マジック裁定と訂正
2003年12月

最近の裁定集

編集 マジック・ルールチーム


訂正 ── オラクルの文章変更

《ゴブリンの溶接工/Goblin Welder》[UL]

 《ゴブリンの溶接工》の能力は2つの別個の効果を同時に行なう、非常に稀な能力の1つであった。この文章を変更し、アーティファクトを生け贄に捧げることを先に、他のアーティファクト・カードが場に出ることを後に行なうように訂正する。

 《ゴブリンの溶接工》のオラクル版の文章は以下の通り:

《ゴブリンの溶接工/Goblin Welder》[UL]
{R}
クリーチャー ─ ゴブリン
1/1
{T}: プレイヤー1人がコントロールするアーティファクト1つと、そのプレイヤーの墓地にあるアーティファクト・カード1枚を対象とする。この能力の解決時にそれらの両方が適正な対象である場合、そのプレイヤーはそのアーティファクトを生け贄に捧げ、他方のアーティファクト・カードを自分の墓地から場に出す。
Creature -- Goblin
1/1
{T}: Choose target artifact a player controls and target artifact card in that player's graveyard. If both targets are still legal as this ability resolves, that player sacrifices the artifact in play, then puts the other artifact card from his or her graveyard into play.

《連続突撃/Relentless Assault》[8ED]

 《連続突撃》の文章は、(《呪文織りのらせん/Spellweaver Helix》[MRD]に《連続突撃》と《ギトゥの火/Ghitu Fire》[IN]が刻印されている場合に起こりうる)ターン終了ステップ中にプレイされた場合の奇妙な状況を引き起こさないように訂正される。新しい文章では、この呪文がメイン・フェイズ中に解決された時にのみ新しいメイン・フェイズと戦闘フェイズを作るようになっている。

 《連続突撃》のオラクル版の文章は以下の通り:

《連続突撃/Relentless Assault》[8ED]
{2}{R}{R}
ソーサリー
 このターン攻撃に参加した全てのクリーチャーをアンタップする。このメイン・フェイズの後に、追加の戦闘フェイズとその後の追加のメイン・フェイズを加える。
Sorcery
Untap all creatures that attacked this turn. After this main phase, there is an additional combat phase followed by an additional main phase.

《今を生きる/Seize the Day》[OD]

 《今を生きる》の文章は、上の《連続突撃》と同様に訂正される。

 《今を生きる》のオラクル版の文章は以下の通り:

《今を生きる/Seize the Day》[OD]
{3}{R}
ソーサリー
 クリーチャー1体を対象とし、それをアンタップする。このメイン・フェイズの後に、追加の戦闘フェイズとその後の追加のメイン・フェイズを加える。
 フラッシュバック{2}{R}(あなたはあなたの墓地にあるこのカードを、そのフラッシュバック・コストを支払うことによってプレイしてもよい。そのあと、そのカードをゲームから取り除く。)
Sorcery
Untap target creature. After this main phase, there is an additional combat phase followed by an additional main phase.
Flashback {2}{R} (You may play this card from your graveyard for its flashback cost. Then remove it from the game.)

《威圧するリシド/Dominating Licid》[EX]

 《威圧するリシド》のオラクルの文章は、現在の常在型効果のルールにそぐわなくなっていた。そこで、この文章を訂正し、「エンチャントされたクリーチャーのコントロールを得る」能力をリシド自身のものにする。

 《威圧するリシド》のオラクル版の文章は以下の通り:

《威圧するリシド/Dominating Licid》[EX]
{1}{U}{U}
クリーチャー ─ リシド
1/1
{1}{U}{U}, {T}: クリーチャー1体を対象とする。威圧するリシドはこの能力を失い、そのクリーチャーにエンチャントしたエンチャント(クリーチャー)になって、「{U}: この能力を生成した効果を終了させる」の能力を得る。
あなたは、エンチャントされたクリーチャーのコントロールを得る。
Creature -- Licid
1/1
{1}{U}{U}, {T}: Dominating Licid loses this ability and becomes an enchant creature enchanting target creature. It gains "{U}: End the effect that created this ability."
You control enchanted creature.

