*マジック* 裁定集
2001年5月
最近の裁定集
Paul Barclay 編(*ぱお*/米村 薫 訳)
一般ルール
- 呪文の中には、その呪文自身によって生じる効果を置換するものがある。例えば、《Memory Lapse/記憶の欠落》は、呪文を打ち消し、その打ち消された呪文をその所有者の墓地に置くというイベントを、その所有者のライブラリの上に置くというイベントで置換する。専門用語を使うならば、その類の呪文は永続的ではない、一時置換効果(One-shot Replacement Effect)を発生させる。この類の効果のことを『自己置換効果(self-replacements)』と呼ぶ。
他の置換効果があるときにもこれらの呪文を正しく処理できるよう、以下の新しいルールを作る。
『自己置換効果を、他の置換・軽減効果があるときにも最初に適用する』
例:一方のプレイヤーが《Urza's Rage/ウルザの激怒》を、キッカーつきで、対戦相手を対象としてプレイしたとする。このとき、この対戦相手は、自分にこのターンの間に与えられる3点のダメージを軽減すると宣言して《Healing Salve/治癒の軟膏》をプレイした。
《Urza's Rage/ウルザの激怒》
Urza's Rage can't be countered by spells or abilities.
Urza's Rage deals 3 damage to target creature or player. If you paid the kicker cost, instead Urza's Rage deals 10 damage to that creature or player and the damage can't be prevented.
《Healing Salve/治癒の軟膏》
Choose one -- Target player gains 3 life; or prevent the next 3 damage that would be dealt to target creature or player this turn.
この新しいルールが適用されて、《Urza's Rage/ウルザの激怒》は、最初に自己置換効果が適用される。従って《Healing Salve/治癒の軟膏》のダメージ軽減効果は《Urza's Rage/ウルザの激怒》の軽減不能ダメージを軽減できない。
- カードをライブラリの上から公開するとき、ライブラリ上にあった順序で公開される。例えば、《Vampiric Tutor/吸血の教示者》を使い、あるカードをライブラリの一番上に置いて《Fact or Fiction/嘘か真か》をプレイした場合、対戦相手はあなたがどのカードを《Vampiric Tutor/吸血の教示者》で探したか知ることができる。
- 呪文や能力をプレイする際の最後のステップで、そのコントローラーは、その呪文や能力の(マナ・コスト、起動コスト、追加、代用コストなどを含む)合計のコストを決定する。合計のコストが決定されたら、それは固定される。その後、全てのコストを任意の順番で支払うことになる。もし何らかの効果が合計のコストを変更しても、それは影響をもたらさない。例えば、《Tinker/修繕》をプレイするときに《Sapphire Medallion/サファイアの大メダル》をその追加コストとして生け贄に捧げても、それが生け贄に捧げられるより前に合計のコストが固定されているため《Tinker/修繕》の合計のコストは1だけ下がったままになる。
- 呪文や能力の文中に "Choose one --"『以下から一つを選ぶ −』という表記があれば、それはモーダルである。《Library of Lat-Nam/ラト・ナムの図書館》のように、呪文や能力の文中に "[あるプレイヤー] chooses one --"『[あるプレイヤー]は、以下から一つを選ぶ −』と書かれていた場合にも、モーダルである。
- 制限のあるマナは、その制限にそぐうものにしか消費できない。例えば、《Food Chain/食物連鎖》のマナはクリーチャー呪文をプレイするためにしか使えない。このマナはキッカー・コストや追加コスト、代用コスト、その他効果によって派生したコストの支払いにも当てられる。
- 最後の情報(Last Known Information)についてのルール(詳細ルール中の402.6、413.2fを参照)は、常在型能力には全く適用されない。このルールは、呪文、起動型能力、解決中の誘発型能力にのみ適用する。まもなく公開される詳細ルールの新版では、412.5節としてこれが記述されている。
- それぞれのターンに一度、ドロウ・ステップにカードを引くという通常のドロウは変更された。詳細ルールの304.1節には、これはターン・プレイヤーがコントロールする誘発型能力であると書かれていたが、これは既に正しくない。この、ドロウ・ステップの間の行動はカードに書かれていないので、どちらのプレイヤーもコントロールしていない。単に、ドロウ・ステップ開始時にスタックに積まれる誘発型能力全てがスタックに積まれた後で、一番上にその行動を積むだけである。この変更による大きな効果は、《Teferi's Puzzle Box/テフェリーの細工箱》のようなものの働きが、全てのプレイヤーに同等に与えられるようになることである。
訂正
- 以下のカードは、Oracleの更新によって小さな変更を受けている。訂正後のテキストは、Oracleで確認すること。
- Arcum's Sleigh
- Ashnod's Transmogrant/アシュノッドの人体改造機
- Benthic Explorers/
- Blood Lust/血の渇き
- Bosium Strip/ブージーアムの紐
- Brink of Madness/狂気の瀬戸際
