このルールに関して、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社が著作権を持ちます。
(このファイルの最後に詳細は記述してあります)
このファイルは、マジック・ザ・ギャザリングのComprehensive Rulesを、Japan Netrep *ぱお*/米村 薫 以下CR翻訳グループが翻訳したものです。
このルールの英文は http://www.wizards.com/magic/MTG_Rules.asp に、翻訳文は http://judge.magic.asuka.net/data/CompRules_j.html にあります。
再配布は制限しませんが、この巻頭辞まで含めた完全な形でお願いいたします。
この翻訳に関して疑問等ありましたら、*ぱお*/米村 薫 までメールでご連絡ください。
翻訳:CR翻訳グループ(*ぱお*、ムリア、Vorspiel、JFK)
Special thanks: I.C.A.、エリエル、ishan、九印、たかのを、あけぼの、みらこー、LANCER、鴨屋 真
200. 原則
300. 原則
この冊子は、マジック・ザ・ギャザリング(R)の基本的なゲームを理解した人たちのために編集されている。初心者にとって、このルールはほとんどの場合、不必要で複雑なものである。このルールに書かれていることは、このゲームに関するルール・グルになるためのものであり、特殊な問題が生じたときか、あるいは競技プレイの間にしか必要ではないだろう。
気軽なプレイの時に、また、ほとんどの問題にあたっては、第8版入門セットの箱に入っている一般ルールブックで充分である(一般ルールブックの内容は、Wizards of the Coastのマジック・ルールのウェブサイト http://www.wizards.com/default.asp?x=magic/rules.asp からダウンロードできる。なお、日本語版は ホビージャパン社のウェブサイト http://www.hobbyjapan.co.jp/magic/rules/online6.html にある)。それ以上の詳細なルールを求めるのであれば、これ以降を読み進めるとよい。
この文章は、章立てられたルールと、用語集からなっている。ルールの多くは細分化され、それぞれのルールとサブルールには番号が振られている。用語集では、ルール側で書くことが相応しくないような、用語一つ一つに関する解説が列記されている。探しているものが見つからない場合、用語集を確認せよ。
ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社は、ルールをいかに細かく定めたとしても、特定のカードの相互作用によって正確な解答が必要な状況があることは判っている。疑問がある場合、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社に問い合わせて、その解答を得ることができる。連絡先はこのファイルの末尾に記されている。
問題の発生に応じて、またルールをできる限り新しく保つために、公開以降にも変更が加えられる可能性がある。公式ルールの現在の版は、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社のサイト内の http://www.wizards.com/default.asp?x=magic/rules に公開されている。
100.1. このマジックのルールは、2人のプレイヤーによるゲームを仮定している。3人以上のプレイヤーによるゲームを可能にする選択ルールもあるが、それはここでは問題にしない。ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社のサイト内の http://www.wizards.com/magic/default.asp?x=magic/rules/multiplayer.asp で手に入れることができるハウス・ルールもある。
100.2. 構築環境でゲームをするにあたって、各プレイヤーは、60枚以上のカードからなるデッキ、トークンやカウンターを示す小さな物、ライフの現在値をはっきり示す方法、を必要とする。構築環境でのデッキは、任意の枚数の基本地形カードと、特定の英語名ごとに4枚以下の基本地形以外のカードからなる。
100.3. シールド・デッキ、またはドラフト環境において、デッキには40枚以上のカードを必要とする。持っているかぎり、同じカードを何枚デッキに入れても問題ない。限定環境においても、トークンやカウンターを示す小さな物や、ライフの現在値をはっきり示す方法は必要である。
100.5. ほとんどのマジックのトーナメントには、(ここに含まれない)特殊ルールが適用される。例えば、古いセットからのカードはすべて禁止、などである。http://www.wizards.com/DCI/main.asp?x=UTR_Intro で手に入れることができる、最新のマジック・DCIフロアルールを参照。
訳注:日本語版は http://judge.magic.asuka.net/data/ でも公開されている。
101.1. ゲームを始めるとき、それぞれのプレイヤーは自分のデッキをシャッフルし、カードが不規則な順序になるようにする。その後、対戦相手のデッキをシャッフルすることができる。このデッキは以後ライブラリーとして扱われる。
101.2. デッキをシャッフルした後、どちらが先攻後攻を選ぶかを決める。その方法は相互に納得できる方法(コイン・フリップとか、ダイスを振るなど)であれば何でもよい。複数のゲームからなるマッチにおいては、直前のゲームで負けたプレイヤーがどちらが先攻かを決定する。前のゲームが引き分けであった場合、前のゲームで先攻・後攻を決めたプレイヤーが決定権を持つ。
101.3. 先攻プレイヤーが決定された後、それぞれのプレイヤーはそのライフを20にし、そして7枚の手札を引く。
101.4. 最初の手札が満足できるものでなかったプレイヤーは、マリガンを行なうことができる。この判断は、先攻のプレイヤーが先に行なう。マリガンとは、手札をライブラリーの中に混ぜ入れ、そして6枚の新しい手札を引くことである。なお気に入らなければもう一度繰り返すことができ、このときは新しい手札は5枚になる。こうして、毎回1枚ずつ手札を減らして、0枚になるまでこの方法を繰り返すことができる。先攻のプレイヤーがこれ以上マリガンをしないと決めた後で、今度は後攻のプレイヤーが満足するまでマリガンを行なうことができる。一旦マリガンしないことを選んだら、その後でマリガンすることはできない。
101.5. 両方のプレイヤーが手札に満足したら、先攻のプレイヤーのターンが始まる。先攻のプレイヤーは、最初のターンのドロー・ステップ(rule 304〔ドロー・ステップ〕参照)を飛ばす。
102.1. プレイヤーのライフの合計が0以下になったら、そのプレイヤーは次に優先権が発生したとき(状況起因効果として)ゲームに負ける。(rule 420〔状況起因効果〕参照)
102.2. ライブラリーに残っているよりも多いカードを引くことが求められたら、残されているカードをすべて引き、次に優先権が発生したときに(状況起因効果として)そのゲームに負ける。(rule 420〔状況起因効果〕参照)
102.3. プレイヤーが勝ち、あるいは負け、またはゲームが引き分けになったら、そのゲームは即座に終わる。
102.4. 両方のプレイヤーが同時に負けた場合、ゲームは引き分けとなる。
102.5. プレイヤーが勝利条件と敗北条件を同時に満たした場合、そのプレイヤーは負けとなる。
102.6. ゲームが何らかのループを作り、それを止める方法がない場合、ゲームは引き分けとなる。但し、なんらかの選択肢のあるループは引き分けにはならない。
102.7. プレイヤーはいつでも投了できる。投了したプレイヤーは即座に負けとなる。
102.8. プレイヤーが10個以上の「毒カウンター/poison counter」を得た場合、次に優先権が発生するときにそのプレイヤーは敗北する。これは状況起因効果である(rule 420〔状況起因効果〕参照)。
103.1. カードのテキストがルールに直接矛盾しているときは、カードの記述が優先される。カードはその特定の状況に適用されるルールだけを無視する。
103.2. 一方のカードに何かを「できる」と書かれており、他方のカードに同じことが「できない」と書かれていた場合、「できない」という効果が優先される。例えば、「このターンに、あなたは土地を1枚追加でプレイしてよい」という効果があり、他方では「このターン、あなたは土地 カードをプレイすることはできない」という効果があった場合、土地のプレイを禁止する効果のほうが優先される。オブジェクトに能力を与える効果とオブジェクトから能力を失わせる効果の相関については、このルールは適用されない。rule 407〔能力の追加・除去〕参照。
103.3. カードの記述が不可能な行動を求めていた場合、それは無視される。(多くの場合、カードはこれの結果をはっきりさせる。そうでなければ、なんの効果ももたらさない)
103.4. 両方のプレイヤーが同時になんらかの行動を取る場合、アクティブ・プレイヤー(そのターンのプレイヤー)が必要な選択をすべて行ない、そのあとで非アクティブ・プレイヤーが必要な選択を行ない、それから同時に行動が起こる。このルールは「アクティブ・プレイヤー・非アクティブ・プレイヤー・ルール」(またはAPNAPルール)と呼ばれる。
例:「それぞれのプレイヤーはクリーチャーを1体生け贄に捧げる」というカードがあった場合、まずアクティブ・プレイヤーが自分のコントロールするクリーチャーを1体選び、それから非アクティブ・プレイヤーが自分のコントロールするクリーチャーを1体選び、その後でその2体のクリーチャーが同時に生け贄に捧げられる。
104.1. マジックのゲームでは、整数だけを用いる。分数や小数は用いない。呪文や能力によって分数が出てくる可能性がある場合、その呪文や能力に切り上げか切り捨てかが明記されている。
104.2. クリーチャーのパワーやタフネス、マナ・コスト、プレイヤーのライフの合計、ダメージの総量などが0未満になった場合、その数字が変わるとき以外は0として扱う。数字が定義できない場合も0として扱う。
例:3/3クリーチャーに-5/-0の修正がついた場合、パワーは0として扱われ、戦闘では0点のダメージを与える。ただし、パワーを1にするためには、+3/+0以上の修正が必要になる。
例:あなたがパーマネントをコントロールしていない場合、「あなたがコントロールしているパーマネントの点数で見たマナ・コストの中で一番高い値」は定義できない。この数字は0として扱う。
104.3. マナ・シンボルは、{W}{U}{B}{R}{G}{X}{Y}{Z}、ならびに{0}{1}{2}{3}{4}の類の数字である。
104.3a 色つきマナ・シンボルはそれぞれその色つきマナ1点を意味する。{W}は白、{U}は青、{B}は黒、{R}は赤、{G}は緑に対応する。
104.3b 数字のシンボル({1}など)は不特定マナ・コストであり、任意の色つきマナ、あるいは無色マナで支払うことのできる一定量のマナを意味する。
104.3c {X}{Y}{Z}は何らかの量のマナを意味する。呪文や起動型能力のコストに含まれる場合、そのコントローラーはその変数の値を決定する。
104.3d ({1}などの)数字のシンボルや({X}などの)変数のシンボルは、マナを出す能力では無色マナを意味する。
104.3e {0}は0マナを意味し、コストのかからない呪文や起動型能力でコスト欄に書かれる。コストが{0}の呪文や能力も、自動的にプレイされるわけではなく、他の呪文や能力と同じようにプレイされる。
104.4. タップ・シンボルは{T}である。起動コストにタップ・シンボルがある場合、「このパーマネントをタップする」ということを意味する。既にタップ状態のパーマネントをタップしてコストを支払うことはできない。そのプレイヤーの最近のターン開始時から続けてコントロールしているのでない限り、クリーチャーの、起動コストにタップ・シンボルを含む能力を使うことはできない。rule 212.3d 参照。
104.5. オデッセイ・ブロックのカードで、カード名の左に墓石アイコンがあるものがある。これは、墓地にあるときに働く能力があることを意味している。墓地にあるときにもわかりやすいようにアイコンがあるだけで、ゲーム的には意味を持たない。
200.1. ルールやカード・テキストに「カード」と記されていた場合、マジックのカードの表とマジックのカードの裏を持つマジックのカードを指す。Ungluedの、トークンを示すカードはルールの適用に関してはカードとしては扱わない。
200.2. カードの文章を決定する際には、オラクルを用いる。オラクルは http://www.wizards.com/default.asp?x=dci/oracle で参照できる。
200.3. プレイヤーとは、ゲームに参加している2人の人間のことである。プレイヤーの対戦相手とは、もう一方のプレイヤーのことである。アクティブ・プレイヤーとは、現在進行中のターンのプレイヤーのことである。そうでないプレイヤーのことを非アクティブ・プレイヤーという。
200.4. トークンとは、カードによって表現されていないパーマネントを表現するために用いるマーカーのことである(rule 216〔トークン〕参照)。
200.5. 呪文とは、スタック上にある呪文または呪文のコピーのことである(rule 213〔呪文〕参照)。
200.6. パーマネントとは、場に出ているカードやトークンのことである(rule 214〔パーマネント〕参照)。
200.7. 能力とは、スタック上にある起動型能力および誘発型能力のことと、オブジェクト上にある、そのオブジェクトが何をするかを表現する文章の両方のことを指す(rule 402〔能力〕および4章〔呪文、能力、効果〕参照)。
200.7a スタック上にある能力のオーナーは、それがプレイされた時、もしくは誘発した時にその発生源をコントロールしていたプレイヤーである。スタック上にある能力のコントローラーは、その能力をプレイしたプレイヤー、もしくはその能力が誘発したときにその発生源をコントロールしていたプレイヤーである。
200.8. オブジェクトとは、スタック上の能力、カード、トークン、呪文、パーマネントである。このルールにおいて「オブジェクト」という語が用いられている場合、その項目は上記全てに適用される。
200.9. 呪文や能力が「カード/card」「呪文/spell」「発生源/source」という単語なしでタイプや特殊タイプ、サブタイプを用いた場合、場に出ているそのタイプのパーマネントのことを意味する。
200.9a 呪文や能力が「カード/card」という単語と領域名とともにタイプや特殊タイプ、サブタイプを用いた場合、その領域にあるそのタイプのカードのことを意味する。
200.9b 呪文や能力が「呪文/spell」という単語とともにタイプや特殊タイプ、サブタイプを用いた場合、スタックにあるそのタイプの呪文のことを意味する。
200.9b 呪文や能力が「発生源/source」という単語とともにタイプや特殊タイプ、サブタイプを用いた場合、能力またはダメージの、その種類の発生源のことを意味する。rule 419〔ダメージの発生源〕参照。
200.10. カウンターとは、オブジェクトやプレイヤーの上に置かれるマーカーであり、その特性を修正したり、能力と相互作用したりするものである。トークンはカウンターではなく、カウンターはトークンではない。+X/+Yカウンター(X、Yはそれぞれ数字である)がパーマネントの上に置かれている時、そのパーマネントのパワーにXを加え、タフネスにYを加える。同様に、このXやYが負の時はその分だけ引く。同名のカウンターは相互に交換可能である。
201.1. カードには、名前、マナ・コスト、絵、タイプ行、エキスパンション・シンボル、文章欄、パワー、タフネス、イラストの著作権表記、権利表記、コレクター番号と呼ばれる部分がある。カードによっては、これらの部分の一部または全部が複数存在することもある。
201.2. オブジェクトの特性とは、名前、マナ・コスト、色、タイプ、特殊タイプ、サブタイプ、エキスパンション・シンボル、ルール・テキスト、パワー、タフネスのことである。オブジェクトはこれらの特性の全てを持つこともあるし、一部だけを持つこともある。それ以外の、カード、呪文、パーマネントに関する情報、例えば、パーマネントがタップされているかどうか、呪文の対象、オブジェクトのコントローラー、個別エンチャントが何にエンチャントしているか、などは特性ではない。
202.2. 文章中にそのオブジェクトの名前が書かれていた場合、それはそのオブジェクトそのものだけを指す。たとえ名前が何らかの効果によって変更されていてもそうであるし、同名の他のオブジェクトは示さない。
202.2a オブジェクトの能力が、分類や特性を用いて「この[何か]/this [何か]」の類の表現であるオブジェクトを指していた場合、後でその分類や特性が合わなくなったとしても、その特定のオブジェクトを指す。
例:「クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時までそれは+2/+2の修正を受ける。ターン終了時に、そのクリーチャーを破壊する」という能力があった場合、その+2/+2の修正を受けたオブジェクトがターン終了時にクリーチャーでなくなっていたとしても、破壊する。
202.2b あるオブジェクトが他のオブジェクトに、1つめのオブジェクトの名前を含む能力を与えた場合、その名前で示されるのはこの能力を与えたオブジェクト自身であり、同名の他のオブジェクトのことは示さない。
例:《はじける子嚢/Saproling Burst》は「はじける子嚢の上から消散カウンター1個を取り除く: 緑の苗木クリーチャー・トークンを1個場に出す。このトークンは「このクリーチャーのパワーとタフネスは、それぞれ、はじける子嚢の上に置かれている消散カウンターの数に等しい」という能力を持つ。」という能力を持つ。この、トークンに与えられた能力は、そのトークンを生成した《はじける子嚢》自身のことだけを指し、他の《はじける子嚢》のことは指さない。
202.3. 英語名が同じなら、カードに記されている内容が違っていようとも同じカード名として扱う。
203.1. カードのマナ・コストはカードの右上隅に記されているマナ・シンボルで示される。トークンや土地のマナ・コストは{0}である。オブジェクトのマナ・コストを支払う際には、色のついたマナ・シンボル全ての色や、不特定マナ・コストが正しくなければならない。
203.2. オブジェクトの色は、マナ・コストに含まれるマナ・シンボルの色である。カードの背景色や枠の色は関係しない。
203.2a コストの中に色のついたマナ・シンボルを含まないオブジェクトは無色である。
203.2b マナ・コストの中に、5種類の色のうちで2種類以上の色のマナが含まれているオブジェクトは多色である。多色のオブジェクトは金色の背景で印刷されているが、背景が金色でなくても多色であることがありうる。
203.2c マジックで色とは、白、青、黒、赤、緑である。白のマナは{W}、青は{U}、黒は{B}、赤は{R}、緑は{G}で表わされる。
例:マナ・コスト{2}{W}のオブジェクトは白であり、マナ・コストが{2}{W}{B}のオブジェクトは白でも黒でもある。
203.3. オブジェクトの、点数で見たマナ・コストは、マナ・コストに含まれるマナの量を色を気にせずに数えたものである。点数で見たマナ・コストを支払うことを求める効果の場合、それは不特定マナ・コストであり、呪文のマナ・コストの色とは関係なく、任意の色のマナと無色のマナの任意の組み合わせで支払うことができる。
例:マナ・コスト{3}{U}{U}は、点数で見たマナ・コストに換算すると5になる。
203.4. オブジェクトのルール・テキストに記されている追加コストや、他の効果によって追加されているコストは、マナ・コストの一部ではない(rule 409〔呪文や起動型能力のプレイ〕参照)。それらのコストは、その呪文の持つ他のコストと同時に支払われる。
204.1. カードの上半分に記されているものが絵であり、ルール上は特に意味はない。例えば、絵で空を飛んでいるように見えたとしても、ルール・テキストに飛行を持つと書かれていなければ、そのクリーチャーは飛行を持たない。
205.1. カードのタイプ(あるならばサブタイプ、特殊タイプも)は絵のすぐ下に記されている。(rule 212〔タイプ、特殊タイプ、サブタイプ〕参照)
205.2a タイプには、アーティファクト、クリーチャー、エンチャント、インスタント、土地、ソーサリーがある。
205.2b. オブジェクトの中には、複数のタイプを持つものもある(例えば、アーティファクト・クリーチャー)。この類のオブジェクトは、そのいずれかのタイプに適用される効果は全て適用される。
205.3a カードは、タイプ行に書かれているサブタイプを持つ。
205.3b クリーチャーと土地のサブタイプは、長い横線の後に列記された単語群であり、それぞれの単語は別々のサブタイプである。クリーチャーのサブタイプはクリーチャー・タイプ、土地のサブタイプは土地タイプとも呼ばれる。クリーチャーや土地は複数のサブタイプを持つことがあり得る。日本語の場合、それぞれのサブタイプの間に中黒(・)が入っている。
例:「土地 (基本地形)─ 山」とは、そのカードが土地で、サブタイプとして山を持つことを意味している。「クリーチャー ─ ゴブリン・ウィザード」とは、そのカードがクリーチャーで、サブタイプとしてゴブリンとウィザードを持つことを意味している。
205.3c エンチャントのサブタイプは、例えば「エンチャント(クリーチャー)/enchant creature」、「エンチャント(土地)/enchant land」のように、「エンチャント/enchant」という語と、その後に続く語(日本語版の場合、かっこの中身)からなる。カード・タイプが「エンチャント(場)/Enchantment」であるカードは、サブタイプを持たない。何に対して適正にエンチャントできるかを示すのがエンチャントのサブタイプである。(rule 212.4〔エンチャント〕参照)
205.4a カードは、特殊タイプを持つことがある。それらはカード・タイプの直前に書かれる(日本語版の場合、基本地形は「土地 (基本地形)」となり、伝説の 土地は「伝説の 土地」と書かれる)。オブジェクトのタイプまたはサブタイプが変更になった場合、新しいタイプと合わなかったとしても、特殊タイプはそのまま維持される。
205.4b 「(基本地形)/basic」という特殊タイプを持った土地は基本地形である。この特殊タイプを持たない土地は基本地形でない土地である。
例:第8版以前に作られたカードは「基本地形」という語で基本地形を表示していない。それらの古いカードにおいては、カード名が《森》《島》《山》《平地》《沼》《Snow-Covered Forest》《Snow-Covered Island》《Snow-Covered Mountain》《Snow-Covered Plains》《Snow-Covered Swamp》の10種類のいずれかであるものを基本地形とする。
205.4c 「伝説の/legendary」という特殊タイプを持つパーマネントは、レジェンドと伝説の パーマネントに関するルールに従う。rule 215〔レジェンドと伝説の オブジェクト〕参照。
206.1. エキスパンション・シンボルは、そのカードがマジックのどのセットのものかを示すものであり、絵の右下に記されている。
206.2. エキスパンション・シンボルの色はそのカードのそのセットにおけるレアリティを示すものである。金色はレア、銀色はアンコモン、黒がコモンか基本地形である(エクソダスよりも古いセットでは、レアリティに関らず、全てのシンボルは黒で書かれていた。また、第5版までの基本セットのカードには、エキスパンション・シンボルはついていなかった)。
206.3. ある特定のセットからのカードに影響する呪文や能力は、そのセットのエキスパンション・シンボルだけをチェックする。基本セットに収録されたカードは、基本セットのエキスパンション・シンボルを持つので、それらの再収録分は、元のセットのエキスパンション・シンボルを持って再収録されたのでない限り、元のセットのカードとはみなさない。第5版までの基本セットはエキスパンション・シンボルを持たない。
207.1. 文章欄は、カードの下半分にある。ここには、そのカードの能力を定義するルール・テキストが書かれている。
207.2. 文章欄には、そのカードに適用されるルールの注釈文(括弧でくくられ、斜体である)や、斜体で書かれた、ゲームには関係しないがゲームの雰囲気をよくするためのフレイバー・テキストを含むこともある。
208.1. クリーチャー・カードの右下には、スラッシュで区切られた二つの数字が記されている。一つめの数字はクリーチャーのパワー(戦闘中に与えるダメージの量)であり、二つめの数字はタフネス(破壊されるのに必要なダメージの量)である。例えば、2/3というのはそのクリーチャーが2のパワーと3のタフネスを持つことを示している。パワーやタフネスは、効果によって変更されることがありうる。
208.2. 一部のオブジェクトでは、パワーもしくはタフネスの値が * になっているものがある。* とは、そのオブジェクトの能力で定義されている値である。そのオブジェクトが場にある限り、その能力が * の値を定義する。オブジェクトが場に出ていない場合、* は0として扱う。
209.1. カードの絵の著作権表記は、文章欄のすぐ下に記されている。ゲームには影響しない。
210.1. 権利表記は発行した日付と著作権の表記である。ゲームには影響しない。これはカードの一番下に記されている。
