Date: Fri, 30 Jan 1998 15:33:03 -0800 From: Beth Moursund Subject: [O] 2月の裁定・訂正 1998年2月 マジックの裁定と訂正 最近の重要な裁定のまとめ Beth MoursundとTom Wylieによる編集 (訳:*ぱお*/米村 薫) 一般のルール 以下はルールブックを判りやすくするものであり、一般にゲームをどうするかである。 1) 第5版ルールブックの35ページに、全ての継続的能力はその場に出た順番に 処理すると書かれている。これは完全には正しくない。一般の指針として、効果が ある特性に依存している場合、ループを作らない限りはその特性を変えうるものを 先に解決する。ある種の効果が矛盾し、あるいは依存性がループを作る場合、その 継続的能力がプレイされた順序がその効果の適用順を決定する。  例えば、《コーマスの鐘》は、土地が沼になるほうが後であっても、全ての沼を クリーチャーとする。《十字軍》は、それがプレイされたよりも後に白色になった クリーチャーにも +1/+1の修正を与える。同様に、《謙虚》はプレイされた以降に クリーチャーになったものについても 1/1で能力を持たないクリーチャーにする。 (他のパワーやタフネスに影響する能力がそれ以降にプレイされた場合、通常通り  適用される)  継続的能力からの矛盾する効果の例としては、二人の異なるプレイヤーによって 《支配魔法》を掛けられたクリーチャーや、《飛行》のついているクリーチャーに 対するGravity Sphere[lR1] などである。これらの場合、ループが作られる場合と 同様に、効果はプレイされた順に解決される。  この指針は現在までに考えられているありうる場合全てについて充分であろう。 ルールチームは、継続的能力についての、これより奇妙な場合も処理できるような ルールの定義をしようとしている。 2) クリーチャーの現在のパワーやタフネスを決定する方法:   a) 基本のパワー、タフネスから始める。これらは大抵の場合カードの右下に    書かれているが、クリーチャーを作る効果でも定義される。(訂正1参照)   b) すべてのカウンターによるプラス、マイナスを処理する。   c) その他の効果を処理する。  例えば、+1/+1 カウンターの乗った《灰色熊》が《血の渇き》の対象となったら、 7/2 ではなく、7/1となる。  クリーチャーのパワー、タフネスをある特定の値に定める効果は、カウンターの プラスやマイナスを処理したあとに適用される;その後にはカウンターの再適用は されない。例えば、《謙虚》が場に出ている場合、《不安定性突然変異》によって クリーチャーを破壊することはできない。なぜなら、《謙虚》は、クリーチャーの タフネスを《不安定性突然変異》のカウンターの適用後に常に1にするからである。 3) 呪文や能力の全コストの決定する方法:   a) 呪文の場合、まずはそのキャスティングコストから始める。活性化能力の    場合、基本の活性化コストから始める。   b) 全てのコスト上昇を適用する。呪文や能力のテキストに書かれている追加    コスト(例えばバイバックコスト)も、他の効果によって上昇しているもの    (例えば《憂鬱》や《ケアヴェクの火吹き》による)も含む。   c) 全てのコスト軽減を適用する。《覚醒の兜》、各種《大メダル》、Power    Artifact[qU3]などのカードの効果がここで適用される。 注:これは過去の    幾つかの裁定を覆している。例えば、《サファイアの大メダル》のある時に    《ケアヴェクの火吹き》に《対抗呪文》を唱える時、 {1}{U}{U}のコストを    必要とする。  呪文や能力をキャスティングコストや活性化コストを支払わずにプレイする事を 許す能力は、追加コストはなくさない−−それらはプレイされなければならない。 例えば、《魔の魅惑》と《憂鬱》が両方とも出ている下で《白騎士》をプレイする 場合、コストは {3}となる。(パーマネントをプレイするかわりに場に出す場合、 プレイするのに必要なコストはすべて無視されることは覚えておくように) 4) 『ターンの間』というタイミングはなくなった。(訂正4参照) 5) 源がダメージを割り振ったときに誘発される能力はダメージが転嫁された時も 再び誘発される。その源自身がその転嫁に関係なくても、である。《クークス》が 2/2の《ザルファーの聖戦士》によってブロックされた場合は、 (オラクル版の) 《当然の報い》は最初のダメージ割り当て後に3ダメージを与える。《聖騎士》の 能力が用いられなかった場合、1ダメージが突き抜けて、《当然の報い》に追加の 1ダメージを与えさせる。もし《ザルファーの聖騎士》の能力を使って3ダメージ 全てを転嫁した場合、《当然の報い》は追加で3ダメージを与える。 6) 能力がプレイされたとき、『呪文もどき』を作る。『呪文もどき』の性質で、 その源と同じ性質を持つもの、そのコントローラー、エンチャントが源の場合には 何にエンチャントしているか、が、その能力がプレイされたときに定まる。