズウォーカー・カードの右下には、忠誠数が記されている。これはプレインズウォーカーが戦場にない間の忠誠度の値を示し、プレインズウォーカーは、その数の忠誠カウンターが乗った状態で戦場に出る。
209.2. コストに忠誠度シンボルを含む起動型能力は、忠誠度能力である。忠誠度能力はプレイヤーは自分がコントロールしているパーマネントの忠誠度能力を、自分のメイン・フェイズの間、スタックが空で、優先権を持っていて、そのターンにそのパーマネントの忠誠度能力をどれも起動していない場合にのみ起動できる。rule 606〔忠誠度能力〕参照。
210.1. ヴァンガード・カードの左下角に、手札補正子が記されている。プラス、マイナス、または0のいずれかの数である。この補正子は、ヴァンガード・カードのオーナーの初期手札枚数と手札の最大枚数を決定する際に適用される。rule 103.4 参照。
211.1. ヴァンガード・カードの右下角に、ライフ補正子が記されている。プラス、マイナス、または0のいずれかの数である。この補正子は、ヴァンガード・カードのオーナーの初期ライフ総量を決定する際に適用される。rule 103.3 参照。
212.1. カードの文章欄の下に印刷されている、ゲーム上効果のない文章がある。すべてのカードセットで以下のすべての情報が各カードに印刷されているわけではない。
212.1a ほとんどのカード・セットではコレクター番号が振られている。この情報は[カード番号]/[セットに含まれるカードの総数]、あるいは単に[カード番号]という形で書かれている。プレインズウォーカー デッキのみのカードなど一部のカードでは、総数よりも大きなカード番号が振られていることがある。
212.1b カードのレアリティは、コレクター番号の後に1文字で表示されている。
212.1c プロモカードの中には、そのカードが何に割り当てられているのかを示す情報が書かれていることがある。
212.1d そのカードがどのセットで印刷されたものかを示す3文字と、そのカードがどの言語で印刷されたものかを示す2文字が、中黒を挟んで記されている。プレミアム版であれば、中黒でなく星印を挟んでいる。
212.1e カードの絵の著作権表記は、文章欄のすぐ下に、絵筆のアイコン、あるいは古いカードでは「Illus.」という略語に続いて記されている。
300.1. カード・タイプには、「アーティファクト/artifact」「策略/conspiracy」「クリーチャー/creature」「エンチャント/enchantment」「インスタント/instant」「土地/land」「現象/Phenomenon」「次元/plane」「プレインズウォーカー/planeswalker」「計略/scheme」「ソーサリー/sorcery」「部族/tribal」「ヴァンガード/vanguard」がある。
300.2. 複数のカード・タイプを持つオブジェクト(たとえば、アーティファクト・クリーチャーなど)が存在する。この類のオブジェクトは、そのいずれかのカード・タイプの持つ性質を持ち、また、そのいずれかのカード・タイプに適用される呪文や能力の影響を受ける。
300.2a 土地でもあり他のカード・タイプでもあるオブジェクト(たとえばアーティファクト・土地)は土地としてのみプレイできる。呪文として唱えることはできない。
300.2b 部族・カードは他のカード・タイプを持つ。部族・カードを唱え、解決することは、そのもう一方のカード・タイプのカードを唱え、解決することに関するルールに従う。
301.1. 優先権を持つプレイヤーは、自分のメイン・フェイズで、スタックが空の間、アーティファクト・カードを手札から唱えることができる。アーティファクトを呪文として唱える場合、スタックを用いる。rule 601〔呪文を唱えること〕参照。
301.2. アーティファクト・呪文が解決されたら、それのコントローラーはそれを自分のコントロール下で戦場に出す。
301.3. アーティファクトのサブタイプは必ず1単語であり、「アーティファクト」という語のあとに、「アーティファクト ─ 装備品/Artifact ─ Equipment」といったように、長いダッシュに続いて並べられている。アーティファクトのサブタイプは、「アーティファクト・タイプ」とも呼ばれる1単語である。アーティファクトには複数のサブタイプがあることもありうる。アーティファクト・タイプの一覧は、rule 205.3g を参照。
301.4. アーティファクトはそのカード・タイプに特有の特性を持たない。ほとんどのアーティファクトは有色 マナ・シンボルをマナ・コストに含まないので、無色である。しかし、無色であることとアーティファクトであることの間に因果関係はない。色を持つアーティファクトも存在するし、無色であってもアーティファクトでないオブジェクトも存在する。
301.5. アーティファクトの中には、「装備品/Equipment」というサブタイプを持つものがある。装備品はクリーチャーにつけることができる。クリーチャーでないものに適正につけることはできない。
301.5a 装備品がつけられているクリーチャーは、「装備しているクリーチャー/equipped creature」と呼ばれる。装備品は、クリーチャーにつけられる、あるいは「装備される/equip」ことになる。
301.5b 装備品は、他のアーティファクトと同様に唱えられ、戦場に出る。装備品がクリーチャーにつけられた状態で戦場に出ることはない。キーワード能力「装備/equip」は、その装備品をあなたがコントロールしているクリーチャーにつける(rule 702.6〔装備〕参照)。クリーチャーのコントロールに関する条件は、装備 能力の起動時と解決時にのみ確認する。呪文や他の能力によって装備品がクリーチャーにつけられることがある。効果によって装備品をそれを装備することができないオブジェクトにつけようとした場合、その装備品は動かない。
301.5c クリーチャーは、クリーチャーでもある装備品を装備できない。クリーチャーは、「装備品」というサブタイプを失った装備品を装備できない。装備品は自分自身を装備できない。不正あるいは存在しないパーマネントに装備されている装備品は、そのパーマネントからはずれるが、戦場に残ったままである(これは状況起因処理である。rule 704 参照)。装備品は同時に複数のクリーチャーにつくことはない。呪文や能力によって複数のクリーチャーに装備させるようなことが起こった場合、その装備品のコントローラーはどちらのクリーチャーにつけるかを選ぶ。
301.5d 装備品のコントローラーは、装備しているクリーチャーのコントローラーとは別物である。この2つは同じである必要はない。クリーチャーのコントローラーが変わっても装備品のコントローラーは変わらないし、逆も同様である。装備品のコントローラーのみが、それの能力を起動できる。ただし、装備品がそれを装備しているクリーチャーに能力を(「得る/gains」あるいは「持つ/has」等によって)得させる場合、装備しているクリーチャーのコントローラーのみが、その能力を起動できる。
301.5e パーマネントの、「装備しているクリーチャー/equipped creature」を参照している能力は、そのパーマネントが装備品でなくても、そのパーマネントがついているクリーチャーを参照する。
301.6. アーティファクトの中には、「城砦/Fortification」というサブタイプを持つものがある。城砦は土地につけることができる。土地でないオブジェクトにつけることはできない。城砦に関して装備 能力に対応するのは「城砦化/Fortify」というキーワード能力である。rule 301.5a-eは、装備品とクリーチャーの関係を、城砦と土地の関係に読み替え、rule 301.5b は「土地は、クリーチャーでもある城砦によって城砦化されない」と読み替えて適用する。rule 702.66〔城砦化〕参照。
301.7. アーティファクトの中には、「機体/Vehicle」というサブタイプを持つものがある。機体は、アーティファクト・クリーチャーになれる搭乗 能力を持つ。rule 702.121〔搭乗〕参照。
301.7a 機体は印刷されたパワーやタフネスを持つが、クリーチャーでもある場合にのみそれらの特性を持つ。rule 208.3 参照。
301.7b 機体がクリーチャーになる場合、それは即座にその印刷されたパワーやタフネスを持つ。それをクリーチャーにした効果も含む他の効果によって、その値が修整されたり別の値に定められたりすることがある。
302.1. 優先権を持つプレイヤーは、自分のメイン・フェイズで、スタックが空の間、クリーチャー・カードを手札から唱えることができる。クリーチャーを呪文として唱える場合、スタックを用いる。rule 601〔呪文を唱えること〕参照。
302.2. クリーチャー・呪文が解決されたら、それのコントローラーはそれを自分のコントロール下で戦場に出す。
302.3. クリーチャーのサブタイプは必ず1単語であり、「クリーチャー」という語のあとに、「クリーチャー ─ 人間・兵士/Creature ─ Human Soldier」「アーティファクト・クリーチャー ─ ゴーレム/Artifact Creature ─ Golem」といったように、長いダッシュに続いて並べられている。クリーチャーのサブタイプは、「クリーチャー・タイプ」とも呼ばれる。クリーチャーには複数のサブタイプがあることもありうる。クリーチャー・タイプの一覧は rule 205.3m 参照。
例:「クリーチャー ─ ゴブリン・ウィザード/Creature ─ Goblin Wizard」は、そのカードがサブタイプとしてゴブリンとウィザードを持つクリーチャー・カードであることを示している。
302.4. パワーとタフネスは、クリーチャーだけが持っている特性である。
302.4a クリーチャーのパワーとは、そのクリーチャーが戦闘で与えるダメージの総量である。
302.4b クリーチャーのタフネスとは、そのクリーチャーを破壊するために必要なダメージの総量である。
302.4c クリーチャーのパワーやタフネスを決定するためには、カードの右下に記載されている値から計算し、各種の継続的効果を適用する。rule 613〔継続的効果の相互作用〕参照。
302.5. クリーチャーは攻撃したりブロックしたりできる。(rule 508〔攻撃クリーチャー指定ステップ〕、rule 509〔ブロック・クリーチャー指定ステップ〕参照。)
302.6. クリーチャーの起動型能力のうち起動コストにタップ・シンボルやアンタップ・シンボルを含むものは、そのコントローラーがそのクリーチャーを自分のターン開始時から続けてコントロールしていない限り、起動できない。また、そのコントローラーが自分のターン開始時から続けてコントロールしていない限り、そのクリーチャーでは攻撃できない。このルールは非公式に「召喚酔い」ルールと呼ばれる。
302.7. 萎縮も感染も持たない発生源からクリーチャーに与えられたダメージは、そのクリーチャーが負う。クリーチャーが負っているダメージの合計がそのタフネス以上である場合、そのクリーチャーは致死ダメージを受けたといい、状況起因処理で破壊される(rule 704 参照)。クリーチャーが負っているダメージは、再生した時(rule 701.15〔再生する〕参照)とクリンナップ・ステップの間(rule 514.2 参照)に取り除かれる。
303.1. 優先権を持つプレイヤーは、自分のメイン・フェイズで、スタックが空の間、エンチャント・カードを手札から唱えることができる。エンチャントを呪文として唱える場合、スタックを用いる(rule 601〔呪文を唱えること〕参照)。
303.2. エンチャント・呪文が解決されたら、それのコントローラーはそれを自分のコントロール下で戦場に出す。
303.3. エンチャントのサブタイプは必ず1単語であり、「エンチャント」という語のあとに、「エンチャント ─ 祭殿/Enchantment ─ Shrine」といったように、長いダッシュに続いて並べられている。エンチャントのサブタイプは、「エンチャント・タイプ」とも呼ばれる。エンチャントには複数のサブタイプがあることもありうる。エンチャント・タイプの一覧は、rule 205.3k 参照。
303.4. エンチャントの中には、サブタイプとして「オーラ/Aura」を持つものがある。オーラはオブジェクトまたはプレイヤーについた状態で戦場に出る。オーラをつけることができる先は、キーワード能力「エンチャント/Enchant」によって規定されている(rule 702.5〔エンチャント〕参照)。他の効果によって、あるパーマネントをエンチャントできるかどうかに限定が加えられる場合もある。
303.4a オーラ・呪文は、エンチャント能力によって規定される対象を必要とする。
303.4b オーラのつけられているオブジェクトやプレイヤーのことを、「エンチャントされている」という。そのオーラはそのオブジェクトやプレイヤーを「エンチャントしている」、あるいはそのオブジェクトやプレイヤーに「ついている」という言い方をする。
303.4c オーラが、エンチャント能力やその他の効果による規定に対して不正なオブジェクトまたはプレイヤー上にエンチャントしていた、あるいはエンチャントされているオブジェクトやプレイヤーがすでに存在しなくなっていた場合、そのオーラはオーナーの墓地に置かれる(これは状況起因処理である。rule 704〔状況起因処理〕参照)。
303.4d オーラはそれ自身をエンチャントすることができない。何らかの理由でそうなった場合、そのオーラはオーナーの墓地に置かれる。また、オーラがクリーチャーでもある場合、他のオブジェクトをエンチャントすることができない。何らかの理由でそうなった場合、そのオーラははずれ、そしてオーナーの墓地に置かれる。(これらは状況起因処理である。rule 704 参照)。 オーラは同時に複数のオブジェクトまたはプレイヤーにつくことはない。呪文や能力の効果によってオーラが複数のオブジェクトやプレイヤーにつくような場合、そのオーラのコントローラーはどちらのオブジェクトまたはプレイヤーにつけるかを選ぶ。
303.4e オーラのコントローラーは、エンチャントされているオブジェクトのコントローラーあるいはエンチャントされているプレイヤーとは別物である。この2つは同じである必要はない。オーラがオブジェクトをエンチャントしている場合、そのオブジェクトのコントローラーが変わってもオーラのコントローラーは変わらないし、逆も同様である。オーラのコントローラーのみが、それの能力を起動できる。ただし、オーラがそれにエンチャントされているオブジェクトに能力を(「得る/gains」あるいは「持つ/has」等によって)得させる場合、エンチャントされているオブジェクトのコントローラーのみが、その能力を起動できる。
303.4f オーラが、オーラ・呪文が解決される以外の方法でいずれかのプレイヤーのコントロール下で戦場に出、その出す効果がオーラのエンチャント先を指定していなかった場合、そのプレイヤーがそのオーラが戦場に出るに際してそのオーラのエンチャント先を選ぶ。そのプレイヤーは、オーラのエンチャント能力その他適用される効果に従い、適正なオブジェクトまたはプレイヤーを選ばなければならない。
303.4g オーラが、適正にエンチャントできるオブジェクトやプレイヤーのない状態で戦場に出る場合、そのオーラが現在スタックにあるのでない限り、現在ある領域にとどまる。スタックにある場合、そのオーラは戦場に出る代わりに オーナーの墓地に置かれる。
303.4h 効果によって、オーラでも装備品でも城砦でもないパーマネントをオブジェクトまたはプレイヤーにつけた状態で戦場に出す場合、つけられていない状態で戦場に出る。
303.4i 効果によってオーラを適正につけられないオブジェクトやプレイヤーにつけた状態で戦場に出す場合、元あった領域がスタックでなければ、オーラは元あった領域に残る。スタックであれば、戦場に出る代わりに オーナーの墓地に置かれる。オーラがトークンであれば、それは生成されない。
303.4j 効果によって戦場にあるオーラをオブジェクトやプレイヤーにつける場合、そのオブジェクトやプレイヤーが適正にエンチャントされることができなければ、オーラは移動しない。
303.4k 効果によって表向きになるオーラがオブジェクトやプレイヤーにつけられた状態になる場合、そのオーラのコントローラーはそれが表向きで存在している場合のそのオーラの特性を用いて何につけることができるかを判断し、そのオーラの持つエンチャント能力やその他の適用されうる効果に従って適正なオブジェクトを選ばなければならない。
303.4m パーマネントの「エンチャントしている[オブジェクトまたはプレイヤー]/enchanted [object or player]」を参照する能力は、そのパーマネントがオーラでなかったとしても、そのパーマネントがつけられているオブジェクトまたはプレイヤーを参照する。
303.5. エンチャントの中には、「英雄譚」というサブタイプを持つものがある。英雄譚・カードについての詳細は、rule 714 参照。
304.1. 優先権を持つプレイヤーは、インスタント・カードを手札から唱えることができる。インスタントを呪文として唱える場合、スタックを用いる。rule 601〔呪文を唱えること〕参照。
304.2. インスタント・呪文が解決されたら、ルール文章に書かれている処理が行なわれ、その後で、オーナーの墓地に置かれる。
304.3. インスタントのサブタイプは必ず1単語であり、「インスタント」という語のあとに、「インスタント ─ 秘儀/Instant ─ Arcane」といったように、長いダッシュに続いて並べられている。インスタントのサブタイプはソーサリーのサブタイプと同一であり、呪文タイプと呼ばれる。インスタントには複数のサブタイプがあることもありうる。呪文タイプ一覧は、rule 205.3k 参照。
304.4. インスタントが戦場に出ることはない。戦場に出る場合、その代わりに元あった領域に残る。
304.5. 「プレイヤーがインスタントを唱えられるときならいつでも/any time he or she could cast an instant,」という表現は、そのプレイヤーが優先権を持っている時に、という意味である。唱えられるインスタントを持っている必要はないし、そのプレイヤーに呪文を唱えられなくする効果や、インスタントを唱えられなくする効果があってもその処理は実行できる(その処理が実際に呪文を唱えたり、インスタントを唱えたりするものでない限り)。
305.1. 優先権を持つプレイヤーは、自分のメイン・フェイズで、スタックが空の間、土地・カードを手札からプレイすることができる。土地をプレイすることは特別な処理であり、スタックを用いない(rule 116 参照)。土地をプレイする場合、プレイヤーはそれを単に戦場に出す。土地はスタックに乗らず、呪文ではなく、また、インスタントや起動型能力で対応することはできない。
305.2. 通常、プレイヤーは、自分のターンの間に土地を1つだけプレイすることができる。継続的効果によって、この数が増加することがありうる。
305.2a プレイヤーが土地をプレイできるかどうか決定するために、プレイヤーがそのターンにプレイできる土地の枚数と、そのプレイヤーがそのターンに既にプレイした土地の枚数(特別な処理でプレイしたものも、呪文や能力の解決中にプレイしたものも含む)を比較する。そのプレイヤーがプレイできる土地の枚数のほうが多い場合、そのプレイは適正である。
305.2b 理由を問わず、プレイヤーがそのターンにプレイできる土地の枚数が、そのプレイヤーがそのターンに既にプレイした土地の枚数以下であった場合、そのプレイヤーは土地をプレイできない。効果のうち、土地をプレイするという部分は無視する。
305.3. プレイヤーは、いかなる理由があれ、自分のターン以外には土地をプレイすることはできない。プレイヤーにそうさせるように指示する部分は無視する。同様に、そのターンに許可されている全ての土地のプレイを済ませているプレイヤーは、土地をプレイすることはできない。プレイヤーにそうさせるように指示している部分は無視する。
305.4. 土地を戦場に「出す/put」ことができる効果が存在する。これは土地のプレイとは違い、そのターンに既にプレイした土地の枚数には数えない。
305.5. 土地のサブタイプは常に1単語であり、土地タイプとも呼ばれる。土地は複数の土地タイプを持つことがありうる。土地タイプの一覧は rule 205.3i 参照。
例:「基本 土地 ─ 山」という記述は、そのカードが山のサブタイプを持つ土地・カードであることを意味する。
305.6. 基本土地タイプは、平地、島、沼、山、森である。「基本土地タイプ」が参照される場合、これらのサブタイプのうちいずれかを意味する。土地というカード・タイプと基本土地タイプを持つオブジェクトは、文章欄が空欄であったりそもそも存在しなかったりしたとしても、「{T}:[マナ・シンボル]を加える」という固有の能力を持つ。能力内のマナ・シンボルは、平地は{W}、島は{U}、沼は{B}、山は{R}、森は{G}である。rule 107.4a、ならびに rule 605〔マナ能力〕参照。
305.7. 何らかの効果により土地タイプがいずれかの基本土地タイプに定められた場合、その土地は以降古い土地タイプを持たない。ルール文章、元の土地タイプ、その土地に影響しているコピー 効果によって得られていた能力を全て失い、その基本土地タイプが持つマナ能力を得ることになる。ただし、これは他の効果によりその土地が得た能力を取り除くわけではない。土地タイプの設定は、その土地が持つカード・タイプ(「クリーチャー」など)や特殊タイプ(「基本」や「伝説の」「氷雪」など)を変更しない。土地が現在の土地タイプに加えて新たな土地タイプを得た場合、それはこれまでの土地タイプとルール文章を持ち、それに加えて新しい土地タイプとマナ能力を得る。
305.8. 「基本/Basic」という特殊タイプをもつ土地は基本 土地である。基本土地タイプを持っていても、この特殊タイプを持たない土地は基本でない土地である。
305.9. あるオブジェクトが土地であり、かつ他のカード・タイプでもある場合、それは土地としてプレイされる。呪文として唱えられることはない。
306.1. 優先権を持つプレイヤーは、自分のメイン・フェイズで、スタックが空の間、プレインズウォーカー・カードを手札から唱えることができる。プレインズウォーカーを呪文として唱える場合、スタックを用いる(rule 601〔呪文を唱えること〕参照)。
306.2. プレインズウォーカー・呪文が解決された時、そのコントローラーはそれを自分のコントロール下で戦場に出す。
306.3. プレインズウォーカーのサブタイプは必ず1単語であり、「プレインズウォーカー ─ ジェイス/Planeswalker ─ Jace」といったように、長いダッシュに続いて並べられている。プレインズウォーカーのサブタイプは「プレインズウォーカー・タイプ」と呼ばれる。プレインズウォーカーには複数のサブタイプがあることもありうる。プレインズウォーカ・タイプの一覧は、rule 205.3j 参照。
306.4. 以前は、プレインズウォーカーは同じプレインズウォーカー・タイプを持つ複数のプレインズウォーカーを1人のプレイヤーがコントロールできないようにする「プレインズウォーカーの唯一性ルール」に従っていた。このルールは取り除かれ、この変更以前に印刷されたプレインズウォーカー・カードはオラクルで訂正され、「伝説の」の特殊タイプを持つようになった。他の伝説の パーマネント同様、それらも「レジェンド・ルール」に従う(rule 704.5j 参照)。
306.5. 「忠誠度/Loyalty」は、プレインズウォーカーにのみ存在する特性である。
306.5a 戦場に出ていないプレインズウォーカー・カードの忠誠度は、その右下角に記載されている数字に等しい。
306.5b プレインズウォーカーは、「このパーマネントは、記載された忠誠数に等しい数の忠誠カウンターが乗った状態で戦場に出る」という固有の能力を持つ。この能力は置換効果を生み出す(rule 614.1c 参照)。
306.5c 戦場に出ているプレインズウォーカーの忠誠度は、その上にある忠誠カウンターの数に等しい。
306.5d プレインズウォーカーは、数個の忠誠度能力を持つ。それらはそのコストに忠誠度シンボルを含む起動型能力である。忠誠度能力には、「プレイヤーは自分がコントロールしているパーマネントの忠誠度能力を、自分のメイン・フェイズの間、スタックが空で、優先権を持っていて、そのターンにそのパーマネントの忠誠度能力をどれも起動していない場合にのみ起動できる」という特殊なルールが適用される。rule 606〔忠誠度能力〕参照。
306.6. プレインズウォーカーは攻撃されることがある(rule 508〔攻撃クリーチャー指定ステップ〕参照)。
306.7. 以前は、プレインズウォーカーはプレイヤーに、対戦相手に与える戦闘ダメージでないダメージを、その代わりに 対戦相手のコントロールしているプレインズウォーカーに与えるという移し替え効果に従っていた。このルールは取り除かれ、特定のカードはオラクルで訂正を受け、直接プレインズウォーカーにダメージを与えるようになった。
306.8. プレインズウォーカーにダメージが与えられた場合、そのプレインズウォーカーからその量の忠誠カウンターを取り除く。
306.9. プレインズウォーカーの忠誠度が0である場合、そのオーナーの墓地に置かれる(これは状況起因処理である。rule 704 参照)。
307.1. 優先権を持つプレイヤーは、自分のメイン・フェイズで、スタックが空の間、ソーサリー・カードを手札から唱えることができる。ソーサリーを呪文として唱える場合、スタックを用いる。(rule 601〔呪文を唱えること〕参照)。
307.2. ソーサリー・呪文が解決されたら、ルール文章に書かれている処理が行なわれ、その後で、オーナーの墓地に置かれる。
307.3. ソーサリーのサブタイプは必ず1単語であり、「ソーサリー」という語のあとに、「ソーサリー ─ 秘儀/Sorcery ─ Arcane」といったように、長いダッシュに続いて並べられている。ソーサリーのサブタイプは、インスタントのサブタイプと同一であり、呪文タイプと呼ばれる。ソーサリーには複数のサブタイプがあることもありうる。呪文タイプ一覧は、rule 205.3k 参照。
307.4. ソーサリーは戦場に出ることはできない。戦場に出る場合、その代わりに元の領域に残る。
307.5. 呪文、能力、効果によって、プレイヤーが何かを「ソーサリーが唱えられるときならいつでも/any time he or she could cast a sorcery」できる、となっていた場合、それはそのプレイヤーが優先権を持ち、自分のターンのメイン・フェイズ中で、スタックが空である、ということを意味する。唱えられるソーサリーを持っている必要はないし、そのプレイヤーに呪文を唱えられなくする効果や、ソーサリーを唱えられなくする効果があっても処理は実行できる(その処理が実際に呪文を唱えたり、ソーサリーを唱えたりするものでない限り)。
307.5a 同様に、ある呪文が「ソーサリーが唱えられない間に/any time a sorcery couldn't have been cast,」唱えられたかどうかを見る効果は、その呪文のコントローラーが優先権を持たずに、あるいは自分のメイン・フェイズ以外のフェイズの間に、あるいは何らかのオブジェクトがスタックにある間に唱えたかどうかだけを調べる。
308.1. 部族・カードはもう一つカード・タイプを持つ。部族・カードをプレイし、解決するにあたっては、もう一つのカード・タイプのカードをプレイし、解決するためのルールに従う。
308.2. 部族のサブタイプは、必ず1単語であり、「部族・エンチャント ─ マーフォーク/Tribal Enchantment ─ Merfolk」といったように、長いダッシュに続いて並べられている。部族のサブタイプはクリーチャーのサブタイプと同じであり、「クリーチャー・タイプ」と呼ばれる。部族には複数のサブタイプがあることもありうる。クリーチャー・タイプの一覧は、rule 205.3m 参照。
309.1. 次元は、定形外のマジックのカードにのみ存在するカード・タイプである。次元・カードは、プレインチェイス戦・カジュアル変種ルールにおいてのみ用いる。rule 901〔プレインチェイス戦〕参照。
309.2. 次元・カードは、次元デッキの中にある間も、またオモテ向きになっている間も、ゲームの間統率領域にあり続ける。唱えられることはない。次元・カードが統率領域を離れる場合、それは統率領域に残り続ける。
309.3. 次元のサブタイプは長い横線の後に記されており、「次元 ― セラの領土/Plane - Serra's Realm」のように複数の単語からなることもある。長い横線の後に記されている単語すべてで1つのサブタイプである。次元のサブタイプは次元 タイプとも呼ばれる。次元は1つしかサブタイプを持つことはない。次元 タイプの一覧は、rule 205.3n 参照。
309.4. 次元・カードは望む数の常在型能力、誘発型能力、起動型能力を持ちうる。次元・カードが統率領域でオモテ向きである間、常在型能力はゲームに影響を及ぼし、誘発型能力は誘発可能となり、起動型能力は起動可能となる。
309.5. オモテ向きの次元・カードのコントローラーは、次元 コントローラーとして指定されたプレイヤーである。通常、次元はその時点でのアクティブ・プレイヤーによってコントロールされている。しかし、現在の次元 コントローラーがゲームを離れる場合、ターン順で次になる、ゲームを離れないプレイヤーが次元 コントローラーとなり、その後で元の次元 コントローラーはゲームを離れる。新しい次元 コントローラーは、そのプレイヤーがゲームを離れるか、あるいは他のプレイヤーがアクティブ・プレイヤーになるまでの間、指定されたままとなる。
309.6. 裏向きになったオモテ向きの次元・カードは、新しいオブジェクトになる。
309.7. 次元・カードは、「あなたが{CHAOS}を出すたび」という誘発型能力を持つ。これは「カオス能力」と呼ばれる。それらは左側にある{CHAOS}で示されているが、そのシンボル自体にルール上の意味はない。
310.1. 現象は、定形外のマジックのカードにのみ存在するカード・タイプである。プレインチェイス戦カジュアル変種ルールは次元・カードを用いる。rule 901〔プレインチェイス戦〕参照。
309.2. 現象・カードは、次元デッキの中にある間も、またオモテ向きになっている間も、ゲームの間統率領域にあり続ける。唱えられることはない。現象・カードはパーマネントではない。現象・カードが統率領域を離れる場合、それは統率領域に残り続ける。
310.4. オモテ向きの現象・カードのコントローラーは、次元 コントローラーとして指定されたプレイヤーである。通常、次元コンとトーラーはアクティブ・プレイヤーである。しかし、現在の次元 コントローラーがゲームを離れる場合、ターン順で次になる、ゲームを離れないプレイヤーが次元 コントローラーとなり、その後で元の次元 コントローラーはゲームを離れる。新しい次元 コントローラーは、そのプレイヤーがゲームを離れるか、あるいは他のプレイヤーがアクティブ・プレイヤーになるまでの間、指定されたままとなる。
310.5. 次元・カードはそれに遭遇したときに誘発する誘発型能力を持つ。「あなたが[このカード]に遭遇したとき」とは、あなたがこのカードを次元デッキから取ってオモテ向きにしたとき、という意味である。
310.6. 裏向きになったオモテ向きの現象・カードは、新しいオブジェクトになる。
310.7. 現象・カードが統率領域でオモテ向きであり、かつ、誘発してスタックから離れていない誘発型能力の発生源でない場合、次にプレイヤーが優先権を得る時点で次元 コントローラーはプレインズウォークする。(これは状況起因処理である。rule 704、rule 701.24〔プレインズウォークする〕参照。)
311.1. ヴァンガードは、定形外のマジックのカードにのみ存在するカード・タイプである。ヴァンガード戦カジュアル変種ルールでのみ、ヴァンガード・カードを用いる。rule 902〔ヴァンガード戦〕参照。
311.2. ヴァンガード・カードはゲームの間、統率領域にあり続ける。それらはパーマネントではなく、唱えられることもない。ヴァンガード・カードが統率領域を離れる場合、それは統率領域にあり続ける。
311.3. ヴァンガード・カードにはサブタイプは存在しない。
311.4. ヴァンガード・カードには常在型能力、誘発型能力、起動型能力が存在しうる。ヴァンガード・カードが統率領域にある限り、その常在型能力はゲームに影響を及ぼし、誘発型能力は誘発でき、起動型能力は起動されうる。
311.5. ヴァンガード・カードのオーナーはそれを統率領域においてゲームを始めたプレイヤーである。オモテ向きのヴァンガード・カードのコントローラーは、そのオーナーである。
311.6. ヴァンガード・カードの左下角に、手札補正子が記されている。プラス、マイナス、または0のいずれかの数である。この補正子は、ヴァンガード・カードのオーナーの初期手札枚数と手札の最大枚数(通常7枚)に適用される。その結果の数が、ゲームの開始時に引く枚数、ならびに手札の最大枚数となる。
311.7. ヴァンガード・カードの右下角に、ライフ補正子が記されている。プラス、マイナス、または0のいずれかの数である。この補正子は、ヴァンガード・カードのオーナーの初期ライフ総量(通常20点)の決定に際して適用される。rule 103.3 参照。
312.1. 計略は、定形外のマジックのカードにのみ存在するカード・タイプである。アーチエネミー戦カジュアル変種ルールでのみ、計略・カードを用いる。rule 904〔アーチエネミー戦〕参照。
312.2. 計略・カードはゲームの間、計略 デッキの一部である間も、オモテ向きである間も、統率領域にあり続ける。それらはパーマネントではなく、唱えられることもない。計略・カードが統率領域を離れる場合、それは統率領域にあり続ける。
312.4. 計略・カードには常在型能力、誘発型能力、起動型能力が存在しうる。計略・カードがオモテ向きで統率領域にある限り、その常在型能力はゲームに影響を及ぼし、誘発型能力は誘発でき、起動型能力は起動されうる。
312.5. 計略・カードのオーナーはそれを統率領域においてゲームを始めたプレイヤーである。オモテ向きの計略・カードのコントローラーは、そのオーナーである。
312.6. 持続でない計略・カードが統率領域でオモテ向きになり、いずれかの計略の誘発型能力がスタックにあったりスタックに置かれるのを待っていたりしない場合、次に優先権が発生した際にその計略・カードは裏向きになり、オーナーの計略 デッキの一番下に置かれる。(それは状況起因処理である。rule 704 参照)