211.1. いくつかのカード・セットにはコレクター番号がふられている。この情報は[カード番号/セットに含まれるカードの総数]という形で記されており、権利表記のすぐあとにある。この番号はゲームには影響しない。
212.1. 通則
212.1a カード、トークン、パーマネント、呪文は、タイプ、特殊タイプ、サブタイプを持ちうる。能力はタイプ、特殊タイプ、サブタイプを持たないが、色々な種類が存在する(rule 402〔能力〕参照)。
212.1b オブジェクトのタイプが変更されたとき、新しいタイプが以前のタイプを置き換える。カウンターや効果、ダメージは、新しいタイプでは意味がなくなるとしても、そのオブジェクトに残る。同様に、あるオブジェクトのタイプにともなうサブタイプが変更になったとき、新しいサブタイプは以前の同種のサブタイプを置き換える。オブジェクトのあるタイプが失われた場合、そのタイプにともなうサブタイプは失われる。逆にサブタイプを失わせても、タイプには何の影響もない。
212.1c オブジェクトのタイプやサブタイプを変更する効果の中には、元のタイプやサブタイプが残ると明記されているものがある。この場合、そのオブジェクトの、以前のタイプやサブタイプは全て残る(これは以前のルールの変更である)。このルールは、「それまでのタイプに加え/in addition to its types」や「[タイプ]でもある/still a [タイプ]」という表記に適用される。また、「アーティファクト・クリーチャー」になる、と書かれた効果があるが、これも同様に以前のタイプおよびサブタイプを全て残す効果である。
例:「全ての土地は1/1のクリーチャーである。それらは土地でもある。」という能力によって、土地は、クリーチャーでもあり土地でもあることになる。もし影響を受ける土地の中にアーティファクトでもあるものがあったなら、それは「アーティファクト・土地・クリーチャー」になる。「クリーチャー」や「土地・クリーチャー」になるわけではない。この効果によって、アーティファクトであることや土地であることが失われることはない。
例:「全てのアーティファクトは1/1のアーティファクト・クリーチャーである」という能力によって、アーティファクトでもエンチャント(場)でもあるパーマネントは、「アーティファクト・エンチャント(場)・クリーチャー」になる。
212.1d オブジェクトの特殊タイプはそのタイプやサブタイプとは独立して存在する。オブジェクトのタイプやサブタイプを変更しても、特殊タイプは変更されない。オブジェクトの特殊タイプを変更することは、そのタイプやサブタイプを変更しない。
例:「全ての土地は1/1のクリーチャーである。それらは土地でもある。」という能力の影響を受けても、場にあった伝説の 土地はやはり伝説の パーマネントである。
212.1e サブタイプを選ぶ効果があった場合、必ず、その該当するサブタイプとして存在するものの中から1つだけ選ばなければならない。例えば、クリーチャー・タイプを選ぶときに土地タイプを選ぶことはできない(存在するクリーチャー・タイプを決定するために、オラクルを用いること。rule 200.2 参照)。
例:クリーチャー・タイプを選ぶ場合、「マーフォーク」や「ウィザード」は適正である。しかし「マーフォク・ウィザード」は不適正である。「アーティファクト」「対戦相手」「沼」「トラック」などはクリーチャー・タイプではないので不適正である。
212.2a プレイヤーは、自分のメイン・フェイズの間、スタックが空で優先権を持っている時に、アーティファクト・カードを手札からプレイすることができる。アーティファクトを呪文としてプレイする場合、スタックを用いる(rule 409〔呪文と起動型能力のプレイ〕参照)。
212.2b アーティファクト 呪文が解決されたら、それのコントローラーはそれを自分のコントロール下で場に出す。
212.2c アーティファクトにはサブタイプは存在しない。ただし、アーティファクト・クリーチャーはクリーチャーのサブタイプを持つことがある。
212.2d アーティファクトはそのタイプに特有の特性を持たない。アーティファクトは色つきマナをコストに含まないので、無色である。ただし、何らかの効果によって色を得ることはあるし、色つきのオブジェクトがそのままアーティファクトになることもありうる。
212.2e アーティファクト・クリーチャーは、クリーチャーとアーティファクトの持つ特性を両方持ち、どちらのタイプに影響する呪文や能力の影響も受ける。
212.3a プレイヤーは、自分のメイン・フェイズの間、スタックが空で優先権を持っている時に、クリーチャー・カードを手札からプレイすることができる。クリーチャーを呪文としてプレイする場合、スタックを用いる(rule 409〔呪文と起動型能力のプレイ〕参照)。
212.3b クリーチャー 呪文が解決されたら、それのコントローラーはそれを自分のコントロール下で場に出す。
212.3c クリーチャーのサブタイプは必ず1単語であり、「クリーチャー」という語のあとに、「クリーチャー ─ ミノタウルス/Creature - Minotaur」「アーティファクト・クリーチャー ─ ゴーレム・レジェンド/Artifact Creature - Golem Legend」といったように、長いダッシュに続いて並べられている。クリーチャーのサブタイプは、「クリーチャー・タイプ」とも呼ばれる1単語である。クリーチャーには複数のサブタイプがあることもありうる。
例:「クリーチャー ─ ミノタウルス/Creature - Minotaur」は、そのカードがクリーチャーであり、そのサブタイプがミノタウルスであることを示している。「クリーチャー ─ ゴブリン・ウィザード/Creature - Goblin Wizard」は、カードがクリーチャーであり、サブタイプはゴブリンでもウィザードでもあることを示している。
212.3d クリーチャーの起動型能力のうち起動コストにタップ・シンボルを含むものは、そのコントローラーがそのクリーチャーを自分のターン開始時から続けてコントロールしていない限り、プレイできない。また、そのコントローラーが自分のターン開始時から続けてコントロールしていない限り、そのクリーチャーは攻撃に参加できない。このルールは非公式に「召喚酔い」ルールと呼ばれる。速攻を持つクリーチャーはこのルールを無視してもよい(rule 502.5 参照)。
212.4a プレイヤーは、自分のメイン・フェイズの間、スタックが空で優先権を持っている時に、エンチャント・カードを手札からプレイすることができる。エンチャントを呪文としてプレイする場合、スタックを用いる(rule 409〔呪文と起動型能力のプレイ〕参照)。
212.4b エンチャント 呪文が解決されたら、それのコントローラーはそれを自分のコントロール下で場に出す。
212.4c 全体エンチャントのタイプは「エンチャント(場)/enchantment」である。個別エンチャントは、「エンチャント([何か])/enchant [何か]」という書式で何にエンチャントできるかを示し、「エンチャント(アーティファクト)/enchant artifact」「エンチャント(クリーチャー)/enchant creature」「エンチャント(エンチャント)/enchant enchantment」「エンチャント(土地)/enchant land」「エンチャント(パーマネント)/enchant permanent」「エンチャント(プレイヤー)/enchant player」と呼ばれる。
212.4d 個別エンチャント 呪文は、エンチャントのサブタイプで示される性質を持つ対象を必要とする。その呪文によって場に出される個別エンチャントはそのタイプのパーマネントまたはプレイヤーに付けられねばならず、その呪文が対象としていたパーマネントまたはプレイヤーにつけて場に出される。エンチャントするものの選択に関する追加の制限は、「[この個別エンチャント]は[特定の性質を持つパーマネントやプレイヤー]しかエンチャントできない/[この個別エンチャント] can enchant only a [特定の性質を持つパーマネントやプレイヤー]」という類の表記で現される。これらの制限は呪文をプレイするときの対象選択にも適用される。同様の制限は、エンチャントされるパーマネントの方にも存在しうる。例えば、パーマネントは「[このパーマネント]は[特定の性質を持つ個別エンチャント]にエンチャントされない/[このパーマネント] can't be enchanted by [特定の性質を持つ個別エンチャント]」という能力を持つことがあり得る。この制限は、個別エンチャント 呪文がそのパーマネントを対象にできるかどうかということにもかかってくる。
例:エンチャント(クリーチャー) 呪文はクリーチャーを対象とする。場にあるエンチャント(クリーチャー)は、クリーチャーをエンチャントしていなければならない。
212.4e プレイする以外の方法で個別エンチャントが場に出るとき、それを場に出す 効果がエンチャントするものを特に指定していなければ、それを場に出そうとしたプレイヤーが、それが場に出るに際して、エンチャントするパーマネントを選ぶ。その場合、エンチャントはそのパーマネントを対象には取らないが、プレイヤーは適正にエンチャント出来るパーマネントまたはプレイヤーを選ばなければならない。適正なパーマネントまたはプレイヤーがなければ、そのエンチャントは場に出る 代わりに移動しようとした元の領域にそのまま残る。同じルールが、個別エンチャントをあるパーマネントから他のパーマネントへ、あるいはプレイヤーからプレイヤーへ移動させるときにも適用される。エンチャントを移動させる先のパーマネントまたはプレイヤーは、そのエンチャントによってエンチャントされることができなければならない。それが不正であれば、そのエンチャントは移動しない。
212.4f 個別エンチャントが不正なパーマネントまたはプレイヤー上にエンチャントされていたり、あるいはエンチャントされているパーマネントやプレイヤーがすでに存在しなくなっていれば、そのエンチャントはオーナーの墓地に置かれる(これは状況起因効果である。rule 420〔状況起因効果〕参照)。
212.4g 個別エンチャントはそれ自身にはつけることができない。何らかの理由でそうなった場合、その個別エンチャントは状況起因効果でオーナーの墓地に置かれる(rule 420.5d 参照)。
212.4h 個別エンチャントのつけられているパーマネントのことを、「エンチャントされている」という。そのエンチャントはそのパーマネントを「エンチャントしている」、あるいはそのパーマネントに「ついている」という言い方をする。
212.4i 個別エンチャントのコントローラーは、そのエンチャントされているパーマネントのコントローラーとは無関係であり、同じである必要はない。パーマネントのコントロールが変化しても、エンチャントのコントロールは変化しないし、逆も同じである。エンチャントのコントローラーだけがその能力を使うことができる。しかし、エンチャントがそれのエンチャントしているパーマネントに何らかの能力を与える(「得る/gain」「持つ/have」で示される)場合には、エンチャントされているパーマネントのコントローラーだけがその能力を使うことができる。
212.4j 「エンチャント(ワールド)/enchant world」なオブジェクトは全体エンチャントであり、エンチャント(ワールド)の状況起因効果に従う(rule 420.5i 参照)。
212.5a プレイヤーは、優先権を持っている時に、インスタント・カードを手札からプレイすることができる。インスタントを呪文としてプレイする場合、スタックを用いる(rule 409〔呪文と起動型能力のプレイ〕参照)。
212.5b インスタント 呪文が解決されたら、ルール・テキストに書かれている行動が行なわれた後で、オーナーの墓地に置かれる。
212.5d インスタントが場に出ることはない。場に出るような場合、その代わりにもとあった領域に残る。
212.5e 「プレイヤーがインスタントをプレイできるときならいつでも」という表現は、そのプレイヤーが優先権を持っている時に、という意味である。実際にプレイできるインスタントを持っている必要はない。
212.6a プレイヤーは、自分のメイン・フェイズの間、スタックが空で優先権を持っている時に、土地 カードを手札からプレイすることができる。土地 カードは呪文 カードではなく、呪文としては扱われない。土地 カードをプレイする場合、単に場に出される。土地 カードはスタックに乗らないので、インスタントや起動型能力で対応することはできない。
212.6b プレイヤーは、自分のターンに1枚だけ土地 カードをプレイすることができる。効果によって追加の土地をプレイすることが可能になることがある。こうした場合にも、通常の、土地を場に出す行動を取ることはできる。効果によって土地のプレイが禁止されている場合、プレイヤーは土地をプレイしようとすることはできない。土地をプレイするに際し、プレイヤーは、それが通常の土地のプレイかそうでないのかを宣言する必要がある。通常の土地のプレイでない場合には、どの効果によってその土地のプレイが認められるのかを特定しなければならない。土地を場に「出す/put」ことができる呪文や能力が存在する。これは土地のプレイとは違うので、通常の土地のプレイが1枚限りだという制限の上では考慮されない。
212.6c 土地のサブタイプは常に1単語であり、土地タイプとも呼ばれる。土地は複数の土地タイプを持つことがありうる。
例:「土地 (基本地形)─ 山」という記述は、そのカードが山のサブタイプを持つ土地であることを意味する。
212.6d 基本地形タイプは、平地、島、沼、山、森である。「基本地形タイプ」が参照される場合、これらのサブタイプのうちいずれかを意味する。基本地形タイプを持つ土地は、色 マナを出す固有の能力を持っている(rule 406〔マナ能力〕参照)。その土地の文章欄は、たとえそこが空欄であったとしても、「{T}:あなたのマナ・プールに[マナ・シンボル]を加える」の能力が書かれているものとして扱う。平地は白、島は青、沼は黒、山は赤、森は緑の各色 マナを出す。
212.6d 何らかの効果により土地タイプがいずれかの基本地形タイプに変わった場合、その土地は以降古い土地タイプを持たない。それは以前に持っていたすべてのルール・テキストを失い、その基本地形タイプが持つマナ能力のルール・テキストを得ることになる。ただし、これは他の効果によりその土地に与えられた能力を取り除くわけではない点に注意。土地タイプの変更は、その土地が持つタイプ(「クリーチャー」など)や特殊タイプ(「基本地形」や「伝説の」など)を変更しない。土地が現在の土地タイプに加えて新たな土地タイプを得た場合、それはこれまでの土地タイプとルール・テキストを持ち、それに加えて新しい土地タイプとマナ能力を得る。
212.6f 「(基本地形)/Basic」という特殊タイプをもつ土地は基本地形である。この特別タイプを持たない土地は基本地形でない土地である。
212.7a プレイヤーは、自分のメイン・フェイズの間、スタックが空で優先権を持っている時に、ソーサリー・カードを手札からプレイすることができる。ソーサリーを呪文としてプレイする場合、スタックを用いる(rule 409〔呪文と起動型能力のプレイ〕参照)。
212.7b ソーサリー 呪文が解決されたら、ルール・テキストに書かれている行動が行なわれた後で、オーナーの墓地に置かれる。
212.7d ソーサリーが場に出ることはない。場に出るような場合、その代わりにもとあった領域に残る。
212.7e 呪文、能力、効果によって、プレイヤーが何かを「ソーサリーがプレイできるときならいつでも」できる、となっていた場合、それはそのプレイヤーが優先権を持ち、自分のターンのメイン・フェイズ中で、スタックが空である、ということを意味する。実際にプレイできるソーサリーを持っている必要はない。
213.1. 土地を除く全てのカードは、プレイされている間(rule 409.1〔呪文や起動型能力のプレイ〕参照)とスタックにある間は呪文である。その後、解決されるか打ち消されるまでは呪文であり続ける。(rule 401〔スタックにある呪文〕参照)
213.2. 呪文のタイプは、その呪文のカード・タイプと同じである。呪文の特殊タイプやサブタイプは、そのカードの特殊タイプやサブタイプと同じである。
213.3. 「呪文/spell」という語は、スタックにあるカードのことを指す。「カード」と言った場合、スタック上に呪文として存在するカードのことは指さず、例えば「手札にあるクリーチャー・カード」のように、場やスタック以外の領域にあるものだけを指す。
213.4. 呪文にはコントローラーが存在する。通常、呪文のコントローラーはその呪文をプレイしたプレイヤーである。
213.5. パーマネントになる呪文の特性を何らかの効果によって変更した場合、その効果は呪文の解決後に生成されたパーマネントにも適用される。
例:黒のクリーチャー 呪文を白に変更する効果があった場合、場に出たときもそのクリーチャーは白であり、その変更する効果が続いている限り白のままである。
214.1. パーマネントとは、場に存在するカードやトークンのことである。パーマネントは何らかの効果やルールによって他の領域に動かされるまで場に残る。パーマネントにはアーティファクト、クリーチャー、エンチャント、土地という4つのタイプがある。インスタントやソーサリー・カードが場に出ることはない。
214.2. パーマネントのタイプは、場に出ているカードやトークンのタイプと同じである。トークンでないパーマネントのタイプ、特殊タイプ、サブタイプは、カードに書かれているものと同じである。トークンのタイプ、特殊タイプ、サブタイプは、それを作り出した呪文や能力によって定義される。
214.3. カードやトークンは場に出たときにパーマネントとなり、場を離れたときにパーマネントでなくなる。パーマネントはアンタップ状態で場に出る。「パーマネント」という語は、場に出ているカードやトークンを指す。「カード」という語は、パーマネントとして場に出ているカードのことは指さず、例えば「手札にあるクリーチャー・カード」のように、場やスタック以外の領域にあるものだけを指す。rule 217〔領域〕参照。
214.4. パーマネントにはコントローラーが存在し、タップしているかアンタップしているかである。通常、パーマネントのコントローラーはそれを場に出したプレイヤーである。
215.1. 「レジェンド/Legend」「伝説の/Legendary」という語が、オブジェクトのサブタイプや特殊タイプに含まれる場合がある。サブタイプがレジェンドであるか、または特殊タイプが「伝説の」であるパーマネントは、そのタイプのルール以外に、レジェンド・ルール(rule 420〔状況起因効果〕参照)に従う。
215.2. 「レジェンド」はクリーチャー・タイプである。「伝説の」はそうではない。クリーチャー以外で伝説性を持つパーマネントがクリーチャーになった場合、レジェンドではないが、伝説性を持つ。「レジェンド」がクリーチャーでなくなったら、クリーチャー・タイプを失い、伝説性も失う。
216.1. 効果によって、トークン・クリーチャーを場に出すものがある。トークンのオーナーはそれを場に出した呪文や能力のコントローラーであり、コントローラーはトークンを場に出したプレイヤーである。呪文や能力によって、生成されるトークンの特性のいくつかは定められる。トークンを生成した能力によって定められていない特性は存在しない。トークンを作る呪文や能力が、そのトークンの名前とクリーチャー・タイプを定める。トークンのクリーチャー・タイプは、その名前と同じである。例えば、ゴブリン・トークンの名前はゴブリンであり、クリーチャー・タイプはゴブリンである。トークンの名前が二語以上の単語であった場合、そのそれぞれの単語がクリーチャー・タイプとなる。例えば、ゴブリン・斥候・クリーチャー・トークンはゴブリン・斥候という名前であり、クリーチャー・タイプはゴブリンと斥候の二つとなる。トークンが場に出た後では、名前が変わってもクリーチャー・タイプは変わらない。その逆も同じである。
216.2. トークンは、パーマネント一般、あるいはそのトークンのタイプやサブタイプに影響を及ぼすものの影響を受ける。トークンは(それが他のゲームやアングルードのトークン・カードであっても)カードとしては扱われない。
216.3. 場以外の領域に存在するトークンは、存在しなくなる。これは状況起因効果である(トークンが消滅する前に、領域を変更することによる誘発型能力は発生する)。一度トークンが場を離れたら、それは二度と戻ってくることはない。
217.1. 領域は、オブジェクトがゲーム中に存在しうる場所である。ライブラリー、手札、墓地、場、スタック、ゲーム外と呼ばれる、6つの基本的な領域がある。この他に、古いカードではアンティとフェイズド・アウト領域を用いるものもある。ライブラリー、手札、墓地はプレイヤーごとに存在し、他の領域は共用される。
217.1a オブジェクトが、オーナー以外のライブラリー、墓地、あるいは手札に行く場合、その代わりに オーナーの該当する領域に行く。インスタントやソーサリーのカードが場に出る場合、その代わりに、そのカードは元あった領域に残る。
217.1b ライブラリー、墓地、スタックにあるオブジェクトの順番は、効果またはルールによらない限り、並べ替えることはできない。他の領域にあるオブジェクトは、そのオーナーが望む通りに並べ替えることができるが、誰がコントローラーか、タップしているかどうか、何にエンチャントしているかは両方のプレイヤーに明白でなければならない。
217.1c ある領域から他の領域に移動したオブジェクトは、新しいオブジェクトとして扱われる。以前の領域に関連した効果は失われる。このルールには2つの例外がある。スタックに積まれているアーティファクト 呪文、エンチャント 呪文、クリーチャー 呪文の特性を変更する効果は、その呪文によって生成されるパーマネントにも適用され続ける。また、オブジェクトがある領域から他の領域に移動することによって誘発する能力(例えば、「《怨恨/Rancor》が場から墓地に置かれたとき」など)は、新しい領域に存在するそのオブジェクトを見つけることができる。
217.1d オブジェクトがある領域から他の領域に移動する時、まずどのイベントがそのオブジェクトを動かすのかを決定し、その後で、そのイベントに対する置換効果を適用する。効果やルールの複数の指示が矛盾している場合、そのオブジェクトのコントローラー(コントローラーが存在しない場合、オーナー)が、その効果がどう働くかを決める。最後に、イベントが、オブジェクトを動かす。
217.1e ゲーム外領域にあるオブジェクトおよびゲームの領域に存在しないオブジェクトは外部にあるという。それ以外のオブジェクトは内部にある。外部は領域としては扱わない。
217.2a ゲームが始まるとき、各プレイヤーのデッキはそのライブラリーとなる。
217.2b それぞれのライブラリーは、一つの、裏向きの束でなければならない。プレイヤーはライブラリーを覗いたり、その順序を変化させてはならない。
217.2c プレイヤーはいつでも、それぞれのプレイヤーのライブラリーの残り枚数を数えることができる。
217.2d 同時に複数枚のカードを同じライブラリーの上または下に置く効果に関して、それらのカードのオーナーがその置く順序を決めることができる。そのライブラリーのオーナーは、どのような順番でライブラリーに置かれたのかを公開する必要はない。
217.2e プレイヤーに、ライブラリーの一番上のカードを公開してプレイするように指示するカードがある。呪文や能力の宣言中に一番上のカードが変化した場合には、その宣言が全て終わるまで、新しいカードは公開されない。
217.3a 手札は、プレイヤーが引き、まだプレイしていないカードを持っておく場所である。ゲームの開始時に、それぞれのプレイヤーは7枚の手札を引く(rule 101〔ゲームの開始〕参照)。
217.3b それぞれのプレイヤーに手札の最大枚数が決まっており、通常は7枚である。プレイヤーはその手札に何枚でもカードを持つことができるが、クリンナップ・ステップの行動として最大枚数を越える手札を捨てなければならない。
217.3c プレイヤーはその手札を便利なように並べ、そして好きなだけ見ることができる。他のプレイヤーの手札を見ることはできないが、それぞれのプレイヤーの手札の枚数を数えることはいつでもできる。
217.4a 捨て札を束にして置いたものを墓地と言う。打ち消された、捨てられた、破壊された、または生け贄に捧げられたオブジェクト、ならびに解決が終わったインスタントやソーサリーはオーナーの墓地の一番上に置かれる。各プレイヤーの墓地は、最初は空である。
217.4b それぞれの墓地は、一つの、表向きの束でなければならない。プレイヤーは、それぞれの墓地のカードをいつでも見ることができるが、その順序を変えることはできない。
217.4c 何らかの効果やルールによって2枚以上のカードが同時に墓地に置かれる場合、それらのカードのオーナーがその順序を決める。
217.5a プレイヤー間のやりとりの主な舞台になるのは場である。場は、最初は空である。プレイヤーがコントロールする(他のプレイヤーのパーマネント上の個別エンチャント以外の)パーマネントは、そのプレイヤーの目の前の場に置かれる。
217.5b カードに、プレイヤーや他の領域について明記されていない限り、呪文や能力は場にのみ影響を与え、また、場にあるものだけを考慮する。パーマネントは場にのみ存在する。
217.5c オブジェクトが場に入ったとき、それは新しいパーマネントとして扱い、その同じオブジェクトによって現わされていたパーマネントとは無関係となる。これは他の領域についても同じである(rule 217.1c 参照)。
217.5d 場以外の領域にあるオブジェクトは場にあるとは言わず、タップしているともアンタップしているとも扱わない。場かスタックにあるオブジェクトにしかコントローラーは存在しない。