《異形化するリシド/Transmogrifying Licid》[EX]

 《異形化するリシド》のオラクルの文章は、現在の常在型効果のルールにそぐわなくなっていた。そこで、この文章を訂正し、「エンチャントされたクリーチャーは+1/+1の修正を受ける」と「エンチャントされたクリーチャーはアーティファクトである。それはクリーチャーでもある」の2つの能力に分割する。

 《異形化するリシド》のオラクル版の文章は以下の通り:

《異形化するリシド/Transmogrifying Licid》[EX]
{3}
アーティファクト・クリーチャー ─ リシド
2/2
{1}, {T}: クリーチャー1体を対象とする。異形化するリシドは全ての能力を失い、そのクリーチャーにエンチャントしたエンチャント(クリーチャー)になって、「エンチャントされたクリーチャーは+1/+1の修正を受ける」「エンチャントされたクリーチャーはアーティファクトである。それはクリーチャーでもある」「{1}: この能力を生成した効果を終了させる」の能力を得る。
Artifact Creature -- Licid
2/2
{1}, {T}: Transmogrifying Licid loses all abilities and becomes an enchant creature enchanting target creature. It gains "Enchanted creature gets +1/+1," "Enchanted creature is an artifact that's still a creature," and "{1}: End the effect that created this ability."

《ドラルヌの十字軍/Dralnu's Crusade》[PS]

 《ドラルヌの十字軍》のオラクルの文章は、現在の常在型効果のルールにそぐわなくなっていた。そこで、この文章を訂正し、「すべてのゴブリンはその本来のクリーチャー・タイプに加えてゾンビでもある」と「すべてのゴブリンは+1/+1の修正を受け、黒である」の2つの能力に分割する。

 《ドラルヌの十字軍》のオラクル版の文章は以下の通り:

《ドラルヌの十字軍/Dralnu's Crusade》[PS]
{1}{B}{R}
エンチャント(場)
すべてのゴブリンはその本来のクリーチャー・タイプに加えてゾンビでもある。
すべてのゴブリンは+1/+1の修正を受け、黒である。
Enchantment
All Goblins are Zombies in addition to their creature types.
All Goblins get +1/+1 and are black.

《スランの鍛錬器/Thran Forge》[WL]

 《スランの鍛錬器》のオラクルの文章は、現在の常在型効果のルールにそぐわなくなっていた。そこで、この文章を訂正し、「アーティファクト・クリーチャーになる」と「+1/+0の修正を受ける」の2つの能力に分割する。

 《スランの鍛錬器》のオラクル版の文章は以下の通り:

《スランの鍛錬器/Thran Forge》[WL]
{3}
アーティファクト
{2}: アーティファクトでないクリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時までアーティファクト・クリーチャーになる。それはターン終了時まで +1/+0 の修正を受ける。
Artifact
{2}: Target nonartifact creature becomes an artifact creature until end of turn. That creature gets +1/+0 until end of turn.

《ヴォルラスの多相の戦士/Volrath's Shapeshifter》[ST]

 《ヴォルラスの多相の戦士》のオラクルの文章は、現在の常在型効果のルールにそぐわなくなっていた。そこで、この文章を訂正し、この効果をタイプ変更効果ではなく文章変更効果にすることで他の文章変更効果と直感通りに相互作用するようにする。

《ヴォルラスの多相の戦士/Volrath's Shapeshifter》[ST]
{1}{U}{U}
クリーチャー ─ 多相の戦士
0/1
 ヴォルラスの多相の戦士が場にあり、あなたの墓地の一番上のカードがクリーチャー・カードである限り、ヴォルラスの多相の戦士はそのカードの全ての文章を持ち、「{2}: あなたの手札からカードを1枚捨てる」の能力を持つ。(ヴォルラスの多相の戦士はそのカードの名前、マナ・コスト、色、タイプ、サブタイプ、特殊タイプ、能力、パワー、タフネスを持つ)
{2}: あなたの手札からカードを1枚捨てる。
Creature -- Shapeshifter
0/1
As long as Volrath's Shapeshifter is in play and the top card of your graveyard is a creature card, Volrath's Shapeshifter has the full text of that card and has "{o2}: Discard a card from your hand." (Volrath's Shapeshifter has that card's name, mana cost, color, types, subtypes, supertypes, abilities, power, and toughness.)
{o2}: Discard a card from your hand.