- Catacomb Dragon/墓地のドラゴン
- Coffin Queen/棺の女王
- Defense of the Heart/中心部の防衛
- Desperate Gambit/一か八か
- Drought
- Dwarven Sea Clan
- Elvish Spirit Guide
- Frenetic Efreet/熱狂のイフリート
- Freyalise's Winds
- Grizzled Wolverine
- Harsh Judgment/過酷な審判
- Hidden Retreat/潜伏場所
- Impending Disaster/差し迫った災難
- Keeper of the Dead/死者の護り手
- Keeper of the Flame/炎の護り手
- Lat-Nam's Legacy
- Nature's Chosen
- Phyrexian Devourer
- Planar Collapse/次元の崩壊
- Snowblind
- Suffocation
- Temporal Aperture/束の間の開口
- Tombstone Stairwell/墓石の階段
- Witch Engine/魔女エンジン
- 以下のカードは、他のカードとの相互作用による異常を直すための訂正を受けている。
《Bounty of the Hunt》
あなたは、手札から1枚緑のカードを取り除くことでBounty of the Huntのコストを支払うかわりにしてもよい。
以下から一つ選ぶ−
対象のクリーチャーはターン終了時まで +3/+3を得る。
対象のクリーチャーはターン終了時まで +2/+2を得、もう一つの対象のクリーチャーはターン終了時まで+1/+1を得る。
対象のクリーチャー3体はターン終了時までそれぞれ+1/+1を得る。
Bounty of the Hunt
You may remove a green card in your hand from the game instead of paying Bounty of the Hunt's mana cost.
Choose one -- Target creature gets +3/+3 until end of turn; or target creature gets +2/+2 until end of turn and another target creature gets +1/+1 until end of turn; or three target creatures each get +1/+1 until end of turn.
《天界の曙光》
場以外にある、あなたが所有する土地以外のカードと、あなたがコントロールしている土地以外のパーマネントは白になる。あなたがコントロールしている土地は平地になる。あなたがコントロールする呪文や能力は、白以外のマナを生み出すかわりに白のマナを生み出す。あなたは白マナをどの色のマナででもあるかのように消費できる。
Celestial Dawn
Nonland cards you own that aren't in play and nonland permanents you control are white. Lands you control are plains. Spells and abilities you control produce white mana instead of any other color. You may spend white mana as though it were mana of any color.
%これは翌日(01/04/25 19:54:55 -0400)に訂正されたものです。
%以前は、マナを産み出す呪文(《暗黒の儀式/Dark Ritual》など)について考慮されていませんでした。
《夢ツグミ》
飛行
T: ターン終了時まで、対象の土地のタイプは、あなたの選んだある基本土地タイプになる。
Dream Thrush
Flying
T: Target land's type becomes the basic land type of your choice until end of turn.
(訳注: これは誤りであり、対象の土地の土地タイプは(Target land's land type becomes〜)と書くべきである)
《ロボトミー》
対象のプレイヤーはその手札を公開する。あなたは、その中から基本土地カード以外のカードを一枚選ぶ。そのプレイヤーの墓地、手札、ライブラリーから、選んだカードと同じ名前のカードを全て探し、それらをゲームから取り除く。そのプレイヤーはライブラリーをシャッフルする。
Lobotomy
Target player reveals his or her hand, then you choose a card other than a basic land card from it. Search that player's graveyard, hand, and library for all cards with the same name as the chosen card and remove them from the game. Then that player shuffles his or her library.
《リサイクル》
あなたのドロウ・ステップを飛ばす。
あなたがカードをプレイするたびに、カードを1枚引く。
あなたの手札上限枚数は、2枚になる。
Recycle
Skip your draw step.
Whenever you play a card, draw a card.
Your maximum hand size is two.