217.6a 呪文がプレイされたら、物理的にスタックに積まれる。能力がプレイされたら、カードはないけれども、その能力がスタックに積まれる。(rule 409〔呪文や起動型能力のプレイ〕参照)
217.6b スタックは、それに加えられた呪文や能力の順序を記録している。オブジェクトがスタックに積まれたとき、それは既に積まれている全てのオブジェクトの上に積まれる(rule 408〔呪文や能力のタイミング〕参照)。
217.6c 呪文は、そのカードが持つ特性全てを持つ。スタックにある起動型能力は、その能力のテキストだけを持ち、他の特性は持たない。呪文や起動型能力のコントローラーは、その呪文や能力をプレイしたプレイヤーである。誘発型能力のコントローラーは、その能力が誘発したときのその発生源のコントローラーである。
217.6d 両方のプレイヤーがパスしたとき、スタックの一番上の(最新の)呪文や能力が解決される。両方のプレイヤーがパスしたときにスタックが空ならば、現在のステップやフェイズが終わり、次が始まる。
217.7a 何らかの効果によって、オブジェクトがゲーム外に置かれることがある。効果の中には、それを元の領域に戻す方法が用意されているものがあり、「脇に置く/set aside」という語を使っている。こうして脇に置かれたカードは、一時的にせよ、ゲーム外に置かれている。カードでないオブジェクトが元の領域に戻されることはない。
217.7b ゲーム外領域にあるカードは表向きであり、全てのプレイヤーに公開されている。「裏向きでゲーム外に置かれている」カードは、説明によって許可されない限りは公開されない。
217.8a フェイズ・アウトしたパーマネントは、フェイズ・アウト領域に置かれる(rule 502.15〔フェイジング〕参照)
217.8b フェイズ・アウト領域にある表向きのオブジェクトは、いつでも両方のプレイヤーが確認できる。裏向きのオブジェクトは、裏向きのクリーチャーに関するルールに従う(rule 502.26〔変異〕、rule 504〔裏向きの呪文とパーマネント〕参照)。
217.8c フェイズ・アウトしたオブジェクトは場には存在しないので、タップ状態でもアンタップ状態でもなく、誰にもコントロールされていない。しかしながら、この領域にあるオブジェクトはその以前の状態を「覚えて」おり、場を離れたときと同じ状態で場に戻る(rule 502.15〔フェイジング〕参照)。これは rule 217.1c の例外である。
217.8d フェイズ・アウト領域に行ったトークンは消滅する。これは状況起因効果である(rule 420〔状況起因効果〕参照)。それらのトークンについていた個別エンチャントは、ゲームの残りの期間、フェイズ・アウトしたままになる。
217.9a マジックの昔のルールには、「勝ち取ったものを返さない」でプレイする方法としてのアンティ・ルールが存在した。アンティを賭けてプレイすることは、現在では、このゲームにおける選択ルールであり、法律その他のルールで禁止されていない地区でのみ許される。アンティを賭けてプレイすることは、DCI汎用トーナメント・ルール(http://www.wizards.com/default.asp?x=dci/utr/intro )の下では厳しく禁止されている。
217.9b アンティを賭けてプレイする場合、ゲームの開始時に、各プレイヤーはそれぞれのデッキからカードを無作為に1枚選び、それをアンティ領域に置く。アンティ領域にあるカードは、いつでも両方のプレイヤーが確認できる。ゲームの終了時に、勝利者は両プレイヤーのアンティ領域にあるカード全ての所有権を得る。
217.9c 「アンティを賭けてプレイしていない場合、プレイ前に[このカード]をデッキから取り除く/Remove [このカード] from your deck before playing if you're not playing for ante.」と書かれているカードがある。この類のカードは、プレイヤーのアンティ領域にあるカードを追加したり、取り除いたり、あるいはカードのオーナーを変更したりするものである。
217.9d オブジェクトをアンティにするとは、そのオブジェクトを現在ある領域からアンティ領域に移すことである。オブジェクトのオーナーだけがそのオブジェクトをアンティにすることができる。
300.1. ターンは順に開始フェイズ、戦闘前メイン・フェイズ、戦闘フェイズ、戦闘後メイン・フェイズ、終了フェイズの5つのフェイズからなる。それぞれのフェイズは、なにも起こることがなくてもターンごとに存在する。開始、戦闘、終了の各フェイズは順番に処理されるステップに細分化される。
300.2. フェイズやステップは、スタックが空で、かつ両方のプレイヤーが続けてパスしたときに終了する。ターン間、フェイズ間、ステップ間には何も起こらない。スタックが空になったということと、フェイズやステップが終わるということは別である。スタックが空になった後、両方のプレイヤーがパスしなければならない。言い換えると、それぞれのプレイヤーには、そのフェイズやステップが終了する前に、新しい物をスタックに積む機会が与えられるということである。
300.3. (ステップではなく)フェイズが終わったとき、プレイヤーのマナ・プールに残っている未使用のマナは失われる。こうして失われた1マナごとに、そのプレイヤーは1ライフを失う。これをマナ・バーンという。マナ・バーンはライフの喪失であってダメージではないので、ダメージに影響を及ぼす効果によって軽減したり他のものに置き換えることはできない。このゲームの行動はスタックを使用しない。(rule 406〔マナ能力〕参照)
300.4. フェイズやステップが終わったとき、そのフェイズやステップの「終わりまで/until end of 〜」の効果は消滅する。また、あるフェイズやステップ「まで/until 〜」の効果はそのフェイズやステップの開始時に消滅する。「戦闘終了時まで」続く効果は、戦闘フェイズの終了時に消滅するのであり、戦闘終了ステップ開始時ではない。「ターン終了時まで」続く効果は、特別なルールが適用される(rule 314.2 参照)。
300.5. フェイズやステップが始まるとき、そのフェイズまたはステップの「開始時に/at the beginning of 〜」発生する誘発型能力がスタックに加えられる。
300.6. 効果によって、プレイヤーは追加のターンを得ることがあり得る。その場合、得たターンを現在のターンの直後に追加する。1ターンの間に、1人のプレイヤーが複数の追加ターンを得たり、複数のプレイヤーが追加のターンを得たりする場合、その追加ターンは1つずつ追加される。そして、一番最後に作られたターンが最初に処理される。
300.7. 効果によって、1ターン中にフェイズが追加されることがあり得る。今現在のフェイズのすぐ後にそのフェイズが加えられる。複数の追加フェイズが同じフェイズの後に生成される場合は、一番最後に作られたフェイズが最初に処理される。
300.8. 効果によって、1フェイズ中にステップが追加されることがあり得る。今現在のステップのすぐ後に(あるいは現在のステップの前に)そのステップが加えられる。複数の追加ステップが同じステップの後に生成される場合は、一番最後に作られたステップが最初に処理される。
300.9. 効果によって、ステップ、フェイズ、ターンが飛ばされることがあり得る。ステップ、フェイズ、ターンを飛ばすということは、それが存在しないかのようにゲームを進めるということである。rule 419.6e とrule 419.6f 参照。
301.1. 開始フェイズは順にアンタップ・ステップ、アップキープ・ステップ、ドロー・ステップの3つのステップからなる。
302.1. まず、アクティブ・プレイヤーがコントロールしているフェイジングを持つすべてのパーマネントはフェイズ・アウトし、それと同時に、フェイズ・アウトした時点でアクティブ・プレイヤーがコントロールしていたフェイズ・アウト状態のすべてのオブジェクトがフェイズ・インする(このゲームの行動はスタックを使用しない)。(rule 217.8〔フェイズ・アウト〕, rule 502.15〔フェイジング〕参照)
302.2 次に、アクティブ・プレイヤーは、自分がコントロールするパーマネントのうちでどれをアンタップするかを決定し、それらを同時にアンタップする(このゲームの行動はスタックを使用しない)。通常、プレイヤーのパーマネントはすべてアンタップするが、効果によって、プレイヤーがコントロールするパーマネントがアンタップすることが妨げられることもある。
302.3. アンタップ・ステップの間には、プレイヤーが優先権を得ることはない。したがって、呪文や能力はプレイされないし、解決されもしない。このステップ中に誘発した能力は、アップキープ・ステップ中にプレイヤーが優先権を得るまでそのままである。(rule 303〔アップキープ・ステップ〕参照)
303.1 アップキープ・ステップの開始に際し、そのアップキープ・ステップの開始時に誘発する能力と、そのターンのアンタップ・ステップに誘発していた能力を全てスタックに積む(rule 410〔誘発型能力の処理〕参照)。その後で、プレイヤーが呪文や能力をプレイできるようになる。
304.1 アクティブ・プレイヤーはカードを1枚引く。この特殊な行動はスタックを使用しない。(これは以前のルールの逆転である)次に、そのドロー・ステップの開始時に誘発する能力をスタックに積む。その後で、アクティブ・プレイヤーが優先権を得て、呪文や能力をプレイできるようになる。
305.1. 各ターンには、2つのメイン・フェイズが存在する。戦闘前メイン・フェイズ(または第1メイン・フェイズ)と戦闘後メイン・フェイズ(または第2メイン・フェイズ)は、戦闘フェイズ(rule 306〔戦闘フェイズ〕参照)によって区切られており、戦闘前、戦闘後のメイン・フェイズはそれぞれだけでも「メイン・フェイズ」と呼ばれることがあるし、それらをまとめてそう呼ぶこともある。
305.2. メイン・フェイズにはステップは存在しないため、スタックが空のときに両方のプレイヤーがパスしたときにメイン・フェイズが終了する。
305.3. メイン・フェイズの開始に際し、そのメイン・フェイズの開始時に誘発する能力をスタックに積む。(rule 410〔誘発型能力の処理〕参照)その後で、アクティブ・プレイヤーが優先権を得て、プレイヤーが呪文や能力をプレイできるようになる。(通常、このフェイズにのみ、プレイヤーはアーティファクト 呪文、クリーチャー 呪文、エンチャント 呪文、ソーサリー 呪文をプレイできる。アクティブ・プレイヤーだけがこれらの呪文をプレイできる。)
305.4. アクティブ・プレイヤーは、どちらかのメイン・フェイズの間に、自分が優先権を持ち、スタックが空であり、そしてまだこのターンにこの特殊な行動を利用していないときに限り、土地 カードを1枚だけ手札からプレイすることができる(rule 212.6〔土地〕参照)。この行動はスタックを使用せず、いかなる種類の呪文や能力でもない。この行動は打ち消されず、インスタントや起動型能力で対応することはできない。
306.1. 戦闘フェイズは5つのステップからなり、それらは戦闘開始ステップ、攻撃クリーチャー指定ステップ、ブロック・クリーチャー指定ステップ、戦闘ダメージ・ステップ、戦闘終了ステップの順番で進んでいく。ブロック・クリーチャー指定ステップと戦闘ダメージ・ステップは、クリーチャーが1体も攻撃クリーチャーとして指定されなかった場合には飛ばされる(rule 308.4 参照)。攻撃クリーチャーかブロック・クリーチャーが先制攻撃(rule 502.2 参照)か二段攻撃(rule 502.28 参照)を持つ場合、戦闘ダメージ・ステップは2つになる。
306.2. クリーチャーは、(破壊されたり、ゲームから取り除かれたりして)場を離れたり、再生したり(rule 419.6b 参照)、コントローラーが変わったり、クリーチャーでなくなったり、効果によって戦闘から取り除かれたら、戦闘から取り除かれる。戦闘から取り除くということは、クリーチャーが攻撃クリーチャー、ブロック・クリーチャー、ブロックされたクリーチャー、ブロックされていないクリーチャーのいずれでもなくなるということである。
306.2a いったんクリーチャーが攻撃クリーチャーかブロック・クリーチャーとして宣言されたなら、そのクリーチャーが攻撃やブロックに参加することを禁止する呪文や能力は、そのクリーチャーを戦闘から取り除かない。
306.2b すでに攻撃クリーチャーやブロック・クリーチャーとして指定されたクリーチャーをタップあるいはアンタップしても、戦闘から取り除くことはできず、戦闘ダメージは通常通り与えられる。
306.3. 戦闘フェイズの間、アクティブ・プレイヤーを「攻撃している」と言い、攻撃側プレイヤーと呼ぶ。非アクティブ・プレイヤーは「攻撃されている」と言い、防御側プレイヤーと呼ぶ。
306.4. ある攻撃クリーチャー以外に攻撃クリーチャーがいない場合、それを「単独で攻撃/attacking alone」していると言う。あるブロック・クリーチャー以外にブロック・クリーチャーがいない場合、それを「単独でブロック/blocking alone」していると言う。
307.1. 戦闘開始ステップの開始に際し、戦闘開始時に誘発するあらゆる能力がスタックに積まれる。(rule 410〔誘発型能力の処理〕参照))その後でアクティブ・プレイヤーが優先権を得て、プレイヤーが呪文や能力をプレイできるようになる。
308.1. 攻撃クリーチャー指定ステップの開始に際し、アクティブ・プレイヤーは攻撃クリーチャーを指定する(このゲームの行動はスタックを使用しない)。次に、攻撃クリーチャーの指定に誘発するあらゆる能力がスタックに積まれる。(rule 410〔誘発型能力の処理〕参照))その後でアクティブ・プレイヤーが優先権を得て、プレイヤーが呪文や能力をプレイできるようになる。
308.2. 攻撃クリーチャーを指定するときに、アクティブ・プレイヤーは以下のステップに順番に従う。攻撃クリーチャーの指定に関するあらゆる点で、アクティブ・プレイヤーが後述のステップのいずれかを行えない場合は、その指定は不正となる。ゲームは攻撃クリーチャー指定の直前まで戻る(rule 422 〔不正な行動の処理〕とrule 500〔適正な攻撃とブロック〕参照)。
308.2a アクティブ・プレイヤーは攻撃しないことを選ぶか、自分がコントロールするクリーチャーを1体以上選ぶ。その後、選んだクリーチャーが攻撃に参加できるかどうかを決定する。クリーチャーだけが攻撃に参加することができ、次に挙げるクリーチャーは攻撃できない。(攻撃に参加してもタップしないものであっても)タップ状態のクリーチャー、クリーチャー・タイプに「壁/Wall」を持つクリーチャー、またはアクティブ・プレイヤーがそのターンの開始時から続けてコントロールしていないクリーチャー(速攻を持つものは除く)、以上である。選んだクリーチャーが攻撃に参加できるかできないかについて、他の効果も影響する。(rule 500〔適正な攻撃とブロック〕参照)。
308.2b 選んだクリーチャーの中にバンドや他の〜とのバンドを持つクリーチャーがいる場合は、アクティブ・プレイヤーは(そうしたいのなら)どのクリーチャーがどれとバンドを組むのかを宣言する。(rule 502.10 〔バンド〕参照。)
308.2c アクティブ・プレイヤーは選んだクリーチャーをタップする。攻撃クリーチャーとして指定したときにクリーチャーをタップすることはコストではない。単に、攻撃に参加することによってクリーチャーがタップされるだけである。
308.2d 攻撃に参加するためにコストの支払いが必要なクリーチャーがいるならば、アクティブ・プレイヤーは攻撃に参加するための総コストを決める。コストには、マナの支払い、パーマネントのタップ、パーマネントの生け贄、カードを捨てる、等々が含まれる。総コストが決定したら、それは「固定」される。この後に効果が総コストを変更しようとしても、それは無視される。
308.2e コストにマナの支払いが必要な場合、アクティブ・プレイヤーはマナ能力をプレイする機会を得る(rule 411〔マナ能力のプレイ〕参照)。
308.2f 自分のマナ・プールに十分な量のマナを持ってから、そのプレイヤーは好きな順番ですべてのコストを支払う。一部しか支払わないことは認められない。
308.2g コストが全て支払われ、なおかつそのクリーチャーがアクティブ・プレイヤーによってコントロールされている場合、選ばれたクリーチャーは攻撃クリーチャーになる。戦闘から取り除かれるか、または戦闘フェイズが終わるまで、それは攻撃クリーチャーであり続ける。rule 306.2 参照。
308.3. クリーチャーが攻撃することに対して誘発する能力は、クリーチャーが攻撃に参加した時点でのみ誘発する。クリーチャーが攻撃に参加した後で、そのクリーチャーの特性がその能力の誘発条件に合致するように変化したとしても、能力は誘発しない。
例:「緑のクリーチャーが攻撃に参加するたび、戦闘終了時に、そのクリーチャーを破壊する」という能力を持つパーマネントがあった場合、青のクリーチャーが攻撃に参加し、その後にそれが緑に変わっても、能力は誘発しない。
308.4. 攻撃クリーチャーが指定されなかった場合、攻撃クリーチャー指定ステップは終了し、ブロック・クリーチャー指定ステップと戦闘ダメージ・ステップは飛ばされる。
309.1. ブロック・クリーチャー指定ステップの開始に際し、防御側プレイヤーはブロック・クリーチャーを指定する(このゲームの行動はスタックを使用しない)。次に、ブロック・クリーチャーの指定に誘発するあらゆる能力がスタックに積まれる。(rule 410〔誘発型能力の処理〕参照))その後でアクティブ・プレイヤーが優先権を得て、プレイヤーが呪文や能力をプレイできるようになる。
309.2. ブロック・クリーチャーを指定するときに、防御側プレイヤーは以下のステップに順番に従う。ブロック・クリーチャーの指定に関するあらゆる点で、防御側プレイヤーが後述のステップのいずれかを行えない場合は、その指定は不正となる。ゲームは攻撃クリーチャー指定の直前まで巻き戻る(rule 422 〔不正な行動の処理〕とrule 500〔適正な攻撃とブロック〕参照)。
309.2a 防御側プレイヤーは自分がコントロールするクリーチャーをゼロ体以上選び、それぞれについてブロックする攻撃クリーチャーを1体選ぶ。その後、ブロックが適正かどうかを決定する。アンタップ状態のクリーチャーだけがブロックに参加でき、ブロックに参加することではクリーチャーはタップしない。選んだクリーチャーがブロックに参加できるかできないかについて、他の効果も影響する。(rule 500〔適正な攻撃とブロック〕参照)。
309.2b ブロックに参加するためにコストの支払いが必要なクリーチャーがいるならば、防御側プレイヤーはブロックに参加するための総コストを決める。コストには、マナの支払い、パーマネントのタップ、パーマネントの生け贄、カードを捨てる、等々が含まれる。総コストが決定したら、それは「固定」される。この後に効果が総コストを変更しようとしても、それは無視される。
309.2c コストにマナの支払いが必要な場合、防御側プレイヤーはマナ能力をプレイする機会を得る(rule 411〔マナ能力のプレイ〕参照)。
309.2d 自分のマナ・プールに十分な量のマナを持ってから、そのプレイヤーは好きな順番ですべてのコストを支払う。一部しか支払わないことは認められない。
309.2e そのクリーチャーが防御側プレイヤーによってコントロールされている場合、選ばれたそれぞれのクリーチャーはブロック・クリーチャーとなる。各クリーチャーは、選んだ攻撃クリーチャーをブロックした状態になる。戦闘から取り除かれるか、または戦闘フェイズが終わるまで、それはブロック・クリーチャーであり続ける。rule 306.2 参照。
309.2f ブロック・クリーチャーとして指定されたクリーチャーが1体以上存在する攻撃クリーチャーは、「ブロックされたクリーチャー」になる。ブロック・クリーチャーが存在しないクリーチャーは「ブロックされていないクリーチャー」になる。戦闘から取り除かれるか、または戦闘フェイズが終わるまで、ブロックされたクリーチャーの状態は変わらない。(効果でクリーチャーの状態が変わることはあり得る。)
309.3. クリーチャーがブロックすること、あるいはクリーチャーによってブロックされたことに対して誘発する能力は、クリーチャーがブロックに参加した時点、あるいはブロックされた時点でのみ誘発する。クリーチャーがブロックに参加した、あるいはブロックされた後で、そのクリーチャーの特性がその能力の誘発条件に合致するように変化したとしても、能力は誘発しない。
例:「このクリーチャーが白のクリーチャーにブロックされるたび、戦闘終了時に、そのクリーチャーを破壊する」という能力を持つクリーチャーが、黒のクリーチャーによってブロックされ、その後にそれが白に変わっても、能力は誘発しない。
310.1. 戦闘ダメージ・ステップの開始に際し、アクティブ・プレイヤーは、それぞれの攻撃クリーチャーがその戦闘ダメージをどのように割り振るかを宣言し、その後で防御側プレイヤーは、それぞれのブロック・クリーチャーがその戦闘ダメージをどのように割り振るかを宣言する。戦闘ダメージの割り振りは、すべてが単一のオブジェクトとしてスタックに積まれる。その後ダメージが割り振られることに誘発するあらゆる能力がスタックに積まれる。(rule 410〔誘発型能力の処理〕参照)その後でアクティブ・プレイヤーが優先権を得て、プレイヤーが呪文や能力をプレイできるようになる。
310.2. プレイヤーは、クリーチャーの戦闘ダメージを適正な方法で割り振る。戦闘ダメージの割り振りは以下の制限に従うこと。
310.2a 攻撃クリーチャー、ブロック・クリーチャーはそれぞれ、そのパワーに等しい戦闘ダメージを与える。
310.2b ブロックされていない攻撃クリーチャーは、防御側プレイヤーに全ての戦闘ダメージを与える。
310.2c ブロックされているクリーチャーは、そのコントローラーの選択に従い、それをブロックしているクリーチャーにダメージを割り振る。(例えば、破壊されていたり戦闘から取り除かれていたりして)現時点でブロックしているクリーチャーがいなくなっていた場合には、戦闘ダメージを割り振ることはない。
310.2d ブロック・クリーチャーは、そのコントローラーの選択に従い、それにブロックされている攻撃クリーチャーに戦闘ダメージを割り振る。(例えば、破壊されていたり戦闘から取り除かれていたりして)現時点でブロックされているクリーチャーがいなくなっていた場合には、戦闘ダメージを割り振ることはない。
310.2e クリーチャーが通常とは違う方法で戦闘ダメージを与える効果は、戦闘ダメージの割り振りに影響する。
310.3. 戦闘ダメージの割り振りは単一のオブジェクトとしてスタックに積まれるが、呪文や能力ではないので、打ち消されることはない。
310.4. 戦闘ダメージは、ひとつのオブジェクトであるかのように扱われる。解決時に、それは割り振り通りにすべて一度に与えられる。戦闘ダメージの解決が終わった後、アクティブ・プレイヤーは優先権を得る。
310.4a 戦闘ダメージは、ダメージを与えるクリーチャーが既に場を離れていたり、あるいはそのパワーが変化していたり、ダメージを受けるべきクリーチャーが戦闘から取り除かれていたりしても、その割り振り通りに与えられる。
310.4b ダメージの発生源は、その時に場に存在していればそのクリーチャーであり、場に存在していなければその場を離れる直前の状態である。
310.4c ダメージを受けるべきクリーチャーが既に場にいないか、あるいはクリーチャーでなくなっている場合、それに割り振られていたダメージは与えられない。
310.5. 戦闘ダメージ・ステップの開始時に、少なくとも1体の攻撃クリーチャーかブロック・クリーチャーが先制攻撃(rule 502.2 参照)か二段攻撃(rule 502.28 参照)を持っている場合、先制攻撃か二段攻撃を持たないクリーチャーは戦闘ダメージを割り振らない。戦闘終了ステップに進む代わりに、戦闘フェイズは第2戦闘ダメージ・ステップを得て、残りのクリーチャーからのダメージを処理する。第2戦闘ダメージ・ステップで、生き残った攻撃クリーチャーとブロック・クリーチャーのうち、第1戦闘ダメージ・ステップでダメージを割り振っていないものと二段攻撃を持つクリーチャーが、その戦闘ダメージを割り振る。
311.1. 全ての「戦闘終了時に」起こる誘発型能力が誘発し、スタックに積まれる。(rule 410〔誘発型能力の処理〕参照)その後でアクティブ・プレイヤーが優先権を得て、プレイヤーが呪文や能力をプレイできるようになる。
311.2. 戦闘終了ステップが終わると同時に、すべてのクリーチャーは戦闘から取り除かれる。戦闘終了ステップが終わった後、戦闘フェイズが終了し戦闘後メイン・フェイズが始まる。
312.1. 終了フェイズは、ターン終了ステップ、クリンナップ・ステップの二つのステップからなる。
313.1. ターン終了ステップの開始に際し、全ての「ターン終了時に」起こる誘発型能力がスタックに積まれる。(rule 410〔誘発型能力の処理〕参照)その後でアクティブ・プレイヤーが優先権を得て、プレイヤーが呪文や能力をプレイできるようになる。
313.2. ターン終了ステップの開始時に「ターン終了時に」起こる誘発型能力がスタックに積まれた後で、新しく「ターン終了時に」起こる誘発型能力が生成された場合、あるいは「ターン終了時に」起こる誘発型能力を持つカードが場に出た場合、それらの能力は次のターンの終了フェイズまでスタックに積まれない。言い替えれば、このステップは「さかのぼらない」ので新しい「ターン終了時」誘発型能力はスタックに積まれない。これは、「ターン終了時に」と書かれた誘発型能力だけに適用される。継続的効果や「ターン終了時まで」や「このターン」とある遅延効果には当てはまらない。(rule 314〔クリンナップ・ステップ〕参照。)