312.7. 計略・カードの能力に「この計略」という記述があった場合、それはその能力の発生源である、統率領域にある計略・カードを意味する。これは rule 109.2 の例外である。
313.1. 策略・カードは、リミテッドのプレイ、特にコンスピラシー・ドラフト 変種ルール(rule 905 参照)下でのみ用いられる。策略・カードは、構築のプレイでは用いられない。
313.2. ゲームの開始時、デッキを切り直すよりも前に、プレイヤーはそれぞれ自分のサイドボードにある好きな枚数の策略・カードを統率領域に置く。秘策を持つ策略・カードは統率領域に裏向きに置かれる。(rule 702.105〔秘策〕参照)。
313.3. 策略・カードはゲームの間ずっと統率領域に置かれる。それらはパーマネントではなく、唱えられることもデッキに入れられることもない。策略・カードが統率領域を離れるなら、それは統率領域に残る。ゲーム外の策略・カードがゲーム内に入ることはない。
313.5. 策略・カードは常在型能力や誘発型能力を持つことがある。策略・カードがオモテ向きで統率領域にある限り、その常在型能力はゲームに影響を及ぼし、誘発型能力は誘発しうる。
313.6. 策略・カードのオーナーは、それをゲームの開始時に統率領域に置いたプレイヤーである。策略・カードのコントローラーは、そのオーナーである。
313.7. 自分がコントロールしている裏向きの策略・カードは、いつでもオモテを見ることができる。他のプレイヤーがコントロールしている裏向きの策略・カードのオモテを見ることはできない。
400.1. 領域は、オブジェクトがゲーム中に存在しうる場所である。通常、「ライブラリー/Library」「手札/Hand」「戦場/Battlefield」「墓地/Graveyard」「スタック/Stack」「追放/Exile」「統率/Command」の7つの領域が存在する。古いカードでは「アンティ/ante」領域を用いるものもある。ライブラリー、手札、墓地はプレイヤーごとに存在し、他の領域はすべてのプレイヤーが共用する。
400.2. 公開領域とは、その領域にあるカードのうちで何らかのルールや効果によって特に裏向きにされているもの以外のカードのオモテをすべてのプレイヤーが見ることができる領域である。墓地、戦場、スタック、追放、アンティ、統率領域が公開領域である。非公開領域とは、すべてのプレイヤーがカードのオモテを見ることができるわけではない領域のことである。その領域にあるカードのオモテがすべて公開されていたとしても、ライブラリーと手札は非公開領域である。
400.3. オブジェクトが、オーナー以外のライブラリー、墓地、あるいは手札に行く場合、オーナーの該当する領域に行く。
400.4. カード・タイプによっては、入ることのできない領域が存在する。
400.4a インスタント・カードやソーサリー・カードが戦場に出る場合、そのカードは元あった領域に残る。
400.4b 策略・カード、現象・カード、次元・カード、計略・カード、ヴァンガード・カードが統率領域を離れる場合、そのカードは統率領域に残る。
400.5. ライブラリー、墓地、スタックにあるオブジェクトの順番は、効果またはルールによらない限り、並べ替えることはできない。他の領域にある、裏向きの束に含まれるオブジェクトについても同様である。それ以外の他の領域にあるオブジェクトは、そのオーナーが望む通りに並べ替えることができるが、誰がコントローラーか、タップあるいは反転しているかどうか、それにつけられているオブジェクトが何かは全てのプレイヤーに明白でなければならない。
400.6. オブジェクトがある領域から他の領域に移動する時、どのイベントがそのオブジェクトを動かすのかを決定する。その移動先が公開領域で、オーナーがその領域でそのオブジェクトを見ることができるのであれば、オーナーはそれを見てその移動に影響する効果があるかどうかを確認する。移動先が戦場であれば、そのオブジェクトを見ることができる他のプレイヤーも同様に見る。その後、そのオブジェクトそのものからのものもそれ以外のものも含む、そのイベントに適用可能な置換効果を適用する。効果やルールの複数の指示が矛盾している場合、そのオブジェクトのコントローラー(コントローラーが存在しない場合、オーナー)が、どの効果を適用するか、そしてその効果がどう機能するかを決める(同一のものが複数存在することによっても矛盾は発生する。例えば、複数の「破壊」効果が同時に発生する場合、お互いに矛盾する)。その後、そのイベントがそのオブジェクトを動かす。
例:《極上の大天使》は「あなたがゲームに敗北するなら、代わりに、極上の大天使を追放し、あなたのライフ総量はあなたの初期ライフ総量と等しい値になる。」という能力を持つ。呪文によってライフ総量が5点のプレイヤーと、そのプレイヤーがコントロールしている《極上の大天使》にそれぞれ5点のダメージが与えられたとする。状況起因処理が行われる時点で、そのプレイヤーのライフ総量はそのプレイヤーの初期ライフ総量になり、そのプレイヤーは《極上の大天使》をオーナーの墓地に移動させるか追放するかを選ぶ。
400.7. ある領域から他の領域に移動したオブジェクトは、以前の状態の記憶を失い、以前の状態と関係のない新しいオブジェクトになる。このルールには9つの例外がある。
400.7a スタックにあるパーマネント呪文の特性やコントローラーを変更する、呪文や起動型能力や誘発型能力の効果は、その呪文であったパーマネントにも適用され続ける。
400.7b スタックにあるパーマネント呪文からのダメージに適用される軽減効果は、その呪文であったパーマネントからのダメージにも適用される。
400.7c パーマネントの能力は、その呪文を唱えるためにどのコストが支払われたか、それらのコストを支払うためにどのマナが使われたかなど、解決されてそのパーマネントになった呪文に関する情報を参照できる。
400.7d オブジェクトがある領域から他の領域に移動することによって誘発する能力(例えば、「怨恨が戦場から墓地に置かれたとき」など)は、その誘発型能力が誘発した時に移動した先の領域が公開領域である場合、その領域においてそのオブジェクトから変わった新しいオブジェクトを見ることができる。
400.7e エンチャントされているパーマネントが戦場を離れたことによって誘発するオーラの能力は、それがエンチャントしていたパーマネントが戦場を離れるのと同時に墓地に置かれた場合、そのオーラがオーナーの墓地に置かれてなったオブジェクトを見つけることができる。また、そのオーラがパーマネントにつけられていないことによる状況起因処理(rule 704.5m 参照)によってオーナーの墓地に置かれた場合にも、オーラがオーナーの墓地に置かれてなった新しいオブジェクトを見つけることができる。
400.7f 土地でないカードに、唱えられるようにする能力を得させる効果があった場合、その能力はそのカードが唱えた結果としてスタックに移動してなったオブジェクトにも適用され続ける。
400.7g 効果によって土地でないカードを唱えられる場合、その効果の他の部分はそのカードをその方法で唱えた結果としてスタックに移動してなったオブジェクトを参照できる。
400.7h 効果によってオブジェクトが公開領域に移動した場合、その効果の他の部分はそのオブジェクトを見つけることができる。呪文や能力のコストによってオブジェクトが公開領域に移動した場合、その呪文や能力の効果はそのオブジェクトを見つけることができる。
400.7i マッドネスの誘発型能力の解決後に(rule 702.34 参照)、その追放されたカードが唱えられることなく公開領域に移動した場合、捨てられたカードを参照する効果はそのオブジェクトを見つけることができる。
400.8. 追放 領域にあるオブジェクトが追放された場合、領域は移動しないが、新しく追放されたのと同じように新しいオブジェクトになる。
400.9. 統率領域のオモテ向きのオブジェクトが裏向きになった場合、それは新しいオブジェクトになる。
400.10. 統率領域にあるオブジェクトが統率領域に置かれる場合、領域は移動しないが、新しく統率領域に置かれたのと同じように新しいオブジェクトになる。
400.11. そのゲームの領域のいずれにも存在しないオブジェクトはゲームの外部にあるという。ゲームの外部は領域ではない。
400.11a プレイヤーのサイドボードにあるカードは、ゲームの外部にある。rule 100.4 参照。
400.11b ゲームの外部にあるカードをゲーム内に持ち込む効果が存在する。それらのカードは、ゲーム終了までゲーム内に残る。
400.11c ゲームの外部にあるカードは、呪文や能力の影響を受けない。これの例外は、それらの記載された特性定義能力(rule 604.3 参照)と、それらのカードをゲーム内に持ち込む呪文や能力だけである。
400.12. プレイヤーにいずれかの領域に対して何かをさせる効果(「あなたの手札をあなたのライブラリーに加えて切り直す/Shuffle your hand into your library.」など)が存在する。その処理はその領域にあるすべてのカードに機能する。領域そのものは影響されない。
401.1. ゲームが始まるとき、各プレイヤーのデッキはそのライブラリーとなる。
401.2. それぞれのライブラリーは、一つの、裏向きの束でなければならない。プレイヤーはライブラリーのカードを覗いたり、その順序を変化させてはならない。
401.3. プレイヤーはいつでも、任意のプレイヤーのライブラリーに残っているカードの枚数を数えることができる。
401.4. 何らかの効果が同時に複数枚のカードを同じライブラリーの特定の場所に置く場合、それらのカードのオーナーがその置く順序を決めることができる。そのライブラリーのオーナーは、どのような順番でライブラリーに置いたのかを公開しない。
401.5. プレイヤーに、ライブラリーの一番上のカードを公開してプレイするように指示し、あるいはプレイヤー1人が自分のライブラリーの一番上のカードを見てもよいとする効果が存在する。呪文を唱えている間に一番上のカードが入れ替わった場合、その呪文が唱えられ終わる(rule 601.2i 参照)まで、新しいカードは公開されないし、見てはならない。これは能力の起動に関しても同じである。
401.6. 何らかの効果によってライブラリーの一番上のカードが公開されている状態でプレイしている場合、その特定のカードが一瞬であれ非公開になった後で再び同じカードが公開されたとしても、新しいオブジェクトとなる。
401.7. 効果によってプレイヤーがカードをライブラリーの「上からN番目」に置く場合、そのライブラリーにN枚のカードがなかった場合、そのプレイヤーはそのカードをそのライブラリーの一番下に置く。
402.1. 手札は、プレイヤーが引いたカードを持っておく場所である。他の効果によってカードが手札に戻されることもある。ゲームの開始時に、それぞれのプレイヤーは通常7枚である初期手札枚数分のカードを引く。rule 103〔ゲームの始め方〕参照。
402.2. それぞれのプレイヤーに手札の上限が決まっており、通常は7枚である。プレイヤーはその手札に何枚でもカードを持つことができるが、クリンナップ・ステップの間に、手札の上限を越える分のカードを捨てなければならない。
402.3. プレイヤーはその手札を便利なように並べることができ、いつでも見ることができる。他のプレイヤーの手札を見ることはできないが、いつでもその枚数を数えることはできる。
403.1. プレイヤー間のやりとりの主な舞台になるのは戦場である。戦場は、最初は空である。プレイヤーがコントロールしているパーマネントは、通常、そのプレイヤーの目の前の戦場に置かれるが、(他のプレイヤーのパーマネントにつけられたオーラなどの)特定の場合には、他のプレイヤーにより近いところに置かれることがある。
403.2. カードに、プレイヤーや他の領域について明記されていない限り、呪文や能力は戦場にのみ影響を及ぼし、また、戦場にあるものだけを考慮する。
403.3. パーマネントは戦場にのみ存在する。戦場に存在するオブジェクトはパーマネントである。rule 110〔パーマネント〕参照。
403.4. パーマネントが戦場に出たとき、それは新しいオブジェクトとなり、その同じカードによって現わされていたパーマネントとは rule 400.7 に記された例外を除いて無関係である。(これは他の領域に移動するオブジェクトについて言える。)
403.5. かつて、戦場は「場/in-play」領域と呼ばれていた。カードに「場にある/in play」「場から/from play」「場に/into play」などの表現で書かれている場合、戦場を参照する。そのように記載されているカードは、オラクルで訂正されている。
404.1. プレイヤーの墓地とは、そのプレイヤーの捨て札の束である。打ち消された、捨てられた、破壊された、または生け贄に捧げられたオブジェクト、ならびに解決が終わったインスタント・呪文やソーサリー・呪文はオーナーの墓地の一番上に置かれる。各プレイヤーの墓地は、最初は空である。
404.2. それぞれの墓地は、一つの、オモテ向きの束でなければならない。プレイヤーは、それぞれの墓地のカードをいつでも見ることができるが、その順序を変えることはできない。認定イベントに適用される追加のルールによって、プレイヤーは墓地にあるカードの順番を変えてもよいとされることがある。
404.3. 何らかの効果やルールによって2枚以上のカードが同時に墓地に置かれる場合、それらのカードのオーナーがその順序を決めてもよい。
405.1. 呪文が唱えられたら、物理的にスタックに積まれる(rule 601.2a 参照)。能力が起動され、あるいは誘発したら、カードによって表されてはいないけれども、その能力がスタックの一番上に置かれる。rule 602.2a、rule 603.3 参照。
405.2. スタックは、それに加えられた呪文や能力の順序を記録している。オブジェクトがスタックに積まれたとき、それは既に積まれている全てのオブジェクトの上に積まれる。
405.3. 何らかの効果によって複数のオブジェクトが同時にスタックに積まれる場合、アクティブ・プレイヤーがコントロールしているものが最初に積まれ、それからAPNAP順(rule 101.4 参照)で他のプレイヤーのオブジェクトがスタックに積まれる。1人のプレイヤーが複数のオブジェクトをコントロールしている場合、そのプレイヤーが自分のオブジェクトをスタックに積む順番を決める。
405.4. 呪文は、そのカードが持つ特性全てを持つ。スタックにある起動型能力や誘発型能力は、その能力のテキストだけを持ち、他の特性は持たない。呪文のコントローラーは、それを唱えたプレイヤーである。起動型能力のコントローラーは、それを起動したプレイヤーである。遅延誘発型能力以外の誘発型能力のコントローラーは、その能力が誘発したときにその発生源をコントロールしていたプレイヤーである。遅延誘発型能力のコントローラーについては、rule 603.7d-f 参照。
405.5. 全てのプレイヤーが続けてパスしたとき、スタックの一番上の(最新の)呪文や能力が解決される。全てのプレイヤーがパスしたときにスタックが空ならば、現在のステップやフェイズが終わり、次が始まる。
405.6. ゲーム中に発生する出来事の中で、スタックを用いないものがある。
405.6a 効果はスタックに積まれない。それらは呪文や能力が解決された結果である。効果によって遅延誘発型能力も作られることがあるが、それらは誘発した時にスタックに積まれる。(rule 603.7 参照。)
405.6b 常在型能力は継続的に効果を発生させ、スタックに積まれない(rule 604〔常在型能力の扱い〕参照)。これには、「[このオブジェクト]は赤である。/[this object] is red」といった特性定義能力(rule 604.3 参照)を含む。
405.6c マナ能力は即座に解決される。マナ能力にマナを出す以外の効果がある場合、マナが出て、即座に他の効果も起こる。プレイヤーがマナ能力を起動する前に優先権を持っていた場合、その解決後に優先権を得る。(rule 605〔マナ能力〕参照。)
405.6d 特別な処理はスタックを用いない。それらは即座に発生する。rule 116〔特別な処理〕参照。
405.6e ターン起因処理はスタックを用いない。それらは特定のステップやフェイズが始まったときに自動的に発生する。それらはプレイヤーが優先権を得る前に処理される(rule 117.3a 参照)。ターン起因処理は、各ステップやフェイズが終わったときにも自動的に発生する。その後でプレイヤーが優先権を得ることはない。rule 703 参照。
405.6f 状況起因処理はスタックを用いない。それらは、特定の条件を満たしているなら発生する。rule 704 参照。それらはプレイヤーが優先権を得る前に処理される。rule 117.5 参照。
405.6g プレイヤーはいつでもゲームに投了できる。そのプレイヤーは即座にゲームから除外される。rule 104.3a 参照。
405.6h 多人数戦においてプレイヤーがゲームから除外された場合、オブジェクトはその結果としてゲームから除外されたり消滅したりコントロールが変わったり追放されたりする。これらの処理は即座に発生する。rule 800.4a 参照。
406.1. 追放 領域はオブジェクトを保持する領域である。オブジェクトを戻る手段を持たずに追放する呪文や能力もあれば、オブジェクトを一時的にだけ追放する呪文や能力もある。
406.2. オブジェクトを追放するとは、そのオブジェクトが現在存在する領域から追放 領域に動かすことである。追放されたカードとは、追放 領域に動かされたカードのことである。
406.3. 追放されたカードは通常オモテ向きであり、全てのプレイヤーに公開されている。「裏向きで追放されている/exiled face down」カードは、説明によって許可されていない限り、いずれのプレイヤーによっても見ることはできない。ただし、プレイヤーが裏向きで追放されているカードを見ることができることになったら、そのカードが追放され続けている限り、見ることができるとする効果が終わったあとでも見ることができる。
406.3a 裏向きで追放されているカードは特性を持たないが、追放した呪文や能力によってはそのカードを追放 領域からプレイできるものがある。カードが裏向きで唱えられる(rule 707.4 参照)のでない限り、そのカードをプレイする(rule 601.2 参照)と宣言する直前にそのカードはオモテ向きになる。
406.3b 呪文や能力の中には、プレイヤーが追放 領域にある裏向きのカードの中から特定の性質を持つ呪文を唱えられるようにするものがある。プレイヤーがその種の呪文を唱えられるのは、追放 領域にあるその裏向きのカードを見ることができて、かつ結果の呪文がその特定の性質を持つ場合だけである。
406.4. 追放 領域にある裏向きのカードは、いつどのように追放されたかによって別々の束に置かれるべきである。プレイヤーが追放されているカードを選ぶよう指示された場合、そのプレイヤーは、カードのオモテを見ることができる場合にのみ特定の裏向きのカードを選ぶことができる。そうでなければ、裏向きで追放されているカードの束を1つ選び、その束から無作為にカードを1枚選ぶことになる。こうしてカードを選ぶことが呪文を唱えることや能力を起動することの一部だった場合、その選ばれたカードはそのコストが支払い終わるまで公開されない(rule 601.2i 参照)。
406.5. 追放されたカードで、戦場やそのほかの領域に戻る可能性のあるものは、その戻る方法が解るように、別々の束にして置かれるべきである。追放されたカードで、それ自身の能力(憑依など)や追放したカードの能力によってゲームに影響を及ぼしうるものも、同様に別々の束にして置かれるべきである。
406.6. カードを追放する能力と、「追放されたカード」あるいは「[オブジェクト]によって追放されたカード」を参照する別の能力とが書かれているオブジェクトが存在する。これらの能力は関連しているものであり、この2つめの能力は、その1つめの能力によって追放されているカードだけを参照する。rule 607〔関連している能力〕参照。
406.7. 追放 領域にあるオブジェクトが追放された場合、領域は移動しないが、新しく追放されたのと同じように新しいオブジェクトになる。
406.8. かつて、追放 領域は「ゲーム外/Removed-from-the-game」領域と呼ばれていた。カードに「[オブジェクトを]ゲームから取り除く/removes [an object] from the game」というように書かれている場合、そのオブジェクトを追放する。「[オブジェクトを]脇に置く/sets [an object] aside」も同じである。そのように記載されているカードは、オラクルで訂正されている。
407.1. マジックの昔のルールには、「勝ち取ったものを返さない」でプレイする方法としてのアンティ・ルールが存在した。アンティを賭けてプレイすることは、現在では、このゲームにおける選択ルールであり、法律その他の規則で禁止されていない地区でのみ許される。アンティを賭けてプレイすることは、マジック・イベント規定(http://www.wizards.com/WPN/Events/Rules.aspx)の下では厳しく禁止されている。
407.2. アンティを賭けてプレイする場合、ゲームの開始時に、各プレイヤーはそれぞれのデッキからカードを無作為に1枚選び、それをアンティ 領域に置く。アンティ 領域にあるカードは、いつでも全てのプレイヤーが確認できる。ゲームの終了時に、勝利者はアンティ 領域にあるカード全ての所有権を得る。
407.3. 「アンティを賭けてプレイしていないなら、プレイ前に[このカード]をデッキから取り除く/Remove [this card] from your deck before playing if you're not playing for ante.」と書かれているカードがある。この類のカードだけが、アンティ 領域にカードを追加したり、取り除いたり、あるいはカードのオーナーを変更したりすることができる。プレイヤーがアンティを賭けてプレイしていないときは、これらのカードはデッキにもサイドボードにも入れることはできず、ゲーム外からゲーム内に持ってくることもできない。
407.4. オブジェクトをアンティするとは、そのオブジェクトを現在ある領域からアンティ 領域に移すことである。オブジェクトのオーナーだけがそのオブジェクトをアンティすることができる。
408.1. 統率領域は、特別に定められた、ゲーム全体に影響を及ぼす効果を持つオブジェクトだけが置かれるゲームの場所である。それらのオブジェクトはパーマネントではなく、破壊されることもない。
408.2. 紋章は統率領域に生成されうる。rule 114〔紋章〕参照。
408.3. プレインチェイス戦、ヴァンガード戦、統率者戦、アーチエネミー戦、コンスピラシー・ドラフトの各カジュアル変種ルールにおいて、定形外のマジックのカード、あるいは特に指定されたカードを統率領域に置いた状態でゲームを始める。それらの変種ルールにはそれらのカードに関するルールがそれぞれ存在する。rule 9〔カジュアル変種ルール〕参照。
500.1. ターンは順に「開始/beginning」「戦闘前メイン/precombat main」「戦闘/combat」「戦闘後メイン/postcombat main」「終了/ending」の5つのフェイズからなる。それぞれのフェイズは、なにも起こることがなくてもターンごとに存在する。開始、戦闘、終了の各フェイズはさらにステップに細分化され、順番に処理される。
500.2. プレイヤーが優先権を得るフェイズやステップは、スタックが空で、かつ全てのプレイヤーが続けてパスしたときに終了する。スタックが空になったことでフェイズやステップが終わるわけではない。スタックが空の状態で、全てのプレイヤーが続けてパスしなければならない。従って、それぞれのプレイヤーには、そのフェイズやステップが終了する前に、新しい物をスタックに積む機会がある。
500.3. プレイヤーが優先権を得ないステップは、そのステップに行なうことになっている全ての処理が終わったときに終了する。この種のステップは、アンタップ・ステップ(rule 502 参照)とクリンナップ・ステップ(rule 514 参照)だけである。
500.4. ステップやフェイズが終わったとき、プレイヤーのマナ・プールに残っている未使用のマナは空になる。このターン起因処理はスタックを用いない。
500.5. フェイズやステップが終わったとき、そのフェイズやステップの「終わりまで/until end of 〜」続く予定だった効果は消滅する。また、あるフェイズやステップ「まで/until 〜」続く予定だった効果はそのフェイズやステップの開始時に消滅する。「戦闘終了時まで/until end of combat」続く効果は、戦闘フェイズの終了時に消滅するのであり、戦闘終了ステップの開始時ではない。「ターン終了時まで/until end of turn」続く効果は、特別なルールが適用される。rule 514.2 参照。
500.6. フェイズやステップが始まるとき、そのフェイズまたはステップの「開始時に/at the beginning of 〜」発生する誘発型能力が誘発する。それらは、次にプレイヤーが優先権を得る時点でスタックに積まれる(rule 117〔タイミングと優先権〕参照)。
500.7. 効果によって、プレイヤーは追加のターンを得ることがあり得る。その場合、得たターンを指定されたターンの直後に追加する。1ターンの間に、1人のプレイヤーが複数の追加のターンを得た場合、そのターンは1つずつ追加される。複数のプレイヤーが追加のターンを得る場合、そのターンはAPNAP順で(rule 101.4 参照)1つずつ追加される。そして、一番最後に作られたターンが最初に処理される。
500.8. 効果によって、ターンの間にフェイズが追加されることがある。特定のフェイズのすぐ後にそのフェイズが加えられる。複数の追加フェイズが同じフェイズの後に追加される場合、一番最後に作られたフェイズが最初に処理される。
500.9. 効果によって、フェイズの間にステップが追加されることがある。特定のステップのすぐ後に(あるいは特定のステップの前に)そのステップが加えられる。複数の追加ステップが同じステップの後に追加される場合、一番最後に作られたステップが最初に処理される。
500.10. 効果によって、ステップ、フェイズ、ターンが飛ばされることがある。ステップ、フェイズ、ターンを飛ばすということは、それが存在しないかのようにゲームを進めるということである。rule 614.10 参照。
500.11. ターン間、フェイズ間、ステップ間にはゲームのイベントは起こらない。
501.1. 開始フェイズは順に「アンタップ/untap」「アップキープ/upkeep」「ドロー/draw」の3つのステップからなる。
502.1. まず、アクティブ・プレイヤーがコントロールしているフェイジングを持つすべてのフェイズ・イン状態のパーマネントはフェイズ・アウトするとともに、フェイズ・アウトした時点でアクティブ・プレイヤーがコントロールしていたフェイズ・アウトしている全てのパーマネントがフェイズ・インする。これらはすべて同時に発生する。このターン起因処理はスタックを用いない。rule 702.25〔フェイジング〕参照。
502.2. 次に、アクティブ・プレイヤーは、自分がコントロールしているパーマネントのうちでどれをアンタップするかを決定し、それらを同時にアンタップする(このゲームの処理はスタックを使用しない)。通常、プレイヤーのパーマネントはすべてアンタップするが、効果によって、プレイヤーがコントロールしているパーマネントのアンタップが妨げられることがある。
502.3. アンタップ・ステップの間には、プレイヤーが優先権を得ることはない。したがって、呪文が唱えられることも解決されることもなく、能力が起動されることも解決されることもない。このステップ中に誘発した能力は、次にプレイヤーが優先権を得たとき、すなわち、ほとんどの場合において、アップキープ・ステップ中に処理されることになる。rule 503〔アップキープ・ステップ〕参照。
503.1. アップキープ・ステップにはターン起因処理は存在しない。アップキープが始まると、アクティブ・プレイヤーは優先権を得る(rule 117〔タイミングと優先権〕参照)。
503.1a そのアンタップ・ステップの間に誘発した能力と、そのアップキープ・ステップの開始時に誘発する能力が、アクティブ・プレイヤーが優先権を得る前に、それらの誘発した順番によらず、スタックに積まれる(rule 603〔誘発型能力の扱い〕参照)
503.2. 「[プレイヤーの]アップキープ・ステップの後にのみ/after [a player's] upkeep step」唱えられる呪文は、そのターンに複数のアップキープ・ステップがある場合、1つめのアップキープ・ステップが終わっていればいつでも唱えることができる。
504.1. まず、アクティブ・プレイヤーはカードを1枚引く。このターン起因処理はスタックを用いない。
504.2. 次に、アクティブ・プレイヤーが優先権を得る(rule 117〔タイミングと優先権〕参照)。
505.1. 各ターンには、2つのメイン・フェイズが存在する。第1メイン・フェイズ(あるいは戦闘前メイン・フェイズ)と第2メイン・フェイズ(または戦闘後メイン・フェイズ)は、戦闘フェイズ(rule 506〔戦闘フェイズ〕参照)によって区切られている。戦闘前、戦闘後のメイン・フェイズはそれぞれだけでも「メイン・フェイズ」と呼ばれることがあるし、それらをまとめてそう呼ばれることもある。
505.1a ターンの一番最初のメイン・フェイズだけが戦闘前メイン・フェイズであり、それ以外のメイン・フェイズは戦闘後メイン・フェイズである。戦闘フェイズを飛ばしたあとの2つめのメイン・フェイズや、ターンに追加の戦闘フェイズと追加のメイン・フェイズを得させるような効果によって得られたメイン・フェイズも戦闘後メイン・フェイズである。
505.2. メイン・フェイズにはステップは存在しないため、スタックが空のときに全てのプレイヤーが続けてパスしたときにメイン・フェイズが終了する。(rule 500.2 参照。)
505.3. アーチエネミー戦(rule 904 参照)において、アクティブ・プレイヤーが魔王である場合、そのフェイズが戦闘前メイン・フェイズであれば、アクティブ・プレイヤーは自分の計略 デッキの一番上のカードを実行中にする(rule 701.25 参照)。このターン起因処理はスタックを使わない。
505.4. 次に、アクティブ・プレイヤーが1つ以上の英雄譚・エンチャントをコントロールしていて、今がアクティブ・プレイヤーの戦闘前メイン・フェイズであれば、アクティブ・プレイヤーは自分のコントロールしている英雄譚の上に伝承カウンターをそれぞれ1個置く。(rule 714〔英雄譚・カード〕参照)。このターン起因処理はスタックを使わない。
505.5. 次に、アクティブ・プレイヤーが優先権を得る(rule 117〔タイミングと優先権〕参照)。
505.5a 通常、メイン・フェイズにのみ、プレイヤーはアーティファクト・呪文、クリーチャー・呪文、エンチャント・呪文、プレインズウォーカー・呪文、ソーサリー・呪文を唱えられる。アクティブ・プレイヤーがこれらの呪文を唱えられる。
505.5b メイン・フェイズの間、アクティブ・プレイヤーは、スタックが空であり、自分が優先権を持ち、そしてまだこのターンに土地をプレイしていないときに限り(効果によって追加の土地がプレイできる場合を除く)、土地・カードを1枚手札からプレイすることができる。(rule 305〔土地〕参照。)この処理はスタックを用いない。この土地も土地をプレイする処理も、呪文や能力ではないので、この処理は打ち消されず、インスタントや起動型能力で対応することはできない。
506.1. 戦闘フェイズは順に「戦闘開始/beginning of combat」「攻撃クリーチャー指定/declare attackers」「ブロック・クリーチャー指定/declare blockers」「戦闘ダメージ/combat damage」「戦闘終了/end of combat」の5つのステップからなる。ブロック・クリーチャー指定ステップと戦闘ダメージ・ステップは、攻撃クリーチャーが1体も指定されず、攻撃している状態で戦場に出る(rule 508.8 参照)こともなかった場合には飛ばされる。攻撃クリーチャーかブロック・クリーチャーが先制攻撃(rule 702.7 参照)か二段攻撃(rule 702.4 参照)を持っている場合、戦闘ダメージ・ステップは2つ存在する。
506.2. 戦闘フェイズの間、アクティブ・プレイヤーは攻撃 プレイヤーである。そのプレイヤーがコントロールしているクリーチャーは攻撃できる。2人対戦の戦闘フェイズの間、非アクティブ・プレイヤーは防御プレイヤーである。そのプレイヤーとそれがコントロールしているプレインズウォーカーは攻撃されることができる。
506.2a 多人数戦の戦闘フェイズの間、使っている変種ルールや選択ルールによって、1人またはそれ以上の防御プレイヤーが存在する。攻撃 プレイヤーの対戦相手すべてが戦闘フェイズの間自動的に防御プレイヤーになるのでない限り、攻撃 プレイヤーは対戦相手の1人を戦闘開始ステップのターン起因処理として選ぶ。(この選択は用いられている変種ルールや選択ルールに影響される。)そのプレイヤーは、防御プレイヤーとなる。rule 802〔「複数への攻撃」選択ルール〕、rule 803〔「左翼への攻撃」「右翼への攻撃」選択ルール〕、rule 809〔「皇帝戦」変種ルール〕参照。
506.2b 共有チーム・ターン選択ルールを用いる多人数戦では、アクティブ・チームが攻撃チームとなり、非アクティブ・チームが防御チームとなる。rule 805〔「共有チーム・ターン」選択ルール〕参照。
506.3. クリーチャーだけが攻撃したりブロックしたりできる。プレイヤーやプレインズウォーカーにだけ攻撃できる。
506.3a 何らかの効果によってクリーチャーでないパーマネントが攻撃またはブロックしている状態で戦場に出る場合、そのパーマネントは戦場に出るが、攻撃したりブロックしたりしているパーマネントとしては扱われない。
506.3b 何らかの効果によってクリーチャーが攻撃 プレイヤーでないプレイヤーのコントロール下で攻撃している状態で戦場に出る場合、そのクリーチャーは戦場に出るが、攻撃クリーチャーとしては扱われない。
506.3c 何らかの効果によって、クリーチャーが、そのゲームに存在しないプレイヤーまたは既に戦場に存在していないプレインズウォーカーを攻撃している状態で戦場に出る場合、そのクリーチャーは戦場に出るが、攻撃クリーチャーとしては扱われない。
