このルールに関して、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社が著作権を持ちます。
(このファイルの最後に詳細は記述してあります)
このファイルは、マジック・ザ・ギャザリングのComprehensive Rulesを、Japan Netrep *ぱお*/米村 薫 が協力者の助力の下で翻訳したものです。
このルールの英文は http://www.wizards.com/default.asp?x=magic/rules/tourneyplayer に、翻訳文は http://mjmj.info/data/CompRules_j.html にあります。
再配布は制限しませんが、この巻頭辞まで含めた完全な形でお願いいたします。
この翻訳に関して疑問等ありましたら、*ぱお*/米村 薫 までメールでご連絡ください。
0. はじめに
1. ゲーム
2. ゲームの部分
200. 原則
3. ターン進行
300. 原則
5. その他のルール
511. コイン投げ
600. 原則
603. 「クリーチャー配置」選択ルール
7. 用語集
この冊子は、マジック・ザ・ギャザリングの基本的なゲームを理解した人たちのために編集されている。初心者にとって、このルールはほとんどの場合、不必要で複雑なものである。このルールに書かれていることは、このゲームに関するルール・グルになるためのものであり、特殊な問題が生じたときか、あるいは競技プレイの間にしか必要ではないだろう。
気軽なプレイの時にはもちろん、また、そうでなくてもほとんどの状況では、第9版入門セットの箱に入っている基本ルールブックで充分である(基本ルールブックの内容は、ウィザーズ社のマジック・ルールのウェブサイト http://www.wizards.com/default.asp?x=magic/rules からダウンロードできる。なお、日本語版はタカラトミーサイト http://mtg.takaratomy.co.jp/rule/basic/index.html に、私家改変版がMJMJ.info http://mjmj.info/data/BasicRules_j.html にある)。それ以上の詳細なルールを求めるのであれば、これ以降を読み進めるとよい。
この文章は、章立てられたルールと、用語集からなっている。ルールの多くは細分化され、それぞれのルールとサブルールには番号が振られている。用語集では、ルール側で書くことが相応しくないような、用語一つ一つに関する解説が列記されている。探しているものが見つからない場合、用語集を確認すること。
ウィザーズ社は、ルールをいかに細かく定めたとしても、特定のカードの相互作用によって正確な解答が必要な状況があることは判っている。疑問がある場合、ウィザーズ社の http://www.wizards.com/customerservice に問い合わせて、その解答を得ることができる。これ以外の連絡先は、このファイルの末尾に記されている。
問題の発生に応じて、またルールをできる限り新しく保つために、公開以降にも変更が加えられる可能性がある。公式ルールの現在の版は、ウィザーズ社のサイト内の http://www.wizards.com/default.asp?x=magic/rules に公開されている。
100.1. このマジックのルールは、2人ないしそれ以上のプレイヤーによるゲームに適用される。2人による対戦と、それ以上のプレイヤーによる多人数戦がある。
100.2. 構築環境でゲームをするにあたって、各プレイヤーは、60枚以上のカードからなるデッキ、トークンやカウンターを示す小さな物、ライフの現在値をはっきり示す方法、を必要とする。構築環境でのデッキは、任意の枚数の基本土地 カードと、特定の英語名ごとに4枚以下の基本土地以外のカードからなる。
100.3. シールド、またはドラフト環境において、デッキには40枚以上のカードを必要とする。持っているかぎり、同じカードを何枚デッキに入れても問題ない。リミテッド環境においても、トークンやカウンターを示す小さな物や、ライフの現在値をはっきり示す方法は必要である。
100.5. ほとんどのマジックのトーナメントには、(ここに含まれない)特殊ルールが適用される。例えば、古いセットからのカードはすべて禁止、などである。 http://www.wizards.com/default.asp?x=DCI/doccenter/home で手に入れることができる、最新のマジック・DCIフロアルールを参照のこと。
訳注:日本語版は http://mjmj.info/data/ でも公開されている。
101.1. ゲームを始めるとき、それぞれのプレイヤーは自分のデッキをシャッフルし、カードが不規則な順序になるようにする。その後、対戦相手のデッキをシャッフルすることができる。このデッキは以後ライブラリーとして扱われる。
101.2. デッキをシャッフルした後、どちらが先攻後攻を選ぶかを決める。その方法は相互に納得できる方法(コイン投げや、ダイスを振るなど)であれば何でもよい。複数のゲームからなるマッチにおいては、直前のゲームで負けたプレイヤーがどちらが先攻かを決定する。前のゲームが引き分けであった場合、前のゲームで先攻・後攻を決めたプレイヤーが決定権を持つ。
101.3. 先攻プレイヤーが決定された後、それぞれのプレイヤーはそのライフを20にし、そして7枚の手札を引く。
101.4. 最初の手札が満足できるものでなかったプレイヤーは、マリガンを行なうことができる。この判断は、先攻のプレイヤーが先に行なう。マリガンとは、手札をライブラリーの中に混ぜ入れ、そして6枚の新しい手札を引くことである。なお気に入らなければもう一度繰り返すことができ、このときは新しい手札は5枚になる。こうして、毎回1枚ずつ手札を減らして、0枚になるまでこの方法を繰り返すことができる。先攻のプレイヤーがこれ以上マリガンをしないと決めたら、そのカードがそのプレイヤーのゲーム開始時の手札となる。その後、ターン進行順で次のプレイヤーが満足するまでマリガンを行なうことができる。一旦マリガンしないことを選んだら、その後でマリガンすることはできない。
101.4a 「双頭巨人戦」変種ルールでは、基本的には通常のマリガン・ルールに基づいてマリガンを行なうが、いくつかの点において変更が加えられる。先に先攻のチームがマリガンを行なう。チームにおいてマリガンする場合、そのチームのプレイヤーがマリガンをするかどうかを別々に決定し、その後で同時にマリガンを行なう。1度目のマリガンでは、新しく引く 手札は7枚になる。そのチームの両プレイヤーが手札を確認してから、この手順を繰り返す(2度目以降は通常のルール通りに1枚ずつ手札のカードが減っていく)。プレイヤーがそれ以上マリガンしないことを選んだら、そのカードは開始時の手札となる。一旦マリガンしないことを選んだら、その後でマリガンすることはできない。先攻チームの両プレイヤーがマリガンの手順を終えたら、後攻チームが同様にマリガンを行なう。
例:双頭巨人戦で、ボブとクレアが先攻チームである。最初に各7枚引いて、その手札を確認して、ボブとクレアは両方ともがマリガンすることを選択した。引いたカードをデッキに混ぜ入れ、改めて7枚引く。クレアはボブの手札に満足しなかったが、ボブは手札を残すことを選択し、クレアはもう一度マリガンすることを選んだ。ボブの7枚のカードはこの時点でボブのゲーム開始時の手札となり、クレアは手札をデッキに混ぜいれて6枚の手札を引くことになる。これ以降、マリガンをするかどうかを選ぶことができるのはクレアだけであり、ボブはもうマリガンすることができない。クレアは6枚の手札を見て、それでゲームを始めることを選択した。この後、後攻である相手チームがマリガンの処理を行なう。
101.5. 全てのプレイヤーがゲーム開始時の手札を決定したら、先攻のプレイヤーのターンが始まる。
101.5a 2人対戦では、先攻のプレイヤーは、最初のターンのドロー・ステップ(rule 304〔ドロー・ステップ〕参照)を飛ばす。
101.5b 多人数戦では、最初のターンのドロー・ステップを飛ばすというルールは存在しない。しかし、『双頭巨人戦』変種ルールでは、開始チームのドロー・ステップは存在するが、そのチームの第1プレイヤーはそのドロー・ステップにカードを引くことはできない。rule 606〔変種ルール「双頭巨人戦」〕参照。
102.1. プレイヤーが勝ち、あるいは負け、またはゲームが引き分けになったら、そのゲームは即座に終わる。
102.2. ゲームの勝利となる条件がいくつか存在する。
102.2a そのプレイヤーの対戦相手全員が負けとなって、かつ、そのプレイヤー自身が負けていないとき、そのプレイヤーの勝ちとなる。
102.2c チームによる多人数戦においては、他のチーム全てが負けとなったとき、残っているプレイヤーのいるチームの勝ちとなる。勝ちとなったチームのプレイヤーは、そのプレイヤー自身が負けになっていたとしても、全員が勝ちとなる。
102.3. ゲームの敗北となる条件がいくつか存在する。
102.3a プレイヤーはいつでも投了できる。投了したプレイヤーは即座に負けとなる。
102.3b プレイヤーのライフの合計が0以下になったら、そのプレイヤーは次に優先権が発生したとき(状況起因効果として)ゲームに負ける。(rule 420〔状況起因効果〕参照)
102.3c ライブラリーに残っているよりも多いカードを引くことが求められたら、残されているカードをすべて引き、次に優先権が発生したときに(状況起因効果として)そのゲームに負ける。(rule 420〔状況起因効果〕参照)
102.3d プレイヤーが10個以上の「毒カウンター/poison counter」を得た場合、次に優先権が発生するときにそのプレイヤーは負けとなる。これは状況起因効果である(rule 420〔状況起因効果〕参照)。
102.4. ゲームが引き分けとなる条件がいくつか存在する。
102.4a ゲームに残っていたプレイヤー全員が同時に負けた場合、ゲームは引き分けとなる。
102.4b ゲームが何らかのループを作り、それを止める方法がない場合、ゲームは引き分けとなる。但し、なんらかの選択肢のあるループは引き分けにはならない。
102.5. プレイヤーが負けになったら、そのプレイヤーはゲームから除外される。逆に、プレイヤーがゲームから除外されたら、そのプレイヤーは負けとなる。多人数戦のルールで、プレイヤーがゲームから除外される場合について記述されている。rule 600.4 参照。
103.1. カードのテキストがルールに直接矛盾しているときは、カードの記述が優先される。カードはその特定の状況に適用されるルールだけを無視する。このルールの例外として、プレイヤーはいつでも投了することができる。rule 102.3a 参照。
103.2. あるルールまたは効果によって何かを「できる」とされている時に、他の効果によって同じことが「できない」とされていた場合、「できない」という効果が優先される。例えば、「このターンに、あなたは土地を1枚追加でプレイしてよい」という効果があり、他方では「このターン、あなたは土地 カードをプレイすることはできない」という効果があった場合、土地のプレイを禁止する効果のほうが優先される。オブジェクトに能力を与える効果とオブジェクトから能力を失わせる効果の相関については、このルールは適用されない。rule 407〔能力の追加・除去〕参照。
103.3. カードの記述が不可能な行動を求めていた場合、それは無視される。(多くの場合、カードはこれの結果をはっきりさせる。そうでなければ、なんの効果ももたらさない)
103.4. 複数のプレイヤーが同時に何らかの選択を行なったり行動を取ったりする場合、アクティブ・プレイヤー(そのターンのプレイヤー)が必要な選択をすべて行ない、そのあとでターン進行順に他のプレイヤーが必要な選択を行なっていく。選択の終わった後、同時に行動が起こる。このルールは「アクティブ・プレイヤー・非アクティブ・プレイヤー順ルール」(またはAPNAP順ルール)と呼ばれる。
例:「それぞれのプレイヤーはクリーチャーを1体生け贄に捧げる」というカードがあった場合、まずアクティブ・プレイヤーが自分のコントロールするクリーチャーを1体選び、それから非アクティブ・プレイヤーが順に自分のコントロールするクリーチャーを1体ずつ選び、その後でそれらのクリーチャーが同時に生け贄に捧げられる。
103.4a プレイヤーは、その前のプレイヤーがどのような選択を行なったかを知った上で選択を行なう。
103.4b 複数の選択を同時に行なう場合、指定があればその順で、指定がなければ任意の順で選択を行なう。
104.1. マジックのゲームでは、整数だけを用いる。分数や小数は用いない。呪文や能力によって分数が出てくる可能性がある場合、その呪文や能力に切り上げか切り捨てかが明記されている。
104.2. 数値(クリーチャーのパワーやタフネス、マナ・コスト、プレイヤーのライフの合計、ダメージの総量など)が0未満になった場合、その数を変える場合を除いては0として扱う。未定義の数を参照する場合、それを0として扱う。
例:3/3クリーチャーに-5/-0の修整がついた場合、0点の戦闘ダメージを与える。ただし、パワーを1にするためには、+3/+0の修整が必要になる(3-5+3=1)。(訳注:0点のダメージは与えたものとしては扱わない。rule 419.5a 参照)
例:あなたがパーマネントをコントロールしていない場合、「あなたがコントロールしているパーマネントの点数で見たマナ・コストの中で一番高い値」は定義できない。この数字は0として扱う。
104.3. マナ・シンボルとは、{W}{U}{B}{R}{G}{X}{Y}{Z}、{0}{1}{2}{3}{4}の類の数字、{W/U}{W/B}{U/B}{U/R}{B/R}{B/G}{R/G}{R/W}{G/W}{G/U}の混成シンボル、ならびに氷雪シンボル{S}の総称である。
104.3a 色つきマナ・シンボルはそれぞれその色つきマナ1点を意味する。{W}は白、{U}は青、{B}は黒、{R}は赤、{G}は緑に対応する。
104.3b 数字のシンボル({1}など)は不特定マナ・コストであり、任意の色つきマナ、あるいは無色マナで支払うことのできる一定量のマナを意味する。
104.3c {X}{Y}{Z}は何らかの量のマナを意味する。呪文や起動型能力のコストに含まれる場合、そのコントローラーはその変数の値を決定する。
104.3d ({1}などの)数字のシンボルや({X}などの)変数のシンボルは、マナを出す能力では無色マナを意味する。
104.3e {0}は0マナを意味し、コストのかからない呪文や起動型能力でコスト欄に書かれる。コストが{0}の呪文や能力も、自動的にプレイされるわけではなく、他の呪文や能力と同じようにプレイされる。
104.3f 混成マナ・シンボルは、それぞれ2つの色のうちどちらか1色で支払うことができるコストを意味している。コストに含まれる{W/U}は白マナか青マナで支払うことができるし、{W/B}は白か黒で、{U/B}は青か黒で、{U/R}は青か赤で、{B/R}は黒か赤で、{B/G}は黒か緑で、{R/G}は赤か緑で、{R/W}は赤か白で、{G/W}は緑か白で、{G/U}は緑か青で支払うことができる。
例:{G/W}{G/W}は、{G}{G}か{G}{W}か{W}{W}で支払うことができる。
104.3g 混成マナ・シンボルで表されるマナ1点を、何らかの効果によってプレイヤーのマナ・プールに加える場合には、そのプレイヤーがそのシンボルに含まれる色のうち1つを選び、その色のマナをマナ・プールに加える。
104.3h 氷雪 マナ・シンボル{S}は、氷雪 パーマネントから生み出されたマナ1点によって支払うことのできるコストを意味する。これは任意の色、あるいは無色のマナによって支払われる、不特定マナ・コストである。不特定マナ・コストを減少させる効果は、{S}コストを減少させることはできない。
104.4. タップ・シンボルは{Tap}である。起動コストにタップ・シンボルがある場合、「このパーマネントをタップする」ということを意味する。既にタップ状態のパーマネントをタップしてコストを支払うことはできない。そのプレイヤーの最近のターン開始時から続けてコントロールしているのでない限り、クリーチャーの、起動コストにタップ・シンボルを含む能力を使うことはできない。rule 212.3d 参照。
104.5. オデッセイ・ブロックのカードで、カード名の左に墓石アイコンがあるものがある。これは、墓地にあるときに働く能力があることを意味している。墓地にあるときにもわかりやすいようにアイコンがあるだけで、ゲーム的には意味を持たない。
200.1. ルールやカード・テキストに「カード」と記されていた場合、マジックのカードの表とマジックのカードの裏を持つマジックのカードを指す。Ungluedの、トークンを示すカードはルールの適用に関してはカードとしては扱わない。
200.2. カードの文章を決定する際には、オラクルを用いる。オラクルはギャザラー・カード・データベース http://gatherer.wizards.com/ で参照できる。
200.3. プレイヤーとは、ゲームに参加している各人のことである。アクティブ・プレイヤーとは、現在進行中のターンのプレイヤーのことである。非アクティブ・プレイヤーとは、それ以外のプレイヤーのことである。
200.4. トークンとは、カードによって表現されていないパーマネントを表現するために用いるマーカーのことである(rule 216〔トークン〕参照)。
200.5. 呪文とは、スタック上にある呪文、あるいは呪文またはカードのコピーのことである(rule 213〔呪文〕参照)。
200.6. パーマネントとは、場に出ているカードやトークンのことである(rule 214〔パーマネント〕参照)。
200.7. 能力とは、スタック上にある起動型能力および誘発型能力のことと、オブジェクト上にある、そのオブジェクトが何をするかを表現する文章の両方のことを指す(rule 402〔能力〕および rule 4〔呪文・能力と効果〕参照)。
200.7a スタック上にある能力のオーナーは、それがプレイされた時、もしくは誘発した時にその能力の発生源をコントロールしていたプレイヤーである。スタック上にある能力のコントローラーは、その能力をプレイしたプレイヤー、もしくはその能力が誘発したときにその能力の発生源をコントロールしていたプレイヤーである。
200.8. オブジェクトとは、カード、カードのコピー、トークン、呪文、パーマネント、スタック上の能力のことである。このルール内で「オブジェクト」という語が用いられている場合、その項目は上記全てに適用される。スタック上にある戦闘ダメージも、このルール中の「オブジェクト」のルールがあてはまらないことは多いが、オブジェクトである。
200.9. 呪文や能力が「カード/card」「呪文/spell」「発生源/source」という単語なしでタイプやサブタイプを用いた場合、場に出ているそのタイプのパーマネントのことを意味する。
200.9a 呪文や能力が「カード/card」という単語と領域名とともにタイプや特殊タイプ、サブタイプを用いた場合、その領域にあるそのタイプのカードのことを意味する。
200.9b 呪文や能力が「呪文/spell」という単語とともにタイプや特殊タイプ、サブタイプを用いた場合、スタックにあるそのタイプの呪文のことを意味する。
200.9c 呪文や能力が「発生源/source」という単語とともにタイプや特殊タイプ、サブタイプを用いた場合、その種類の、能力の発生源またはダメージの発生源のことを意味する。rule 419〔置換・軽減効果〕参照。
200.10. カウンターとは、オブジェクトやプレイヤーの上に置かれるマーカーであり、その特性を修整したり、能力と相互作用したりするものである。トークンはカウンターではなく、カウンターはトークンではない。+X/+Yカウンター(X、Yはそれぞれ数字である)がパーマネントの上に置かれている時、そのパーマネントのパワーにXを加え、タフネスにYを加える。同様に、このXやYが負の時はその分だけ引く。同名のカウンターは相互に交換可能である。
201.1. カードには、名前、マナ・コスト、絵、タイプ行、エキスパンション・シンボル、文章欄、パワー、タフネス、イラストの著作権表記、権利表記、コレクター番号と呼ばれる部分がある。カードによっては、これらの部分の一部または全部が複数存在することもある。
201.2. オブジェクトの特性とは、名前、マナ・コスト、色、タイプ、特殊タイプ、サブタイプ、エキスパンション・シンボル、ルール・テキスト、パワー、タフネスのことである。オブジェクトはこれらの特性の全てを持つこともあるし、一部だけを持つこともある。それ以外の、カード、呪文、パーマネントに関する情報、例えば、パーマネントがタップされているかどうか、呪文の対象、オブジェクトのコントローラー、オーラが何にエンチャントしているか、などは特性ではない。
202.2. 文章中にそのオブジェクトの名前が書かれていた場合、それはそのオブジェクトそのものだけを指す。たとえ名前が何らかの効果によって変更されていてもそうであるし、同名の他のオブジェクトは示さない。
202.2a オブジェクトの能力が、特性を用いて「この[何か]/this [何か]」の類の表現であるオブジェクトを指していた場合、後でその特性が合わなくなったとしても、その特定のオブジェクトを指す。
例:「クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時までそれは+2/+2の修整を受ける。ターン終了時に、そのクリーチャーを破壊する」という能力があった場合、その+2/+2の修整を受けたオブジェクトがターン終了時にクリーチャーでなくなっていたとしても、破壊する。
202.2b あるオブジェクトの能力が、そのオブジェクトを名前で参照している能力を他のオブジェクトに与えた場合、その名前で示されるのはその能力を与えた能力を持つオブジェクト自身だけであり、同名の他のオブジェクトのことは示さない。