314.1. アクティブ・プレイヤーの手札がその上限の枚数(通常は7枚)を越えていたら、その数になるまで手札を捨てる(このゲームの行動はスタックを使用しない)。
314.2 全てのパーマネントに与えられているダメージが取り除かれるのと同時に「ターン終了時まで」の効果、また「このターンの間」の効果が終わる(このゲームの行動はスタックを使用しない)。
314.3 状況起因効果を起こす条件が揃っているか、あるいは何らかの誘発型能力がスタックに積まれるのを待っている場合にのみ、アクティブ・プレイヤーが優先権を得て、プレイヤーが呪文や能力をプレイできるようになる。スタックが空になり、両方のプレイヤーがパスした場合、もう一度新しいクリンナップ・ステップが始まる。何も起きなければ、優先権は発生せず、ステップは終了する。
400.1. 能力とは、オブジェクトがすること、またはできることである。能力は効果を発生させる。オブジェクトの能力はそのオブジェクトの文章欄によって、またはそのオブジェクトを生成した効果によって定義される。何らかの効果によって、オブジェクトに能力が付与されることもある。注釈文、フレイバー・テキストは能力ではない。注釈文とフレイバー・テキストは常にイタリック体(斜体)で書かれている。
400.2. 呪文と起動型能力と誘発型能力は、それが解決したときに効果が発生する。常在型能力は継続的効果を発生させる。テキストそのものは効果ではない。
401.1. 呪文とは、スタックに積まれているカードである。プレイの最初の段階で、そのカードは呪文となり、プレイされる領域(通常はプレイヤーの手札)からスタックに積まれる(rule 217.6〔スタック〕参照)。カードによって表わされていなくても、呪文のコピーもまた呪文である。
401.2. それは解決した時や(rule 413.2 参照)打ち消された時(rule 414〔呪文・能力の打ち消し〕参照)、なんらかの方法でスタックを離れた時に呪文でなくなる。
401.3. インスタント 呪文やソーサリー 呪文は、他のオブジェクトと同様に能力を持つ。それらの能力は、特に書かれていない限り、その呪文の解決時に実行される。
例:解決時に実行されない能力としては、起動型能力や誘発型能力、それがどこにある場合にプレイできるかを定義する能力(rule 401.4 参照)、それをプレイできる領域にある間に適用される能力(rule 401.5 参照)、その呪文がスタックにある間に適用される能力(rule 401.6 参照)などがある。
401.4. オブジェクトは、手札以外の領域からプレイすることを認める常在型能力を持つことがある。それらの能力は、そのオブジェクトが該当する領域にある間、有効である。
401.5. オブジェクトは、それをプレイできる領域にある間に適用される能力を持つことがある。この種の能力には、オブジェクトをプレイすることを制限したり、あるいは通常認められない状況または方法でオブジェクトをプレイすることを認めるものがある。
401.6. 呪文は、その呪文がスタックにある間に適用される能力を持つことがある。この種の能力には、コストの追加や減少、代替コストなどが含まれる。(rule 409〔呪文・能力のプレイ〕参照)
401.7. インスタント 呪文やソーサリー 呪文の解決の最後に、そのカードはオーナーの墓地に置かれる。アーティファクト 呪文、クリーチャー 呪文、及びエンチャント 呪文の解決の最後に、そのカードはパーマネントとなり、呪文のコントローラーのコントロールの下で場 領域に置かれる。呪文が打ち消された場合、打ち消す 呪文や能力の解決の一部として、そのカードはオーナーの墓地に置かれる(rule 413〔呪文・起動型能力の解決〕参照)。
402.1. 能力とは、注釈文でもフレイバー・テキストでもない、オブジェクトの文章である(rule 400.1 参照)。その指示に従った結果、及び呪文のテキストに従った結果のことを効果という(rule 416〔効果〕参照)。能力は、それの書かれているオブジェクト、また他のオブジェクトやプレイヤーにも影響を及ぼすことができる。能力によって、それが書かれているオブジェクト、あるいはそれ以外のオブジェクトに能力を与えられることがある。その場合、「持つ/has,have」「得る/gains,gain」という言葉が使われる。
402.2. 能力は大別して起動型能力、誘発型能力、常在型能力の3つに分類できる。起動型能力、誘発型能力の中には、マナ能力も含まれる。能力は単発的効果や継続的効果を発生させる。置換効果と軽減効果は、効果の一種である。
402.3. 能力には有益なものも不利益なものもある。例えば、「このクリーチャーはブロックに参加できない」というのは能力である。
402.4. カードをプレイするための追加コストや代替コストは、カードの能力である。
402.5. 能力は呪文ではなく、そのため呪文だけを打ち消すものによっては打ち消すことができない。能力は、ルールによって打ち消されるのと同じように、特殊な打ち消し 能力の効果によっても打ち消される(例えば、対象をとる能力は、その対象がすべて不正になった場合に打ち消される)。
402.6. いったん起動、または誘発されたら、能力はその発生源(能力が記されているカード)とは独立してスタック上に存在する。以降、その発生源を破壊したり除去しても、能力には影響を及ぼさない。いくつかの能力は、その能力が直接何かをするのではなく、その発生源に何かをさせることに注意すること(例えば、「クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。《放蕩魔術師/Prodigal Sorcerer》はそれに1点のダメージを与える」)。このような場合、発生源の情報を参照する起動型、誘発型能力は、その能力の解決時にその情報をチェックする。あるいは、それがもはや場にない場合、その発生源の場を離れる直前の情報を使う。
402.7. 一つのオブジェクトが色々な能力を持つことがある。一行に並べられる、あらかじめ定義された能力(rule 502〔キーワード能力〕参照)を除き、オブジェクトの文章の各段落は別個の能力を表す。一つのオブジェクトが、同じ能力を複数持つこともある。同じ能力でも、それぞれは独立に機能する。これによって、能力が一つだけの時よりもより多くの効果を生むこともあるし、そうでないこともある。詳しい情報は各能力を参照のこと。
402.8. タイプや色を定義する特性定義能力、あるいはインスタントやソーサリーの能力、追加コスト、代替コスト、プレイ制限、または、場以外の領域にある時に効果を持つと明記されているか、場以外の領域にある時にのみ効果を持つ能力を除いては、能力は、その能力を持つパーマネントが場にある間にのみ機能する。コストや効果に、そのオブジェクトをある特定の領域から動かすことをコストや効果の一部としている能力は、そのオブジェクトがその特定の領域にある時にのみ機能する。
例:コストに「このカードを手札から捨てる」ことが含まれている能力は、手札にあるときにのみプレイできる。
402.9. オブジェクトの中には、そのオブジェクトが場にない時にプレイできる起動型能力や、そのオブジェクトが場にない時に誘発する誘発型能力を持つものがある。
403.1. 起動型能力は「コスト:効果」という書式で書かれている。起動コストは、コロン(:)の前にあるもの全てである。起動コストは、それをプレイするプレイヤーによって支払われる。
403.2. オブジェクトに特に書かれていない限り、起動型能力はそのオブジェクトのコントローラー(場以外にあるときはそのオブジェクトのオーナー)だけがプレイできる。
403.3. 起動型能力の使用に制限がある(例えば、「この能力は各ターンに一回しかプレイできない」)とき、その制限はたとえコントローラーが変化しても適用され続ける。
403.4. 起動コストにタップ・シンボル({T})を含む、クリーチャーの起動型能力は、そのコントローラーがターン開始時から続けてそのクリーチャーをコントロールしていない限り、プレイできない。速攻を持つクリーチャーはこのルールを無視してもよい(rule 502.5 参照)。
403.5. 「この能力は、あなたがソーサリーをプレイできるときのみプレイできる」という起動型能力は、それをプレイするに際してソーサリーをプレイするのと同じタイミングのルールに従う、というだけであり、その能力がソーサリーであるということではない。「この能力は、あなたがインスタントをプレイできるときのみプレイできる」という起動型能力は、それをプレイするに際してインスタントをプレイするのと同じタイミングのルールに従う、というだけであり、その能力がインスタントであるということではない。
404.1. 誘発型能力は「……とき/when」「……たび/whenever」「……時/at」から始まる語句で示される。これらの語句を含む部分は誘発条件と呼ばれ、誘発 イベントを定義する。
404.2. 誘発型能力はプレイされない。その代わりに、誘発型能力はその誘発 イベントが満たされるたびに自動的に「誘発」する。能力が誘発したら、次にプレイヤーが優先権を得るときにスタックに積まれる(rule 408.1〔タイミング、優先権、スタック〕、rule 410〔誘発型能力の処理〕参照)。
404.3. 誘発型能力には「とき/たび/時、…[条件]ならば、[効果]する/When/Whenever/At . . . , if [条件], [効果].」と書かれたものがある。この能力は、誘発 イベントが発生したときに、そこに記された条件を満たしているかどうかチェックする。条件を満たしている場合にこの能力は誘発する。解決時に、この能力は再び条件をチェックする。このどちらかのときに、この条件が満たされていない場合、この能力は何もしない。このルールは「"if"節のルール」と呼ばれる。「ならば/if」という単語は、カードのテキストの他のさまざまな場所では普通の英語の意味しか持たない。このルールは、誘発条件の直後に「ならば/if」節が続いていたときにだけ適用する。
404.4. 効果によって、後で何かを行なう遅延誘発型能力が作成されることがある。遅延誘発型能力は、それらの単語が先頭ではないことが多いが、この3語のうちいずれかを含む。
404.4a 遅延誘発型能力は呪文や他の能力の解決時に生成される。実際に生成されるまで、その直前に誘発 イベントが起こっていたとしても、誘発されることはない。その類のイベントによって、条件が決して満たされることがなくなることもありうる。
例:「このクリーチャーが場を離れたとき」という一文を含む遅延誘発型能力が生成されるより前に、そのクリーチャーが場を離れることがある。この場合、その遅延誘発型能力が誘発されることはない。他にも、「このクリーチャーがアンタップされたとき」という遅延誘発型能力が生成される前に、そのクリーチャーがアンタップされていたら、その能力は、そのクリーチャーが一旦タップされてから次にアンタップされるのを待つ。
404.4b 遅延誘発型能力は、「このターンの間」のような記された期限がない限り、次に誘発 イベントが起こった時に一度だけ誘発する。
404.4c あるオブジェクトに影響する遅延誘発型能力は、そのオブジェクトの特性が変化しても影響を及ぼす。
例:「ターン終了時に、そのクリーチャーを破壊する」という能力は、それがターン終了ステップにクリーチャーでなくなっていたとしても、そのパーマネントを破壊する。
404.4d 特定のパーマネントに影響する遅延誘発型能力は、そのパーマネントが場を離れた場合(指定された時点までに戻ってきたとしても)失敗する。同様に、特定の領域にあるオブジェクトに影響する遅延誘発型能力は、そのオブジェクトがその領域を離れていた場合には失敗する。
例:「ターン終了時に、このクリーチャーをゲームから取り除く」という能力は、そのクリーチャー・カードがターン終了ステップ以前に場を離れていた場合には何もしない。
404.5. オブジェクトの中には、誘発型能力と関連した常在型能力を持つものがある。この類のオブジェクトでは、先に常在型能力、後に誘発型能力という順序で、両方の能力が一行に書かれている。まれに、誘発条件が能力の最初ではなく途中に書かれているオブジェクトもある。
例:「各ターン、最初に引いたカードを公開する。この方法で基本地形カードを公開するたび、カードを1枚引く」というのは、誘発型能力と関連した常在型能力である。
例:「エンチャントされたクリーチャーのコントローラーは、自分のターンの終了時にそれを生け贄に捧げる」という能力は誘発型能力である。
405.1. 常在型能力は、起動したり誘発したりするのではなく、常に何かをし続ける。能力はプレイされず、単にそこに「存在する/exist」。この種の能力は、rule 402.8 または rule 402.9 に該当しない限り、その能力を持つパーマネントが場にある間にのみ適用される。
405.2. オブジェクトが何らかの能力や特性値を「持つ/has」、または特定のタイプ、特殊タイプ、サブタイプ、色で「ある/is」という常在型能力が存在する。これらの能力は特性定義能力と呼ばれる。その能力を持つオブジェクト以外の特性を操作する能力は特性定義能力ではない。rule 201〔特性〕、rule 418.5a 参照。
406.1. マナ能力は、解決時にプレイヤーのマナ・プールにマナを加えることのできる起動型能力か、マナ能力による誘発型能力で追加のマナを出すものである。マナを生成するのと同時に、他の効果を発生させることもある。
406.2. マナをプレイヤーのマナ・プールに加える呪文はマナ能力ではない。これらは他の呪文と同じようにプレイされ、解決される。マナをプレイヤーのマナ・プールに加える誘発型能力は、もしそれらが起動型マナ能力以外のイベントによって誘発する場合、マナ能力ではない。それらはスタックに積まれ、ほかの誘発型能力と同じように解決する。
406.3. マナ能力は、ゲームの状態によってマナを生み出せない場合でもマナ能力として残る。
例:あるパーマネントに、「{T}:あなたがコントロールするクリーチャー1体につき、あなたのマナ・プールに{G}を加える」という能力がある場合、これは、あなたがクリーチャーをコントロールしていない時や、すでにこのパーマネントがタップ状態であるときにもマナ能力である。
406.4. マナ能力は起動型能力か誘発型能力である。マナ能力は、他の能力と同じようにプレイされ、解決されるが、スタックには積まれない。そのためこれらを打ち消したり対応したりすることはできない(rule 411〔マナ能力のプレイ〕、rule 408.2〔スタックを使わない行動〕参照)。
406.5. マナ能力をプレイしたことにより誘発する(マナ能力を除く)能力はスタックに積まれる。
407.1. 効果によって、オブジェクトの能力が追加されたり、あるいは取り除かれたりすることがある。能力を追加する効果は、そのオブジェクトが能力を「得る/gain」もしくは「持つ/have」と書かれる。能力を取り除く効果は、そのオブジェクトが能力を「失う/lose」と書かれる。複数の効果が同じ能力を追加したり除いたりしていた場合、一般に、もっとも最近のものが勝つ(rule 418.5〔継続的効果の相互作用〕参照)。
407.2. オブジェクトの特性を定めたり、あるいはそのオブジェクトの性質を決めたりする効果は、効果によって得られる能力ではない。オブジェクトが能力を「得る」もしくは「持つ」時、その能力は他の効果によって取り除かれることがありうる。一方、効果によってオブジェクトの特性が定義された場合("[パーマネント]は[特性値]である")、それは能力によって追加されたものではない(rule 405.2 参照)。
例:「エンチャントされたクリーチャーは『このクリーチャーはアーティファクトである。それはクリーチャーでもある』という能力を持つ」という効果があった場合、この効果はクリーチャーに、他の効果によって取り除くことのできる能力を与えている。一方、「エンチャントされたクリーチャーは同時にクリーチャーでもあるアーティファクトである」という効果はクリーチャーの特性を定義しているだけであり、能力を与えているわけではない。そのためクリーチャーから能力を「失わせる/lose」効果では、エンチャントされているクリーチャーがアーティファクトになることを止めることはできない。
407.3. 能力を除去する効果は、その能力が複数あってもすべて取り除く。
例:飛行を持つクリーチャーに《飛行/Flight》がエンチャントしている場合、そのクリーチャーは飛行 能力を2つ持っているが、「クリーチャー1体を対象とする。それは飛行を失う」という1つの効果で両方とも取り除かれる。
408.1a 呪文や起動型能力は適切なときにのみプレイでき、一群のルールに従う。
408.1b 呪文と起動型能力は、優先権のルールに従い、プレイヤーが(プレイしたいときに)プレイするが、その他の種類の能力や効果はゲームのルールによって自動的に発生する。いずれかのプレイヤーが優先権を得る場合、まず最初に、発生する全ての状況起因効果が1つのイベントとして解決する(rule 420〔状況起因効果〕参照)。その後、新しい状況起因効果が発生したならば、1つのイベントとして解決する。この過程を、状況起因効果が発生しなくなるまで繰り返す。その後、誘発型能力がスタックに加えられる(rule 410〔誘発型能力の処理〕参照)。これらの段階を状況起因効果も誘発型能力も発生しなくなるまで順番に繰り返す。その後、優先権を得るプレイヤーは、そのフェイズおよびステップに関するルールに従い、呪文、能力、土地のいずれかをプレイしてもよいし、その他の特別な行動を取ることも、パスすることもできる。
408.1c アクティブ・プレイヤーは、ほとんどのフェイズとステップの開始時に、ゲームによる行動とそのフェイズやステップの開始時に誘発する能力がスタックに積まれた後で優先権を得る。ただし、アンタップ・ステップとクリンナップ・ステップには優先権は発生しない。優先権を持つプレイヤーは、呪文や能力をプレイするか、特別な行動をとるか、あるいはパスすることができる。呪文や能力をプレイしたり、あるいは特別な行動を取ったりした場合、そのプレイヤーが再び優先権を得る。パスした場合には、その対戦相手が優先権を得る。双方のプレイヤーが続けてパス(この間に何か行動をした場合には続けてとは言わない)したら、スタックの一番上のオブジェクトが解決し、その後でアクティブ・プレイヤーが優先権を得る。両プレイヤーが連続してパスした時にスタックが空であれば、そのフェイズまたはステップは終了し、次のフェイズまたはステップが開始される。
408.1d プレイヤーは、優先権を持つ時にだけ呪文や起動型能力をプレイすることができる。インスタント以外の呪文は、そのプレイヤーのメイン・フェイズで、優先権を持ち、スタックが空である時にのみプレイできる。
408.1e 呪文または起動型能力がプレイされたら、それはスタックの一番上に積まれる。
408.1f 誘発型能力は、呪文や別の能力のプレイ・解決の間も含めて、いかなる時でも誘発する。但し、その能力が誘発した時点では何も起こらない。プレイヤーが優先権を得る時点で、誘発していて、まだスタックに積まれていない能力が全てスタックに積まれる。その後で、プレイヤーは優先権を得、呪文や能力をプレイすることができる(rule 410〔誘発型能力の処理〕参照)。
408.1g 戦闘ダメージは、割り振られたらスタックに積まれる。(rule 310〔戦闘ダメージ・ステップ〕参照)
408.1h 常在型能力はプレイされることはなく、それは継続的にゲームに影響を与える。優先権の考え方は適用されない。(rule 405〔常在型能力〕、rule 418〔継続的効果〕、rule 419〔置換・軽減効果〕参照)
408.1i 特別な行動はスタックを用いない。プレイヤーは、優先権を持つときに特別な行動をとることができる。特別な行動をとったプレイヤーは、その後、再び優先権を得る。特別な行動としては、土地をプレイすること(rule 408.2d)、裏向きのクリーチャーを表にすること(rule 408.2h)、継続的効果を終えることと遅延誘発型能力を軽減すること(rule 408.2i)、継続的効果を延期、あるいはなくすこと(rule 408.2j)がある。
408.2a 効果はスタックに積まれない。それらは呪文や能力が解決された結果である。効果は遅延誘発型能力を生成することもあるが、それらは誘発してからスタックに積まれる(rule 404.4 参照)。
408.2b 常在型能力は継続的に効果を発生させ、スタックに積まれない。
408.2c 状況起因効果(rule 420〔状況起因効果〕参照)は、プレイヤーが優先権を得るときに、ゲームの状況が条件を満たしているなら解決する。
408.2d 土地をプレイすることは特別な行動であり、その土地を場に出す(rule 214.9〔土地〕参照)。プレイヤーは自分のメイン・フェイズの間、優先権を持っていてスタックが空の場合に限り、土地をプレイすることができる。土地をプレイしたプレイヤーは、この特別な行動の後で再び優先権を得る。
408.2e マナ能力は即座に解決される。マナ能力が、マナと別の効果をともに生み出した場合、両方とも即座に解決される。この能力のプレイ前に優先権を持っていたプレイヤーは、この解決後に優先権を持つ(rule 406〔マナ能力〕参照)。
408.2f 「[オブジェクト名]は赤である」のような特性定義能力は、単純に読んだ通りに処理される。(rule 405.2 も参照)
408.2g ゲームの行動 ─ アンタップ・ステップのフェイズ・イン/アウト、アンタップ・ステップのアンタップ、ドロー・ステップのカードを1枚引くこと、攻撃クリーチャーやブロック・クリーチャーの指定、クリンナップ、マナ・バーン ─ はスタックに積まれない。
408.2h 裏向きのパーマネントのコントローラーは、優先権を持っているときならいつでもそれを表向きにできる。これは特別な行動である(rule 504〔裏向きの呪文とパーマネント〕参照)。そのプレイヤーは、この特別な行動の後で再び優先権を得る。
408.2i 効果の中には、(効果発生時ではなく)後でプレイヤーに、継続的効果の終了や、遅延誘発型能力の中止などをさせる類のものがある。これは特別な行動である。この行動を取ったプレイヤーは、この特別な行動の後に再び優先権を得る。
408.2j 常在型能力からの効果によって、その能力に関連する遅延誘発型能力をなくしたり延期したりする行動を取れることがある。その類の行動は特別な行動である。この行動を取ったプレイヤーは、この特別な行動の後に再び優先権を得る。
409.1. 呪文や起動型能力は、以下に示した手順に従ってプレイされる。もし、呪文や能力のプレイ中のいずれかの時点で、以降のステップを続けることができなくなった場合、その呪文は不正にプレイされたことになる。ゲームはその呪文や能力がプレイされる前の瞬間まで戻る(rule 422〔不正な行動の処理〕参照)。宣言及び支払いは、行なった後で変更することはできない。
409.1a プレイヤーは、呪文や起動型能力をプレイすることを宣言する。宣言した呪文や能力はスタックに積まれ、打ち消されるか解決するまでそこに留まる。呪文の場合、物理的にスタックに積まれる。起動型能力の場合、カードはないけれども、その能力がスタックに積まれる。呪文は、そのカードが持つ特性全てを持つ。スタックにある起動型能力は、その能力のテキストだけを持ち、他の特性は持たない。呪文や起動型能力のコントローラーは、その呪文や能力をプレイしたプレイヤーである。
409.1b 呪文や能力がモードを持つ(「一つを選ぶ −/Choose one -」「[特定のプレイヤー]は一つを選ぶ −/[特定のプレイヤー] chooses one -」という語句を使っている)場合、プレイヤーは選択したモードを宣言する。呪文や能力が({X}で示される)可変マナ・コストやその他の可変コストを持つ場合、プレイヤーはモード選択時にその変数の値を宣言する。呪文や能力が代替コスト、追加コスト、(キッカー・コストやバイバック・コストなどの)その他の特殊なコストを持つ場合、そのプレイヤーはそれらのコストのすべて、あるいは一部を支払う意図を宣言する(rule 409.1f 参照)。単一の呪文に対して、複数の代替方法でプレイしたり、あるいは複数の代替コストを支払ったりすることはできない。それ以前の選択(呪文を墓地からフラッシュバックでプレイする、変異 クリーチャーを裏向きにプレイするという選択など)は、この選択を行う時の制約となりうる。
409.1c 呪文や能力が対象を取る場合、プレイヤーはまず(可変個の対象をとる呪文や能力の場合)対象をいくつ選ぶのかを宣言し、次に対象にとるものを宣言する。呪文や能力は必要な数の適正な対象を選ばなければプレイすることはできない。同じ対象を複数回対象にとることはできない。
409.1d 呪文や能力が、代替コスト、追加コスト、(バイバック・コストやキッカー・コストなどの)特殊コストが支払われたとき、あるいはそのコントローラーが選んだ場合にのみ複数の対象をとる場合、その種のコストを支払う意図、あるいはそのモードを選ぶ意図を宣言した場合にのみその対象を選ぶ。宣言していないなら、その呪文や能力はその対象を取らないものとしてプレイされる。
409.1e 呪文や能力が、異なった方法で複数の対象に影響する場合、プレイヤーはどれにどう影響を与えるかを宣言する。呪文や能力が、プレイヤーに効果(ダメージやカウンターなど)を複数の対象に分割させるとき、プレイヤーはどう分割するかを宣言する。その各個の対象に、最低限(ダメージやカウンターなどを)1つは割り振らなければならない。
