マジック違反処置指針は、ジャッジが、ルール適用度(REL)が競技またはプロで行なわれるイベント中に起こる規定違反の解決のための適正な懲罰と手続き、ならびにその理由となる理念を知ることができ、イベントに参加したプレイヤーが不利益を被ったり、イベントの完全性が失われたりすることを防ぐために定められている。ルールに抵触した場合に何らかの懲罰を与えなければ、ルールは有効に働かない。RELが一般のイベントにおいては『一般イベント用ジャッジ法』を用いること。
この文書は、大きく2つの部分に分けられる。『大分類の定義と理念』(第1章)と『違反行為』(第2章〜第4章)である。違反は大分類(ゲーム上の誤り、イベント上の誤り、非紳士的行為)に分類され、その後、それぞれの違反ごとの小分類に分けられる。
この文書で用いられる用語の定義については、マジック・イベント規定を参照のこと。
この文書は複数の言語で提供されている。万一、英語版とそれ以外の版の間で齟齬があった場合、紛争の処理においては、英語版を元にIPGを解釈すること。
この文書は定期的に更新される。最新版は http://www.wizards.com/wpn/Events/Rules.aspx で確認すること。
1. 一般理念
1.1. 懲罰の定義
1.2. 懲罰の適用
1.3. デッキの無作為化
1.4. 巻き戻し
2. ゲーム上の誤り
2.1. ゲーム上の誤り ─ 誘発忘れ
2.2. ゲーム上の誤り ─ 過剰なカードを見た
2.3. ゲーム上の誤り ─ 非公開カードに関する誤り
2.4. ゲーム上の誤り ― マリガン手順の誤り
2.5. ゲーム上の誤り ─ その他一般のゲームルール抵触行為
2.6. ゲーム上の誤り ─ 違反の見逃し
3. イベント上の誤り
3.1. イベント上の誤り ─ 遅刻
3.2. イベント上の誤り ─ 外部情報の参照
3.3. イベント上の誤り ─ 遅いプレイ
3.4. イベント上の誤り ─ 不充分な切り直し
3.5. イベント上の誤り ― デッキ/リストの問題
3.6. イベント上の誤り ─ リミテッド手順抵触行為
3.7. イベント上の誤り ─ 意思疎通規定抵触行為
3.8. イベント上の誤り ― 区別できるカード
4. 非紳士的行為
4.1. 非紳士的行為 ─ 軽度
4.2. 非紳士的行為 ─ 重度
4.3. 非紳士的行為 ─ 結果の捏造
4.4. 非紳士的行為 ─ 買収・賭博
4.5. 非紳士的行為 ─ 攻撃的行為
4.6. 非紳士的行為 ─ イベント物品の窃盗
4.7. 非紳士的行為 ─ 遅延行為
4.8. 非紳士的行為 ― 故意の違反
付録A ─ 懲罰一覧
付録B ─ 前版からの変更点
ジャッジは、公正な仲裁者であり、ポリシーとルールの執行者である。ジャッジは、ルールに抵触する事項があったと判断したか、プレイヤーが問い合わせてくるか、状況に悪化の可能性があるかしない限り、ゲームに介入すべきではない。ジャッジはプレイ手順の誤りが発生するのを防ぐものではなく、問題が発生した後でルールやポリシーを破ったプレイヤーに罰を与え、正しいプレイと紳士的行為について、例を示しながらプレイヤーを教化するべきものである。また、ジャッジはゲーム外の誤りを防ぐために介入することも認められる。
プレイヤーの過去や技量についての情報は、違反を変更するものではないが、取り調べにおいては考慮されうる。
懲罰の目的は、そのプレイヤーが同種の誤りを将来犯さないようにすることである。そのためには、どの行動がルールやポリシーに抵触しているのかを説明し、教育のために必要なだけの懲罰を与える必要がある。また、懲罰は、そのイベントに参加しているその他のプレイヤーに対する抑止力や教育として、そしてプレイヤーの行為を追跡するためにも用いられることがある。
小さなルール違反がプレイヤー両者の同意の下で即座に処理された場合、ジャッジが介入する必要はない。プレイヤーの行動が両プレイヤーにとって明確であっても、外部の観戦者を混乱させうるようなものであった場合、ジャッジはプレイヤーに状況を明確にするように要請することが推奨されるが、その際に違反として扱ったり懲罰を科す必要はない。このどちらの場合にも、ジャッジはゲームが正常に進むようにするべきである。重大なルール違反に関しては、まずどの違反が適用されるかを判断し、その後それぞれの指示に従って処理すること。
ヘッドジャッジは、特定の例外事象の存在下あるいは適用すべき理念がこの文書に定められていない場合においては、この指針から逸脱した懲罰を決定する権限を持つ。特定の例外事象とは、テーブルが倒れた、ブースターに他のセットからのカードが入っていた、といった希なことだけを指す。ルール適用度、イベントのラウンド数、プレイヤーの年齢や経験、プレイヤーを教育するという目的、ジャッジの認定レベルなどは例外事象として認められない。他のジャッジが逸脱を必要だと考えた場合、ヘッドジャッジに相談しなければならない。
ジャッジは人間であり、間違うものである。ジャッジが間違った場合、ジャッジは自分の誤りを認識し、プレイヤーに謝罪し、手遅れになっていなければ修復する。イベントのスタッフがプレイヤーに間違った情報を与えたことによって何らかの違反になった場合、ヘッドジャッジはその懲罰を格下げする権限を持つ。たとえば、プレイヤーがジャッジにあるカードがそのフォーマットで使えるかどうかを尋ね、ジャッジが使えると答えた場合、その後でそのプレイヤーのデッキをチェックしたときにそのカードが入っていたことによってデッキが不正になっていた場合、ヘッドジャッジは通常の手順通りデッキリストを修復するが、ジャッジの直接の誤りによるものなので懲罰を【警告】に格下げすることもできる。
【警告】は公式に記録される懲罰である。【警告】は、解決にいくらか時間がかかる不正なプレイに対して与えられる。【警告】の目的は、ジャッジやプレイヤーに問題が起こったことを知らせ、DCI懲罰データベースにその違反の記録を永遠に残すことにある。1分以上の時間がかかった場合、それに応じて延長時間が与えられる。
【ゲームの敗北】は、反則を解決するためにイベント全体を遅らせるほどの時間がかかるような場合や、物理的な問題によってゲームを続けられなくなった場合に対して与えられる。また、プレイヤーが多大な利益を得る可能性があるような違反に対しても用いられる。
【ゲームの敗北】が与えられた場合、そのゲームは即座に終了し、違反を犯したプレイヤーはマッチ記録上そのゲームに負けたことになる。そのマッチに次のゲームがある場合、【ゲームの敗北】を受けたプレイヤーが先攻か後攻かを決める。マッチ開始前に【ゲームの敗北】が与えられていた場合、実際にプレイする最初のゲームにおいては、どちらのプレイヤーもサイドボードを使うことはできない。
【ゲームの敗北】は、反則が行なわれたゲームに与えられる。その例外は、その次のゲームが既に始められている場合と、違反がラウンドとラウンドの間に行なわれた場合である。それらの場合には、そのプレイヤーの次のゲームに対して【ゲームの敗北】が与えられる。両プレイヤーに同時に【ゲームの敗北】が与えられた場合、それは記録されるが、マッチの結果には影響しない。プレイヤーが【ゲームの敗北】を受けたのと同時に対戦相手が【マッチの敗北】を受けた場合、【ゲームの敗北】は次のラウンドに持ち越される。当該プレイヤーがイベントから途中退出した場合にも、そのプレイヤーの受けた【ゲームの敗北】は記録される。その【ゲームの敗北】がラウンドとラウンドの間に与えられていた場合、次のラウンドの対戦は組まれないが、受けた【ゲームの敗北】は記録される。
【マッチの敗北】は、マッチを適当な時間内に終わらせられない時やマッチそのものが成立していなくなったときに与えられる、重い懲罰である。
【マッチの敗北】は、通常、反則が行なわれたゲームに与えられる。その例外は、そのマッチが既に完了している場合だけである。その場合、そのプレイヤーの次のマッチに対して【マッチの敗北】が与えられる。当該プレイヤーがイベントから途中退出した場合、次のラウンドの対戦は組まれないが、【マッチの敗北】は記録される。
【失格】は、イベント全体の完全性に損害を与えるような行為、重大な非紳士的行為に対して与えられる。
【失格】を受けるのは、そのイベントのプレイヤーであるとは限らず、観客に対して与えられることもある。その場合、その人物はウィザーズイベントレポーター(WER)に入力され、【失格】はDCIに報告される。
【失格】は、ヘッドジャッジがそのイベントの完全性にかかわる問題があると判断するに足る情報があった場合には、証明なしで与えられることもある。ヘッドジャッジの報告書に、そうであるということを明記することが望ましい。
この懲罰が適用された場合、そのプレイヤーは現在のマッチに敗北し、イベントから途中退出した扱いになる。そのプレイヤーは既に受け取っていた分については返還の義務を負わないが、追加の賞を受け取ることはありえない。