例:《はじける子嚢/Saproling Burst》は「はじける子嚢の上から消散カウンター1個を取り除く: 緑の苗木クリーチャー・トークンを1個場に出す。このトークンは「このクリーチャーのパワーとタフネスは、それぞれ、《はじける子嚢》の上に置かれている消散カウンターの数に等しい」という能力を持つ。」という能力を持つ。この、トークンに与えられた能力は、そのトークンを生成した《はじける子嚢》自身のことだけを指し、他の《はじける子嚢》のことは指さない。
202.3. 英語名が同じなら、カードに記されている内容が違っていようとも同じカード名として扱う。
203.1. カードのマナ・コストはカードの右上隅に記されているマナ・シンボルで示される。カードの右上隅にマナ・シンボルが印刷されていないカードのマナ・コストは、存在しない。オブジェクトのマナ・コストを支払う際には、色のついたマナ・シンボル全ての色や、不特定マナ・コストが正しくなければならない。
203.2. オブジェクトの色は、マナ・コストに含まれるマナ・シンボルの色である。カードの背景色や枠の色は関係しない。
203.2a コストの中に色のついたマナ・シンボルを含まないオブジェクトは無色である。
203.2b マナ・コストの中に、5種類の色のうちで2種類以上の色のマナが含まれているオブジェクトは、そのそれぞれのマナ・シンボルの色を持つ。多色のカードのほとんどは金色の背景で印刷されているが、背景が金色でなくても多色であることがありうる。
203.2c マジックで色とは、白、青、黒、赤、緑である。白のマナは{W}、青は{U}、黒は{B}、赤は{R}、緑は{G}で表わされる。
例:マナ・コスト{2}{W}のオブジェクトは白であり、マナ・コストが{2}{W}{B}のオブジェクトは白でも黒でもある。
203.2d プレイヤーが色を選ぶ場合、上記の5色の中から選ばなければならない。「多色/multicolored」は色ではない。
203.2e 自身のマナ・コストに混成マナ・シンボルを含むオブジェクトは、そのオブジェクトの他の色に加えて、そのマナ・シンボルのそれぞれの色でもある。混成マナ・シンボルを持つほとんどのカードは2色に塗りわけられた枠を持つ。rule 104.3を参照。
203.3. オブジェクトの、点数で見たマナ・コストは、マナ・コストに含まれるマナの量を色を気にせずに数えたものである。点数で見たマナ・コストを支払うことを求める効果に対しては、オブジェクトのマナ・コストの色とは関係なく、任意の色のマナと無色のマナの任意の組み合わせで支払うことができる。
例:マナ・コスト{3}{U}{U}は、点数で見たマナ・コストに換算すると5になる。
203.3a マナ・コストを持たないオブジェクトの点数で見たマナ・コストは0である。
203.4. オブジェクトのルール・テキストに記されている追加コストや、他の効果によって追加されているコストは、マナ・コストの一部ではない(rule 409〔呪文や起動型能力のプレイ〕参照)。それらのコストは、その呪文の持つ他のコストと同時に支払われる。
204.1. カードの上半分に記されているものが絵であり、ルール上は特に意味はない。例えば、絵で空を飛んでいるように見えたとしても、ルール・テキストに飛行を持つと書かれていなければ、そのクリーチャーは飛行を持たない。
205.1. カードのタイプ(あるならばサブタイプ、特殊タイプも)は絵のすぐ下に記されている。(rule 212〔タイプ、特殊タイプ、サブタイプ〕参照)
205.2a タイプには、アーティファクト、クリーチャー、エンチャント、インスタント、土地、ソーサリーがある。
205.2b オブジェクトの中には、複数のタイプを持つものもある(例えば、アーティファクト・クリーチャー)。この類のオブジェクトは、そのいずれかのタイプに適用される効果は全て適用される。
205.3a カードは、タイプ行に書かれているサブタイプを持つ。
205.3b サブタイプは、常に、長い横線の後に列記された単語群であり、それぞれの単語は別々のサブタイプである。
205.3c あるタイプのオブジェクトのサブタイプは、そのタイプの名前を取って「アーティファクト・タイプ」「クリーチャー・タイプ」などと呼ばれる。例えば、クリーチャーのサブタイプはクリーチャー・タイプと呼ばれる。オブジェクトは複数のサブタイプを持つことがあり得る。日本語の場合、それぞれのサブタイプの間に中黒(・)が入っている。
例:「基本土地 ─ 山」とは、そのカードが土地で、サブタイプとして山を持つことを意味している。「クリーチャー ─ ゴブリン・ウィザード」とは、そのカードがクリーチャーで、ゴブリンとウィザードというサブタイプを持つことを意味している。「アーティファクト ─ 装備品」とは、そのカードがアーティファクトで、装備品というサブタイプを持つことを意味している。
205.3d ほとんどのカード・タイプには、それぞれ独立なサブタイプの組が存在する(この文章の後半にある用語集の、「クリーチャー・タイプ」「土地タイプ」などの項目に完全なリストが添付されている)。例外として、インスタントとソーサリーはサブタイプが共用されうる。インスタントとソーサリーのサブタイプを、総称として呪文 タイプと呼ぶ。
205.3e アーティファクト・クリーチャー・カードのタイプ行にサブタイプが書かれている場合、それはクリーチャー・タイプである。アーティファクト・土地・カードのタイプ行にサブタイプが書かれている場合、それは土地タイプである。
205.4a カードは、特殊タイプを持つことがある。それらはカード・タイプの直前に書かれる。オブジェクトのタイプまたはサブタイプが変更になった場合、新しいタイプと合わなかったとしても、特殊タイプはそのまま維持される。
205.4b 「基本/basic」という特殊タイプを持った土地は基本土地である。この特殊タイプを持たない土地は基本でない土地である。
例:第8版以前に作られたカードは「基本」という語で基本土地を表示していない。それらの古いカードにおいては、カード名が《森》 《島》 《山》 《平地》 《沼》 《Snow-Covered Forest》 《Snow-Covered Island》 《Snow-Covered Mountain》 《Snow-Covered Plains》 《Snow-Covered Swamp》の10種類のいずれかであるものを基本土地とする。
205.4c 「伝説の/legendary」という特殊タイプを持つパーマネントは、「レジェンド・ルール」と呼ばれる、伝説の パーマネントに関する状況起因効果に従う。rule 420.5e 参照。
205.4d 「ワールド/world」という特殊タイプを持つパーマネントは、「ワールド・ルール」と呼ばれる、ワールド・パーマネントに関する状況起因効果に従う。rule 420.5i 参照。
205.4e 「氷雪/snow」という特殊タイプを持つパーマネントは、氷雪 パーマネントである。この特殊タイプを持たないパーマネントは、その名前によらず、氷雪でないパーマネントである。
206.1. エキスパンション・シンボルは、そのカードがマジックのどのセットのものかを示すものであり、通常は絵の右下に記されている。
206.2. エキスパンション・シンボルの色はそのカードのそのセットにおけるレアリティを示すものである。金色はレア、銀色はアンコモン、黒または白がコモンか基本土地である。紫は特殊なレアリティを表すために用いられる。現時点で存在するのは、『時のらせん』カード・セットの、レアよりもレアリティの高いタイムシフト・カードだけである。(エクソダスよりも古いセットでは、レアリティに関らず、全てのシンボルは黒で書かれていた。また、第5版までの基本セットのカードには、エキスパンション・シンボルはついていなかった)
206.3. ある特定のセットからのカードに影響する呪文や能力は、そのセットのエキスパンション・シンボルだけをチェックする。基本セットに収録されたカードは、基本セットのエキスパンション・シンボルを持つので、それらの再収録分は、元のセットのエキスパンション・シンボルを持って再収録されたのでない限り、元のセットのカードとはみなさない。第5版までの基本セットはエキスパンション・シンボルを持たない。
207.1. 文章欄は、カードの下半分にある。ここには、そのカードの能力を定義するルール・テキストが書かれている。
207.2. 文章欄には、そのカードに適用されるルールの注釈文(括弧でくくられ、斜体である)や、斜体で書かれた、ゲームには関係しないがゲームの雰囲気をよくするためのフレイバー・テキストを含むこともある。
207.3. ラヴニカ・ブロックのカードの文章欄には、ギルド・アイコンが含まれている場合がある。それらのカードはその対応するギルド特有の機能を持っているなど、そのギルドに関連づけられている2色に関係したものである。ギルド・アイコンはゲームのプレイには影響を及ぼさない。
208.1. クリーチャー・カードの右下には、スラッシュで区切られた二つの数字が記されている。一つめの数字はパワー(戦闘中に与えるダメージの量)であり、二つめの数字はタフネス(破壊されるのに必要なダメージの量)である。例えば、2/3というのはそのオブジェクトが2のパワーと3のタフネスを持つことを示している。パワーやタフネスは、効果によって修整されたりある値に変更されたりすることがありうる。
208.2. 一部のクリーチャー・カードでは、パワーもしくはタフネスの値が * になっているものがある。* とは、そのオブジェクトの能力で定義されている値である。そのオブジェクトが場にある限り、その能力が * の値を定義する。オブジェクトが場に出ていない場合、* は0として扱う。
208.3. カードにパワーやタフネスが印刷されていたとしても(リシドがオーラになった場合など)、クリーチャーでないパーマネントは、パワーやタフネスをもたない。
209.1. カードのイラストの著作権表記は、文章欄のすぐ下に記されている。ゲームには影響しない。
210.1. 権利表記は発行した日付と著作権の表記である。ゲームには影響しない。これはカードの一番下に記されている。
211.1. いくつかのカード・セットにはコレクター番号がふられている。この情報は[カード番号/セットに含まれるカードの総数]という形で記されており、権利表記のすぐあとにある。この番号はゲームには影響しない。
212.1. 通則
212.1a カード、トークン、パーマネント、呪文は、タイプ、特殊タイプ、サブタイプを持ちうる。能力はタイプ、特殊タイプ、サブタイプを持たないが、色々な種類が存在する(rule 402〔能力〕参照)。
212.1b オブジェクトのタイプが変更されたとき、新しいタイプが以前のタイプを置き換える。カウンターや効果、ダメージは、新しいタイプでは意味がなくなるとしても、そのオブジェクトに残る。同様に、あるオブジェクトのタイプにともなうサブタイプが変更になったとき、新しいサブタイプは以前の同種のサブタイプを置き換える。オブジェクトのあるタイプが失われた場合、そのタイプにともなうサブタイプは失われる。逆にサブタイプを失わせても、タイプには何の影響もない。
212.1c オブジェクトのタイプやサブタイプ、特殊タイプを変更する効果の中には、元のタイプやサブタイプ、特殊タイプが残ると明記されているものがある。この場合、そのオブジェクトの、以前のタイプやサブタイプ、特殊タイプは全て残る。このルールは、「それまでのタイプに加え/in addition to its types」や「[タイプ]でもある/still a [タイプ]」という表記に適用される。また、「アーティファクト・クリーチャー」になる、と書かれた効果があるが、これも同様に以前のタイプおよびサブタイプを全て残す効果である。
例:「全ての土地は1/1のクリーチャーである。それらは土地でもある。」という能力によって、土地は、クリーチャーでもあり土地でもあることになる。もし影響を受ける土地の中にアーティファクトでもあるものがあったなら、それは「アーティファクト・土地・クリーチャー」になる。「クリーチャー」や「土地・クリーチャー」になるわけではない。この効果によって、アーティファクトであることや土地であることが失われることはない。
例:「全てのアーティファクトは1/1のアーティファクト・クリーチャーである」という能力によって、アーティファクトでもエンチャントでもあるパーマネントは、「アーティファクト・エンチャント・クリーチャー」になる。
212.1d オブジェクトの特殊タイプはそのタイプやサブタイプとは独立して存在する。オブジェクトのタイプやサブタイプを変更しても、特殊タイプは変更されない。オブジェクトの特殊タイプを変更することは、そのタイプやサブタイプを変更しない。オブジェクトの特殊タイプが変更された場合も、それ以外の特殊タイプには何も影響を及ぼさない。
例:「全ての土地は1/1のクリーチャーである。それらは土地でもある。」という能力の影響を受けても、場にあった伝説の 土地はやはり伝説の パーマネントである。
212.1e サブタイプを選ぶ効果があった場合、必ず、その該当するサブタイプとして存在するものの中から1つだけ選ばなければならない。例えば、クリーチャー・タイプを選ぶときに土地タイプを選ぶことはできない(存在するサブタイプを決定するために、オラクルを用いること。rule 200.2 参照。なお、サブタイプの一覧は、この総合ルールの用語集の、クリーチャー・タイプ、土地タイプなどの項目にも記されている)。
例:クリーチャー・タイプを選ぶ場合、「マーフォーク」や「ウィザード」は適正である。しかし「マーフォーク・ウィザード」は不正である。「アーティファクト」「対戦相手」「沼」「トラック」などはクリーチャー・タイプではないので不正である。
212.2a プレイヤーは、自分のメイン・フェイズの間、スタックが空で優先権を持っている時に、アーティファクト・カードを手札からプレイすることができる。アーティファクトを呪文としてプレイする場合、スタックを用いる(rule 409〔呪文や起動型能力のプレイ〕参照)。
212.2b アーティファクト 呪文が解決されたら、それのコントローラーはそれを自分のコントロール下で場に出す。
212.2c アーティファクトのサブタイプは必ず1単語であり、「アーティファクト」という語のあとに、「アーティファクト ─ 装備品/Artifact ─ Equipment」といったように、長いダッシュに続いて並べられている。アーティファクトのサブタイプは、「アーティファクト・タイプ」とも呼ばれる1単語である。アーティファクトには複数のサブタイプがあることもありうる。
212.2d アーティファクトはそのタイプに特有の特性を持たない。アーティファクトは色つきマナをコストに含まないので、無色である。ただし、何らかの効果によって色を得ることはあるし、色つきのオブジェクトがそのままアーティファクトになることもありうる。
212.2e アーティファクト・クリーチャーは、クリーチャーとアーティファクトの持つ特性を両方持ち、どちらのタイプに影響する呪文や能力の影響も受ける。
212.2f アーティファクト・土地は、土地とアーティファクトの持つ特性を両方持ち、どちらのタイプに影響する呪文や能力の影響も受ける。アーティファクト・土地は、土地としてのみプレイでき、呪文としてはプレイできない。
212.2g アーティファクトの中には、「装備品/Equipment」というサブタイプを持つものがある。装備品はクリーチャーにつけることができる。クリーチャーでないオブジェクトにつけることはできない。
212.2h 装備品は、他のアーティファクトと同様にプレイされ、場に出る。通常、装備品がクリーチャーにつけられた状態で場に出ることはない。「装備/equip」のキーワード能力で、装備品をあなたがコントロールしているクリーチャーの上に動かすことになる(rule 502.33〔装備〕参照)。クリーチャーのコントロールに関する条件は、装備 能力のプレイ時と解決時にのみ確認する。装備品が移動する先のクリーチャーは、その装備品を装備できなければならない。装備できない場合、その装備品は移動しない。
212.2i 装備品がクリーチャーである場合、クリーチャーはそれを装備できない。クリーチャーは、「装備品」というサブタイプを失った装備品を装備できない。装備品は自分自身を装備できない。不正あるいは存在しないパーマネントに装備されている装備品は、そのパーマネントから外れるが、場に残ったままである(これは状況起因効果である。rule 420 参照)。
212.2j 装備品がつけられているクリーチャーは、「装備しているクリーチャー/equipped creature」と呼ばれる。装備品は、クリーチャーにつけられる、あるいは「装備される/equip」ことになる。
212.2k 装備品のコントローラーは、装備しているクリーチャーのコントローラーとは分けて考える。この2つは同じものではない。クリーチャーのコントローラーが変わっても装備品のコントローラーは変わらないし、逆も同様である。装備品のコントローラーのみが、それの能力をプレイできる。ただし、装備品がそれを装備しているクリーチャーに能力を(「得る/gains」あるいは「持つ/has」等によって)与える場合、装備しているクリーチャーのコントローラーのみが、その能力をプレイできる。
212.3a プレイヤーは、自分のメイン・フェイズの間、スタックが空で優先権を持っている時に、クリーチャー・カードを手札からプレイすることができる。クリーチャーを呪文としてプレイする場合、スタックを用いる(rule 409〔呪文や起動型能力のプレイ〕参照)。
212.3b クリーチャー 呪文が解決されたら、それのコントローラーはそれを自分のコントロール下で場に出す。
212.3c クリーチャーのサブタイプは必ず1単語であり、「クリーチャー」という語のあとに、「クリーチャー ─ 人間・兵士/Creature ─ Human Soldier」「アーティファクト・クリーチャー ─ ゴーレム/Artifact Creature ─ Golem」といったように、長いダッシュに続いて並べられている。クリーチャーのサブタイプは、「クリーチャー・タイプ」とも呼ばれる。クリーチャーには複数のサブタイプがあることもありうる。
例:「クリーチャー ─ ミノタウルス/Creature ─ Minotaur」は、そのカードがクリーチャーであり、そのサブタイプがミノタウルスであることを示している。「クリーチャー ─ ゴブリン・ウィザード/Creature ─ Goblin Wizard」は、カードがクリーチャーであり、サブタイプはゴブリンでもウィザードでもあることを示している。
212.3d クリーチャーの起動型能力のうち起動コストにタップ・シンボルを含むものは、そのコントローラーがそのクリーチャーを自分のターン開始時から続けてコントロールしていない限り、プレイできない。また、そのコントローラーが自分のターン開始時から続けてコントロールしていない限り、そのクリーチャーは攻撃に参加できない。このルールは非公式に「召喚酔い」ルールと呼ばれる。速攻を持つクリーチャーはこのルールを無視してもよい(rule 502.5 参照)。
212.4a プレイヤーは、自分のメイン・フェイズの間、スタックが空で優先権を持っている時に、エンチャント・カードを手札からプレイすることができる。エンチャントを呪文としてプレイする場合、スタックを用いる(rule 409〔呪文や起動型能力のプレイ〕参照)。
212.4b エンチャント 呪文が解決されたら、それのコントローラーはそれを自分のコントロール下で場に出す。
212.4c エンチャントのサブタイプは必ず1単語であり、「エンチャント」という語のあとに、「エンチャント ─ 祭殿/Enchantment ─ Shrine」といったように、長いダッシュに続いて並べられている。エンチャントのサブタイプは、「エンチャント・タイプ」とも呼ばれる。エンチャントには複数のサブタイプがあることもありうる。
212.4d エンチャントの中には、サブタイプとして「オーラ/Aura」を持つものがある。オーラはパーマネントまたはプレイヤーについた状態で場に出る。オーラをつけることができる先は、キーワード能力「エンチャント」によって制限されている(rule 502.45〔エンチャント〕参照)。他の効果によって、エンチャントできるかどうかに制限が加えられる場合もある。
212.4e オーラ 呪文は、エンチャント能力で示される性質を持つ対象を必要とする。
212.4f オーラが不正なパーマネントまたはプレイヤー上にエンチャントされていたり、あるいはエンチャントされているパーマネントやプレイヤーがすでに存在しなくなっていれば、そのオーラはオーナーの墓地に置かれる(これは状況起因効果である。rule 420〔状況起因効果〕参照)。
212.4g オーラはそれ自身にはつけることができない。また、オーラがクリーチャーでもある場合、他のオブジェクトにつけることもできない。何らかの理由でそうなった場合、そのオーラは状況起因効果でオーナーの墓地に置かれる(rule 420.5d 参照)。
212.4h オーラのつけられているパーマネントのことを、「エンチャントされている」という。そのオーラはそのパーマネントを「エンチャントしている」、あるいはそのパーマネントに「ついている」という言い方をする。
212.4i オーラのコントローラーは、そのエンチャントされているパーマネントのコントローラーとは無関係であり、同じである必要はない。パーマネントのコントロールが変化しても、オーラのコントロールは変化しないし、逆も同じである。オーラのコントローラーだけがそのオーラの能力を使うことができる。しかし、オーラがそれのエンチャントしているパーマネントに何らかの能力を与える(「得る/gain」「持つ/have」で示される)場合には、エンチャントされているパーマネントのコントローラーだけがその能力を使うことができる。
212.4j オーラがプレイされる以外の方法で場に出、その出す効果がオーラのエンチャント先を指定していなかった場合、オーラが場に出るに際して、それを場に出す プレイヤーがエンチャント先を選ぶ。そのプレイヤーは、オーラのエンチャント能力その他適用される効果に従い、適正なパーマネントまたはプレイヤーを選ばなければならない。適正な選択が出来ない場合、オーラはその現在ある領域がスタックでない限り、現在ある領域に残る。スタックである場合、場に出る 代わりに オーナーの墓地に置かれる。