409.1f プレイヤーはその呪文や能力の総コストを決定する。通常、(呪文の場合)そのマナ・コストだけ、(能力の場合)その起動コストだけである。テキストに追加コストや代替コストが書いてあるカードや、支払うべきコストを増減させる効果も存在する。コストには、マナの支払い、パーマネントのタップ、パーマネントの生け贄、手札のカードを捨てる、などが含まれる。総コストとは、マナ・コスト(または起動コスト、代替コスト)に、すべてのコストの増減を加味したものである。総コストが決定された時点で、それは「固定」される。この後で効果が総コストを変更しようとしても、何の効果もない。
409.1g その後、そのプレイヤーはマナ能力をプレイする機会(rule 411「マナ能力のプレイ」参照)を得る。
409.1h プレイヤーのマナ・プールに充分なマナがあるようになったら、全てのコストを任意の順に支払う。一部分だけ支払うことは許されない。
例:あなたはマナ・コストが{3}{B}でクリーチャーを1体生け贄に捧げる 追加コストを持つ、《死の爆弾/Death Bomb》をプレイする。あなたは、あなたの黒と青の呪文をプレイするためのコストを{1}減らす効果を持つ、《雷景学院の使い魔/Thunderscape Familiar》を生け贄に捧げる。呪文の総コストは実際に支払いが行われる前に「固定」されているので、《雷景学院の使い魔》を生け贄に捧げたとしても《死の爆弾》のコストは{3}{B}ではなく{2}{B}となる。
409.1i rule 409.1a から rule 409.1h で解説されたステップが完了したら、その呪文や能力は「プレイされた」ことになる。呪文や能力がプレイされたこと、あるいはスタックに置かれたことによる誘発型能力は、この時点で誘発する。そのコントローラーは優先権を得る。
409.2. 呪文や能力の中には、プレイするときに通常そのコントローラーが行なうこと、つまりモードや対象の選択、呪文や能力がその対象にどう影響するかなどを、その呪文や能力のコントローラーの対戦相手に行なうように指定するものがある。こういった場合、対戦相手は呪文や能力のコントローラーが通常行なうのと同じタイミングでその選択を行なう。その呪文や能力がプレイされるときに両方のプレイヤーに同時に何らかの行動をさせる場合、呪文(や能力)のコントローラーが先に行い、その後でそのプレイヤーの対戦相手が行なう。これは rule 103.4 の例外である。
409.3. コストを変える呪文や能力をプレイしても、既にスタックにある呪文や能力には影響しない。
409.4. プレイヤーは、効果によって禁止されている呪文や起動型能力のプレイを開始することはできない。
410.1. これらはプレイされるわけではないので、誘発型能力は、呪文や能力がプレイできない時でも誘発し、また能力をプレイすることを妨げるような効果にも影響されない。
410.2. ゲーム上のイベントやゲームの状態が誘発型能力の誘発 イベントと合致するたびに、その能力は誘発する。フェイズやステップの開始時に、「開始時/at the beginning of〜」に誘発するすべての能力が誘発する。能力は、それが誘発したときにその発生源をコントロールしていたプレイヤーによってコントロールされる。能力は誘発した時には何もしないが、プレイヤーが優先権を得る際に、自動的にスタックに積まれる。能力は、その能力のテキストだけを持ち、他の特性は持たない。
410.3. プレイヤーが最後に優先権を得たときよりも後で複数の能力が誘発した場合、まずアクティブ・プレイヤーがコントロールする能力がそのプレイヤーが選んだ順序でスタックに積まれ、それから対戦相手が選んだ順序でその対戦相手がコントロールする能力がスタックに積まれる。その後、プレイヤーは再度、発生しなくなるまで状況起因効果をチェックし、解決する。その後、この過程で誘発した能力がスタックに積まれる。この過程を新しい状況起因効果の発生も、能力の誘発もしなくなるまで繰り返す。その後、該当するプレイヤーが優先権を得る。
410.4. 誘発型能力がスタックに積まれたとき、その能力のコントローラーは、起動型能力のルール(rule 409 参照)に従って必要な選択をすべて行なう。適正な選択ができない場合(あるいはルールや他の継続的効果によって能力が不正になった場合)、能力は単にスタックから取り除かれる。
410.5. 誘発型能力の効果のなかには、行動をするかしないかを選択できる(「あなたのアップキープ開始時に、あなたはカードを1枚引いてもよい」というように、「してもよい/may」が含まれる)ものがある。コントローラーがその能力の選択をする意図があるかどうかに関係なく、その能力は誘発したときにスタックに積まれる。選択は能力の解決時に行なう。同様に、何かの条件を満たさ「ない限り/unless」発生しない効果を持つ誘発型能力や、プレイヤーが何かをすることを選ぶ効果を持つ誘発型能力は、通常どおりスタックに積まれる。能力の「ない限り/unless」の部分は能力の解決時に処理される。
410.6. 能力は、誘発 イベントが1回発生するごとに1回だけ誘発する。しかし、あるイベントが複数回発生した場合、繰り返し誘発する。rule 410.9 も参照。
例:誘発条件が「土地が場から墓地に置かれるたび…」である能力を持つパーマネントがあるとする。誰かが、すべての土地を破壊する 呪文をプレイしたとき、この能力は、その呪文の解決中に、墓地に置かれた土地1つにつき1回誘発する。
410.7. 能力は、その誘発条件が実際に起きた場合にのみ誘発する。軽減されたり置換されたりしたイベントによっては誘発しない。
例:ダメージが与えられたことで誘発する能力は、ダメージがすべて軽減された場合には誘発しない。
410.8. 誘発 イベントのすぐ後に記される条件付きの誘発型能力(例えば、「[誘発 イベント]とき/たび/時に、[条件]場合、[効果]する/When/Whenever/At [誘発 イベント], if [条件], [効果]」)は、誘発条件の一部として条件が真かどうかをチェックする。条件が真でないなら、能力は誘発しない。また、解決時にも再び条件をチェックし、条件が真でなくなっていた場合、能力は何もしない。これは、対象が適正かどうかのチェックと同じことである。このルールは、テキスト内の他のところに"場合/if"条件がある誘発型能力には適用しないことに注意。このルールはまた「"if"節のルール」とも呼ばれる。
410.9. 戦闘中、クリーチャーがブロックしたりブロックされたりした時に誘発する能力がある(rule 306 から rule 311、及び rule 500〔適正な攻撃とブロック〕参照)。これらの能力が1回だけ誘発するのか繰り返し誘発するのかは、その表記による。
410.9a 「[このクリーチャー]がブロックするたび/Whenever [このクリーチャー] blocks」または「[このクリーチャー]がブロックされた状態になるたび/Whenever [このクリーチャー] becomes blocked」と書いてある能力の場合、複数のクリーチャーをブロックしたり複数のクリーチャーにブロックされたりした場合でも、そのクリーチャーに対して、1回の戦闘につき1回だけ誘発する。クリーチャーがブロックされたことにする効果も、(クリーチャーがブロックされていなかった場合には)この種の能力を誘発する。
410.9b 「[このクリーチャー]がクリーチャーをブロックするたび/Whenever [このクリーチャー] blocks a creature」と書いてある能力の場合、指定されたクリーチャーがブロックした攻撃クリーチャー1体につき1回誘発する。
410.9c 「クリーチャーが[このクリーチャー]をブロックするたび/Whenever a creature blocks [このクリーチャー]」と書いてある能力の場合、指定されたクリーチャーをブロックしたクリーチャー1体につき1回誘発する。攻撃クリーチャーが、ブロック・クリーチャーによってではなく、何らかの効果によってブロックされた状態になった場合、この能力は誘発しない。
410.9d 特定の数のクリーチャーがブロックした、あるいはその数のクリーチャーによってブロックされたときに誘発する能力の場合、その能力はクリーチャーがその数のクリーチャーによってブロックした/された状態になるようなブロックが宣言された場合にだけ誘発する。ブロック・クリーチャーを加える/取り除く効果によっても、この能力は誘発する。これはクリーチャーがある数以上のクリーチャーによってブロックする/されることによって誘発する能力にも適用する。
410.10. オブジェクトが領域を移動することを含む誘発条件は「領域変更誘発」と呼ばれる。領域変更誘発を持つ能力の多くは、領域が変わった後でそのオブジェクトに何かしようとする。解決中に、これらの能力はオブジェクトを移動先の領域で探す。その指定された領域でそのオブジェクトが見つからなかった場合、そのオブジェクトに対しての効果は失敗する。能力によるオブジェクトの捜索は、オブジェクトがその領域に入らなかった場合や、能力の解決よりも前に指定された領域を離れた場合、あるいはその移動先の領域がライブラリや対戦相手の手札などで非公開な場合に失敗する(このルールは、能力の解決よりも前に、オブジェクトが領域を離れてまた戻ってきた場合でも適用される)。領域変更誘発の最も一般的な例には、場に出た時に誘発する能力と場を離れた時に誘発する能力とがある。
410.10a 場に出た時の能力は、パーマネントが場 領域に入った時に誘発する。これらは、「[このオブジェクト]が場に出たとき、…/When [このオブジェクト] comes into play,」、あるいは「[何か]が場に出たとき、…/Whenever a [何か] comes into play,」と書かれている。パーマネントを場に出す イベントのたびに、場に出ているすべてのパーマネント(今出たものも含む)は、そのイベントにあった、場に出た時の誘発条件をチェックする。
410.10b パーマネントの特性を変える継続的効果は、パーマネントが場に出る瞬間にすぐ適用され(その前にはそうしない)、そのパーマネントが本来の特性で場に出ることはない。継続的効果はパーマネントが場に出る前には適用しない(rule 410.10e 参照)
例:「すべての土地はクリーチャーである」という効果がある状態で土地 カードがプレイされた場合、効果は土地 カードを場に出た瞬間にクリーチャーに変えるため、それはクリーチャーが場に出たときに誘発する能力が誘発する。逆に、「すべてのクリーチャーはすべての能力を失う」という効果がある状態で、場に出たときの誘発型能力を持つクリーチャーが場に出た場合、効果は場に出た瞬間にその能力を失わせるため、場に出たときの誘発型能力は誘発しない。
410.10c 場を離れた時の能力は、指定されたパーマネントが場 領域を離れた時に誘発する。これらは、「[このカード]が場を離れたとき、…/When [このカード] leaves play,」、あるいは「[パーマネント・タイプ]が場から墓地へ置かれたとき、…/Whenever a [パーマネント・タイプ] is put into a graveyard from play,」と書かれている。このカードが場を離れた時に何かしようとする能力は、それが最初に行った領域のみをチェックする。
410.10d 1つ以上のパーマネントが場を離れたときに誘発する能力や、プレイヤーが1つ以上のパーマネントのコントロールを失ったときに誘発する能力は、イベント後にはその能力を持ったパーマネントが既にないため、特別に扱わなくてはならない。誘発するものを決定するために、ゲームの「過去の状態を知る」必要がある。1つ以上のパーマネントが場を離れる、あるいは1つ以上のパーマネントがコントロールしている人物を変えるイベントのたびに、そのイベントの直前に場にあったすべてのパーマネント(およびその時点で存在したすべての継続的効果)は、今場を離れたものや今コントロールを変えたものにあった、場を離れた時の誘発 イベントをチェックする。
例:2体のクリーチャーと、「クリーチャーが場から墓地へ置かれるたび、あなたは1点のライフを得る」という能力を持ったアーティファクトが場にあるとする。誰かが、すべてのアーティファクト、クリーチャー、エンチャントを破壊する 呪文をプレイした。このアーティファクトは、クリーチャーと同時に墓地に行くが、その能力は2回誘発する。
「場を離れた」ことによる誘発は、誘発条件がそのパーマネントの行き先をチェックしない場合でも領域変更誘発である。場を離れたカードに対して、その能力が何かしようとする場合、場を離れて最初に行った領域のみを探す。
410.10e いくつかのパーマネントは、「[このパーマネント]は、…の状態で場に出る/[このパーマネント] comes into play with」「[このパーマネント]が場に出るに際し…/As [このパーマネント] comes into play」、「[このパーマネント]は…として場に出る/[このパーマネント] comes into play as」、「[このパーマネント]はタップ状態で場に出る/[このパーマネント] comes into play tapped.」と書かれたテキストを持つ。これらのテキストは常在型能力であり、誘発型能力ではない。この効果は、そのパーマネントを場に出す イベントの一部として発生する。
410.11. 誘発型能力の中には、イベントの発生したときに誘発するものの他に、プレイヤーがあるタイプのパーマネントをコントロールしていない場合に誘発するものなど、ゲームの状況によって誘発するものがある。それらの能力はゲームの状況がその条件を満たしたら即座に誘発し、次の機会にはスタックに積まれる。それらのことを状態誘発型能力と呼ぶ(状態誘発型能力は状況起因効果と同じではない)。それらの能力が解決されるか打ち消されるまでは再び誘発することはないが、その解決あるいは打ち消しの後で、その能力を持つオブジェクトがまだその領域に残っていて、かつゲームの状況が誘発条件を満たしていた場合には、その能力は再び誘発する。
例:パーマネントの能力に「あなたの手札が空のとき、カードを1枚引く」(訳注:通常の書式に則ると、「あなたの手札にカードが1枚もないとき、カードを1枚引く」となります)とあったとする。コントローラーがその最後のカードをプレイした場合、この能力は一度誘発し、解決されるまでは再び誘発することはない。そのコントローラーが「手札を全て捨てる。その後で、同じ枚数だけカードを引く」という呪文をプレイした場合、そのプレイヤーの手札は一時的に0枚になるので、この能力は誘発する。
411.1. マナ能力をプレイするとき、プレイヤーはそれをプレイすることを宣言し、起動コストを支払う。能力は宣言の直後に解決し、スタックには積まれない(rule 408.2e 参照)。
411.2. プレイヤーは、優先権を持っている時にはいつでも起動型マナ能力をプレイすることができる。また、呪文や能力をプレイしている途中や解決している途中であっても、何らかのルールや効果によってマナを支払う必要がある時なら、いつでも起動型マナ能力をプレイすることができる。
411.3. 誘発型マナ能力は、起動型マナ能力がプレイされた時に誘発する。これらの能力は、それを誘発させたマナ能力の直後に、優先権を得ることを待たずに解決される。起動型能力や誘発型能力が、マナとそれ以外の効果とを共に生む場合、マナと別の効果とは同時に解決する。
例:「プレイヤーがマナを引き出すために土地をタップするたび、その土地は同じ色のマナをもう1点生み出す」というエンチャントがあるとする。プレイヤーが、呪文をプレイする間に土地をタップしてマナを出した場合、追加のマナは直ちにマナ・プールに加えられ、そのマナを呪文のコストの支払いに使うことができる。
411.3a 誘発型マナ能力が「同じタイプの」あるいは「同じ色の」マナをプレイヤーのマナ・プールに加えるといった場合、それを誘発させたマナ能力が複数のタイプまたは色のマナを生み出していたならば、そのマナ・プールの持ち主は、その誘発型能力がどちらのマナを生み出すかを選ぶ。
412.1. 常在型能力は、継続的効果、あるいは軽減・置換効果を発生する。これらの効果は、常在型能力を持つオブジェクトがその領域にある間持続する。
412.2. 個別エンチャントの多くは、エンチャントしているパーマネントを変更する常在型能力を持つが、そのパーマネントを対象に取らない。個別エンチャントが別のパーマネントに移された場合、その能力は元のパーマネントへの適用を止め、新しいパーマネントを修正するようになる。
412.3. ある種の常在型能力は、呪文がスタックにある間に適用される。それらは多くの場合、呪文を打ち消すものである。また、「[このオブジェクト]をプレイするための追加コストとして、[コスト]を支払う」「[このオブジェクト]のマナ・コストを支払うのではなく、[コスト]を支払ってもよい」「あなたは[このオブジェクト]をマナ・コストを支払わずにプレイしてもよい」といった能力も、そのカードが呪文としてスタックにある間に働く。
412.4. ある種の常在型能力は、カードがそれをプレイできる領域(通常は手札)にある間に適用される。それは「あなたは[この呪文]をプレイしてもよい/you may play [この呪文]」「あなたは[この呪文]をプレイできない/you can't play [この呪文]」と書かれているものに限られる。
412.5. 呪文やその他の種類の能力とは異なり、常在型能力は、効果がどう適用されるか決定する目的でオブジェクトの最後の情報を使用できない。
413.1. 両方のプレイヤーが続けてパスしたとき、スタックの一番上に積まれているオブジェクト(呪文、能力、戦闘ダメージ)が解決される(rule 416〔効果〕参照)。
413.2. 呪文や能力の解決は以下の順序で処理される複数の段階からなる。
413.2a 呪文や能力が対象を指定する場合、その対象がまだ適正かどうかチェックする。場を離れた、あるいは呪文や能力が指定している領域を離れた対象は不正な対象となる。また、呪文や能力がプレイされた後で対象の特性が変わったり、効果によって呪文の文章が変わったりした場合、対象が不正になることがある。すべての対象が不正になっていた場合、呪文や能力は打ち消される。呪文や能力が打ち消されなかった場合、通常通り解決するが、影響を受けるのはその時点でまだ適正な対象のみである。もし対象が不正ならば、呪文や能力はその対象に何らの影響を及ぼすことも、また及ぼさせることもできない。呪文や能力が、すでに不正になっている対象についての情報を必要とする場合、その不正な対象の現在の、あるいは最後の情報を用いる。
413.2b 呪文や能力のコントローラーは、書かれた順序で指示に従う。但し、置換効果によってこれらの行動が変更され、以前の指示の意味が変わることもある。場合によっては、カードのテキストで後のほうに書かれた文章が、前の文章の意味を修正することがある(例えば、「クリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。それは再生できない」あるいは「呪文1つを対象とする。それを打ち消す。そうした場合、それをオーナーの墓地に置く代わりに、オーナーのライブラリーの一番上に置く」)。これらの場合を考えずに逐語的に効果を適用したりしてはならない。カード全体を読み、文法に従ってテキストを解釈すること。
413.2c 効果の中で、呪文をプレイする時に宣言していない選択が必要とされる場合、プレイヤーは効果の処理の間にこれらを宣言する。プレイヤーは、不正な選択肢、または不可能な選択肢を選ぶことはできない。(例えば、選択可能な行動を行なうのに必要な条件をすべて満たしていない場合には、その行動を行なわないことによって被る影響を回避することはできない)
例:「あなたはクリーチャー1体を生け贄に捧げてもよい。そうしないなら、あなたは4点のライフを失う」という指示がされた呪文があるとする。クリーチャーをコントロールしていないプレイヤーは、生け贄に捧げるほうの選択肢を選ぶことはできない。
413.2d 効果が両方のプレイヤーに同時に選択または行動を要求する場合、アクティブ・プレイヤーがまず自分の分を宣言し、それから非アクティブ・プレイヤーが(最初のプレイヤーの選択を知ったうえで)宣言する。その後、これらの行動は同時に実行される。rule 103.4 参照。プレイヤーが複数回の選択を行わなければならない場合、順番が書かれていればそれに従って、そうでなければ宣言者の任意の順番で、宣言する。その後で、行動は同時に実行される。
呪文や能力の中には、複数の段落や条項によって、複数の段階に分かれているものもある。この場合、アクティブ・プレイヤーが1つめの行動について必要な選択を行ない、次に他のプレイヤーが1つめの行動について必要な選択を行ない、そして1つめの行動が同時に実行される。その後で、アクティブ・プレイヤーが2つめの行動について必要な選択を行ない、次に他のプレイヤーが2つめの行動について必要な選択を行ない、そして2つめの行動が同時に実行される。以下同様に繰り返す。
例:《要塞の計略/Stronghold Gambit》の効果には、「各プレイヤーは、自分の手札のカードを1枚選ぶ。そのあと、各プレイヤーは選んだカードを見せる。……」という部分がある。これを処理する場合、まずアクティブ・プレイヤーがカードを選び、次に他のプレイヤーがカードを選ぶ。その後で、両方のプレイヤーが選んだカードを同時に公開する。
413.2e プレイヤーがマナを支払ってもよいという選択肢を含む効果の場合、そのプレイヤーは行動の一部としてマナ能力をプレイしてもよい。それ以外の呪文や能力は解決中にはプレイできない。
413.2f ゲームの情報(場に出ているクリーチャーの数など)を必要とする場合、その値はプレイヤーがその処理を実行する時に一度だけ決定される。その特定のパーマネントが場にあるか、もしくはそのカードが指示された領域に存在する場合、その現在の情報を使う。そうでないなら、そのオブジェクトがそのあった領域を離れる直前に持っていた情報を使う。この例外は、常在型能力は最後の情報を使うことができないということである(rule 412.5 参照)。オブジェクトが何かすると書いてある能力の場合、実際にそれをするのはその存在する(または直前に存在した)オブジェクトであり、能力ではない。
413.2g オブジェクトの特性を調べる効果は、そのオブジェクトの指定された特性の値だけをチェックし、オブジェクトが他に持っているかもしれない、関連する特性の値はチェックしない。
例:白でも黒でもあるクリーチャーは、「黒のクリーチャーをすべて破壊する」という効果で破壊されるが、「黒でないクリーチャーをすべて破壊する」という効果では破壊されない。
413.2h 呪文の解決の最終段階として、呪文は、その呪文のコントローラーのコントロール下でスタックから場に出る(パーマネントの場合)かスタックからオーナーの墓地に置かれる(インスタントとソーサリーの場合)。
413.2i ある効果の結果が「引き分け/in a tie」で終わる可能性がある場合には、その効果を発生させた呪文や能力のテキストにその場合にどうするのかが記されている。マジックにおいて、「引き分け」の場合どうするかという一般則はない。
414.1. 呪文を打ち消すということは、その呪文をスタックからオーナーの墓地に動かすということである。能力を打ち消すということは、その能力をスタックから取り除くということである。打ち消された呪文や能力は解決されず、効果は一切発生しない。
414.2. 打ち消された呪文や能力をプレイしたプレイヤーは、支払ったコストの「払い戻し」を受けることはできない。
415.1. インスタント 呪文やソーサリー 呪文は、その文章中に「[何か]を対象とする/target [何か]」という表記がある場合、対象をとる。(インスタントやソーサリーの文章内にある起動型能力や誘発型能力が「対象」の語を用いていたとしたら、その呪文ではなく能力が対象をとる)。
例:「クリーチャー1体を対象とする。このカードをサイクリングしたとき、それはターン終了時まで-1/-1の修正を受ける」という能力を持つソーサリー・カードがあった場合、それはその誘発型能力が対象をとることを意味する。呪文が対象をとることを直接意味するわけではない。
415.2. 起動型能力、誘発型能力は、その文章中に「[何か]を対象とする/target [何か]」という表記がある場合、対象をとる。
415.3. 個別エンチャント 呪文は、「対象とする」の語が含まれていなくても、常に、エンチャントしようとするパーマネントまたはプレイヤーを対象をとる。パーマネントになった後は、もはや対象を取らない。個別エンチャントの起動型能力や誘発型能力は対象を取ることがあり得る。
415.4. 0個以上の対象を取れる呪文や能力は、1個以上の対象を選んでいるときのみ対象を取る。0個の対象を取るとは言わない。
415.5. 呪文や能力の対象としては、通常、パーマネントだけが適正である。この例外は、その呪文や能力が他の領域にあるオブジェクトやプレイヤーを対象にできると明記されているときと、呪文や能力のように場に存在することがありえないオブジェクトを対象とする場合だけである。
415.6. スタックにある呪文や能力は、それ自身の対象としては不適正である。
415.7a 呪文や能力の対象は、他の適正な対象にだけ変更できる。対象を変更できない場合、元の対象が変更されないままになる。
415.7b モードを持つ 呪文や能力は、モードごとに異なった対象の取り方をする場合がある。呪文や能力の対象を変更しても、そのモードは変更されない。
416.1. 呪文や能力が解決されたとき、それは1つまたは複数の単発的効果または継続的効果を発生させる。常在型能力は、1つまたは複数の継続的効果を発生させる。効果の中には、置換・軽減効果が含まれる。また、このほかに、呪文や能力によってのではなくゲームの特定のルールによって発生する、状況起因効果が存在する。
416.2. 効果はパーマネントにのみ影響する。但し、効果の文章にそうでないと書いてある場合や、明らかに他の領域に存在するオブジェクトにしか適用できない場合を除く。
例:すべての土地をクリーチャーに変える効果は、プレイヤーの墓地にある土地 カードには影響を及ぼさない。