506.3d 何らかの効果によって、クリーチャーが、そのクリーチャーのコントローラーにもそのコントロールしているプレインズウォーカーにも攻撃していないクリーチャーをブロックしている状態で戦場に出る場合、そのクリーチャーは戦場に出るが、ブロック・クリーチャーとしては扱われない。
506.4. パーマネントは、戦場を離れたり、コントローラーが変わったり、フェイズ・アウトしたり、何らかの効果によって戦闘から取り除かれたり、攻撃されているプレインズウォーカーであればプレインズウォーカーでなくなったり、攻撃クリーチャーやブロック・クリーチャーであれば再生(rule 701.15 参照)したりクリーチャーでなくなったりしたら、戦闘から取り除かれる。戦闘から取り除かれたクリーチャーは、攻撃クリーチャーでも、ブロック・クリーチャーでも、ブロックされているクリーチャーでも、ブロックされていないクリーチャーでもなくなる。プレインズウォーカーを戦闘から取り除くと、攻撃されているプレインズウォーカーではなくなる。
506.4a 一旦クリーチャーが攻撃クリーチャーかブロック・クリーチャーとして指定されたなら、そのクリーチャーが攻撃やブロックに参加することを禁止する呪文や能力は、そのクリーチャーを戦闘から取り除かない。
506.4b すでに攻撃クリーチャーやブロック・クリーチャーとして指定されたクリーチャーをタップあるいはアンタップしても、戦闘から取り除くことも戦闘ダメージを軽減することもできない。
506.4c クリーチャーがプレインズウォーカーを攻撃している場合、そのプレインズウォーカーを戦闘から取り除いても、クリーチャーは戦闘から取り除かれず、攻撃クリーチャーであり続ける。しかし、プレイヤーもプレインズウォーカーも攻撃していない。ブロックされることは可能であるが、ブロックされなかった場合そのクリーチャーが戦闘ダメージを与えることはない。
506.4d ブロック・クリーチャーでもあり、攻撃されているプレインズウォーカーでもあったパーマネントが、クリーチャーでもプレインズウォーカーでもなくなった場合、そのパーマネントは戦闘から取り除かれる。どちらか一方だけを失った場合、ブロック・クリーチャーか、または攻撃されているプレインズウォーカーのどちらか該当する方であり続ける。
506.5. ある攻撃クリーチャー指定ステップに、クリーチャー1体だけが攻撃クリーチャーとして指定された場合、そのクリーチャーが「単独で攻撃する/attack alone」と言う。クリーチャー1体だけが攻撃している場合、「単独で攻撃している/attacking alone」と言う。あるブロック・クリーチャー指定ステップに、クリーチャー1体だけがブロック・クリーチャーとして指定された場合、そのクリーチャーが「単独でブロックする/block alone」という。クリーチャー1体だけがブロックしている場合、それを「単独でブロックしている/blocking alone」と言う。
506.6. 呪文の中に、「[戦闘のある時点][前/後]にのみ/only [before/after] [a particular point in the combat phase],」唱えることができるというものがある。戦闘のある時点とは、「攻撃クリーチャー指定」「ブロック・クリーチャー指定」「戦闘ダメージ・ステップ」「戦闘終了ステップ」「戦闘フェイズ」「戦闘」が含まれる。
506.6a 「攻撃クリーチャー指定前(後)にのみ」唱えることができるという呪文は、攻撃クリーチャー指定のターン起因処理を参照する。この種の呪文は、実際に攻撃クリーチャーが指定されたかどうかに関わらず、攻撃クリーチャー指定ステップの開始前(後)にのみ唱えることができる(rule 508 参照)。
506.6b 「ブロック・クリーチャー指定前(後)にのみ」唱えることができるという呪文は、ブロック・クリーチャー指定のターン起因処理を参照する。この種の呪文は、実際にブロック・クリーチャーが指定されたかどうかに関わらず、ブロック・クリーチャー指定ステップの開始前(後)にのみ唱えることができる(rule 509 参照)。
506.6c rule 506.6 の区分に加え、「戦闘中/during combat」、「あるプレイヤーの戦闘フェイズ中/during a certain player's combat phase」にのみ唱えることができるという呪文が存在する。ターンに複数の戦闘フェイズがある場合、この種の呪文はそのいずれかの戦闘フェイズ中の該当する時期にのみ唱えることができる。
506.6d 「[戦闘のある時点][前/後]にのみ」唱えることができる呪文の中で、rule 506.6c で示した追加の区分に含まれないものについては、ターンに複数の戦闘フェイズがある場合、最初の戦闘フェイズの該当する時点を参照し、その前(後)にのみ唱えることができる。
506.6e 「[戦闘のある時点]前にのみ」唱えることができるという呪文は、その戦闘フェイズでブロック・クリーチャー指定ステップと戦闘ダメージ・ステップが飛ばされたことにより示されている時点が存在しない場合(rule 508.8 参照)、攻撃クリーチャー指定ステップの終了までの間にのみ唱えることができる。該当する戦闘フェイズが飛ばされたことにより示されている時点が存在しない場合、その呪文は戦闘前メイン・フェイズの終了前にのみ唱えることができる。
506.6f 「戦闘の間で、なおかつブロック・クリーチャー指定の後にのみ/only during combat after blockers are declared,」唱えることができるという呪文は、その戦闘フェイズでブロック・クリーチャー指定ステップが飛ばされている場合(rule 508.8 参照)、その戦闘フェイズの間、唱えることができない。
506.6g rule 506.6 ならびに rule 506.6a-f は、戦闘に関する該当する時点でのみ起動することができると書かれている能力にも、戦闘に関する該当する時点でのみ唱えることができると書かれている呪文と同じように適用される。
507.1. 最初に、アクティブ・プレイヤーの対戦相手すべてが自動的に防御プレイヤーになるわけではない多人数戦であれば、アクティブ・プレイヤーは自分の対戦相手の中から1人を選ぶ。そのプレイヤーは防御プレイヤーとなる。このターン起因処理はスタックを用いない。(rule 506.2 参照。)
507.2. 次に、アクティブ・プレイヤーが優先権を得る(rule 117〔タイミングと優先権〕参照)。
508.1. まず、アクティブ・プレイヤーは攻撃クリーチャーを指定する。このターン起因処理はスタックを用いない。攻撃クリーチャーを指定するには、アクティブ・プレイヤーは次の手順を踏む。攻撃クリーチャーの指定中のどこかの時点でアクティブ・プレイヤーが手順を完了できなくなったら、その指定は不正である。ゲームは指定の始まる前まで巻き戻される。(rule 723〔不正な処理の扱い〕参照。)
508.1a アクティブ・プレイヤーは、どのクリーチャーが攻撃するかを選ぶ(この選択は任意である)。選ぶクリーチャーはアンタップ状態でなければならず、また、速攻を持っているか、あるいはそのターンの開始時からアクティブ・プレイヤーが継続してコントロールしているのでなければならない。
508.1b 防御プレイヤーがプレインズウォーカーをコントロールしているか、ゲームのルールによって複数のプレイヤーに攻撃することが認められている場合、アクティブ・プレイヤーは、それぞれのクリーチャーがどのプレイヤーまたはプレインズウォーカーを攻撃するのか指定する。
508.1c アクティブ・プレイヤーは、自分がコントロールしている各クリーチャーが何らかの制限(そのクリーチャーでは攻撃できない、あるいは何らかの条件を満たさない限りそのクリーチャーでは攻撃できないという効果)があるかどうかを確認する。制限に違反していた場合、その指定は適正ではない。
例:プレイヤーが2体のクリーチャーをコントロールしていて、それぞれに「[このクリーチャー]は単独では攻撃できない。」という制限があった場合、その両方を攻撃クリーチャーとして指定することは適正である。
508.1d アクティブ・プレイヤーは、自分がコントロールしている各クリーチャーが何らかの強制(そのクリーチャーは可能なら攻撃する、あるいは何らかの条件を満たした場合そのクリーチャーで攻撃するという効果)があるかどうかを確認する。従っている強制の数が、制限を破らない限りにおいて最大になっていない限り、攻撃クリーチャーの指定は不正である。プレイヤーがコストを支払わなければ攻撃できない場合、そのクリーチャーで攻撃することによって従っている強制の数が増えるとしても、そのコストを支払うことは求められない。 あるターンに可能なら攻撃するという強制が複数の戦闘フェイズを含むターンを指していた場合、そのクリーチャーはそのターンのそれぞれの攻撃クリーチャー指定ステップに可能なら攻撃する。
例:プレイヤーが2体のクリーチャーをコントロールしていて、一方には「可能なら攻撃する」という能力があり、他方にはそういう能力はない。「各ターン、2体以上のクリーチャーでは攻撃できない」という効果が存在する場合、適正な攻撃は「可能なら攻撃する」クリーチャーだけが攻撃することだけである。他方のクリーチャーだけで攻撃する、あるいは両クリーチャーで攻撃する、あるいはどちらも攻撃しない、といった選択は不正である。
508.1e クリーチャーの中にバンドや「他の〜とのバンド」能力を持っているクリーチャーがいる場合、アクティブ・プレイヤーは各クリーチャーがどうバンドを組んでいるのかを宣言する。(rule 702.21〔バンド〕参照。)
508.1f アクティブ・プレイヤーは選んだクリーチャーをタップする。攻撃クリーチャーとして指定したときにクリーチャーをタップするのはコストではない。攻撃によって単にタップ状態になるだけである。
508.1g 選んだクリーチャーで攻撃するための選択的コストが存在する場合(クリーチャーが攻撃するに「際し/as」支払ってもよい、と書かれている)、アクティブ・プレイヤーはどれを支払うか支払わないかを選ぶ。
508.1h 攻撃に参加するためにコストの支払いが必要、あるいは選択的コストを支払うことを選んだクリーチャーがいる場合、アクティブ・プレイヤーは攻撃に参加するための総コストを決める。コストには、マナの支払い、パーマネントのタップ、パーマネントの生け贄、カードを捨てる、等々が含まれる。総コストが決定したら、それは「固定」される。この後に効果が総コストを変更しようとしても、それは無視される。
508.1i コストにマナの支払いが必要な場合、アクティブ・プレイヤーはマナ能力を起動する機会を得る(rule 605〔マナ能力〕参照)。
508.1j 自分のマナ・プールに充分な量のマナを入れてから、そのプレイヤーは好きな順番ですべてのコストを支払う。一部しか支払わないことは認められない。
508.1k 選ばれたクリーチャーがなおアクティブ・プレイヤーによってコントロールされている場合、選ばれたクリーチャーは攻撃クリーチャーになる。戦闘から取り除かれるか、または戦闘フェイズが終わるまで、それは攻撃クリーチャーであり続ける。rule 506.4 参照。
508.2. 次に、アクティブ・プレイヤーが優先権を得る(rule 117〔タイミングと優先権〕参照)。
508.2a クリーチャーが攻撃することによって誘発する能力は、そのクリーチャーが攻撃クリーチャーとして指定された時点でのみ誘発する。クリーチャーが攻撃した後、そのクリーチャーの特性が変化してその能力の誘発条件を満たした場合には誘発しない。
例:「緑のクリーチャーが1体攻撃するたび、次の終了ステップの開始時に、そのクリーチャーを破壊する」という能力を持つパーマネントがある場合、青のクリーチャーが攻撃した後で緑になったとしても、この能力は誘発しない。
508.2b 攻撃クリーチャーが指定されたことによって誘発した能力と、rule 508.1 で定められた手順の間に誘発した能力が、アクティブ・プレイヤーが優先権を得る前に、それらの誘発した順番によらず、スタックに積まれる(rule 603〔誘発型能力の扱い〕参照)。
508.3. 攻撃クリーチャーが指定されたことによって誘発する誘発型能力には様々な誘発条件が存在しうる。
508.3a 「[クリーチャー]が攻撃するたび、/Whenever [a creature] attacks,」という能力は、そのクリーチャーが攻撃クリーチャーとして指定された場合に誘発する。同様に、「[クリーチャー]が[プレイヤーまたはプレインズウォーカー]を攻撃するたび/Whenever [a creature] attacks [a player or planeswalker],」という能力は、そのクリーチャーがそのプレイヤーやプレインズウォーカーを攻撃する攻撃クリーチャーとして指定された場合に誘発する。この種の能力は、クリーチャーが攻撃している状態で戦場に出た場合には誘発しない。
508.3b 「[プレイヤーまたはプレインズウォーカー]が攻撃されるたび、/Whenever [a player or planeswalker] is attacked,」という能力は、1体以上のクリーチャーがそのプレイヤーやプレインズウォーカーを攻撃する攻撃クリーチャーとして指定された場合に誘発する。クリーチャーが、そのプレイヤーやプレインズウォーカーを攻撃している状態で戦場に出た場合には誘発しない。
508.3c 「[プレイヤー]が[クリーチャー]で攻撃するたび、/Whenever [a player] attacks with [a creature],」という能力は、そのプレイヤーがコントロールしているそのクリーチャーが攻撃クリーチャーとして指定された場合に誘発する。
508.3d 「[クリーチャー]が攻撃してブロックされないたび、/Whenever [a creature] attacks and isn’t blocked,」という能力は、攻撃クリーチャー指定ステップではなく、ブロック・クリーチャー指定ステップの間に誘発する。rule 509.5g 参照。
508.4. クリーチャーが攻撃している状態で戦場に出る場合、そのコントローラーは、そのクリーチャーが戦場に出るに際してどの防御プレイヤーあるいは防御プレイヤーがコントロールしているどのプレインズウォーカーを攻撃するのかを(戦場に出した効果が特定していないかぎり)選択する。同様に、効果によってクリーチャーが攻撃している状態になるという場合、それのコントローラーはどの防御プレイヤーあるいは防御プレイヤーがコントロールしているプレインズウォーカーを攻撃している状態になるのかを(その効果が特定していないかぎり)選択する。それらのクリーチャーは「攻撃している」が、誘発イベントや効果に関しては「攻撃した」ものとしては扱わない。
508.4a 何らかの効果によってクリーチャーがある特定のプレイヤーを攻撃している状態で戦場に出る場合、そのプレイヤーがその効果の解決時に既にゲームにいなければ、そのクリーチャーは戦場に出るが、攻撃クリーチャーとしては扱わない。何らかの効果によってクリーチャーがあるプレインズウォーカーを攻撃している状態で戦場に出る場合で、そのプレインズウォーカーがその効果の解決時に既に戦場にいない場合にも同様である。
508.4b クリーチャーが攻撃している状態になるという効果が攻撃先として特定のプレイヤーを指定している場合、そのプレイヤーがその効果の解決時に既にゲームに存在しなかったなら、そのクリーチャーは攻撃クリーチャーにはならない。クリーチャーが特定のプレインズウォーカーを攻撃している状態になる効果で、その効果の解決時にそのプレインズウォーカーが既に戦場にない場合や既にプレインズウォーカーでない場合も同様である。
508.4c 攻撃している状態で戦場に出る、あるいは攻撃している状態になる効果の影響を受けるクリーチャーは、その攻撃クリーチャー指定に関する強制や制限の影響を受けない。
508.5. 攻撃クリーチャーの能力が防御プレイヤーを参照している場合、あるいは単一の呪文や能力が攻撃クリーチャーと防御プレイヤーの両方を参照している場合、特に規定されていない限り、そのクリーチャーが攻撃しているプレイヤー、あるいはそのクリーチャーが攻撃しているプレインズウォーカーのコントローラーを参照する。そのクリーチャーがすでに攻撃していない場合、参照している防御プレイヤーは、そのクリーチャーが戦闘から除かれる前に攻撃していたプレイヤーや、そのクリーチャーが戦闘から除かれる前に攻撃していたプレインズウォーカーのコントローラーである。
508.5a 多人数戦において、「防御プレイヤー/defending player」を参照するルールやオブジェクトあるいは効果は、防御プレイヤー全員ではなく、特定の防御プレイヤー1人を参照する。複数の攻撃クリーチャーに適用される呪文や能力である場合、該当する防御プレイヤーはそれぞれの攻撃クリーチャーごとに別々に決定される。複数の防御プレイヤーが選びうる場合、その呪文や能力のコントローラーが1人を選ぶ。
508.6. プレイヤーは、他のプレイヤーを攻撃しているクリーチャーをコントロールしている場合、「攻撃[プレイヤー]/attacking [a player]」となる。他のプレイヤーを攻撃する攻撃クリーチャーを1体以上指定した場合、そのプレイヤーは「[他のプレイヤー]を攻撃した/has attacked [a player]」状態になる。
508.7. クリーチャーが攻撃しているプレイヤーやプレインズウォーカーをプレイヤーに選び直させることを認めるカードが1枚(《門の魔道士》)存在する。
508.7a その攻撃クリーチャーは戦闘から取り除かれることはなく、2回攻撃したものとしては扱わない。そのクリーチャーは選び直されたプレイヤーやプレインズウォーカーを攻撃しているが、攻撃クリーチャーとして宣言されるに際して選ばれたプレイヤーやプレインズウォーカーを攻撃したものとして扱われる。
508.7b クリーチャーが攻撃しているプレイヤーやプレインズウォーカーを選び直すに際しては、そのクリーチャーは攻撃クリーチャー宣言に適用される強制や制限の影響を受けない。
508.7c 選び直されたプレイヤーやプレインズウォーカーは、その攻撃クリーチャーのコントローラーの対戦相手またはその攻撃クリーチャーのコントローラーの対戦相手がコントロールしているプレインズウォーカーでなければならない。
508.7d 「複数への攻撃」選択ルール(rule 802 参照)を使っていない多人数戦においては、選び直されたプレイヤーやプレインズウォーカーは、選ばれた防御プレイヤーまたはそのプレイヤーがコントロールしているプレインズウォーカーでなければならない。
508.7e 「影響範囲限定」選択ルール(rule 801 参照)を使った多人数戦においては、選び直されたプレイヤーやプレインズウォーカーは、その攻撃クリーチャーのコントローラーの影響範囲内に存在しなければならない。
508.8. 攻撃クリーチャーが指定されず、攻撃している状態で戦場に出たクリーチャーもなかった場合、ブロック・クリーチャー指定ステップと戦闘ダメージ・ステップは飛ばされる。
509.1. まず、防御プレイヤーはブロック・クリーチャーを指定する。このターン起因処理はスタックを用いない。ブロック・クリーチャーを指定するために、防御プレイヤーは以下の手順を踏む。ブロック・クリーチャーの指定中のどこかの時点で防御プレイヤーが手順を完了できなくなったら、その指定は不正である。ゲームは指定の始まる前まで巻き戻される。(rule 723〔不正な処理の扱い〕参照。)
509.1a 防御プレイヤーは、どのクリーチャーがブロックするかを選ぶ(この選択は任意である)。選ぶクリーチャーはアンタップ状態でなければならない。選択したクリーチャーのそれぞれについて、防御プレイヤーは、ブロック先として自分またはそのコントロールしているプレインズウォーカー1体を攻撃してきているクリーチャー1体を選ぶ。
509.1b 防御プレイヤーは、自分がコントロールしている各クリーチャーが何らかの制限(そのクリーチャーではブロックできない、あるいは何らかの条件を満たさない限りそのクリーチャーではブロックできないという効果)があるかどうかを確認する。制限に違反していた場合、その指定は適正ではない。
この制限は回避能力(攻撃クリーチャーの持つ、ブロックされうる相手を制限する常在型能力)によって作られることがある。適正なブロックが指定された後で攻撃クリーチャーが回避能力を得たり失ったりしても、そのブロックは影響を受けない。異なる複数の回避能力がある場合、それらはそれぞれに有効である。
例:攻撃クリーチャーが飛行とシャドーを持っていた場合、飛行を持っていてシャドーを持っていないクリーチャーはそれをブロックできない。
509.1c 防御プレイヤーは、自分がコントロールしている各クリーチャーが何らかの強制(そのクリーチャーはブロックする、あるいは何らかの条件を満たした場合そのクリーチャーでブロックするという効果)があるかどうかを確認する。従っている強制の数が、制限を破らない限りにおいて最大になっていない限り、ブロック・クリーチャーの指定は不正である。プレイヤーがコストを支払わなければブロックできない場合、そのクリーチャーでブロックすることによって従っている強制の数が増えるとしても、そのコストを支払うことは求められない。あるターンに可能ならブロックするという強制が複数の戦闘フェイズを含むターンを指していた場合、そのクリーチャーはそのターンのそれぞれのブロック・クリーチャー指定ステップに可能ならブロックする。
例:プレイヤーが2体のクリーチャーをコントロールしていて、一方(クリーチャーA)には「可能ならブロックする」という能力があり、他方(クリーチャーB)にはそういう能力はない。威迫を持つクリーチャーでそのプレイヤーを攻撃した場合、そのプレイヤーは両方のクリーチャーでブロックしなければならない。クリーチャーAだけでブロックすることは、威迫(その攻撃クリーチャーは2体以上のクリーチャーによってしかブロックされない)による制限に違反する。クリーチャーBだけでブロックすることは、威迫による制限とクリーチャーAのブロック 強制に違反する。どちらのクリーチャーもブロックしないのは制限には違反しないが強制に違反する。
509.1d ブロックに参加するためにコストの支払いが必要なクリーチャーがいる場合、防御プレイヤーはブロックに参加するための総コストを決める。コストには、マナの支払い、パーマネントのタップ、パーマネントの生け贄、カードを捨てる、等々が含まれる。総コストが決定したら、それは「固定」される。この後に効果が総コストを変更しようとしても、それは無視される。
509.1e コストにマナの支払いが必要な場合、アクティブ・プレイヤーはマナ能力を起動する機会を得る(rule 605〔マナ能力〕参照)。
509.1f 自分のマナ・プールに充分な量のマナを入れてから、そのプレイヤーは好きな順番ですべてのコストを支払う。一部しか支払わないことは認められない。
509.1g 選ばれたクリーチャーがなお防御プレイヤーによってコントロールされている場合、選ばれたクリーチャーはブロック・クリーチャーになる。戦闘から取り除かれるか、または戦闘フェイズが終わるまで、それはブロック・クリーチャーであり続ける。rule 506.4 参照。
509.1h ブロック・クリーチャーとして指定されたクリーチャーが1体以上存在する攻撃クリーチャーは、「ブロックされているクリーチャー/blocked creature」になる。ブロック・クリーチャーが存在しないクリーチャーは「ブロックされていないクリーチャー/unblocked creature」になる。戦闘から取り除かれるか、何らかの効果によってブロックされている状態あるいはブロックされていない状態になるか、または戦闘フェイズが終わるまでそのままである。それをブロックしているクリーチャーがすべて戦闘から取り除かれたとしても、ブロックされているクリーチャーはブロックされているままである。
509.1i ブロック・クリーチャーが指定されることによって誘発する能力が誘発する。rule 509.4 参照。
509.2. 次に、ブロックされている攻撃クリーチャーごとに、アクティブ・プレイヤーはそのクリーチャーをブロックしているクリーチャー群の中でのダメージ割り振り順を任意に決めて宣言する。(戦闘ダメージ・ステップの間、攻撃クリーチャーがそれをブロックしているクリーチャーに戦闘ダメージを与えるためには、ダメージ割り振り順でそれよりも前にあるクリーチャーすべてに致死ダメージが割り振られていなければならない。)このターン起因処理はスタックを用いない。
例:《巨森を喰らうもの》は《ラノワールのエルフ》と《ルーン爪の熊》と《セラの天使》にブロックされている。《巨森を喰らうもの》のコントローラーは、《巨森を喰らうもの》のダメージ割り振り順を《セラの天使》→《ラノワールのエルフ》→《ルーン爪の熊》と宣言する。
509.2a ブロック・クリーチャー指定ステップの間、ブロック・クリーチャーが戦闘から取り除かれたり、呪文や能力によってその攻撃クリーチャーをブロックするのを止めたりした場合、そのブロック・クリーチャーは該当するダメージ割り振り順から取り除かれる。他のブロック・クリーチャーの順番は変更されない。
509.3. その後、ブロック・クリーチャーごとに、防御プレイヤーはそれがブロックしているクリーチャー群の中でのダメージ割り振り順を任意に決めて宣言する。(戦闘ダメージ・ステップの間、ブロック・クリーチャーがそれにブロックされているクリーチャーに戦闘ダメージを与えるためには、ダメージ割り振り順でそれよりも前にあるクリーチャーすべてに致死ダメージが割り振られていなければならない。)このターン起因処理はスタックを用いない。
509.3a ブロック・クリーチャー指定ステップの間、攻撃クリーチャーが戦闘から取り除かれたり、呪文や能力によってそのブロック・クリーチャーがその攻撃クリーチャーをブロックするのを止めたりした場合、その攻撃クリーチャーは該当するダメージ割り振り順から取り除かれる。他の攻撃クリーチャーの順番は変更されない。
509.4. その後、アクティブ・プレイヤーが優先権を得る(rule 117〔タイミングと優先権〕参照)。
509.4a ブロック・クリーチャーが指定されたことで誘発した能力や、rule 509.1-3 で示された手順の間に誘発した能力が、アクティブ・プレイヤーが優先権を得る前に、それらの誘発した順番によらず、スタックに積まれる(rule 603〔誘発型能力の扱い〕参照)。
509.5. ブロック・クリーチャーが指定されたことによって誘発する誘発型能力には様々な誘発条件が存在しうる。
509.5a 「[クリーチャー]がブロックするたび、/Whenever [a creature] blocks,」と書いてある能力は、複数のクリーチャーをブロックした場合でも、そのクリーチャーについては、1回の戦闘につき1回だけ、ブロック・クリーチャーとして指定されたときにのみ誘発する。また、この能力はそのクリーチャーが効果の結果としてブロック・クリーチャーになったときにも誘発するが、それはその時点でブロック・クリーチャーでなかった場合だけである(rule 509.1g 参照)。そのクリーチャーがブロックしている状態で戦場に出た場合には誘発しない。
509.5b 「[クリーチャー]がクリーチャーを1体ブロックするたび、/Whenever [a creature] blocks a creature,」と書いてある能力は、指定されたクリーチャーがブロックした攻撃クリーチャー1体につき1回、ブロック・クリーチャーとして指定されたときに誘発する。また、この能力はそのクリーチャーが効果の結果としてブロック・クリーチャーになったときにも誘発するが、それはその時点でブロック・クリーチャーでなかった場合だけである。そのクリーチャーがブロックしている状態で戦場に出た場合には誘発しない。
509.5c 「[クリーチャー]がブロックされた状態になるたび、/Whenever [a creature] becomes blocked,」と書いてある能力は、そのクリーチャーが複数のクリーチャーによってブロックされた場合でも1回の戦闘につき1回、少なくとも1体のブロック・クリーチャーが指定されてブロックされた状態になるときに誘発する。また、効果によってその攻撃クリーチャーがブロックされたり、クリーチャーがブロックした状態で戦場に出されたりした場合にも誘発するが、それはその戦闘においてそのクリーチャーがまだブロックされていない場合に限る。(rule 509.1h 参照)
509.5d 「[クリーチャー]がクリーチャー1体にブロックされた状態になるたび/Whenever [a creature] becomes blocked by a creature」と書いてある能力は、そのクリーチャーをブロックするクリーチャー1体につき1回、ブロック・クリーチャーが指定されてブロックされた状態になるときに誘発する。効果によってクリーチャーがその攻撃クリーチャーをブロックするときにも、そのブロック・クリーチャーがすでにその攻撃クリーチャーをブロックしていたのでない限り誘発する。また、クリーチャーがブロックした状態で戦場に出されたりした場合にも誘発する。クリーチャーによってではなく、何らかの効果によってブロックされた場合にはこの能力は誘発しない。
509.5e 特定の数のクリーチャーがブロックした、あるいはその数のクリーチャーによってブロックされたときに誘発する能力の場合、その能力はクリーチャーがその数のクリーチャーによってブロックする/されるようなブロック・クリーチャーが指定された場合にだけ誘発する。ブロック・クリーチャーを加える/取り除く効果によっても、この能力は誘発する。これはクリーチャーがある数以上のクリーチャーによってブロックする/されることによって誘発する能力にも適用する。
509.5f 特定の特性を持つクリーチャーがブロックしたときに誘発する能力は、そのクリーチャーがブロック・クリーチャーとして指定された、あるいは何らかの効果によってブロックした時点でその特性を持っていなければ誘発しない。特定の特性を持つクリーチャーがブロックされたときに誘発する能力は、そのクリーチャーがブロックされたクリーチャーになった時点でその特性を持っていなければ誘発しない。クリーチャーが特定の特性を持つクリーチャーによってブロックされたときに誘発する能力は、後者のクリーチャーがブロック・クリーチャーになった時点でその特性を持っていなければ誘発しない。これらの能力は、その後でクリーチャーの特性が変化して条件を満たすようになったとしてもそのときに誘発することはない。
例:「このクリーチャーが白のクリーチャーによってブロックされるたび、そのクリーチャーを戦闘終了時に破壊する。」という能力を持つクリーチャーがいた。このクリーチャーが黒のクリーチャーでブロックされたあと、そのクリーチャーを白に変えたとしてもこの能力は誘発しない。
509.5g 「[クリーチャー]が攻撃してブロックされないたび、/Whenever [a creature] attacks and isn't blocked,」という能力は、そのクリーチャーのブロック・クリーチャーが1体も指定されなかった場合に誘発する。(例えば攻撃した状態で戦場に出たなどで)そのクリーチャーが攻撃クリーチャーとして指定されていなくても誘発する。ブロックされた後でブロック・クリーチャーがすべて戦闘から取り除かれたとしても、誘発しない。
509.6. 呪文や能力によって戦場にいるクリーチャーが攻撃クリーチャーをブロックする場合、アクティブ・プレイヤーはそのブロック・クリーチャーの、その攻撃クリーチャーのダメージ割り振り順における位置を宣言する。他のブロック・クリーチャーの順番は変わらない。その後、防御プレイヤーはその攻撃クリーチャーの、そのブロック・クリーチャーのダメージ割り振り順における位置を宣言する。他の攻撃クリーチャーの位置は変わらない。これはブロック 効果の一部として行なわれる。
509.7. クリーチャーがブロックした状態で戦場に出る場合、(その効果によって何をブロックした状態で戦場に出るかが特定されていない限り)そのコントローラーはどの攻撃クリーチャーをブロックした状態で戦場に出るかアクティブ・プレイヤーはその新しいクリーチャーの、そのブロックされたクリーチャーのダメージ割り振り順における位置を宣言する。他のブロック・クリーチャーの順番は変わらない。この方法で戦場に出たクリーチャーは「ブロック・クリーチャー」であるが、誘発イベントや効果の面では「ブロックした」としては扱わない。
例:《大蜘蛛》が《峡谷のミノタウルス》によってブロックされた。防御プレイヤーが《瞬間群葉》を唱え、《大蜘蛛》をブロックした状態で苗木・クリーチャー・トークンを生成した。《大蜘蛛》のコントローラーは、《大蜘蛛》のダメージ割り振り順を、まず苗木トークン、続いて《峡谷のミノタウルス》と宣言する。
509.7a 効果がクリーチャーを特定のクリーチャーをブロックしている状態で戦場に出す場合、その効果の解決時点でブロックするべきクリーチャーがすでに攻撃クリーチャーでなくなっていたなら、そのクリーチャーは戦場に出るが、ブロック・クリーチャーとしては扱われない。また、戦場に出るクリーチャーのコントローラーがその特定の攻撃クリーチャーから見た防御プレイヤーでなくなっていた場合にも同様である。
509.7b ブロックしている状態で戦場に出るクリーチャーは、そのブロック・クリーチャー指定に関する強制や制限の影響を受けない。
510.1. まず、アクティブ・プレイヤーは各攻撃クリーチャーがその戦闘ダメージをどう割り振るかを宣言し、次に防御プレイヤーは各ブロック・クリーチャーが戦闘ダメージをどう割り振るかを宣言する。このターン起因処理はスタックを用いない。戦闘ダメージの割り振りについては、次のルールに従う。
510.1a 各攻撃クリーチャーと各ブロック・クリーチャーは、それぞれ自分のパワーに等しいだけの戦闘ダメージを割り振る。0点以下のダメージを割り振ることになるクリーチャーは、戦闘ダメージをまったく割り振らない。
510.1b ブロックされていないクリーチャーは、その戦闘ダメージを攻撃している先のプレイヤーかプレインズウォーカーに割り振る。何も攻撃していない場合(たとえば、既に戦場を離れているプレインズウォーカーを攻撃していた場合)、戦闘ダメージを割り振らない。