212.4k 効果によって場にあるオーラがパーマネントかプレイヤーに付けられる場合、そのパーマネントまたはプレイヤーは適正にエンチャントされ得なければならない。不正な場合、オーラは移動しない。
212.5a プレイヤーは、優先権を持っている時に、インスタント・カードを手札からプレイすることができる。インスタントを呪文としてプレイする場合、スタックを用いる(rule 409〔呪文や起動型能力のプレイ〕参照)。
212.5b インスタント 呪文が解決されたら、ルール・テキストに書かれている行動が行なわれた後で、オーナーの墓地に置かれる。
212.5c インスタントのサブタイプは必ず1単語であり、「インスタント」という語のあとに、「インスタント ─ 秘儀/Instant ─ Arcane」といったように、長いダッシュに続いて並べられている。インスタントのサブタイプは「インスタント・タイプ」とも呼ばれる。インスタントのサブタイプで、ソーサリーのサブタイプでもあるものを呪文 タイプと呼ぶ。インスタントには複数のサブタイプがあることもありうる。
212.5d インスタントが場に出ることはない。場に出るような場合、その代わりにもとあった領域に残る。
212.5e 「プレイヤーがインスタントをプレイできるときならいつでも」という表現は、そのプレイヤーが優先権を持っている時に、という意味である。実際にプレイできるインスタントを持っている必要はない。
212.6a プレイヤーは、自分のメイン・フェイズの間、スタックが空で優先権を持っている時に、土地 カードを手札からプレイすることができる。土地 カードは呪文 カードではなく、呪文としては扱われない。土地 カードをプレイする場合、単に場に出される。土地 カードはスタックに乗らないので、インスタントや起動型能力で対応することはできない。
212.6b プレイヤーは、自分のターンに1枚だけ土地 カードをプレイすることができる。効果によって追加の土地をプレイすることが可能になることがある。こうした場合にも、通常の、土地を場に出す行動を取ることはできる。効果によって土地のプレイが禁止されている場合、プレイヤーは土地をプレイしようとすることはできない。土地をプレイするに際し、プレイヤーは、それが通常の土地のプレイかそうでないのかを宣言する必要がある。通常の土地のプレイでない場合には、どの効果によってその土地のプレイが認められるのかを特定しなければならない。土地を場に「出す/put」ことができる呪文や能力が存在する。これは土地のプレイとは違うので、通常の土地のプレイが1枚限りだという制限の上では考慮されない。
212.6c 土地のサブタイプは常に1単語であり、土地タイプとも呼ばれる。土地は複数の土地タイプを持つことがありうる。
例:「基本土地 ─ 山」という記述は、そのカードが山のサブタイプを持つ土地であることを意味する。
212.6d 基本土地タイプは、平地、島、沼、山、森である。「基本土地タイプ」が参照される場合、これらのサブタイプのうちいずれかを意味する。基本土地タイプを持つ土地は、色 マナを出す固有の能力を持っている(rule 406〔マナ能力〕参照)。その土地の文章欄は、たとえそこが空欄であったりそもそも存在しなかったりしたとしても、「{Tap}:あなたのマナ・プールに[マナ・シンボル]を加える」の能力が書かれているものとして扱う。平地は白、島は青、沼は黒、山は赤、森は緑の各色 マナを出す。
212.6e 何らかの効果により土地タイプがいずれかの基本土地タイプに変わった場合、その土地は以降古い土地タイプを持たない。ルール・テキストまたは元の土地タイプによって得られていた能力を全て失い、その基本土地タイプが持つマナ能力のルール・テキストを得ることになる。ただし、これは他の効果によりその土地に与えられた能力を取り除くわけではない点に注意。土地タイプの変更は、その土地が持つタイプ(「クリーチャー」など)や特殊タイプ(「基本」や「伝説の」「氷雪」など)を変更しない。土地が現在の土地タイプに加えて新たな土地タイプを得た場合、それはこれまでの土地タイプとルール・テキストを持ち、それに加えて新しい土地タイプとマナ能力を得る。
212.6f 「基本/Basic」という特殊タイプをもつ土地は基本土地である。この特別タイプを持たない土地は基本でない土地である。
212.6g あるオブジェクトが土地であり、かつ他のタイプでもある場合、それは土地としてプレイされる。呪文としてプレイされることはない。
212.7a プレイヤーは、自分のメイン・フェイズの間、スタックが空で優先権を持っている時に、ソーサリー・カードを手札からプレイすることができる。ソーサリーを呪文としてプレイする場合、スタックを用いる(rule 409〔呪文や起動型能力のプレイ〕参照)。
212.7b ソーサリー 呪文が解決されたら、ルール・テキストに書かれている行動が行なわれた後で、オーナーの墓地に置かれる。
212.7c ソーサリーのサブタイプは必ず1単語であり、「ソーサリー」という語のあとに、「ソーサリー ─ 秘儀/Sorcery ─ Arcane」といったように、長いダッシュに続いて並べられている。ソーサリーのサブタイプは「ソーサリー・タイプ」とも呼ばれる。ソーサリーのサブタイプで、インスタントのサブタイプでもあるものを呪文 タイプと呼ぶ。ソーサリーには複数のサブタイプがあることもありうる。
212.7d ソーサリーが場に出ることはない。場に出るような場合、その代わりにもとあった領域に残る。
212.7e 呪文、能力、効果によって、プレイヤーが何かを「ソーサリーがプレイできるときならいつでも」できる、となっていた場合、それはそのプレイヤーが優先権を持ち、自分のターンのメイン・フェイズ中で、スタックが空である、ということを意味する。実際にプレイできるソーサリーを持っている必要はない。
213.1. 土地を除く全てのカードは、プレイされている間(rule 409〔呪文や起動型能力のプレイ〕参照)とスタックにある間は呪文である。その後、解決されるか打ち消されるまでは呪文であり続ける。(rule 401〔スタック上の呪文〕参照)
213.2. 呪文のタイプ、特殊タイプ、サブタイプは、それぞれそのカードのタイプ、特殊タイプ、サブタイプと同じである。
213.3. 「呪文」という語は、スタックにあるカードまたはカードのコピーのことを指す。
213.4. 呪文にはコントローラーが存在する。通常、呪文のコントローラーはその呪文をプレイしたプレイヤーである。
213.5. パーマネントになる呪文の特性を何らかの効果によって変更した場合、その効果は呪文の解決後に生成されたパーマネントにも適用される。
例:黒のクリーチャー 呪文を白に変更する効果があった場合、場に出たときもそのクリーチャーは白であり、その変更する効果が続いている限り白のままである。
214.1. パーマネントとは、場に存在するカードやトークンのことである。パーマネントは何らかの効果やルールによって他の領域に動かされるまで場に残る。パーマネントにはアーティファクト、クリーチャー、エンチャント、土地という4つのタイプがある。インスタントやソーサリー・カードが場に出ることはない。
214.2. パーマネントのタイプは、場に出ているカードやトークンのタイプと同じである。トークンでないパーマネントのタイプ、特殊タイプ、サブタイプは、カードに書かれているものと同じである。トークンのタイプ、特殊タイプ、サブタイプは、それを作り出した呪文や能力によって定義される。
214.3. カードやトークンは場に出たときにパーマネントとなり、場を離れたときにパーマネントでなくなる。パーマネントはアンタップ状態で場に出る。「パーマネント」という語は、場に出ているカードやトークンを指す。「カード」という語は、パーマネントとして場に出ているカードのことは指さず、例えば「手札にあるクリーチャー・カード」のように、場やスタック以外の領域にあるものだけを指す。rule 217〔領域〕参照。
214.4. パーマネントにはコントローラーが存在する。通常、パーマネントのコントローラーはそれを場に出したプレイヤーである。
214.5. パーマネントは、タップ/アンタップ、反転/非反転、表向き/裏向きの各位相分野ごとに1つの値を持つ。通常、パーマネントはアンタップ、非反転、表向きの状態で場に出る。rule 510〔位相〕参照。
216.1. 効果によって、トークン・クリーチャーを場に出すものがある。トークンのオーナーはそれを生成した呪文や能力のコントローラーであり、コントローラーはトークンを場に出したプレイヤーである(トークンを生成した効果にコントローラーが存在しない場合、オーナーもそのトークンを場に出したプレイヤーである)。呪文や能力によって、生成されるトークンの特性のいくつかは定められる。そうして定められた値は、カードに印刷されている特性と同じように扱われる(定義された値は、トークンのコピー可能な値である)。トークンを生成した能力によって定められていない特性は存在しない。トークンを作る呪文や能力が、そのトークンの名前とクリーチャー・タイプを定める。特に書かれていない限り、トークンの名前は、そのクリーチャー・タイプと同じである。例えば、ゴブリン・斥候・クリーチャー・トークンはゴブリン・斥候という名前であり、クリーチャー・タイプはゴブリンと斥候の二つとなる。トークンが場に出た後では、名前が変わってもクリーチャー・タイプは変わらない。その逆も同じである。
216.2. トークンは、パーマネント一般、あるいはそのトークンのタイプやサブタイプに影響を及ぼすものの影響を受ける。トークンは(それが他のゲームやアングルードのトークン・カードであっても)カードとしては扱われない。
216.3. 場以外の領域に存在するトークンは、存在しなくなる。これは状況起因効果である(トークンが消滅する前に、領域を変更することによる誘発型能力は発生する)。
216.4. 場を離れたトークンは、場に戻らない。そのようなトークンが場に戻ろうとする場合、その代わりに現在の領域にありつづける。次に状況起因効果をチェックする時点で、消滅する。
217.1. 領域は、オブジェクトがゲーム中に存在しうる場所である。ライブラリー、手札、墓地、場、スタック、ゲーム外と呼ばれる、6つの基本的な領域がある。この他に、古いカードではアンティとフェイズ・アウト領域を用いるものもある。ライブラリー、手札、墓地はプレイヤーごとに存在し、他の領域は共用される。
217.1a オブジェクトが、オーナー以外のライブラリー、墓地、あるいは手札に行く場合、その代わりに オーナーの該当する領域に行く。インスタントやソーサリーのカードが場に出る場合、その代わりに、そのカードは元あった領域に残る。
217.1b ライブラリー、墓地、スタックにあるオブジェクトの順番は、効果またはルールによらない限り、並べ替えることはできない。他の領域にあるオブジェクトは、そのオーナーが望む通りに並べ替えることができるが、誰がコントローラーか、タップしているかどうか、何にエンチャントしているかあるいは装備されているかは全てのプレイヤーにとって明白でなければならない。
217.1c ある領域から他の領域に移動したオブジェクトは、新しいオブジェクトとして扱われる。以前の領域に関連した効果は失われる。このルールには3つの例外がある。1)スタックに積まれているアーティファクト 呪文、エンチャント 呪文、クリーチャー 呪文の特性を変更する効果は、その呪文によって生成されるパーマネントにも適用され続ける。2)オブジェクトがある領域から他の領域に移動することによって誘発する能力(例えば、「《怨恨/Rancor》が場から墓地に置かれたとき」など)は、新しい領域に存在するそのオブジェクトを見つけることができる。3)スタックに積まれているアーティファクト 呪文、クリーチャー 呪文、エンチャント 呪文からのダメージに適用される軽減効果は、その呪文によって生成されるパーマネントにも適用される。
217.1d オブジェクトがある領域から他の領域に移動する時、まずどのイベントがそのオブジェクトを動かすのかを決定し、その後で、そのイベントに対する置換効果を適用する。効果やルールの複数の指示が矛盾している場合、そのオブジェクトのコントローラー(コントローラーが存在しない場合、オーナー)が、その効果がどう働くかを決める。最後に、イベントが、オブジェクトを動かす。
217.1e ゲーム外領域にあるオブジェクトおよびゲームの領域に存在しないオブジェクトは外部にあるという。それ以外のオブジェクトは内部にある。外部は領域としては扱わない。
217.1f ゲーム外にあるオブジェクトがゲームから取り除かれた場合、領域は移動しないが、新しくゲームから取り除かれたのと同じように新しいオブジェクト として扱う。
217.2a ゲームが始まるとき、各プレイヤーのデッキはそのライブラリーとなる。
217.2b それぞれのライブラリーは、一つの、裏向きの束でなければならない。プレイヤーはライブラリーを覗いたり、その順序を変化させてはならない。
217.2c プレイヤーはいつでも、それぞれのプレイヤーのライブラリーの残り枚数を数えることができる。
217.2d 同時に複数枚のカードを同じライブラリーの上または下に置く効果に関して、それらのカードのオーナーがその置く順序を決めることができる。そのライブラリーのオーナーは、どのような順番でライブラリーに置かれたのかを公開する必要はない。
217.2e プレイヤーに、ライブラリーの一番上のカードを公開してプレイするように指示するカードがある。呪文や能力をプレイしている間に一番上のカードが変化した場合には、その呪文や能力がプレイされ終わるまで、新しいカードは公開されない(rule 409.1i 参照)。
217.2f 呪文や能力が、他の呪文や能力のプレイ中にカードを引かせた場合、その引いたカードは呪文や能力のプレイが終わるまで(rule 409.1i 参照)裏向きのままである。
217.3a 手札は、プレイヤーが引き、まだプレイしていないカードを持っておく場所である。ゲームの開始時に、それぞれのプレイヤーは7枚の手札を引く(rule 101〔ゲームの始め方〕参照)。
217.3b それぞれのプレイヤーに手札の上限が決まっており、通常は7枚である。プレイヤーはその手札に何枚でもカードを持つことができるが、クリンナップ・ステップの行動として手札の上限を越えるカードを捨てなければならない。
217.3c プレイヤーはその手札を便利なように並べ、そして好きなだけ見ることができる。他のプレイヤーの手札を見ることはできないが、それぞれのプレイヤーの手札の枚数を数えることはいつでもできる。
217.4a 捨て札を束にして置いたものを墓地と言う。打ち消された、捨てられた、破壊された、または生け贄に捧げられたオブジェクト、ならびに解決が終わったインスタントやソーサリーはオーナーの墓地の一番上に置かれる。各プレイヤーの墓地は、最初は空である。
217.4b それぞれの墓地は、一つの、表向きの束でなければならない。プレイヤーは、それぞれの墓地のカードをいつでも見ることができるが、その順序を変えることはできない。
217.4c 何らかの効果やルールによって2枚以上のカードが同時に墓地に置かれる場合、それらのカードのオーナーがその順序を決める。
217.5a プレイヤー間のやりとりの主な舞台になるのは場である。場は、最初は空である。プレイヤーがコントロールする(他のプレイヤーのパーマネントにつけたオーラ以外の)パーマネントは、そのプレイヤーの目の前の場に置かれる。
217.5b カードに、プレイヤーや他の領域について明記されていない限り、呪文や能力は場にのみ影響を与え、また、場にあるものだけを考慮する。パーマネントは場にのみ存在する。
217.5c パーマネントが場 領域に入ったとき、それは新しいパーマネントとして扱い、その同じオブジェクトによって現わされていたパーマネントとは無関係となる。これは他の領域についても同じである(rule 217.1c 参照)。
217.5d 場以外の領域にあるオブジェクトは場にあるとは言わず、タップしているともアンタップしているとも扱わない。場かスタックにあるオブジェクトにしかコントローラーは存在しない。
217.6a 呪文がプレイされたら、物理的にスタックに積まれる。能力がプレイされたら、カードはないけれども、その能力がスタックに積まれる。(rule 409〔呪文や起動型能力のプレイ〕参照)
217.6b スタックは、それに加えられた呪文や能力の順序を記録している。オブジェクトがスタックに積まれたとき、それは既に積まれている全てのオブジェクトの上に積まれる(rule 408〔呪文や能力のタイミング〕参照)。
217.6c 呪文は、そのカードが持つ特性全てを持つ。スタックにある起動型能力は、その能力のテキストだけを持ち、他の特性は持たない。呪文や起動型能力のコントローラーは、その呪文や能力をプレイしたプレイヤーである。誘発型能力のコントローラーは、その能力が誘発したときのその能力の発生源のコントローラーである。
217.6d 全てのプレイヤーが続けてパスしたとき、スタックの一番上の(最新の)呪文や能力が解決される。全てのプレイヤーがパスしたときにスタックが空ならば、現在のステップやフェイズが終わり、次が始まる。
217.7a 何らかの効果によって、オブジェクトがゲーム外に置かれることがある。効果の中には、それを元の領域に戻す方法が用意されているものがあり、「脇に置く/set aside」という語を使っている。こうして脇に置かれたカードは、一時的にせよ、ゲーム外に置かれている。カードでないオブジェクトが元の領域に戻る場合、その代わりに ゲーム外に置かれたままになる。
217.7b ゲーム外領域にあるカードは表向きであり、全てのプレイヤーに公開されている。「裏向きでゲーム外に置かれている」カードは、説明によって許可されない限りは公開されない。
217.7c 場に戻る可能性のあるカードは、その戻る方法が解るように、別々の束にして置かれなければならない。
217.7d カードを取り除く能力と、「取り除かれたカード」あるいは「[カード名]によってゲームから取り除かれたカード」を用いる能力とを持つカードが存在する。これらの能力は関連しているものであり、この2つめの種類の能力は、その1つめの種類の能力の結果取り除かれたカードで、ゲーム外領域に置かれているものだけを用いる。他のオブジェクトがその両方の能力を得た場合、そのオブジェクトにおいて同様に関連づけられる。そのオブジェクトが類似の能力を持っていたとしても、それらと関連づけられることはない。
例:《弧炎撒き/Arc-Slogger》は「{R}、あなたのライブラリーのカードを一番上から10枚ゲームから取り除く:クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。弧炎撒きはそれに2点のダメージを与える。」という能力を持つ。《石の死の姉妹/Sisters of Stone Death》は「{B}{G}: 石の死の姉妹をブロックするかブロックされているクリーチャー1体を対象とし、それをゲームから取り除く。」「{2}{B}:石の死の姉妹によりゲームから取り除かれたクリーチャー・カードを1枚、あなたのコントロール下で場に出す。」という能力を持つ。《水銀の精霊/Quicksilver Elemental》は「{U}:クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、水銀の精霊はそれのすべての起動型能力を得る。」という能力を持つ。《水銀の精霊》で《弧炎撒き》の能力を得、それをプレイしたあと、《石の死の姉妹》の能力を得て、クリーチャー・カードをゲームから取り除く能力をプレイしたとする。この後、《石の死の姉妹》から得た場に戻す能力をプレイしたとしても、《石の死の姉妹》由来の能力によって《水銀の精霊》がゲームから取り除いたカードしか場に戻すことはできない。《弧炎撒き》由来の能力で取り除かれたクリーチャー・カードは場に戻らない。
217.7e ゲーム外にあるオブジェクトがゲームから取り除かれた場合、領域は移動しないが、新しくゲームから取り除かれたのと同じように新しいオブジェクト として扱う。
217.8a フェイズ・アウトしたパーマネントは、フェイズ・アウト領域に置かれる(rule 502.15〔フェイジング〕参照)
217.8b フェイズ・アウト領域にある表向きのオブジェクトは、いつでも全てのプレイヤーが確認できる。裏向きのオブジェクトは、裏向きのパーマネントに関するルールに従う(rule 502.26〔変異〕、rule 504〔裏向きの呪文やパーマネント〕参照)。
217.8c フェイズ・アウトしたオブジェクトは場には存在しないので、タップ状態でもアンタップ状態でもなく、誰にもコントロールされていない。しかしながら、この領域にあるオブジェクトはその以前のことを「覚えて」おり、場を離れたときと同じ状況で場に戻る(rule 502.15〔フェイジング〕参照)。これは rule 217.1c の例外である。
217.8d フェイズ・アウト領域に行ったトークンは消滅する。これは状況起因効果である(rule 420〔状況起因効果〕参照)。それらのトークンについていたオーラおよび装備品は、ゲームの残りの期間、フェイズ・アウトしたままになる。
217.9a マジックの昔のルールには、「勝ち取ったものを返さない」でプレイする方法としてのアンティ・ルールが存在した。アンティを賭けてプレイすることは、現在では、このゲームにおける選択ルールであり、法律その他のルールで禁止されていない地区でのみ許される。アンティを賭けてプレイすることは、DCI汎用トーナメント・ルール(http://www.wizards.com/default.asp?x=dci/doccenter/home )の下では厳しく禁止されている。
217.9b アンティを賭けてプレイする場合、ゲームの開始時に、各プレイヤーはそれぞれのデッキからカードを無作為に1枚選び、それをアンティ領域に置く。アンティ領域にあるカードは、いつでも全てのプレイヤーが確認できる。ゲームの終了時に、勝利者はアンティ領域にあるカード全ての所有権を得る。