プレイヤーが【失格】を受けた場合、そのプレイヤーはイベントから除外され、順位表示にも含まれることはない。従って、他のプレイヤーはその分だけ順位が上がり、その新しい順位に基づいて賞を受けることになる。足切りのあとで【失格】が与えられた場合、順位は繰り上がるが、次点のプレイヤーが追加ラウンドに進むことはない。例えば、プロツアー予備予選の準々決勝で【失格】が与えられた場合、9位のプレイヤーは8位になるが、トップ8のシングル・エリミネーション・ラウンドに進む権利は得られない。
【失格】の手順に関するさらなる情報は http://blogs.magicjudges.org/o/disqualification-process/ 参照。
懲罰は、DCI懲罰データベースに永久記録されるよう、イベントの報告に添えて報告されるべきである。加えて、(〔遅刻〕(3.1)と〔デッキ/リストの問題〕(3.5)を除く)【ゲームの敗北】以上の懲罰はヘッドジャッジに報告され、ヘッドジャッジの手で与えられることを推奨する。
懲罰が与えられる場合、ジャッジは関連するプレイヤー全員に、その違反について説明し、状況を正すための指示を与え、そして懲罰を与えるようにしなければならない。ヘッドジャッジがこの指針を逸脱することを選んだ場合、ヘッドジャッジは通常の懲罰と、逸脱の理由について説明することが望ましい。
違反によっては、基本の懲罰に加えて反則を処理するための手続きが記されているものがある。その手続きは、スタッフが不公正である、偏っている、贔屓をしているというような批難を受けないように定められている。引用文に従って裁定を下した場合、プレイヤーの不満はジャッジではなく不公正なポリシーに向けられることになる。この手続きから逸脱した場合、そのプレイヤーや、そのプレイヤーから話を聞いた人たちからの不満がそのジャッジに向けられることになる。
これらの手続きは、プレイされているゲームやゲームの状況、あるいはその懲罰の手続きによって誰が利益を得るかといったことを考慮しないし、考慮すべきではない。これは単にゲームの状況を「正す」ためにあるのであり、細かな状況が失われることを恐れたり、プレイヤーを(故意でないにせよ)贔屓したりすることはトラブルの元である。
単一の原因で起こった違反、あるいは同時に発見された複数の違反は、単一の違反として扱われる。
この文書に定められた違反の措置のなかで、デッキの無作為化された部分を切り直すというものがある。この場合、ライブラリーの一番上や一番下に置かれたなど、デッキの中で無作為でない部分を判別し、それを取り分ける。両プレイヤーがそれを確認したあと、墓地、追放領域、戦場にある、《渦まく知識》や占術カードなどのデッキ操作系のカードを確認する。デッキを切り直したあとで、取り分けて置いたカードを本来あるべき場所に戻す。
措置の一部としてのジャッジによる切り直しは、ゲーム上の切り直しとしては扱わない。
この文書の中で、ジャッジに巻き戻しの可能性を考慮してもよいという記載が存在する。プレイヤーが手に入れうる、プレイヤーの行動に影響を与えうる情報が存在するため、巻き戻しは最終手段として扱われ、ゲームをそのままに続けさせるのがはっきり悪い解決であるという状況においてのみ適用される。よい巻き戻しとは、得られた情報が何も影響を及ぼさず、プレイの流れが変わらない(訂正された誤りを除く)ものである。言い換えると、巻き戻しは選択の幅が最少である状況に限る。
ヘッドジャッジだけが巻き戻しを許可できる。大規模なイベントにおいては、ヘッドジャッジはその権限をチームリーダーに委譲してもよい。
巻き戻しをする場合、誤りの行われた時点以降の各処理は、もっとも後に行われたものから逆順に巻き戻される。すべての処理は巻き戻されなければならず、一連の行動のうち一部を無視したり順番を変えたりすることは認められない。処理を巻き戻す中でカードがどれであるかプレイヤーのいずれか1人にでも判っていないものがあった場合(引いたカードなどがその典型である)、あり得る候補の中から無作為のカードが選ばれる。切り直しを巻き戻す場合、巻き戻しの最後に、そのライブラリーの中の無作為の部分を1回切り直すことで巻き戻したものとする。誤りの行われた後で適正にプレイヤーが知ったカードは、無作為としては扱わず、切り直しの後で該当する場所に戻されることになる。
無作為あるいは未知の要素を含む巻き戻し、中でも引いたカードが変わってしまうことになるような状況をもたらしかねない場合には、特に注意深く取り扱われるべきである。例えば、プレイヤーがライブラリーを切り直す能力を使える状況で、カードをライブラリーに戻すことは、極々一部の特例を除いては行うべきではない。
措置の中で単純な巻き戻しが行われることがある。単純な巻き戻しとは、最後に行われた(あるいは現在行われつつある)処理を巻き戻すことであり、それによって所定の措置のうち他の部分を可能にするものである。単純な巻き戻しには、無作為の要素が含まれるべきではない。
〔ゲーム上の誤り〕は、マジック総合ルールを破ったことによる、不正あるいは不正確なプレイによっておこる。多くの反則がこの分類に入るので、全てを列記することは不可能である。以下に示す指針は、〔ゲーム上の誤り〕をどう処理するかという判断の枠組みをジャッジに提示するためのものである。
〔ゲーム上の誤り〕のほとんどは、誤りが過失によるものだと仮定している。故意によるものだとジャッジが確信した場合、まず〔非紳士的行為 ― 故意の違反〕が発生していないかを考えるべきである。
格上げされることのない〔違反の見逃し〕を除いて、同じ分類に入る〔ゲーム上の誤り〕による3回目以降の【警告】は、【ゲームの敗北】に格上げされる。複数日にわたるイベントにおいては、この種の違反に関する前日の【警告】は考慮しない。
なし
誘発型能力が誘発したが、その能力をコントロールしているプレイヤーが、その能力が最初にゲームに視覚上の影響を及ぼす時点でその存在に気付いたことを示さなかった。
プレイヤーが気付いていることを示さなければならないタイミングがいつなのかは、その誘発型能力がゲームにどのような影響を与えるかに依存する。
上のいずれかの義務が果たされたなら、それ以降の問題は〔ゲーム上の誤り ― その他一般のゲームルール抵触行為〕として扱われることになる。
遅延誘発型能力を作る以外の効果を持たない誘発型能力は、示される必要なく自動的に解決される。生成される遅延誘発型能力は該当する時点で示されなければならない。呪文や能力のコピーを作る以外の効果を持たない誘発型能力(ストームや暗号など)は自動的に解決されるが、その生成されるオブジェクトの解決は、(それが誘発型能力でなくても)上記と同じ条件に従って示されなければならない。
プレイヤーは急いでゲームの行動を行なうなどして誘発を忘れさせることはできない。たとえば、プレイヤーが対戦相手に誘発型能力を示す機会を与えずに自分のドロー・ステップにカードを引いた場合にも、そのコントローラーはその時点で適切な義務を果たす機会がある。特に、一連の処理あるいはスタック上のオブジェクトの解決に関連している場合には、順序違いの行動に関するルール(MTR 4.3)も適用できる。
誘発型能力がゲームに影響を及ぼさない場合、それに気付いたことを示せていなくても違反とはならない。例えば、コントローラーがクリーチャーを1体生け贄に捧げるという効果を持つ誘発型能力があって、そのコントローラーがクリーチャーをコントロールしていない場合にはその能力について示さなくてもよい。同様に、視覚上の効果を伴わない選択的な誘発型能力を示したプレイヤーは、対戦相手が対応しないかぎり肯定的選択を行ったものとして扱う。
ジャッジは、【警告】を出す意図があるか、あるいはコントローラーが故意に自分の誘発型能力を忘れていると推測する理由があるのでないかぎり、誘発忘れの状況に介入しない。
例:
(A) 《悪名の騎士》(賛美つきの2/1クリーチャー)が単独で攻撃し、そのコントローラーが「2点」と言った。
(B) プレイヤーが自分の待機呪文から最後のカウンターを取り除くのを忘れて、ドロー・ステップにカードを引いた。
(C) プレイヤーが《躁の蛮人》を唱え、その誘発型能力の対象を選ばなかったことに次の呪文を唱えてから気がついた。
(D) プレイヤーが《聖トラフトの霊》の生成した天使・トークンを戦闘終了時に取り除くのを忘れた。この誤りに気付いたのは次のターンのブロック・クリーチャー指定時であった。
誘発型能力は多数存在し、実体が見えるわけでもないので、処理を忘れたことによって厳しい懲罰を与えるべきではない。プレイヤーには自分の誘発型能力を覚えておくことが期待されており、故意に無視した場合は(上記の通り、その能力がゲームに何も影響を及ぼさない場合を除いて)〔非紳士的行為 ― 故意の違反〕に該当する。対戦相手がその能力の宣言や解決に際してすることがあったとしても、対戦相手は自分のコントロールしていない、忘れられた誘発を指摘する義務はないが、指摘したいなら指摘してもよい。