特定カードの裁定

  1. 複数の《分かち合う運命/Shared Fate》[MRD]が場に出ている場合、どのカードがどの《分かち合う運命》によって取り除かれたものかを記録しておく必要がある。《分かち合う運命》の1つが場を離れた場合、その《分かち合う運命》によって取り除かれたカードはもうプレイできないが、場に残っている《分かち合う運命》によって取り除かれたカードをプレイすることはできる。
    《分かち合う運命/Shared Fate》[MRD]
    {4}{U}
    エンチャント(場)
    いずれかのプレイヤーがカードを引く場合、代わりにそのプレイヤーは、いずれかの対戦相手のライブラリーの一番上のカードを裏向きの状態でゲームから取り除く。
    各プレイヤーは、分かち合う運命によって自分が取り除いたカードを、手札にあるかのように見たりプレイしたりできる。
    Enchantment
    If a player would draw a card, that player removes the top card of an opponent's library from the game face down instead.
    Each player may look at and play cards he or she removed from the game with Shared Fate as though they were in his or her hand.
  2. 《クラークの親指/Krark's Thumb》[MRD]をコントロールしている条件下で《魔力激突/Mana Clash》[8ED]をプレイした場合、《魔力激突》の解決の各段階ごとに、あなたはコインを2枚投げ、対戦相手は1枚投げる。それら3枚のコインを見てから、あなたはどちらのコインを選ぶかを決定する。
    《クラークの親指/Krark's Thumb》[MRD]
    {2}
    伝説のアーティファクト
    あなたがコイン投げをする場合、代わりに2枚のコインを投げて1枚を無視する。
    Legendary Artifact
    If you would flip a coin, instead flip two coins and ignore one.
    《魔力激突/Mana Clash》[8ED]
    {R}
    ソーサリー
    対戦相手1人を対象とする。あなたとそのプレイヤーはコイン投げをする。魔力激突は、コインが裏だったプレイヤーに1点のダメージを与える。これを、両方のプレイヤーのコインが同時に表になるまで繰り返す。
    Sorcery
    You and target opponent each flip a coin. Mana Clash deals 1 damage to each player whose coin comes up tails. Repeat this process until both players' coins come up heads on the same flip.
  3. 《白金の天使/Platinum Angel》[MRD]とカードを引けないことによる敗北の状況起因効果の相互作用が明確化される。《白金の天使》が場を離れた場合、その直前に優先権を得た時点からその時までの間のことしか振り返らない。つまり、例えば前のターンにカードを引けなかったことによって負けになることはない。新しい状況起因効果の記述は以下のとおりである。
    420.5g 前回の状況起因効果のチェック以降に、自分のライブラリーにあるカードよりも多くカードを引くように要求されていたプレイヤーは、ゲームに敗北する。
    《白金の天使/Platinum Angel》[MRD]
    {7}
    アーティファクト・クリーチャー ― 天使
    4/4
    飛行
    あなたはゲームに敗北できない。あなたの対戦相手はゲームに勝利できない。
    Artifact Creature -- Angel
    4/4
    Flying
    You can't lose the game and your opponents can't win the game.
  4. リシドの能力の対象が、能力の対象として適正であって、かつエンチャントされないものであった場合、そのリシドはエンチャント(クリーチャー)になった後で、そのクリーチャーにつくことができないことになる。従って、次に状況起因効果がチェックされる時点で墓地に置かれる。

一般的な裁定

  1. マナ能力がマナを産み出せない場合にもその能力をプレイすることは適正であるが、解決時にマナが産み出されることはない。土地をコントロールしていない場合に「あなたがコントロールしているいずれかの土地が産み出すことができるタイプのマナ1点を加える」という効果はマナを産み出さない。
  2. カードを刻印能力を持つパーマネントに刻印することは一時的効果である。その能力が解決されたら、そのカードはそのカードがゲーム外領域から離れるまでそのパーマネントに刻印された状態になる。
    「刻印された[タイプ]・カード/the imprinted [タイプ] card」の情報を使う能力は、そのタイプのカードが刻印されている場合にのみ、そのカードがどのような方法で刻印されたかに関らず働く。他のタイプの刻印されたカードは刻印されたままではあるが、効果を持たない。
    パーマネントが刻印された[タイプ]・カードを参照する新しい能力を得た場合、その能力はそのパーマネントに刻印されているそのタイプのカード全てを参照する。
    刻印されたカードのあるパーマネントをコピーした場合、そのコピーは刻印されたカードについての情報を持たない。ただし、新しいカードを刻印することができる場合がある。
  3. プレイヤーの墓地にあるカードはコントローラーを持たない。しかし、何らかのルールや効果のためにオブジェクトのコントローラーが必要になった場合、そのオブジェクトのオーナーを代わりに用いる。
  4. マジック総合ルールの第100節及び第101節に書かれているルールはゲームに関する「高次ルール」である。この部分は、カードがルールに優先するという一般ルールの範疇外であり、カードによって上書きされることはない。つまり「あなたはゲームに敗北しない」と書かれた《白金の天使/Platinum Angel》[MRD]が出ている場合にも投了することが可能である。
  5. 裏向きのパーマネントを表にする場合、全てのプレイヤーにその効果が終わる時点でのパーマネントの変異コストを公開する。
    《謙虚/Humility》[TE]
    {2}{W}{W}
    エンチャント(場)
    すべてのクリーチャーはすべての能力を失い、1/1である。
    Enchantment
    All creatures lose all abilities and are 1/1.
    《詐欺の壁/Wall of Deceit》[LGN]
    {1}{U}
    クリーチャー ─ 壁
    0/5
    (壁は攻撃に参加できない。)
    {3}:詐欺の壁を裏向きにする。
    変異 {U}(あなたは{3}を支払うことで、これを2/2のクリーチャーとして裏向きにプレイしてもよい。あなたはいつでも、変異コストを支払ってこのカードを表向きにできる。)
    Creature -- Wall
    0/5
    (Walls can't attack.)
    {3}: Turn Wall of Deceit face down.
    Morph {U} (You may play this face down as a 2/2 creature for {3}. Turn it face up any time for its morph cost.)
    《水銀の精霊/Quicksilver Elemental》[MRD]
    {3}{U}{U}
    クリーチャー ― エレメンタル
    3/4
    {U}:クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、水銀の精霊はそれのすべての起動型能力を得る。(その能力にそのクリーチャーの名前がある場合、代わりにこのクリーチャーの名前を使う。)
    あなたは、すべての色のマナであるかのように、水銀の精霊の能力の起動コストを青マナで支払ってもよい。
    Creature -- Elemental
    3/4
    {U}: Quicksilver Elemental gains all activated abilities of target creature until end of turn. (If any of the abilities use that creature's name, use this creature's name instead.)
    You may spend blue mana as though it were mana of any color to pay the activation costs of Quicksilver Elemental's abilities.
  6. ルールチームは、目下、継続的効果のルールを明確化することに取り組んでいる。ルール 418.5a-bは種類別の効果の取り扱いを明確化するために変更される。以下に新しいルールを示す。