217.9c 「アンティを賭けてプレイしていない場合、プレイ前に[このカード]をデッキから取り除く/Remove [このカード] from your deck before playing if you're not playing for ante.」と書かれているカードがある。この類のカードは、プレイヤーのアンティ領域にあるカードを追加したり、取り除いたり、あるいはカードのオーナーを変更したりするものである。
217.9d オブジェクトをアンティにするとは、そのオブジェクトを現在ある領域からアンティ領域に移すことである。オブジェクトのオーナーだけがそのオブジェクトをアンティにすることができる。
300.1. ターンは順に開始フェイズ、戦闘前メイン・フェイズ、戦闘フェイズ、戦闘後メイン・フェイズ、終了フェイズの5つのフェイズからなる。それぞれのフェイズは、なにも起こることがなくてもターンごとに存在する。開始、戦闘、終了の各フェイズは順番に処理されるステップに細分化される。
300.2. フェイズやステップは、スタックが空で、かつ全てのプレイヤーが続けてパスしたときに終了する。ターン間、フェイズ間、ステップ間には何も起こらない。スタックが空になったということと、フェイズやステップが終わるということは別である。スタックが空になった後、全てのプレイヤーがパスしなければならない。言い換えると、それぞれのプレイヤーには、そのフェイズやステップが終了する前に、新しい物をスタックに積む機会が与えられるということである。
300.3. (ステップではなく)フェイズが終わったとき、プレイヤーのマナ・プールに残っている未使用のマナは失われる。こうして失われた1マナごとに、そのプレイヤーは1ライフを失う。これをマナ・バーンという。マナ・バーンはライフの喪失であってダメージではないので、ダメージに影響を及ぼす効果によって軽減したり他のものに置き換えることはできない。このゲームの行動はスタックを使用しない。(rule 406〔マナ能力〕参照)
300.4. フェイズやステップが終わったとき、そのフェイズやステップの「終わりまで/until end of 〜」の効果は消滅する。また、あるフェイズやステップ「まで/until 〜」の効果はそのフェイズやステップの開始時に消滅する。「戦闘終了時まで」続く効果は、戦闘フェイズの終了時に消滅するのであり、戦闘終了ステップ開始時ではない。「ターン終了時まで」続く効果は、特別なルールが適用される(rule 314.2 参照)。
300.5. フェイズやステップが始まるとき、そのフェイズまたはステップの「開始時に/at the beginning of 〜」発生する誘発型能力がスタックに加えられる。
300.6. 効果によって、プレイヤーは追加のターンを得ることがあり得る。その場合、得たターンを現在のターンの直後に追加する。1ターンの間に、1人のプレイヤーが複数の追加ターンを得たり、複数のプレイヤーが追加のターンを得たりする場合、その追加ターンは1つずつ追加される。そして、一番最後に作られたターンが最初に処理される。
300.7. 効果によって、1ターン中にフェイズが追加されることがあり得る。今現在のフェイズのすぐ後にそのフェイズが加えられる。複数の追加フェイズが同じフェイズの後に生成される場合は、一番最後に作られたフェイズが最初に処理される。
300.8. 効果によって、1フェイズ中にステップが追加されることがあり得る。今現在のステップのすぐ後に(あるいは現在のステップの前に)そのステップが加えられる。複数の追加ステップが同じステップの後に生成される場合は、一番最後に作られたステップが最初に処理される。
300.9. 効果によって、ステップ、フェイズ、ターンが飛ばされることがあり得る。ステップ、フェイズ、ターンを飛ばすということは、それが存在しないかのようにゲームを進めるということである。rule 419.6e とrule 419.6f 参照。
301.1. 開始フェイズは順にアンタップ・ステップ、アップキープ・ステップ、ドロー・ステップの3つのステップからなる。
302.1. まず、アクティブ・プレイヤーがコントロールしているフェイジングを持つすべてのパーマネントはフェイズ・アウトし、それと同時に、フェイズ・アウトした時点でアクティブ・プレイヤーがコントロールしていたフェイズ・アウトしている全てのオブジェクトが同時にフェイズ・インする(このゲームの行動はスタックを使用しない)。(rule 217.8〔フェイズ・アウト〕, rule 502.15〔フェイジング〕参照)
302.2. 次に、アクティブ・プレイヤーは、自分がコントロールするパーマネントのうちでどれをアンタップするかを決定し、それらを同時にアンタップする(このゲームの行動はスタックを使用しない)。通常、プレイヤーのパーマネントはすべてアンタップするが、効果によって、プレイヤーがコントロールするパーマネントがアンタップすることが妨げられることもある。
302.3. アンタップ・ステップの間には、プレイヤーが優先権を得ることはない。したがって、呪文や能力はプレイされないし、解決されもしない。このステップ中に誘発した能力は、次にプレイヤーが優先権を得たとき、すなわち、ほとんどの場合において、アップキープ・ステップ中に処理されることになる。(rule 303〔アップキープ・ステップ〕参照)
303.1. アップキープ・ステップの開始に際し、そのアップキープ・ステップの開始時に誘発する能力と、そのターンのアンタップ・ステップに誘発していた能力を全てスタックに積む(rule 410〔誘発型能力の処理〕参照)。その後で、アクティブ・プレイヤーが優先権を得て、プレイヤーが呪文や能力をプレイできるようになる。
304.1. アクティブ・プレイヤーはカードを1枚引く。このゲームの行動はスタックを使用しない。次に、そのドロー・ステップの開始時に誘発する能力をスタックに積む。その後で、アクティブ・プレイヤーが優先権を得て、プレイヤーが呪文や能力をプレイできるようになる。
305.1. 各ターンには、2つのメイン・フェイズが存在する。戦闘前メイン・フェイズ(または第1メイン・フェイズ)と戦闘後メイン・フェイズ(または第2メイン・フェイズ)は、戦闘フェイズ(rule 306〔戦闘フェイズ〕参照)によって区切られており、戦闘前、戦闘後のメイン・フェイズはそれぞれだけでも「メイン・フェイズ」と呼ばれることがあるし、それらをまとめてそう呼ぶこともある。
305.2. メイン・フェイズにはステップは存在しないため、スタックが空のときに全てのプレイヤーがパスしたときにメイン・フェイズが終了する(rule 300.2 参照)。
305.3. メイン・フェイズの開始に際し、そのメイン・フェイズの開始時に誘発する能力をスタックに積む。(rule 410〔誘発型能力の処理〕参照)その後で、アクティブ・プレイヤーが優先権を得て、プレイヤーが呪文や能力をプレイできるようになる。(通常、このフェイズにのみ、プレイヤーはアーティファクト 呪文、クリーチャー 呪文、エンチャント 呪文、ソーサリー 呪文をプレイできる。アクティブ・プレイヤーだけがこれらの呪文をプレイできる。)
305.4. アクティブ・プレイヤーは、どちらかのメイン・フェイズの間に、自分が優先権を持ち、スタックが空であり、そしてまだこのターンにこの特別な行動を利用していないときに限り、土地 カードを1枚だけ手札からプレイすることができる(rule 212.6〔土地〕参照)。この行動はスタックを使用せず、いかなる種類の呪文や能力でもない。この行動は打ち消されず、インスタントや起動型能力で対応することはできない。
306.1. 戦闘フェイズは5つのステップからなり、それらは戦闘開始ステップ、攻撃クリーチャー指定ステップ、ブロック・クリーチャー指定ステップ、戦闘ダメージ・ステップ、戦闘終了ステップの順番で進んでいく。ブロック・クリーチャー指定ステップと戦闘ダメージ・ステップは、クリーチャーが1体も攻撃クリーチャーとして指定されなかった場合には飛ばされる(rule 308.4 参照)。攻撃クリーチャーかブロック・クリーチャーが先制攻撃(rule 502.2 参照)か二段攻撃(rule 502.28 参照)を持つ場合、戦闘ダメージ・ステップは2つになる。
306.2. クリーチャーは、(破壊されたり、ゲームから取り除かれたりして)場を離れたり、再生したり(rule 419.6b 参照)、コントローラーが変わったり、クリーチャーでなくなったり、効果によって戦闘から取り除かれたら、戦闘から取り除かれる。戦闘から取り除くということは、クリーチャーが攻撃クリーチャー、ブロック・クリーチャー、ブロックされたクリーチャー、ブロックされていない クリーチャーのいずれでもなくなるということである。
306.2a いったんクリーチャーが攻撃クリーチャーかブロック・クリーチャーとして宣言されたなら、そのクリーチャーが攻撃やブロックに参加することを禁止する呪文や能力は、そのクリーチャーを戦闘から取り除かない。
306.2b すでに攻撃クリーチャーやブロック・クリーチャーとして指定されたクリーチャーをタップあるいはアンタップしても、戦闘から取り除くことはできず、戦闘ダメージは通常通り与えられる。
306.3. 戦闘フェイズの間、アクティブ・プレイヤーを「攻撃している」と言い、攻撃 プレイヤーと呼ぶ。戦闘フェイズの開始に際して、アクティブ・プレイヤーは対戦相手のうちから1人選ぶ。そのプレイヤーは「攻撃されている」と言い、防御プレイヤーと呼ぶ。多人数戦のルールによっては、アクティブ・プレイヤーが複数のプレイヤーに攻撃することを認めているものもある。rule 602〔「複数への攻撃」選択ルール〕、rule 606〔変種ルール「双頭巨人戦」〕参照。
306.4. ある攻撃クリーチャー以外に攻撃クリーチャーがいない場合、それを「単独で攻撃/attacking alone」していると言う。あるブロック・クリーチャー以外にブロック・クリーチャーがいない場合、それを「単独でブロック/blocking alone」していると言う。
307.1. 戦闘開始ステップの開始に際し、戦闘開始時に誘発するあらゆる能力がスタックに積まれる。(rule 410〔誘発型能力の処理〕参照))その後でアクティブ・プレイヤーが優先権を得て、プレイヤーが呪文や能力をプレイできるようになる。
308.1. 攻撃クリーチャー指定ステップの開始に際し、アクティブ・プレイヤーは攻撃クリーチャーを指定する(このゲームの行動はスタックを使用しない)。ゲームのルールによって複数のプレイヤーに攻撃することが認められている場合、それぞれのクリーチャーがどのプレイヤーに攻撃するのかを指定する。クリーチャーの、防御プレイヤーを参照する効果は、そのクリーチャーが攻撃している防御プレイヤーだけを参照する。次に、攻撃クリーチャーの指定に誘発するあらゆる能力がスタックに積まれる。(rule 410〔誘発型能力の処理〕参照))その後でアクティブ・プレイヤーが優先権を得て、プレイヤーが呪文や能力をプレイできるようになる。
例:《絡み森を歩む者/Tanglewalker》は、「あなたがコントロールするクリーチャーは、防御プレイヤーがアーティファクト・土地をコントロールしているかぎり、ブロックされない。」という能力を持つ。あなたのクリーチャーがブロックされないかどうかは、これが攻撃しているプレイヤーがアーティファクト・土地をコントロールしているかどうかだけによる。
例:《罪を与えるもの/Guiltfeeder》は、「《罪を与えるもの》が攻撃してブロックされないたびに、防御プレイヤーはそのプレイヤーの墓地にあるカード1枚につき1点のライフを失う。」という能力を持つ。これによってライフを失うのは、《罪を与えるもの》に攻撃されたプレイヤーだけである。
308.2. 攻撃クリーチャーを指定するときに、アクティブ・プレイヤーは以下のステップに順番に従う。攻撃クリーチャーの指定に関するあらゆる点で、アクティブ・プレイヤーが後述のステップのいずれかを行えない場合は、その指定は不正となる。ゲームは攻撃クリーチャー指定の直前まで戻る(rule 422〔不正な行動の処理〕とrule 500〔適正な攻撃とブロック〕参照)。
308.2a アクティブ・プレイヤーは攻撃しないことを選ぶか、自分がコントロールするクリーチャーを1体以上選ぶ。その後、選んだクリーチャーが攻撃に参加できるかどうかを決定する。クリーチャーだけが攻撃に参加することができるが、(攻撃に参加してもタップしないものであっても)タップ状態のクリーチャーまたはアクティブ・プレイヤーがそのターンの開始時から続けてコントロールしていないクリーチャー(速攻を持つものは除く)は攻撃に参加することはできない。選んだクリーチャーが攻撃に参加できるかできないかについて、他の効果も影響する。(rule 500〔適正な攻撃とブロック〕参照)。
308.2b 選んだクリーチャーの中にバンドや他の〜とのバンドを持つクリーチャーがいる場合は、アクティブ・プレイヤーは(そうしたいのなら)どのクリーチャーがどれとバンドを組むのかを宣言する(rule 502.10〔バンド〕参照)。
308.2c アクティブ・プレイヤーは選んだクリーチャーをタップする。攻撃クリーチャーとして指定したときにクリーチャーをタップすることはコストではない。単に、攻撃に参加することによってクリーチャーがタップされるだけである。
308.2d 攻撃に参加するためにコストの支払いが必要なクリーチャーがいるならば、アクティブ・プレイヤーは攻撃に参加するための総コストを決める。コストには、マナの支払い、パーマネントのタップ、パーマネントの生け贄、カードを捨てる、等々が含まれる。総コストが決定したら、それは「固定」される。この後に効果が総コストを変更しようとしても、それは無視される。
308.2e コストにマナの支払いが必要な場合、アクティブ・プレイヤーはマナ能力をプレイする機会を得る(rule 411〔マナ能力のプレイ〕参照)。
308.2f 自分のマナ・プールに十分な量のマナを持ってから、そのプレイヤーは好きな順番ですべてのコストを支払う。一部しか支払わないことは認められない。
308.2g コストが全て支払われ、なおかつそのクリーチャーがアクティブ・プレイヤーによってコントロールされている場合、選ばれたクリーチャーは攻撃クリーチャーになる。戦闘から取り除かれるか、または戦闘フェイズが終わるまで、それは攻撃クリーチャーであり続ける。rule 306.2 参照。
308.3. クリーチャーが攻撃することに対して誘発する能力は、クリーチャーが攻撃クリーチャーに指定された時点でのみ誘発する。クリーチャーが攻撃に参加した後で、そのクリーチャーの特性がその能力の誘発条件に合致するように変化したり、クリーチャーが攻撃に参加している状態で場に出たりしても誘発しない。
例:「緑のクリーチャーが攻撃に参加するたび、戦闘終了時に、そのクリーチャーを破壊する」という能力を持つパーマネントがあった場合、青のクリーチャーが攻撃に参加し、その後にそれが緑に変わっても、能力は誘発しない。
308.4. 攻撃クリーチャーが指定されなかった場合、攻撃クリーチャー指定ステップは終了し、ブロック・クリーチャー指定ステップと戦闘ダメージ・ステップは飛ばされる。
309.1. ブロック・クリーチャー指定ステップの開始に際し、防御プレイヤーはブロック・クリーチャーを指定する(このゲームの行動はスタックを使用しない)。次に、ブロック・クリーチャーの指定に誘発するあらゆる能力がスタックに積まれる。(rule 410〔誘発型能力の処理〕参照))その後でアクティブ・プレイヤーが優先権を得て、プレイヤーが呪文や能力をプレイできるようになる。
309.2. ブロック・クリーチャーを指定するときに、防御プレイヤーは以下のステップに順番に従う。ブロック・クリーチャーの指定に関するあらゆる点で、防御プレイヤーが後述のステップのいずれかを行えない場合は、その指定は不正となる。ゲームはブロック・クリーチャー指定の直前まで巻き戻る(rule 422〔不正な行動の処理〕とrule 500〔適正な攻撃とブロック〕参照)。
309.2a 防御プレイヤーは自分がコントロールするクリーチャーをゼロ体以上選び、それぞれについてブロックする攻撃クリーチャーを1体選ぶ。その後、ブロックが適正かどうかを決定する。アンタップ状態のクリーチャーだけがブロックに参加でき、ブロックに参加することではクリーチャーはタップしない。選んだクリーチャーがブロックに参加できるかできないかについて、他の効果も影響する。(rule 500〔適正な攻撃とブロック〕参照)。
309.2b ブロックに参加するためにコストの支払いが必要なクリーチャーがいるならば、防御プレイヤーはブロックに参加するための総コストを決める。コストには、マナの支払い、パーマネントのタップ、パーマネントの生け贄、カードを捨てる、等々が含まれる。総コストが決定したら、それは「固定」される。この後に効果が総コストを変更しようとしても、それは無視される。
309.2c コストにマナの支払いが必要な場合、防御プレイヤーはマナ能力をプレイする機会を得る(rule 411〔マナ能力のプレイ〕参照)。
309.2d 自分のマナ・プールに十分な量のマナを持ってから、そのプレイヤーは好きな順番ですべてのコストを支払う。一部しか支払わないことは認められない。
309.2e そのクリーチャーが防御プレイヤーによってコントロールされている場合、選ばれたそれぞれのクリーチャーはブロック・クリーチャーとなり、それぞれ選んだ攻撃クリーチャーをブロックする。戦闘から取り除かれるか、または戦闘フェイズが終わるまで、それはブロック・クリーチャーであり続ける。rule 306.2 参照。
309.2f ブロック・クリーチャーとして指定されたクリーチャーが1体以上存在する攻撃クリーチャーは、「ブロックされたクリーチャー」になる。ブロック・クリーチャーが存在しないクリーチャーは「ブロックされていない クリーチャー」になる。戦闘から取り除かれるか、または戦闘フェイズが終わるまでそのままである(効果によって変更されることはありうる)。
309.3. クリーチャーがブロックすることに対して誘発する能力は、クリーチャーがブロック・クリーチャーに指定された時点でのみ誘発する。クリーチャーがブロックに参加した後で、そのクリーチャーの特性がその能力の誘発条件に合致するように変化したり、ブロックした状態のクリーチャーが場に出たりしても誘発しない。
309.4. クリーチャーがブロックされたことに対して誘発する能力は、その戦闘においてクリーチャーが初めてブロックされた時点でのみ誘発する。つまり、まだブロックされていない クリーチャーに対して、ブロック・クリーチャーが指定されるか、クリーチャーがブロックした状態で場に出るか、効果によってブロックされるかのいずれかの場合にのみ誘発する。クリーチャーがブロックされた後で、そのクリーチャーの特性がその能力の誘発条件に合致するように変化したとしても、能力は誘発しない。
例:「このクリーチャーが白のクリーチャーにブロックされるたび、戦闘終了時に、そのクリーチャーを破壊する」という能力を持つクリーチャーが、黒のクリーチャーによってブロックされ、その後にそれが白に変わっても、能力は誘発しない。
310.1. 戦闘ダメージ・ステップの開始に際し、アクティブ・プレイヤーは、それぞれの攻撃クリーチャーがその戦闘ダメージをどのように割り振るかを宣言し、その後で防御プレイヤーは、それぞれのブロック・クリーチャーがその戦闘ダメージをどのように割り振るかを宣言する。戦闘ダメージの割り振りは、すべてが単一のオブジェクトとしてスタックに積まれる。その後ダメージが割り振られることに誘発するあらゆる能力がスタックに積まれる。(rule 410〔誘発型能力の処理〕参照)その後でアクティブ・プレイヤーが優先権を得て、プレイヤーが呪文や能力をプレイできるようになる。
310.2. プレイヤーは、クリーチャーの戦闘ダメージを適正な方法で割り振る。戦闘ダメージの割り振りは以下の制限に従うこと。
310.2a 攻撃クリーチャー、ブロック・クリーチャーはそれぞれ、そのパワーに等しい戦闘ダメージを割り振る。パワーが0以下のクリーチャーは、戦闘ダメージを割り振らない。
310.2b ブロックされていない 攻撃クリーチャーは、防御プレイヤーに全ての戦闘ダメージを割り振る。
310.2c ブロックされているクリーチャーは、そのコントローラーの選択に従い、それをブロックしているクリーチャーにダメージを割り振る。(例えば、破壊されていたり戦闘から取り除かれていたりして)現時点でブロックしているクリーチャーがいなくなっていた場合には、戦闘ダメージを割り振ることはない。
310.2d ブロック・クリーチャーは、そのコントローラーの選択に従い、それにブロックされている攻撃クリーチャーに戦闘ダメージを割り振る。(例えば、破壊されていたり戦闘から取り除かれていたりして)現時点でブロックされているクリーチャーがいなくなっていた場合には、戦闘ダメージを割り振ることはない。
310.2e クリーチャーが通常とは違う方法で戦闘ダメージを与える効果は、戦闘ダメージの割り振りに影響する。
310.3. 戦闘ダメージの割り振りは単一のオブジェクトとしてスタックに積まれるが、呪文や能力ではないので、打ち消されることはない。
310.4. 戦闘ダメージは、ひとつのオブジェクトとして解決される。解決時に、それは割り振られていた通りにすべて一度に与えられる。戦闘ダメージの解決が終わった後、アクティブ・プレイヤーは優先権を得る。
310.4a 戦闘ダメージは、ダメージを与えるクリーチャーが既に場を離れていたり、あるいはそのパワーが変化していたり、ダメージを受けるべきクリーチャーが戦闘から取り除かれていたりしても、その割り振り通りに与えられる。
310.4b ダメージの発生源は、その時に場に存在していればそのクリーチャーであり、場に存在していなければその場を離れる直前の情報を見る。
310.4c ダメージを受けるべきクリーチャーが既に場にいないか、あるいはクリーチャーでなくなっている場合、それに割り振られていたダメージは与えられない。
310.5. 戦闘ダメージ・ステップの開始時に、少なくとも1体の攻撃クリーチャーかブロック・クリーチャーが先制攻撃(rule 502.2 参照)か二段攻撃(rule 502.28 参照)を持っている場合、先制攻撃も二段攻撃も持たないクリーチャーは戦闘ダメージを割り振らない。戦闘終了ステップに進む代わりに、戦闘フェイズは第2戦闘ダメージ・ステップを得て、残りのクリーチャーからのダメージを処理する(rule 310.1 参照)。第2戦闘ダメージ・ステップの間には、攻撃クリーチャー、ブロック・クリーチャーのうちで第1戦闘ステップで戦闘ダメージを割り振らなかったものと、二段攻撃を持つものがそれぞれの戦闘ダメージを割り振る。