誘発型能力は特にそうでないとわからない限り覚えられているものとして扱われ、そのゲームの局面への影響は即座に明らかになるとは限らない。対戦相手は誘発型能力を指摘しないことによって有利を得ることがあるが、誘発型能力を忘れさせるように仕向けて良いということではない。対戦相手が、誘発型能力の厳密なタイミングに関する情報を必要とする場合、あるいは解決された誘発型能力に影響されうるゲーム上のオブジェクトに関する詳細を必要とする場合、そのプレイヤーはその能力のコントローラーが宣言する前にその能力の存在を認識する必要があることがありうる。示されていない誘発型能力が忘れられていたかどうかによって適正かそうでないかが変わるようなプレイをしたプレイヤーは、違反をしたものとしては扱わない。その誘発型能力が忘れられていたかを確認し、状況によっては単に巻き戻す。
プレイヤーは、ゲームの処理をするなどしてゲームを速く進めることで相手のコントロールする誘発型能力を忘れさせることはできない。対戦相手のターンに、誘発型能力のコントローラーが何かする(何か処理をするとか優先権を明示的にパスするなど)前にその誘発型能力に気付いているということを示したなら、その誘発型能力は忘れられていない。これはスタック上にあるオブジェクトを間違った順番で解決している一連の行動なので、順序違いの行動の規定(MTR 4.3節)も適用されることがある。
誘発型能力のコントローラーによって行われる選択に、選択しなかった場合の処理(「〜しないかぎり」「そうでなければ」)が定められている場合、その処理を解決する。その誘発型能力がオブジェクトの領域変更を伴う遅延誘発型能力であった場合、それを解決する。この2種類の能力については、対戦相手がその能力を次にプレイヤーが優先権を得るときに解決するか、次のフェイズの開始時にプレイヤーが優先権を得るときに解決するかを選ぶ。これらの能力は本来誘発すべきだった時点からどれだけ時間が経っていようとも、措置されるべきである。
前のプレイヤーのターンの現在のフェイズよりも前に忘れられた誘発については、プレイヤーにゲームを続けるように指示する。誘発によって生成した効果の持続時間がすでに過ぎている場合、プレイヤーにゲームを続けるように指示する。
このどちらにも該当しない誘発型能力については、対戦相手は、その誘発型能力をスタックに置くかどうかを選ぶ。スタックに置く場合、その忘れられていた能力をスタックの該当する場所に置く。それが不可能な場合、スタックの一番下に置く。その能力が本来誘発するべき時点で適正な選択でなかったオブジェクトを含む選択を行なうことはできない。たとえば、プレイヤーにクリーチャーを1体生け贄に捧げさせる能力であれば、能力が本来誘発していた時点で戦場になかったクリーチャーを生け贄に捧げることはできない。
誘発型能力のコントローラーにとって有害であると考えられる場合、【警告】が与えられる。現在のゲームの局面はその決定には影響しない。ただし、対称的能力(《吠えたける鉱山》など)の場合、通常、誰が影響を受けるのかによって有害かどうかを判断する。
【警告】
プレイヤーが、見る権利のないカードを見た。
非公開のカードの表面を見ることができる状態になっている間、あるいはカードがデッキから大きく動いてから他のカード群と触れるまでの間、そのカードを見た状態とする。ここで言うカード群とは、ゲームルールや効果によって定義された、物理的に隔離されたもののことで、領域であることも領域の一部であることもある。これには、手がすべった場合やカードを手札に入れるまでに〔ゲーム上の誤り〕に気付いた場合を含む。カードが手札に入った場合には、それはすでに〔過剰なカードを見た〕には分類されない。
カードを裏向きでテーブルに並べてカードの枚数を数える行為は、過剰なカードを見たものとしては扱わない。
この懲罰は、複数のカードが一連の行動によって見られた場合にも1回だけ適用する。
例:
(A) 対戦相手のデッキをシャッフルしている間に、事故で(落としたり弾いたりして)カードを公開してしまった。
(B) ライブラリからカードを引く際に、その次のカードまで引き出してしまった。
(C) 対戦相手にデッキを渡す際に、自分のデッキの一番下のカードを見てしまった。
過剰なカードを見てしまうことはよくあることである。この違反は、手を滑らせたりルールを誤ったりしてプレイヤーが見るべきでないカードを見てしまったという状況を扱う。それらのカードが他のカード群と合わさった場合、〔非公開カードに関する誤り〕や〔その他一般のゲームルール抵触行為〕となる。
プレイヤーは、この懲罰を「追加のシャッフル」あるいは引きたくないカードをライブラリの中に戻すための方法として扱ってはならない。そのような行為は〔非紳士的行為 ― 故意の違反〕である。また、この懲罰を遅延行為のために用いることも許すべきではない。デッキは既に無作為化されているので、公開されたカードをライブラリの中に混ぜ入れるためにそれほどの時間を認めるべきではない。
プレイヤーは、自分のデッキのうち、それまでわかっていなかったが事故によって見てしまった部分を含む、無作為化されている部分を切り直す。
【警告】
プレイヤーが、公開されている情報だけからは修正できない誤りを、対戦相手の承諾なく犯した。
この違反は、それが何であるかいずれか一方のプレイヤーにしかわかっていないカードが、その誤りの前後両方とも非公開のカード群に含まれていた場合にのみ適用される。ここで言うカード群とは、ゲームルールや効果によって定義された、物理的に隔離されたもののことで、領域であることも領域の一部であることもある。
この違反は、ライブラリーからとったカードが別のカードにくっついていた、表が見えた、ライブラリーを崩したなどの手が滑ったことには適用されない。問題のカードは、隔離されたカード群に含まれていなければならない。
例:
(A) プレイヤーが《Ancestral Recall》を唱えた後に、4枚のカードを引いた。
(B) プレイヤーが占術1を行う際に、2枚のカードを占術した。
(C) プレイヤーが《闇の腹心》の誘発型能力を解決して、そのカードを公開せずに手札に入れた。
(D) プレイヤーが手札に本来持っているべき枚数より多いカードを持っていた。
(E) プレイヤーが《予期》を唱え、ライブラリーの一番上からカードを4枚取った。
(F) 先攻プレイヤーが第1ターンにカードを引いた。
ゲームの局面を「正しい」ものに戻すことはできないが、この誤りは対戦相手に充分な情報と誤りを正す権限を与えることで、利益を得られなくなるように相殺することができる。
カードが公開領域に置かれていた場合、正常な状態がわかるので、その違反は〔その他一般のゲームルール抵触行為〕で処理できる。カードの表が1人のプレイヤーにしか見えていない場合、そのカードが(ライブラリーの一番上にあった、手札がそれ1枚だけであったなど)明確に区別できる位置にない限り、カードの正常な状態は決定できない。
この違反を、例えば緑マナで《渦まく知識》を唱えたなどの、公開情報で修正できる誤りから派生した修正不能な状況に適用しないように注意すること。その場合、違反は元になった問題に基づいて処理される。
例えばデッキの一番上にあった時に公開された、あるいは手札を見たなどの理由で対戦相手が知っていたカードに関する情報は、措置を適用するカード群を決定する上で考慮に入れてもよい。
誤りを措置するにあたっては、可能な限り最小のカード群を扱うこと。これは、措置を適用するのは指示によって定義されたカード群の一部だけということもあり得るということである。例えば、プレイヤーが《集合した中隊》を解決し、まず片手で3枚、続いてもう一方の手で4枚のカードを見たとしたら、この違反を起こしているのは後半の4枚のカード群に含まれるカードであり、そこから取り除かれるべきである。
この違反の直後に、例えば捨てる、ライブラリーの一番上に置く、土地をプレイするなどで当該セット群から基地の場所へカードが移動していた場合、この違反の直後の時点までの単純な巻き戻しを行ってもよい。
問題を含むカード群が既に存在していない場合、追加措置は行わない。
この誤りによってカードが適正な時期よりも早くカード群に含まれ、そのカード群のカードを含む他の処理を先にしなければならなかった場合、そのプレイヤーは過剰なカードを含むカード群を公開し、その対戦相手はそれまで未知だったカードを必要な枚数選ぶ。それらのカードを、それらのカードが適正に追加されるべき時点まで脇に置き、それからそのカード群に戻す。
カード群にあるべき枚数以上のカードが含まれている場合、そのプレイヤーは過剰なカードを含むカード群を公開し、其の対戦相手はそれまで未知だったカードをカード群の枚数を適正まで減らすために必要な枚数選ぶ。その選ばれたカードは過剰なカードとして処理する(後述)。
公開するべきカードに関する誤りの場合、そのプレイヤーはその公開されなかったカードを含むカード群を公開し、その対戦相手はそれまで未知だったカードを必要な枚数選ぶ。それらは、必要な処理の上で公開されなかったカードとして扱う。選ばれたカードが結果としてそのカード群に適正に存在しない場合、それらは過剰なカードとして処理する。
過剰なカードは適正な領域に戻される。その領域がライブラリーであった場合、無作為の部分に入れて切り直す。プレイヤーは、この違反を起こした指示や指示の一部を(あれば)繰り返さない。
