1999年3月 *マジック* 裁定と訂正 最近の裁定のまとめ 編:ベス・モーザンド(訳:*ぱお*/米村 薫)  これらの裁定は、現在の(第五版の)マジックのルールに関するものであるが、 6月1日から有効になるクラシック(第六版)のルールにも適用される。 一般ルール 1)クリーチャー・タイプ「レジェンド」と、「伝説の」という形容詞はマジックの ルールにおいて同じ意味を持つ。全てのレジェンドに作用するという呪文や能力は、 レジェンドと伝説のパーマネントに影響を及ぼす。Karakasのようにレジェンドを 対象とする呪文や能力は、レジェンドでも伝説のパーマネントでも対象に取れる。  レジェンドであるクリーチャーが(Soul Sculptor《魂の彫刻家》などによって) クリーチャーでなくなったときも、「レジェンド性」は保たれる。  場にある2つのレジェンドまたは伝説のパーマネントが同じ名前を持っている時、 それらが異なるパーマネント・タイプであっても、後で場に入ってきたほうがその オーナーの墓地に行く。例えば、あるレジェンドが《魂の彫刻家》の能力によって エンチャントになっても、同じ名前のレジェンドは場に残ることができない。 2)個別エンチャントには、必ず、それがエンチャントしているものの表記がある。 「エンチャントされているアーティファクト」、「エンチャントされている土地」、 「エンチャントされている黒でないクリーチャー」などがその例である。それらの エンチャントは、エンチャントされているパーマネントがそのエンチャント自身の 能力以外でその表記に従っているときにのみ効果を発生させる。  Animate Artifact《動く秘宝》は、このルールなしでは矛盾するエンチャントの 一例である。曰く、「エンチャントされたクリーチャーでないアーティファクトは アーティファクトクリーチャーとなる」。クリーチャーでないアーティファクトに エンチャントしているときにのみ有効だが、その場合にはエンチャントされている アーティファクトはアーティファクトクリーチャーになり、効果が発生しない、と いうことになってしまう。つまりこの裁定は、「アーティファクトクリーチャーに なる」という効果を適用しないときにクリーチャーでないアーティファクトである 場合に効果が発生するということである。  Transmogrifying Licid《異形化するリシド》は異種の問題をもつ一例である。 例えば、あなたの支配する土地をターン終了時までクリーチャーにしたとしよう。 このとき、このクリーチャーに《異形化するリシド》をエンチャントする。ターン 終了時に、このエンチャントされたクリーチャーは通常ならば土地に戻る。しかし リシドがそれをアーティファクトクリーチャーにしてクリーチャーに保つかどうか 説明することが難しかった。この裁定によって、このような状況は明確にされる。 「エンチャントされたクリーチャー」の部分と「アーティファクトクリーチャーに なる」という部分が相互作用しなくなる。  この裁定は以前の《異形化するリシド》の「自己完結性」に関する逆転である。 3)呪文や能力があるカードのコピーを探すことを認めるばあい、名前だけを調べ、 そのカードタイプは問わない。例えば、『起きている』Opal Gargoyle《オパールの ガーゴイル》がRemembrance《想起》のあるときに墓地に行った場合、《オパールの ガーゴイル》のエンチャントを探すことができる。Cloneが墓地に行った場合、その Cloneがコピーしているカードと同じ名前のカードを探す。Cloneを探すのではない。 この裁定はMask of the Mimic《擬態の仮面》にも適用され、以前のCloneに関する 裁定のいくつかに関する逆転である。 4)場にあるカードと墓地にあるカードを入れ換えるというのは墓地にあるカードを 特定されたプレイヤーのコントロール下で場に出し、同時に、場にあったカードを (他方のカードがどの墓地から来たかに関係なく)そのカードのオーナーの墓地に 置くことである。交換は、該当する全ての場に出たときの効果や場を離れたときの 能力をトリガーする。場を離れるカードについていたエンチャントやカウンターは 場に入ってくるカードに移動しない。 5)ある条件下でマナを出すことができる能力は、その時マナが出せなくても、マナ 能力である。例えば、あなたがクリーチャーをコントロールしていないときでも、 Gaea's Cradle《ガイアの揺籃の地》の能力はマナ能力である。 6)土地が出すマナの色やタイプをコピーする能力(Fellwar Stone《友なる石》や Reflecting Pool《反射池》などの能力)では、置き換え効果は考慮し、トリガー つき能力は考慮しない。例えば、Contamination《汚染》が場に出ているときには たとえ対戦相手の土地にFertile Ground《肥沃な大地》がエンチャントされても、 《友なる石》は黒マナだけを生産できる。  《ガイアの揺籃の地》のような、ある状態のときにのみマナを出せるマナ能力は 『マナ・コピー』能力に関してはその特定の色を出すことができるとして扱う。 