これは 源の特性を再び調べることを禁止はしない。これはその効果が何をするかの基底に なるだけである。この『呪文もどき』はその源から完全に独立しており、その後で 源に何か変化があっても影響を受けない。  パーマネントの『場を離れる』誘発能力は、場を離れる直前の、パーマネントに 基づく性質の『呪文もどき』を作る。パーマネントが場に出たときの誘発能力は、 カードまたはトークンを作る能力と、対応するパーマネントタイプに基づく性質の 呪文もどきを作る。カードが名前によってそれ自身を参照している場合、同一性は 記録されている。言い換えると、呪文もどきはどのカードから来たか覚えている。 例えば、 Kjeldoran Outpostの場に出た時の能力は「《平地》を生贄に捧げるか、 さもなければこの効果を作ったカードを生贄に捧げる」と言う呪文もどきを作り、 従って《血塗られた月》の様な Outpostの名前を変える効果はそれの場に出た時の 能力の効果から逃すことはない。  呪文もどきは呪文と同じように解決する。解決中初めてパーマネントについての 何かを知る必要が出た場合に、パーマネントの現在の性質を調べる。誘発能力は、 どの対象が合法性を持っているかを決定するために現在のゲーム状態を調査する; それらの対象は、解決時に呪文と同じように再チェックされる。  この変化は、それ自身を対象とする能力を使った場合に主な影響がある。それは 他のパーマネントを対象とした場合と全く同じように解決される。 7) 継続的能力がある種のパーマネントにフェイズコストあるいはフェイズ能力を 与える時、パーマネントが作用されるタイプでなくなった後で、再びそのタイプに なった場合、新しい、未払いのフェイズコストあるいは能力を得るわけではない。  例えば、《ペンドレルの霧》と《熱狂のイフリート》をあなたのアップキープに 支配していたとする。《イフリート》の能力をプレイし、フェイズアウトしてから 《時空の満ち干》を使ってフェイズインしてきた時、《ペンドレルの霧》の与えた コストを再び支払う必要はない。Tawnos's Coffin[qU1]を用いて、パーマネントを プレイ外に出し、そして再び場に出した場合、アーティファクトをクリーチャーで なくしたあとでクリーチャーに戻したりした場合も、同じルールに従う。しかし、 《隠れ家》や《冷蔵室》によってゲームから除き、戻した場合には、このカードの 効果はクリーチャーを新しく場に出たものとして扱うから、アップキープコストを 再び支払う必要がある。  次の状況と比較せよ:《ヒルの吸血リシド》があなたのクリーチャー上にあり、 《リシド》の強制アップキープ能力をプレイする(1ダメージを受ける)。そして 《リシド》のコントローラーはクリーチャーに戻し、再びエンチャントに戻した。 《リシド》の強制アップキープ能力は再びプレイされなければならない−−それは それは新しい能力と考えられる。これは《星霜の冠》を用いて《放浪熱》を新しい クリーチャーに動かした場合も同じである。双方の場合について、エンチャントは 新しくクリーチャー上にプレイされたと考えられる。 8) 複数のモードを持つ呪文や能力をプレイするときは、モードをまず選んだ後、 そのモードで必要な選択を行なう。その呪文や能力の、他のモードで必要な選択を 行なう必要はない。例えば、《黒檀の魔除け》を唱えて、クリーチャーを墓場から 取り除くモードを選んだ場合、場の《卑屈な幽霊》を対象にすることはできない。  このただ一つの例外は Fatal Lore[aR2]である。呪文や能力のコントローラーが その呪文や能力についての選択を必ず先に行なうので、Fatal Loreの対象を最初に 宣言し、その後で、対戦相手が呪文が対象を埋葬するか手札を引かせるかを選ぶ。 従って、Fatal Loreの対象となった《卑屈な幽霊》は、対戦相手が「あなたが3枚 引く」モードを選んだとしても埋葬される。 訂正 1) パーマネントをクリーチャーにするすべての呪文や能力において、「パワー」 「タフネス」という前には「基本の」という語があるべきである。これはつまり、 (a) カウンターはクリーチャーに影響する、なぜなら、基本の値に適用するから。 (b) パワーやタフネスに影響する効果の後で再びその能力を活性化した場合、もう その効果を上書きしない。例えば《組立作業員》が側面攻撃を持つクリーチャーを ブロックしてターン終了時まで -1/-1の修正を得て、その後で、再び能力を使って 《ミシュラの工廠》を 2/2の《組立作業員》にしてもパワーやタフネスは戻らない。 2) 《阻止》の2段落目は「そのパーマネントの活性化能力は、このターンに再び 使えない」と読み替える。つまり、《阻止》を受けたパーマネントも、側面攻撃や 防護のダメージ軽減のような活性化しない能力は使えるということである。 「活性化能力」とは「活性化コストを持つ能力」のことである。 3) 以下のカードで、「対象の対戦相手」というのを「対戦相手」と読み替える。 