変異能力を用いて唱えた裏向きのカードが、ゲーム中に、変異能力を持たないということが明らかになった場合、懲罰は【ゲームの敗北】となる。変異能力を持つカードが手札にあって、違反が見つかったカードを唱えてから手札にカードが入っておらず、また誤りを自分自身で気付いた場合、この格上げは適用しない。手札にある変異能力を持つカードと戦場のそのカードを入れ替えてもよい。
【警告】
プレイヤーがマリガン手順中に誤りを犯した。ゲーム開始前の手順が完了した後の誤りには、この違反は適用しない。
必要よりも早くマリガンすることを宣言した、などの利益のない小さな手順の誤りは、違反ではない。
例:
(A) プレイヤーがゲームの開始時に(7枚でなく)8枚引いた。
(B) プレイヤーがゲームの開始時、マリガン後に(6枚でなく)7枚引いた。
(C) プレイヤーが手札をキープして占術を行い、その後で再びマリガンした。
(D) マリガンせずにキープすることを選んだプレイヤーが、対戦相手がマリガンしたのを見てからマリガンした。
ゲームの開始前の誤りには、ゲーム中の他の時点とは違い、より損害の小さい選択肢である強制マリガンが存在する。しかしながら、〔非公開カードに関する誤り〕にするほうが有利だと考えたプレイヤーが違反に気づいてもマリガン手順が終わるまで黙っていてそれから「発見」したいと考えるようであるべきではない。
違反を犯したプレイヤーが可能な限り早く自分の誤りを報告することを推奨する意味で、ゲーム開始前に措置を行う選択肢が与えられる。
マリガンした後でプレイヤーが自分のライブラリーの一番上を見た場合、見る前に口頭で、あるいはライブラリーの上から複数枚を一度に見ることによって、はっきりともう一度マリガンすることを宣言していないかぎり、手札をキープすることを選んだものとする。
プレイヤーの手札にカードが多すぎる場合、そのプレイヤーは手札を公開することを選んでもよい。そうしたなら、その対戦相手はその中からライブラリーに戻して切り直すカードを選ぶ。複数枚多すぎた場合(例えば、1回マリガンした後に6枚のはずが8枚引いた)、対戦相手は適正な枚数になるまでカードを取り除き続ける。
この方法でカードを手札から取り除かなかった場合(枚数が多くならないような誤りの場合や、プレイヤーが公開しないことを選んだ場合)そのプレイヤーはもう一度マリガンを行う。
この措置が終わった後で、プレイヤーはマリガンを続けてもよい。
【警告】
この違反は、プレイヤーが何か誤りを犯したりゲーム手順を正しく進めなかったりした場合に起こる様々な場合に適用される。総合ルールに抵触している行為のうち、他の〔ゲーム上の誤り〕が該当しないものはこの違反となる。
例:
(A) 《神の怒り》を{3}{W}で唱えた(実際のコストは{2}{W}{W})。
(B) 毎ターン攻撃しなければならないクリーチャーで攻撃しなかった。
(C) 致死ダメージを受けたクリーチャーを墓地に置かないままにしていて、数ターン後に気付いた。
(D) カードを宣言すべきだったにも関わらず宣言していない状態の《ファイレクシアの破棄者》が戦場に出ている。
(E) 《渦まく知識》をプレイしたプレイヤーが手札から2枚ライブラリーに置くのを忘れた。
〔ゲーム上の誤り ─ その他一般のゲームルール抵触行為〕は1人のプレイヤーの責任であるが、多くの場合には公開下で起こることであり、両方のプレイヤーはゲームにおいて何が起こっているのか気付いているはずである。これらの誤りを「修正」したい衝動に駆られるが、それよりも、問題の重大さに関らず、全てのジャッジが均質に取り扱えるようにすることが重要である。
違反が以下のいずれかの分類に当てはまり、かつ、その分類だけに当てはまる場合、単純な巻き戻しが可能でないかぎり、記された措置を行う。
上記のどれにも当てはまらなければ、巻き戻しを検討するか、ゲームをそのまま続ける。
〔ゲーム上の誤り〕にプレイヤーが気づけるべき時間内に気づかれなかった場合、そのほとんどにおいて、対戦相手は〔ゲーム上の誤り ― 違反の見逃し〕の懲罰を受ける。置換効果が存在していたり相手プレイヤーの指示に従って処理していたりして、両方のプレイヤーに〔その他一般のゲームルール抵触行為〕の責任があるとジャッジが判断したら、両方のプレイヤーが〔ゲーム上の誤り ― 違反の見逃し〕ではなく、〔ゲーム上の誤り ― その他一般のゲームルール抵触行為〕の懲罰を受ける。たとえば、一方のプレイヤーが《流刑への道》を相手のクリーチャーに唱え、対戦相手がそのクリーチャーを墓地に置いた場合、両方のプレイヤーがこの違反となる。
【警告】
プレイヤーが、〔ゲーム上の誤り〕を他のプレイヤーが犯した時に即座に指摘しなかった。ジャッジが、有利を得るため、あるいはより有利なタイミングで発見するために故意に見逃したと確信した場合、〔非紳士的行為 ― 故意の違反〕の適用を検討すべきである。対戦相手の誘発型能力を指摘しないことは、〔違反の見逃し〕にも〔故意の違反〕にも該当しない。
例:
(A) 対戦相手が《俗世の教示者》で探したカードを公開し忘れたことに、ターン終了時まで気付かなかった。
(B) 対戦相手の《アルマジロの外套》がプロテクション(緑)を持っているクリーチャーについていることに気付かなかった。
誤りが、有利を得る可能性が生じる前に見つけられた場合、ゲームの状況はそれほどひどく破壊されなくなる。誤りが見逃されていた場合、見つけられなかった対戦相手にもいくらかの責任はある。
〔イベント上の誤り〕は、マジックイベント規定の違反のことである。ジャッジがその誤りを故意だと判断した場合、〔非紳士的行為 ― 故意の違反〕の適用を検討するべきである(過去の版の違反処置指針では、故意の違反の扱いについて各節ごとに参照していた。〔遅いプレイ〕を除いて、全ての故意の違反は〔非紳士的行為 ― 故意の違反〕の可能性があるものとして判断されることになる)。
ここに記載されている違反以外の形でプレイヤーがマジック・イベント規定に抵触した場合、ジャッジは正しい手順をそのプレイヤーに説明すべきであるが、懲罰を与えるべきではない。継続して、あるいは故意に、それらの規定を無視していた場合、さらなる調査が必要になる場合がある。
同じ分類に入る〔イベント上の誤り〕による2回目以降の【警告】は、【ゲームの敗北】に格上げされる。複数日にわたるイベントにおいては、違反の数は1日ごとにリセットされる。
【ゲームの敗北】
プレイヤーがラウンドの開始時点で着席していなかった、あるいは指示された行動を時間内に終わらせなかった。(すべてのプレイヤーが早く終わらせたため)ラウンドが前のラウンドの終了予定時刻よりも早く始まった場合、予定されていた前ラウンドの終了時刻までは遅刻とはならない。
プレイヤーがジャッジに前もって遅れることを伝え、その遅れが許容できる範囲であれば、そのプレイヤーは遅刻とはならない。これらの場合には、延長時間を与えてもよい。
例:
(A) ラウンド開始5分後まで、自分の席につくことができなかった。
(B) ジャッジや主催者が告知した提出期限までにデッキリストを提出できなかった。
(C) デッキをなくして、ラウンド開始の10分後までに代わりのカードを見つけられなかった。
(D) 間違った席について、本来と違う対戦相手とプレイしていた。
プレイヤーは、マッチを行なえるように時間通りに正しい席につく義務と、時間通りに登録を終える義務がある。イベント主催者は懲罰適用前の時間を与えることを告知してもよい。そうしない場合は、ラウンド開始直後に該当する懲罰が与えられる。
遅刻した時間の長さに応じて、延長時間が与えられる。ラウンド開始から10分経過してもプレイヤーが席についていない場合、2つめの【ゲームの敗北】が与えられる、そのプレイヤーがヘッドジャッジかスコアキーパーにラウンド終了までに申し出ない限り、そのプレイヤーはイベントから除外される。
【マッチの敗北】
プレイヤー、観客、その他イベント関係者が以下の行動を取った場合、この違反となる。
これらの分類はリミテッド・イベントでのデッキ構築中やドラフト中にも適用される。また、ドラフト中にメモを取ってはならない。チーム戦形式においては、この違反の定義を変更するような意思疎通規定が存在する場合がある。
現在のマッチ外で取ったメモは、そのマッチの開始時に本人が所有していた場合に限り、ゲームとゲームの間にのみ見てもよい。
例:
(A) ゲーム進行中に、イベント前に準備したメモを見た。
(B) 観客が、その情報を求めていないプレイヤーに正しいプレイを指摘した。
イベントはプレイヤーの技量を試す場であり、外部のアドバイスや指示に従う能力を試す場ではない。戦略上、戦術上、あるいはデッキ構築に関するアドバイスは、外部情報である。
カードへの視覚的変更や簡単な文字列など、戦略的な情報をほとんどもたらさない物はメモとしては扱わない。詳細な記述や複雑な戦略的情報をカードに記載してはならない。そのイベントでどのようなカードやメモが認められるかに関する最終決定は、ヘッドジャッジが行なう。