311.1. 戦闘終了ステップの開始に際し、全ての「戦闘終了時に」起こる誘発型能力が誘発し、スタックに積まれる。(rule 410〔誘発型能力の処理〕参照)その後でアクティブ・プレイヤーが優先権を得て、プレイヤーが呪文や能力をプレイできるようになる。
311.2. 戦闘終了ステップが終わると同時に、すべてのクリーチャーは戦闘から取り除かれる。戦闘終了ステップが終わった後、戦闘フェイズが終了し戦闘後メイン・フェイズが始まる。
312.1. 終了フェイズは、ターン終了ステップ、クリンナップ・ステップの二つのステップからなる。
313.1. ターン終了ステップの開始に際し、全ての「ターン終了時に」起こる誘発型能力がスタックに積まれる。(rule 410〔誘発型能力の処理〕参照)その後でアクティブ・プレイヤーが優先権を得て、プレイヤーが呪文や能力をプレイできるようになる。
313.2. ターン終了ステップの開始時に「ターン終了時に」起こる誘発型能力がスタックに積まれた後で、新しく「ターン終了時に」起こる誘発型能力が生成された場合、あるいは「ターン終了時に」起こる誘発型能力を持つカードが場に出た場合、それらの能力は次のターンの終了 フェイズまでスタックに積まれない。言い替えれば、このステップは「さかのぼらない」ので新しい「ターン終了時」誘発型能力はスタックに積まれない。これは、「ターン終了時に」と書かれた誘発型能力だけに適用される。継続的効果や「ターン終了時まで」や「このターン」とある遅延効果には当てはまらない。(rule 314〔クリンナップ・ステップ〕参照)
314.1. アクティブ・プレイヤーの手札がその上限の枚数(通常は7枚)を越えていたら、その数になるまで手札を捨てる(このゲームの行動はスタックを使用しない)。
314.2. 手札が捨てられた後、全てのパーマネントに与えられているダメージが取り除かれるのと同時に「ターン終了時まで」の効果、また「このターンの間」の効果が終わる(このゲームの行動はスタックを使用しない)。
314.3. 状況起因効果を起こす条件が揃っているか、あるいは何らかの誘発型能力がスタックに積まれるのを待っている場合にのみ、アクティブ・プレイヤーが優先権を得て、プレイヤーが呪文や能力をプレイできるようになる。スタックが空になり、全てのプレイヤーがパスした場合、もう一度新しいクリンナップ・ステップが始まる。何も起きなければ、優先権は発生せず、ステップは終了する。
400.1. 能力とは、オブジェクトがすること、またはできることである。能力は効果を発生させる。オブジェクトの能力はそのオブジェクトの文章欄によって、またはそのオブジェクトを生成した効果によって定義される。何らかの効果によって、オブジェクトに能力が付与されることもある。注釈文、フレイバー・テキストは能力ではない。注釈文とフレイバー・テキストは常にイタリック体(斜体)で書かれている。
400.2. 呪文と起動型能力と誘発型能力は、それが解決したときに効果が発生する。常在型能力は継続的効果を発生させる。テキストそのものは効果ではない。
401.1. 呪文とは、スタックに積まれているカードである。プレイの最初の段階で、そのカードは呪文となり、プレイされる領域(通常はプレイヤーの手札)からスタックに積まれる(rule 217.6〔スタック〕参照)。
401.2. それは解決した時や(rule 413.2 参照)打ち消された時(rule 414〔呪文・能力の打ち消し〕参照)、なんらかの方法でスタックを離れた時に呪文でなくなる。
401.3. インスタント 呪文やソーサリー 呪文は、他のオブジェクトと同様に能力を持つ。それらの能力は、特に書かれていない限り、その呪文の解決時に実行される。
例:解決時に実行されない能力としては、起動型能力や誘発型能力、それがどこにある場合にプレイできるかを定義する能力(rule 401.4 参照)、それをプレイできる領域にある間に適用される能力(rule 401.5 参照)、その呪文がスタックにある間に適用される能力(rule 401.6 参照)などがある。
401.4. オブジェクトは、手札以外の領域からプレイすることを認める常在型能力を持つことがある。それらの能力は、そのオブジェクトが該当する領域にある間、有効である。
401.5. オブジェクトは、それをプレイできる領域にある間に適用される能力を持つことがある。この種の能力には、オブジェクトをプレイすることを制限したり、あるいは通常認められない状況または方法でオブジェクトをプレイすることを認めるものがある。
401.6. 呪文は、その呪文がスタックにある間に適用される能力を持つことがある。この種の能力には、コストの追加や減少、代替コストなどが含まれる。(rule 409〔呪文や起動型能力のプレイ〕参照)
401.7. インスタント 呪文やソーサリー 呪文の解決の最後に、そのカードはオーナーの墓地に置かれる。アーティファクト 呪文、クリーチャー 呪文、及びエンチャント 呪文の解決の最後に、そのカードはパーマネントとなり、呪文のコントローラーのコントロールの下で場 領域に置かれる。呪文が打ち消された場合、打ち消す 呪文や能力の解決の一部として、そのカードはオーナーの墓地に置かれる(rule 413〔呪文・能力の解決〕参照)。
402.1. 能力とは、注釈文でもフレイバー・テキストでもない、オブジェクトの文章である(rule 400.1 参照)。その指示に従った結果、及び呪文のテキストに従った結果のことを効果という(rule 416〔効果〕参照)。能力は、それの書かれているオブジェクト、また他のオブジェクトやプレイヤーにも影響を及ぼすことができる。能力によって、それが書かれているオブジェクト、あるいはそれ以外のオブジェクトに能力を与えられることがある。その場合、「持つ/has,have」「得る/gains,gain」という言葉が使われる。
402.2. 能力は大別して起動型能力、誘発型能力、常在型能力の3つに分類できる。起動型能力、誘発型能力の中には、マナ能力も含まれる。能力は単発的効果や継続的効果を発生させる。置換効果と軽減効果は、効果の一種である。
例:「このクリーチャーはブロックに参加できない」というのは能力である。
402.4. カードをプレイするための追加コストや代替コストは、カードの能力である。
402.5. 能力は呪文ではなく、そのため呪文だけを打ち消すものによっては打ち消すことができない。能力は、ルールによって打ち消されるのと同じように、特殊な打ち消し 能力の効果によっても打ち消される(例えば、対象をとる能力は、その対象がすべて不正になった場合に打ち消される)。
402.6. いったん起動、または誘発されたら、能力はその能力の発生源(能力が記されているカード)とは独立してスタック上に存在する。以降、その能力の発生源を破壊したり除去しても、能力には影響を及ぼさない。いくつかの能力は、その能力が直接何かをするのではなく、その能力の発生源に何かをさせることに注意すること(例えば、「クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。《放蕩魔術師/Prodigal Sorcerer》はそれに1点のダメージを与える」)。このような場合、効果を分配するために能力の発生源の情報を参照する起動型、誘発型能力は、その能力をスタックに積む時点でその情報をチェックする。それ以外の理由で発生源の情報を参照する能力は、その能力の解決時にその情報をチェックする。いずれにせよ、チェックする時点で発生源が既に場にない場合、その能力の発生源の場を離れる直前の情報を使う。
402.7. 一つのオブジェクトが色々な能力を持つことがある。一行に並べられる、あらかじめ定義された能力(rule 502〔キーワード能力〕参照)を除き、オブジェクトの文章の各段落は別個の能力を表す。一つのオブジェクトが、同じ能力を複数持つこともある。同じ能力でも、それぞれは独立に機能する。これによって、能力が一つだけの時よりもより多くの効果を生むこともあるし、そうでないこともある。詳しい情報は各能力を参照のこと。
402.8. インスタントやソーサリーの能力は、通常、そのオブジェクトがスタックにある間にのみ機能する。その他のオブジェクトの能力は、通常、そのオブジェクトが場にある間にのみ機能する。その例外は以下のとおり。
402.8a タイプ、サブタイプ、特殊タイプ、色を定義する特性定義能力は、全ての領域で機能する。
402.8b どの領域で機能するかが書かれている能力は、その領域でのみ機能する。
402.8c オブジェクトの、それをプレイするためのコストを修整する能力は、スタックにある間に機能する。
402.8d オブジェクトの、それをプレイするための制限や修整をもたらす能力は、プレイできる領域にある間に機能する。
402.8e オブジェクトの、場にある間に支払うことのできないコストを必要とする起動型能力は、そのコストを支払うことができる領域にある間に機能する。
402.8f 場以外の領域にある間にのみ誘発しうる誘発条件を持つ誘発型能力は、その領域にある間に誘発する。その誘発型能力が他に誘発条件を持っていた場合、別々の領域で機能することもありうる。
例:《赦免のスラル/Absolver Thrull》は「《赦免のスラル》が場に出るか、それが憑依しているクリーチャーがいずれかの墓地に置かれるかしたとき、エンチャント1つを対象とし、それを破壊する。」という能力を持つ。1つめの誘発条件は場にある間に誘発するが、2つめの誘発条件はゲーム外にある間に機能する。
402.8g コストや効果が、そのオブジェクトを特定の領域から移動させるものである場合、その領域にある間にのみ機能する。その能力の誘発条件、あるいはそのコストや効果よりも前に、その能力の一部として、そのオブジェクトをその領域に移動させるものが含まれている場合は、この限りではない。
例:《ネクロサヴァント/Necrosavant》は「{3}{B}{B}, クリーチャーを1体、生け贄に捧げる: あなたの墓地にある《ネクロサヴァント》を場に戻す。この能力はあなたのアップキープの間にしかプレイできない。」という能力を持つ。この能力は、《ネクロサヴァント》が墓地にある間にしかプレイできない。
403.1. 起動型能力は「コスト:効果」という書式で書かれている。起動コストは、コロン(:)の前にあるもの全てである。能力の起動コストは、それをプレイするプレイヤーが支払わなければならない。
403.2. オブジェクトに特に書かれていない限り、起動型能力はそのオブジェクトのコントローラー(場以外にあるときはそのオブジェクトのオーナー)だけがプレイできる。
403.3. 起動型能力の使用に制限がある(例えば、「この能力は各ターンに一回しかプレイできない」)とき、その制限はたとえコントローラーが変化しても適用され続ける。
403.4. 起動コストにタップ・シンボル({Tap})を含む、クリーチャーの起動型能力は、そのコントローラーが自分のターン開始時から続けてそのクリーチャーをコントロールしていない限り、プレイできない。速攻を持つクリーチャーはこのルールを無視する(rule 502.5 参照)。
403.5. 「この能力は、あなたがソーサリーをプレイできるときのみプレイできる」という起動型能力は、それをプレイするに際してソーサリーをプレイするのと同じタイミングのルールに従う、というだけであり、その能力がソーサリーであるということではない。「この能力は、あなたがインスタントをプレイできるときのみプレイできる」という起動型能力は、それをプレイするに際してインスタントをプレイするのと同じタイミングのルールに従う、というだけであり、その能力がインスタントであるということではない。
404.1. 誘発型能力は「……とき/when」「……たび/whenever」「……時/at」から始まる語句で示される。これらの語句を含む部分は誘発条件と呼ばれ、誘発 イベントを定義する。
404.2. 誘発型能力はプレイされない。その代わりに、誘発型能力はその誘発 イベントが満たされるたびに自動的に「誘発」する。能力が誘発したら、次にプレイヤーが優先権を得るときにスタックに積まれる(rule 408.1〔タイミング、優先権、スタック〕、rule 410〔誘発型能力の処理〕参照)。
404.3. 誘発型能力には「とき/たび/時、…[条件]場合、[効果]する/When/Whenever/At . . . , if [条件], [効果].」と書かれたものがある。この能力は、誘発 イベントが発生したときに、そこに記された条件を満たしているかどうかチェックする。条件を満たしている場合にこの能力は誘発する。解決時に、この能力は再び条件をチェックする。このどちらかのときに、この条件が満たされていない場合、この能力は何もしない。このルールは「"if"節のルール」と呼ばれる。「場合/if」という単語は、カードのテキストの他のさまざまな場所では普通の英語の意味しか持たない。このルールは、誘発条件の直後に「場合/if」節が続いていたときにだけ適用する。
404.4. 効果によって、後で何かを行なう遅延誘発型能力が作成されることがある。遅延誘発型能力は、それらの単語が先頭ではないことが多いが、この3語のうちいずれかを含む。
404.4a 遅延誘発型能力は呪文や他の能力の解決時に生成される。実際に生成されるまで、その直前に誘発 イベントが起こっていたとしても、誘発されることはない。その類のイベントによって、条件が決して満たされることがなくなることもありうる。
例:「このクリーチャーが場を離れたとき」という一文を含む遅延誘発型能力が生成されるより前に、そのクリーチャーが場を離れることがある。この場合、その遅延誘発型能力が誘発されることはない。
例:「このクリーチャーがアンタップ状態になったとき」という遅延誘発型能力が生成される前に、そのクリーチャーがアンタップされていたら、その能力は、そのクリーチャーが一旦タップされてから次にアンタップされるのを待つ。
404.4b 遅延誘発型能力は、「このターンの間」のような記された期限がない限り、次に誘発 イベントが起こった時に一度だけ誘発する。
404.4c あるオブジェクトに影響する遅延誘発型能力は、そのオブジェクトの特性が変化しても影響を及ぼす。
例:「ターン終了時に、そのクリーチャーを破壊する」という能力は、それがターン終了ステップにクリーチャーでなくなっていたとしても、そのパーマネントを破壊する。
404.4d 特定のパーマネントに影響する遅延誘発型能力は、そのパーマネントが場を離れた場合(指定された時点までに戻ってきたとしても)失敗する。同様に、特定の領域にあるオブジェクトに影響する遅延誘発型能力は、そのオブジェクトがその領域を離れていた場合には失敗する。
例:「ターン終了時に、このクリーチャーをゲームから取り除く」という能力は、そのクリーチャー・カードがターン終了ステップ以前に場を離れていた場合には何もしない。
404.5. オブジェクトの中には、誘発型能力と関連した常在型能力を持つものがある。この類のオブジェクトでは、先に常在型能力、後に誘発型能力という順序で、両方の能力が一行に書かれている。まれに、誘発条件が能力の最初ではなく途中に書かれているオブジェクトもある。
例:「各ターン、最初に引いたカードを公開する。この方法で基本土地 カードを公開するたび、カードを1枚引く」というのは、誘発型能力と関連した常在型能力である。
例:「エンチャントされたクリーチャーのコントローラーは、自分のターンの終了時にそれを生け贄に捧げる」という能力は誘発型能力である。
405.1. 常在型能力は、起動したり誘発したりするのではなく、常に何かをし続ける。能力はプレイされず、単にそこに「存在する/exist」。この種の能力は、rule 402.8 に該当しない限り、その能力を持つパーマネントが場にある間にのみ適用される。
405.2. オブジェクトの一部には、何らかの特性値を「持つ/has」、または特定のタイプ、特殊タイプ、サブタイプ、色で「ある/is」という常在型能力が印刷されて存在する。これらの能力は特性定義能力と呼ばれる。その能力を持つオブジェクト以外の特性を操作する能力や、そのオブジェクト自身に与えられた能力は特性定義能力ではない。rule 201〔特性〕、rule 418.5a 参照。
406.1. マナ能力は、解決時にプレイヤーのマナ・プールにマナを加えることのできる起動型能力か、マナ能力による誘発型能力で追加のマナを出すものである。マナを生成するのと同時に、他の効果を発生させることもある。
406.2. マナをプレイヤーのマナ・プールに加える呪文はマナ能力ではない。これらは他の呪文と同じようにプレイされ、解決される。マナをプレイヤーのマナ・プールに加える誘発型能力は、もしそれらが起動型マナ能力以外のイベントによって誘発する場合、マナ能力ではない。それらはスタックに積まれ、ほかの誘発型能力と同じように解決する。
406.3. マナ能力は、ゲームの状況によってマナを生み出せない場合でもマナ能力として残る。
例:あるパーマネントに、「{Tap}:あなたがコントロールするクリーチャー1体につき、あなたのマナ・プールに{G}を加える」という能力がある場合、これは、あなたがクリーチャーをコントロールしていない時や、すでにこのパーマネントがタップ状態であるときにもマナ能力である。
406.4. マナ能力は起動型能力か誘発型能力である。マナ能力は、他の能力と同じようにプレイされ、解決されるが、スタックには積まれない。そのためこれらを打ち消したり対応したりすることはできない(rule 411〔マナ能力のプレイ〕、rule 408.2〔スタックを使わない行動〕参照)。
406.5. マナ能力をプレイしたことにより誘発する(マナ能力を除く)能力はスタックに積まれる。
406.6. マナ能力が生成するマナのタイプが定義できない場合、代わりに、その能力はマナを出さない。
例:あなたが土地をコントロールしていない場合、「{Tap}: あなたのマナ・プールに、あなたがコントロールしているいずれかの土地が生み出すことができるタイプのマナ1点を加える」というマナ能力はマナを生成しない。
407.1. 効果によって、オブジェクトの能力が追加されたり、あるいは取り除かれたりすることがある。能力を追加する効果は、そのオブジェクトが能力を「得る/gain」もしくは「持つ/have」と書かれる。能力を取り除く効果は、そのオブジェクトが能力を「失う/lose」と書かれる。複数の効果が同じ能力を追加したり除いたりしていた場合、一般に、もっとも最近のものが勝つ(rule 418.5〔継続的効果の相互作用〕参照)。
407.2. オブジェクトの特性を定めたり、あるいはそのオブジェクトの性質を決めたりする効果は、効果によって得られる能力ではない。オブジェクトが能力を「得る」もしくは「持つ」時、その能力は他の効果によって取り除かれることがありうる。一方、効果によってオブジェクトの特性が定義された場合("[パーマネント]は[特性値]である")、それは能力によって追加されたものではない(rule 405.2 参照)。
例:「エンチャントされたクリーチャーは『このクリーチャーはアーティファクト・クリーチャーである』という能力を持つ」という効果があった場合、この効果はクリーチャーに、他の効果によって取り除くことのできる能力を与えている。一方、「エンチャントされたクリーチャーはアーティファクト・クリーチャーである」という効果はクリーチャーの特性を定義しているだけであり、能力を与えているわけではない。そのためクリーチャーから能力を「失わせる/lose」効果では、エンチャントされているクリーチャーがアーティファクトになることを止めることはできない。
407.3. 能力を除去する効果は、その能力が複数あってもすべて取り除く。
例:飛行を持つクリーチャーに《飛行/Flight》がエンチャントしている場合、そのクリーチャーは飛行 能力を2つ持っているが、「クリーチャー1体を対象とする。それは飛行を失う」という1つの効果で両方とも取り除かれる。
408.1a 呪文や起動型能力は適切なときにのみプレイでき、一群のルールに従う。
408.1b 呪文と起動型能力は、優先権のルールに従い、プレイヤーが(プレイしたいときに)プレイするが、その他の種類の能力や効果はゲームのルールによって自動的に発生する。いずれかのプレイヤーが優先権を得る場合、まず最初に、発生する全ての状況起因効果が1つのイベントとして解決する(rule 420〔状況起因効果〕参照)。その後、新しい状況起因効果が発生したならば、1つのイベントとして解決する。この過程を、状況起因効果が発生しなくなるまで繰り返す。その後、誘発型能力がスタックに加えられる(rule 410〔誘発型能力の処理〕参照)。これらの段階を状況起因効果も誘発型能力も発生しなくなるまで順番に繰り返す。その後、優先権を得るプレイヤーは、そのフェイズおよびステップに関するルールに従い、呪文や能力をプレイしてもよいし、その他の特別な行動(土地をプレイするなど)をすることも、パスすることもできる。
408.1c アクティブ・プレイヤーは、ほとんどのフェイズとステップの開始時に、ゲームによる行動とそのフェイズやステップの開始時に誘発する能力がスタックに積まれた後で優先権を得る。ただし、アンタップ・ステップには優先権は発生せず、通常はクリンナップ・ステップにも優先権は発生しない(rule 314.3 参照)。優先権を持つプレイヤーは、呪文や能力をプレイするか、特別な行動をとるか、あるいはパスすることができる。呪文や能力をプレイしたり、あるいは特別な行動を取ったりした場合、そのプレイヤーが再び優先権を得る。パスした場合には、その次のプレイヤーが優先権を得る。全てのプレイヤーが続けてパス(この間に何か行動をした場合には続けてとは言わない)したら、スタックの一番上のオブジェクトが解決し、その後でアクティブ・プレイヤーが優先権を得る。全てのプレイヤーが連続してパスした時にスタックが空であれば、そのフェイズまたはステップは終了し、次のフェイズまたはステップが開始される。