510.1c ブロックされたクリーチャーは、戦闘ダメージをそれをブロックしているクリーチャーに割り振る。この時点でブロック・クリーチャーが1体もいない場合(たとえば、それらのクリーチャーが破壊されたり戦闘から取り除かれていたりする場合)、そのクリーチャーは戦闘ダメージを割り振らない。1体のクリーチャーだけがブロックしていた場合、そのクリーチャーは戦闘ダメージをすべてそのクリーチャーに割り振る。2体以上のクリーチャーがブロックしていた場合、宣言してあったダメージ割り振り順に従ってそれらのクリーチャーに戦闘ダメージを割り振る。この場合、そのブロックされたクリーチャーの戦闘ダメージは複数に分割されることもある。しかしながら、ブロック・クリーチャーに戦闘ダメージを割り振るには、戦闘ダメージの割り振りが終わった時点で、ダメージ割り振り順においてそれよりも前にあるブロック・クリーチャーすべてに致死ダメージが割り振られていなければならない。致死ダメージを割り振っているかどうかを見る場合、そのクリーチャーが既に負っているダメージと、他のクリーチャーが同じ戦闘ダメージ・ステップに割り振っているダメージを計算に入れるが、実際に与えられるダメージを変更する類の能力や効果は考慮しない。クリーチャーの致死ダメージ以上のダメージを割り振ってもよい。
例:攻撃クリーチャー《巨森を喰らうもの》(5/6)のダメージ割り振り順は、《群れの護衛》(0/3)、《ラノワールのエルフ》(1/1)の順である。《巨森を喰らうもの》は戦闘ダメージを、《群れの護衛》に3点と《ラノワールのエルフ》に2点と割り振ることも、《群れの護衛》に4点と《ラノワールのエルフ》に1点と割り振ることも、《群れの護衛》に5点割り振ることもできる。
例:攻撃クリーチャー《巨森を喰らうもの》(5/6)のダメージ割り振り順は、《群れの護衛》(0/3)、《ラノワールのエルフ》(1/1)の順である。ブロック・クリーチャー指定ステップの間に、防御プレイヤーは《群れの護衛》を対象にして、ターン終了時まで+3/+3の修整を得させる《巨大化》を唱えた。《巨森を喰らうもの》は、5点のダメージすべてを《群れの護衛》に割り振ることしかできない。
例:攻撃クリーチャー《巨森を喰らうもの》(5/6)のダメージ割り振り順は、《群れの護衛》(0/3)、《ラノワールのエルフ》(1/1)の順である。ブロック・クリーチャー指定ステップの間に、防御プレイヤーは《群れの護衛》を対象にして、与えられるダメージを4点軽減する《繕いの手》を唱えた。《巨森を喰らうもの》は戦闘ダメージを、《群れの護衛》に3点と《ラノワールのエルフ》に2点と割り振ることも、《群れの護衛》に4点と《ラノワールのエルフ》に1点と割り振ることも、《群れの護衛》に5点割り振ることもできる。
例:攻撃クリーチャー《超大なベイロス》(7/7)のダメージ割り振り順は、既に2点のダメージを負っている《訓練されたアーモドン》(3/3)、《フォライアスの大部隊》(追加で1体のクリーチャーをブロックすることができる2/4クリーチャー)、《シルバーバック》(5/5)の順である。攻撃クリーチャー《ダークウッドの猪》(4/4)のダメージ割り振り順は、同一の《フォライアスの大部隊》、《ゴブリンの長槍使い》(2/1)の順である。他の可能性もあるが、アクティブ・プレイヤーは《超大なベイロス》からの戦闘ダメージを、《訓練されたアーモドン》に1点、《フォライアスの大部隊》に1点、《シルバーバック》に5点、そして《ダークウッドの猪》からの戦闘ダメージを、《フォライアスの大部隊》に3点、《ゴブリンの長槍使い》に1点、と割り振ることができる。
510.1d ブロック・クリーチャーは、戦闘ダメージをそれにブロックされているクリーチャーに割り振る。この時点でブロックされているクリーチャーが1体もいない場合(たとえば、それらのクリーチャーが破壊されたり戦闘から取り除かれていたりする場合)、そのクリーチャーは戦闘ダメージを割り振らない。1体のクリーチャーだけをブロックしていた場合、そのクリーチャーは戦闘ダメージをすべてそのクリーチャーに割り振る。2体以上のクリーチャーをブロックしていた場合、宣言してあったダメージ割り振り順に従ってそれらのクリーチャーに戦闘ダメージを割り振る。この場合、そのブロック・クリーチャーの戦闘ダメージは複数に分割されることもある。しかしながら、ブロックされているクリーチャーに戦闘ダメージを割り振るには、戦闘ダメージの割り振りが終わった時点で、ダメージ割り振り順においてそれよりも前にあるブロックされているクリーチャーすべてに致死ダメージが割り振られていなければならない。致死ダメージを割り振っているかどうかを見る場合、そのクリーチャーが既に負っているダメージと、他のクリーチャーが同じ戦闘ダメージ・ステップに割り振っているダメージを計算に入れるが、実際に与えられるダメージを変更する類の能力や効果は考慮しない。クリーチャーの致死ダメージ以上のダメージを割り振ってもよい。
510.1e プレイヤーが自分がコントロールしている攻撃クリーチャーまたはブロック・クリーチャーからの戦闘ダメージを割り振ったなら、(各個の攻撃クリーチャーあるいはブロック・クリーチャーのダメージ割り振りではなく)そのダメージの割り振り全体が上記のルールに則っているかどうか確認される。則っていなければ、戦闘ダメージの割り振りは不適正であり、ゲームは戦闘ダメージ割り振りの直前に巻き戻される。(rule 723〔不正な処理の扱い〕参照)。
510.2. 次に、割り振られている戦闘ダメージすべてが同時に与えられる。このターン起因処理はスタックを用いない。戦闘ダメージの割り振りから実際に与えられるまでの間に、呪文を唱えたり能力を起動したりする機会は存在しない。
例:《戦隊の鷹》(飛行つき1/1クリーチャー)と《ゴブリンの長槍使い》(2/1クリーチャー)が攻撃している。防御プレイヤーは《モグの狂信者》(「モグの狂信者を生け贄に捧げる:クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。モグの狂信者はそれに1点のダメージを与える」という能力を持つ1/1クリーチャー)で《ゴブリンの長槍使い》をブロックし、ブロック・クリーチャー指定ステップの間に《モグの狂信者》を生け贄に捧げて《戦隊の鷹》に1点のダメージを与えた。《戦隊の鷹》は破壊され、《ゴブリンの長槍使い》はこのターン、戦闘ダメージを与えない。防御プレイヤーが《モグの狂信者》を生け贄に捧げずに戦場に残した場合、《モグの狂信者》と《ゴブリンの長槍使い》はお互いに致死ダメージを与え合うが、《戦隊の鷹》はダメージを受けない。
510.3. その後、アクティブ・プレイヤーが優先権を得る(rule 117〔タイミングと優先権〕参照)。
510.3a ダメージが与えられたことによって誘発した能力や、その後に状況起因処理が行われている間に誘発した能力が、アクティブ・プレイヤーが優先権を得る前に、それらの誘発した順番によらず、スタックに積まれる(rule 603〔誘発型能力の扱い〕参照)。
510.4. 1体以上の攻撃クリーチャーまたはブロック・クリーチャーが、戦闘ダメージ・ステップの開始時に先制攻撃(rule 702.7 参照)や二段攻撃(rule 702.4)を持っていた場合、そのステップに戦闘ダメージを与えるのは先制攻撃か二段攻撃を持っているクリーチャーだけである。そのステップの後に、戦闘終了ステップに進む代わりに、第2戦闘ダメージ・ステップが発生する。このステップに戦闘ダメージを割り振るのは、最初の戦闘ダメージ・ステップの開始時に先制攻撃も二段攻撃も持っていなかったクリーチャーか、この時点で二段攻撃を持っているクリーチャーだけである。そのステップの後で、戦闘終了ステップに移行する。
511.1. 戦闘終了ステップにはターン起因処理は存在しない。ステップが開始したら、アクティブ・プレイヤーが優先権を得る(rule 117〔タイミングと優先権〕参照)。
511.2. 「戦闘終了時に/At end of combat」誘発する能力が、戦闘終了ステップの開始に際して誘発する。「戦闘終了時まで/Until end of combat」残る効果は、戦闘フェイズの終了時に消滅する。
511.3. 戦闘終了ステップが終わった瞬間に、すべてのクリーチャーやプレインズウォーカーは戦闘から取り除かれる。戦闘終了ステップの終了後、戦闘フェイズは終了し、戦闘後メイン・フェイズ(rule 505 参照)が始まる。
512.1. 終了フェイズは順に「終了/end」「クリンナップ/cleanup」の2つのステップからなる。
513.1. 終了ステップにはターン起因処理は存在しない。ステップの開始時に、アクティブ・プレイヤーが優先権を得る(rule 117〔タイミングと優先権〕参照)。
513.1a かつて、終了ステップの開始時に誘発する能力の誘発条件は「ターン終了時に/at end of turn」という表記が用いられていた。そのように記載されているカードは、オラクルで訂正され、「終了ステップの開始時に」または「次の終了ステップの開始時に」となっている。
513.2. 「終了ステップの開始時に」誘発する能力を持ったパーマネントがこのステップの間に戦場に出た場合、その能力は次のターンの終了ステップまで誘発しない。同様に、「次の終了ステップの開始時に」誘発する遅延誘発型能力がこのステップの間に作られた場合、その能力は次のターンの終了ステップまで誘発しない。言い換えると、このステップは、それらの能力がスタックに積まれるように「巻き戻される」ことはない。このルールは誘発型能力にのみ適用される。「ターン終了時まで/until end of turn」「このターン/this turn」残る継続的効果には適用されない。(rule 514〔クリンナップ・ステップ〕参照。)
514.1. まず、アクティブ・プレイヤーの手札がその上限枚数(通常7枚)を超えていた場合、そのプレイヤーは上限枚数になるまで手札を捨てる。このターン起因処理はスタックを用いない。
514.2. 次に、以下の処理が同時に行なわれる。パーマネント(フェイズ・アウトしているパーマネントも含む)が負っているすべてのダメージが取り除かれ、すべての「ターン終了時まで/until end of turn」「このターン/this turn」の効果が終了する。このターン起因処理はスタックを用いない。
514.3. 通常、クリンナップ・ステップ中にはプレイヤーは優先権を得ないので、呪文を唱えたり能力を起動したりすることはできない。このルールには以下の例外が存在する。
514.3a この時点で、ゲームは、発生する状況起因処理が存在するか、また(「次のクリンナップ・ステップの開始時に/at the beginning of the next cleanup step」誘発するものを含む)スタックに積まれるのを待っている誘発型能力が存在するかどうかを確認する。もし存在したなら、まず状況起因処理が処理され、次に誘発型能力がスタックに積まれてからアクティブ・プレイヤーが優先権を得て、プレイヤーは呪文を唱えたり能力を起動したりできる。スタックが空の状態ですべてのプレイヤーが続けてパスしたなら、再びクリンナップ・ステップが新しく始まる。
601.1. かつて、呪文を唱えること、あるいはカードを呪文として唱えることを、その呪文やカードを「プレイする/playing」と表記していた。そのように記載されているカードは、オラクルで訂正され、呪文やカードを「唱える/casting」となっている。
601.2. 呪文を唱えるとは、やがて解決されてその効果が発生するよう、それを現在ある場所(通常は手札)から取り、スタックに積み、コストを支払うことである。呪文を唱える、という中には、その呪文の提示(rule 601.2a-d)と、コストの決定と支払い(rule 601.2f-h)が含まれる。呪文を唱えることは、以下の順番で以下の手順を踏む。プレイヤーがこの手順を始めるには、その呪文を適正に唱えられる必要がある(rule 601.3 参照)。下記に列記されている手順の実行中にその手順で必要なことができなかったら、その呪文を唱えることは不正である。ゲームはその呪文が提示される直前の瞬間まで巻き戻される(rule 723〔不正な処理の扱い〕参照)。
601.2a 呪文を唱えることを提示する場合、プレイヤーはまずそのカード(あるいはそのカードのコピー)を元の領域からスタックへと動かす。それはスタックの一番上にあるオブジェクトとなる。これはそのカード(あるいはそのカードのコピー)のすべての特性を持ち、そのプレイヤーがそのコントローラーとなる。呪文は、解決されるか打ち消されるか、あるいはルールや効果によって他の領域に動かされるまでスタックにとどまる。
601.2b 呪文がモードを持つ場合、プレイヤーはモードの選択を宣言する(rule 700.2 参照)。プレイヤーがその呪文に他のカードを連繋(rule 702.46 参照)したい場合、そのカードを手札から公開する。その呪文が、バイバックやキッカーと言った、代替コストや追加コスト(rule 118.8、rule 118.9 参照)を持っている場合、プレイヤーはそのコストのうちどれを払うかを宣言する(rule 601.2f 参照)。単一の呪文に対し、複数の代替法で唱えたり、あるいは代替コストを支払ったりすることはできない。その呪文が、唱える間に支払う可変のコスト(マナ・コストに含まれる{X}など。rule 107.3 参照)を持つ場合、プレイヤーはその値を宣言する。その数字が、そのプレイヤーが後でその呪文の宣言中あるいは解決中に行なう選択によってその呪文の文章中で定義されている場合、プレイヤーはその選択をこの時点で行なう。その呪文を唱える間に支払うコストに混成マナ・シンボルが含まれている場合、プレイヤーは混成でないマナでどう支払うかを宣言する。その呪文を唱える間に支払うコストにファイレクシア・マナが含まれている場合、プレイヤーはそれらの各シンボルごとに2点のライフを支払うかその色のマナを支払うかを宣言する。前段階での選択(墓地からフラッシュバックで呪文を唱えることを選んだ、変異つきクリーチャーを裏向きに唱えることを選んだなど)は、それ以降の選択を制約する。
601.2c プレイヤーは、その呪文の求める対象それぞれについて、適正なプレイヤーやオブジェクトを選んで宣言する。代替コストや追加コスト(キッカー・コストなど)を支払ったとき、あるいは特定のモードを選んだときにのみ対象を取りうる呪文は、それ以外の場合には対象を取りえないものとして唱えられる。同様に、代替コストや追加コストが選択された場合にだけ他の対象を取りえることがある。呪文が可変の数の対象を取る場合、プレイヤーは対象を宣言する前にいくつの対象を取るのかを宣言する。対象の数が、呪文の文章によって定められていることがある。呪文の定める対象の数が決定されたら、その対象の数を決定するために参照された情報が変わったとしても、その数は変わらない。同じ「target」の語で示される中で(日本語版では、「[性質]N個」」「[性質]N個か[別の性質]M個」としてまとめられている中で)、同じ対象を複数回選ぶことはできない。複数の対象群がある場合、同一のプレイヤーやオブジェクトを(条件を満たしているなら)それぞれで1回ずつ対象に取ることができる。あるオブジェクトやプレイヤーが対象として選ばれなければならないという効果がある場合、対象を選ぶプレイヤーは、オブジェクトやプレイヤーを対象にできないとするルールや効果に反しない限りにおいて最大の数のその種の効果に従うように対象を選ぶ。選ばれたプレイヤーやオブジェクトはその呪文の対象となる。(それらが呪文の対象となったときに誘発する能力はこの時点で誘発する。この呪文が唱えられ終わるまで、その能力はスタックには積まれない。)
例:「クリーチャー2体を対象とし、それらをタップする。」という能力があった場合、同じクリーチャーを2回対象にすることはできず、適正な対象2つが必要である。一方、「アーティファクト1つと土地1つを対象とし、それらを破壊する。」という能力があった場合、対象群は2つあるので、アーティファクト・土地1つを2回対象にすることができる。
601.2d 呪文によって、プレイヤーが1つ以上の対象を含む複数のオブジェクトやプレイヤーにダメージやカウンターなどの効果を分割したり分配したりするとき、そのプレイヤーは、選ばれたプレイヤーやオブジェクトそれぞれが最低限それを1つは受けるように、量と分割の仕方を選ぶ。
601.2e ゲームはその提示された呪文が適正に唱えられるかどうかを見る。提示された呪文が不正だった場合、ゲームはその呪文を唱えることが提示される直前の瞬間に戻る(rule 723〔不正な処理の扱い〕参照)。
601.2f プレイヤーはその呪文の総コストを決定する。通常、そのマナ・コストだけである。追加コストや代替コストを持つ呪文や、支払うべきコストを増減させる効果、あるいは他の代替コストを使えるようにする効果も存在する。コストには、マナの支払い、パーマネントのタップ、パーマネントの生け贄、手札のカードを捨てる、などが含まれる。総コストとは、マナ・コストまたは代替コスト(rule 601.2b で決定したもの)に、すべての追加コストやコストの増加分を加え、コストの減少分を引いたものである。複数のコスト減少が適用される場合、そのプレイヤーは任意の順番でそれらを適用する。コストの増減を計算した結果として総コストのマナ部分がなくなった場合、それは{0}として扱う。{0}未満に減少することはない。この計算後、総コストを直接変更する効果が適用され、総コストが「固定」される。この後で効果が総コストを変更しようとしても、何の効果もない。
601.2g 総コストの中にマナの支払いが含まれる場合、そのプレイヤーはマナ能力を起動する機会(rule 605〔マナ能力〕参照)を得る。マナ能力はコストを支払う前に起動する必要がある。
601.2h プレイヤーはその総コストに含まれるものを任意の順で支払う。一部分だけ支払うことは許されない。それらのうち支払うことのできないものを支払うことは選べない。
例:マナ・コストが{1}{B}でクリーチャーを1体生け贄に捧げる追加コストを持つ《祭壇の刈り取り》を唱える。ここで、あなたの黒の呪文を唱えるためのコストを{1}減らす効果を持つ《雷景学院の使い魔》をこの追加コストとして生け贄に捧げた場合、呪文の総コストは実際に支払いが行われる前に「固定」されているので、《祭壇の刈り取り》のコストは{1}{B}になることはなく、{B}となったままである。
601.2i rule 601.2a-h で示された手順が完了したら、その呪文が唱えられるに際してその呪文の特性を変更する効果が適用される。その後、その呪文は唱えられたことになる。呪文が唱えられたこと、あるいはスタックに積まれたことによる誘発型能力は、この時点で誘発する。その呪文のコントローラーがそれを唱える前に優先権を持っていた場合、そのプレイヤーは優先権を得る。
601.3. プレイヤーは、ルールや効果によって唱えることが認められていない限り、呪文を唱え始めることはできない。呪文を提示し終わったあとで唱えることが認められなくなった場合、その呪文を唱えることは不正であり、ゲームはその呪文を唱えることを提示す直前の瞬間に戻る(rule 723〔不正な処理の扱い〕参照)。
601.3a 効果によって特定の性質を持つ呪文を唱えることが禁止されている場合も、プレイヤーが呪文を提示している間に行なわれる選択によってその呪文の性質が変わり、その効果が適用されなくなるなら、そのプレイヤーはその効果を無視してその呪文を唱え始めてもよい。
例:プレイヤーが「あなたの対戦相手は点数で見たマナ・コストが偶数の呪文を唱えられない。(0は偶数である。)」の能力を持つ《虚空の選別者/Void Winnower》をコントロールしているとき、その対戦相手はマナ・コストが{X}{R}{R}である《とどろく雷鳴/Rolling Thunder》を唱え始めることができる。これはXの値の選択によって、その呪文の点数で見たマナ・コストが奇数になることがありうるからである。
601.3b 効果によって特定の性質を持つ呪文を瞬速を持つかのように 唱えることが認められている場合、そのプレイヤーは、その呪文の性質を変えうるような選択をその呪文を提示している間にすることを考えてもよい。それらの選択によって、その効果が適用されるようになるなら、そのプレイヤーはそれが瞬速を持つかのようにその呪文を唱え始めてもよい。
例:オーラ・呪文を瞬速を持つかのように 唱えてもよいという効果があり、手札に授与を持つクリーチャー・カードがある場合、授与 呪文の代替コストを選ぶことでその呪文はオーラ・呪文になるので、瞬速を持つかのようにその呪文を唱え始めることは適正である。
601.3c 効果によって、プレイヤーが代替コストや追加コストを支払った場合に呪文を瞬速を持つかのように 唱えることが認められている場合、そのプレイヤーはその呪文が瞬速を持つかのように 唱え始めることができる。
601.3d 呪文が特定の条件を満たした時にのみ瞬速を持つ場合、その条件を満たしているなら、そのコントローラーは瞬速を持つかのように 唱え始めることができる。
601.3e ルールや効果が、カードやカードのコピーを唱えるのが適正かどうかを判断するのに代替の特性群あるいは特性群の一部だけを参照することがある。その判断のためには、代替の特性でそのオブジェクトの特性を置き換える。そのオブジェクトがそれらの特性を持つようになった場合に適用される継続的効果も考慮される。
例:《ガラクの大軍》には、「あなたのライブラリーの一番上からクリーチャー・呪文を唱えてもよい。」という効果が存在する。あなたが《ガラクの大軍》をコントロールしていて、あなたのライブラリーの一番上のカードが変異を持っていてクリーチャーでないカードだった場合、あなたは変異 能力を用いてそれを唱えてもよい。
例:《イゼットの模範、メーレク》には、「あなたのライブラリーの一番上からインスタントやソーサリーである呪文を唱えてもよい。」という効果が存在する。あなたが《イゼットの模範、メーレク》をコントロールしていて、あなたのライブラリーの一番上にあるカードが《切り落とし》というインスタントの出来事を持つ当事者・クリーチャー・カードである《巨人落とし》だった場合、あなたは《切り落とし》を唱えることはできるが《巨人落とし》を唱えることはできない。あなたがコントロールしているカードが《イゼットの模範、メーレク》でなく《ガラクの大軍》でライブラリーの一番上のカードが《巨人落とし》だった場合、あなたは《巨人落とし》を唱えることはできるが《切り落とし》を唱えることはできない。
601.3f 効果の中に、プレイヤーが追放 領域にある裏向きのカードの中から特定の性質を持つ呪文を唱えられるようにするものがある。プレイヤーは、追放 領域にあるその裏向きのカードを見ることができる場合にもみその種の呪文を唱え始めることができる。
601.4. プレイヤーが、呪文の提示が終わったあとでその呪文を唱えることができない場合(rule 601.2a-d 参照)、その呪文を唱えることは不正であり、ゲームはその呪文を唱えることが提示される前の瞬間まで巻き戻る(rule 723〔不正な処理の扱い〕参照)。その呪文のコストを決定して支払う間(rule 601.2f-h 参照)や、呪文や唱えられたあとに、ルールや効果がその呪文を唱えることを不正なものにしても関係ない。
601.5 呪文の中には、唱えるときに通常そのコントローラーが行なうこと、つまりモードや対象の選択などを、そのコントローラーの対戦相手に行なうように指定するものがある。こういった場合、対戦相手はその呪文のコントローラーが通常行なうのと同じタイミングでその選択を行なう。
601.5a 選択を行なえる対戦相手が複数いる場合、その呪文のコントローラーがどちらの対戦相手に選択を行わせるかを決める。
601.5b その呪文が唱えられるときに、そのコントローラーと他のプレイヤーに同時に何らかの行動をさせる場合、呪文のコントローラーが先に行い、その後で他方のプレイヤーが行なう。これは rule 101.4 の例外である。
601.6. コストを変える呪文を唱えても、既にスタックにある呪文や能力には影響しない。
602.1. 起動型能力は、コストと効果を持ち、「[コスト]:[効果。][(あるなら)起動指示。]/[Cost]: [Effect.] [Activation instructions (if any).]」という書式で書かれている。
602.1a コロン(:)の前に書かれているものすべてが起動コストである。能力を起動するプレイヤーは、その起動コストを支払わなければならない。
例:「{2}, {T}:あなたは1点のライフを得る」という能力の起動コストは、任意のタイプのマナ2点に加えて、その能力を持つパーマネントをタップすることである。
602.1b 起動型能力のコロンの後に続く文章が、その能力を起動するときに従わなければならない説明を含んでいる場合がある。そのような文章は、誰が能力を起動できるかを指定したり、いつ能力を起動できるかを制限したり、起動コストの一部を定義したりしている。これらの文章は能力の効果の一部ではない。これは常に機能している。起動型能力の起動指示は、能力の効果の後、一番最後に書かれる。
602.1c 起動型能力だけが起動されうる能力である。能力の種類の特定なく「能力を起動する/activating an ability」ことについてオブジェクトやルールが参照していた場合、それは起動型能力のことを示す。
602.1d かつて、起動型能力を使うことを、その能力を「プレイする/playing」と表記していた。そのように記載されているカードは、オラクルで訂正され、能力を「起動する/activating」となっている。
602.2. 能力を起動するとは、やがて解決されてその効果が発生するよう、能力をスタックに積み、コストを支払うことである。特に示されていない限り、そのオブジェクトのコントローラー(コントローラーがいない場合にはオーナー)だけがそのオブジェクトの起動型能力を起動できる。能力を起動することは、以下の手順を踏む。能力を起動する途中のどこかの時点でプレイヤーが手順を完了できなくなったら、その能力の起動は不正である。ゲームは能力を起動し始める前まで巻き戻される(rule 723〔不正な処理の扱い〕参照)。一旦なされた宣言や支払いを変更することはできない。
602.2a プレイヤーは、能力を起動することを宣言する。非公開領域から能力が起動された場合、その能力を持つカードを公開する。能力がカードでないオブジェクトとしてスタックに生成され、スタックの一番上にあるオブジェクトとなる。これはそれを生成した能力の文章を持ち、他の特性を持たない。そのコントローラーは、その能力を起動したプレイヤーである。能力は、打ち消されるか解決されるか、他の効果によって他の領域に動かされるまでスタックにとどまる。
602.2b これ以降の手順は、呪文を唱える手順として rule 601.2b-i に記されていたのと同じである。これらのルールは、呪文を唱えることに適用されたのと同じように能力を起動することに適用される。起動型能力の、(rule 601.2f で参照されている)呪文で言うマナ・コストにあたるものは、起動コストである。
602.3. 能力の中には、起動するときに通常そのコントローラーが行なうこと、つまりモードや対象の選択などを、そのコントローラーの対戦相手に行なうように指定するものがある。こういった場合、対戦相手はその能力のコントローラーが通常行なうのと同じタイミングでその選択を行なう。
602.3a 選択を行なえる対戦相手が複数いる場合、その能力のコントローラーがどちらの対戦相手に選択を行わせるかを決める。
602.3b その能力が起動されるときにそのコントローラーと他のプレイヤーに同時に何らかの行動をさせる場合、能力のコントローラーが先に行い、その後で他方のプレイヤーが行なう。これは rule 101.4 の例外である。
602.4. コストを変える能力を起動しても、既にスタックにある呪文や能力には影響しない。
602.5. プレイヤーは、起動が禁止されている能力を起動し始めることはできない。
602.5a 起動コストにタップ・シンボル({T})またはアンタップ・シンボル({Q})を含む、クリーチャーの起動型能力は、そのコントローラーが自分のターン開始時から続けてそのクリーチャーをコントロールしていない限り起動できない。速攻を持つクリーチャーはこのルールを無視する(rule 702.10 参照)。
602.5b 起動型能力の使用に限定がある(例えば、「この能力は各ターンに一回しか起動できない」)場合、その限定はたとえコントローラーが変化しても適用され続ける。
602.5c オブジェクトが他のオブジェクトから使用に限定のある起動型能力を得た場合、その限定はそのオブジェクトから得た能力だけに適用され、他の同一の能力には適用されない。
602.5d 「この能力は、あなたがソーサリーを唱えられるときのみ起動できる/Activate this ability only any time you could cast a sorcery」という起動型能力は、それを起動するに際してソーサリー・呪文を唱えるのと同じタイミングのルールに従う、というだけであり、その能力がソーサリーであるということではない。また、プレイヤーが実際にソーサリー・カードを持っている必要はない。
602.5e 「この能力は、あなたがインスタントを唱えられるときのみ起動できる/Activate this ability only any time you could cast an instant」という起動型能力は、それを起動するに際してインスタント・呪文を唱えるのと同じタイミングのルールに従う、というだけであり、その能力がインスタントであるということではない。また、プレイヤーが実際にインスタント・カードを持っている必要はない。
603.1. 誘発型能力は誘発条件と効果を持ち、「[誘発条件またはイベント]とき/たび/時に, [効果] [指示(ある場合)]/When/Whenever/At [Trigger condition or event], [effect]. [Instructions (if any).]」という書式で書かれている。
603.1a 誘発型能力の効果の後に、その能力が対象に取れるものを制限していたり、打ち消されないことが記載されたりといった指示があることがある。この文章はその能力の効果の一部ではなく、その能力がスタックにある間に働く。
603.2. 誘発型能力は、ゲームのイベントやゲームの状況がその能力の誘発イベントを満たすたび、自動的に誘発する。能力はこの時点では何もしない。
603.2a 唱えられることも起動されることもないので、誘発型能力は呪文を唱えたり能力を起動したりできないときにも誘発する。能力を起動できないようにする効果は、誘発型能力には影響を及ぼさない。
603.2b フェイズやステップの開始時に、「開始時に/at the beginning of」誘発する能力がすべて誘発する。
603.2c 能力は、その誘発イベントが発生するたびに一度だけ誘発する。しかし、そのイベントが複数の出来事を含んでいる場合、複数回誘発することもある。
例:「土地が1つ戦場から墓地に置かれるたび/Whenever a land is put into a graveyard from the battlefield」という誘発条件の能力を持つパーマネントがあるときに、誰かがすべての土地を破壊する呪文を唱えた場合、その能力はその呪文の解決中に墓地に送られた土地の枚数とおなじ回数だけ誘発する。
603.2d 能力によって、誘発型能力が追加で誘発するという場合がある。この場合、単純にその種の能力が誘発したと決定するのではなく、それが何回誘発するべきかを決定し、それからその能力がその回数誘発する。その能力を誘発させるという効果がそれ自身を何度も引き起こすことはなく、その能力が何回誘発するかに影響を与える他の効果に適用されることもない。
603.2e 「になる/becomes」という語を用いている誘発イベント(たとえば「ついた状態になる/becomes attached」「ブロックされた状態になる/becomes blocked」など)が存在する。これらはその示されたイベントが発生したときにのみ誘発する。すなわち、元々その状態であった場合に誘発することはないし、その状態であり続ける間は再び誘発することはない。「タップ状態になる/becomes tapped」や「アンタップ状態になる/becomes untapped」ときに誘発する能力は、パーマネントがその位相で戦場に出たときには誘発しない。
例:パーマネントが「タップ状態になった」ときに誘発する能力は、戦場にあるパーマネントの位相がアンタップ状態からタップ状態になった時にのみ誘発する。
603.2f 誘発型能力の誘発条件が満たされたときにその誘発型能力を持ったオブジェクトがすべてのプレイヤーに見える状態でなかった場合、その能力は誘発しない。
603.2g 能力は、その誘発イベントが実際に発生したときにのみ誘発する。軽減されたり置換されたりしたイベントによって誘発することはない。
603.3. 能力が誘発すると、次にいずれかのプレイヤーが優先権を得る時点で、そのコントローラーはそれをスタックに積む。rule 117〔タイミングと優先権〕参照。その能力は、スタックの一番上にあるオブジェクトとなる。スタックにある誘発型能力は、それを作った能力の文章を持ち、それ以外の特性を持たない。能力は、打ち消されるか解決されるか、ルールによってスタックから取り除かれるか、あるいは効果によって他の領域に移動されるまでスタックにとどまる。
603.3a 遅延誘発型能力を除く誘発型能力は、誘発した時点でその発生源をコントロールしていたプレイヤーがコントローラーである。遅延誘発型能力のコントローラーについては、rule 603.7d-f 参照。
603.3b プレイヤーが最後に優先権を得たときよりも後で複数の能力が誘発した場合、APNAP順で、プレイヤーは自分がコントロールしている能力を自分の選んだ順序でスタックに積む。(rule 101.4 参照。)その後、状況起因処理をチェックして解決することを、発生しなくなるまで繰り返す。その後、この過程で誘発した能力がスタックに積まれる。この過程を、新しい状況起因処理の発生も能力の誘発もしなくなるまで繰り返す。その後、該当するプレイヤーが優先権を得る。
603.3c 誘発型能力がモードを持つ場合、そのコントローラーはその能力をスタックに積む時点で選択するモードを宣言する。不適正なモード(適正な対象を選べないなど)を選ぶことはできない。モードが選ばれなかった場合、その能力はスタックから取り除かれる。(rule 700.2 参照。)
603.3d これ以降の手順は、呪文を唱える手順として rule 601.2c から rule 601.2d に記されていたのと同じである。誘発型能力がスタックに行くときに選択が必要で、その選択が適正に行なえない場合、あるいはルールや継続的効果によって能力が不正になっている場合、能力は単にスタックから取り除かれる。