この違反を犯した観客は、イベントに参加していない場合、その領域から離れるように指示されうる。
【警告】
プレイヤーが、適正な時間内にゲームの行動を終わらせなかった。故意に遅くプレイすることで時間制限を有利に働かせようとしているとジャッジが判断した場合、その違反には〔非紳士的行為 ─ 遅延行為〕が適用される。
また、厳密な回数と最終的なゲームの局面を提示できないままにループを実行し続けるプレイヤーにも、〔遅いプレイ〕が適用される。
例:
(A) 何もゲームの状態が変わっていないのに対戦相手の墓地を何度も確認した。
(B) 《思考の大出血》の解決中に時間をかけて相手のデッキ内容を記録した。
(C) マジックのプロツアー予選で、ゲーム間にデッキをシャッフルするのにあまりにも時間がかかっていた。
(D) スタッフの許可なく、席を立って順位を確認しに行ったりトイレに行ったりした。
全てのプレイヤーは、対戦相手が時間制限によって不利にならないよう、充分な速度でプレイする責任がある。プレイヤーはそう認識せずにプレイが遅いことがあるので、「速くプレイしてください」と伝えるだけで充分な場合もありうる。それでも遅い場合は懲罰を与えること。
マッチの制限時間が終わった後、両方のプレイヤーに延長の1ターンが与えられる。このターンの追加は、他の理由による時間の延長を適用した後、マッチ終了時の手順が始まる前に適用される。
マッチが既に延長ターンに入っている場合にはさらに延長ターンは与えられないが、その場合にも【警告】は適用される。
【警告】
プレイヤーが、過失によって自分のデッキまたはデッキの一部を充分に切り直さないままで対戦相手に提示したか、デッキをさらなる無作為化のために対戦相手に提示しなかった場合、この違反になる。デッキの中のカードが1枚でもどこにあるか、あるいはその分布がどうであるかをプレイヤーが知っているとジャッジが判断した場合、そのデッキは切り直されていないとする。
例:
(A) ライブラリーからカードを探した後、切り直さなかった。
(B) ライブラリーからカードを探した後、リフル・シャッフルを1回だけして対戦相手に渡した。
(C) 続唱能力の解決中に公開された、デッキの一部を切り直し忘れた。
プレイヤーは自分のデッキを必要に応じて充分に切り直してあるはずであり、そうする技術と必要性の理解があると考えられる。しかしながら、対戦相手にはプレイヤーの後で切り直す権利が認められているので、これによって得られうる利益は小さいと考えられる。デッキに含まれているカードが見えた場合、切り直している途中に1枚2枚のカードの位置が判っただけであっても、切り直されているとは考えない。切り直している間、カードが自分にもチームメイトにも対戦相手にも見えないようにプレイヤーは気を払うことが期待される。
プレイヤーは複数の方法を用いて充分にデッキを切り直すべきである。単にいくつかの山に並べるだけでは、充分な無作為化ではない。
無作為化の前にカードを並べ替える(ある種のカードをデッキの中に散らしたり、逆に組み合わせて入れたりする)ことは認められるが、その後充分に切り直されることが必要である。
デッキの無作為の部分を充分に切り直す。
【ゲームの敗北】
プレイヤーがデッキの内容または登録に関して以下のどれかの誤りを犯していた。
この項目の違反に関して、サイドボードはプレイヤーのデッキの一部として扱う。サイドボードを紛失した場合、そのことを記録しておくこと。懲罰は発生しない。
この違反には、シールド・プール交換前に他の参加者が行なう登録中の誤りは含まれない。その修正はジャッジの判断によって行なわれるべきである。
明らかにデッキの一部ではないカード(異なるスリーブに入っているカード、トークンなど)は、デッキが適正かどうかを判断する上では無視する。
例:
(A) プレイヤーのデッキに60枚以上必要なところ、59枚しか含まれていなかった。ただし、彼のデッキリストには正しく60枚記されていた。
(B) レガシーのイベントで、(禁止カードの)《Mana Drain》がデッキリストに記されていた。
(C) プレイヤーのデッキリストに56枚しか記されていなかった。デッキには60枚入っており、《払拭》4枚がリストから抜けていた。
(D) 前の対戦相手の《平和な心》がデッキに混じっていた。デッキリストには適正なデッキが記されていた。
(E) 《龍語りのサルカン》と《揺るぎないサルカン》の両方が使えるフォーマットで、デッキリストに「サルカン」とだけ書かれていた。
(F) ゲーム中に自分のサイドボードを参照したプレイヤーが、そのカードをデッキと明確に分けていなかった。
デッキリストは、デッキがそのトーナメントの間同一であることを保証するために用いられる。ジャッジや他のスタッフは、イベント開始前にプレイヤーに対して、適正なデッキリストを提出し、適正なデッキでプレイするよう心がけさせるべきである。イベントでの対戦が始まった以降にデッキリストを修正したプレイヤーは、通常、【ゲームの敗北】を受ける。
デッキチェック中に見つかったデッキリストの誤りやデッキの誤りに関する懲罰は、即座に与えられる。それ以外のデッキリストの問題に関する懲罰は、その次のラウンドの開始時に与えられる。これによって、現在行なわれているゲームへの影響を最小限にし、懲罰を適用できるようになるよりも早くにマッチを終わらせたプレイヤーがいる場合にも公平性を保つことが出来るようになる。
デッキリストに曖昧または不明瞭な名前で書かれている場合、プレイヤーは発見されるまでそのカードを入れ替えることが可能になってしまう危険性がある。ヘッドジャッジは、そのプレイヤーがデッキリストに書いたものが完全で正確なカード名でなくても明白で確定できると確信したなら、この懲罰を科さなくてもよい。リミテッドのイベントでは、ヘッドジャッジは基本土地の記録が正確でなくても明確であると確信したなら、この懲罰を科さなくてもよい。これはデッキリストに書かれたものだけに基づいて判断するべきであり、デッキの実際の内容に基づいてはならない。確認のためにデッキをチェックする必要がある場合、その記述は明白ではない。
サイドボードと、現在用いているデッキを明確に区別していなかった場合、デッキが適正かどうかを決定することは不可能になる。また、サイドボードと一緒に他のカードが置かれている場合、その使われたカードは、そのイベントで配られたプロモカード、デッキ内のチェックリスト・カードと一致する両面カード、デッキ内のカードの第2面である両面カードのいずれかでない限り、サイドボードのカードであると推定される。また、それらのカードは、メインデッキやサイドボードと同じスリーブに入っていてはならない。
そのフォーマットにおいて不正なカードや上限枚数を超えているカードをデッキから取り除き、サイドボードの戻し忘れを直し、なくしたカードを(同一のカードでも良い)見つけて戻してから、デッキリストをそのデッキにあわせて修正する。そのデッキのカード枚数が足りない場合、最低限必要な枚数になるまでそのプレイヤーの選んだ基本土地を加える。この変更は、後になくしたカードの代わりを見つけた場合には取り消すことができる。デッキとデッキリストがどちらも上限枚数を超えている(通常、サイドボードの枚数が多すぎる、あるいは同種カードが5枚以上入っているなどの)場合、リストの該当する部分の下から順にカードを取り除いていく。
最初の提示と切り直しの後にカードをなくしていることに気付き、そのカードがどこにあるのかわかっている場合、ヘッドジャッジは懲罰を【警告】に格下げし、それらのカードをデッキに入れて切り直してもよい。なくしていたカードが現在の対戦相手のデッキに含まれていた場合、それらのカードをオーナーのデッキに戻し、両方のプレイヤーに【警告】を与える。なくしていたカードがサイドボードに含まれていて、そのゲームが第1ゲームでなかった場合、すべてのサイドボードのカードの中から無作為に選んだ必要な枚数のカードをデッキに入れて切り直す。
プレイヤーが、ゲームの処理をおこなう前に自分のデッキに入っている不正なカードに気がついて即座に指摘した場合、ヘッドジャッジは【警告】を与え、デッキを修復する。もしゲーム開始時の手札を引いた後ならプレイヤーにマリガンをするように指示する。そのプレイヤーは望むならさらにマリガンを続けてもよい。
【警告】
プレイヤーがドラフト中に技術上の誤りを犯した場合、この違反になる。
例:
(A) 右隣に渡すべきブースターを左隣に渡した。
(B) ドラフトのピックに認められる以上の時間を費やした。
(C) 一旦自分の束の上に置いたカードをもう一度戻した。
ドラフト中の誤りは混乱の元であり、即座に気付かなければさらなる混乱を引き起こす。 〔イベント上の誤り ─ リミテッド手順抵触行為〕に関する追加の懲罰について、ドラフト前に告知されたり、形式に対応したイベント規定に定められていたりする場合がある。
【警告】
プレイヤーが、マジック・イベント規定の4.1節に定められた意思疎通規定に抵触した。この違反はこのポリシーの違反にのみ適用され、一般の意思疎通上の混乱に適用されるものではない。