Cuombajj Witches《クォムバッジの魔女》[nU4cC3] Cursed Scroll《呪われた巻物》[tR] Desperate Gambit《一か八か》[wU] Echo Chamber《エコー室》[tR] Fatal Lore[aR2] Forgotten Lore[iU] Goblin Bomb《ゴブリン爆弾》[wR] Intuition《直観》[tR] Library of Lat-Nam[aR2] Nova Pentacle[lR1] Null Chamber《無の空間》[mR] Phyrexian Grimoire《ファイレクシアの呪文集》[tR] Phyrexian Portal[aR2] Preacher[dU1] Soul Echo《魂の残響》[mR] Thran Tome《スランの秘本》[wR]  これらの呪文と能力はこれまで、その呪文や能力の他の選択を行なわせるために 対戦相手を対象にとっていた。これらの訂正は、これらの選択を行なう対戦相手を 対象としなくなったと言うことを意味している。対戦相手が複数いた場合、呪文や 能力をプレイするときに、その内の一人を選ぶのはこれまで通りである。しかし、 これは対象を取らないので、呪文や能力がプレイヤーを対象にとることを禁じても 禁止されない。  この訂正は(《呪われた巻物》のような)幾つかのカードでの同じ何かを複数回 対象に取ることを禁ずると言うルールによる問題を除く。 4) Time Vault[gR---]の最初の活性化能力は、「あなたの次のターンを飛ばす: Time Vaultをアンタップし、その上にタイムカウンターを置く。この能力は Time Vaultがタップ状態の時しか使えず、 ターンに一度しか使えない」と読み替える。 この変更は、Time Vaultを《時エイトグ》や《瞑想》と合わせる。 特定カードの裁定 1) エンチャント移動能力(星霜の冠のような)を、エンチャント状態のリシドに 対してプレイした場合、リシドはエンチャントであり、クリーチャーに戻らない。 リシドのエンチャント状態が一時的効果であって永続的変化ではないからである。 エンチャント移動は永続的変化だけを初期化し、一時的効果は初期化しない。 2) 《掘削機》の能力に複数の土地型として数える基本地形を生贄に捧げた場合、 その一種類を選ばなければならない。対象のクリーチャーは、あなたが選んだ型の 土地渡りを得る。これは《掘削機》を《魔法改竄》や Reality Twist[iR]、さらに 《ほとばしる魔力》、Balduvian Trading Post[aR2]のルールと合わせる。 3) ジャッジの参照文献オラクルの未完成版で、 Eureka[lR1]の項の最後の段落は 間違いである。Eurekaの文章に『then』が含まれないので、誘発能力はそれぞれの カードが場に出た後にはプレイされない。(『then』の存在が、効果をばらばらの イベントに分割する−−1997年8月の裁定と訂正を参照)全ての誘発能力は、 Eurekaの解決が終わるまで保留される。 4) 《荒廃の下僕》が唱える他のあらゆる方法で場に出たとき、(《原初の土》の 形を選び、 Cloneの対象を選ぶように)生命の量を選び、《下僕》が場に出る前に 支払わねばならない。この選択や支払いは置換効果としてプレイされる;それらは 《下僕》を場に出すイベントの寸前に位置する。  なぜ《荒廃の下僕》がたとえば《クラキリン》よりも《原初の土》に近いのか、 不思議に思うかもしれない。《荒廃の下僕》も《原初の土》も、「[このカード]を プレイするとき、[XXする]」と書かれていて、もし「プレイするとき」の選択を 行なわずに場に出た場合に、結果のパーマネントの性質は未定義になる。従って、 プレイするときの効果は、それらのパーマネントに必要な性質を決定するために、 それらのカードが場に出る寸前に解決されなければならない。この種のカードは、 必要な性質がすべて決定されている《クラキリン》とは異なる。 5) 《終わりなき悲鳴》の文中にあるXは、呪文が唱えられたときに決定されて、 エンチャントが場にあるときに、キャスティングコストのXが0になるけれども、 0になることはない。《終わりなき悲鳴》を他のクリーチャーに移動しても、Xの 値は変わらない。(表記通りなら、《終わりなき悲鳴》は正しく働かない。しかし、 うまく働かせる表記は判りにくく、平均的なプレイヤーに混乱をもたらす。ルール チームは、その意図を表す裁定を下すだけにすることに決定した) 6) 反転:土地型を別のものにすると言う全体的な効果は、カードの現在の土地型 全てを上書きする。《変換》は Badlands[gRR--]を平地にし、沼と平地として扱う Badlandsとはしない。この裁定は第3版のデュアルランドの例外的規定をなくす; これは土地を基本型に変化させるときには全テキストと土地の名前を変えると言う 通常のルールに合わせる。 - Beth "BethMo" Moursund Magic Rules Manager, Wizards of the Coast