603.4. 誘発イベントのすぐ後に条件が記されている(最新の日本語版では、このルールに当てはまらない「if」は「なら」と翻訳されている)誘発型能力(例えば、「[誘発イベント]とき/たび/時に、[条件]場合、[効果]する/When/Whenever/At [trigger event], if [condition], [effect]」)は、誘発条件の一部として条件が真かどうかをチェックする。条件が真でないなら、能力は誘発しない。また、解決時にも再び条件をチェックし、条件が真でなくなっていた場合、能力は何もしない。これは、対象が適正かどうかのチェックと同じことである。このルールは「"場合"のルール/"intervening 'if' clause" rule」と呼ばれる。(このルールは、テキスト内の他のところに「if」条件がある(日本語版の場合、「なら」と書かれている)誘発型能力には適用しないことに注意。)
例:《フェリダーの君主》は「あなたのアップキープの開始時に、あなたのライフが40点以上である場合、あなたはこのゲームに勝利する」という能力を持つ。このコントローラーのライフ総量は、そのプレイヤーのアップキープが始まる際にチェックされる。ライフが39点以下である場合、この能力は誘発しない。40点以上である場合、この能力は誘発し、スタックに積まれる。この能力の解決に際し、このプレイヤーのライフ総量は再びチェックされる。ライフが39点以下である場合、この能力はスタックから取り除かれ、効果を持たない。40点以上である場合、この能力は解決され、そのゲームはそのプレイヤーの勝ちになる。
603.5. 誘発型能力の効果のなかには、行動をするかしないかを選択できる(「あなたのアップキープ開始時に、あなたはカードを1枚引いてもよい」というように、「してもよい/may」が含まれる)ものがある。コントローラーがその能力の選択をする意図があるかどうかに関係なく、その能力は誘発したときにスタックに積まれる。選択は能力の解決時に行なう。同様に、何かの条件を満たさ「ない限り/unless」発生しない効果を持つ誘発型能力や、プレイヤーが何かをすることを選ぶ効果を持つ誘発型能力は、通常どおりスタックに積まれる。能力の「ない限り/unless」の部分は能力の解決時に処理される。
603.6. オブジェクトが領域を移動することを含む誘発条件は「領域変更誘発」と呼ばれる。領域変更誘発を持つ能力の多くは、領域が変わった後でそのオブジェクトに何かしようとする。解決中に、これらの能力はオブジェクトを移動先の領域で探す。その指定された領域でそのオブジェクトが見つからなかった場合、効果のうちでそのオブジェクトに何かをする部分は失敗する。能力によるオブジェクトの捜索は、オブジェクトがその領域に入らなかった場合や、能力の解決よりも前に指定された領域を離れた場合、あるいはその移動先の領域がライブラリーや対戦相手の手札などで非公開な場合に失敗する(能力の解決よりも前に、オブジェクトが領域を離れてまた戻ってきた場合でも同じである)。領域変更誘発の最も一般的な例には、戦場に出た時に誘発する能力と戦場を離れた時に誘発する能力とがある。
603.6a 戦場に出た時の能力は、パーマネントが戦場に出た時に誘発する。これらは、「[このオブジェクト]が戦場に出たとき、…/When [this object] enters the battlefield,」、あるいは「[タイプ]が戦場に出るたび、…/Whenever a [type] enters the battlefield,」と書かれている。1つ以上のパーマネントを戦場に出すイベントのたびに、戦場に出ているすべてのパーマネント(今出たものも含む)は、そのイベントにあった、戦場に出た時の誘発条件をチェックする。
603.6b パーマネントの特性を変える継続的効果は、パーマネントが戦場に出る瞬間にすぐ適用され(それより前には適用されない)、そのパーマネントが本来の特性で戦場に出ることはない。継続的効果はパーマネントが戦場に出る前には適用しない。rule 603.6d 参照。
例:「すべての土地はクリーチャーである」という効果の影響下で土地・カードがプレイされた場合、効果は土地・カードを戦場に出る瞬間にクリーチャーに変えるため、クリーチャーが戦場に出たときに誘発する能力を誘発させる。逆に、「すべてのクリーチャーはすべての能力を失う」という効果の影響下で、戦場に出たときの誘発型能力を持つクリーチャーが戦場に出た場合、効果は戦場に出る瞬間にその能力を失わせるため、戦場に出たときの誘発型能力は誘発しない。
603.6c 戦場を離れた時の能力は、指定されたパーマネントが戦場を離れた時、あるいはフェイズ・イン 位相のパーマネントがそのオーナーがゲームから除外されたことによってゲームから除外された時に誘発する。これらは、「[このオブジェクト]が戦場を離れたとき、…/When [this object] leaves the battlefield,」、あるいは「[何か]が戦場から墓地へ置かれるたび、…/Whenever a [something] is put into a graveyard from the battlefield,」と書かれている(rule 603.10 も参照)。カードが戦場を離れた時に何かしようとする能力は、そのカードが最初に行った領域のみをチェックする。カードが特定の領域に「いずれかの領域から/from anywhere」置かれたことによって誘発する能力は、そのオブジェクトが戦場から移動したとしても、戦場を離れた時の能力としては扱わない。
603.6d いくつかのパーマネントは、「[このパーマネント]は、…状態で戦場に出る/[this permanent] enters the battlefield with」「[このパーマネント]が戦場に出るに際し…/As [this permanent] enters the battlefield」、「[このパーマネント]は…として戦場に出る/[this permanent] enters the battlefield as」、「[このパーマネント]はタップ状態で戦場に出る/[this permanent] enters the battlefield tapped.」と書かれた文章を持つ。これらの文章は誘発型能力でなく常在型能力であり、その効果はそのパーマネントを戦場に出すイベントの一部として発生する。
603.6e オーラの中には、エンチャントしているパーマネントが戦場を離れたときに誘発する誘発型能力を持つものがある。これらの誘発型能力は、エンチャントされていたパーマネントが移動する先の領域でなるオブジェクトを見つけるだけでなく、そのオーラが状況起因処理がチェックされた後でオーナーの墓地に行った先でなるオブジェクトも見つける。rule 400.7 参照。
603.7. 効果によって、後で何かを行なう遅延誘発型能力が作成されることがある。遅延誘発型能力は、それらの単語が先頭ではないことが多いが、「〜とき/When」「〜たび/Whenever」「〜時/At」の3語のうちいずれかを含む。
603.7a 遅延誘発型能力は、呪文や他の能力の解決中に、あるいは置換効果の適用の結果、あるいはプレイヤーに何らかの処理を認める常在型能力の結果、作られる。実際に作られるまで、その直前に誘発イベントが起こっていたとしても、誘発することはない。その類のイベントによって、条件が決して満たされることがなくなることもありうる。
例:「このクリーチャーが戦場を離れたとき」という一文を含む遅延誘発型能力が作られるより前に、そのクリーチャーが戦場を離れることがある。この場合、その遅延誘発型能力が誘発されることはない。
例:「このクリーチャーがアンタップ状態になったとき」という遅延誘発型能力が作られる前に、そのクリーチャーがアンタップされていたら、その能力は、そのクリーチャーが(一旦タップされてから)次にアンタップされるのを待つ。
603.7b 遅延誘発型能力は、「このターンの間」のような記された期限がない限り、次に誘発イベントが起こった時に一度だけ誘発する。その誘発イベントが複数同時に発生し、その能力に記された期限がなかった場合、その遅延誘発型能力のコントローラーが、どちらのイベントによって誘発するかを選ぶ。
603.7c あるオブジェクトに影響する遅延誘発型能力は、そのオブジェクトの特性が変化しても影響を及ぼす。しかし、そのオブジェクトがその領域を離れていた場合には影響を及ぼさない。(一旦領域を離れて再び戻ってきた場合にも、それは新しいオブジェクトであるので影響を受けない。rule 400.7 参照)
例:「次の終了ステップの開始時に、このクリーチャーを追放する」という能力は、そのクリーチャーが次のターン終了ステップにはクリーチャーでなくなっていたとしてもそのパーマネントを追放する。しかし、それ以前に戦場を離れていた場合には何もしない。
603.7d 呪文が遅延誘発型能力を作った場合、その遅延誘発型能力の発生源はその呪文であり、コントローラーはその呪文の解決時のコントローラーである。
603.7e 起動型あるいは誘発型の能力が遅延誘発型能力を作った場合、その遅延誘発型能力の発生源は作った能力の発生源と同じであり、コントローラーは作る能力の解決時のコントローラーである。
603.7f 常在型能力による置換効果が遅延誘発型能力を作った場合、その遅延誘発型能力の発生源はその常在型能力を持つオブジェクトであり、コントローラーは置換効果を適用した時点でのそのオブジェクトのコントローラーである。
603.7g プレイヤーに何らかの処理を認め、そのプレイヤーがそうしたなら遅延誘発型能力を作る常在型能力が存在する場合、その遅延誘発型能力の発生源はその常在型能力を持つオブジェクトである。その遅延誘発型能力のコントローラーは、その処理が行われた時点でのそのオブジェクトのコントローラーである。
603.8. 誘発型能力の中には、イベントの発生したときに誘発するものの他に、(プレイヤーがあるカード・タイプのパーマネントをコントロールしていない場合に誘発するものなど、)ゲームの状況によって誘発するものがある。それらの能力はゲームの状況がその条件を満たしたら即座に誘発し、次の機会にスタックに積まれる。これらの能力を状況誘発型能力と呼ぶ(状況誘発型能力は状況起因処理とは異なる)。状況誘発型能力は、その能力が解決されるか打ち消されるなどでスタックから取り除かれるまでは再び誘発することはないが、それ以降にその能力を持つオブジェクトがまだその領域に残っていてゲームの状況が誘発条件を満たしていた場合には、その能力は再び誘発する。
例:パーマネントの能力に「あなたの手札にカードが1枚もないたび、カードを1枚引く」とあったとする。コントローラーがその最後のカードをプレイした場合、この能力は一度誘発し、スタックを離れるまでは再び誘発することはない。そのコントローラーが「手札を全て捨てる。その後で、同じ枚数だけカードを引く」という呪文を唱えた場合、その呪文の解決中にそのプレイヤーの手札が一時的に0枚になるので、この能力は誘発する。
603.9. プレイヤーが負けたときに誘発すると明記されている誘発型能力が存在する。その種の能力は、理由を問わず、プレイヤーが負け、あるいは引き分け以外の理由でゲームから離れた時に誘発する。rule 104.3 参照。
603.10. 通常、そのイベントが誘発条件を満たしたかどうかのチェックを行なうのは、イベントの直後に存在するオブジェクトについてである。その時点で存在する継続的効果は、その誘発条件が何であるか、また、そのイベントに関与するオブジェクトが何であるかを決定するために用いられる。しかし、誘発型能力の中には、例外としてその能力が誘発するかどうかを決定するためにゲームがそれらの能力の存在とそのイベントの直前のオブジェクトの状態を用いて「直前の状態を見る」ものがある。その例外は以下の通りである。
603.10a 領域変更誘発の中には、直前の状態を見るものがある。戦場を離れたときの能力、カードが墓地を離れたときに誘発する能力、ならびに全てのプレイヤーが見ることができるオブジェクトが手札やライブラリーに移動したときに誘発する能力である。
例:2体のクリーチャーと、「クリーチャーが1体死亡するたび、あなたは1点のライフを得る」という能力を持ったアーティファクトが戦場にあるとする。誰かが、すべてのアーティファクト、クリーチャー、エンチャントを破壊する呪文を唱えた。このアーティファクトは、クリーチャーと同時に墓地に行くが、その能力は2回誘発する。
603.10b パーマネントがフェイズ・アウトしたときに誘発する能力は直前の状態を見る。
603.10c オブジェクトがはずれたときに誘発すると明記されている能力は直前の状態を見る。
603.10d プレイヤーがオブジェクトのコントロールを失ったときに誘発する能力は直前の状態を見る。
603.10e 呪文が打ち消されたときに誘発する能力は直前の状態を見る。
603.11. オブジェクトの中には、誘発型能力と関連した常在型能力を持つものがある。(rule 607〔関連している能力〕参照)。この類のオブジェクトでは、先に常在型能力、後に誘発型能力という順序で、両方の能力が一行に書かれている。まれに、誘発条件が能力の最初ではなく途中に書かれているオブジェクトもある。
例:「各ターン、最初に引いたカードを公開する。この方法で基本 土地・カードを公開するたび、カードを1枚引く」というのは、誘発型能力と関連した常在型能力である。
603.12. 呪文や能力の解決中に、プレイヤーに強制または任意で何らかの処理をさせ、そして「[プレイヤーが]そう[した/しなかった]とき/when [a player][does or doesn't]」または「これにより[○○した]とき/when [something happens] this way」処理する、という誘発型能力を作ることがある。これらの「再帰誘発型能力/reflexive triggered abiliy」は、作られた直後にチェックされ、それを作った呪文や能力の解決中に、すでにその条件を満たしていたかどうかを参照するという点を除いては遅延誘発型能力のルールに従う(rule 603.7 参照)。その誘発イベント(群)がその時間内に複数回発生していたなら、その再帰誘発型能力はその回数分誘発する。
例:《心臓貫きのマンティコア》には「心臓貫きのマンティコアが戦場に出たとき、あなたは他のクリーチャー1体を生け贄に捧げてもよい。そうしたとき、クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。心臓貫きのマンティコアはそれに、その生け贄に捧げたクリーチャーのパワーに等しい点数のダメージを与える。」という能力がある。この再帰誘発型能力は、元の誘発型能力によって他のクリーチャーを生け贄に捧げていた場合にのみ誘発し、他の理由でクリーチャーを生け贄に捧げていたとして誘発しない。
604.1. 常在型能力は、起動したり誘発したりするのではなく、常に何かをし続ける。通常の文で書かれており、単にそのままである。
604.2. 常在型能力は、継続的効果を発生する。その中の一部は軽減・置換効果である。これらの効果は、常在型能力を持つパーマネントが戦場にあってその能力を持っている間、あるいはその能力を持つオブジェクトが該当する領域にある間、持続する。rule 113.6 参照。
604.3. 特性定義能力は、常在型能力の一種である。通常はそのオブジェクトのどこかに記載されている(例えばマナ・コスト、タイプ行、パワー/タフネス欄)特性値に関する情報を提供する。特性定義能力は、そのオブジェクトのどこか別の場所に記載されている情報に追加するかそれを上書きする。特性定義能力は全ての領域において機能する。また、ゲームの外部にある間にも機能する。
604.3a 以下の条件を全て満たす常在型能力は、特性定義能力である。(1)オブジェクトの色、サブタイプ、パワー、タフネスのいずれかを定義しているもの。(2)影響を受けるカードそのものに記載されているものか、トークンを生み出す効果によってトークンが得たものか、影響を受けるオブジェクトにコピー 効果や文章変更効果によって得ているもの。(3)他のオブジェクトの特性に直接は影響を及ぼさないもの。(4)オブジェクトがそれ自身に得させている能力ではないもの。(5)ある条件下でのみ特性値を定義するものでないもの。
604.4. オーラ、装備品、城砦の多くは、それがつけられているオブジェクトを修整する常在型能力を持つが、そのオブジェクトを対象に取らない。オーラ、装備品、城砦が別のオブジェクトに移された場合、その能力は元のオブジェクトへの適用を止め、新しいオブジェクトを修整するようになる。
604.5. ある種の常在型能力は、呪文がスタックにある間に適用される。それらは多くの場合、呪文を打ち消すことに関するものである。また、「[このオブジェクト]を唱えるための追加コストとして、[コスト]を支払う/As an additional cost to cast [this object], pay [cost]」「[このオブジェクト]のマナ・コストを支払うのではなく、[コスト]を支払ってもよい/You may pay [cost] rather than pay [this object]'s mana cost,」「あなたは[このオブジェクト]をマナ・コストを支払わずに唱えてもよい/You may cast [this object] without paying its mana cost」といった能力も、そのカードが呪文としてスタックにある間に機能する。
604.6. ある種の常在型能力は、カードが唱えられるあるいはプレイできる領域(通常は手札)にある間に適用される。それは「あなたは[このカード]を[唱え/プレイし]てもよい/You may [cast/play] [this card]」「あなたは[このカード]を[唱えられ/プレイでき]ない/You can't [cast/play] [this card]」「[このカード]は …… にのみ[唱えられ/プレイでき]る/[Cast/Play] [this card] only ...」と書かれているものに限られる。
604.7. 呪文やその他の種類の能力とは異なり、常在型能力は、効果がどう適用されるか決定する目的でオブジェクトの最後の情報を使用できない。
605.1. 起動型能力の一部と誘発型能力の一部はマナ能力であり、特別なルールに従う。以下の2種類のどちらかに分類されるものだけがマナ能力である。他の効果を伴うかどうか、あるいはタイミングの限定がどうか(「この能力は、あなたがインスタントを唱えられるときのみ起動できる」)は関係しない。
605.1a 以下のすべての条件を満たす起動型能力は、マナ能力である。対象を取りえないこと(rule 115.6 参照)、解決時にプレイヤーのマナ・プールにマナを加えうること、忠誠度能力でないこと(rule 606〔忠誠度能力〕参照)。
605.1b 以下のすべての条件を満たす誘発型能力は、マナ能力である。対象を取りえないこと(rule 115.6 参照)、起動型マナ能力(rule 605.1a 参照)が解決されることかマナがプレイヤーのマナ・プールに加えられることによって誘発すること、解決時にプレイヤーのマナ・プールにマナを加えうること。
605.2. マナ能力は、ゲームの状況によってマナを生み出せない場合でもマナ能力である。
例:あるパーマネントに、「{T}:あなたがコントロールしているクリーチャー1体につき{G}を加える」という能力があるとする。この能力は、あなたがクリーチャーをコントロールしていない時や、すでにこのパーマネントがタップ状態であるときにもマナ能力である。
605.3. 起動型マナ能力を起動することは、以下の例外を除いて、他の起動型能力を起動することに関するルール(rule 602.2 参照)に従う。
605.3a プレイヤーは、優先権を持っている時、呪文を唱えている間または能力を起動している間でマナの支払いが必要になった時、あるいはルールや効果がマナの支払いを求めている時なら、呪文を唱えたり解決したり能力を起動したり解決したりしている途中であったとしても起動型マナ能力を起動することができる。
605.3b 起動型マナ能力はスタックに積まれないので、対象にならず、打ち消されず、対応されることもない。そして、起動の直後に解決される。(rule 405.6c 参照)
605.4. 誘発型マナ能力は、以下の例外を除いて、他の誘発型能力に関するルール(rule 603〔誘発型能力の扱い〕参照)に従う。
605.4a 誘発型マナ能力はスタックに積まれないので、対象にならず、打ち消されず、対応されることもない。そして、誘発した直後に優先権を待たずに解決される。
例:「プレイヤーが土地をマナを出す目的でタップするたび、そのプレイヤーは、その土地から引き出された好きなタイプのマナ1点を加える」というエンチャントがある。プレイヤーが呪文を唱える間に土地をタップしてマナを出した場合、追加のマナは即座に加えられ、その呪文の支払いに充てることができる。
605.5. rule 605.1a から rule 605.1b の分類に当てはまらない能力は、マナ能力ではない。
605.5a 対象を取る能力は、解決時にマナをそのプレイヤーのマナ・プールに入れるものであっても、マナ能力ではない。同様に、起動型マナ能力以外で誘発する、解決時にマナをそのプレイヤーのマナ・プールに入れる誘発型能力や、起動型マナ能力で誘発する、解決時にマナをそのプレイヤーのマナ・プールに入れない誘発型能力は、マナ能力ではない。それらは通常の起動型能力または誘発型能力のルールに従う。
605.5b マナをプレイヤーのマナ・プールに加える呪文はマナ能力ではない。これらは他の呪文と同じように唱えられ、解決される。カード・タイプが「マナ・ソース/mana source」となっている古いカードが存在するが、それらのカードはオラクルで訂正され、インスタントになっている。
606.1. 起動型能力の中には忠誠度能力が存在し、それらは特別なルールに従う。
606.2. 忠誠シンボルをコストに含む起動型能力は忠誠度能力である。通常、プレインズウォーカーだけが忠誠度能力を持つ。
606.3. 自分のコントロールしているパーマネントの忠誠度能力を起動できるのは、優先権を持っていてスタックが空で自分のメイン・フェイズの間で、そのターンにそのパーマネントの忠誠度能力をまだどのプレイヤーも起動していない場合に限る。
606.4. パーマネントの忠誠度能力を起動するためのコストは、その能力のコストに含まれる忠誠シンボルに書かれている数の忠誠カウンターをそのパーマネントに載せるあるいは取り除くことである。
606.5. マイナスの忠誠度 コストを持つ忠誠度能力は、そのパーマネントにその数以上の忠誠カウンターが載っていない限り起動できない。
607.1. ある種の行動をし、あるいはオブジェクトやプレイヤーに影響を及ぼす能力と、その行動、オブジェクト、あるいはプレイヤーを直接参照する能力とが印刷されているオブジェクトが存在する。これらの能力は「関連している/linked」ものであり、この2つめの能力は、その1つめの能力による行動やその能力によって影響を受けたオブジェクトやプレイヤーだけを参照する。その他の能力によるものを参照することはない。
607.1a オブジェクトに印刷されている能力によって得ているそのオブジェクトの能力は、この意味では、そのオブジェクトに印刷されているものとして扱う。
607.1b 変身する両面カード(rule 711 参照)のどちらかの面に印刷されている能力は、この意味では、その時点でどちらの面がオモテになっていても、そのオブジェクトに「印刷されている」ものとして扱う。
607.1c rule 607.1 に記されている両方の条件を満たした能力があるオブジェクトに印刷されている場合、それはそれ自身に関連している。
607.1d 紋章に印刷されている能力は、この意味では、その紋章を生成した能力の発生源であったプレインズウォーカーに「印刷されている」ものとして扱う。
607.2. 関連している能力にはいくつかの種類が存在する。
607.2a あるオブジェクトに、いずれかのプレイヤーにカードを追放させる起動型あるいは誘発型能力が印刷されており、また「その追放されたカード/the exiled cards」あるいは「[このオブジェクト]によって追放されたカード/cards exiled with [this object]」と書かれた能力が印刷されている場合、これらの能力は関連している。この2つめの能力は、その1つめの能力の指示の結果として追放されたカードで、追放 領域にあるものだけを参照する。
607.2b あるオブジェクトに、いずれかのプレイヤーにカードを追放させる置換効果を作る能力が印刷されており、また「その追放されたカード/the exiled cards」あるいは「[このオブジェクト]によって追放されたカード/cards exiled with [this object]」と書かれた能力が印刷されている場合、これらの能力は関連している。この2つめの能力は、その1つめの種類の能力による置換効果の直接の結果によって追放されたカードで、追放 領域にあるものだけを参照する。rule 614〔置換効果〕参照。
607.2c あるオブジェクトに、オブジェクトを戦場に出す起動型あるいは誘発型能力が印刷されており、またそのカードに「[このオブジェクト]によって戦場に出た/put onto the battleground with [this object]」「[このオブジェクト]によって生成された/created with [this object]」オブジェクトを参照する能力が印刷されている場合、それらの能力は関連している。この2つめの能力は、その1つめの能力の結果戦場に出たオブジェクトだけを参照する。
607.2d あるオブジェクトに、「[値]を選ぶ/choose a [value]」ことをプレイヤーに求める能力を印刷されており、また「選ばれた[値]/the chosen [value]」「最後に選ばれた[値]/the last chosen [value]」などを参照する能力が印刷されている場合、それらの能力は関連している。この2つめの能力は、1つめの能力の結果行なわれた選択だけを参照する。
607.2e あるオブジェクトに、いずれかのプレイヤーに2つまたはそれ以上の数のルール上特定の意味を持たない単語から選択させる能力と、それらの単語の内1つ以上のものを含む選択内容を参照する能力が印刷されている場合、それらの能力は関連している。この2つめの能力は、1つめの能力の結果行なわれた選択だけを参照する。
607.2f あるオブジェクトに、それが戦場に出るに際していずれかのプレイヤーにコストを支払わせる能力と、「[このオブジェクト]が戦場に出るに際し/as [this object] entered the battlefield」て支払われたコストを参照する能力が印刷されている場合、それらの能力は関連している。この2つめの能力は、1つめの能力の結果支払われたコストだけを参照する。
607.2g あるオブジェクトの単一の段落内で、常在型能力と誘発型能力が印刷されている場合、それらの誘発型能力はそれぞれ常在型能力に関連している。誘発型能力は、その常在型能力の結果行なわれた処理だけを参照する。rule 603.11 参照。
607.2h オブジェクトにキッカー 能力と、キッカーしているかどうかを参照する能力が印刷されている場合、それらの能力は関連している。2つめの能力は、1つめの能力に印刷されているキッカー・コストを、そのオブジェクトを呪文として唱える際に払う意志を示したかどうかだけを参照する。キッカー 能力に複数のコストが列記されている場合、複数の能力が関連することになる。それぞれの能力はどのキッカー・コストを参照するか明記されている。rule 702.32〔キッカー〕参照。
607.2i あるオブジェクトに、それを唱えるに際して可変の追加コストを支払うという能力と、「[このオブジェクト]を唱えるに際し/as [this object] was cast」て支払われたコストを参照する能力が印刷されている場合、それらの能力は関連している。この2つめの能力は、1つめの能力の結果支払われたコストだけを参照する。rule 601.2b 参照。
607.2j 覇権キーワードによって表現される2つの能力は関連した能力である。rule 702.71〔覇権〕参照。
607.2k 固定語が先に記されている能力は、プレイヤーにその固定語を選ばせる能力と関連している。rule 614.12b 参照。
607.2m オブジェクトに、プレイヤーに「ゲームの開始時にあなたがあなたのデッキを切り直す前に、/before you shuffle your deck to start the game」1枚または複数のカードを追放することを認める常在型能力と「あなたが「[名前]」という名前のカードによって追放した/exiled with cards named [this object’s name]」カードを参照する能力が印刷されている場合、その2つ目の能力は、ゲーム開始前にその名前を持っていたすべてのオブジェクトの持つ1つ目の能力と関連している。
607.2n 特性定義能力のためにゲーム開始前に選択を行なわせる常在型能力と特性定義能力の両方が、あるオブジェクト上の単一の段落の中に印刷されている場合、それらの能力は関連している。この後者の能力は前者の能力の結果として行なわれた選択だけを参照し、そのゲームの間、そのオブジェクトが領域を変更するにあたってその選択を参照し続ける。
607.2p 上記の規定は、プレインズウォーカーと紋章は異なるオブジェクトであるが、組となる関連する能力を持つプレインズウォーカーと紋章に適用されうる。
607.3. 関連した能力の組の中で、一方の能力が「その追放されたカード」「[このカード]で追放されたカード」などの表記で単一のオブジェクトを参照していて、他方の能力が複数のカードを追放した場合(たとえば能力がコピーされた場合など)、この能力はその追放されたカードそれぞれを参照する。その能力がその追放されたカードについて特性や点数で見たマナ・コストなどの情報を必要とする場合、複数の答えが得られる。その答えを用いて何らかの値を定める場合、その答えの合計が用いられる。その能力が「その」追放されたカードに何らかの処理をする場合、その追放されたカードそれぞれにその処理を行なう。その能力が追放されたカード「1枚」に何らかの処理をする場合、その能力のコントローラーがどのカードが影響を受けるのかを選択する。
607.4. 能力が、複数の組の関連した能力の一部になることがありうる。
例:《極楽の羽飾り》は以下の3つの能力を持つ。「極楽の羽飾りが戦場に出るに際し、色1色を選ぶ。」「プレイヤーが選ばれた色の呪文を1つ唱えるたび、あなたは1点のライフを得る。」「{T}: 選ばれた色のマナ1点を加える。」1つめと2つめは関連した能力であり、1つめと3つめも関連した能力である。
607.5. オブジェクトが、単一の効果の一部として一組の関連した能力を得ることがある。それらの能力は、新しいオブジェクトに印刷されているわけではないが、元の能力と同様に関連した能力となる。そのオブジェクトが現在、あるいは過去にどのような能力を持っていようとも、他の能力と関連することはない。
例:《弧炎撒き》は「{R}、あなたのライブラリーのカードを一番上から10枚追放する:クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。弧炎撒きはそれに2点のダメージを与える。」という能力を持つ。《石の死の姉妹》は「{B}{G}: 石の死の姉妹をブロックするかブロックされているクリーチャー1体を対象とし、それを追放する。」「{2}{B}:石の死の姉妹により追放されたクリーチャー・カードを1枚、あなたのコントロール下で戦場に出す。」という能力を持つ。《水銀の精霊》は「{U}:クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、水銀の精霊はそれのすべての起動型能力を得る。」という能力を持つ。《水銀の精霊》で《弧炎撒き》の能力を得、それを起動したあと、《石の死の姉妹》の能力を得て、クリーチャー・カードを追放する能力を起動したとする。この後、《石の死の姉妹》から得た戦場に戻す能力を起動したとしても、《石の死の姉妹》由来の能力によって《水銀の精霊》が追放したカードしか戦場に戻すことはできない。《弧炎撒き》由来の能力で追放されたクリーチャー・カードは戦場に戻らない。
607.5a オブジェクトが選択を参照する能力を得るが、それがその能力と関連した能力をコピーしないか、あるいは関連した能力をコピーしてもその選択をしない場合、その選択は「未定義」として扱う。能力が未定義の選択を参照する場合、その能力のその部分は何もしない。
例:《万物の声》が戦場に出て《不定の多相の戦士》がそれをコピーしたとする。《万物の声》は「万物の声が戦場に出るに際し、色1色を選ぶ。」と「万物の声は、プロテクション(その選ばれた色)を持つ。」を持つ。《不定の多相の戦士》は、《万物の声》として戦場に出てはいないので、その色を選ぶ機会は存在せず、従ってプロテクション 能力を得ることはない。
例:《Vesuvan Doppelganger》が《万物の声》のコピーとして戦場に出て、《Vesuvan Doppelganger》のコントローラーは青を選び、後に、《Vesuvan Doppelganger》が「{T}: あなたのマナ・プールに、その選ばれた色のマナ1点を加える。」を持つ《クウィリーオン・エルフ》をコピーしたとする。《Vesuvan Doppelganger》は色を選んで入るが、《クウィリーオン・エルフ》からコピーしたマナ能力と関連した能力で選ばれたものではない。《Vesuvan Doppelganger》のそのマナ能力を起動した場合、マナは発生しない。
608.1. 全てのプレイヤーが続けてパスすると、スタックの一番上に積まれている呪文や能力が解決される。(rule 609〔効果〕参照。)
608.2. 解決されるオブジェクトがインスタント・呪文やソーサリー・呪文や能力である場合、その解決はいくつかの手順に分かれる。rule 608.2a と rule 608.2b で記された手順を先に踏み、その後で rule 608.2c から rule 608.2k で記された手順を適切な順で行なう。その後、最後にrule 608.2m に記された手順を行なう。
608.2a "場合"のルールに従う誘発型能力であれば、その条件がこの時点でも満たされているかどうかを確認する。満たされていなければ、その能力はスタックから取り除かれ、何も行なわない。そうでなければ、解決を続ける。rule 603.4 参照。