408.1d プレイヤーは、優先権を持つ時ならいつでもインスタント 呪文や起動型能力をプレイすることができる。インスタント以外の呪文は、そのプレイヤーのメイン・フェイズで、優先権を持ち、スタックが空である時にのみプレイできる。
408.1e 呪文または起動型能力がプレイされたら、それはスタックの一番上に積まれる。
408.1f 誘発型能力は、呪文や別の能力のプレイ・解決の間も含めて、いかなる時でも誘発する。但し、その能力が誘発した時点では何も起こらない。プレイヤーが優先権を得る時点で、誘発していて、まだスタックに積まれていない能力が全てスタックに積まれる。その後で、プレイヤーは優先権を得、呪文や能力をプレイすることができる(rule 410〔誘発型能力の処理〕参照)。
408.1g 戦闘ダメージは、割り振られたらスタックに積まれる。(rule 310〔戦闘ダメージ・ステップ〕参照)
408.1h 常在型能力はプレイされることはなく、それは継続的にゲームに影響を与える。優先権の考え方は適用されない。(rule 405〔常在型能力〕、rule 418〔継続的効果〕、rule 419〔置換・軽減効果〕参照)
408.1i 特別な行動はスタックを用いない。特別な行動としては、土地をプレイすること(rule 408.2d 参照)、裏向きのクリーチャーを表にすること(rule 408.2h 参照)、継続的効果を終えることと遅延誘発型能力を止めること(rule 408.2i 参照)、継続的効果を延期することと失わせること(rule 408.2j 参照)がある。
408.2a 効果はスタックに積まれない。それらは呪文や能力が解決された結果である。効果は遅延誘発型能力を生成することもあるが、それらは誘発してからスタックに積まれる(rule 404.4 参照)。
408.2b 常在型能力は継続的に効果を発生させ、スタックに積まれない。
408.2c 状況起因効果(rule 420〔状況起因効果〕参照)は、プレイヤーが優先権を得るときに、ゲームの状況が条件を満たしているなら解決する。
408.2d 土地をプレイすることは特別な行動であり、その土地を場に出す(rule 212.6〔土地〕参照)。プレイヤーは自分のメイン・フェイズの間、優先権を持っていてスタックが空の場合に限り、土地をプレイすることができる。土地をプレイしたプレイヤーは、この特別な行動の後で再び優先権を得る。
408.2e マナ能力は即座に解決される。マナ能力が、マナを出すとともに別の効果を生み出した場合、両方とも即座に起こる。この能力のプレイ前に優先権を持っていたプレイヤーは、この解決後に優先権を持つ(rule 406〔マナ能力〕参照)。
408.2f 「[オブジェクト名]は赤である」のような特性定義能力は、単純に読んだ通りに処理される。(rule 405.2 も参照)
408.2g ゲームの行動はスタックを用いない。ゲームの行動は以下のとおり。アンタップ・ステップのフェイズ・イン/アウト(rule 302.1 参照)、アンタップ・ステップのアンタップ(rule 302.2 参照)、ドロー・ステップのカードを1枚引くこと(rule 304.1 参照)、攻撃クリーチャー指定ステップの最初に攻撃クリーチャーを指定すること(rule 308.1 参照)、ブロック・クリーチャー指定ステップの最初にブロック・クリーチャーを指定すること(rule 309.1 参照)、クリンナップ(rule 314 参照)、各フェイズの最後に発生するマナ・バーン(rule 300.3 参照)
408.2h 裏向きのパーマネントのコントローラーは、それを表向きにできる。これは特別な行動である(rule 504〔裏向きの呪文やパーマネント〕参照)。この行動を取れるのは、そのプレイヤーが優先権を持っているときに限られる。そのプレイヤーは、この特別な行動の後で再び優先権を得る。
408.2i 効果の中には、(効果発生時ではなく)後でプレイヤーに、継続的効果の終了や、遅延誘発型能力の中止などをさせる類のものがある。これは特別な行動である。継続的効果を終了させたり、遅延誘発型能力を中止させたりすることができるのは、その効果がそれを許している場合で、そのプレイヤーが優先権を持っているときに限られる。この行動を取ったプレイヤーは、この特別な行動の後に再び優先権を得る。
408.2j 常在型能力からの効果によって、その能力に関連する遅延誘発型能力を失わせる行動を取れることがある。その類の行動は特別な行動である。この行動を取れるのは、そのプレイヤーが優先権を持っているときに限られる。この行動を取ったプレイヤーは、この特別な行動の後に再び優先権を得る。
408.2k 待機 能力つきのカードを手札に持つプレイヤーは、そのカードをゲームから取り除くことができる。これは特別な行動である(rule 502〔キーワード能力〕参照)。手札にある待機 能力つきのカードをゲームから取り除くのは、そのプレイヤーが優先権を持っている間のみである。そのプレイヤーは、この特別な行動の後に再び優先権を得る。
409.1. 呪文や起動型能力は、以下に示した手順に従ってプレイされる。もし、呪文や能力のプレイ中のいずれかの時点で、以降のステップを続けることができなくなった場合、その呪文は不正にプレイされたことになる。ゲームはその呪文や能力がプレイされる前の瞬間まで戻る(rule 422〔不正な行動の処理〕参照)。宣言及び支払いは、行なった後で変更することはできない。
409.1a プレイヤーは、呪文や起動型能力をプレイすることを宣言する。宣言した呪文や能力はスタックに積まれ、打ち消されるか解決するまでそこに留まる。呪文の場合、物理的にスタックに積まれる。起動型能力の場合、カードはないけれども、その能力がスタックに積まれる。非公開の領域から能力がプレイされた場合、その能力を持つカードは公開される。呪文は、そのカードが持つ特性全てを持つ。スタックにある起動型能力は、その能力のテキストだけを持ち、他の特性は持たない。呪文や起動型能力のコントローラーは、その呪文や能力をプレイしたプレイヤーである。
409.1b 呪文や能力がモードを持つ(「一つを選ぶ ─/Choose one -」「[特定のプレイヤー]は一つを選ぶ ─ /[特定のプレイヤー] chooses one -」という語句を使っている)場合、プレイヤーは選択したモードを宣言する。呪文にカードを連繋する意図がある場合、そのカードを手札から公開する。呪文や能力が({X}で示される)可変マナ・コストやその他の可変コストを持つ場合、プレイヤーはモード選択時にその変数の値を宣言する。呪文や能力が代替コスト、追加コスト、(キッカー・コストやバイバック・コスト、召集などの)その他の特殊なコストを持つ場合、そのプレイヤーはそれらのコストのすべて、あるいは一部を支払う意図を宣言する(rule 409.1f 参照)。単一の呪文に対して、複数の代替方法でプレイしたり、あるいは複数の代替コストを支払ったりすることはできない。それ以前の選択(呪文を墓地からフラッシュバックでプレイする、変異 クリーチャーを裏向きにプレイするという選択など)は、この選択を行う時の制約となりうる。
409.1c 呪文や能力が対象を取る場合、プレイヤーはまず(可変個の対象をとる呪文や能力の場合)対象をいくつ選ぶのかを宣言し、次に対象にとるものを宣言する。プレイヤーが呪文や能力に必要な数の適正な対象を選ばなければ、その呪文や能力をプレイすることはできない。同じ「target」の語で示される中で(日本語版では、「[性質]N個(または[性質]N個)」としてまとめられている中で)、同じ対象を複数回選ぶことはできない。複数の対象群がある場合、同一のオブジェクト、プレイヤー、あるいは領域を(条件を満たしているなら)それぞれ1回ずつ対象に取ることができる。
例:「クリーチャー2体を対象とし、それらをタップする/Tap two target creatures.」という能力があった場合、同じクリーチャーを2回対象にすることはできず、適正な対象2つが必要である。一方、「アーティファクト1つと土地1つを対象とし、それらを破壊する/Destroy target artifact and target land.」という能力があった場合、アーティファクト・土地1つを2回対象にすることができる。
409.1d 呪文や能力が、代替コスト、追加コスト、(バイバック・コストやキッカー・コストなどの)特殊コストが支払われたとき、あるいはそのコントローラーが選んだ場合にのみ複数の対象をとる場合、その種のコストを支払う意図、あるいはそのモードを選ぶ意図を宣言した場合にのみその対象を選ぶ。宣言していないなら、その呪文や能力はその対象を取らないものとしてプレイされる。
409.1e 呪文や能力が、異なった方法で複数の対象に影響する場合、プレイヤーはどれにどう影響を与えるかを宣言する。呪文や能力が、プレイヤーに効果(ダメージやカウンターなど)を複数のオブジェクトやプレイヤーに分割させたり割り振って置かせたりするとき、プレイヤーはどう分割するかを宣言する。その各個のオブジェクトやプレイヤーに、最低限(ダメージやカウンターなどを)1つは割り振らなければならない。
409.1f プレイヤーはその呪文や能力の総コストを決定する。通常、(呪文の場合)そのマナ・コストだけ、(能力の場合)その起動コストだけである。テキストに追加コストや代替コストが書いてあるカードや、支払うべきコストを増減させる効果も存在する。コストには、マナの支払い、パーマネントのタップ、パーマネントの生け贄、手札のカードを捨てる、などが含まれる。総コストとは、マナ・コスト(または起動コスト、代替コスト)に、すべてのコストの増減を加味したものである。総コストが決定された時点で、それは「固定」される。この後で効果が総コストを変更しようとしても、何の効果もない。
409.1g その後、総コストの中にマナの支払いが含まれる場合、そのプレイヤーはマナ能力をプレイする機会(rule 411〔マナ能力のプレイ〕参照)を得る。マナ能力はコストを支払いはじめる前にプレイしなければならない。
409.1h プレイヤーは全てのコストを任意の順に支払う。一部分だけ支払うことは許されない。
例:マナ・コストが{3}{B}でクリーチャーを1体生け贄に捧げる 追加コストを持つ、《死の爆弾/Death Bomb》をプレイするに際して、あなたの黒の呪文をプレイするためのコストを{1}減らす効果を持つ《雷景学院の使い魔/Thunderscape Familiar》をこの追加コストとして生け贄に捧げた場合、呪文の総コストは実際に支払いが行われる前に「固定」されているので、《死の爆弾》のコストは{3}{B}になることはなく、{2}{B}となったままである。
409.1i rule 409.1a から rule 409.1h で解説されたステップが完了したら、その呪文や能力は「プレイされた」ことになる。呪文や能力がプレイされたこと、あるいはスタックに置かれたことによる誘発型能力は、この時点で誘発する。その呪文や能力のコントローラーがプレイ前に優先権を持っていた場合、そのプレイヤーは優先権を得る。
409.2. 呪文や能力の中には、プレイするときに通常そのコントローラーが行なうこと、つまりモードや対象の選択、呪文や能力がその対象にどう影響するかなどを、その呪文や能力のコントローラーの対戦相手に行なうように指定するものがある。こういった場合、対戦相手は呪文や能力のコントローラーが通常行なうのと同じタイミングでその選択を行なう。
409.2a 選択を行なえる対戦相手が複数いる場合、その呪文や能力のコントローラーがどちらの対戦相手に選択を行わせるかを決める。
409.2b その呪文や能力がプレイされるときに全てのプレイヤーに同時に何らかの行動をさせる場合、呪文(や能力)のコントローラーが先に行い、その後でそのプレイヤーの対戦相手が行なう。これは rule 103.4 の例外である。
409.3. コストを変える呪文や能力をプレイしても、既にスタックにある呪文や能力には影響しない。
409.4. プレイヤーは、効果によって禁止されている呪文や起動型能力のプレイを開始することはできない。
410.1. これらはプレイされるわけではないので、誘発型能力は、呪文や能力がプレイできない時でも誘発し、また能力をプレイすることを妨げるような効果にも影響されない。
410.2. ゲーム上のイベントやゲームの状況が誘発型能力の誘発 イベントと合致するたびに、その能力は誘発する。フェイズやステップの開始時に、「開始時/at the beginning of〜」に誘発するすべての能力が誘発する。能力は、それが誘発したときにその能力の発生源をコントロールしていたプレイヤーによってコントロールされる。能力は、その能力のテキストだけを持ち、他の特性は持たない。能力は誘発した時には何もしないが、プレイヤーが優先権を得る際に、自動的にスタックに積まれる。
410.3. プレイヤーが最後に優先権を得たときよりも後で複数の能力が誘発した場合、APNAP順で、プレイヤーは自分のコントロールする能力を自分の選んだ順序でスタックに積む(rule 103.4 参照)。その後、プレイヤーは再度、発生しなくなるまで状況起因効果をチェックし、解決する。その後、この過程で誘発した能力がスタックに積まれる。この過程を、新しい状況起因効果の発生も能力の誘発もしなくなるまで繰り返す。その後、該当するプレイヤーが優先権を得る。
410.4. 誘発型能力がスタックに積まれたとき、その能力のコントローラーは、起動型能力のルール(rule 409 参照)に従って必要な選択をすべて行なう。適正な選択ができない場合(あるいはルールや他の継続的効果によって能力が不正になった場合)、能力は単にスタックから取り除かれる。
410.5. 誘発型能力の効果のなかには、行動をするかしないかを選択できる(「あなたのアップキープ開始時に、あなたはカードを1枚引いてもよい」というように、「してもよい/may」が含まれる)ものがある。コントローラーがその能力の選択をする意図があるかどうかに関係なく、その能力は誘発したときにスタックに積まれる。選択は能力の解決時に行なう。同様に、何かの条件を満たさ「ない限り/unless」発生しない効果を持つ誘発型能力や、プレイヤーが何かをすることを選ぶ効果を持つ誘発型能力は、通常どおりスタックに積まれる。能力の「ない限り/unless」の部分は能力の解決時に処理される。
410.6. 能力は、誘発 イベントが1回発生するごとに1回だけ誘発する。しかし、あるイベントが複数回発生した場合、繰り返し誘発する。rule 410.9 も参照。
例:誘発条件が「土地が場から墓地に置かれるたび…」である能力を持つパーマネントがあるとする。誰かが、すべての土地を破壊する呪文をプレイしたとき、この能力は、その呪文の解決中に、墓地に置かれた土地1つにつき1回誘発する。
410.7. 能力は、その誘発条件が実際に起きた場合にのみ誘発する。軽減されたり置換されたりしたイベントによっては誘発しない。
例:ダメージが与えられたことで誘発する能力は、ダメージがすべて軽減された場合には誘発しない。
410.8. 誘発 イベントのすぐ後に記される条件付きの誘発型能力(例えば、「[誘発 イベント]とき/たび/時に、[条件]場合、[効果]する/When/Whenever/At [誘発 イベント], if [条件], [効果]」)は、誘発条件の一部として条件が真かどうかをチェックする。条件が真でないなら、能力は誘発しない。また、解決時にも再び条件をチェックし、条件が真でなくなっていた場合、能力は何もしない。これは、対象が適正かどうかのチェックと同じことである。このルールは、テキスト内の他のところに「場合/if」条件がある誘発型能力には適用しないことに注意。このルールはまた「"if"節のルール」とも呼ばれる。
410.9. 戦闘中、クリーチャーがブロックしたりブロックされたりした時に誘発する能力がある(rule 306 から rule 311、及び rule 500〔適正な攻撃とブロック〕参照)。これらの能力が1回だけ誘発するのか繰り返し誘発するのかは、その表記による。
410.9a 「[このクリーチャー]がブロックするたび/Whenever [このクリーチャー] blocks」と書いてある能力は、複数のクリーチャーをブロックした場合でも、そのクリーチャーに対しては、1回の戦闘につき1回だけ、ブロック・クリーチャーとして指定されたときにのみ誘発する。
410.9b 「[このクリーチャー]がクリーチャーをブロックするたび/Whenever [このクリーチャー] blocks a creature」と書いてある能力は、指定されたクリーチャーがブロックした攻撃クリーチャー1体につき1回、ブロック・クリーチャーとして指定されたときに誘発する。
410.9c 「[このクリーチャー]がブロックされるたび/Whenever [このクリーチャー] becomes blocked」と書いてある能力は、複数のクリーチャーによってブロックされた場合でも、そのクリーチャーに対しては、1回の戦闘につき1回だけ、ブロック・クリーチャーが指定されたときに誘発する。また、効果によってその攻撃クリーチャーがブロックされたり、ブロック・クリーチャーが割り当てられたりした場合にも誘発するが、それはその戦闘においてそのクリーチャーがまだブロックされていない場合に限る。
410.9d 「クリーチャー1体が[このクリーチャー]をブロックするたび/Whenever a creature blocks [このクリーチャー]」と書いてある能力の場合、指定されたクリーチャーをブロックしたクリーチャー1体につき1回誘発する。この戦闘においてすでにブロックされているクリーチャーをブロックした場合にも誘発するが、クリーチャーによってではなく、何らかの効果によってブロックされた場合にはこの能力は誘発しない。
410.9e 特定の数のクリーチャーがブロックした、あるいはその数のクリーチャーによってブロックされたときに誘発する能力の場合、その能力はクリーチャーがその数のクリーチャーによってブロックする/されるようなブロックが宣言された場合にだけ誘発する。ブロック・クリーチャーを加える/取り除く効果によっても、この能力は誘発する。これはクリーチャーがある数以上のクリーチャーによってブロックする/されることによって誘発する能力にも適用する。
410.10. オブジェクトが領域を移動することを含む誘発条件は「領域変更誘発」と呼ばれる。領域変更誘発を持つ能力の多くは、領域が変わった後でそのオブジェクトに何かしようとする。解決中に、これらの能力はオブジェクトを移動先の領域で探す。その指定された領域でそのオブジェクトが見つからなかった場合、そのオブジェクトに対しての効果は失敗する。能力によるオブジェクトの捜索は、オブジェクトがその領域に入らなかった場合や、能力の解決よりも前に指定された領域を離れた場合、あるいはその移動先の領域がライブラリや対戦相手の手札などで非公開な場合に失敗する(このルールは、能力の解決よりも前に、オブジェクトが領域を離れてまた戻ってきた場合でも適用される)。領域変更誘発の最も一般的な例には、場に出た時に誘発する能力と場を離れた時に誘発する能力とがある。
410.10a 場に出た時の能力は、パーマネントが場 領域に入った時に誘発する。これらは、「[このオブジェクト]が場に出たとき、…/When [このオブジェクト] comes into play,」、あるいは「[何か]が場に出るたび、…/Whenever a [何か] comes into play,」と書かれている。パーマネントを場に出す イベントのたびに、場に出ているすべてのパーマネント(今出たものも含む)は、そのイベントにあった、場に出た時の誘発条件をチェックする。
410.10b パーマネントの特性を変える継続的効果は、パーマネントが場に出る瞬間にすぐ適用され(その前にはそうしない)、そのパーマネントが本来の特性で場に出ることはない。継続的効果はパーマネントが場に出る前には適用しない(rule 410.10e 参照)
例:「すべての土地はクリーチャーである」という効果の影響下で、土地 カードがプレイされた場合、効果は土地 カードを場に出た瞬間にクリーチャーに変えるため、それはクリーチャーが場に出たときに誘発する能力が誘発する。逆に、「すべてのクリーチャーはすべての能力を失う」という効果の影響下で、場に出たときの誘発型能力を持つクリーチャーが場に出た場合、効果は場に出た瞬間にその能力を失わせるため、場に出たときの誘発型能力は誘発しない。
410.10c 場を離れた時の能力は、指定されたパーマネントが場 領域を離れた時に誘発する。これらは、「[このオブジェクト]が場を離れたとき、…/When [このオブジェクト] leaves play,」、あるいは「[何か]が場から墓地へ置かれるたび、…/Whenever a [何か] is put into a graveyard from play,」と書かれている。このカードが場を離れた時に何かしようとする能力は、それが最初に行った領域のみをチェックする。
410.10d 通常、そのイベントが誘発条件を満たしたかどうかのチェックを行なうのは、イベントの直後に存在するオブジェクトについてである。その時点で存在する継続的効果は、その誘発条件が何であるか、また、そのイベントに関連するオブジェクトが何であるかを決定するために用いられる。しかし、誘発型能力の中には、その能力を持つオブジェクトが場を離れたり、公開されなくなったり、当該プレイヤーによってコントロールされていなくなったりするものがある。それらの能力が誘発するかどうかを判断するために、ゲームは「過去の状態を見る」必要がある。オブジェクトが場を離れたとき、あるいはオブジェクトが公開の領域から非公開の領域に移動したとき、あるいはオブジェクトのコントロールを失ったときに誘発する能力については、そのオブジェクトが存在するものとして、また、そのイベントの直後ではなく直前の状態を見て、誘発する。
例:2体のクリーチャーと、「クリーチャーが場から墓地へ置かれるたび、あなたは1点のライフを得る」という能力を持ったアーティファクトが場にあるとする。誰かが、すべてのアーティファクト、クリーチャー、エンチャントを破壊する呪文をプレイした。このアーティファクトは、クリーチャーと同時に墓地に行くが、その能力は2回誘発する。