《連続突撃》
このターンに攻撃に参加した全てのクリーチャーをアンタップする。このフェイズのあとに、追加の戦闘フェイズと、その後に追加のメイン・フェイズを得る。
Relentless Assault
Untap all creatures that attacked this turn. After this phase, there is an additional combat phase followed by an additional main phase.
《飛翔艦ウェザーライト》
飛翔艦ウェザーライトが場に出たとき、あなたのライブラリーから任意の枚数のアーティファクト・カードまたはクリーチャー・カードを探し、それらをゲームから取り除く。その後、ライブラリーをシャッフルする。
(4), (T):飛翔艦ウェザーライトによってゲームから除かれたカードを一枚、無作為に選ぶ。それをそのオーナーの手札に入れる。
Skyship Weatherlight
When Skyship Weatherlight comes into play, search your library for any number of artifact and/or creature cards and remove them from the game. Then shuffle your library.
4, T: Choose a card at random that was removed from the game with Skyship Weatherlight. Put that card into its owner's hand.
《生存者の捜索》
墓地にあるカードを全てゲームから取り除く。対戦相手は、それらのカードの中から1枚を無作為に選ぶ。もしそれがクリーチャー・カードならば、それを場に出す。そうでなければ、それはゲームから取り除かれたままになる。その後、選ばれなかったカードを墓地に戻し、切り直す。
Search for Survivors
Remove your graveyard from the game. An opponent chooses a card at random from among those cards. If it's a creature card, put it into play. Otherwise, it remains removed from the game. Then return the rest of those cards to your graveyard and shuffle them.
特定カードの裁定
- 呪文のマナ・コストや能力の起動コストの中には、特定のタイプのマナを必要とするものがある。例えば、《Drain Life/生命吸収》のマナ・コストのXの部分には黒のマナだけが使用できるし、《Atalya, Samite Master/サマイトを総べる者アタリア》の能力の起動コストには白のマナだけが使用できる。
これらの呪文や能力が追加コストを持っている場合、マナの制限はそれらの追加コストには適用されない。これらの制限は、その呪文や能力のマナ・コストや起動コストにのみ適用される。
- 《Alloy Golem/合金のゴーレム》の色を設定する能力は、(ちょうど、Koboldが最初から赤であり、無色のものに赤くする能力を使っているわけではないのと同じように)その初期の色を決定する。このゴーレムが、《Shifting Sky/変容する大空》が場にあるときに場に出る場合、ゴーレムの初期の色は《Shifting Sky/変容する大空》の継続的効果によって上書きされる。
- サイクリング(Cycling)は起動型能力である。手札からのみ使うことができるけれども、サイクリングの能力はそのカードが場にあるときにも存在している。つまり、サイクリングのついた土地は、マナ能力以外の能力を持っているので、《Tsabo's Web/サーボの網》が場にあるときは通常通りにアンタップしないということである。もしサイクリングをカードに記載するなら、「2, このカードを手札から捨てる: カードを1枚引く。この能力は、このカードが手札にあるときにのみプレイできる」となる。
- 《Confound/打破》は「1体以上のクリーチャーを対象とする呪文」を対象とする。つまり、《Confound/打破》がプレイされたとき_と_解決されたときに、対象の呪文の対象がクリーチャーでなければならないということである。もし《Confound/打破》の解決時に呪文の対象がどれもクリーチャーでなくなっていたら、《Confound/打破》は完全に打ち消される(従って、そのコントローラーはカードを引くことができない)。
逆転/ルールの抹消
- 誘発型能力の相互作用を簡略化するために、ルールの410.2は変更された。かつては、誘発型能力の効果が選択的であった場合、その選択をおこなったプレイヤーがその能力をコントロールしていた。今はそうではない。誘発型能力は、常に、その誘発型能力が誘発した時点での発生源のコントローラーがその能力をコントロールすることになった。能力によって選択を求められたプレイヤーは単にそうするだけで、コントロールとは関係なくなった。
以下のカードは、誰が対象を選ぶのかを明確化するために、Oracleで訂正が入るだろう。
- Chain Stasis
- Ley Line/魔力の道
- Oath of Ghouls/グールの誓い
- Oath of Mages/魔道士の誓い
- Pandemonium/伏魔殿
- ルールの418.3c節の一部は抹消された。パワーやタフネスの変更において、2倍にする、半分にするなどの単なる加減算でない場合についてのルールであったが、これは必要なくなった。
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