608.2b 呪文や能力が対象を取る場合、その対象がこの時点でも適正かどうかを確認する。対象となったときにあった領域に存在しなくなっている対象は、適正ではない。たとえば、その特性が変わっていたり、効果によって呪文の文章が変わっていたりするなど、ゲームの状況の変化によって適正でなくなっていることもある。能力の発生源が元あった領域から移動していた場合、この手順において最後の情報が用いられる。すべての対象が、すべての対象群において、不適正になっていた場合、その呪文や能力は解決されない。それはスタックから取り除かれ、呪文であればオーナーの墓地に置かれる。そうでなければ、その呪文や能力は通常通り解決される。不適正な対象が存在する場合、それらはその呪文の効果のうちでその対象が不適正である部分によっては影響されない。効果のうち、それらの対象が不適正でない部分には影響されうる。呪文や能力がゲームのルールを変更する継続的効果を作る場合(rule 613.11 参照)、その効果は不適正な対象には適用されない。効果の一部が不正な対象についての情報を必要とする場合、その情報を決定することは失敗し、その情報を必要とする部分の効果は発生しない。
例:《ソリンの渇き》は「クリーチャー1体を対象とする。ソリンの渇きはそれに2点のダメージを与え、あなたは2点のライフを得る。」という黒のインスタントである。この対象になったクリーチャーが《ソリンの渇き》の解決時に適正な対象でなかった場合(例えば、プロテクション(黒)を得たり、戦場を離れていたりした場合)、《ソリンの渇き》は解決されない。そのコントローラーはライフを得ることができない。
例:《疫病の胞子》は「黒でないクリーチャー1体と土地1つを対象とし、それらを破壊する。それらは再生できない。」という効果を持つ。クリーチャー・土地1つを、黒でないクリーチャーとしても土地としても対象にした場合、その後でそのクリーチャー・土地が黒になったとしても、《疫病の胞子》は「土地1つ」を対象とする部分について適正な対象をとるので、解決される。「黒でないクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する」という部分はそのパーマネントに影響を及ぼさないが、「土地1つを対象とし、それを破壊する」部分がそのパーマネントを破壊することになる。また、それは再生できない。
608.2c 呪文や能力のコントローラーは、書かれた順序で指示に従う。但し、置換効果によってこれらの行動が変更され、以前の指示の意味が変わることもある。場合によっては、カードのテキストで後のほうに書かれた文章が、前の文章の意味を修整することがある(例えば、「クリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。それは再生できない」あるいは「呪文1つを対象とする。それを打ち消す。その呪文が打ち消されたなら、それをオーナーの墓地に置く代わりに、オーナーのライブラリーの一番上に置く」)。これらの場合を考えずに逐語的に効果を適用したりしてはならない。カード全体を読み、文法に従ってテキストを解釈すること。
608.2d 効果の中で、呪文を唱える時、あるいは能力を起動する時、その他呪文や能力をスタックに積むときに宣言していない選択が必要とされる場合、プレイヤーは効果の処理の間にこれらを宣言する。プレイヤーは、不正な選択肢、または不可能な選択肢を選ぶことはできない。この例外として、カードを引くことは、そのプレイヤーのライブラリーにカードが1枚もなくても不可能な行動としては扱われない(rule 121.3 参照)。効果によって、プレイヤーが望む数のプレイヤーやオブジェクトに対象を取らずにダメージやカウンターなどを分配あるいは割り振って与える場合、可能ならばそのプレイヤーは最低1人のプレイヤーまたは1つのオブジェクトを選び、そこに割り振る量と割り振り方を選ぶ。その選ばれたプレイヤーやオブジェクトには、最低1つの分配物が置かれなければならない。(注:効果によってダメージやカウンターが分配あるいは割り振られる割り振り先を対象としている場合、その割り振る量や割り振り方は呪文や能力がスタックに積まれる時に宣言される。rule 601.2d 参照)
例:「あなたはクリーチャー1体を生け贄に捧げてもよい。そうしないなら、あなたは4点のライフを失う」という呪文があるとする。クリーチャーをコントロールしていないプレイヤーは、生け贄に捧げるという選択肢を選ぶことはできない。
608.2e 呪文や能力の中には、複数の段落や条項によって、複数のプレイヤーが関与する、複数の手順や行動に分かれているものもある。この場合、APNAP順に従って1つめの行動について必要な選択を行ない、そして1つめの行動が同時に実行される。その後で、APNAP順に従って2つめの行動について必要な選択を行ない、そして2つめの行動が同時に実行される。以下同様に繰り返す。rule 101.4 参照。
608.2f 呪文や能力の中に、複数のプレイヤーやオブジェクトに何かの処理をするものがある。ほとんどの場合、それらの処理は同時に実行される。その処理が同時に実行できないものであれば、それは影響を受けるプレイヤーやオブジェクトそれぞれについて個別に処理される。それらの処理の順番を決める第1条件はAPNAP順であり、第2条件は、プレイヤーとそのコントロールしているオブジェクト(群)の両方にその処理をするものである場合はその解決される呪文や能力をコントロールしているプレイヤーがそれらの処理の相対的順序を選ぶ。
例:《露骨な窃盗》には「対戦相手1人につき、そのプレイヤーがコントロールするパーマネント1つを対象とする。あなたはそれのコントロールを得る。」と書かれている。《露骨な窃盗》の解決に際し、そのコントローラーは対象として選ばれたパーマネントすべてのコントロールを同時に得る。
例:《魂火の噴火》には「望む数の、クリーチャーやプレインズウォーカーやプレイヤーを対象とする。それらにつきそれぞれ「あなたのライブラリーの一番上のカードを追放する。その後、魂火の噴火はそのパーマネントかプレイヤーに、そのカードの点数で見たマナ・コストに等しい点数のダメージを与える。」を行う。」と書かれている。プレイヤーが《魂火の噴火》を唱え、対戦相手1人とそのプレイヤーがコントロールしているクリーチャー1体を対象としたとする。《魂火の噴火》の解決に際し、そのプレイヤーは同時に自分のライブラリーの一番上のカードを複数回追放することはできないので、最初にどの対象を扱うかを選び、それから自分のライブラリーの一番上のカードを追放し、最後に《魂火の噴火》がその対象にダメージを与える。その後、残りの対象についてこの工程を繰り返す。
608.2g プレイヤーがマナを支払ってもよいという選択肢を含む効果の場合、そのプレイヤーはその行動を行なう前にマナ能力を起動してもよい。解決中に呪文を唱えられるという効果の場合、プレイヤーは rule 601.2a-i に従って唱える。ただし、唱え終わった後にプレイヤーが優先権を得ることはない。その呪文をスタックの一番上に置いて、現在解決中の呪文や能力の解決を続ける。ここに、これと同様に他の呪文を唱えることが含まれることもありうる。通常、解決中にはそれ以外の呪文を唱えたり能力を起動したりはできない。
608.2h ゲームの情報(戦場に出ているクリーチャーの数など)を必要とする場合、その値はプレイヤーがその処理を実行する時に一度だけ決定される。効果が、その効果の発生源など特定のオブジェクトの情報を必要とする場合、そのオブジェクトが元あった公開領域にある場合、その現在の情報を使う。すでにそこにない、あるいは効果によって公開領域から非公開領域に移動していた場合、そのオブジェクトの最後の情報を使う。rule 113.7a 参照。オブジェクトが何かすると書いてある能力の場合、実際にそれをするのはその存在する(または直前に存在した)オブジェクトであり、能力ではない。
608.2i 特性を調べる効果は、その指定された特性の値だけをチェックし、オブジェクトが他に持っているかもしれない、類似の特性の値はチェックしない。
例:白でも黒でもあるクリーチャーは、「黒のクリーチャーをすべて破壊する」という効果で破壊されるが、「黒でないクリーチャーをすべて破壊する」という効果では破壊されない。
608.2j 能力の効果が、その能力のコストや誘発条件によって参照されていて対象になっていないオブジェクトを参照する場合、そのオブジェクトの特性が変わっていてもそのオブジェクトに影響を及ぼす。
例:《哀れみの壁》は「哀れみの壁がクリーチャー1体をブロックするたび、戦闘終了時にそのクリーチャーをオーナーの手札に戻す。」という能力を持つ。《哀れみの壁》がクリーチャーをブロックした後、そのクリーチャーが能力の解決前にクリーチャーでなくなったとしても、そのパーマネントはオーナーの手札に戻される。
608.2k 適正に解決されるインスタント・呪文やソーサリー・呪文や能力は、解決が始まった後でスタックから取り除かれたとしても、最後まで解決される。
608.2m インスタント・呪文やソーサリー・呪文の解決の最終段階として、その呪文はスタックからオーナーの墓地に置かれる。能力は、その解決の最終段階として、スタックから取り除かれ、消滅する。
608.3. 解決されているオブジェクトがパーマネント呪文である場合、その解決は(オーラ、パーマネント呪文のコピー、変容させるクリーチャー・呪文のいずれでもなければ)単一の手順からなる。呪文・カードがパーマネントになり、その呪文のコントローラーのコントロール下で戦場に出る。
608.3a 解決されているオブジェクトがオーラ・呪文の場合、その解決は2つの手順からなる。まず、エンチャント能力で特定されている対象がなお適正かどうかを rule 608.2b に従って確認する。(rule 702.5〔エンチャント〕参照。)適正であれば、その呪文・カードはパーマネントとなり、その呪文のコントローラーのコントロール下で、対象としていたオブジェクトについた状態で戦場に出る。
608.3b 解決しているオブジェクトがパーマネント呪文のコピーであるなら、そのオブジェクトはトークン・パーマネントとなり、その呪文のコントローラーのコントロール下で戦場に出る。それは呪文のコピーではなくなる。こうして戦場に出たトークンは、トークンを生成することに言及した置換効果や誘発型能力からは、「生成」されたものとしては扱われない。
608.3c 解決されているオブジェクトが変容させるクリーチャー・呪文の場合、その解決は2つの手順からなる。まず、その呪文と同じオーナーの、対象としたクリーチャーが適正な対象であるかをチェックする。適正であれば、その呪文を表すオブジェクトはそのパーマネントと合同する。そうでなければ、それはクリーチャー・呪文となり、その呪文のコントローラーのコントロール下で戦場に出る(rule 702.139〔変容〕参照)。
608.3d パーマネント呪文が解決されて、そのコントローラーがそれを戦場に出せない場合、そのプレイヤーはそれをオーナーの墓地に置く。
例:《Worms of the Earth》は「土地は戦場に出られない。」という能力を持つ。《クローン》は「クローンが戦場に出るに際し、戦場に出ているクリーチャーを1体選ぶ。そうしたなら、クローンはそのクリーチャーのコピーとして戦場に出る。」という能力を持つ。《Worms of the Earth》が戦場にある状況で、《クローン》を唱えて《ドライアドの東屋》(クリーチャー・土地)をコピーすることを選んだ場合、《クローン》はスタックから戦場に出る事ができなくなり、オーナーの墓地に置かれる。
609.1. 「効果/effect」とは、呪文や能力の結果としてゲーム内で起こる出来事のことである。呪文や起動型能力、誘発型能力は、解決されると、1つまたは複数の単発的効果または継続的効果を発生させる。常在型能力は、1つまたは複数の継続的効果を発生させる。文章そのものは効果ではない。
609.2. 効果は、効果の文章に特にそう書いてある場合や、明らかに他の領域に存在するオブジェクトにしか適用できない場合を除いて、パーマネントにのみ影響する。
例:すべての土地をクリーチャーに変える効果は、プレイヤーの墓地にある土地・カードには影響を及ぼさない。しかし、呪文を唱えるためのコストを増減する効果は、プレイヤーが唱えている途中である呪文が存在しうるのはスタックだけなので、スタックにある呪文にだけ影響を及ぼす。
609.3. 効果が実現不可能なことを要求している場合、可能な部分だけを実行する。
例:プレイヤーが1枚だけ手札を持っている場合、「手札を2枚捨てる」という効果はその持っているカードだけを捨てさせる。ライブラリーからカードを(引くのではなく)移す効果は、可能な枚数だけ移す。
609.4. プレイヤーが何らかの条件を満たしている「かのように」何かをしてもよい、あるいはクリーチャーが何らかの条件を満たしている「かのように」何かをできると書かれている効果が存在する。それはその効果にだけ適用される。その効果に関しては、その条件を完全に満たしているかのように扱い、それ以外に関しては通常通り扱う。
609.4a 2つの能力がそれぞれ、プレイヤーもしくはクリーチャーが同一のことを違う状況である「かのように/as though」行動してもよい(行動できる)となっていた場合、両方の状況が適用される。もし一方がもう一方の「かのように」の条件を満たしていた場合、両方の効果が適用される。
例:「あなたは呪文を瞬速を持つかのように 唱えてよい」というアーティファクト《ヴィダルケンの宇宙儀》をコントロールしているプレイヤーが、「あなたは他のプレイヤーの墓地から、それらのカードがあなたの墓地にあるかのように、土地をプレイしたり呪文を唱えたりしてよい」というインスタント《シャーマンの恍惚》を唱えた。そのプレイヤーは他のプレイヤーの墓地にあるフラッシュバックつきのソーサリーを、自分の墓地にあるかのように、そして瞬速を持っているかのように 唱えてよい。
609.4b プレイヤーがマナを「望む[タイプ/色]のマナであるかのように/as though it were mana of any [type or color]」支払ってもよいとする効果は、プレイヤーがマナを支払う方法にのみ影響し、コストを変更することも、実際にそのコストを支払うために支払われたマナの種類も変更することはない。
609.5. ある効果の結果が「引き分け/in a tie」で終わる可能性がある場合には、その効果を発生させた呪文や能力の文章にその場合にどうするのかが記されている。マジックにおいて、「引き分け」の場合どうするかという一般則はない。
609.6. 継続的効果の中には、置換効果や軽減効果が存在する。rule 614、rule 615 参照。
609.7. 「このターン、あなたが選んだ赤の発生源1つが次にあなたに与えるダメージを軽減する。」というような、特定の発生源からのダメージに適用される効果が存在する。
609.7a 効果によってダメージの発生源を選ぶ場合、選択できるのは、パーマネント、(パーマネント呪文を含む)スタック上の呪文、またはスタック上のオブジェクトか適用待ちの置換軽減効果か誘発待ちの遅延誘発型能力によって参照されるオブジェクト(もとあった領域から離れているものも含む)、または統率領域にあるオモテ向きのオブジェクトのいずれかである。その発生源が実際にダメージを与えられるものでなくても適正な選択である。この選択は、その効果が作られる時に行なう。プレイヤーがパーマネントを選んだ場合、軽減効果はそのパーマネントからの次のダメージに適用され、それが呪文や能力の効果によるものか、それともそれが与える戦闘ダメージかは問題としない。パーマネント呪文を選んだ場合、この効果はその呪文もしくはその呪文が解決されてなるパーマネントからのダメージに適用される。
609.7b 呪文や能力によって、クリーチャー、あるいはある特定の色、といった、特定の性質の発生源からのダメージだけに影響を及ぼす軽減効果が発生することがある。その類の限定のある軽減の「シールド」は、ダメージを軽減するときにもう一度発生源の特性を確認する。その特性が適合していなければ、ダメージは軽減されない。何らかの理由によってシールドがダメージを軽減しなかった場合にはシールドは消耗しない。
609.7c 常在型能力の効果で、特定の性質を持つダメージの発生源からのダメージを軽減したり置換したりするものがある。これらの効果については、その軽減・置換効果はその性質を持つパーマネントだけでなく、戦場以外の領域にある、その性質を持つあらゆる発生源にも適用される。
610.1. 単発的効果は、何かを1回だけ起こし、すぐに終わる。例としては、ダメージを与える、パーマネントを破壊する、トークンを生成する、オブジェクトを領域間で移動させる、などがある。
610.2. 単発的効果の中には、この単発的効果を生み出した呪文や能力の解決時ではなく、ゲームが先に進んでから(通常はある特定の時点で)何かするよう、プレイヤーに指示するものがある。rule 603.7 参照。
610.3. 単発的効果の中には、特定のイベントが発生する「まで」オブジェクトの領域を移動させるものがある。その特定のイベントの直後に作られる2つめの単発的効果によって、そのオブジェクトは元あった領域に戻る。
610.3a 解決中の呪文や起動型能力が、オブジェクトの領域を変更する最初の単発的効果を生成し、その特定のイベントが、その呪文や能力がスタックに置かれた後、その単発的効果が発生するよりも前に発生していた場合、そのオブジェクトは動かない。
610.3b 解決中の誘発型能力が、オブジェクトの領域を変更する最初の単発的効果を生成し、その特定のイベントが、その能力が誘発した後、その単発的効果が発生するよりも前に発生していた場合、そのオブジェクトは動かない。
610.3c この方法で戦場に戻ったオブジェクトは、特に指定されていない限りオーナーのコントロール下で戻る。
610.3d この方法で、1つ以上の同時のイベントの直後に複数の単発的効果が発生した場合、それらの単発的効果もまた同時である。
例:《放逐する僧侶》2体がそれぞれカードを1枚追放している。すべてのクリーチャーが同時に《審判の日》で破壊された。この場合、追放されていた2体のカードは同時に戦場に戻る。
610.4. 単発型効果の中に、パーマネントを特定のイベントが発生する「まで/until」フェイズ・アウトさせるものが存在する。その特定のイベントが起こった直後に、2つ目の単発型効果が生成される。この2つ目の単発型効果がそのパーマネントをフェイズ・インさせる。
610.4a この方法でフェイズ・アウトしたパーマネントは、プレイヤーのアンタップ・ステップ中のターン起因処理の結果としてフェイズ・インすることはない(rule 502.1 参照)。他の効果によってフェイズ・インすることはありうる。この方法でフェイズ・アウトしたパーマネントが他の効果によってフェイズ・インした場合、そのパーマネントが再びフェイズ・アウトしたとしても、2つ目の単発型効果は発生しない。
610.4b 解決中の呪文や起動型能力が、パーマネントをフェイズ・アウトさせる1つ目の単発型効果を生成し、その特定のイベントがその単発型効果が処理するよりも前、その呪文や能力がスタックに置かれるよりも後で発生していた場合、そのパーマネントはフェイズ・アウトしない。
610.4c 解決中の誘発型能力がパーマネントをフェイズ・アウトさせる1つ目の単発型効果を生成し、その特定のイベントがその単発型効果が処理するよりも前、その能力が誘発するよりも後で発生していた場合、そのパーマネントはフェイズ・アウトしない。
610.4d 複数のこの種の単発型効果が1つまたは複数の同時のイベントの直後に生成される場合、それらの単発型効果も同時である。
611.1. 継続的効果は一定のあるいは不定の期間、オブジェクトの特性を変更したり、オブジェクトのコントローラーを変更したり、プレイヤーやゲームのルールに影響を及ぼしたりする。継続的効果は、呪文や能力の解決、あるいはオブジェクトの常在型能力によって作られる。
611.2. 継続的効果は、呪文や能力の解決によっても作られる。
611.2a 呪文や能力の解決によって作られた継続的効果は、それを作った呪文や能力に述べられた期間(「ターン終了時まで」など)継続する。期間が明記されていない場合は、ゲーム終了時まで継続する。
611.2b 起動型能力または誘発型能力によって発生する効果の中には、「〜し続ける限り/for as long as」という表記で限定される持続時間を持つものがある。この「〜し続ける限り」というフレーズで示される期間が、最初に適用されるより前に終了していた場合、その効果は何もしない。開始してすぐまた停止する、ということもないし、永続するということもない。
例:《練達の盗賊》は、「練達の盗賊が戦場に出たとき、アーティファクト1つを対象とする。あなたが練達の盗賊をコントロールし続けているかぎり、あなたはそれのコントロールを得る。」という誘発型能力を持つ。この能力が解決されるよりも先に《練達の盗賊》のコントロールを失った場合、持続期間、つまり「あなたが練達の盗賊をコントロールし続けている限り」という期間は効果が発生する前に終わっているので、効果は発生しない。
611.2c 呪文や能力の解決によって発生する、オブジェクトの特性またはそのコントローラーを変更する継続的効果は、その継続的効果が発生した時点で影響を受けるオブジェクトが決定され、それ以降には変更されない。(これは、常在型能力からの継続的効果とは異なる。)呪文や能力の解決によって発生する、オブジェクトの特性またはそのコントローラーを変更しない継続的効果は、ゲームのルールを変更するので、その継続的効果が発生した時点で影響を受けていなかったオブジェクトにも影響を及ぼす。単一の継続的効果が、オブジェクトの特性やコントローラーを変更する部分とそうでない部分を持っている場合、各部分がどのオブジェクト群に影響を及ぼすかは独立に決定される。
例:「ターン終了時まで、すべての白のクリーチャーは+1/+1の修整を受ける」という効果は、その呪文または能力が解決した時点で白であれば、すべてのパーマネントに修整を得させる。たとえ後で色が変わっても、その修整を失うことはない。また、その後で戦場に出たり白に変わったりしたクリーチャーには影響を及ぼさない。
例:「このターン、クリーチャーが与えるダメージを全て軽減する」という効果は、オブジェクトの特性を変更しないので、ゲームのルールを変更している。つまり、この効果は、この継続的効果が発生した時点で戦場に出ていなかったクリーチャーや、このターンのより後の時点でクリーチャーになったパーマネントによるダメージにも影響を及ぼす。
611.2d 呪文や能力によって、Xのような変数を含む継続的効果が発生した場合、その変数の値は解決時にのみ定められ、その後で変化することはない。rule 608.2h 参照。
611.2e 呪文や能力1つの解決によって、トークンでないパーマネントを戦場に出し、またそのパーマネントが「[特性]である/is [特性]」という継続的効果を作る場合、その継続的効果はそのパーマネントが戦場に出るのと同時に適用される。この特性は、通常、色かクリーチャー・タイプである。この継続的効果が「[特性]になる/becomes [特性]」や「[能力]を得る/gains [能力]」であった場合、それらの効果はそのパーマネントが戦場に出た後で適用される。
例:《理想の調停者》はアーティファクト・カードやクリーチャー・カード、土地・カードを戦場に出し、「そのパーマネントは、他のタイプに加えてエンチャントでもある。/That permanent is an enchantment in addition to its other types.」と書かれている。この場合、エンチャントが戦場に出たときに誘発する能力は誘発する。そのパーマネントが戦場に出た後でエンチャントになるわけではない。
611.3. 継続的効果は、オブジェクトの常在型能力によっても作られる。
611.3a 常在型能力によって生み出される継続的効果は「固定」されない。その文章で示されるもの全てに対して常に適用する。
611.3b この効果は、それを生み出すパーマネントが戦場にある、またはそれを生み出すオブジェクトがその該当する領域にある間、常に適用する。
例:「すべての白のクリーチャーは+1/+1の修整を受ける」という常在型能力を持つパーマネントは、戦場にある白のクリーチャーのそれぞれに+1/+1を継続的に得させる効果を生む。クリーチャーが白になったらこの修整を得、白でなくなったらこの修整を失う。
611.3c パーマネントの特性を修整する継続的効果は、そのパーマネントが戦場に入ると同時に特性を修整する。パーマネントが戦場に出るのを待ち、それから修整するのではない。この類の効果はパーマネントが戦場に出る時点で適用されるので、パーマネントが戦場に出たときの能力が誘発するかどうかを決定するよりも前に適用される。
例:「すべての白のクリーチャーは+1/+1の修整を受ける」という常在型能力を持つパーマネントが戦場にある場合、通常1/1の白クリーチャーを生むクリーチャー・呪文は、代わりに2/2の白クリーチャーを生む。1/1のクリーチャーが戦場に出て、それから2/2になるのではない。
612.1. 継続的効果の中には、オブジェクトの文章を変更するものがある。それはそのオブジェクトに印刷されているあらゆる単語やシンボルに適用されうるが、影響があるのはオブジェクトのルール文章(文章欄の中にある)とタイプ行にある文章だけである。これらの効果を文章変更効果と言う。
612.2. オブジェクトの文章を変更する効果は、それぞれ該当する種類の単語だけを書き換える(例えば、マジックの色を示す単語が色として用いられていたり、土地のタイプを示す単語が土地のタイプとして用いられていたり、クリーチャー・タイプを示す単語がクリーチャー・タイプとして用いられている場合のことである)。マジックの色や基本土地タイプ、クリーチャー・タイプと同じ単語や一連の文字列が含まれていたとしても、この類の効果によって名前を書き換えることはできない。
612.2a クリーチャー・トークンを生成する呪文や能力は、そのトークンのクリーチャー・タイプをクリーチャー・タイプとトークンの名前の両方として用いることが多い。それらの単語は名前としても使われるが、クリーチャー・タイプなので書き換えることができる。
612.3. 能力を追加したり取り除いたりする効果は、その影響を受けるオブジェクトの文章を変更するわけではない。従って、効果によってオブジェクトが得た能力は、そのオブジェクトの文章を変更する効果の影響を受けない。
612.4. トークンのサブタイプとルール文章は、そのトークンを生成する呪文や能力によって定義される。それらの特性は文章変更効果によって書き換えることができる。
612.5. あるカード(《ヴォルラスの多相の戦士》)には、あるオブジェクトが他のオブジェクトの「すべての文章」を持つと書かれている。これはそのオブジェクトの文章欄とタイプ行にある文章だけでなく、名前、マナ・コスト、色指標、パワー、タフネスの文章も変更する。
612.6. あるカード(《スパイ道具》)には、オブジェクトが「すべての伝説でないクリーチャー・カードの名前を持つ」と書かれている。これはそのオブジェクトの名前を参照する文章を変更する。そのオブジェクトは、オラクルに存在する、伝説でないクリーチャー・カードそれぞれの名前を持つ(rule 100.6 参照)。
612.7. あるカード(《ヴィトゥ=ガジーの目覚め》)は、オブジェクトの名前を定める継続的効果を生成する。この変更は、そのオブジェクトの名前を表す文章を変更する。そのオブジェクトはそれまで持っていた名前をすべて失い、その特定された名前だけを持つ。
612.8. 連繋 能力は、連繋を持つカードのルール文をその呪文に、その呪文自身のルール文の後に加えることで呪文の文章を変更する。これによってその呪文自身の文章を変更したり置換したりするわけではない(rule 702.46〔連繋〕参照)。
613.1. オブジェクトの特性の値は、そのオブジェクトそのものの値から始まって決定される。カードであればそのカードに記載されている特性の値、トークンや(呪文やカードの)コピーであればそれを生成した効果によって定められた特性の値を初期値とする。その後、以下の種類別の順番で適用できる継続的効果をすべて適用する。
613.1a 第1種: コピー可能な値を変更するルールや効果が適用される。
613.1c 第3種: 文章変更効果が適用される。rule 612〔文章変更効果〕参照。
613.1d 第4種: タイプ変更効果が適用される。ここにはカード・タイプ、サブタイプ、特殊タイプ変更効果が含まれる。
613.2. 第1種においては、以下の種類細別の順番で効果が適用される。各種類細別においては、効果はタイムスタンプ順に適用される(rule 613.7 参照)。種類別の中では、依存性によって適用順が変わることがある(rule 613.8 参照)。
613.2a 第1a種: コピー可能な効果が適用される。これには、コピー 効果(rule 706〔オブジェクトのコピー〕参照)と、オブジェクトをパーマネントに合同させたことによって決定されるオブジェクトの基本の特性への変更(rule 721〔パーマネントの合同〕)が含まれる。また、「戦場に出るに際し/As ... enters the battlefield」や「表向きになるに際し/As ... is turned face up」の能力は、それがパワーやタフネスを定めているなら、他の特性も定義していたとしても、コピー可能な効果を生成する。
613.2b 第1b種: 裏向きの呪文やパーマネントの特性が、rule 707.2で定義されるように変更される。
613.2c 第1種のルールや効果がすべて適用された後で、そのオブジェクトの特性はコピー可能な値となる(rule 706.2 参照)。
613.3. 第2種から第6種においては、まず特性定義能力が最初に適用され(rule 604.3 参照)、その後他の効果がタイムスタンプ順に適用される(rule 613.7 参照)。種類別の中では、依存性によって適用順が変わることがある(rule 613.8 参照。)。
613.4. 第7種においては、以下の種類細別の順番で効果が適用される。各種類細別においては、効果がタイムスタンプ順に適用される(rule 613.7 参照)。種類細別の中では、依存性によって適用順が変わることがある。(rule 613.8 参照。)
613.4a 第7a種: パワーやタフネスを定義する特性定義能力からの効果が適用される。rule 604.3 参照。
613.4b 第7b種: パワーやタフネスを特定の値にする効果が適用される。クリーチャーの基本のパワーや基本のタフネスを扱う効果は、この種類細別で適用される。
613.4c 第7c種: パワーやタフネスを(特定の値にするのではなく)修整する効果やカウンターが適用される。
613.4d 第7d種: クリーチャーのパワーとタフネスを「入れ替える/switch」効果が適用される。この種の効果はそのオブジェクトのパワーを参照してそのオブジェクトのタフネスとし、そのオブジェクトのタフネスを参照してそのオブジェクトのパワーとする。
例:1/3クリーチャーが効果によって+0/+1の修整を受けているとき、他の効果がそのクリーチャーのパワーとタフネスを入れ替える場合、結果のパワーとタフネスは4/1になる。この「入れ替え」効果の適用後に、他の効果によって+5/+0の修整を受ける場合、「入れ替え前」の値は6/4となり、実際の値は4/6になる。
例:1/3クリーチャーが何らかの効果によって+0/+1の修整を受けているとき、他の効果がそのクリーチャーのパワーとタフネスを入れ替える場合、結果のパワーとタフネスは4/1になる。この「入れ替え」効果の終了前に+0/+1の効果が終わる場合、そのクリーチャーは3/1になる。
例:1/3クリーチャーが何らかの効果によって+0/+1の修整を受けているとき、他の効果がそのクリーチャーのパワーとタフネスを入れ替え、さらに他の効果がそのクリーチャーのパワーとタフネスを入れ替える場合、2つの「入れ替え」効果が実質的に相殺され、結果のパワーとタフネスは1/4になる。
613.5. 上記の種類別による継続的効果の適用は常にそして自動的に行なわれており、結果としてオブジェクトの特性が変更されるのは即時である。
例:《清浄の名誉》は「あなたがコントロールしている白のクリーチャーは+1/+1の修整を得る」というエンチャントである。《清浄の名誉》と2/2の黒のクリーチャーが戦場に出ている時に、その黒のクリーチャーを白にする効果(第5種)が存在したとすると、《清浄の名誉》の効果(第7c種)を受けて3/3になる。この後で、このクリーチャーの色が赤になった(第5種)場合、《清浄の名誉》の効果は適用されなくなり、2/2に戻る。
例:2/2のクリーチャー《灰色オーガ》が戦場に出ている。これに+1/+1カウンターが置かれた(第7c種)場合、3/3になる。さらに「クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは+4/+4の修整を得る」という効果(第7c種)が適用されれば、7/7になる。「あなたがコントロールしているクリーチャーは+0/+2の修整を得る」というエンチャント(第7c種)が戦場に出たら、そのクリーチャーは7/9になる。ここで、「クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは0/1になる」という効果(第7b種)が適用されたら、このクリーチャーは、(0/1→呪文の効果で+4/+4→エンチャントの+0/+2→カウンターの+1/+1→)5/8になる。
613.6. 効果が複数の種類別に分類できる場合、そのそれぞれの部分がそれぞれの種類別として処理される。いずれかの種類別において効果が適用されはじめた場合、この効果を生み出している能力が途中で失われたとしても、その能力からの効果はそれぞれの種類別で適用される。
例:「野生の雑種犬は+1/+1の修整を受け、あなたが選んだ色1色になる」という効果は、パワー・タフネス変更効果でもあり、また色変更効果でもある。従って、「あなたが選んだ色1色になる」という部分が第5種として処理され、その後で「+1/+1の修整を受ける」部分が第7c種として処理されることになる。
例:《反逆の行動》は「クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それのコントロールを得る。そのクリーチャーをアンタップする。ターン終了時まで、それは速攻を得る。」という効果を持つ。これはコントロール変更効果であり、能力追加効果である。従って、「それのコントロールを得る」部分は第2種、「速攻を得る」は第6種として処理される。
例:「ターン終了時まで、クリーチャーでないすべてのアーティファクトは2/2のアーティファクト・クリーチャーになる」という効果は、タイプ変更効果でもあり、パワー・タフネス変更効果でもある。タイプ変更効果は、クリーチャーでないすべてのアーティファクトに対して第4種で適用され、パワー・タフネス変更効果はそれらのパーマネントに対して第7b種で適用される。この時点までに、そのパーマネントはクリーチャーでないアーティファクトではなくなっているが、予定通り適用される。