なお、呪文をプレイするためのコストを増減する効果は、スタックにある呪文にだけ影響を及ぼす。それは、プレイ中の呪文はスタックにだけ存在するからである。
416.3. 効果が実現不可能なことを要求している場合、可能な部分だけを実行する。
例:プレイヤーが1枚だけ手札を持っている場合、「手札を2枚捨てる」という効果はその持っているカードだけを捨てさせる。ライブラリーからカードを(引くのではなく)移す効果は、可能な枚数だけ移す。
417.1. 単発的効果は、何かを1回だけ起こし、すぐに終わる。例としては、ダメージを与える、パーマネントを破壊する、オブジェクトを領域間で移動させる、などがある。
417.2. 単発的効果の中には、解決時ではなく、ゲームが先に進んでから(通常はある特定の時点で)何かするよう、プレイヤーに指示するものがある。それらの効果は、実際には、誘発を待つ新しい能力を生成することになる(rule 404.4 参照)。
418.1. 継続的効果は一定のあるいは不定の期間、オブジェクトの特性を変更したり、ゲームのルールを変更したりする。継続的効果は、呪文や能力の解決、あるいはオブジェクトの常在型能力によって生成される。
418.2. パーマネントの特性を変える継続的効果は、そのパーマネントが場に入ると同時に特性を変える。パーマネントが場に出るのを待ち、それから変えるのではない。この類の効果はパーマネントが場に出るに際して適用されるので、パーマネントが場に出たときの能力が誘発するかどうかを決定するよりも前に適用される。
418.3a 呪文や能力の解決によって生成された継続的効果は、それを生成した呪文や能力に述べられた期間(「ターン終了時まで」など)継続する。期間が明記されていない場合は、ゲーム終了時まで継続する。
418.3b 呪文、起動型能力、誘発型能力による、オブジェクトの特性またはそのコントローラーを変更する継続的効果は、その継続的効果が発生した時点で影響を受けなかったオブジェクトには影響を及ぼさない。これは、常在型能力からの継続的効果とは異なることに注意せよ。objcetの特性またはそのコントローラーを変更しない継続的効果は、ゲームのルールを変更するので、その継続的効果が発生した時点で影響を受けなかったオブジェクトにも影響を及ぼす。
例:「すべての白のクリーチャーはターン終了時まで+1/+1の修正を受ける」という効果は、その呪文または能力が解決した時点で白であれば、すべてのパーマネントに修正を与える。たとえ後で色が変わっても、その修正を失うことはない。また、その後で場に出たり白に変わったりしたクリーチャーには影響を与えない。
例:「クリーチャーがこのターンに与えるダメージを全て軽減する」という効果は、オブジェクトの特性を変更しないので、ゲームのルールを変更している。つまり、この効果は、この継続的効果が発生した時点で場に出ていなかったクリーチャーや、このターンのより後の時点でクリーチャーになったパーマネントによるダメージにも影響を及ぼす。
418.3c 呪文や能力によって、変数を含む継続的効果が発生した場合、その変数の値は解決時にのみ定められ、その後で変化することはない。rule 413.2f を参照のこと。
418.3d 起動型能力または誘発型能力によって発生する効果の中には、「〜する限り/as long as」という表記で限定される持続時間を持つものがある。この「〜する限り」というフレーズで示される期間が、起動型能力が宣言され、あるいは誘発型能力がスタックに積まれ終わってからその効果が最初に適用されるようになるまでの間に終了していた場合、その効果は何もしない。開始してすぐまた停止する、ということもないし、永続するということもない。
例:《内骨格器/Endoskeleton》は、「{2}, {T}:クリーチャー1体を対象とする。内骨格器がタップ状態にあるかぎり、それは+0/+3の修正を受ける」という起動型能力を持つアーティファクトである。この能力をプレイした後、この能力が解決されるよりも先に《内骨格器》がアンタップ状態になった場合、持続期間、つまり「タップ状態にあるかぎり」という期間は効果が発生する前に終わっているので、効果は発生しない。
418.4a 常在型能力によって生み出される継続的効果は「固定」されない。そのテキストで示されるもの全てに対して常に適用する。
418.4b 効果は、それを生み出すパーマネントが場にある、またはそれを生み出すオブジェクトがその該当する領域にある間、常に適用する。
例:「すべての白のクリーチャーは+1/+1の修正を受ける」という常在型能力を持つパーマネントは、場にある白のクリーチャーのそれぞれに+1/+1を継続的に与える効果を生む。クリーチャーが白になったら、このボーナスを得、白でなくなったらボーナスを失う。通常1/1の白クリーチャーを生むクリーチャー 呪文は、代わりに2/2の白クリーチャーを生む。1/1のクリーチャーが場に出て、それから2/2になるのではない。
418.5a オブジェクトの特性値は、そのオブジェクトそのものの特性値から始まり、次にコピー 効果(rule 503〔呪文や能力のコピー〕参照)、特性定義能力による継続的効果、タイプ変更能力によって生成された継続的効果、そしてカウンターによるパワーやタフネスの変更が適用されてから、他の継続的効果が適用されて決定される。
例:アーティファクトの「{2}:ターン終了時まで、このパーマネントは3/2のアーティファクト・クリーチャーになる」という能力をプレイした後、同じターンの間に、「クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで0/2になる」という能力の影響を受けたとする。この場合、もう一度アーティファクトの能力をプレイしても意味を持たない。パワーやタフネスを変更する継続的効果の前に、タイプ変更効果が適用されることになるから、結局は0/2のままになる。
418.5b 一つの効果による結果が、他の効果が適用されるかどうか、あるいは他の効果が何をするか、を決めることがある。例えば、「すべての白クリーチャーは+1/+1の修正を受ける」という効果と、「エンチャントされたクリーチャーは白となる」という効果がある場合である。
418.5c ある効果が、(a)別の効果と同時に適用され(rule 418.5a 参照)、(b)別の効果を適用することにより、そのテキストが変わったり、効果が発生するかどうかが変わったり、何に適用するかが変わったり、適用するもののどれかに何をするかが変わったりする場合、その効果は他方に「依存している」と言う。そうでない場合、その効果は先の効果と独立であると言う。
418.5d 一方の効果が他方に依存している場合、独立している効果を先に適用する。依存する効果が複数あってループとなっている場合、またはどれも他に依存していない場合、場に出た順序で適用する。これは「タイムスタンプ順」と呼ばれる。
418.5e オブジェクトのタイムスタンプは、3つの例外を除いて、その現在ある領域に入った時である。例外とは、(1)複数のオブジェクトが同時に領域に入った場合、その領域に入るときに、アクティブ・プレイヤーがタイムスタンプ順を決める。(2)個別エンチャントがパーマネントについたときに、そのエンチャントは新しいタイムスタンプを得る。(3)フェイズ・インしてきたパーマネントは、フェイズ・アウトしたときのタイムスタンプを維持する。
418.5f 常在型能力によって作られた継続的効果は、それを生み出したカードやパーマネントと同じタイムスタンプを有する。
418.5g 呪文や能力の解決によって作られた継続的効果は、それを生み出した呪文や能力が解決された時のタイムスタンプを得る。
418.5h 継続的効果は別の継続的効果を無効化することがある。
例:「エンチャントされているクリーチャーは飛行を持つ」と「エンチャントされてれいるクリーチャーは飛行を失う」の2つのエンチャントが同じクリーチャーに付いているとする。影響を受ける相手や発揮される効果を変えるものはないので、これらは互いに依存しない。これらをタイムスタンプ順に適用することで、最後に生成された効果が「勝つ」ことになる。効果が一時的なもの(例えば「クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで飛行を失う」)であるかどうか、あるいは、全体的な効果(例えば「すべてのクリーチャーは飛行を失う」)であるかどうか、は関係しない。
418.5i 効果によって、クリーチャーのパワーとタフネスが「入れ替え/switch」られることがある。この場合、そのオブジェクトのパワーを参照してそのオブジェクトのタフネスとし、そのオブジェクトのタフネスを参照してそのオブジェクトのパワーとする。それ以降に適用される効果は、通常通り適用される。
例:1/3クリーチャーが何らかの効果によって+0/+1の修正を受けているとき、他の効果がそのクリーチャーのパワーとタフネスを入れ替える場合、結果のパワーとタフネスは4/1になる。この「入れ替え」効果の適用後に、他の効果によって+5/+0の修正を受ける場合、それのパワーとタフネスは9/1になる。
例:1/3クリーチャーが何らかの効果によって+0/+1の修正を受けているとき、他の効果がそのクリーチャーのパワーとタフネスを入れ替える場合、結果のパワーとタフネスは4/1になる。この「入れ替え」効果の終了前に、+0/+1の効果が終わる場合、それのパワーとタフネスは3/1になる。
418.6a オブジェクトの文章を変更する効果は、それぞれ該当する種類の単語だけを書き換える(例えば、マジックの色を示す単語が色として用いられていたり、土地のタイプを示す単語が土地のタイプとして用いられていたり、クリーチャー・タイプを示す単語がクリーチャー・タイプとして用いられている場合のことである)。カード名などの固有名詞に、もしそれらと同じ単語や一連の文字列が含まれていたとしても、この類の効果によって固有名詞を書き換えることはできない。
418.6b 能力を追加したり取り除いたりする効果は、その影響を受けるオブジェクトの文章を変更するわけではない。従って、効果によってオブジェクトに与えられた能力は、そのオブジェクトの文章を変更する効果の影響を受けない。
418.6c クリーチャー・トークンを生成する呪文や能力は、そのトークンのクリーチャー・タイプをクリーチャー・タイプとトークンの名前の両方として用いる。それらの単語は名前としても使われるが、クリーチャー・タイプなので書き換えることができる。
418.6d クリーチャー・トークンのクリーチャー・タイプとルール文章は、そのトークンを生成する呪文や能力によって定義される。それらの特性は文章変更効果によって書き換えることができる。
419.1. 置換効果・軽減効果は、特定のイベントを待ち、それを完全に、あるいは部分的に置き換えるという継続的効果である。これらの効果は、それが影響するものに対する「盾」のような働きをする。
419.1a 「代わりに/instead」という語を用いる効果は置換効果である。ほとんどの置換効果は「代わりに/instead」という単語によってどのようなイベントがどう置き換えられるかを示し、一部は「飛ばす/skip」という単語によってどのようなイベント、ステップ、フェイズ、ターンが何も起こらないことによって置き換えられることを示している。
419.1b 「[このパーマネント]は〜状態で場に出る/[このパーマネント] comes into play with ...」、「[このパーマネント]が場に出るに際し〜/As [このパーマネント] comes into play ...」、「[このパーマネント]は〜として場に出る/[このパーマネント] comes into play as ...」という効果は置換効果である。
419.1c 「[このパーマネント]は〜場に出る/[このパーマネント] comes into play ...」、「[オブジェクト]は〜場に出る/[オブジェクト] come into play . . .」という継続的効果は置換効果である。
420.1. 状況起因効果とは、以下に示した条件を満たしたときにだけ適用される特殊な効果である。特定の状態を待っている能力は、誘発型能力である(rule 410.8 参照)
420.2. 状況起因効果は常に有効であり、また、どちらのプレイヤーにもコントロールされていない。
420.3. プレイヤーが呪文や能力をプレイする優先権を得るとき(rule 408〔呪文や能力のタイミング〕参照)、下記の、状況起因効果の条件がチェックされる。適用すべきすべての効果が一つのイベントとして解決され、それから、再びチェックが繰り返される。状況起因効果がひとつも発生しなくなったら、誘発型能力がスタックに積まれる。その後で、該当するプレイヤーが優先権を得る。このチェックはクリンナップ・ステップの間にも行なわれる(rule 314〔クリンナップ・ステップ〕参照)。下記の条件が一つでも満たされた場合、アクティブ・プレイヤーが優先権を得る。
420.4. 誘発型能力と異なり、状況起因効果は、呪文や能力の解決中に起きた事はチェックしない。
例:「このクリーチャーは、あなたの手札の枚数に等しいパワーとタフネスを持つ」というクリーチャーをコントロールしているプレイヤーが、「あなたの手札を捨て、そのあとカードを7枚引く」という呪文をプレイしたとする。このクリーチャーは、呪文の解決の途中で一時的にタフネスが0になるが、呪文の解決が終わった時点ではタフネスが7に戻っている。よって、このクリーチャーは、状況起因効果がチェックされる時点では生き残る。これと対照的に、手札が無くなった時に誘発する能力は、誘発 イベントが解決中に発生したので、呪文の解決後にスタックに積まれる。
420.5a ライフが0以下のプレイヤーはゲームに敗北する。
420.5b タフネスが0や0未満のクリーチャーはオーナーの墓地に置かれる。再生はこのイベントを置換できない。
420.5c 致死ダメージを受けたクリーチャーは破壊される。致死ダメージは、正の数でクリーチャーのタフネス以上のダメージである。再生はこのイベントを置換する。
420.5d 不正なパーマネント、あるいは存在しないパーマネントにエンチャントしているエンチャントはオーナーの墓地に置かれる。
420.5e 同名の「レジェンド/Legend」または「伝説の/Legendary」パーマネントが複数場にある場合、もっとも長くその名前でレジェンドまたは伝説の パーマネントであり続けたものを除き、すべてがそのオーナーの墓地に置かれる。これは「レジェンド・ルール」と呼ばれる。同時の場合には、同名のレジェンドまたは伝説の パーマネントはすべてそのオーナーの墓地に置かれる。(同じ名前を持つ2つのパーマネントのうち片方だけがレジェンドか伝説の パーマネントである場合、このルールは適用しない。)
(訳注:通常、「後に出したものが墓地に置かれる」というルールです。)
420.5g 自分のライブラリーにあるカードよりも多くカードを引くように要求されたプレイヤーは、ゲームに敗北する。
420.5h 10個以上の「毒/poison」カウンターを持つプレイヤーは、ゲームに敗北する。
420.5i エンチャント(ワールド)が複数場にある場合、もっとも短い期間エンチャント(ワールド)であったものを除き、すべてがそのオーナーの墓地に置かれる。もっとも短い期間が等しい場合、そのすべてがそのオーナーの墓地に置かれる。
421.1. 稀に、一群の行為が永久に繰り返される状態にゲームが陥ることがある。この種のループを中断する方法を「無限ルール」として規定する。
421.2. ループが、選択可能な行動を一つ以上含み、一人のプレイヤーがそれをすべてコントロールしている場合、そのプレイヤーが回数を選ぶ。ループはその回数、但し途中で他のプレイヤーが介入した場合はその時点まで、繰り返したものとみなす。
421.3. ループが、各プレイヤーがコントロールする選択可能な行動を少なくとも一つ含み、ループを続けるには双方のプレイヤーによる行動が必要である場合、アクティブ・プレイヤーが回数を選ぶ。アクティブ・プレイヤー以外のプレイヤーにはここで2つの選択肢がある。
・選んだ回数よりも少ない回数を選ぶ。この場合、ループはその回数だけ繰り返し、それからアクティブ・プレイヤーが「最後の宣言をする」までの部分を実行する。
・アクティブ・プレイヤーが選んだ回数を認める。この場合、ループはその回数だけ繰り返し、それからアクティブ・プレイヤー以外のプレイヤーが「最後の宣言をする」までの部分を実行する。(どちらの場合も、最後の部分は無いことがありうる)
例:あるプレイヤーが、「{0}:[クリーチャー名]は飛行を得る」という能力を持つクリーチャーをコントロールしており、他のプレイヤーが「{0}:クリーチャー1体を対象とする。それは飛行を失う」という能力を持つパーマネントをコントロールしているとする。「無限ルール」により、どちらのプレイヤーから飛行を得る/失う能力のループを始めたとしても、アクティブ・プレイヤー以外のプレイヤーが最終的な決定権を持ち、よってそのクリーチャーが飛行を持つかどうかを決めることができる。(但し、この例は、最初のプレイヤーが少なくとも一回、そのクリーチャーに飛行を与えようとしたと仮定していることに注意すること)
421.4. ループが選択できない行動のみからなる場合、ゲームは引き分けとして終了する(rule 102.6 参照)。
421.5. ループが、各プレイヤーがコントロールする選択可能な行動を少なくとも一つ含み、これらの行動が互いに依存していない場合、アクティブ・プレイヤーが回数を選ぶ。アクティブ・プレイヤー以外のプレイヤーはその回数に合意してもよいし、より多い回数を選んでもよい。このルールは、それらの行動が一つのループでなく別々のループに存在する場合でも適用されることに注意すること。
422.1. ある行動を開始した後で適正に行動できないということが解った場合、その行動は巻き戻され、すでに行われた支払いは取り消される。取り消される行動の結果として、能力が誘発したり効果が適用されたりすることはない。その行動が呪文のプレイであった場合、呪文 カードはそれがもとあった領域に戻る。プレイヤーは、不正なプレイを行なう間にプレイした適正なマナ能力も、それまたはそれによる誘発型マナ能力によって生み出されたマナが、他の、取り消されないマナ能力に消費されたのでない限り、取り消すことができる。しかし、プレイヤーは、ライブラリーへのカードの移動、ライブラリーからスタック以外へのカードの移動、無作為の選択、無作為の領域変化を伴う行動を取り消すことはできない。
422.2. 不正な呪文や能力を取り消した時に、優先権を持っていたプレイヤーが再び優先権を得、そして改めて他の行動を取るかパスすることができる。そのプレイヤーは取り消した行動を適正な方法でやり直すことも、あるいはルール上許される別の行動を取ることもできる。
(訳注:要するに、改めて何でもできるということです)
500.1. 効果の中には、戦闘時の攻撃クリーチャーやブロック・クリーチャーの指定を制限、またはあるクリーチャーを攻撃クリーチャーやブロック・クリーチャーとして強制的に指定させるものがある(rule 308〔攻撃クリーチャー指定ステップ〕、rule 309〔ブロック・クリーチャー指定ステップ〕参照)。ブロック制限(または攻撃制限)とは、そのクリーチャーはブロック(または攻撃)に参加できない、あるいは何らかの条件を満たしていなければブロック(または攻撃)に参加できないというものであり、ブロック強制(または攻撃強制)とは、そのクリーチャーはブロック(または攻撃)に参加しなければならない、あるいは何らかの条件を満たしていた場合にブロック(または攻撃)に参加しなければならない、というものである。
500.2. 攻撃クリーチャーの指定の一環として、アクティブ・プレイヤーはコントロールしているそれぞれのクリーチャーが攻撃しなければならない、攻撃できない、その他の攻撃の制限または義務を持っていないかどうかをチェックする。もしそのような制限もしくは義務が提案された攻撃と矛盾する場合、その攻撃は不正となり、アクティブ・プレイヤーは異なる攻撃クリーチャーの組み合わせを提案しなければならない(タップしているクリーチャーおよび攻撃のためのコストを払っていないクリーチャーはそれらのクリーチャーに攻撃を要求する効果から除外される)。
例:プレイヤーが、「可能なら攻撃に参加する」クリーチャーと、能力を持たないクリーチャーをコントロールしているとする。このとき、「各ターン、2体以上のクリーチャーで攻撃することはできない」という効果があったとすると、適正な攻撃は「可能なら攻撃に参加する」クリーチャーだけによる攻撃である。他方のクリーチャーだけ、あるいは両方で攻撃したり、どちらでも攻撃しないということはできない。
500.3. ブロック・クリーチャーの指定の一環として、防御側のプレイヤーはコントロールしているそれぞれのクリーチャーが、ブロックしなければならない、ブロックできない、もしくは他のブロックの制限または義務を持っていないかどうかをチェックする。もしそのような制限もしくは義務が提案されたブロック・クリーチャーの組み合わせと矛盾する場合、そのブロックは不正となり、防御側プレイヤーは異なるブロック・クリーチャーの組み合わせを提案しなければならない(ブロックのためのコストを払っていないクリーチャーはブロックをそれらのクリーチャーに要求する効果から免除される)。
500.4. 攻撃やブロックの宣言が制限に反しているとき、その宣言は認められない。強制に関しては、(1)制限に反しない限りで、かつ(2)できる限り多くの強制を守る、ことが必要である。
500.5. 制限の違反にならずにどれだけの強制を守ることができるかということを決定する場合、その時に強制を満たしていないクリーチャーのことを考える必要はない。ただし、強制を満たすことができる選択については、その満たせる強制の数が最大になるように考えなければならない(そのために、ある強制を無視することになることはありうる)。
例:「可能ならブロックする」というクリーチャーと、他の、能力を持たないクリーチャーをコントロールしているプレイヤーに対し、「2体以上のクリーチャーでしかブロックできない」効果がある状況でクリーチャーが攻撃してきた。この場合、両方のクリーチャーでブロックすることか、あるいはどちらもブロックしないことしか適正ではない。どちらか一方だけでブロックすることはできない。
501.1. 回避能力は、戦闘時のブロック・クリーチャー指定ステップを変更する常在型能力であり、攻撃クリーチャーをブロックできるクリーチャーを制限する。
例:飛行を持たない壁は、壁にしかブロックされず、かつ飛行を持つクリーチャーにしかブロックされない クリーチャーをブロックできない。
501.3. クリーチャーの中には、ブロックのしかたを制限する能力を持つものもある。回避能力と同様に、これらは戦闘時のブロック・クリーチャー指定ステップのルールのみを変更する(ブロック指定後に回避能力を得たり失ったりしても意味はない)。
502.1. ほとんどの能力は、カードのルール・テキストに、何をする能力かが明確に記述されている。しかし、非常に一般的な能力や、定義を書くのにあまりに多くのスペースを要する能力もある。この場合、オブジェクトには能力の名前を「キーワード」としてのみ記してある。それに関するルールを注釈文として要約してあることもある。
502.2a 「先制攻撃/First Strike」は、戦闘ダメージ・ステップのルールを変更する常在型能力である。(rule 310〔戦闘ダメージ・ステップ〕参照)
502.2b 戦闘ダメージ・ステップの開始時、少なくとも1体の攻撃クリーチャーまたはブロック・クリーチャーが先制攻撃か二段攻撃を持っている場合、先制攻撃か二段攻撃(rule 502.28 参照)を持たないクリーチャーは戦闘ダメージを割り振らない。戦闘終了ステップに進む代わりに、第2戦闘ダメージ・ステップが行なわれ、残りのクリーチャーからのダメージを処理する。第2戦闘ダメージ・ステップでは、第1戦闘ダメージ・ステップで戦闘ダメージを割り振られず、二段攻撃を持つどのクリーチャーも残存する攻撃・ブロック クリーチャーはそれらの戦闘ダメージを割り振る。
502.2c 第1戦闘ダメージ・ステップの後で先制攻撃を与えたり取り除いたりしても、クリーチャーが戦闘ダメージを与えなくなったり、戦闘ダメージを2回与えたりすることはない。
502.3a 「側面攻撃/Flanking」は、ブロック・クリーチャー指定ステップ中に誘発する誘発型能力である。(rule 309〔ブロック・クリーチャー指定ステップ〕参照)「側面攻撃」は、「このクリーチャーが側面攻撃を持たないクリーチャーにブロックされた時、そのブロック・クリーチャーはターン終了時まで-1/-1を得る」を意味する。
502.4b 飛行を持つクリーチャーは飛行を持たないクリーチャーにはブロックされない。飛行を持つクリーチャーは、飛行を持つクリーチャーも持たないクリーチャーもブロックできる。(rule 309〔ブロック・クリーチャー指定ステップ〕参照)
502.5b 速攻を持つクリーチャーは、そのコントローラーの最新のターンの開始時から継続してコントロールされていない場合でも、攻撃したり、コストにタップ・シンボルを含む起動型能力を使ったりすることができる。(rule 212.3d 参照)
502.6a 「土地渡り/Landwalk」や「雪をかぶった 土地渡り/Snow-covered Landwalk」は総称であり、通常は、カードのルール・テキストに(「島渡り」や「雪をかぶった 沼渡り」といったように)特定のサブタイプ、もしくは特殊タイプが与えられている。。
502.6b 土地渡りや雪をかぶった 土地渡りは回避能力である。土地渡りを持つクリーチャーは、防御側プレイヤーが指定されたサブタイプ、もしくは特殊タイプの土地を一つでもコントロールしている限りブロックされない。(rule 309〔ブロック・クリーチャー指定ステップ〕参照)
