2000年1月
マジック(R)裁定と訂正
最近の裁定のまとめ
Brady Dommermuth 編(*ぱお*/米村 薫 訳)
一般ルール
- クリーチャーの中には「一体だけで攻撃した時」あるいは「一体だけでブロックした時」という能力を持つ物がいる。例えば、Reckless Ogre《無謀なオーガ》(EX)の能力は「《無謀なオーガ》が一体だけで攻撃した時、ターン終了時まで+3/+0を得る」というものである。クリーチャーが攻撃やブロックを一体だけで行なうというのは、その戦闘で攻撃あるいはブロックに参加したクリーチャーがそれ一体だけである、ということである。
- あるイベントにおいて引き分けだった時に何を行なうかということを記しているテキストは、覚え書き(reminder text)ではなくルール・テキストである。どのように引き分けが処理されるかということに関しての一般的なルールは存在しないので、それぞれのカードにその解決法が記されていなければならない。これに影響を受けるカードはDrop of Honey(AN)と、ネメシスに含まれる白のカードである。
(訳注:白にはTopple《ぐらつき》、赤にもStronghold Gambit《要塞の計略》があてはまる)
訂正
一般に、以下に列記されている訂正はほとんどのプレイヤーが考えているとおりにカードを働かせるためのものである。
- Gilded Drake《金粉のドレイク》(UZ)
《金粉のドレイク》
〜が場に出た時、以下の中から1つを選ぶ。〜を生贄にする、または、〜と対戦相手のコントロールする対象のクリーチャーのコントロールを交換する。この交換が行われなかった場合、〜を生贄にする。この能力は打ち消されない。
Gilded Drake
When Gilded Drake comes into play, choose one -- sacrifice Gilded Drake; or exchange control of Gilded Drake for target creature an opponent controls. If you don't make the exchange, sacrifice Gilded Drake. This ability can't be countered.
この語法の意図は、ドレイクの処理を第5版ルールの下で行なった時とより近づけることにある。対戦相手のコントロールするクリーチャーと入れ換えるか、あるいは生贄に捧げるかのどちらかを選択せねばならず、残す方法はない。
この能力は誘発型であり、モーダルでもある。ドレイクが場に出た時、この能力が誘発し、モードの選択を行なう。2つ目のモードを選んだならば、次に対象を選ぶ。対象を選べなかったならば、「〜を生贄に捧げる」というモードを選ばなければならない。
対象にしたクリーチャーが、ドレイクの能力を解決したときに既に場になければこの交換は成立せず、従ってドレイクを生贄に捧げなければならない。通常、呪文や能力の対象が全て不適当であったならば、その呪文や能力は打ち消される。しかし、この能力は打ち消されないので、解決時に全ての対象が不適当であっても解決される。
- Undiscovered Paradise《知られざる楽園》(VI)
《知られざる楽園》
T:任意の色の1マナをあなたのマナ・プールに加える。〜のコントローラーの次のアンタップ・ステップに、そのプレイヤーがそのコントロールするパーマネントをアンタップするとともに、〜をそのオーナーの手札に戻す。
Undiscovered Paradise
T: Add one mana of any color to your mana pool. During the next untap step of Undiscovered Paradise's controller, as that player untaps his or her permanents, he or she returns Undiscovered Paradise to its owner's hand.
この語法により、《知られざる楽園》は常にWinter Orb《冬の宝珠》(5E)が場にあるのと同じようにプレイされるようになる。マナを出すためにタップした場合、次のターンには常にオーナーの手札に戻る。
- Coral Atoll《珊瑚礁》(VI)
《珊瑚礁》
〜はタップ状態で場に出る。〜が場に出る代わりに、あなたがコントロールするアンタップ状態の《島》を1枚そのオーナーの手札に戻す。そうした場合、〜を場に出す。そうしなかった場合、それをそのオーナーの墓地に置く。
T:あなたのマナ・プールにUと無色の1マナを加える。
Coral Atoll
Coral Atoll comes into play tapped. If Coral Atoll would come into play, return an untapped island you control to its owner's hand instead. If you do, put Coral Atoll into play. If you don't, put it into its owner's graveyard.
T: Add U and one colorless mana to your mana pool.
この語法は、ビジョンズの『bounce lands』全て(《珊瑚礁》、Dormant Volcano《休火山》(VI)、Everglades《大沼沢地》(VI)、Jungle Basin《ジャングルの盆地》(VI)、Karoo《乾燥高原》(VI))に適用される。これによって、手札に土地を戻すことを回避することはできなくなる。
それらのbounce landsをプレイすることは、「土地をターンに1枚しかプレイできない」という制限に掛かる。これは、bounce landsの置換能力は「土地をプレイすること」そのものではなく「土地を場に出すこと」を置換しているにすぎないからである。
- Licidの能力は「〜がそのクリーチャーにエンチャントしているかぎり、あなたは[あるマナ]を支払ってこの能力を終えることができる」となっているが、「〜がクリーチャーにエンチャントしているかぎり」と読み替える。
(原文:As long as [this] Licid enchants *a* creature,)
この変更により、エンチャント状態のLicidがEnchantment Alteration《エンチャント移動》などによって動かされた場合にもこの能力が正しく働くようになる。
- Vesuvan Doppelganger(3E)
《Vesuvan Doppelganger》
〜は、この色と能力を保ったまま、対象のクリーチャーのコピーとして場に出る。
あなたのアップキープの開始時に、〜は色を保ったまま対象のクリーチャーのコピーとなり、この能力を得る。
Vesuvan Doppelganger
Vesuvan Doppelganger comes into play as a copy of target creature, except it retains its color and abilities.
At the beginning of your upkeep, you may have Vesuvan Doppelganger become a copy of target creature, except it retains its color and gains this ability.
この語法により、クリーチャーが何かをコピーする場合には、クリーチャー・タイプはDoppelgangerではなくなる(ルール・チームは、こうしても98年3月に戻らないと判断した)。これによって、パーマネントの能力を失わせる効果との関連でのわかりにくい問題は解決できる。
文中の全ての商標はWizards of the Coast社のものである。 (C)2000 Wizards.