例:《安息の無い墓、スヴォグトース》が戦場に出ていて、これに「土地1つを対象とする。ターン終了時まで、それは3/3のクリーチャーになり、それは土地でもある」という効果(第4種および第7b種)が適用されたとする。この後、「クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは+1/+1の修整を受ける」という効果(第7c種)を適用すると、4/4の土地・クリーチャーになる。この後、《安息の無い墓、スヴォグトース》の能力「ターン終了時まで、安息の無い墓、スヴォグトースは『このクリーチャーのパワーとタフネスは、それぞれあなたの墓地にあるクリーチャー・カードの枚数に等しい』の能力を持つ黒であり緑である植物・ゾンビ・クリーチャーになる。これは土地でもある。」(第4種、第5種、第7b種)を起動した場合、あなたの墓地にクリーチャー・カードが10枚あったとすると、《安息の無い墓、スヴォグトース》のパワーとタフネスは11/11になり、その後墓地の枚数が変わるにつれて変動する。この後、もう一度最初の効果が適用されたとしたら、再び4/4の土地・クリーチャーになることになる。
613.7. 各種類別、各種類細別の中では、効果の適用順は通常、タイムスタンプのルールを用いて決定される。より早いタイムスタンプを持つ効果が先に適用される。
613.7a 常在型能力によって作られた継続的効果は、それを作ったオブジェクトと、その能力を作った効果の、遅い方と同じタイムスタンプを持つ。
613.7b 呪文や能力の解決によって作られた継続的効果は、作られた時点でタイムスタンプを得る。
613.7c カウンターは、それがオブジェクトやプレイヤーの上に置かれた時点でタイムスタンプを得る。そのオブジェクトやプレイヤーの上にすでに同種のカウンターが置かれていた場合、その種のカウンターはそれぞれその新しいカウンターと同一の新しいタイムスタンプを得る。
613.7d オブジェクトは、それが領域に入った時点でタイムスタンプを得る。
613.7e オーラや装備品、城砦は、オブジェクトやプレイヤーにつくごとに新しいタイムスタンプを得る。
613.7f パーマネントは、オモテ向きになったり裏向きになったりするごとに新しいタイムスタンプを得る。
613.7g 変身する両面パーマネントは、変身するごとに新しいタイムスタンプを得る。
613.7h オモテ向きの次元・カード、現象・カード、計略・カードは、オモテ向きになった時点でタイムスタンプを得る。
613.7i オモテ向きのヴァンガード・カードは、ゲームの開始時にタイムスタンプを得る。
613.7j 策略・カードは、ゲームの開始時にタイムスタンプを得る。裏向きなら、オモテ向きになった時点で新しいタイムスタンプを得る。
613.7k たとえば同時に領域に入る、同時にオブジェクトにつけられる、などで複数のオブジェクトが同時にタイムスタンプを得る場合、それらの相対的タイムスタンプはAPNAP順に決定される(rule 101.4 参照)。アクティブ・プレイヤーがコントロールしている(コントローラーがない場合はオーナーである)オブジェクトが、そのプレイヤーの選択した順番で早い相対的タイムスタンプを得て、その後ターン順で他のプレイヤーが続く。
613.8. 種類別、種類細別の中での効果の適用順は、依存関係によって変更される場合がある。依存関係がある場合、タイムスタンプ順のルールは依存のルールによって上書きされる。
613.8a ある効果が、(a)別の効果と同じ種類別(存在するなら種類細別も)であり、(b)別の効果を適用することにより、その文章が変わったり、効果が発生するかどうかが変わったり、何に適用するかが変わったり、適用するもののどれかに何をするかが変わったりし、さらに(c)どちらの効果も特性定義能力によるものでない、またはどちらの効果も特性定義能力によるものである場合、その効果は他方に「依存している」と言う。そうでない場合、その効果は先の効果と独立である。
613.8b 1つまたは複数の効果に依存している効果は、その依存先の効果全てが適用されてからすぐに適用する。このルールによって複数の依存している効果が同時に適用されるようになった場合には、その適用順はお互いのタイムスタンプ順に従う。依存している効果同士によって依存性のループが作られた場合には、このルールを無視し、依存性のループを作っている効果をタイムスタンプ順に適用する。
613.8c 効果の1つが適用された後、残りの効果の順番は再計算される。まだ適用されていない効果が、他のまだ適用されていない効果に対して独立になったりあるいは依存したりすることによって順番が変わることがある。
613.9. 継続的効果は別の継続的効果を無効化することがある。また、一つの効果の結果が、他の効果が適用されるかどうかや、その効果が何をするかを決定することもある。
例:単一のクリーチャーに、「エンチャントされているクリーチャーは飛行を持つ」というオーラと、「エンチャントされているクリーチャーは飛行を失う」というオーラからの2つの効果が影響を及ぼしている。影響を受ける相手や発揮される効果を変えるものはないので、これらは互いに依存しない。これらをタイムスタンプ順に適用することで、最後に作られた効果が「勝つ」ことになる。それらの効果のいずれかが持続時間のあるもの(「クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは飛行を失う」)やオーラでない発生源からのもの(「すべてのクリーチャーは飛行を失う」)であっても、同じ適用法により同じ結論になる。
例:「白のクリーチャーは+1/+1を得る」「エンチャントされているクリーチャーは白である」という2つの効果があった場合、そのエンチャントされているクリーチャーは、元の色に関らず、+1/+1の修整を受けることになる。
613.10. 継続的効果の中には、たとえばプレイヤーにプロテクション(赤)を得させるなど、オブジェクトでなくプレイヤーに影響を及ぼすものが存在する。それらの効果は全て、オブジェクトの特性が決定された後で、タイムスタンプ順に適用される。タイムスタンプ順と依存のルール(rule 613.7、rule 613.8)参照。
613.11. 継続的効果の中には、プレイヤーの手札の上限を変更する、クリーチャーは可能ならばこのターン攻撃する、など、オブジェクトでなくゲームのルールに影響を及ぼすものが存在する。それらの効果は全て、他の全ての継続的効果の適用後に適用される。呪文や能力のコストに影響を及ぼす継続的効果は、rule 601.2fに定められた順番で適用される。それ以外のこの種の効果はタイムスタンプ順に適用される。タイムスタンプ順と依存のルール(rule 613.7、rule 613.8)参照。
614.1. 継続的効果の一部は、置換効果である。軽減効果(rule 615 参照)と同様に、置換効果はイベントが発生する際に継続的に適用される。事前に固定されるわけではない。この種の効果は発生しうる特定のイベントを待ち、そのイベントの全部あるいは一部を他のイベントで置換する。その影響を及ぼすものに対する「盾」のように機能する。
614.1a 「代わりに/instead」という語を用いる効果は置換効果である。ほとんどの置換効果は「代わりに/instead」という単語によってどのようなイベントがどう置き換えられるかを示す。
614.1b 「飛ばす/skip」という語を用いる効果は置換効果である。この単語によってどのようなイベント、ステップ、フェイズ、ターンが何も起こらないことに置き換えられるかを示す。
614.1c 「[このパーマネント]は〜状態で戦場に出る/[this permanent] enters the battlefield with ...」、「[このパーマネント]が戦場に出るに際し〜/As [this permanent] enters the battlefield ...」、「[このパーマネント]は〜として戦場に出る/[this permanent] enters the battlefield as ...」という効果は置換効果である。
614.1d 「[このパーマネント]は〜状態で戦場に出る/[this permanent] enter(s) the battlefield ...」という継続的効果は置換効果である。
614.1e 「[このパーマネント]がオモテ向きになるに際し〜/As [this permanent] is turned face up ...」という効果は置換効果である。
614.2. 置換効果の一部は、いずれかの発生源からのダメージに適用される。rule 609.7 参照。
614.3. 置換効果を作る呪文を唱えることや能力を起動することには、特別な限定は存在しない。その種の効果は、用いられるか持続期間が過ぎるまで残る。
614.4. 置換効果はしかるべきイベントが発生するよりも前に存在しなくてはならず、「時間をさかのぼって」既に起きたことを変えることはできない。通常、これらの効果を作る呪文や能力は、そのイベントを作る何かに対応して 唱えられたり起動されたりするので、そのイベントが起こるよりも前に解決される。
例:クリーチャーを破壊する呪文に対応して、再生 能力を起動することができる。呪文が解決されたあとからでは、クリーチャーを再生することができる機会は存在しない。
614.5. 置換効果の結果にその同一の置換効果が再び適用されることはなく、置換されるのは元のイベントとそのイベントを置換しうる変更されたイベントを通して1回だけである。
例:あるプレイヤーが、それぞれ「あなたがコントロールしているクリーチャーがパーマネントかプレイヤーにダメージを与えるなら、その代わりに、その倍のダメージをそのパーマネントまたはプレイヤーに与える」という能力を持ったパーマネントを2つコントロールしているとする。この場合、通常2点のダメージを与えるクリーチャーは、8点のダメージを与える。4点のダメージでもないし、無限のダメージでもない。
614.6. イベントが置換された場合、それは決して起こったことにならない。置換されたイベントの代わりに変更後のイベントが発生し、それによる誘発型能力があれば誘発する。変更された後のイベントが実行できない場合、単にその不可能な指示を無視するだけになる。
614.7. 置換効果があるイベントを置換する場合、そのイベントが発生しなければ、置換効果は何もしない。
614.7a あるダメージの発生源が0点のダメージを与えるというのは、つまりダメージを与えないということである。その発生源からのダメージを増加させる置換効果や、その発生源からのダメージを他のオブジェクトやプレイヤーに与えさせる置換効果があったとしても、置換すべきイベントが存在しないので、効果は発生しない。
614.8. 再生は破壊に対する置換効果である。「代わりに」というキーワードはカードには書かれていないが、その定義に暗黙に含まれている。「[パーマネント]を再生する」とは、「このターンの間、次に[パーマネント]が破壊されるなら、その代わりに負っているダメージを全て取り除き、タップし、攻撃クリーチャーまたはブロック・クリーチャーならば戦闘から取り除く」を意味する。また、致死ダメージによる破壊を再生してもダメージによる誘発型能力は発生する。rule 701.15 参照。
614.9. 効果によって、あるクリーチャー、プレインズウォーカー、あるいはプレイヤーに与えられたダメージが、他のクリーチャーやプレインズウォーカーやプレイヤーに与えられる同量のダメージに置き換えられることがある。このような効果のことを「移し変え/redirection」効果と呼ぶ。ダメージが移し変えられるときに、どちらかのクリーチャーやプレインズウォーカーが戦場を離れていたり、クリーチャーやプレインズウォーカーでなくなっていたりした場合、効果は何もしない。ダメージが既にゲームを離れているプレイヤーから、あるいはゲームから除外されているプレイヤーに、移し変えられる場合、効果は何もしない。
614.10. イベントやステップ、フェイズ、ターンを飛ばすことは、置換効果である。「[何か]を飛ばす/skip [something]」というのは、「[何か]をする代わりに、何もしない」ということを意味する。ステップ、フェイズ、ターンが始まった後では、それを飛ばすことはできない。飛ばす効果が発揮されるのは、次の機会になる。
614.10a 飛ばされたステップ、フェイズ、ターンに起こる予定だったことは、起こらない。「次の/next」何かに起こる予定のことは、飛ばされなかった最初の機会に行なわれる。2つの効果があるプレイヤーの次のステップ(フェイズ、ターンも同じ)を飛ばす場合、次とその次のステップを飛ばすことになる。効果の1つはその最初のものを飛ばしたことで終わるが、もう1つの効果は次の機会を待つからである。
614.10b 何らかの効果によってプレイヤーがステップ、フェイズ、ターンを飛ばして何か行動をすることになる場合、その行動は次に実際に発生したステップ、フェイズ、ターンの一番最初に発生する行動となる。
614.11. 置換効果の中に、カードを引くことを置換するものがある。それらの効果は、そのライブラリーにカードが存在しないために引くことができない場合にも適用される。
614.11a 複数枚のカードを引くことのうち1回を置換する場合、次のカードを引くのはその置換効果の処理を全て終わらせてからである。
614.11b カードを引いてからそのカードに何かするという一連の効果があって、そのカードを引く部分が置換された場合、その追加の部分は、置換された効果によってカードを引いた場合にも、何も影響を及ぼさない。
614.12. 置換効果の中に、パーマネントが戦場に出ることに影響を及ぼすものがある(rule 614.1c-d参照)。そのパーマネント自身が持つその種の効果が適用されるのは、その効果がそのパーマネント自身にだけ影響を及ぼす場合だけである(そのパーマネントを含む一群のパーマネントに影響を及ぼすものは、そのパーマネント自身には影響を及ぼさない)。他の発生源からの効果であることもありうる。それらの置換効果のうち、どれがどのように適用されるかを決定するに際しては、そのパーマネントが戦場に出た時点で取るであろう特性を見る。ここで考慮するのは、戦場に出ることに影響を及ぼす置換効果のうちですでに適用したもの(rule 616.1 参照)と、そのパーマネント自身の常在型能力からの継続的効果でそのパーマネントが戦場に存在するようになった後で適用されることになるものと、すでに存在している継続的効果でそのパーマネントに適用されることになるものだけである。
例:《万物の声》は「万物の声が戦場に出るに際し、色を1色選ぶ。」「万物の声は、選んだ色に対するプロテクションを持つ。」という能力を持つ。《万物の声》のコピーであるトークンが何らかの効果によって生成される場合、そのトークンが生成されるに際して、そのトークンのコントローラーは色を選ぶ。
例:《イクスリッドの看守》は「墓地にあるカードはすべての能力を失う。」という能力を持つ。《スカーウッドのツリーフォーク》は「スカーウッドのツリーフォークはタップ状態で戦場に出る。」という能力を持つ。《イクスリッドの看守》がいるときに《スカーウッドのツリーフォーク》が墓地から戦場に出る場合、タップ状態で戦場に出る。
例:《夢の宝珠》は「パーマネントはタップ状態で戦場に出る。」という能力を持つアーティファクトである。これはそれ自身には影響を及ぼさないので、《夢の宝珠》はアンタップ状態で戦場に出る。
614.12a パーマネントが戦場に出ることを変更する置換効果に何らかの選択が必要な場合、その選択はそのパーマネントが戦場に出る前に行われる。
614.12b 置換効果の中には、コントローラーの選択に従い、パーマネントに、箇条書きになって固定語によって区別されている2つの能力のうち1つを持った状態で戦場に出させるものがある。「[固定語] ― [能力]」は、「このパーマネントが戦場に出る時点で[固定語]が選ばれていたかぎり、このパーマネントは[能力]を持つ。」を意味する。固定語が先に書かれている能力はそれぞれ、プレイヤーに固定語を選ばせた能力と関連している。rule 607〔関連している能力〕参照。
614.13. パーマネントがどのように戦場に出るかを修整する効果は、他のオブジェクトの領域を移動させることがある。
614.13a パーマネントがどのように戦場に出るかを変更する効果を適用するにあたって、ともに領域を変更するいくつかのオブジェクトを選ばなければならないことがある。この選択において、そのパーマネントになるオブジェクトやそのオブジェクトと同時に戦場に出る他のオブジェクトを選ぶことはできない。
例:「縫合グールが戦場に出るに際し、あなたの墓地から好きな枚数のクリーチャー・カードを追放してもよい。」という能力を持つクリーチャー《縫合グール》と《ルーン爪の熊》が同時に墓地から戦場に出る場合、この2枚はどちらも《縫合グール》の置換効果を適用する時点で追放することを選ぶことはできない
614.13b 単一のパーマネントがどのように戦場に出るかを変更する置換効果を適用するにあたって、領域を変更するオブジェクトとして単一のオブジェクトを複数回選ぶことはできない。
例:次元・カード《ジャンド》は「いずれかのプレイヤーが黒か赤か緑のクリーチャー・呪文を1つ唱えるたび、それは貪食5を得る。」という能力を持つ。《ルーン爪の熊》をコントロールしているプレイヤーが、貪食3を持つ赤のクリーチャー・呪文《雷団の古老》を唱えた場合、《雷団の古老》が戦場に出るに際してそのコントローラーは《ルーン爪の熊》を貪食3の効果適用時か貪食5の効果適用時か選ぶことができるが、その両方で生け贄に捧げることはできない。《雷団の古老》はその選択によって、+1/+1カウンターを0個、3個、または5個持った状態で戦場に出る。
614.14. あるオブジェクトに、カードを追放する置換効果を作る能力が記載されており、また「その追放されたカード/the exiled cards」あるいは「[このオブジェクト]によって追放されたカード/cards exiled with [this object]」と書かれた能力が記載されている場合、これらの能力は関連している。この2つめの能力は、その1つめの種類の能力による置換効果の直接の結果、追放 領域に置かれているカードだけを参照する。他のオブジェクトが関連した能力の組を得た場合、それらの能力は元の能力と同様に関連した能力となる。そのオブジェクトが現在、あるいは過去にどのような能力を持っていようとも、他の能力と関連することはない。rule 607〔関連している能力〕参照。
614.15. 置換効果の中には、継続的効果でないものも存在する。呪文や能力が、それ自身の解決時の効果の一部または全部を置換するそういった効果のことを自己置換効果と呼ぶ。自己置換効果を作る文章のほとんどは置換される効果をもたらす能力の一部であるが、特に能力語が先行している場合には別の能力であることもありうる。置換効果をイベントに適用する際、まず最初に自己置換効果を適用し、それからそれ以外の置換効果を適用する。
614.16. 「効果によりあなたのコントロール下でトークンが1つ以上生成されるなら/if an effect would create one or more tokens」あるいは「効果によりパーマネントの上に1個以上のカウンターが置かれるなら/if an effect would put one or more counters on a permanent」適用される置換効果が存在する。呪文や能力の解決の効果がトークンを生成したりパーマネントにカウンターを置いたりする場合と、他の置換・軽減効果がそうする場合にこれらの置換効果が適用される。置換・軽減効果の影響を受けるイベントそのものが効果でなかった場合にも適用される。
614.17. 何かが起こらないとする効果が存在する。それらの効果は置換効果ではないが、同じようなルールに従う。
614.17a 「できない」効果は、しかるべきイベントが発生するよりも前に存在しなくてはならず、「時間をさかのぼって」既に起きたことを変えることはできない。
614.17b イベントができない場合、プレイヤーはそのイベントを含むコストを支払うことを選ぶことはできない。
614.17c イベントができない場合、それは自己置換効果によってのみ置換される(rule 614.15 参照)。他の置換軽減効果によって変更したり置換したりすることはできない。
614.17d 「できない」効果の中には、パーマネントが戦場に出る方法や出るか出ないかに影響を及ぼすものがある。(そのパーマネントも含むパーマネント群ではなく)そのパーマネント自身だけに影響をおよぼす場合には、この種の効果がそのパーマネント自身に由来することもある。他の発生源に由来することもある。どの「できない」効果が適用されるのかを決定するにあたっては、そのパーマネントが戦場で存在することになる時点での特性を見る。その際、それが戦場に出ることに変更を加えた置換効果(rule 616.1 参照)と、そのパーマネント自身の常在型能力からの継続的効果でそのパーマネントが戦場に存在するようになった後で適用されることになるものと、すでに存在している継続的効果でそのパーマネントに適用されることになるものを考慮する。
615.1. 継続的効果の一部は、軽減効果である。置換効果(rule 614 参照)と同様に、軽減効果はイベントが発生する際に継続的に適用される。事前に固定されるわけではない。この種の効果は発生しうるダメージを待ち、その全部あるいは一部を軽減する。その影響を及ぼすものに対する「盾」のように機能する。
615.2. 多くの軽減効果は、いずれかの発生源からのダメージに適用される。rule 609.7 参照。
615.3. 軽減効果を作る呪文を唱えることや能力を起動することには、特別な限定は存在しない。その種の効果は、用いられるか持続期間が過ぎるまで残る。
615.4. 軽減効果はダメージが与えられるよりも前に存在しなくてはならず、「時間をさかのぼって」既に起きたことを変えることはできない。通常、これらの効果を作る呪文や能力は、そのイベントを作る何かに対応して 唱えられたり起動されたりするので、そのイベントが起こるよりも前に解決される。
例:ダメージを与える呪文に対応して、ダメージを軽減する能力を起動することができる。呪文が解決されたあとからでは、ダメージを軽減することができる機会は存在しない。
615.5. 軽減効果の中には、軽減されたダメージの量を参照する追加の効果を含むものがある。その場合、軽減効果はその本来起こるイベントが起こるべきタイミングで発生し、その直後にそれ以外の効果が発生する。
615.6. 与えられるダメージが軽減された場合、それは決して起こったことにならない。その代わりに変更後のイベントが発生し、それによる誘発型能力があれば誘発する。変更された後のイベントが実行できない場合、単にその不可能な指示を無視するだけになる。
615.7. 呪文や能力の解決によって作られた軽減効果の中には、一定の量のダメージに対処し、消耗するものがある。例えば「クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。このターン、それに与えられる次のダメージを3点軽減する。」といったものである。「シールドされた」パーマネントかプレイヤーへ与えられるはずのダメージ1点につき、代わりにシールドを1減らす。該当するダメージの発生源複数から同時にダメージを受けた場合、そのシールドされたプレイヤー、あるいはシールドされたパーマネントのコントローラーが、どのダメージを軽減するかを決める。シールドが0まで減ったら、残りのダメージは通常通り与えられる。この種の効果は、ダメージの量だけを数え、ダメージを与えるイベントやダメージの発生源の数は問題にしない。
615.8. 呪文や能力の解決によって作られた軽減効果の中には、特定の発生源が次に与えるダメージを参照するものがある。この種の効果は、ダメージの量に依らず、その発生源からの次のダメージを軽減する。その発生源からのダメージが一度軽減されたら、その発生源からのダメージは以降通常通り与えられる。
615.9. 呪文や能力の解決によって作られた効果の中には、プレイヤーが選んだ特定の条件を持つ発生源からのダメージを軽減するものがある。その発生源がダメージを与える時点で、その盾は発生源の条件を再確認する。その条件がすでに当てはまらなくなっていた場合、ダメージは軽減されることも置換されることもなく、盾は消費されない。rule 609.7b 参照。
615.10. 常在型能力によって作られた軽減効果の中には、特定の量のダメージに対処するものがある。例えば「発生源があなたにダメージを与えるなら、そのダメージを1点軽減する。」といったものである。この種の効果は、該当するダメージ・イベントによるダメージを全て表示された量だけ軽減する。異なるイベントによるダメージは、それが同時に起こった物であれ別々の時に起こった物であれ、それぞれ別々に適用される。
例:《圧倒する防衛者》は「発生源があなたがコントロールしているクレリック1体にダメージを与えるなら、そのダメージを1点軽減する。」という能力を持つ。《紅蓮地獄》は「紅蓮地獄は各クリーチャーにそれぞれ2点のダメージを与える。」という能力を持つ。《紅蓮地獄》は、《圧倒する防衛者》のコントローラーがコントロールしているクレリックにはそれぞれ1点ずつ、それ以外のクリーチャーには2点ずつのダメージを与える。
615.11. 対象を取らない、複数のクリーチャーに与えられる次のN点のダメージを軽減する類いの軽減効果では、その効果を作る呪文や能力の解決によって、影響を受けるクリーチャーそれぞれに軽減の盾を作る。
例:《ウォジェクの薬剤師》は「{T}: クリーチャー1体を対象とする。このターン、それ、およびそれと共通の色を持つ他の各クリーチャーに次に与えられるダメージを1点軽減する。」という能力を持つ。この能力の解決によって、対象となったクリーチャーと、その時点でそれと共通の色を持つクリーチャーに、次の1点のダメージを軽減する盾を作る。この能力の解決以降にクリーチャーの色を変えても、盾が増えたり減ったりすることはない。また、このターンの間、これの解決以降に戦場に出たクリーチャーが盾を得ることはない。
615.12. 「軽減できない」ダメージを与える効果が存在する。軽減できない効果が与えられる場合、適用できる軽減効果は適用されるが、ダメージは軽減されない。ただし、追加の効果がある場合、それは通常通り機能する。軽減されないダメージによって、存在しているダメージ 軽減の盾が減少することはない。
615.13. 与えられるダメージが軽減されたときに誘発する誘発型能力が存在する。そのような能力は、軽減効果が1つ以上の同時のダメージ・イベントに適用され、そのダメージの一部または全部を軽減するごとに誘発する。
616.1. 複数の置換・軽減効果がいずれかのオブジェクトやプレイヤーに影響を及ぼす単一のイベントを修整しようとした場合、影響を受けるオブジェクトをコントロールしているプレイヤー(コントローラーがいないならオーナー)、または影響を受けるプレイヤーがどれを適用するか、以下の手順で決める。複数のプレイヤーが同時に選択を行なう場合、選択はAPNAP順(rule 101.4 参照)で行なう。
616.1a 置換・軽減効果の中に自己置換効果(rule 614.15 参照)があれば、その中の1つを選ぶ。なければ、rule 616.1b に進む。
616.1b 置換・軽減効果の中に、オブジェクトが誰のコントロール下で戦場に出すかを修整する効果があれば、その中の1つを選ぶ。なければ、rule 616.1c に進む。
616.1c 置換・軽減効果の中に、戦場に出るオブジェクトを他のオブジェクトのコピーにする効果があれば、その中の1つを選ぶ。なければ、rule 616.1d に進む。
616.1d 適用可能な置換・軽減効果の中から、どの効果を選んでもよい。
616.1e 選ばれた効果が適用された後、(その時点で適用できる置換効果や軽減効果があれば)適用できる効果がなくなるまでこの手順を繰り返す。
例:「カードがいずれかの領域から墓地に置かれるなら、代わりにそれを追放する」と書かれているエンチャントと、「[このクリーチャー]が死亡するなら、代わりにこれをオーナーのライブラリーに加え、切り直す」と書かれたクリーチャーの2つのパーマネントが戦場にある。このとき、そのクリーチャーが破壊された場合、そのクリーチャーのコントローラーがどちらの置換効果を先に処理するか決定する。その結果、他方は何もしない。
例:《荒れ野の本質》は「あなたがコントロールしているクリーチャーは、荒れ野の本質のコピーとして戦場に出る。」という能力を持つ。《荒れ野の本質》をコントロールしているプレイヤーが、通常はタップ状態で戦場に出る《錆びた歩哨》を唱えた。これが戦場に出るに際し、《荒れ野の本質》のコピー 効果が先に適用される。その結果、タップ状態で戦場に出るという能力はすでに存在しないので、《錆びた歩哨》は《荒れ野の本質》のコピーとして、アンタップ状態で戦場に出る。
616.1f rule 616.1a-dの手順に従う間に、置換効果や軽減効果が、1つがあるイベントに適用できて別の何かがそのイベントを一部とするイベントに適用できる場合がある。この場合、1つ目の効果が選ばれるまでは2つ目の効果を選ぶことはできない。
例:プレイヤーが「《万物の声》が戦場に出るに際し、色1色を選ぶ」という能力を持つ《万物の声》のコピーであるトークンを作るように指示された。《倍増の季節》には「効果があなたのコントロール下にトークンを1体以上生成するなら、代わりにそれはその数の2倍のトークンを生成する。」という能力を持つ。戦場に出るということはトークンを生成するというイベントの一部であるイベントなので、《倍増の季節》の効果が必ず先に適用される。その後、2つの《万物の声》トークンの効果が任意の順で適用されることになる。
616.2. 置換・軽減効果は、イベントを修整する別の置換・軽減効果の結果として、イベントに適用できるようになることがある。
例:「あなたが1点のライフを得るなら、その代わりに カードを1枚引く」という効果と「カードを1枚引くなら、その代わりに あなたの墓地にあるカード1枚をあなたの手札に戻す」という効果が存在した場合、(その二つが戦場に出た順序には関係なく)結合されて、1点のライフを得るかわりに墓地にあるカード1枚を手札に戻すことになる。
700.1. ゲーム内で起こるあらゆることはイベントである。複数のイベントが、呪文や能力の解決中に発生することがある。誘発型能力や置換効果の文章が、それらが見ているイベントを定義する。ある能力にとっては1つのイベントになる出来事が、他の能力にとっては複数のイベントであることもある。
例:攻撃クリーチャーが2体のクリーチャーによってブロックされた場合、それは「[このクリーチャー]がブロックされるたび」という誘発型能力から見れば1つのイベントだが、「[このクリーチャー]がクリーチャー1体によってブロックされるたび」という誘発型能力から見れば2つのイベントである。
700.2. プレイヤーがいくつか選ぶと指示した後に箇条書きで複数の選択肢が記されている呪文や能力は、モードを持つと言い、そのそれぞれの選択肢をモードと呼ぶ。『タルキール覇王譚』以前のモードを持つカードは箇条書きを用いていない。それらのカードはオラクルで訂正され、モードが箇条書きで表示されるようになっている。
700.2a モードを持つ呪文や起動型能力のコントローラーは、その呪文を唱えたり能力を起動したりする一部としてモードを選ぶ。そのモードの中の1つが(適正な対象を取れないなどで)不正な場合、そのモードを選ぶことはできない。(rule 601.2b 参照)
700.2b モードを持つ誘発型能力のコントローラーは、その能力をスタックに積む一部としてモードを選ぶ。そのモードの中の1つが(適正な対象を取れないなどで)不正な場合、そのモードを選ぶことはできない。モードを選ばなかった場合、その能力はスタックから取り除かれる。(rule 603.3c 参照。)
700.2c 特定のモードを選んだときに限り、呪文や能力が対象を取る場合、そのコントローラーはそのモードを選んだときに限り対象を選ぶ。そうでなければ、その呪文や能力は対象を取らないかのように扱う。(rule 601.2c 参照。)
700.2d モードを持つ呪文や能力で、プレイヤーが複数のモードを選ぶことができる場合、通常、同じモードを複数回選ぶことはできない。ただし、モードを持つ呪文の中には「同じモードを2回以上選んでもよい。」という指示があるものもある。特定のモードを複数回選んだ場合、その呪文は、そのモードが続けてその回数だけ書かれているものとして扱う。そのモードが対象を取るものである場合、同一のプレイヤーやオブジェクトをそれぞれのモードごとに対象に取ることも、それぞれ異なる対象を取ることもできる。
700.2e そのコントローラー以外のプレイヤーにモードを選ばせる呪文や能力が存在する。その場合、そのプレイヤーは呪文や能力のコントローラーが通常モードを選択するタイミングでモードの選択を行なう。そのような選択を行なえるプレイヤーが複数いる場合、呪文や能力のコントローラーがどのプレイヤーが選択を行なうかを決める。
700.2f モードを持つ呪文や能力がモードごとに異なる対象の条件を持つことがある。呪文や能力の対象を変更しても、モードは変更されない。
700.2g モードを持つ呪文や能力のコピーは、選ばれているモードをそのままコピーする。コピーのコントローラーは別のモードを選ぶことはできない。(rule 706.10 参照)
700.3. オブジェクトを一時的に複数の束に分ける効果が存在する。
700.3a 影響を受けたオブジェクトのそれぞれは、効果に特に指定されていない限り、それらの束のうちいずれか1つだけに置かれなければならない。
700.3b 束にあるオブジェクトはそれぞれ別々のオブジェクトのままであり、束全体で一つのオブジェクトになるわけではない。
700.3c オブジェクトを複数の束に分ける場合も、それらは元の領域にあるままである。墓地にあるカードを2つの束に分けたとしても、墓地の順番はそのまま保たれなければならない。
例:《嘘か真か》は「あなたのライブラリーのカードを一番上から5枚見せる。対戦相手1人はそのカードを2つのオモテ向きの束に分ける。1つの束をあなたの手札に加え、残りをあなたの墓地に置く。」という効果を持つ。対戦相手が公開されたカードを束にわけるが、それらはオーナーのライブラリーにあるままである。ライブラリーを離れるのは、オーナーの手札か墓地に移動するときである。
700.4. 「死亡する/Die」という語は「〜が戦場から墓地に置かれる」ことを意味する。
700.5. プレイヤーの「[色]への信心/devotion to [color]」は、そのプレイヤーがコントロールしているパーマネントのマナ・コストに含まれるその色のマナ・シンボルの数に等しい。プレイヤーの「[色1]と[色2]への信心/devotion to [color 1] and [color 2]」は、そのプレイヤーがコントロールしているパーマネントのマナ・コストに含まれる、[色1]、[色2]、その両方の色、のマナ・シンボルの総数に等しい。