502.6c 雪をかぶった 土地渡りは土地渡りの特殊な形である。雪をかぶった 土地渡りを持つクリーチャーは、防御側プレイヤーが指定されたサブタイプ、もしくは特殊タイプの雪をかぶった 土地を一つでもコントロールしている限りブロックされない。もしプレイヤーがどんな土地渡りの能力でも選ぶ事を許された場合、そのプレイヤーは雪をかぶった 土地渡りの能力を選んでも良い。ある効果によってパーマネントのすべての土地渡りの能力が失われるとき、雪をかぶった 土地渡りも同じように能力を失う。
502.6d 土地渡りもしくは雪をかぶった 土地渡り 能力は互いを「相殺」しない。
例:雪をかぶった 森渡りを持つクリーチャーをコントロールしている場合、防御側プレイヤーが雪をかぶった 森をコントロールしているなら、そのプレイヤーのコントロールする、雪をかぶった 森渡りを持つクリーチャーにさえもブロックされない。
502.7a プロテクションは常在型能力であり、「プロテクション([性質])/Protection from [性質]」と書かれる。この性質は通常は色であるが(例えば「プロテクション(黒)」)、どのような特性値であってもよい。この性質が何らかのタイプの場合、プロテクションは、そのタイプを持つパーマネントやその他の発生源に適用される。
502.7b プロテクションを持つパーマネントは、記述された性質を持つ呪文の対象にならず、記述された性質を持つ発生源からの能力の対象にもならず、そして記述された性質を持つエンチャントによってエンチャントされる事もない。プロテクションを持つパーマネントにエンチャントしているエンチャントは状況起因効果によりオーナーの墓地に置かれる。(rule 420〔状況起因効果〕参照)さらに、その性質を持つ発生源から与えられる全てのダメージを0に軽減する。攻撃に参加した場合、その性質を持つクリーチャーによってブロックされない。
502.8b シャドーを持つクリーチャーはシャドーを持たないクリーチャーにブロックされず、シャドーを持たないクリーチャーはシャドーを持つクリーチャーにブロックされない。(rule 309〔ブロック・クリーチャー指定ステップ〕参照)
502.9a 「トランプル/Trample」は、攻撃クリーチャーの戦闘ダメージの割り振りのルールを変更する常在型能力である。トランプルは、ブロック時や戦闘ダメージ以外のダメージを与えたりする時には特別な影響を及ぼさない。(rule 310〔戦闘ダメージ・ステップ〕参照)
502.9b トランプルを持つ攻撃クリーチャーのコントローラーは、ダメージをまずそれをブロックしたクリーチャー(群)に割り振る。すべてのブロック・クリーチャーに致死ダメージが割り振られた場合、攻撃クリーチャーのコントローラーは、残りのダメージを、ブロック・クリーチャーと防御側プレイヤーに選んで割り振る。致死ダメージを割り振られたかどうかのチェック時には、今までにそのクリーチャーに与えられたダメージや同時に与えられる他のクリーチャーからのダメージも考慮に入れる(rule 502.9f 参照)。コントローラーはすべてのブロック・クリーチャーに致死ダメージを割り振る必要はないが、その場合には防御側プレイヤーにはダメージを割り振ることはできない。
502.9c トランプルを持つ攻撃クリーチャーをブロックしたクリーチャーが、戦闘ダメージ・ステップよりも前にすべて戦闘から取り除かれた場合、ダメージはすべて防御側プレイヤーに割り振られる。
502.9d トランプルを持つクリーチャーからダメージを割り振る際には、ブロック・クリーチャーの実際のタフネスのみを考え、最終的に与えるダメージの量を変化させ得る能力や効果は考慮に入れない。
502.9e 攻撃クリーチャーが複数いるとき、トランプルを持たないクリーチャーからのダメージを、トランプルを持つクリーチャーからのダメージが最大限生かせるように割り振るのは適正である。
例:複数の攻撃クリーチャーをブロックすることのできる能力を持った2/2クリーチャーが、1/1で特殊能力を持たないクリーチャーと、3/3でトランプルを持ったクリーチャーとをブロックしたとする。アクティブ・プレイヤーは、第1の攻撃クリーチャーからの1点のダメージと第2の攻撃クリーチャーからの1点のダメージをブロック・クリーチャーに、そしてトランプルによる2点のダメージを防御側プレイヤーに、それぞれ割り振ることができる。
502.10a 「バンド/Banding」は攻撃クリーチャー指定や戦闘ダメージの割り振りのルールを修正する常在型能力である。
502.10b プレイヤーが攻撃クリーチャーを指定するときに、バンドを持つクリーチャーを任意の数と、1体までのバンドを持たないクリーチャーを一つの「バンド」として宣言してもよい。(防御側のプレイヤーはバンドを宣言できない。しかし異なる方法でバンドを使うことができる。(rule 502.10h 参照))。
502.10c プレイヤーは任意の数の攻撃バンドを指定してもよいが、クリーチャーはそれぞれ1つのバンドにしか所属できない。
502.10d 攻撃バンドがいったん宣言されると、たとえ後で何らかの方法によって一つもしくは複数のクリーチャーのバンド 能力が取り除かれても、戦闘が終わるまでその効果は続く。但し、戦闘から取り除かれた場合には、バンドからも取り除かれる。
502.10e 攻撃クリーチャーの1体がクリーチャーによってブロックされた状態になると、同じバンドに属する他のそれぞれのクリーチャーもその攻撃クリーチャーと同じブロック・クリーチャーによってブロックされた状態になる。
例:プレイヤーが、飛行を持つクリーチャーと沼渡りを持つクリーチャーで構成されたバンドで攻撃する。防御側プレイヤーは、沼をコントロールしているとしても、飛行 クリーチャーをブロックすることは可能である。防御側のプレイヤーがそうした場合、沼渡りを持つクリーチャーも、同じようにブロック・クリーチャーによってブロックされた状態になる。
502.10f バンドによって攻撃クリーチャーが能力を分け合ったり、能力を失ったりすることはない。バンドに所属する攻撃クリーチャーは、それぞれ別々のパーマネントである。
502.10g バンドを構成しているクリーチャーの1体が効果の影響でブロックされた状態になった場合、そのバンド全体がブロックされた状態になる。
502.10h バンドしている攻撃クリーチャーをコントロールしているプレイヤーはそのクリーチャーをブロックしたクリーチャーが与える戦闘ダメージをどのように割り振るかを選ぶ。バンドしているブロック・クリーチャーをコントロールしているプレイヤーはそのクリーチャーがブロックしたクリーチャーが与える戦闘ダメージをどのように割り振るかを選ぶ。攻撃もしくはブロックする時にバンド 能力を持っていたとしても、戦闘ダメージ・ステップの開始前にその能力が取り除かれた場合はダメージは通常どおりに割り振られる。
502.11a 他の〜とのバンドは、バンドの特殊な一形態である。何らかの効果によってパーマネントがバンドを失う場合、他の〜とのバンドもまた失われる。
502.11b 「他の[クリーチャー・タイプ]とのバンド/bands with other [クリーチャー・タイプ]」は、同じ「他の[クリーチャー・タイプ]とのバンド」を持つクリーチャーと攻撃バンドを組むことができる。バンドを持つクリーチャーもこのバンドに参加できるが、バンドを持たないクリーチャーは参加できない。このバンドに含まれるクリーチャーは必ずしも「他の[クリーチャー・タイプ]とのバンド」で特定されたクリーチャー・タイプを持つ必要はない。このバンドをブロックするときは、バンド一般のルールに従って処理される。
502.11c 攻撃クリーチャーが、同じ「他の[クリーチャー・タイプ]とのバンド」を持つクリーチャー2体以上によってブロックされた場合、防御側プレイヤーは攻撃クリーチャーがどのようにダメージを割り振るかを決定する。同様に、ブロック・クリーチャーが、同じ「他の[クリーチャー・タイプ]とのバンド」を持つ攻撃クリーチャー2体以上をブロックした場合、攻撃側プレイヤーはブロック・クリーチャーがどのようにダメージを割り振るかを決定する。
502.12a ランページは誘発型能力である。「ランページ[X]/Rampage [X]」は、「このクリーチャーがブロックされた時、このクリーチャーをブロックしている2体め以降のクリーチャー1体ごとに、ターン終了時まで+X/+Xの修正を受ける」ということを意味する(rule 309〔ブロック・クリーチャー指定ステップ〕参照)。
502.12b ランページのボーナスは戦闘のたび、誘発型能力が解決される時に一回だけ計算する。その後にブロック・クリーチャーが追加、もしくは取り除かれてもその戦闘中はボーナスは変わらない。
502.13a 累加アップキープは、パーマネントに上昇するコストを負わせる誘発型能力である。「累加アップキープ:[コスト]/Cumulative upkeep - [コスト]」という表記は、「あなたのアップキープの開始時に、年齢カウンターを1個このパーマネントの上に置く。このパーマネントの上にある年齢カウンター一つごとに[コスト]を支払ってもよい。そうしなければ、これを生け贄に捧げる」ということを意味する。
502.13b パーマネントに複数の累加アップキープがある場合、それぞれが別々に誘発する。しかしながら、年齢カウンターはどの特定の能力にも関連づけられていないので、それぞれの累加アップキープの解決時に、パーマネントの上にある年齢カウンターの総数を数える。
例:「累加アップキープ - 1点のライフを支払う」という能力を二つ持っているクリーチャーがあり、現在その上には、年齢カウンターは存在しない。今、この2つの能力が誘発したとする。一つめの能力が解決されるとき、そのコントローラーはカウンターを乗せ、1点のライフを支払うことを選択した。二つめの能力が解決されるとき、さらに一つのカウンターを乗せるので、ライフの支払いは2点となる。
502.14a 「冠雪/Snow-covered」とは、それ自身では何も意味を持たない能力であり、他のカードが参照することのあるキーワードであるだけである。ルールもしくは効果が「雪をかぶった 土地」を参照する場合、それは冠雪 能力を持った土地のことである。ルールもしくは効果が「雪をかぶった 森」を参照する場合、それは冠雪 能力を持った森のことを意味する。
502.14b Ice Age・エキスパンションで、5種類の雪をかぶった 土地が印刷された。それらの名前は、《Snow-Covered Plains》《Snow-Covered Island》《Snow-Covered Swamp》《Snow-Covered Mountain》《Snow-Covered Forest》である。これらの土地は、名前が違い、冠雪 能力を持っているものの、基本地形である。
502.14c ある効果によって冠雪 能力を得たり失ったりすることがある。この場合にも、土地もしくはその土地の持ついくつかのタイプ、サブタイプや特殊タイプの名前が変更されるわけではない。例えば、《Snow-Covered Forest》という名前のカードは「Snow-Covered Forest」であり、冠雪 能力を得た《森/Forest》はやはり《森》である。
502.15a 「フェイジング/Phasing」は、アンタップ・ステップのルールを変更する常在型能力である。
502.15b それぞれのプレイヤーのアンタップ・ステップに、そのアクティブプレイヤーがコントロールするパーマネントをアンタップする前に、そのプレイヤーのコントロールするオブジェクトのうちでフェイジングを持つもの全てがフェイズ・アウトする。同時に、フェイズ・アウトしたときにそのプレイヤーがコントロールしていた全てのパーマネントがフェイズ・インする(rule 217.8〔フェイズ・アウト〕、および rule 302.1 参照)。
502.15c 効果によってプレイヤーのアンタップ・ステップが飛ばされた場合、フェイジングのイベントはそのターン、単に起こらなくなる。
502.15d フェイズ・インしてくるパーマネントは、場に出るときの能力やどうやって場に出るかを変更する効果を無視する。フェイジングについて特別に明記してある能力や効果だけが変更したり誘発したりする。フェイズ・アウトするパーマネントは、場を離れるときの効果を通常通りに誘発する(アンタップ・ステップの間には優先権が発生しないので、フェイジングのイベントによって誘発した能力はアップキープ・ステップの開始時までスタックに積まれない)。
502.15e パーマネントがフェイズ・アウトしたとき、それが受けていたダメージは取り除かれる。
502.15f フェイズ・アウト領域から場に戻ったカードは、場を離れたときのものと同じパーマネントとして扱われる。これは、パーマネントが領域を変更した場合には以前の記憶を「忘れる」という rule 217.1c の例外である。
502.15g 一時的な持続効果やパーマネントを参照する遅延誘発型能力は、そのパーマネントがフェイズ・アウトした場合には影響を及ぼしつづけることはできない。一方、それ以外で、そのパーマネントを参照する効果(永続的な持続効果を含む)は、場に戻ってきたときにも影響を与え続ける。
例:《巨大化/Giant Growth》の影響を受けているクリーチャーがフェイズ・アウトした場合、もしそのターンの間に場に戻ってきたとしても、+3/+3の修正を受けることはない。これは、この効果が一時的な持続効果だからである。
502.15h フェイズ・アウトしたカードは、以前の状態を「覚えて」いて、同じ状態で場に戻ってくる。上にあったカウンターについて、また最初に場に出たときに行われた選択について、そして場を離れたときにタップ状態であったかどうかも「覚えて」いる。また、フェイズ・アウトしたときに誰がコントロールしていたかも「覚えて」いるけれども、コントロールを奪う効果が一時的な持続効果であり、影響力を失っていれば、異なるプレイヤーのコントロール下で場に出ることになる。
例:《Diseased Vermin》は「あなたのアップキープの開始時に、Diseased Verminによってダメージを受けたことがある対戦相手1人を対象とする。これは、そのプレイヤーにX点のダメージを与える。Xはこの上にある感染カウンターの数である」という能力を持つ。《Diseased Vermin》がフェイズ・アウトしたとき、これにいくつのカウンターが乗っているか、そしてどの対戦相手がこれによってダメージを受けたことがあるかということを「覚えて」いる。フェイズ・インしてきたとき、それらの対戦相手をアップキープ時の誘発型能力の対象にすることができる。
502.15i パーマネントがフェイズ・アウトしたとき、そのパーマネントについている全ての個別エンチャントは同時にフェイズ・アウトする。このフェイズ・アウトする二つめの方法のことを、「間接的に」フェイズ・アウトしたとも言う。「間接的に」フェイズ・アウトしたエンチャントは、それ自身ではフェイズ・インしてこないが、それのついているカードがフェイズ・インしてくるときに一緒にフェイズ・インしてくる。
502.15j 個別エンチャントが(エンチャントしているパーマネントと一緒にフェイズ・アウトしたのではなく)直接フェイズ・アウトした場合、それは何にエンチャントしていたかを「覚えて」おり、そのパーマネントについた状態で場に戻る。パーマネントが場を離れていたり、あるいはエンチャントすることが不正になっていたならば、エンチャントは場に戻り、そしてその後でオーナーの墓地に置かれる。これは状況起因効果である(rule 420〔状況起因効果〕参照)。
502.15k フェイズ・インしたパーマネントはフェイズ・アウトした時持っていたのと同じタイムスタンプを保持する(rule 418.5d、rule 418.5e 参照)しかしパーマネントが同時にフェイズ・インした事実は変更しない。
502.15m フェイズ・インしてきたパーマネントは速攻を持っているのと同じように攻撃に参加したり、能力をプレイするためにタップしたりできる。これは、そのパーマネントが場に出たターンにフェイズ・アウトし、フェイズ・インしてきた場合にも適用される。このパーマネントは、コントローラーが変わるか場を離れるまで、攻撃に参加したり、能力をプレイするためにタップしたりできる。
502.15n パーマネントを対象とする呪文や能力は、宣言後に対象のパーマネントがフェイズ・アウトし、解決前にフェイズ・インしてきた場合にも通常通りそのパーマネントを対象に解決される。
502.16a バイバックは、ある種のインスタントやソーサリーがスタックにある間に働く常在型能力である。「バイバック[コスト]/Buyback [コスト]」という語句は、「あなたは、この呪文をプレイするに際して追加で[コスト]を支払ってもよい。そうした場合、この呪文の解決に際し、この呪文をあなたの墓地に置く代わりに 手札に戻すということを意味する。呪文のバイバック・コストの支払いは、rule 409.1b、rule 409.1f-h に示された追加コストの支払いに関するルールに従う。
502.17a 「馬術/Horsemanship」はポータル三國志に存在する回避能力である。
502.17b 馬術を持つクリーチャーは、馬術を持たないクリーチャーによってブロックされない。馬術を持つクリーチャーは、馬術を持つクリーチャーも持たないクリーチャーもブロックできる。(rule 309〔ブロック・クリーチャー指定ステップ〕参照)
502.18a サイクリングは、サイクリングを持つカードがプレイヤーの手札にあるときにのみ働く起動型能力である。「サイクリング [コスト]/cycling [コスト]」という語句は、「[コスト], 手札からこのカードを捨てる:カードを1枚引く。」ということを意味する。
502.18b サイクリングはそのカードが手札にあるときにしかプレイできないが、オブジェクトが場やその他すべての領域にあるときにも存在しつづける。従って、サイクリングを持つオブジェクトは、1つもしくは多数の起動型能力を持つオブジェクトに影響を及ぼす効果の影響を受ける。
502.18c 土地サイクリング 能力は、サイクリング 能力の一種である。「[土地タイプ]サイクリング [コスト]/[土地タイプ]cycling [コスト]」は「[コスト], このカードをあなたの手札から捨てる:あなたのライブラリーから[土地タイプ]カードを1枚探し、公開してあなたの手札に加える。その後、あなたのライブラリーを切りなおす。」を意味する。いずれかのプレイヤーがカードをサイクリングしたときに誘発するカードは、土地サイクリング 能力がプレイされたときにも誘発する。サイクリングを禁止する効果によって、カードの土地サイクリング 能力のプレイも禁止される。
502.19a エコーは誘発型能力である。「エコー/echo」と書かれていた場合、それは「あなたのアップキープの開始時に、もしあなたがこのパーマネントのコントロールを、あなたの直前のアップキープより後に得たのであれば、これのマナ・コストを支払わない限りこれを生け贄に捧げる」ということを意味する。
502.20a 消散は2つの能力を表すキーワードである。「消散 [X]/Fading [X]」という語句は、「このパーマネントは、その上に消散カウンターがX個置かれた状態で場に出る」「あなたのアップキープの開始時、このパーマネントの上から消散カウンターを1個取り除く。消散カウンターを取り除けないなら、このパーマネントを生け贄に捧げる」ということを意味する。
502.21a キッカーはその呪文がスタックに積まれている間に働く常在型能力である。「キッカー [コスト]/Kicker [コスト]」という語句は、「この呪文をプレイするに際し、あなたはさらに[コスト]を支払ってもよい」ということを意味する。「キッカー [コスト1]/[コスト2]/Kicker [コスト1] and/or [コスト2]」という表現は、「キッカー [コスト1], キッカー [コスト2]」というのと同じである。呪文のキッカー・コストの支払いは、rule 409.1b、rule 409.1f に示された追加コストの支払いに関するルールに従う。
502.21b キッカーを持つオブジェクトは、キッカー・コストが支払われたときに起こることを特定する、追加の能力を持っている。複数のキッカー・コストを持つオブジェクトは、それぞれのキッカー・コストに対応する 能力を持っている。
502.21c キッカー・コストが支払われたときについてのそのテキストがパーマネントやプレイヤーを対象とする場合、呪文のコントローラーはその該当するキッカー・コストを支払うという意志を宣言したときにのみその対象を選ぶ。そうでなければ、その対象の選択は行われない。
502.21d [コスト1]と[コスト2]の複数のキッカー・コストを持つカードは、「[コスト1]のキッカー・コストを支払った場合には/if the [コスト1] kicker cost was paid」と「[コスト2]のキッカー・コストを支払った場合には/if the [コスト2] kicker cost was paid」という語句を含んでいる。この文章は、単にそれぞれのキッカー・コストを意味しているだけであり、実際にどれだけのコストが支払われたかは関係ない。言い換えると、「[コスト1]のキッカー・コストを支払った場合には」とは「1番めに表記されているキッカー・コストを支払った場合には」という意味であり、「[コスト2]のキッカー・コストを支払った場合には」とは「2番めに表記されているキッカー・コストを支払った場合には」という意味である。
502.22a フラッシュバックは、ある種のインスタントやソーサリー・カードがプレイヤーの墓地にあるときに働く常在型能力である。「フラッシュバック [コスト]/Flashback [コスト]」とは、「このカードのマナ・コストを払うのではなく[コスト]を支払うことで、あなたはこのカードを墓地からプレイしてもよい。そうした場合、このカードがスタックから離れる場合、他の場所に移動させるかわりにゲームから取り除く」ということを意味する。フラッシュバック 能力を使って呪文をプレイすることは、rule 409.1b、rule 409.1f-h の代替コストを支払うことに関するルールに従う。
502.23a スレッショルドは、「スレッショルド ─ [文章]/Threshold -- [文章]」と表記される特性定義能力であり、その書かれているオブジェクトのルール・テキストを状況によって書き換える。文章の部分によって、あらゆる能力が生成されうる。「スレッショルド ─ [文章]」とは、「あなたの墓地に7枚以上のカードがある場合、[このオブジェクト]は '[文章]' を持つ」ということを意味する。
502.23b スレッショルドを持つ呪文やパーマネントは、そのコントローラーの墓地に7枚以上のカードがある場合にのみ、スレッショルド文章を持つものとして扱う。そうでない場合、「スレッショルド ─」以下の文章はその呪文やパーマネントに存在しないものとして扱われる。
502.23c スレッショルドを持つインスタントやソーサリーは、そのカードがスタックにある間(つまり呪文である間)にのみスレッショルド文章を持つ。スレッショルドを持つアーティファクト、クリーチャー、エンチャント、あるいは土地は、そのパーマネントが場にある間だけスレッショルド文章を持つ。
502.24a マッドネスは二つの能力からなる。一つは、カードが手札にあるときに影響を与える常在型能力、もう一つは、一番目の能力が適用されたときに発生する誘発型能力である。「マッドネス [コスト]/Madness [コスト]」とは、「いずれかのプレイヤーが自分の手札からこのカードを捨てようとする場合、そのカードは捨てられるが、そのカードを墓地に置く代わりにゲームから取り除いてもよい」と「このカードがこの方法でゲームから取り除かれたとき、そのプレイヤーが次にパスするまでの間、そのプレイヤーは、インスタントをプレイできるときならいつでも、マナ・コストではなく[コスト]を支払うことで、そのカードが手札にあるかのように プレイしてもよい。そのプレイヤーが次にパスをしたとき、そのプレイヤーはこれをそのプレイヤーの墓地に置く」の二つの意味を持つ。
502.24b マッドネス能力で呪文をプレイする場合は、rule 409.1b および rule 409.1f の代替コストのルールに従う。
502.26a 変異は、その能力を持つカードをプレイできる時ならいつでも働く常在型能力であり、その効果は、そのカードが裏向きである時ならいつでも働く。「変異 [コスト]/Morph [コスト]」とは、「あなたはこのカードを、本来のマナ・コストではなく{3}を支払うことで、裏向きで2/2の、テキストや名前やクリーチャー・タイプやエキスパンション・シンボルを持たない、マナ・コストが{0}のクリーチャーとしてプレイできる。」をという意味である。そのコントローラーは、インスタントをプレイできる時ならいつでもその裏向きのパーマネントの変異 コストを公開し、それを支払って表にすることができる。この行動はスタックを使わない(rule 504〔裏向きの呪文やパーマネント〕参照)。
502.26b 変異 能力を使ってカードをプレイするには、まずそれを裏向きにする。それは、テキストや名前やクリーチャー・タイプやエキスパンション・シンボルを持たない、マナ・コスト{0}の、2/2の裏向きのクリーチャー カードとなる。これらの値はオブジェクトの特性のコピー可能な値である(rule 418.5〔継続的効果の相互作用〕参照)。それを(同じ特性を持つ裏向きの呪文として)スタックに置き、本来のマナ・コストではなく{3}を支払う。これは、代替コストのルールに則って処理される。変異 能力を持つカードを呪文としてプレイすることができる領域ならどの領域からでも、変異 能力を使ってカードをプレイできる。その呪文が解決されたとき、それは呪文のときと同じ特性をもったまま場に出る。変異の効果は、このパーマネントが裏向きである場合常に適用され、表向きになったときに終わる。