「場を離れた」ことによる誘発は、誘発条件がそのパーマネントの行き先をチェックしない場合でも領域変更誘発である。場を離れたカードに対して、その能力が何かしようとする場合、場を離れて最初に行った領域のみを探す。
410.10e いくつかのパーマネントは、「[このパーマネント]は、…状態で場に出る/[このパーマネント] comes into play with」「[このパーマネント]が場に出るに際し…/As [このパーマネント] comes into play」、「[このパーマネント]は…として場に出る/[このパーマネント] comes into play as」、「[このパーマネント]はタップ状態で場に出る/[このパーマネント] comes into play tapped.」と書かれたテキストを持つ。これらのテキストは常在型能力であり、誘発型能力ではない。この効果は、そのパーマネントを場に出す イベントの一部として発生する。
410.10f オーラの中には、エンチャントしているパーマネントが場を離れたときに誘発する誘発型能力をもつものがある。これらの誘発型能力は、エンチャントされていたパーマネントが移動する先の領域まで追跡するだけでなく、そのオーラがオーナーの墓地に行くことも追跡する。
410.11. 誘発型能力の中には、イベントの発生したときに誘発するものの他に、プレイヤーがあるタイプのパーマネントをコントロールしていない場合に誘発するものなど、ゲームの状況によって誘発するものがある。それらの能力はゲームの状況がその条件を満たしたら即座に誘発し、次の機会にはスタックに積まれる。それらのことを状況誘発型能力と呼ぶ(状況誘発型能力は状況起因効果と同じではない)。それらの能力が解決されるか打ち消されるまでは再び誘発することはないが、その解決あるいは打ち消しの後で、その能力を持つオブジェクトがまだその領域に残っていて、かつゲームの状況が誘発条件を満たしていた場合には、その能力は再び誘発する。
例:パーマネントの能力に「あなたの手札にカードが1枚もないたび、カードを1枚引く」とあったとする。コントローラーがその最後のカードをプレイした場合、この能力は一度誘発し、解決されるまでは再び誘発することはない。そのコントローラーが「手札を全て捨てる。その後で、同じ枚数だけカードを引く」という呪文をプレイした場合、そのプレイヤーの手札は一時的に0枚になるので、この能力は誘発する。
411.1. マナ能力をプレイするとき、プレイヤーは、rule 409.1b から rule 409.1i の記述に従ってプレイすることを宣言し、起動コストを支払う。能力は宣言の直後に解決し、スタックには積まれない(rule 408.2e 参照)。
411.2. プレイヤーは、優先権を持っている時、あるいは呪文や起動型能力のプレイ中にマナの支払いが必要になった時にはいつでも起動型マナ能力をプレイすることができる。また、呪文や能力をプレイしている途中や解決している途中であっても、何らかのルールや効果によってマナを支払う必要がある時なら、いつでも起動型マナ能力をプレイすることができる。
411.3. 誘発型マナ能力は、起動型マナ能力がプレイされた時に誘発する。これらの能力は、それを誘発させたマナ能力の直後に、優先権を得ることを待たずに解決される。起動型能力や誘発型能力が、マナとそれ以外の効果とを共に生む場合、マナと別の効果とは同時に解決する。
例:「プレイヤーがマナを引き出すために土地をタップするたび、そのプレイヤーのマナ・プールに、同じタイプのマナ1点を加える」というエンチャントがあるとする。プレイヤーが、呪文をプレイする間に土地をタップしてマナを出した場合、追加のマナは直ちにマナ・プールに加えられ、そのマナを呪文のコストの支払いに使うことができる。
411.3a 誘発型マナ能力が「同じタイプの」あるいは「同じ色の」マナをプレイヤーのマナ・プールに加えるといった場合、それを誘発させたマナ能力が複数のタイプまたは色のマナを生み出していたならば、そのマナ・プールの持ち主は、その誘発型能力がどちらのマナを生み出すかを選ぶ。
412.1. 常在型能力は、継続的効果、あるいは軽減・置換効果を発生する。これらの効果は、常在型能力を持つオブジェクトがその領域にある間持続する。
412.2. オーラおよび装備品の多くは、それがつけられているパーマネントを修整する常在型能力を持つが、そのパーマネントを対象に取らない。オーラや装備品が別のパーマネントに移された場合、その能力は元のパーマネントへの適用を止め、新しいパーマネントを修整するようになる。
412.3. ある種の常在型能力は、呪文がスタックにある間に適用される。それらは多くの場合、呪文を打ち消すことに関連するものである。また、「[このオブジェクト]をプレイするための追加コストとして、[コスト]を支払う」「[このオブジェクト]のマナ・コストを支払うのではなく、[コスト]を支払ってもよい」「あなたは[このオブジェクト]をマナ・コストを支払わずにプレイしてもよい」といった能力も、そのカードが呪文としてスタックにある間に働く。
412.4. ある種の常在型能力は、カードがそれをプレイできる領域(通常は手札)にある間に適用される。それは「あなたは[この呪文]をプレイしてもよい/You may play [この呪文]」「あなたは[この呪文]をプレイできない/You can't play [この呪文]」「[この呪文]は …… にのみプレイできる/Play [この呪文] only ...」と書かれているものに限られる。
412.5. 呪文やその他の種類の能力とは異なり、常在型能力は、効果がどう適用されるか決定する目的でオブジェクトの最後の情報を使用できない。
413.1. 全てのプレイヤーが続けてパスしたとき、スタックの一番上に積まれているオブジェクト(呪文、能力、戦闘ダメージ)が解決される(rule 416〔効果〕参照)。
413.2. 呪文や能力の解決は以下の順序で処理される複数の段階からなる。
413.2a 呪文や能力が対象を指定する場合、その対象がまだ適正かどうかチェックする。場を離れた、あるいは呪文や能力が指定している領域を離れた対象は不正な対象となる。また、呪文や能力がプレイされた後で対象の特性が変わったり、効果によって呪文の文章が変わったりした場合、対象が不正になることがある。呪文や能力の文中の「target」という語全てについて(日本語版では、「[性質]N個(または[性質]N個)」としてまとめられているグループ全てについて)、全ての対象が不正になっていた場合、呪文や能力は打ち消される。呪文や能力が打ち消されなかった場合、通常通り解決するが、影響を受けるのはその時点でまだ適正な対象のみである。もし対象が不正ならば、呪文や能力はその対象に何らの影響を及ぼすことも、また及ぼさせることもできない。呪文や能力が、すでに不正になっている対象についての情報を必要とする場合、その不正な対象の現在の、あるいは最後の情報を用いる。
例:《オーラの旋風/Aura Blast》は「エンチャント1つを対象とし、それを破壊する。カードを1枚引く。」という白のインスタントである。この対象になったエンチャントが《オーラの旋風》の解決中に適正な対象でなかった場合(例えば、プロテクション(白)を得たり、場を離れていたりした場合)、《オーラの旋風》は打ち消され、そのコントローラーはカードを引くことができない。
例:《疫病の胞子/Plague Spores》は「黒でないクリーチャー1体と土地1つを対象とし、それらを破壊する。それらは再生できない。」という効果を持つ。クリーチャー化した土地1つを、黒でないクリーチャーとしても土地としても対象にした場合、その後でそのクリーチャー化した土地が黒になったとしても、《疫病の胞子》は「土地1つ」を対象とする部分について適正な対象をとるので、打ち消されることはない。
413.2b 呪文や能力のコントローラーは、書かれた順序で指示に従う。但し、置換効果によってこれらの行動が変更され、以前の指示の意味が変わることもある。場合によっては、カードのテキストで後のほうに書かれた文章が、前の文章の意味を修整することがある(例えば、「クリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。それは再生できない」あるいは「呪文1つを対象とする。それを打ち消す。そうした場合、それをオーナーの墓地に置く代わりに、オーナーのライブラリーの一番上に置く」)。これらの場合を考えずに逐語的に効果を適用したりしてはならない。カード全体を読み、文法に従ってテキストを解釈すること。
413.2c 効果の中で、呪文をプレイする時に宣言していない選択が必要とされる場合、プレイヤーは効果の処理の間にこれらを宣言する。プレイヤーは、不正な選択肢、または不可能な選択肢を選ぶことはできない(例えば、選択可能な行動を行なうのに必要な条件をすべて満たしていない場合には、その行動を行なわないことによって被る影響を回避することはできない)。カードを引くことは、仮にそのプレイヤーのライブラリーにカードが1枚もなくても不可能な行動としては扱われない。
例:「あなたはクリーチャー1体を生け贄に捧げてもよい。そうしないなら、あなたは4点のライフを失う」という指示がされた呪文があるとする。クリーチャーをコントロールしていないプレイヤーは、生け贄に捧げるほうの選択肢を選ぶことはできない。
413.2d 呪文や能力の中には、複数の段落や条項によって、複数の段階に分かれているものもある。この場合、APNAP順に従って1つめの行動について必要な選択を行ない、そして1つめの行動が同時に実行される。その後で、APNAP順に従って2つめの行動について必要な選択を行ない、そして2つめの行動が同時に実行される。以下同様に繰り返す。rule 103.4 参照。
413.2e プレイヤーがマナを支払ってもよいという選択肢を含む効果の場合、そのプレイヤーはその行動を行なう前にマナ能力をプレイしてもよい。解決中に呪文をプレイできるという効果の場合、プレイヤーは呪文をスタックの一番上に置き、rule 409.1a-i に従ってプレイする(ただし、プレイの完了後にプレイヤーが優先権を得ることはない)。その後、現在解決中の呪文や能力を解決する。ここに、これと同様に他の呪文をプレイすることが含まれることもありうる。通常、それ以外の呪文や能力は解決中にはプレイできない。
413.2f ゲームの情報(場に出ているクリーチャーの数など)を必要とする場合、その値はプレイヤーがその処理を実行する時に一度だけ決定される。その特定のパーマネントが場にあるか、もしくはそのカードが指示された領域に存在する場合、その現在の情報を使う。そうでないなら、そのオブジェクトがそのあった領域を離れる直前に持っていた情報を使う。この例外は、効果が複数のクリーチャーまたはプレイヤーにダメージを割り振って与える場合の量と割り振りは呪文や能力がスタックに積まれる際に決定される(rule 402.6 参照)ということと、常在型能力は最後の情報を使うことができない(rule 412.5 参照)ということである。オブジェクトが何かすると書いてある能力の場合、実際にそれをするのはその存在する(または直前に存在した)オブジェクトであり、能力ではない。
413.2g オブジェクトの特性を調べる効果は、そのオブジェクトの指定された特性の値だけをチェックし、オブジェクトが他に持っているかもしれない、関連する特性の値はチェックしない。
例:白でも黒でもあるクリーチャーは、「黒のクリーチャーをすべて破壊する」という効果で破壊されるが、「黒でないクリーチャーをすべて破壊する」という効果では破壊されない。
413.2h 呪文の解決の最終段階として、呪文は、その呪文のコントローラーのコントロール下でスタックから場に出る(パーマネントの場合)かスタックからオーナーの墓地に置かれる(インスタントとソーサリーの場合)。
413.2i ある効果の結果が「引き分け/in a tie」で終わる可能性がある場合には、その効果を発生させた呪文や能力のテキストにその場合にどうするのかが記されている。マジックにおいて、「引き分け」の場合どうするかという一般則はない。
414.1. 呪文を打ち消すということは、その呪文をスタックからオーナーの墓地に動かすということである。能力を打ち消すということは、その能力をスタックから取り除くということである。打ち消された呪文や能力は解決されず、効果は一切発生しない。
414.2. 打ち消された呪文や能力をプレイしたプレイヤーは、支払ったコストの「払い戻し」を受けることはできない。
415.1. インスタント 呪文やソーサリー 呪文は、その文章中に「[何か]を対象とする/target [何か]」という表記がある場合、対象をとる。(インスタントやソーサリーの文章内にある起動型能力や誘発型能力が「対象」の語を用いていたとしたら、その呪文ではなく能力が対象をとる)。この[何か]とは、オブジェクト、プレイヤー、領域を示す表現でなければならない。
例:「クリーチャー1体を対象とする。このカードをサイクリングしたとき、それはターン終了時まで-1/-1の修整を受ける」という能力を持つソーサリー・カードがあった場合、それはその誘発型能力が対象をとることを意味する。呪文が対象をとることを直接意味するわけではない。
415.2. 起動型能力、誘発型能力は、その文章中に「[何か]を対象とする/target [何か]」という表記がある場合、対象をとる。この[何か]とは、オブジェクト、プレイヤー、領域を示す表現でなければならない。
415.3. オーラ 呪文は、必ず、エンチャントしようとするパーマネントまたはプレイヤーを対象にとる。パーマネントになった後は、もはや対象を取らない。オーラ・パーマネントの起動型能力や誘発型能力は対象を取ることがあり得る。
装備品 呪文や装備品 パーマネントは対象を取っていない。装備 能力が対象を取る。rule 502.33〔装備〕参照。装備品 パーマネントの起動型能力や誘発型能力は対象を取ることがあり得る。
415.4. 0個以上の対象を取れる呪文や能力は、1個以上の対象を選んでいるときのみ対象を取る。0個の対象を取るとは言わない。
415.5. 呪文や能力の対象としては、通常、パーマネントだけが適正である。この例外は、その呪文や能力が他の領域にあるオブジェクトやプレイヤーを対象にできると明記されているときと、呪文や能力のように場に存在することがありえないオブジェクトを対象とする場合だけである。
415.6. スタックにある呪文や能力は、それ自身の対象としては不正である。
415.7a 呪文や能力の対象は、他の適正な対象にだけ変更できる。対象を変更できない場合、元の対象が変更されないままになる。
415.7b モードを持つ 呪文や能力は、モードごとに異なった対象の取り方をする場合がある。呪文や能力の対象を変更しても、そのモードは変更されない。
416.1. 呪文や能力が解決されたとき、それは1つまたは複数の単発的効果または継続的効果を発生させる。常在型能力は、1つまたは複数の継続的効果を発生させる。効果の中には、置換・軽減効果が含まれる。また、このほかに、呪文や能力によってのではなくゲームの特定のルールによって発生する、状況起因効果が存在する。
416.2. 効果はパーマネントにのみ影響する。但し、効果の文章にそうでないと書いてある場合や、明らかに他の領域に存在するオブジェクトにしか適用できない場合を除く。
例:すべての土地をクリーチャーに変える効果は、プレイヤーの墓地にある土地 カードには影響を及ぼさない。
なお、呪文をプレイするためのコストを増減する効果は、スタックにある呪文にだけ影響を及ぼす。それは、プレイ中の呪文はスタックにだけ存在するからである。
416.3. 効果が実現不可能なことを要求している場合、可能な部分だけを実行する。
例:プレイヤーが1枚だけ手札を持っている場合、「手札を2枚捨てる」という効果はその持っているカードだけを捨てさせる。ライブラリーからカードを(引くのではなく)移す効果は、可能な枚数だけ移す。
417.1. 単発的効果は、何かを1回だけ起こし、すぐに終わる。例としては、ダメージを与える、パーマネントを破壊する、オブジェクトを領域間で移動させる、などがある。
417.2. 単発的効果の中には、解決時ではなく、ゲームが先に進んでから(通常はある特定の時点で)何かするよう、プレイヤーに指示するものがある。それらの効果は、実際には、誘発を待つ新しい能力を生成することになる(rule 404.4 参照)。
418.1. 継続的効果は一定のあるいは不定の期間、オブジェクトの特性を変更したり、ゲームのルールを変更したりする。継続的効果は、呪文や能力の解決、あるいはオブジェクトの常在型能力によって生成される。
418.2. パーマネントの特性を変える継続的効果は、そのパーマネントが場に入ると同時に特性を変える。パーマネントが場に出るのを待ち、それから変えるのではない。この類の効果はパーマネントが場に出る時点で適用されるので、パーマネントが場に出たときの能力が誘発するかどうかを決定するよりも前に適用される。
418.3a 呪文や能力の解決によって生成された継続的効果は、それを生成した呪文や能力に述べられた期間(「ターン終了時まで」など)継続する。期間が明記されていない場合は、ゲーム終了時まで継続する。
418.3b 呪文、起動型能力、誘発型能力による、オブジェクトの特性またはそのコントローラーを変更する継続的効果は、その継続的効果が発生した時点で影響を受けるオブジェクトが決定され、それ以降には変更されない。これは、常在型能力からの継続的効果とは異なることに注意せよ。オブジェクトの特性またはそのコントローラーを変更しない継続的効果は、ゲームのルールを変更するので、その継続的効果が発生した時点で影響を受けなかったオブジェクトにも影響を及ぼす。
例:「すべての白のクリーチャーはターン終了時まで+1/+1の修整を受ける」という効果は、その呪文または能力が解決した時点で白であれば、すべてのパーマネントに修整を与える。たとえ後で色が変わっても、その修整を失うことはない。また、その後で場に出たり白に変わったりしたクリーチャーには影響を与えない。
例:「クリーチャーがこのターンに与えるダメージを全て軽減する」という効果は、オブジェクトの特性を変更しないので、ゲームのルールを変更している。つまり、この効果は、この継続的効果が発生した時点で場に出ていなかったクリーチャーや、このターンのより後の時点でクリーチャーになったパーマネントによるダメージにも影響を及ぼす。
418.3c 呪文や能力によって、変数を含む継続的効果が発生した場合、その変数の値は解決時にのみ定められ、その後で変化することはない(rule 413.2f 参照)。
418.3d 起動型能力または誘発型能力によって発生する効果の中には、「〜する限り/as long as」という表記で限定される持続時間を持つものがある。この「〜する限り」というフレーズで示される期間が、起動型能力が宣言され、あるいは誘発型能力がスタックに積まれ終わってからその効果が最初に適用されるようになるまでの間に終了していた場合、その効果は何もしない。開始してすぐまた停止する、ということもないし、永続するということもない。
例:《内骨格器/Endoskeleton》は、「{2}, {Tap}:クリーチャー1体を対象とする。《内骨格器》がタップ状態にあるかぎり、それは+0/+3の修整を受ける」という起動型能力を持つアーティファクトである。この能力をプレイした後、この能力が解決されるよりも先に《内骨格器》がアンタップ状態になった場合、持続期間、つまり「タップ状態にあるかぎり」という期間は効果が発生する前に終わっているので、効果は発生しない。
418.4a 常在型能力によって生み出される継続的効果は「固定」されない。そのテキストで示されるもの全てに対して常に適用する。
418.4b 効果は、それを生み出すパーマネントが場にある、またはそれを生み出すオブジェクトがその該当する領域にある間、常に適用する。
例:「すべての白のクリーチャーは+1/+1の修整を受ける」という常在型能力を持つパーマネントは、場にある白のクリーチャーのそれぞれに+1/+1を継続的に与える効果を生む。クリーチャーが白になったら、このボーナスを得、白でなくなったらボーナスを失う。通常1/1の白クリーチャーを生むクリーチャー 呪文は、代わりに2/2の白クリーチャーを生む。1/1のクリーチャーが場に出て、それから2/2になるのではない。
418.5a オブジェクトの特性値は、そのオブジェクトそのものの特性値から始まり、それから以下の種類順に継続的効果を適用して求める。(1)コピー 効果(rule 503〔オブジェクトのコピー〕参照)、(2)コントロール変更効果、(3)文章変更効果、(4)タイプ(および特殊タイプ、サブタイプ)変更効果、(5)一般の継続的効果、(6)パワーやタフネスを変更する継続的効果。
それぞれの種類別において、まず特性定義能力による効果を最初に適用し、それから他の効果をタイムスタンプ順に適用する。第6種(パワーやタフネスの変更)に関しては、以下の種類細別の順に適用する。(6a)特性定義能力の効果、(6b)一般の効果、(6c)カウンターの効果、(6d)パワーやタフネスを特定の値にするのではなく、修整を加える類いの常在型能力の効果、(6e)パワーとタフネスを入れ替える効果。各種類細別の中では、効果はタイムスタンプ順に適用される。種類別、種類細別の中での効果の適用順は、依存関係によって変更される場合がある。タイムスタンプ順と依存のルール(rule 418.5b 〜 418.5g)参照。
例:《十字軍/Crusade》は「白のクリーチャーは+1/+1の修整を得る」というエンチャントである。《十字軍》と2/2の黒のクリーチャーが場に出ている時に、その黒のクリーチャーを白にする効果(第5種)が存在したとすると、《十字軍》の効果(第6d種)を受けて3/3になる。この後で、このクリーチャーの色が赤になった(第5種)場合、《十字軍》の効果は適用されなくなり、2/2に戻る。