例:
(A) 手札にあるカードの枚数を聞かれて「3」と答えたが、実際には4枚持っていたことにあとで気付いた。
(B) そのターンに土地をプレイしていないと言ったが、それは単なる記憶違いだった。
明瞭な意思疎通はマジックをプレイする上の基本である。多くの反則は故意であるが、単なる勘違いによることがないわけではないので、それには厳罰は望ましくない。
意思疎通規定の全文はマジック・イベント規定の第4.1節に記載されている。その概略は以下の通り。
プレイヤーが、対戦相手から与えられた不正確な情報に基づいて行動していることが明確である場合、巻き戻しを考慮してもよい。巻き戻しは問題のあった意思疎通のあった時点までではなく、行動した時点まで行なう。
【警告】
プレイヤーのデッキに入っているカードが傷や向きなどで区別できる状態であり、それによって利益を得うる場合はこの違反になる。
例:
(A) スリーブ数枚の背面に小さな傷がついていた。傷がついているのは《山》、《ロクソドンの教主》、《稲妻のらせん》だった。
(B) スリーブを使わないプレイヤーが何枚かフォイル・カードを使っていて、他のカードと容易に区別ができた。
イベントの間にスリーブやカードに擦れ傷がつくことはよくあることであり、プレイヤーがそれによって利益を得ようとしていない限り、その状況を理解させるだけで充分である。ほとんどのスリーブは何らかの形で目印がつくものであり、ジャッジは、懲罰を決定するにあたってそれを忘れるべきではない。〔区別できるカード〕の場合、プレイヤーに、スリーブに入れる前にシャッフルするとよい、ということを伝えることが非常に重要である。
プレイヤーは、区別できないカードやスリーブと交換したり、あるいはスリーブを使っていない場合には背面の傷を隠せるようにスリーブに入れたりすることが必要となる。イベントでのプレイ中にカードが酷く痛んでしまったなどで区別がつくようになった場合、ヘッドジャッジは代用カードを発行してもよい。
プレイヤーが交換するカードを準備できなかった場合、イベントの残りの期間、それらのカードを基本土地と入れ替えてもよい。この変更は、後に区別できるカードと交換できるカードを見つけたなら取り消すことができる。
パターンを認識しているデッキの所有者がその知識を利用して有利を得られるとヘッドジャッジが判断した場合、懲罰は【ゲームの敗北】となる。
〔非紳士的行為〕は、イベントの安全性や競技性、楽しさ、または完全性に大きな被害を与える可能性のある、問題のある振る舞いである。
イベントに参加していない人間も、〔非紳士的行為〕を受けることはありうる。この指針はプレイヤーを想定しているが、観客やスタッフ、ジャッジも同じ基準に基づいて判断される。
非紳士的行為は、紳士的行為でないということとイコールではない。「良い」とも「紳士的だ」とも言えないが「非紳士的」ではない、「競技的」行為という幅が充分にある。何が〔非紳士的行為〕かを最終的に判断するのは、ヘッドジャッジである。
ジャッジは、その行為がどう問題であるかを説明すべきである。プレイヤーは状況と振る舞いを即座に改善するはずである。しかしながら、確かにプレイヤーにその行動の重大性を理解させることは重要であるが、ジャッジは常に衝突を悪化させるよりも状況をやわらげる方法を探すべきである。
【警告】
プレイヤーが、イベントあるいはその参加者に損害を与える行為を行なった。その個人の周囲に不快感を与える場合があるが、不快感を与えなかったからといってこの懲罰が免除されるわけではない。
例:
(A) あまりに低俗で下品な発言をした。
(B) ジャッジに、対戦相手に懲罰を与えるよう不適切に要求を行なった。
(C) フロアジャッジの裁定を待たずに、ヘッドジャッジへの上訴をした。
(D) ゲームに負けた後、デッキを床にばらまいた。
(E) プレイ終了後、プレイ場所に大量のゴミを残していった。
(F) プレイエリアから出るようになど、イベント・スタッフの指示に従わなかった。
全ての参加者は、イベントにおいて安全で快適な環境を期待していると考えられる。従って、参加者はその環境を保つために受け入れられない振る舞いについて自覚する必要がある。
プレイヤーはその問題をただちに解決しなければならない。さらなる〔非紳士的行為 ─ 軽度〕には、他の項目であっても【ゲームの敗北】が与えられる。
繰り返しや格上げによって【ゲームの敗北】が与えられた場合、それがゲームの終了時だったとしたら、ジャッジの判断によって懲罰を次のゲームに適用するようにしてもよい。
【マッチの敗北】
プレイヤーが、1人またはそれ以上の個人が嫌がらせ、強迫、いじめ、つきまといだと常識的に感じるような行動をした。これには、人種、肌の色、宗教、出身国、年齢、性別、障害、性的指向に基づく侮辱が含まれる。物理的な暴力による強迫は、〔非紳士的行為 ― 攻撃的行為〕として扱われるべきである。
この違反として扱われる嫌がらせの成立において、違反者が悪意や害意を持っている必要はない。
例:
(A) 対戦相手を人種差別的言辞で中傷した。
(B) 書面による許可なく他のプレイヤーの不適切な写真を撮った。
(C) 観客をデートに誘い、断られたのにしつこく誘い続けた。
(D) 手を出させる目的で他のプレイヤーの邪魔をした。
(E) 観客が、他のプレイヤーをいじめるためにソーシャルメディアを使った。
安全な環境は、すべてのイベント参加者にとって基本的に期待されることである。嫌がらせはこの安全とイベントの完全性をを蝕むものである。故意に、イベントにおいて有害あるいは不快な状況を作り出すプレイヤーは、即座にその振る舞いを改めて後悔の念を示すか、さもなければ除外されるべきである。
この違反の対立的性質から、ジャッジは進行中のマッチを終了させ、プレイヤーを引き離す必要がある。状況を悪化させることがないよう、あらゆる手を尽くすべきである。違反者は懲罰と、理由を問わずその振る舞いが許容されない理由の教育を受けるためにそのエリアから除外される。その後、落ち着きを取り戻すためにいくらかの時間がかかることが考えられる。謝罪は望ましいことではあるが、被害者が嫌がらせをしてきた相手に接触したくないという意志は尊重すること。
スタッフはこうした問題を気づき次第調査すること。その違反が〔非紳士的行為 ― 重度〕に当てはまらないと判断した場合にも、プレイヤーに今後の誤解を避けるために説明するべきである。
プレイヤーはただちに振る舞いを改めるべきである。この違反がマッチの終了時に行われていた場合、ジャッジはこの懲罰を次のマッチに適用してもよい。
この違反が悪意を持っておこなわれていたり、プレイヤーが反省の意を示さなかったり、この違反が後に繰り返されたりした場合には、懲罰は【失格】とイベント会場からの除外になる。
【失格】
プレイヤーが、現在のゲームに関係ない方法(や、現在のゲームで適正でない行動)でゲームやマッチの勝者を決めようとした、あるいはそう提案した。
例:
(A) イベントで時間切れに際して、引き分けになりそうだった2人のプレイヤーがダイスを振り、勝者を決めた。
(B) マッチの勝者をコイン投げで決めようと対戦相手に提案した。
(C) プレイヤー2人が腕相撲をしてマッチの勝者を決めた。
(D) プレイヤー2人がじゃんけんをしてマッチをするか引き分けにするかを決めた。
(E) ゲームの勝者を決めるために、延長ターンの終わりにプレイヤー2人がライブラリーの一番上のカードの点数で見たマナ・コストを比較した。
(F) 延長ターンの終わりに、「続けていたらどちらが勝ったか」を見るためにプレイヤー2人がライブラリーの上からカードを公開した。
ゲーム外の方法で勝者を決定することは、イベントの完全性を危うくする。
時間切れによって引き分けになったマッチはその通りに報告されるはずであり、その結果を決定するために不正な方法を用いることはこの懲罰の対象となる。
多くの場合、この懲罰は両方のプレイヤーに適用される。勝者を決定する不適正な方法を対戦相手が提案してきた直後にジャッジを呼んだ時だけがその例外である。
【失格】
プレイヤーが、対戦相手を誘惑して投了させたり、引き分けにしたり、マッチ結果を捏造したりさせようとした、あるいはそれを受け入れた。マジック・イベント規定の5.2節に、買収の成立条件についてより詳しく記載されている。
賭博は、プレイヤーまたは観客がイベントやマッチ、あるいはその一部の結果に関して賭けをおこなった、あるいは提案したときに成立する。賭博は金銭に限るものではなく、また、賭けの対象が自分のマッチかどうかも問題ではない。
例:
(A) スイス・ラウンドの間に、対戦相手に100ドルで投了してくれないかと持ちかけた。
(B) 対戦相手に、カードをあげるからIDしてくれ、と申し出た。
(C) 賞金を山分けにする代わりに投了してくれるよう、対戦相手に頼んだ。
(D) マッチの勝者が相手のデッキからレア・カードを1枚選んで取ってもいいと、プレイヤー2人が同意した。
(E) 観客2人が、あるマッチが終わるまでに何ゲームかかるかに関して賭けを行なった。