    418.5a オブジェクトの特性値は、そのオブジェクトそのものの特性値から始まり、それから以下の種類順に継続的効果を適用して求める。(1)コピー効果(rule 503〔オブジェクトのコピー〕参照)、(2)コントロール変更効果、(3)文章変更効果、(4)タイプ(および特殊タイプ、サブタイプ)変更効果、(5)一般の継続的効果、(6)パワー・タフネス変更効果。
     それぞれの種類別において、まず特性定義能力による効果を最初に適用し、それから他の効果を適用する。パワーやタフネスの変更に関しては、特性定義能力の効果の後、他の効果よりも先に、カウンターによる変更を適用する。タイムスタンプ順と依存のルール(rule 418.5b 〜 5g)参照。

    418.5b タイプ(および特殊タイプ、サブタイプ。以下同じ)変更効果以外の効果が、複数の種類別に分類できる場合、そのそれぞれの部分がそれぞれの種類別として処理される。タイプ変更効果に関しては、その全ての部分がタイプ変更効果の一部として扱われる。

     このルールによって、クリーチャーの能力を取り除く前に1/1にしなければならない、といった《謙虚/Humility》[TE]のようなカードが適正に扱えるようになった。タイプ変更効果に関する例外規則は、クリーチャーでないパーマネントがクリーチャーになる場合のパワーやタフネスの決定は他の継続的効果の適用前に適用されるべきだからである。
    例:プレイヤーが「{2}: ターン終了時まで、キマイラ球は3/2のアーティファクト・クリーチャーになる」という能力をプレイした場合、これはタイプ変更効果とパワー・タフネス変更効果の両方に分類される。タイプ変更効果なので、この効果全体がタイプ変更効果として処理され、パワー・タフネス変更効果だからといって後に処理されることはない。このターンの間に、《キマイラ球/Chimeric Sphere》[WL]に「クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで0/2になる」という能力が使われたとしたら、この効果は単純なパワー・タフネス変更効果なので、第6種として扱われ、0/2となる。この後で再び《キマイラ球》の能力を使ったとしても、その効果に含まれるパワー・タフネス変更効果はタイプ変更効果として扱われ、第4種として処理されるので、結果としては意味を持たないことになる。
    例:「野生の雑種犬は+1/+1の修正を受け、あなたが選んだ色1色になる」という効果は、パワー・タフネス変更効果でもあり、また「その他」の効果でもある。従って、「あなたが選んだ色1色になる」という部分が第5種として処理され、その後で「+1/+1の修正を受ける」部分が第6種として処理されることになる。
    例:《手綱取り/Grab the Reins》[MRD]は「クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、あなたはそれのコントロールを得るとともに、それは速攻を持つ。」という効果を持つ。これはコントロール変更効果であり、「その他」の効果である。従って、「あなたはそれのコントロールを得る」部分は第2種、「それは速攻を持つ」は第5種として処理される。
  7. 総合ルールの第409.1g-h節と第411.1節は、マナ能力のプレイについてわかりやすいように明確化される。
  8. 目下のルールチームの課題は以下のものである。

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