502.26c 変異 能力を持たないカードを裏向きにプレイすることはできない。
502.26d あなたがインスタントをプレイできるときならいつでも、あなたは裏向きのパーマネントを表向きにしてよい。そうするには、すべてのプレイヤーにそのパーマネントの変異 コストが何であるかをその効果が終わる時に示し、それを支払い、そのパーマネントを表向きにする。変異の効果は終了し、その通常の特性を取り戻す。そのパーマネントが場に出たときに誘発される能力は、表向きになったときには誘発されず、効果を発揮しない。そのパーマネントはすでに場に出ているからである。
502.26e 変異を持つ表向きのパーマネントが呪文や能力によって裏向きになった場合、それは裏向きで2/2の、テキストや名前やクリーチャー・タイプやエキスパンション・シンボルを持たない、マナ・コストが{0}のクリーチャーになる。これらの特性はコピー可能な値となる(rule 418.5〔継続的効果の相互作用〕およびrule 503〔オブジェクトのコピー〕参照)。また、変異と裏向きのクリーチャーに関するルールが通常通り適用される。
502.26f 変異 能力を持つカードのプレイに関する詳細については、rule 504〔裏向きの呪文やパーマネント〕を参照のこと。
502.27a 増幅は常在型能力である。「増幅 [X]/Amplify [X]」は、「このオブジェクトが場に出るに際し、あなたの手札にあるそのオブジェクトと同じクリーチャー・タイプを持つカードを望む枚数公開する。このパーマネントは、これにより公開されたカード1枚につきX個の+1/+1カウンターが置かれた状態で場に出る。このカード自身や、このカードと同時に場に出る カードを公開することはできない。」という意味である。
502.28a 「二段攻撃/Double Strike」は、戦闘ダメージ・ステップのルールを変更する常在型能力である。(rule 310〔戦闘ダメージ・ステップ〕参照
502.28b 戦闘ダメージ・ステップの開始時、少なくとも1体の攻撃クリーチャーまたはブロック・クリーチャーが二段攻撃か先制攻撃を持っている場合、二段攻撃も先制攻撃(rule 502.2〔先制攻撃〕を参照)も持たないクリーチャーは戦闘ダメージを割り振らない。戦闘終了ステップに進む代わりに、第2戦闘ダメージ・ステップが行なわれ、残りのクリーチャーからのダメージを処理する。第2戦闘ダメージ・ステップの間、第1戦闘ステップで戦闘ダメージを割り振らなかった残存する攻撃・ブロック クリーチャーに加えて二段攻撃をもつどのクリーチャーもそれぞれの戦闘ダメージを割り振る。
502.28c 第1戦闘ダメージ・ステップの間にクリーチャーから二段攻撃を取り除いた場合、そのクリーチャーは第2戦闘ダメージ・ステップではダメージを割り振らない。
502.28d 第1戦闘ダメージ・ステップに先制攻撃の戦闘ダメージをスタックに置いた後で先制攻撃を持つクリーチャーに二段攻撃を与えた場合、そのクリーチャーは、すでに第1戦闘ダメージ・ステップで戦闘ダメージを割り振っていたとしても、第2戦闘ダメージ・ステップでダメージを割り振る。
502.29a 挑発は誘発型能力である。「挑発/Provoke」は「このクリーチャーが攻撃に参加するたび、あなたは『防御側プレイヤーがコントロールしているクリーチャー1体を対象とする。それは可能ならこのクリーチャーをブロックする。』を選んでもよい。そうした場合、そのクリーチャーをアンタップする。」を意味する。
502.30a ストームは、カードをスタックに置く際に機能する誘発型能力である。「ストーム」は「あなたがこの呪文をプレイしたとき、このターン、この呪文より前にプレイされた呪文1つにつき、この呪文のコピーを1つスタックに置く。この呪文が対象を取る場合、あなたはそれぞれのコピーの対象を選びなおしてもよい。」を意味する。
503.1. コピー・カードは、呪文、パーマネント、あるいはカードの「コピー」を生成する、あるいは「コピー」になるカードである(古いカードの中には「コピーを探す/search for a copy」という語句があるものがあるが、この節ではそれについては扱わない。また、それらのカードはオラクルで修正されている)。
503.2. オブジェクトをコピーする場合、そのコピーは、元のオブジェクトの特性(名前、マナ・コスト、色、タイプ、特殊タイプ、サブタイプ、エキスパンション・シンボル、ルール・テキスト、パワー、タフネス)のコピー可能な値を得る。さらに、スタックにあるオブジェクトの場合、プレイ時に行なわれた選択(モード、対象、Xの値、キッカー・コストを支払ったかどうか、複数の対象にどのように影響を与えるか、など)もコピーする。オブジェクトの「コピー可能な値」とは、オブジェクトに印刷されている値に、コピー 効果による変更と、呪文やパーマネントが裏向きであることによる影響を加味したものである。それ以外の(タイプを変更するようなものも含む)効果やカウンターはコピーされない。
例:《キマイラ杖/Chimeric Staff》は「{X}:ターン終了時まで、キマイラ杖はX/Xのアーティファクト・クリーチャーになる」というアーティファクトであり、《クローン/Clone》は「クローンが場に出るに際し、場にあるクリーチャーを選択する。そうした場合、クローンはそのクリーチャーのコピーとして場に出る」というクリーチャーである。《キマイラ杖》が5/5のアーティファクト・クリーチャーになった後で、《クローン》がそれのコピーとして場に出た場合、《クローン》は5/5のアーティファクト・クリーチャーではなく、単なるアーティファクトとして場に出る(そのコピーは《キマイラ杖》の能力を持っているので、その能力を起動してクリーチャーになることはできる)。
503.3. コピーされた情報はそのコピーのコピー可能な情報となり、過去のコピー可能な情報を上書きする。そのコピーを他のオブジェクトがコピーした場合には、新しいコピー可能な情報を用いる。
例:《ヴェサヴァン・ドッペルゲンガー/Vesuvan Doppelganger》が《灰色熊/Grizzly Bears》(能力を持たない2/2の緑のクリーチャー)のコピーとして場に出た。《ヴェサヴァン・ドッペルゲンガー》は「ヴェサヴァン・ドッペルゲンガーが場に出るに際し、場にあるクリーチャーを選んでもよい。そうした場合、ヴェサヴァン・ドッペルゲンガーはその色を除いて、そのクリーチャーのコピーとなり、『あなたのアップキープの開始時に、このクリーチャーを色を除いて、他のクリーチャーのコピーとしてもよい。そうした場合、このクリーチャーはこの能力を得る』という能力を得る」という能力を持つ。その後で、《クローン/Clone》がその《ヴェサヴァン・ドッペルゲンガー》のコピーとして場に出た場合には、《クローン》は2/2の青で、クリーチャー・タイプが「Bear/熊」の《灰色熊》となり、《ヴェサヴァン・ドッペルゲンガー》のアップキープ 誘発型能力を持つ。
503.4. パーマネントをコピーしているパーマネントが場にある間、それを他のパーマネントのコピーにするという効果が存在する。その変化は場に出たときの能力や場を離れたときの能力を誘発させないし、すでに存在している、そのパーマネントに影響を及ぼす効果を変更することもない。
例:《不定の多相の戦士/Unstable Shapeshifter》は「クリーチャーが場に出るたび、不定の多相の戦士はそのクリーチャーのコピーとなり、この能力を得る」という能力を持つ。《不定の多相の戦士》が、「クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+3/+3の修正を受ける」という効果を持つ《巨大化/Giant Growth》の影響を受けている時に他のクリーチャーが場に出た場合、《不定の多相の戦士》はそのクリーチャーのコピーとなるが、《巨大化》による+3/+3の影響は残る。
503.5. 他のパーマネントの「コピーとして」場に出る オブジェクトは、場に出るに際してそのパーマネントのコピーとなる。場に出てからそのパーマネントのコピーになるわけではない。コピーが、(「〜状態で場に出る/comes into play with」や「[これ]が場に出るに際し/as [これ] comes into play」などの)場に出る イベントを置換する能力を得ていた場合、それらの能力は効果を発揮する。また、そのコピーが持つあらゆる場に出たときの誘発型能力も誘発する機会がある。例:《スカイシュラウドのビヒモス/Skyshroud Behemoth》は「消散2(このクリーチャーは、その上に消散カウンターが2個置かれた状態で場に出る。あなたのアップキープの開始時、そのクリーチャーの上から消散カウンターを1個取り除く。消散カウンターを取り除けないなら、そのクリーチャーを生け贄に捧げる。)/スカイシュラウドのビヒモスは、タップ状態で場に出る」という能力を持つ。《クローン/Clone》が、《スカイシュラウドのビヒモス》のコピーとして場に出る場合、消散カウンターが2個置かれた状態で、タップ状態で場に出る。
例:《シマクマ/Striped Bears》は「シマクマが場に出たとき、カードを1枚引く」という能力を持っている。《クローン》が《シマクマ》のコピーとして場に出るとき、《クローン》は《シマクマ》の場に出るときの誘発型能力を持っているので、《クローン》のコントローラーはカードを1枚引く。
503.6. パーマネントをコピーするとき、そのパーマネントに関して行なわれた選択はコピーされない。あるオブジェクトが他のパーマネントのコピーとして場に出る場合、そのオブジェクトのコントローラーが、全ての「場に出るに際し」ての選択を行なう。
例:《クローン/Clone》が《カメレオン・スピリット/Chameleon Spirit》のコピーとして場に出る。《カメレオン・スピリット》は「カメレオン・スピリットが場に出るに際し、色を1色選ぶ」という能力を持つ。この《クローン》は、《カメレオン・スピリット》の行っていた色の選択についてはコピーしないで、《クローン》のコントローラーが改めてその選択を行なう。
503.7. パーマネントに関して行なわれた選択はコピーされないので、コピー・カードは、行われていない選択に基づく能力を得ることがある。その場合、その選択は「0」または「未定義」として扱われる。
例:《万物の声/Voice of All》が場に出て、《不定の多相の戦士/Unstable Shapeshifter》がそれをコピーしている。《万物の声/Voice of All》は「万物の声が場に出るに際し、色を1色選ぶ。/万物の声は、選んだ色に対するプロテクションを持つ」という能力を持つ。《不定の多相の戦士》は《万物の声》として場に出ることはなく、従って色を選択する機会がないので、《不定の多相の戦士》のプロテクション 能力はまったく意味をなさない。
503.8. プレイヤーにそのコピーが場に出たときの選択を行わせる能力が存在する場合、そのコピーはその選択を覚えており、その値が適切ならば、能力に使おうとする。もし適切でなければ、それは「0」または「未定義」として扱われる。
例:《ヴェサヴァン・ドッペルゲンガー/Vesuvan Doppelganger》が《カメレオン・スピリット/Chameleon Spirit》のコピーとして場に出る時、《ヴェサヴァン・ドッペルゲンガー》のコントローラーが青を選択し、後で、《ヴェサヴァン・ドッペルゲンガー》が《クウィリーオン・エルフ/Quirion Elves》のコピーとなったとする。《クウィリーオン・エルフ》は「{T}:あなたのマナ・プールに、選んだ色のマナ1点を加える」という能力を持つ。この能力をプレイした場合には、青マナを生み出すことになる。
例:《ヴェサヴァン・ドッペルゲンガー》が、《狩りの統率者/Caller of the Hunt》のコピーとして場に出た。《狩りの統率者》は「あなたが狩りの統率者をプレイするに際し、クリーチャー・タイプを1つ選ぶ」という能力を持つ。ここで、ゴブリンを選択した場合、後で、《ヴェサヴァン・ドッペルゲンガー》が《クウィリーオン・エルフ》のコピーとなった場合、それの(訳注:2つめの)マナ能力がプレイされたとしても、マナを出すことには失敗する。ゴブリン・マナを生み出すことはない。
503.9. コピー 効果の中には、コピー中にコピーに能力を与えるものがある。この能力は、コピーされたものと同じように、コピーのコピー可能な値として扱われる。また、コピー 効果の中には、ある特性をコピーしない、と書かれたものがある。この場合、その本来の値が保持される。
例:《クウィリーオン・エルフ/Quirion Elves》が場に出て、《不定の多相の戦士/Unstable Shapeshifter》がそれをコピーした。《不定の多相の戦士》のコピー可能な値は、《不定の多相の戦士》が「クリーチャーが場に出るたび、不定の多相の戦士はそのクリーチャーのコピーとなり、この能力を得る」という能力を持っていることを除いて、《クウィリーオン・エルフ》と同じになる。その後で、《クローン/Clone》が《不定の多相の戦士》のコピーとして場に出た場合、《クローン》は《不定の多相の戦士》が《クウィリーオン・エルフ》をコピーしている途中で自分自身に与えた能力も含む、新しいコピー可能な値をコピーする。
503.10. 呪文をコピーするとは、その呪文のコピーをスタックに積む、ということを意味する。呪文のコピーは「プレイ」されない。呪文の特性のコピーに加えて、例えばモード、対象、Xの値、バイバックなどの選択的コストの支払いなど、呪文をプレイするときになされた全ての選択がコピーされる(rule 409〔呪文や起動型能力のプレイ〕参照)。解決時に通常行われる選択はコピーされない。それを表すカードは存在しないが、呪文のコピーは呪文であり、通常の呪文と同じように働く。打ち消されることも、解決されることもできるし、通常の呪文と同じタイミングのルールに乗っ取って処理される。
例:あるプレイヤーが、《エメラルドの魔除け/Emerald Charm》を対象に《分岐/Fork》をプレイした。《分岐》は、「インスタント 呪文1つかソーサリー 呪文1つを対象とする。それのコピーをスタックに置く。このとき、色はコピーしないし、コピーに関して新しい対象を選ぶことができる」という文章である。《エメラルドの魔除け》は「以下の3つから1つを選ぶ。『パーマネント1つを対象とする。それをアンタップする』『全体エンチャント1つを対象とする。それを破壊する』『クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで飛行を失う』」という文章である。《分岐》の解決時に、《エメラルドの魔除け》のコピーがスタックに積まれる。このコピーは元の《エメラルドの魔除け》と同じモードを持つ。対象が同じである必要はないが、これは《分岐》がそう認めているからである。
503.11. ある効果がパーマネントを名前で参照する場合、他のものをコピーした結果名前が変わっていたとしても、その効果はそのパーマネントを追い続ける。
例:《不定の多相の戦士/Unstable Shapeshifter》が《狂ったアーモドン/Crazed Armodon》をコピーしている。《狂ったアーモドン》は「{G}:狂ったアーモドンは、ターン終了時まで、+3/+0の修正を受けるとともにトランプルを得る。ターン終了時に狂ったアーモドンを破壊する。この能力は1ターンに1回だけしかプレイできない」という能力を持っている。この起動型能力がプレイされた後、ターン終了時までに他のもののコピーになっていたとしても、ターン終了時にこの《不定の多相の戦士》は破壊される。
504.1. 古いカード1枚(《幻影の仮面/Illusionary Mask》)または変異 能力(rule 502.26 参照)によって、呪文やパーマネントは裏向きになることがある。
504.2. スタック上にある裏向きの呪文、裏向きで場に出ているパーマネント、フェイズ・アウト領域にある裏向きのカードは、そのカード、呪文やパーマネントを裏向きにさせた能力やルールによって規定されている以外の特性を持たない。規定されている特性は、そのオブジェクトのコピー可能な値となる(rule 418.5〔継続的効果の相互作用〕とrule 503〔オブジェクトのコピー〕参照)。裏向きに場に出る オブジェクトは、それが場に出るよりも前に裏向きになるので、そのパーマネントの場に出るときの能力は(それが誘発型能力の場合)誘発しないし、(常在型能力の場合)効果を発揮しない。また、裏向きでプレイされるオブジェクトは、スタックに積まれるよりも前に裏向きになるので、その呪文の特性を見る効果はその裏向きの呪文の特性だけを見ることになる。
504.3. スタックにある裏向きの呪文または場にある裏向きのパーマネントのコントローラーは、それらの表をいつでも見ることができる。他の領域にある裏向きのカードや、自分がコントロールしていない呪文やパーマネントの表を見ることは、できない。パーマネントを裏向きにする能力やルールによっては、表向きにすることが認められている場合がある。通常、裏向きの呪文を表向きにすることはできない。
504.4. スタック上で複数の裏向きの呪文をコントロールしていたり、場にある複数の裏向きのパーマネントをコントロールしたりしている場合、常にそれぞれの裏向きの呪文やパーマネントの区別が付くようにしなければいけない。これには、呪文をプレイした順番、裏向きのパーマネントが場に出た順番、どのクリーチャーが前のターンに攻撃したか、その他それぞれの裏向きの呪文やパーマネントの相違点などが含まれる。裏向きのオブジェクトを区別する無難な方法としては、カウンターやダイスを使ったり、パーマネントが場に出た順番にしたがって並べたりするなどの方法がある。
504.5. 裏向きのパーマネントが表向きになるに際して、そのパーマネントのコピー可能な値は通常のコピー可能な値に戻る。裏向きのパーマネントに影響を与えていた効果は、そのまま表向きのパーマネントにも影響を与える。パーマネントが表向きになったときには、そのパーマネントが場に出たときに誘発する能力は誘発されない。なぜなら、そのパーマネントはすでに場に出ていたからである。
504.6. 裏向きで場にあるパーマネントがフェイズド・アウト以外の領域に移動した場合、そのオーナーはその表を見せなければならない。裏向きのオブジェクトがフェイズド・アウト領域から場以外の領域に移動した場合、オーナーはすべてのプレイヤーにその表を見せなければならない。裏向きの呪文がスタックから場以外の領域に移動した場合、オーナーはすべてのプレイヤーにその表を見せなければならない。各ゲームの終了時に、すべてのプレイヤーに、すべての裏向きのオブジェクトの表を見せなければならない。
505.1. 分割カードでは、一枚のカードに2組の表が存在する。分割カードの裏は、通常のマジックのカードと同じ裏になっている。
505.2. スタック以外の領域にあるときは、分割カードは二組の特性を持つ。呪文がスタックにあるときは、プレイされている側の特性だけが存在し、他方の特性は存在しないものとして扱われる。
505.3. 全ての分割カードは、それぞれの半分が異なる色のマナ・シンボルをマナ・コストに含むので、呪文がスタックにあるときを除いては多色として扱われる。呪文がスタックにあるときは、そのプレイされている側の色だけが存在する。
505.4. 分割カードには2つのプレイできる半分が存在するが、分割カードも1枚のカードである。例えば、分割カードを引いたり捨てたりする場合、それは2枚ではなく1枚として扱われる。
505.5. スタック以外の領域にある分割カードについて、ある特定の特性を問う効果は、分割カードのそれぞれの半分が持つ特性の組み合わせを答えとして得る。
例:《冥府からの誕生/Infernal Genesis》は「各プレイヤーのアップキープの開始時、そのプレイヤーは自分のライブラリーの一番上のカードを自分の墓地に置く。そのあと、そのプレイヤーは1/1の黒のミニオン・クリーチャー・トークンをX個場に出す。Xはそのカードの点数で見たマナ・コストである」という能力を持つ。この能力の解決時にライブラリーの一番上にあるカードが《暴行+殴打/Assault/Battery》であった場合、《暴行/Assault》の点数で見たマナ・コストが1で《殴打/Battery》が4なので、合計5体の1/1クリーチャー・トークンを得る。
505.6. 分割カードの特性(スタック以外のいずれかの領域にある)がある値と同じかどうかを問う効果は、一つだけの答えを得る。この答えは、分割カードのどちらかの側がその与えられた値と同じであれば「はい」になる。
例:《虚空/Void》は、「プレイヤー1人を対象とする。数を1つ選ぶ。その数と等しい値の点数で見たマナ・コストを持つアーティファクトとクリーチャーをすべて破壊する。そのあと、そのプレイヤーはその手札を見せ、その中の土地でないカードのうち、点数で見たマナ・コストがその数と等しい値のカードをすべて捨てる」という文章である。プレイヤーが《虚空》をプレイし、1または4を指定した場合、対戦相手は《暴行+殴打》を捨てることになる。5を指定した場合には、《暴行+殴打》のどちらの半分も点数で見たマナ・コストが5ではないので、影響を受けない。
505.7. 何らかの効果によってプレイヤーがカード名を指定する際、分割カードを指定しようとするなら、そのプレイヤーは分割カードの持つ2つの名前を両方とも指定しなければならない。
506.1. あるカード(《シャヘラザード/Shahrazad》)は、プレイヤーにマジックのサブゲームをプレイさせる。「サブゲーム」とは《シャヘラザード》によって作られたゲームのことを、「メインゲーム」とは《シャヘラザード》がプレイされたゲームのことを指す。サブゲームが進行中は、メインゲームは保留状態になる。サブゲームが終わった後で、メインゲームが再開される。
506.2. サブゲームが進行中に誘発したメインゲームのどの能力もサブゲームが完了するまでスタックに積まれない。
506.3 サブゲームを開始するにあたり、どのプレイヤーもゲームから裏向きでそれぞれのライブラリーを取り除く。それがサブゲームでのそれぞれのプレイヤーのデッキになる。裏向きでメインゲームからカードを取り除くことによる誘発型能力は誘発する。
506.3a. サブゲームのそれぞれのプレイヤーのデッキはカードの最小限の数を下回ることもありうる。もしプレイヤーのデッキが7枚未満ならば、例えそのプレイヤーがマリガンしたとしてもゲーム開始と同時に負けになる。(rule 420〔状況起因効果〕参照)
506.4. サブゲームは普通のゲームと同じように進行する。どちらのプレイヤーが先攻でプレイするかはランダムに決定する。
506.5 メインゲームのすべてのオブジェクトとメインゲームの外部のすべてのカードはサブゲームの外部にあると見なす(特にサブゲームに持ち込まれたカードを除く)。
506.5a. 効果の中にはゲームの外からゲーム中にカードを持ってくることの出来るものがある。メインゲームからサブゲームに持って来られたカードはメインゲームから取り除かれたものとみなす。メインゲームからオブジェクトが取り除かれることによって誘発する、メインゲーム内の能力は誘発する。
506.6 サブゲーム終了時、どちらのプレイヤーもサブゲームに持って来られたすべてのオブジェクトをメインゲームのライブラリーに置き、シャッフルする。サブゲームで取り除かれたカードはメインゲームのライブラリーには入らず、メインゲームから取り除かれたものとして扱う。
例:カードをサブゲームに持ち込んだ場合、そのカードがメインゲームの内部か外部かどちらから持って来たとしても、サブゲームが終わった時にメインゲームのオーナーのライブラリーに置かれる。
506.7. もしサブゲーム中に他のサブゲームが作られた場合、複数のサブゲームとメインゲームが発生する。どのメインゲームも1つのサブゲームを持ち、どのサブゲームも1つのメインゲームを持つ。この場合、ゲームが同時にメインゲームとサブゲームの両方になることもありうる。
マジック・ザ・ギャザリング オリジナル・ゲームデザイン: Richard Garfield
詳細ルールのデザイン・改良: Paul Barclay, Beth Moursund, and Bill Rose, with contributions from Charlie Camino, Elaine Chase, Laurie Cheers, Stephen D'Angelo, Dave DeLaney, Brady Dommermuth, Mike Donais, Skaff Elias, Mike Elliott, Richard Garfield, Dan Gray, Robert Gutschera, Collin Jackson, William Jockusch, Jeff Jordan, Jim Lin, Steve Lord, Michael Phoenix, Mark Rosewater, David Sachs, Henry Stern, Ingo Warnke, Tom Wylie, Donald X, and Bryan Zembruski
編集: Del Laugel
マジック・デザイン主任: Bill Rose
マジック・ルール・マネージャー: Paul Barclay
マジックは Richard Garfieldと、Charlie Camino, Skaff Elias, Don Felice, Tom Fontaine, Jim Lin, Joel Mick, Chris Page, Dave Pettey, Barry "Bit" Reich, Bill Rose, Elliott Segal の手によってデザインされた。マナ・シンボルは、 Christopher Rush によるデザインである。
我々のプロジェクト・チームのメンバーをはじめ、このプロダクトに関った全ての人に感謝する。
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