買収と賭博はイベントの完全性を損なうものであり、厳しく禁じられている。
【失格】
他者あるいはその持ち物に対して脅迫的な振る舞いをした場合、この違反となる。
例:
(A) 投了しなかったプレイヤーに、殴ると脅した。
(B) 他のプレイヤーの座る椅子を引いて、そのプレイヤーを床に倒させた。
(C) 裁定を受けた後で、ジャッジに脅迫的な態度を見せた。
(D) 他のプレイヤーのカードを引き裂いた。
(E) 故意にテーブルをひっくり返した。
イベントの全関係者の安全は、最優先されることである。物理的な悪用や恫喝行為には、許容の余地はない。
イベント主催者は当該行為者をイベント会場から退場させるべきである。
【失格】
イベントで用いる、カードやイベント用の備品などの物品を盗んだ場合、この違反になる。
例:
(A) リミテッドのイベントで、自分の開けたカードプールにあったプレミアム版のレアを、登録中にポケットに入れた。
(B) 対戦相手のサイドボードからカードを盗んだ。
(C) テーブル番号札をテーブルから盗んだ。
(D) 前の対戦相手のカードが自分のものに混じっているのに気づいて、スタッフに報告せずに隠した。
プレイヤーは、自分の物品がなくなることを心配せずにイベントに参加する。しかし、これはプレイヤーが自分の所有物に注意を払う責任がないということではない。また、イベントに持ってきた、あるいは配られた物品を最後まで持っていることは当然である。イベントの物品に関係しない窃盗はイベント主催者の責任になるが、ジャッジは可能な限り主催者に協力すべきである。
イベント主催者は当該行為者をイベント会場から退場させるべきである。
【失格】
時間制限を利用して有利にしようと、故意にプレイを遅くした場合はこの違反になる。故意でない場合には、〔イベント上の誤り ─ 遅いプレイ〕を適用する。
例:
(A) 手札に土地カード2枚だけを持っているプレイヤーが、ゲームに大した意味のある行動を取れない状況で時間をかけて『考え込んで』いて、時間を食いつぶしていた。
(B) 優勢なプレイヤーが、対戦相手に逆転のチャンスを与えないように明らかにプレイのペースを落としていた。
(C) 遅いプレイをしていたプレイヤーが【警告】を受けた際、考える時間を稼ぐために上訴した。
(D) マッチの第3ゲームの開始前に、対戦相手が時間内に勝ちにくくなるように、故意にゆっくりとマリガンを行った。
(E) ゲームで不利になったプレイヤーが、時間切れになるようにプレイのペースを落とした。
【失格】
イベント関連文書で定められた規則を破ったり、イベント・スタッフに嘘をついたり、あるいは、自分(やチームメイト)のマッチで違反があったにもかかわらずそれに注意しなかったりした。
また、以下の条件を満たしていない場合、〔故意の違反〕にはならない。
どちらかの条件でも満たしていなければ、その違反は〔故意の違反〕ではなく、他の違反で取り扱われる。
〔故意の違反〕は一見すると〔ゲーム上の誤り〕や〔イベント上の誤り〕になるので、意図や認識を確認するためにジャッジによる調査が必要である。
例:
(A) プレイヤーが、マッチの終了後にそのマッチの結果を変更した。
(B) 自分の主張を強めるため、ゲーム中に何が起こったかについてイベント・スタッフに嘘をついた。
(C) 対戦相手のクリーチャーが致死ダメージを受けていないにもかかわらず、対戦相手がそれを墓地に置くことを放置した。
(D) 対戦相手が《饗宴と飢餓の剣》の誘発型能力の半分だけを解決したことに気付いた上で、その誤りを指摘しなかった。
(E) ドラフト中に、他のプレイヤーのピックを覗き見た。
(F) シールドデッキのカード・プールにカードを加えた。
(G) 過剰なカードを引いてしまったことに気付いたが、懲罰を受けるのを避けるためにジャッジを呼ばなかった。
ゲーム上の誤り | 誘発忘れ | Missed Trigger | なし |
ゲーム上の誤り | 過剰なカードを見た | Looking at Extra Cards(LEC) | W |
ゲーム上の誤り | 非公開カードに関する誤り | Hidden Card Error | W |
ゲーム上の誤り | マリガン手順の誤り | Mulligan Procedure Error | W |
ゲーム上の誤り | その他一般のゲームルール抵触行為 | Game Rule Violation(GRV) | W |
ゲーム上の誤り | 違反の見逃し | Failure to Maintain Game State(FtMGS) | W |
イベント上の誤り | 遅刻 | Tardiness | G |
イベント上の誤り | 外部情報の参照 | Outside Assistance | M |
イベント上の誤り | 遅いプレイ | Slow Play | W |
イベント上の誤り | 不充分な切り直し | Insufficient Shuffling | W |
イベント上の誤り | デッキ/リストの問題 | Deck/Decklist Problem(D/DLP) | G |
イベント上の誤り | リミテッド手順抵触行為 | Limited Procedure Violation | W |
イベント上の誤り | 意思疎通規定抵触行為 | Communication Policy Violation | W |
イベント上の誤り | 区別できるカード | Marked Cards | W |
非紳士的行為 | 軽度 | Unsporting Conduct - Minor | W |
非紳士的行為 | 重度 | Unsporting Conduct - Major | M |
非紳士的行為 | 結果の捏造 | Improperly Determining a Winner | DQ |
非紳士的行為 | 買収・賭博 | Bribery and Wagering | DQ |
非紳士的行為 | 攻撃的行為 | Aggressive Behavior | DQ |
非紳士的行為 | イベント物品の窃盗 | Theft of Tournament Material | DQ |
非紳士的行為 | 遅延行為 | Stalling | DQ |
非紳士的行為 | 故意の違反 | Cheating | DQ |
2.5: 訳オチの修正。
3.5: 誤訳の修正。
1.4: 単純な巻き戻しには無作為の要素は含まれない。
2.1: 誘発を示すときは、どの誘発かを示す必要がある。
2.1: 視覚上の効果を伴わない「してもよい」能力は、示された場合は選ばれたものとして扱う。
2.2: 〔過剰なカードを見た〕と〔非公開カードに関する誤り〕の境界線を明確化した。
2.3: 違反の改定。よく似た理念だが、微妙な状況の扱いを明確化した。
2.4: マリガンの問題を扱う違反として別枠化(〔非公開カードに関する誤り〕に統合されていた)
2.5: 部分的修復はそれによって完全に網羅される場合にのみ適用される。
2.5: 不正な選択に対する部分的修復は、引き起こされる問題のある相互作用を巻き戻すことができる。
3.5: 明らかにデッキの一部ではないカードは、発見されても無視される。
3.5: なくしたカードをゲーム中に見つけた場合の扱いを明確化。
3.5: 自分でジャッジを呼んだことによる格下げは不正なカードに関するもので、なくしたカードに関するものではない。
付録A: 〔マリガン手順の誤り〕を追加。
全般:例で用いているカードを最近のものに差し替えた。
1: イベント・スタッフによる誤りは格下げてもよい。
2.1: 対象を取らない誘発型能力の表明が明確になるように調整。
2.3: 新しい違反! DECからの置き換え。
2.3: 変異の格上げは2.5ではなくここで扱う。
2.4: 違反ではない! 2.3に統合。
2.5: 誤った領域のオブジェクトに関する更新。動くべきなのに動いていなかったオブジェクトにも適用。
2.5: 両者にGRVを与えることに関してジャッジの裁量を増やした。置換効果にも適用される。
3: 〔イベント上の誤り〕の数は日をまたがない。
3.5: プレイ後のデッキリスト修正は必ず【ゲームの敗北】になるべきだと明確化した。
3.5: デッキのカードをなくした場合、(修正できるなら)ゲームの開始後には【ゲームの敗北】を出さない。
3.6: ドラフトに関するものだと明確化。変更ではない。
3.8: 冒頭文の明確化。
1.4: 切り直しが必要なときの、後にわかったカードの扱いを明確化した。
2.1: 誘発型能力を処理する際のオブジェクトの選択は、その誘発が本来起こっていた時間に適正だったかどうかを見る。
2.2: カードをライブラリーから取り除いた後でゲームの行動をおこなったかどうかを考慮しなくなった。
2.3: 明確化のため書き直し。GRV/CPVからカードを引いた場合はすべてここで扱う。
2.3: これまで〔公開忘れ〕だったものやライブラリーの一番上を見た場合にもこの違反で扱う。
2.3: カードを引くことを別扱いにすると明記した。
2.3: 訂正後には、その問題を起こした行動をもう一度おこなうことはない。