7)(Wild Growth《繁茂》やMana Flare《ほとばしる魔力》のもののような)土地を マナを出すためにタップしたときにトリガーされる能力は、その土地が現在マナを 出せないときにもトリガーされる。これには置き換え効果も考慮される。例えば、 Hall of Gemstone《宝石の広間》が場に出ているとき、《ほとばしる魔力》は場に クリーチャーが出ていなくても《ガイアの揺籃の地》に《宝石の広間》で選ばれた 色の1マナを出させる。 8)『マナ・コピー』能力やマナ能力がプレイされることにトリガーする能力に関し、 何らかの選択があるならば、誰がそのトリガーつき能力や置き換え能力、その他の パーマネントをコントロールしているかに関らずその(『マナ・コピー』あるいは マナ能力に関連する)土地の能力をプレイしたプレイヤーが、その選択を行なう。 例えば、対戦相手があなたの土地に《肥沃な大地》をエンチャントした場合でも、 追加で出てくるマナの色を決めるのはあなたである。 9)何らかの効果がパーマネントのタイプを変えたとき、そのパーマネントの能力は その効果に記されていない限り変化しない。第5版ルールの下では、これは土地が 土地でなくなったときも、マナを出す能力がマナ・ソースであることを意味する。  この裁定は、全てのマナ能力が同じようにプレイされるクラシック・ルールには 関係しない。 訂正 1)Booby Trap《ブービートラップ》、Brink of Madness《狂気の瀬戸際》、Defense of the Heart《中心部の防衛》、Hesitation《躊躇》、Impending Disaster《差し 迫った災難》、Mogg Bombers《モグの爆弾兵》、Planar Collapse《次元の崩壊》、 Second Chance《セカンド・チャンス》は"Sacrifice [this card] and [generate some effect]" 『[このカード]を生贄に捧げ、[効果を発揮する]』というトリガー つき能力を持つ。これらは"Sacrifice [this card] _to_ [generate some effect]" 『[このカード]を生贄に捧げ、それによって[効果を発揮する]』と読み替える。  この変更によって、このトリガーつき能力が解決されるときに、パーマネントを 生贄に捧げることをコストとする強制的な能力が生成される。第5版ルール下では この能力は即座にプレイされ、解決される。マナ・ソース以外はあいだに入れない。 クラシック・ルールの下では、パーマネントが生贄に捧げられた後で、その能力が スタックに積まれる。どちらの場合にも、そのパーマネントを生贄に捧げることが できなかった場合(場を離れているなど)には効果の後の部分も発生しない。 2)Cloud of Faeries《フェアリーの大群》、Great Whale《巨大鯨》、Palinchron 《パリンクロン》、Peregrine Drake《流浪のドレイク》、それからPriest of Gix 《ギックスの僧侶》の"When comes into play, ..."『[このカード]が 場に出たとき……』という部分を、"When comes into play, if you played it from your hand, ..."『[このカード]が場に出たとき、それが手札から プレイされたものならば……』と読み替える。これによって、Recurring Nightmare 《繰り返す悪夢》やSneak Attack《騙し討ち》などの能力によって場に出た場合は トリガーされなくなった。また、Yawgmoth's Will《ヨーグモスの意志》、Temporal Aperture《束の間の開口》、Elkin Bottle《エルキンの壷》などから、手札以外の 所からプレイされた場合にもトリガーされない。  この変更はこの5枚のカードにのみ適用され、Nekrataal《ネクラタル》のような その他の登場能力には適用されない。 3)Humility《謙虚》の"and is a 1/1 creature"『1/1クリーチャーになる』という 文を"and is 1/1."『1/1になる』に、Humble《お粗末》の"and is a 0/1 creature" 『0/1クリーチャーになる』は"and is 0/1."『0/1になる』にそれぞれ変更する。 (この訂正がなければ、技術上、この効果は、アーティファクト・クリーチャーを アーティファクトでないクリーチャーにすることがありえた) 4)Sword of the Chosen《選ばれしものの剣》のテキスト中にある"target legend" 『対象のレジェンド』の表記は、"target legend creature"『対象のレジェンド・ クリーチャー』と読み替える。 (ルールチームは、クリーチャー以外のパーマネントに +2/+2をつけられることは 混乱をもたらすと判断した) ###