700.6. 「歴史的な/Historic」という語は、伝説のの特殊タイプか、アーティファクトのカード・タイプか、英雄譚のサブタイプを持つオブジェクトのことを指す。
700.7. オブジェクトの能力が、特性を用いて「この[何か]/this [something]」の類の表現でいずれかのオブジェクトを指していた場合、後でその特性が合わなくなったとしても、その特定のオブジェクトを指す。
例:「クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは+2/+2の修整を受ける。次の終了ステップの開始時に、そのクリーチャーを破壊する」という能力があった場合、その+2/+2の修整を受けたオブジェクトが次の終了ステップの開始時にクリーチャーでなくなっていたとしても、破壊する。
700.8. プレイヤーのパーティーを構成するクリーチャーの数に言及しているカードが存在する。プレイヤーのパーティーは、以下の4種類のクリーチャー・タイプそれぞれについてそのプレイヤーがコントロールしているクリーチャー最大1体ずつからなる。「ウィザード/Wizard」「クレリック/Cleric」「戦士/Warrior」「ならず者/Rogue」
700.8a プレイヤーのパーティーを構成するクリーチャーの数は、自動的にゲームによって計算され、その結果は0から4までの数字になる。プレイヤーが、自分がコントロールしているクリーチャーのうちどれがパーティーを構成するのかを決定することはない。
700.8b クリーチャー1体が、パーティーを構成するクリーチャー・タイプのうち複数を持っている場合、そのクリーチャーはそれらのクリーチャー・タイプのうち1つだけの分として計算される。その種のクリーチャーを計算する方法によってプレイヤーのパーティーを構成するクリーチャーの数が変わる場合、結果の数が最大になるように計算される。
700.8c プレイヤーのパーティーを構成するクリーチャーの数が4である場合、そのプレイヤーのパーティーが全員そろっていると言う。
701.1. カードのルール文章に書かれている処理のほとんどは普通の言語で書かれているが、いくつかの動詞は定義が必要な術語である。それらの「キーワード」はゲーム用語であり、注釈文で意味が要約されていることがある。
701.2a 能力を起動するとは、やがて解決されてその効果が発生するよう、能力をスタックに積み、コストを支払うことである。特に示されていない限り、そのオブジェクトのコントローラー(コントローラーがいない場合にはオーナー)だけがそのオブジェクトの起動型能力を起動できる。プレイヤーは優先権を持つときに能力を起動できる。rule 602〔起動型能力の起動〕参照。
701.3a オーラや装備品、城砦をオブジェクトやプレイヤーにつけるとは、それを現在ある場所から取り、そのオブジェクトやプレイヤーの上に置くということを意味する。何かが戦場にあるパーマネントにつけられる場合、物理的にそのパーマネントに触れるように置くのが通例である。オーラ、装備品、城砦は、それぞれ、エンチャント、装備、城砦化できないオブジェクトやプレイヤーにつけることはできない。
701.3b 効果が、オーラや装備品、城砦を、つけることのできないオブジェクトやプレイヤーにつけようとする場合、そのオーラや装備品、城砦は移動しない。効果が、オーラや装備品、城砦を、その時点でついている先のオブジェクトやプレイヤーにつけようとする場合、その効果は何もしない。効果が、オーラでも装備品でも城砦でもないオブジェクトを他のオブジェクトやプレイヤーにつけようとする場合、その効果は何もせず、その移動させようとしたオブジェクトは移動しない。
701.3c 戦場にあるオーラや装備品、城砦が、別のオブジェクトやプレイヤーにつけられる場合、そのオーラや装備品、城砦は、その時点で新しいタイムスタンプを得る。
701.3d 装備品をクリーチャーから「はずす/unattach」とは、装備品をそのクリーチャーから離すことであり、装備品は何にも装備していない状態で戦場に残る。そうなった装備品は、クリーチャーに物理的に触れさせておくべきではない。オーラ、装備品、城砦が、オブジェクトやプレイヤーにつけられていた状態からそうでない状態になった場合、「[そのオブジェクトやプレイヤーから]はずれた/becoming unattached [from that object or player]」として扱う。これは、そのオブジェクトやオーラ、装備品、城砦が戦場を離れた場合や、オブジェクトが元あった領域を離れた場合、プレイヤーがゲームから除外された場合を含む。
701.4a 呪文を唱えるとは、やがて解決されてその効果が発生するよう、それを現在ある領域(通常は手札)から取り、スタックに積み、コストを支払うことである。プレイヤーは優先権を持つときに呪文を唱えることができる。rule 601〔呪文を唱えること〕参照。
701.5a 呪文や能力を打ち消すということは、それを取り消し、スタックから取り除くということである。打ち消された呪文や能力は解決されず、効果は一切発生しない。打ち消された呪文はオーナーの墓地に置かれる。
701.5b 打ち消された呪文を唱えたり能力を起動したりしたプレイヤーは、支払ったコストの「払い戻し」を受けることはできない。
701.6a 特定の特性を持つトークンを1つ、あるいは複数生成させる場合、指定された特性を持つトークンを指定された数だけ戦場に出す。
701.6b 生成されるトークンに置換効果が適用される場合、その効果は、そのトークンの特性を修整する継続的効果よりも前に適用される。戦場に出るトークンに置換効果が適用される場合、その効果はそのトークンの特性を修整する継続的効果の後で適用される。
701.6c これまで、トークンを生成する効果はプレイヤーに「[この種のトークン]を戦場に出す」ように指示していた。それらのカードはオラクルによって訂正され、それらのトークンを「生成する」となっている。
701.7a パーマネントを破壊するとは、それを戦場からオーナーの墓地に置くことである。
701.7b パーマネントが破壊されるのは、「破壊する」と書かれている効果によるか、致死ダメージ(rule 704.5g 参照)または接死持ちの発生源からのダメージ(rule 704.5h)による状況起因処理によるかのいずれかだけである。それ以外の方法でオーナーの墓地に置かれたパーマネントは、「破壊」されたわけではない。
701.8a カードを捨てるとは、それをオーナーの手札からそのプレイヤーの墓地に置くことである。
701.8b 通常、プレイヤーにカードを捨てさせる効果は、その影響を受けるプレイヤーに捨てるカードを選ばせる。一部の効果は、無作為に捨てることを要求したり、あるいは他のプレイヤーに選ばせることを要求することもある。
701.8c カードが捨てられ、ただし効果によってオーナーの墓地でなく非公開領域に公開されることなく置かれる場合、そのカードの特性はすべて未定義として扱う。捨てるカードの特性を必要とするコストを支払うためにカードがこの方法で捨てられた場合、そのコストの支払いは不正である。ゲームはコストの支払いが始まる前まで巻き戻される(rule 723〔不正な処理の扱い〕参照)。
701.9. 倍にする/Double
701.9a クリーチャーのパワーやタフネスを倍にすることは、継続的効果を生成する。この効果はクリーチャーのパワーやタフネスを修整するものであって、それらの特性を特定の値にするものではない。rule 613.4c 参照。
701.9b クリーチャーのパワーを倍にするとは、そのクリーチャーに+X/+0の修整を与えるということである。ただし、Xはそのパワーを倍にする呪文や能力が解決した時点のそのクリーチャーのパワーである。同様に、クリーチャーのタフネスを倍にする効果はそれに+0/+Xの修整を与える。ただし、Xはそのクリーチャーのタフネスである。クリーチャーのパワーとタフネスを倍にするとは、それに+X/+Yの修整を与えるということである。ただし、Xはそれのパワー、Yはそれのタフネスである。
701.9c クリーチャーのパワーを倍にする時点でそれが0よりも小さい場合、そのクリーチャーのパワーを倍にするとは、そのクリーチャーに-X/-0の修整を与えるということである。ただし、Xは0とそのパワーの差である。同様に、タフネスを倍にする時点でそれが0よりも小さい場合、それは-0/-Xの修整を受ける。パワーとタフネスを倍にする時点でその一方が負で他方がそうでない場合、それは-X/+Yまたは+X/-Yの修整を受ける。
701.9d プレイヤーのライフ総量を倍にするとは、そのプレイヤーの新しいライフ総量が現在の値の2倍になるようにライフを得たり失ったりするということである。
701.9e プレイヤーやパーマネントの上にあるある種のカウンターの数を倍にするとは、そのプレイヤーやパーマネントにそれが既に持っているその種のカウンターを同数だけ与えるということである。
701.9f プレイヤーのマナ・プールにあるあるタイプのマナの量を倍にするとは、そのプレイヤーが既に持っているそのタイプのマナと同じ量を加えるということである。
701.10a 呪文や能力は解決中に、プレイヤーに何か(たとえばライフ総量や2つのパーマネントのコントロールなど)を交換させることがある。その種の呪文や能力が解決されるときに交換の全体が不可能な場合、交換の一部だけが起こるということはない。
例:呪文の効果で2体の対象のクリーチャーのコントロールを交換しようとしたが、その解決前にそのうち1体が破壊されていた場合には、呪文は他方のクリーチャーにも何もしない。
701.10b 2つのパーマネントのコントロールが交換されたとき、それらのパーマネントが異なるプレイヤーによってコントロールされていた場合、それぞれのプレイヤーは同時にそれまで他のプレイヤーがコントロールしていたパーマネントのコントロールを得る。もし、それらのパーマネントが同一のプレイヤーによってコントロールされていたら、交換 効果は何もしない。
701.10c ライフ総量が交換されたとき、それぞれのプレイヤーはその変化分だけライフを得たり失ったりする。それらの得失に関して、置換効果は影響を及ぼすことがありえるし、誘発型能力が誘発することもありうる。ライフを得られないプレイヤーはこの方法で高いライフ総量を得ることはなく、ライフを失えないプレイヤーはこの方法で低いライフ総量を得ることはない(rule 119.7, 119.8 参照)。
701.10d (たとえば、追放されているカードとプレイヤーの手札にあるカードなど)ある領域に存在するカードを他の領域のカードと交換させる呪文や能力が存在する。それらの呪文や能力は他の交換 呪文や能力と同じように機能するが、それらのカードのオーナーがすべて同じプレイヤーでなければ交換はできない。また、一方の領域が空でも交換できる。
701.10e ある領域に存在するカードを他の領域のカードと交換する場合、そのどちらかがオブジェクトにつけられていたなら、そのカードはそのオブジェクトからはずれ、他方のカードがそのオブジェクトにつけられる。
701.10f 呪文や能力の中には、2つの領域を丸ごと交換するよう指示するものもある。この場合、一方の領域が空であっても、双方の領域にあるカードは交換される。
701.10g 呪文や能力の中には、2つの数字を交換するよう指示するものもある。そのような交換の場合、それぞれの値は他方の元持っていた値と等しくなる。その一方がライフ総量であった場合、影響を受けたプレイヤーは必要なだけのライフを得たり失ったりする。この得失が置換効果によって影響を受けることも、またこの得失によって能力が誘発することもある。ライフを得られないプレイヤーはこの方法で高いライフ総量を得ることはなく、ライフを失えないプレイヤーはこの方法で低いライフ総量を得ることはない(rule 119.7, 119.8 参照)。交換される値のどちらかがパワーまたはタフネスであった場合、そのパワーやタフネスを他方の値にするという継続的効果が発生する(rule 613.4b 参照)。この規定は、クリーチャーのパワーとタフネスを入れ替える呪文や能力には適用されない。
701.12a 呪文や能力により、あるクリーチャーが別のクリーチャーに格闘を行なうよう指示がある場合や、クリーチャー2体がお互いに格闘を行なうよう指示がある場合がある。それらのクリーチャーは、それぞれもう一方に、自身のパワーに等しい点数のダメージを与える。
701.12b 格闘を行なうように指示されたクリーチャーの一方あるいは両方がすでに戦場にいなかったり、クリーチャーでなくなっていた場合、それらは格闘を行なわず、ダメージも与えられない。その呪文や能力がクリーチャーを対象にしていて、そのクリーチャーの一方あるいは両方が不適正な対象になっていた場合、それらは格闘を行なわず、ダメージは与えられない。
701.13a プレイヤーが何枚かのカードを切削するとは、そのプレイヤーが自分のライブラリーからその枚数のカードを自分の墓地に置くことである。
701.13b プレイヤーは、自分のライブラリーにあるより多い枚数のカードを切削することはできない。それが選択であるなら、そうすることを選択することはできない。それが指示であるなら、可能な限りの枚数を切削する。同様に、自分のライブラリーにあるより多い枚数のカードを切削することを含むコストを支払うことはできない。
701.13c 「切削されたカード/milled card」に言及する効果は、ライブラリーから移動した先の領域が公開領域であれば、その領域でそのカードを見ることができる。
701.13d 能力が切削された単一のカードの情報をチェックする場合、複数枚のカードが切削されていたら、その能力はその切削されたすべてのカードを参照する。その能力が切削されたカードの特性や点数で見たマナ・コストなどの情報を参照する場合、複数の回答を得る。それらの回答が変数の値を定める場合、それらの回答の合計を用いる。能力が「その」カードに何らかの処理を行なう場合、その処理を切削されたすべてのカードに行なう。能力がカード「1枚」に何らかの処理を行なう場合、その能力のコントローラーが影響を受けるカードを選ぶ。
701.14a 土地をプレイするとは、その土地を元あった領域(通常はそのプレイヤーの手札)から戦場に出すことである。プレイヤーは自分のメイン・フェイズの間、優先権を持っていてスタックが空であれば、そのターンにまだ土地をプレイしていなかった場合に限り、土地をプレイすることができる。土地をプレイすることは特別な処理(rule 116 参照)であり、スタックを用いない。ただ単に起こるだけである。呪文や能力の結果として土地を戦場に出すことは、土地をプレイすることとは異なる。rule 305〔土地〕参照。
701.14b カードをプレイするとは、そのカードを土地としてプレイするか、呪文として唱えるか、該当する方のことを指す。
701.14c 「あなたのライブラリーの一番上のカードを公開したままプレイする。/Play with the top card of your library revealed.」というように、プレイヤーが通常と異なる方法でゲームを「プレイ」することを求める効果が存在する。この場合の「プレイ」とは、マジックのゲームをプレイすることを意味する。
701.14d かつて、呪文を唱えること、あるいはカードを呪文として唱えることを、その呪文やカードを「プレイする/playing」と表記していた。そのように記載されているカードは、オラクルで訂正され、呪文やカードを「唱える/casting」となっている。
701.14e かつて、起動型能力を使うことを、その能力を「プレイする/playing」と表記していた。そのように記載されているカードは、オラクルで訂正され、能力を「起動する/activating」となっている。
701.15a 呪文や能力の効果がパーマネントを再生する場合、そのパーマネントが次にそのターン破壊されることを防ぐ置換効果が作られる。この場合、「[パーマネント]を再生する/Regenerate [permanent]」とは、「このターン、次に[パーマネント]が破壊されるなら、その代わりに負っているダメージを全て取り除き、タップし、攻撃クリーチャーまたはブロック・クリーチャーならば戦闘から取り除く」を意味する。
701.15b 常在型能力の効果がパーマネントを再生する場合、そのパーマネントが破壊される場合、他の効果で置換される。この場合、「[パーマネント]を再生する/Regenerate [permanent]」とは、「その代わりに負っているダメージを全て取り除き、タップし、攻撃クリーチャーまたはブロック・クリーチャーならば戦闘から取り除く」を意味する。
701.15c 再生の盾を作る能力を起動することや再生の盾を作る呪文を唱えることは、パーマネントを再生することと同一ではない。パーマネントは再生できないとする効果は、そのような能力を起動したり呪文を唱えたりすることを禁止するのではなく、再生の盾が適用されないようにする。
701.16a カードを公開するとは、そのカードをしばらくの間すべてのプレイヤーに見せるということである。効果によってカードが公開される場合、その効果のそのカードに関係する部分がすべて終わるまで公開され続ける。呪文を唱えるコストや能力を起動するコストとしてカードが公開される場合、そのカードはその呪文や能力が宣言されてからスタックを離れるまでの間公開され続ける。カードを公開することによって誘発型能力が誘発する場合、その誘発型能力がスタックを離れるまでそのカードは公開されたままになる。その能力が次にプレイヤーが優先権を得る時にスタックに置かれない場合、そのカードの公開は終わる。
701.16b カードを公開することは、そのカードの存在する領域を変更しない。
701.16c プレイヤーのライブラリーにあるカードが切り直されるなどして順番が変わった場合、順番が変わった部分にあった公開されたカードの公開は終わり、新しいオブジェクトになる。
701.16d プレイヤーに、1枚または複数のカードを見るように指示する効果が存在する。カードを見ることは、そのカードがその特定のプレイヤーにだけ見せられることを除いて、カードを公開することに関するルールに従う。
701.17a パーマネントを「生け贄に捧げる/sacrifice」とは、そのコントローラーがそれを戦場から直接オーナーの墓地に置くことである。パーマネントでないものや、自分のコントロールしていないパーマネントを生け贄に捧げることはできない。パーマネントを生け贄に捧げることは破壊ではないので、再生その他の破壊を置換する効果はこの行動に影響を及ぼさない。
701.18a 「占術Nを行なう/Scry N」とは、プレイヤーが自分のライブラリーの一番上からN枚のカードを見、その後それらのうち望む枚数のカードを自分のライブラリーの一番下に望む順番で、残りを自分のライブラリーの一番上に望む順番で、それぞれ置くことである。
701.18b プレイヤーが、占術0を行なう、と指示された場合、占術 イベントは発生しない。プレイヤーが占術を行なったときに誘発する能力は、誘発しない。
701.18c 複数のプレイヤーが一度に占術を行なう場合、それらのプレイヤーはそれぞれ自分のライブラリーの一番上のカードを一度に見る。それらのプレイヤーはAPNAP順(rule 101.4 参照)でそれらのカードをどこに置くか決め、その後で一度に置く。
701.19a カードをある領域から探すとは、その領域にあるすべてのカードを見て(非公開領域であっても)、条件に合うカードを見つけるということを意味する。
701.19b 特定のカード・タイプ、色などの何らかの条件を満たすカードを非公開領域から探す必要がある場合、存在してもそのすべてを見つける必要はない。
例:プレイヤーが「アーティファクト1つを対象とし、それを追放する。それのコントローラーの墓地と手札とライブラリーから、そのアーティファクトと同じ名前を持つカードをすべて探し、それらを追放する。その後、そのプレイヤーは自分のライブラリーを切り直す。」という効果を持つ《木っ端みじん》を唱え、対象として《吠えたける鉱山》を選んだ。《吠えたける鉱山》のコントローラーの墓地にはもう1枚の《吠えたける鉱山》があり、ライブラリーにはあと2枚《吠えたける鉱山》がある。《木っ端みじん》のコントローラーは墓地にある《吠えたける鉱山》を無視することはできないが、ライブラリーの中にある《吠えたける鉱山》は2枚とも見つけても、1枚だけでも、見つけなくてもよい。
701.19c プレイヤーが未定義の条件を満たすカードを非公開領域から探す場合、そのプレイヤーは探すことはできるがカードを見つけることはできない。
例:《ロボトミー》は「プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは自分の手札を公開し、あなたはそこから基本 土地・カードでないカードを1枚選ぶ。そのプレイヤーの墓地、手札、ライブラリーから、選ばれたカードと同じ名前を持つカードをすべて探し、それらを追放する。その後、そのプレイヤーは自分のライブラリーを切り直す。」という効果を持つ。対象となったプレイヤーが《ロボトミー》の解決時に手札に1枚もカードを持っていなかった場合、《ロボトミー》を唱えたプレイヤーは指定された領域を探すが、カードは追放しない。
701.19d プレイヤーが非公開領域から「カード1枚」「カード3枚」など、ある数の条件のついていないカードを探す場合、その枚数の(ただし、領域にカードが足りない場合、できるだけ多くの)カードを見つけなければならない。
701.19e 探すことを含む効果に見つけたカードを公開すると書かれていなければ、それらのカードは公開されない。
701.19f 領域から探すことがその領域の一部から探すことに置換された場合も、その領域から探すことを参照する指示はそのまま適用される。また、ライブラリーから探すことによって誘発する能力は誘発する。
例:《エイヴンの思考検閲者》は「対戦相手がライブラリーから探すなら、代わりにそのプレイヤーはそのライブラリーの上から4枚の中から探す」という能力を持ち、《老練の探険者》は「老練の探険者が死亡したとき、各プレイヤーはそれぞれ自分のライブラリーから基本 土地・カードを2枚まで探し、それらを戦場に出してもよい。そのあと、これによってライブラリーから探したプレイヤーはそれを切り直す。」という能力を持つ。《老練の探険者》の能力によってライブラリーの上から4枚の中から探した対戦相手は、ライブラリー全体を切り直す。
701.19g プレイヤーが領域から何かを探し、そしてその見つけたカードで追加の処理をするという効果がある場合、その追加の処理が不正や不可能であっても、プレイヤーは探すことを選ぶことができる。
701.19h 効果によってプレイヤーが、複数回カードを探してからライブラリーを切り直すよう指示されることがある。これは、そのプレイヤーがそのライブラリーからそれらのカードすべてを探すという単一の指示と同じであり、プレイヤーがライブラリーから探すのは1回だけである。
701.19i 複数のプレイヤーが同時に探す場合、各プレイヤーは同時に該当するカードを見て、APNAP順(rule 101.4 参照)でどのカードを見つけるかを決定する。
701.20a ライブラリーや裏向きのカードの束を切り直すとは、その中でカードを、どのプレイヤーにも順番が分からなくなるように無作為化することである。
701.20b プレイヤーにライブラリーからカードを探させ、切り直させてからその探したカードをライブラリーの特定の場所に置く効果が存在する。その場合、それらのカードはライブラリーを離れたものとしては扱わないが、切り直しには含まれない。また、それらのカードを除いたライブラリーのすべてのカードは切り直される。ライブラリーを切り直したときに誘発する能力は誘発する。その見つけたカードが特定の場所に置かれるまでの間は、ライブラリーの一番上のカードを公開したり見たりさせる能力によってライブラリーの一番上のカードを見ることはできない。
701.20c 効果によって、プレイヤーが特定のオブジェクトをライブラリーに加えて切り直す場合、そのオブジェクトがいずれももとあるべき領域になかった場合にも、また効果によってそれらのオブジェクト全てが別の領域に移動する場合にも、もとの領域に残る場合にも、ライブラリーは切り直される。
例:《狡知》は「狡知がいずれかの領域から墓地に置かれたとき、これをオーナーのライブラリーに加えて切り直す。」という能力を持つ。これが墓地に置かれ、この能力が誘発した後、それに対応してこれを追放した場合には、この能力の解決時にライブラリーは切り直される。
例:《黒の太陽の頂点》は「黒の太陽の頂点をオーナーのライブラリーに加えて切り直す」という効果がある。《黒の太陽の頂点》が墓地にあり、フラッシュバックを(《埋め合わせ》などで)得て墓地から唱えた場合、《黒の太陽の頂点》は追放され、オーナーのライブラリーは切り直される。
701.20d 一群のオブジェクトをライブラリーに加えて切り直す効果の場合、その群にオブジェクトが存在しなかったとしても、ライブラリーは切り直される。
例:《土覆いのシャーマン》は「土覆いのシャーマンが戦場に出たとき、プレイヤー1人と、そのプレイヤーの墓地にある望む枚数のカードを対象とする。そのプレイヤーは、それらのカードを自分のライブラリーに加えて切り直す。」という能力を持つ。これが戦場に出、この能力が誘発した場合、カードを1枚も対象に取らなかったとしても、この能力の解決時に対象のプレイヤーはライブラリーを切り直す。
701.20e 効果によってプレイヤーが0枚あるいは1枚のライブラリーを切り直す場合にも、ライブラリーを切り直すことによって誘発する能力は誘発する。
701.20f 複数の効果によって同時にライブラリーを複数回切り直す場合、ライブラリーを切り直すことによって誘発する能力はその回数だけ誘発する。
701.20g 効果によって、プレイヤーがオブジェクトをライブラリーの特定の場所に置くのと同時にそのライブラリーを切り直す場合、その特定の位置に置かれたオブジェクト以外のライブラリーを切り直した状態になる。
例:《ダークスティールの巨像》と《墓いらずのゾンビ》が同時に戦場から同じプレイヤーの墓地に置かれたとする。《ダークスティールの巨像》は「ダークスティールの巨像がいずれかの領域からいずれかの墓地に置かれる場合、代わりにダークスティールの巨像を公開し、オーナーのライブラリーに加えて切り直す。」という能力を持つ。《墓いらずのゾンビ》は「墓いらずのゾンビが場から墓地に置かれるとき、代わりに、墓いらずのゾンビをそのオーナーのライブラリーの一番上に置く。」という能力を持つ。この場合、そのプレイヤーは《ダークスティールの巨像》を自分のライブラリーに加えて切り直し、《墓いらずのゾンビ》をそのライブラリーの一番上に置く。
701.21. タップする、アンタップする/Tap and Untap
701.21a パーマネントをタップするとは、カードを横向きに倒すことである。アンタップ状態のパーマネントだけをタップできる。
701.21b パーマネントをアンタップするとは、カードを縦向きに戻すことである。タップ状態のパーマネントだけをアンタップできる。
701.22a 「消術Nを行なう/fateseal N」とは、プレイヤーが対戦相手のライブラリーの一番上からN枚のカードを見、その後それらのうち望む枚数のカードを対戦相手のライブラリーの一番下に望む順番で、残りを対戦相手のライブラリーの一番上に望む順番で、それぞれ置くことである。
701.23a 激突を行なうとは、プレイヤーが自分のライブラリーの一番上のカードを公開し、その後、そのプレイヤーはそのカードをライブラリーの一番下に置くかそのまま残すかする、ということである。
701.23b 「対戦相手と激突を行なう/clash with an opponent」は、「対戦相手1人を選び、あなたとその対戦相手はそれぞれ激突を行なう」を意味する。
701.23c 激突を行なう各プレイヤーは、それぞれのライブラリーの一番上のカードを一度に公開する。その後、それらのプレイヤーはAPNAP順で(rule 101.4 参照)それらのカードをどこに置くか決め、その後、一度にそれらのカードを置く。
701.23d プレイヤーは、その激突において他のどの公開されたカードよりも大きい点数で見たマナ・コストを持つカードを公開した場合、その激突に勝ったことになる。
701.24. プレインズウォークする/Planeswalk
701.24a プレインチェイス戦の間にのみ、プレイヤーはプレインズウォークしうる。次元 コントローラーだけがプレインズウォークする。rule 901〔プレインチェイス戦〕参照。
701.24b プレインズウォークするとは、オモテ向きの次元・カードや現象・カードをそのオーナーの次元デッキの一番下に裏向きで置き、あなたの次元デッキの一番上にあるカードをそのデッキからよけてオモテ向きにする。
701.24c プレイヤーは「プレインズウォーク 能力」の結果として(rule 901.8 参照)、あるいはオモテ向きの次元・カードや現象・カードのオーナーがゲームを離れたことによって(rule 901.10 参照)、あるいは現象・カードの誘発型能力がスタックを離れたことによって(rule 704.6f 参照)プレインズウォークする。能力によってプレインズウォークすることもある。
701.24d 次元・カードがオモテ向きになったら、プレイヤーがその次元にプレインズウォークしたという。次元・カードが裏向きになった、あるいはゲームを離れたら、プレイヤーがその次元からプレインズウォークしたという。これは現象・カードについても同じである。
701.25a アーチエネミー戦のゲーム中の計略・カードだけが、実行中にされうる。魔王だけが計略略・カードを実行中にすることができる。rule 312〔計略〕、rule 904〔アーチエネミー戦〕参照。
701.25b 計略を実行中にするとは、それがあなたの計略 デッキの一番上にあるならそれをあなたの計略 デッキの一番上から取り除き、オモテ向きでないならオモテ向きにすることである。その計略は、これらの処理がなされなかったとしても実行中になる。
701.25c 計略は同時に1枚しか実行中にはならない。プレイヤーが複数の計略を実行中にするように指示された場合、そのプレイヤーはその回数だけ計略を1枚ずつ実行中にする。
701.27a 増殖を行なうとは、カウンターの置かれているパーマネントやカウンターを持つプレイヤーを望む数選び、その後それぞれ、その持っているカウンターを各種類ごとに追加で1個ずつ与えることである。
701.27b 双頭巨人戦では、毒カウンターはチームで共有されている。チームの複数のプレイヤーについてこれが選ばれた場合、それらのプレイヤーのうち1人だけに追加の毒カウンターが置かれる。増殖を行ったプレイヤーは、どのプレイヤーに置くのかを選ぶ。rule 810〔「双頭巨人戦」変種ルール〕参照。
701.28a パーマネントを変身させる場合、それを裏返し、もう一方の面が見えるようにする。変身する両面カードで表わされるパーマネントのみが変身できる(rule 711〔両面カード〕参照)。
701.28b パーマネントを変身させることは、パーマネントをオモテ向きや裏向きにすることと物理的行動は同じであるが、ゲーム上は異なる処理である。パーマネントが裏向きになることで誘発する能力は、パーマネントが変身することでは誘発しないし、他も同様である。
701.28c 呪文や能力に、プレイヤーに変身する両面カードでないパーマネントを変身させるよう指示がある場合、何も起こらない。
701.28d 呪文や能力に、プレイヤーに変身先の面がインスタントやソーサリーのパーマネントを変身させるよう指示がある場合、何も起こらない。
701.28e 誘発型能力の中に、オブジェクトが特定の特性を持つオブジェクトに「変身した」ときに誘発するものがある。その種の能力は、そのオブジェクトが変身し、変身した直後にその指定された特性を持っている場合に誘発する。
701.28f 遅延誘発型能力でないパーマネントの起動型能力や誘発型能力がそのパーマネントを変身させようとしたなら、そのパーマネントは、その能力がスタックに置かれた以降に変身していなかったときのみ変身する。パーマネントの遅延誘発型能力がそのパーマネントを変身させようとしたなら、そのパーマネントは、その遅延誘発型能力が作られた以降に変身していなかったときのみ変身する。どちらの場合にも、そのパーマネントが既に変身していた場合、変身するという指示を無視する。
701.29a ある種の呪文や能力はパーマネントを留置できる。その呪文や能力のコントローラーの次のターンまで、そのパーマネントでは攻撃したりブロックしたりできず、またそのパーマネントの起動型能力も起動できない。
701.30a 居住するとは、そのプレイヤーがコントロールしているクリーチャー・トークン1個を選び、そのクリーチャー・トークンのコピーであるトークンを生成することである。
701.30b 居住するときにクリーチャー・トークンをコントロールしていなかった場合、トークンを生成することはできない。
701.31a 「怪物化Nを行う/Monstrosity N」とは、「このパーマネントが怪物的でないなら、これの上に+1/+1カウンターをN個置き、これは怪物的になる。」を意味する。
701.31b 「怪物的/Monstrous」は、怪物化の処理その他の呪文や能力が参照できる目印として以外のルール上の意味を持たない記号である。パーマネントだけが、怪物的である、あるいは怪物的になることができる。パーマネントが怪物的になったら、それが戦場を離れるまでずっと怪物的である。怪物的は、能力でも、そのパーマネントのコピー可能な値でもない。
701.31c パーマネントの能力によってプレイヤーが「怪物化 Xを行う。」場合、そのパーマネントの持つ他の能力もXを参照することができる。それらの能力におけるXの値は、パーマネントが怪物的となった時点で定められたXの値と同じである。
701.32a 呪文や能力の中には、その呪文または能力の効果の結果を決定するために記載される複数の選択肢の中から1つに投票するよう指示するものがある。「投票する/Vote」には、特定のプレイヤーから始まりターン順に各プレイヤーがそれらの選択肢の中から1つを選択する。
701.32b 記載された選択肢には、オブジェクト、ルール上の意味を持たない単語で異なる効果に関連したもの、あるいは呪文または能力の解決に関連した変数があり得る。
701.32c 呪文または能力に「投票」と書いてあるものがある場合、それは実際の投票のみを指すものであり、「投票」という文言を使用せずにプレイヤーに選択や決定を行わせる呪文あるいは能力ではない。
701.32d 効果によってプレイヤーが複数の票を持った場合、それらの投票はすべて同時に、そのプレイヤーが通常投票する時点で行われる。