2.6: 変異のための格上げ。〔公開忘れ〕は、今後〔過剰なカードを引いた〕で扱う。
3.4: 対戦相手にデッキを提示しないのは〔不十分な無作為化〕である。
3.5: 「わかる名前」というルールはリミテッドのデッキリストでは「わかる基本土地タイプ」にも適用される。
3.6: 例Dの削除。カード登録の誤りは懲罰の対象ではなくなった。
3.7: 巻き戻しは行動に対するものであり、意思疎通の誤りに対するものではない。
3.8: 〔区別できるカード〕の交換も取り消せる。
付録B:MTRに移管。
一般:追加措置の項目中、格上げ、格下げを分かりやすく表記した。
1: 全体の整理と文章の見直し。
1: プレイヤーが自力で解決した小さな混乱には介入しないということを理念に追加した。
1.1 (旧): RELの定義をMTRに移管し、1.1〜1.4の項目番号を変更した。
1.1: 【注意】の削除と、各所の表記を整理した。
1.2: 複数の違反の扱いについて文章を改めた。与える懲罰は1つになるはず。
1.3: 単純な巻き戻しの意味についての説明。
1.4: 複数の措置で用いる、部分的に知られているデッキの切り直しについてここに記載した。
2: 多人数戦についての残っていた記載を削除。
2: 〔違反の見逃し〕の説明と格上げについての記述を整理した。
2: 違反にならない状況でゲームの局面を保つことに関しての記載を第1節に移動。
2.1: 一般的な状況の懲罰を「なし」であると改めた。
2.1: 明確化のため、記載順を改めた。対戦相手のターンの誘発忘れの説明を追加した。
2.1: 視覚上の表現を伴わない、ゲームの局面に影響を及ぼす誘発型能力には処理が伴わない。
2.3: 書き直し。今後は【警告】である。状況を解決するための特別な措置が記されている。
2.4: ゲーム開始時に修正した場合、誰がマリガンする順番かを決定する上で、マリガンとして扱う。
2.5: 〔違反の見逃し〕をこの違反の追加措置の一部として表記した。
3: 様々なMTR抵触が、違反の分類に当てはまらないと明記した。
3.3: 双頭巨人戦の記述を削除。
3.5: デッキの誤りと、デッキチェック中のリストの誤りだけが即座に扱われる。
3.5: なくしたカードの代わりに入れた基本土地は、後にそれ以上の懲罰なしに戻すことができる。
付録A:〔誘発忘れ〕と〔過剰なカードを引いた〕の懲罰の更新。
1.2: 【失格】の手続きおよび文書へのリンクを追加。
1.3: 複数の違反があった場合の段落は、1人のプレイヤーによるものにのみ適用される。
2.1: 物理的な効果を持つ誘発は、宣言した後で忘れた場合、忘れたものとする。
2.5: 定義された修正をおこなう前に検討する巻き戻しはほんのわずかである。
2.5: ブロック順を適切な即時の修正一覧に追加。
3.3: ヘッドジャッジの判断による格上げの削除。
3.5: プレイ開始後に見つかったデッキリストの問題に関する懲罰は次のラウンドに延期される。
1.2: 【注意】に関する古い記述を更新。
2: 複数の違反の扱いについてさらなる明確化。
2.4: 誤ったマリガンの処理を定義に戻した。
2.5: 判別できない誤りの格上げについての新しい取り扱い(と明確化)。
付録B: プロツアー地域予選をリストに追加。
1.2: 同時に与えられた【ゲームの敗北】は相殺されるようになった。
1.4: 巻き戻しの理念に関する節の新設。
2.3: 巻き戻しの要件を、〔その他一般のゲームルール抵触行為〕か〔意思疎通規定抵触行為〕に限った。空の手札にカードを引いたことも格下げの理由となりうる。
2.3: カードを引く枚数が少なすぎたことは〔その他一般のゲームルール抵触行為〕となる。
2.5: 巻き戻しの説明を1.4に移行。部分的修正は最初に検討される。
2.5: 不正な領域にあるカードの扱いは、時間よりも邪魔になるかどうかに注目するようになった。
2.6: 文法上の修正。
3.1: 措置の一部を定義や理念に移動させた。
3.5: 同時に【ゲームの敗北】が与えられる場合の規定は一般化されたので、ここからは削除。
3.7: 巻き戻しの説明を1.4に移行。
付録 B: プロツアー予備予選、プロツアー地域予選、ワールド・マジック・カップ予選トライアルの記述を追加。
はじめに: 懲罰の小分類についての不必要な説明を削除した。
1.2: 文法上の修整。
1.3: 文法上の修整。参照先の間違いの訂正。
2.4: 明確化のための違反の単純化。カードを手札から取り除いたら必ず切り直す。
2.5: いつ両プレイヤーが〔その他一般のゲームルール抵触行為〕になるかの定義の変更。
3.5: 「明確さ」をより明確にするため、明確さに関する文章変更。
3.5: 開始前の発見と、〔ゲーム開始時の引き間違い〕のタイミングを揃えた。
4.2: 大変更。〔非紳士的行為 ― 重度〕を嫌がらせという観点から定義し、【マッチの敗北】にした。
4.4: 賭けを持ちかけるだけでもこの違反に該当する。
付録 A: 〔非紳士的行為 ― 重度〕の更新。〔デッキ/リストの問題〕の誤りの修正。
付録 B: ワールド・マジック・カップ予選トライアルの追加。
一般: 文法の検討と曖昧な「べき」の明確化。
2: 文法上の調整により、【警告】の格上げを明確化。
2.4: マリガン手順とそれ以外の初期手札の誤りを統合。
2.5: 文法上の調整により、公開しなかった場合の処理を明確化。
3.5: 削除(〔デッキ/リストの問題〕に置き換え)。この項目のほとんどは〔リミテッド手順抵触行為〕ならびに〔非紳士的行為 ― 軽度〕に統合。
3.5: 〔デッキ/リストの問題〕。ヘッドジャッジはより自由に明確な書き間違いを格下げできるようになった。
3.6: 名称変更。シールドデッキの登録時の誤りもここに含まれるようになった。
3.6: デッキリストの誤りに関する文章を書き直し、デッキリストの扱いを明確化した。
4.1: イベント・スタッフの指示に従わなかった場合の扱いが、重度から軽度になった。
4.3: プレイヤーが見られないゲームの情報を使って勝敗を決めることは認められないと明確化した。
付録A: 更新を反映して表を更新。
3.9: サイドボードのカードを紛失したことによる懲罰は発生しないと明確化した。
3.9: 両プレイヤーが同時に〔デッキ/リストの問題〕による【ゲームの敗北】を受ける場合、それはマッチに計算しない。
4.7: ゲーム間の時間が明記されなくなったことにあわせて例(D)を更新した。
4.8: 3山切りでツミコミを逆用することを非合法としていた例(G)を削除した。
2.1: 忘れられた遅延誘発型能力は、プレイヤーが優先権を得るときまで解決されない。
2.2: 〔意思疎通規定違反〕の記述の修整(英語版のみ)。
2.3: 追加ターンを与える能力との混乱を避けるため、「追加ターン」を「延長ターン」に書き換えた。
2.3: プレイヤーがカードを引くことを確認した場合、〔過剰なカードを引いた〕にはならない。
2.4: 定義を明確化するための微調整。
2.5: 引き忘れたカードは必ず引かれる。捨てることに関する同様の例外規定と統合。
2.5: 領域変更の例外をさらに明確化。
1.2: カードが破損した場合以外にも適用できるよう、「損害」から「問題」に変更。
2.4: 定義を明確化するために再編。指針の変更ではない。
3.1: 3分という公式時間制限の撤廃。主催者は遅刻までの時間を定められる。
3.3: 例Cから特定の時間制限の数字を削除。
2.1: 誘発型能力が忘れられたことになる時期の定義を修正。理念部分の加筆。
2.1: 領域変更を伴う遅延誘発型能力の扱いを特記。何もしなかったときの処理が定められている能力の解決時期を調整。
3.7: (英語版で)違反の名前を変更。「プレイヤー意思疎通違反」だとわかりにくい。
4.3: 理念部分を、無作為でない不正な決定方法にも対応するように変更。
5: 〔故意の違反〕の章の合理化。〔遅延行為〕を4.7節に移動、〔故意の違反〕は4.8節〔非紳士的行為 ― 故意の違反〕に移動。
5.3: 4.8節に統合。行動が不正であると知ることが違反の構成要件に。
5.4: 4.8節に統合。行動が不正であると知ることが違反の構成要件に。
付録A: 表の更新
付録B: 表の更新
全般: 〔故意の違反〕ならびにその小分類を参照する部分の一新。
全般: 番号変更! 第3-6節は、1つずつ繰り上げとなる。以下の列記では併記する。
3/2: 気づき得ない誤りに関する記述を拡張し、3.6/2.5に移動。
3/2: 使われなくなった、ターン周期の記述を削除した。
3.1/2.1: 懲罰が与えられるかどうか、また誘発忘れの処理全体を刷新。失効能力は削除された。
3.2: 削除され、3.6/2.5に組み込まれた。
3.6/2.5: 気づき得ない誤りの違反に関する格上げと記述を追加した。
3.6/2.5: 誤った領域にあるオブジェクトはターン周期でなく1ターンの間処理される。
4.9/3.9: サイドボードと一緒に置いておいても良いカードの種別を2つ増やした(スリーブには要注意!)