2000年2月
*Magic*(R) Rulings & Errata

最近の裁定のまとめ

Brady Dommermuth 編:成宮 昌輝 訳(*ぱお*/米村 薫 監訳)

一般ルール

  1. ルール 410.5には、充分単純な効果(この能力が示していることをしてもしなくてもよい)を持つ選択型の誘発型能力の場合、そのコントローラーはそれをスタックに載せないことを選択できる、と記されている。このことは、誘発型能力がそのコントローラーによってプレイされているという誤解を招き、選択型誘発型能力がいつスタックに乗るかということに関しての混乱を導いていた。
     このルールは削除された。今は、誘発型能力の誘発イベントが発生した時、その能力は単純にスタックに載る(この例外はif節が真でない時である−詳細ルールの用語集"if"の項を参照)。そのコントローラーは、その解決時に全ての選択を行なう。
  2. 単一の効果によって2枚以上のカードがあるプレイヤーのライブラリーの一番上もしくは一番下に置かれる時には、そのカードのオーナーが順番を決める。
     なお、そのオーナーは他のプレイヤーにその順番を見せる必要は無い。
     このルールは、Abundance《豊穣》(UZ)やHarmonic Convergence《調和ある収斂》(UL)やPlow Under《すき込み》(UD)などのカードに適用される。
  3. 『永続的でない』継続効果とは、ある時まで、あるいはある条件が真であるかぎり残る継続的効果である。『永続的な』継続効果とは、プレイヤーの意志により終わらせることができるとしても、いつまで残るかはっきり定義されていない継続的効果である(例えば、リシドをエンチャント(クリーチャー)にする永続的な継続効果は、マナを支払うことで終わらせることができる)。この二種類の継続的効果の差は、フェイジングに関連する。永続的でないものはフェイズ・アウトした時に終わるが、永続的なものは終わらない。
  4. いくつかの置換効果は、クリーチャーかプレイヤーへのダメージを別のものに『移し変える』。それらのダメージは代わりのクリチャーかプレイヤーに割り振られる。
     これらの効果に関して新しいルールが適用される:置換効果が起ころうとするとき、もしどちらか一方もしくは両方のクリーチャーが場にいなかったり、あるいはクリーチャーでなくなっていれば、その効果は何もしない。
     同様に、もしプレイヤーがゲームにいなくなっていれば、その効果は何もしない。
  5. いくつかのカードは, "Whenever [this creature] becomes blocked by [some number of] creatures, . . . ."の誘発イベントを持っている。もし、もっと遅い効果によって能力が誘発するのに十分なブロッカーが追加されても、それは誘発する。
     しかしながら、もしブロッカーが取って代わっても、その新しいブロッカーは追加のブロッカーとは数えない。
     例えば、Johtull Wurmのテキストは "Whenever Johtull Wurm becomes blocked by two or more creatures, it gets -2/-1 until end of turn for each creature blocking it beyond the first." である。
     仮に、Johtull Wurmが攻撃して、一体のクリーチャーによってブロックされたとする。もし、後の効果によって追加のクリーチャーがこのワームをブロックしたとすると、この能力は誘発される。しかし、何らかの効果によって最初のブロッカーが別のクリーチャーに変えられたら、このワームの能力は誘発されない。
    言い替えるなら、このワームの誘発イベントは "Whenever Johtull Wurm becomes blocked by two or more creatures at the same time, . . . ."と言える。

訂正

  1. ネメシスの三つのカード--パララクスのきずな、パララクスの潮流、パララクスの波--は、意図していたのと異なる働きをするような表記になっていた。
     以下に、これらのカードの修正したテキストを記す:

    《パララクスのきずな》

    消散 5
     パララクスのきずなの上から消散カウンターをひとつ取り除く:パララクスのきずなが場に有るなら、対象の対戦相手は手札のカードを一枚ゲームから取り除く。この能力はあなたがソーサリーをプレイできる場合にしかプレイできない。
     パララクスのきずなが場を離れたとき、各プレイヤーはパララクスのきずなによってゲームから取り除かれた自分がオーナーのカードを全て手札に戻す。

    《パララクスの潮流》

    消散 5
     パララクスの潮流の上から消散カウンターをひとつ取り除く:パララクスの潮流が場に有るなら、対象の土地をひとつゲームから取り除く。
     パララクスの潮流が場を離れたとき、各プレイヤーはパララクスの潮流によってゲームから取り除かれた自分がオーナーのカードを全て場に戻す。

    《パララクスの波》

    消散 5
     パララクスの波の上から消散カウンターをひとつ取り除く:パララクスの波が場に有るなら、対象のクリーチャーを一体ゲームから取り除く。
     パララクスの波が場を離れたとき、各プレイヤーはパララクスの波によってゲームから取り除かれた、パララクスの波以外の自分がオーナーのカードを全て場に戻す。
     これは、もしこの起動型能力が解決される時に、そのカードが場に無ければゲームから取り除かれないという意味である。
     さらに、パララクスの波は自分自身を場に戻すことはできない。
     これによって、Opalescence《オパール色の輝き》(UD)のようなカードとの関連による意図していない働きは妨げられる。
  2. ビジョンズのときの"bounce lands"のような同じ見落としがあった: Glacial Chasm, アイスエイジの土地カードである。
     Glacial Chasmは、Coral Atoll《珊瑚礁》(VI)などと同じように読み替える:

    《Glacial Chasm》

    累加アップキープ--ライフを2点支払う
     Glacial Chasmが場に出るとき土地を一つ生け贄に捧げる。そうした場合、Glacial Chasmは場に出る。そうしなかった場合、これをオーナーの墓地に置く。
     あなたの戦闘フェイズを飛ばす。
     あなたに与えられる全てのダメージを軽減する。
     この表記によって、土地を生贄にせずに場に出すことが不可能になった。この訂正が送れたことについて謝罪する。

特定カードの裁定

  1. 幾人かのプレイヤーは、もしコストが0やそれと同じような時ならどんなときでもそのコストを強制的に支払わなければならないかと尋ねるが、その答えはNOである。
     例えば、あなたの対戦相手が Lure《寄せ餌》(6E)("全てのクリーチャーは可能な限りエンチャントされているクリーチャーをブロックしなければならない")の付いたクリーチャーで攻撃をするとする。あなたは War Cadence《戦いの連打》(MM)("XR:クリーチャーはこのターンの間、そのプレイヤーがコントロールするブロックに参加するクリーチャー一体につきXを支払わない限りブロックに参加できない")をコントロールしている。この時、War Cadenceの能力をXを0で使ったらどうなるか? あなたはあなたのクリーチャーがブロックするのに0を支払わなければならない。なぜなら、War Cadenceは、ブロックのためにコストを押しつける。どんなときでも、あなたはたとえそのコストが0であっても、それを払わないことを選択できる。もしあなたがそれを支払わなければ、あなたのクリーチャーはLureが付いたクリーチャーをブロックすることができない。