例:2/2のクリーチャー 《灰色オーガ/Gray Ogre》が場に出ている。これに+1/+1カウンターが置かれた(第6c種)場合、3/3になる。さらに「クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+4/+4の修整を得る」という効果(第6b種)が適用されれば、7/7になる。「あなたがコントロールしているクリーチャーは+0/+2の修整を得る」というエンチャント(この効果は第6d種)が場に出たら、そのクリーチャーは7/9になる。ここで、「クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで0/1になる」という効果(第6b種)が適用されたら、このクリーチャーは、(0/1→カウンターの+1/+1→エンチャントの+0/+2→)1/4になる。
418.5b 効果が複数の種類別に分類できる場合、そのそれぞれの部分がそれぞれの種類別として処理される。いずれかの種類別において効果が適用されはじめた場合、この効果を生み出している能力が途中で失われたとしても、その能力からの効果はそれぞれの種類別で適用される。
例:「野生の雑種犬は+1/+1の修整を受け、あなたが選んだ色1色になる」という効果は、パワー・タフネス変更効果でもあり、また「その他」の効果でもある。従って、「あなたが選んだ色1色になる」という部分が第5種として処理され、その後で「+1/+1の修整を受ける」部分が第6種として処理されることになる。
例:《手綱取り/Grab the Reins》は「クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、あなたはそれのコントロールを得るとともに、それは速攻を持つ。」という効果を持つ。これはコントロール変更効果であり、「その他」の効果である。従って、「あなたはそれのコントロールを得る」部分は第2種、「それは速攻を持つ」は第5種として処理される。
例:「クリーチャーでないすべてのアーティファクトはターン終了時まで2/2のアーティファクト・クリーチャーになる」という効果は、タイプ変更効果でもあり、パワー・タフネス変更効果でもある。タイプ変更効果は、クリーチャーでないすべてのアーティファクトに対して第4種で適用され、パワー・タフネス変更効果はそれらのパーマネントに対して第6種で適用される。この時点までに、そのパーマネントはクリーチャーでないアーティファクトではなくなっているが、予定通り適用される。
例:《安息の無い墓、スヴォグトース/Svogthos, the Restless Tomb》が場に出ていて、これに「土地1つを対象とする。それはターン終了時まで3/3のクリーチャーになる。それは土地でもある」という効果(第4種および第6b種)が適用されたとする。この後、「クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+1/+1の修整を受ける」という効果(第6b種)を適用すると、4/4の土地・クリーチャーになる。この後、《安息の無い墓、スヴォグトース》の能力(「ターン終了時まで、《安息の無い墓、スヴォグトース》は「このクリーチャーのパワーとタフネスは、それぞれあなたの墓地にあるクリーチャー・カードの枚数に等しい」の能力を持つ黒であり緑である植物・ゾンビ・クリーチャーになる。それは土地でもある。」(第4種、第5種、第6b種))を起動した場合、あなたの墓地にクリーチャー・カードが10枚あったとすると、《安息の無い墓、スヴォグトース》のパワーとタフネスは10/10になり、その後墓地の枚数が変わるにつれて変動する。この後、もう一度最初の効果が適用されたとしたら、再び3/3の土地・クリーチャーになることになる。
418.5c ある効果が、(a)別の効果と同じ種類別(存在するなら種類細別も)であり(rule 418.5a 参照)、(b)別の効果を適用することにより、そのテキストが変わったり、効果が発生するかどうかが変わったり、何に適用するかが変わったり、適用するもののどれかに何をするかが変わったりする場合、その効果は他方に「依存している」と言う。そうでない場合、その効果は先の効果と独立であると言う。
418.5d 1つまたは複数の効果に依存している効果は、その依存先の効果全てが適用されてからすぐに適用する。これによって、特性定義能力の適用が他の効果よりもあとになることもありうる。このルールによって複数の依存している効果が同時に適用されるようになった場合には、その適用順は「タイムスタンプ順」に従う。依存している効果同士によって依存性のループが生成した場合には、このルールを無視し、依存性のループを生成している効果をタイムスタンプ順に適用する。
418.5e オブジェクトのタイムスタンプは、3つの例外を除いて、その現在ある領域に入った時である。例外とは、(a)複数のオブジェクトが同時に領域に入った場合、その領域に入るときに、アクティブ・プレイヤーがタイムスタンプ順を決める。(b)オーラまたは装備品がパーマネントについたときに、そのオーラまたは装備品は新しいタイムスタンプを得る。(c)フェイズ・インしてきたパーマネントは、フェイズ・アウトしたときのタイムスタンプを維持する。
418.5f 常在型能力によって作られた継続的効果は、それを生み出したカードやパーマネント、あるいはその能力を生成した効果のいずれか新しいほうと同じタイムスタンプを持つ。
418.5g 呪文や能力の解決によって作られた継続的効果は、それを生み出した呪文や能力が解決された時のタイムスタンプを得る。
418.5h 継続的効果は別の継続的効果を無効化することがある。また、一つの効果の結果が他の効果が適用されるかどうかや、その結果を左右することもある。
例:「エンチャントされているクリーチャーは飛行を持つ」と「エンチャントされてれいるクリーチャーは飛行を失う」の2つのオーラが同じクリーチャーに付いているとする。影響を受ける相手や発揮される効果を変えるものはないので、これらは互いに依存しない。これらをタイムスタンプ順に適用することで、最後に生成された効果が「勝つ」ことになる。効果が一時的なもの(例えば「クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで飛行を失う」)であるかどうか、あるいは、全体的な効果(例えば「すべてのクリーチャーは飛行を失う」)であるかどうか、は関係しない。
例:「白のクリーチャーは+1/+1を得る」「エンチャントされているクリーチャーは白である」という2つの効果があった場合、そのエンチャントされているクリーチャーは、元の色に関らず、+1/+1の修整を受けることになる。
418.5i 効果によって、クリーチャーのパワーとタフネスが「入れ替え/switch」られることがある。この場合、そのオブジェクトのパワーを参照してそのオブジェクトのタフネスとし、そのオブジェクトのタフネスを参照してそのオブジェクトのパワーとする。この種の効果は、パワーやタフネスに影響を及ぼす他のあらゆる効果よりも後で適用される(rule 418.5a 参照)。
例:1/3クリーチャーが何らかの効果によって+0/+1の修整を受けているとき、他の効果がそのクリーチャーのパワーとタフネスを入れ替える場合、結果のパワーとタフネスは4/1になる。この「入れ替え」効果の適用後に、他の効果によって+5/+0の修整を受ける場合、「入れ替え前」の値は6/4となり、実際の値は4/6になる。
例:1/3クリーチャーが何らかの効果によって+0/+1の修整を受けているとき、他の効果がそのクリーチャーのパワーとタフネスを入れ替える場合、結果のパワーとタフネスは4/1になる。この「入れ替え」効果の終了前に+0/+1の効果が終わる場合、それのパワーとタフネスは3/1になる。
418.5j 継続的効果の中には、オブジェクトでなくプレイヤーに影響を及ぼすものが存在する。プレイヤーの手札の上限を変更するような効果がそれである。それらの効果は全て、オブジェクトの特性が決定された後で、タイムスタンプ順に適用される。タイムスタンプ順と依存のルール(rule 418.5b-418.5g)参照。
418.6a オブジェクトの文章を変更する効果は、それぞれ該当する種類の単語だけを書き換える(例えば、マジックの色を示す単語が色として用いられていたり、土地のタイプを示す単語が土地のタイプとして用いられていたり、クリーチャー・タイプを示す単語がクリーチャー・タイプとして用いられている場合のことである)。カード名などの固有名詞に、もしそれらと同じ単語や一連の文字列が含まれていたとしても、この類の効果によって固有名詞を書き換えることはできない。
418.6b 能力を追加したり取り除いたりする効果は、その影響を受けるオブジェクトの文章を変更するわけではない。従って、効果によってオブジェクトに与えられた能力は、そのオブジェクトの文章を変更する効果の影響を受けない。
418.6c クリーチャー・トークンを生成する呪文や能力は、そのトークンのクリーチャー・タイプをクリーチャー・タイプとトークンの名前の両方として用いる。それらの単語は名前としても使われるが、クリーチャー・タイプなので書き換えることができる。
418.6d クリーチャー・トークンのクリーチャー・タイプとルール文章は、そのトークンを生成する呪文や能力によって定義される。それらの特性は文章変更効果によって書き換えることができる。
419.1. 置換効果・軽減効果は、特定のイベントを待ち、それを完全に、あるいは部分的に置き換えるという継続的効果である。これらの効果は、それが影響するものに対する「盾」のような働きをする。
419.1a 「代わりに/instead」という語を用いる効果は置換効果である。ほとんどの置換効果は「代わりに/instead」という単語によってどのようなイベントがどう置き換えられるかを示し、一部は「飛ばす/skip」という単語によってどのようなイベント、ステップ、フェイズ、ターンが何も起こらないことによって置き換えられることを示している。
419.1b 「[このパーマネント]は〜状態で場に出る/[このパーマネント] comes into play with ...」、「[このパーマネント]が場に出るに際し〜/As [このパーマネント] comes into play ...」、「[このパーマネント]は〜として場に出る/[このパーマネント] comes into play as ...」という効果は置換効果である。
419.1c 「[このパーマネント]は〜場に出る/[このパーマネント] comes into play ...」、「[オブジェクト]は〜場に出る/[オブジェクト] come into play . . .」という継続的効果は置換効果である。
419.1d 「軽減/prevent」という語を用いた効果は軽減効果である。軽減効果は、どのイベントが起こらないかを示すために「軽減」の語を用いる。
419.1e 「[このパーマネント]が表向きになるに際し〜/As [このパーマネント] is turned face up ...」という効果は置換効果である。
419.2. 軽減・置換効果はそのイベントが起こるときに継続的に適用される。それ以前に固定されるわけではない。
419.3. 軽減・置換効果を生成する呪文や能力をプレイするのに特別の制限は存在しない。その類の効果は、用いられるか持続期間が過ぎるまで残る。
419.4. 置換・軽減効果は、しかるべきイベントが発生するよりも前に存在しなくてはならず、「時間をさかのぼって」既に起きたことを変えることはできない。通常、これらの効果を生む呪文や能力は、そのイベントを起こす何かに対応してプレイされ、したがって、そのイベントが起きるよりも前に解決される。
例:クリーチャーを破壊する呪文に対応して、再生 能力をプレイすることができる。
419.5. イベントが置換または軽減された場合、それは決して起こったことにならない。置換されたイベントの代わりに変更後のイベントが発生し、それによる誘発型能力があれば誘発する。変更された後のイベントが実行できなくても、単純にその不可能な指示を無視するだけになることに注意せよ。
419.5a あるダメージの発生源が0点のダメージを与えるというのは、つまりダメージを与えないということである。この場合、ダメージを与えたときに誘発する能力は誘発しない。ダメージを増加させる置換効果があったとしても、置換すべきイベントが存在しないので、効果は発生しない。
419.5b 「あなたは[X]してよい。そうした場合、[Y]する/you may [X]. If you do, [Y]」という類の能力が存在するが、これの「そうした場合/if you do」とは、[X]イベントを行なうことを選択したかどうかにより、そのイベントがその選択の結果実際に行われたかどうかには関係しない。他のイベントによって[X]の全部または一部が置換された場合には、「そうした場合」の節は、[X]を置換したイベントを参照する。
419.6a 置換効果は自分自身を繰り返し起動することはなく、各イベントにつき1回だけ置換する機会を得る。
例:あるプレイヤーが、それぞれ「あなたがコントロールするクリーチャーがクリーチャーかプレイヤーにダメージを与える場合、その代わりに、その倍のダメージをそのクリーチャーまたはプレイヤーに与える」という能力を持ったパーマネントを2つコントロールしているとする。この場合、通常2点のダメージを与えるクリーチャーは、8点のダメージを与える。4点のダメージでもないし、無限のダメージでもない。
419.6b 再生は破壊に対する置換効果である。「代わりに」というキーワードはカードには書かれていないが、その定義に暗黙に含まれている。「[パーマネント]を再生する」とは、「このターンの間、次に[パーマネント]が破壊される時点で、その代わりに ダメージを全て取り除き、タップし、(戦闘中ならば)戦闘から取り除く」を意味する。また、致死ダメージによる破壊を再生してもダメージによる誘発型能力は発生する。
419.6c 効果によって、あるクリーチャーやプレイヤーに与えられたダメージが、他のクリーチャーやプレイヤーに与えられる同量のダメージに置き換えられることがある。このような効果のことを「移し変え」効果と呼ぶ。ダメージが移し変えられるときに、どちらかのクリーチャーが場を離れていたり、クリーチャーでなくなっていたりした場合、効果は何もしない。
419.6d 呪文や能力が、それ自身の解決時の効果の一部または全部を置換することがある。それらの効果のことを「自己置換効果」と呼ぶ。置換効果をイベントに適用する際、まず最初に自己置換効果を適用し、それからそれ以外の置換効果を適用する。
419.6e 行動やステップ、フェイズ、ターンを飛ばすことは、置換効果である。「[何か]を飛ばす/skip [何か]」というのは、「[何か]をする代わりに、何もしない」ということを意味する。ステップ、フェイズ、ターンが始まった後では、それを飛ばすことはできない。飛ばす 効果の効果が発揮されるのは、次の機会になる。
419.6f 飛ばされたステップ、フェイズ、ターンに起こる予定だったことは、起こらない。「次の」何かに起こる予定のことは、飛ばされなかった最初の機会に行なわれる。2つの効果があるプレイヤーのステップ(フェイズ、ターンも同じ)を飛ばす場合、次とその次のステップを飛ばすことになる。効果の1つはその最初のものを飛ばしたことで終わるが、もう1つの効果は次の機会を待つからである。
419.6g 置換効果の中には、「その代わりに以下のnつから1つ選ぶ」という記述のものがある。これらをモードを持つ 置換効果と呼ぶ。どのモードを選ぶかは、置換効果の適用時に決定する。モードを持つ 置換効果が複数のイベントに適用される場合には、それぞれ別のモードを選ぶこともできる。モードを持つ 置換効果は、どのモードを選ぼうが、それ自身に繰り返し適用されることはない。不可能なモードを選ぶことは認められない。
419.6h 置換効果の中に、カードを引くことを置換するものがある。それらの効果は、そのライブラリーにカードが存在しないために引くことができない場合にも適用される。複数枚のカードを引くことのうち1回を置換する場合、その置換効果の処理を全て終わらせた後で次のカードを引く。カードを引いてからそのカードを何かするという一連の効果があった場合、そのカードを引く部分が置換された場合、その追加の部分は、置換された効果によってカードを引いた場合にも、何も影響を及ぼさない。
419.7a 軽減効果は通常、与えられる筈のダメージに対して適用される。
419.7b ある種の軽減効果は、一定の量のダメージに対処し、消耗する。例えば、「クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。このターン、それに与えられる次のダメージを3点軽減する」。「シールドされた」クリーチャーかプレイヤーへ与えられるはずのダメージ1点につき、代わりにシールドを1減らす。複数のダメージの発生源から同時にダメージを受けた場合、その「シールドされた」プレイヤー、あるいは「シールドされた」クリーチャーのコントローラーが、どのダメージを先に軽減するかを決める。シールドが0まで減ったら、残りのダメージは通常通り与えられる。この種の効果は、ダメージの量だけを数え、ダメージを与えるイベントやダメージの発生源の数は問題にしない。
419.7c 対象を取らない複数のクリーチャーに与えられる次のN点のダメージを軽減する類いの軽減効果では、その効果を生成する呪文や能力の解決によって、影響を受けるクリーチャーそれぞれに軽減の盾を作る。
例:《ウォジェクの薬剤師/Wojek Apothecary》は「{Tap}: クリーチャー1体を対象とする。このターン、それ、およびそれと共通の色を持つ他の各クリーチャーに次に与えられるダメージを1点軽減する。」という能力を持つ。この能力の解決によって、対象となったクリーチャーと、その時点でそれと共通の色を持つクリーチャーに、次の1点のダメージを軽減する盾を作る。この能力の解決以降にクリーチャーの色を変えても、盾が増えたり減ったりすることはない。また、このターンの間、これの解決以降に場に出たクリーチャーが盾を得ることはない。
419.8a 「このターン、あなたの選んだ赤の発生源1つが次にあなたにダメージを与える時、そのダメージを軽減する」などのある種の軽減効果は、特定のダメージの発生源からのダメージに影響を与える。効果によってダメージの発生源を選ぶ場合、選択できるのは、パーマネント、(アーティファクト 呪文、クリーチャー 呪文、エンチャント 呪文を含む)スタック上の呪文、またはスタック上のオブジェクトによって参照されるカードやパーマネント(スタック上の戦闘ダメージを割り振っているクリーチャーが場を離れたりクリーチャーでなくなったりした場合を含む)である。この選択は、その呪文や能力を解決する時に行なう。プレイヤーがパーマネントを選んだ場合、軽減効果はそのパーマネントからの次のダメージに対して適用し、それがそのパーマネントの能力によるものか、それともそれが与える戦闘ダメージかは問題としない。アーティファクト 呪文、クリーチャー 呪文、エンチャント 呪文を選んだ場合、その呪文もしくはその呪文によって生成されるパーマネントによるダメージに適用される。
419.8b 呪文や能力によって、クリーチャー、あるいはある特定の色、といった、特定の性質の発生源からのダメージだけに影響を及ぼす軽減効果が発生することがある。その類の制限のある軽減の「シールド」は、ダメージを軽減するときにもう一度発生源の特性を確認する。その特性が適合していなければ、ダメージは軽減されない。何らかの理由によってシールドがダメージを軽減しなかった場合にはシールドは消耗しない。
419.8c 常在型能力の効果で、特定の性質を持つダメージの発生源からのダメージを軽減したり置換したりするものがある。これらの効果については、その軽減・置換効果はその性質を持つパーマネントだけでなく、場以外の領域にある、その性質を持つカードにも適用される。
419.9a 複数の置換・軽減効果がオブジェクトやプレイヤーに影響を及ぼす単一のイベントを変更しようとした場合、影響を受けるオブジェクトをコントロールしているプレイヤー、または影響を受けるプレイヤーがどれを適用するか決める。その後で、もしまだ適当であれば、他のものが適用される。適用される置換効果の中に「自己置換効果」(rule 419.6d 参照)があれば、その効果が他のものよりも先に適用される。複数のプレイヤーがこの選択を同時に行なう場合、APNAP順ルールに従う(rule 103.4 参照)。
例:「カードが墓地に置かれる場合、その代わりにそれをゲームから取り除く」と書かれているエンチャントと、「[このクリーチャー]が墓地に置かれる場合、その代わりにこれをオーナーのライブラリーに加えたうえで切り直す」と書かれたクリーチャーの2つのパーマネントが場にある。このとき、そのクリーチャーが破壊された場合、そのクリーチャーのコントローラーがどちらの置換効果を先に処理するか決定する。その結果、他方は何もしない。
419.9b 置換効果は、イベントに影響を与える別の置換効果の結果として、あるイベントに適用できるようになることがある。
例:「あなたが1点のライフを得る場合、その代わりに カードを1枚引く」という効果と「カードを引く場合、その代わりに あなたの墓地にあるカード1枚をあなたの手札に戻す」という効果が存在した場合、(その二つが場に出た順序には関係なく)結合されて、1点のライフを得るかわりに墓地にあるカード1枚を手札に戻すことになる。
420.1. 状況起因効果とは、以下に示した条件を満たしたときにだけ適用される特殊な効果である。特定の状況を待っている能力は、状況起因効果ではなく誘発型能力である(rule 404〔誘発型能力〕参照)。
420.2. 状況起因効果は常に有効であり、また、どのプレイヤーにもコントロールされていない。
420.3. プレイヤーが呪文や能力をプレイする優先権を得るとき(rule 408〔呪文や能力のタイミング〕参照)、下記の、状況起因効果の条件がチェックされる。適用すべきすべての効果が一つのイベントとして解決され、それから、再びチェックが繰り返される。状況起因効果がひとつも発生しなくなったら、誘発型能力がスタックに積まれる。その後で、該当するプレイヤーが優先権を得る。このチェックはクリンナップ・ステップの間にも行なわれる(rule 314〔クリンナップ・ステップ〕参照)。下記の条件が一つでも満たされた場合、アクティブ・プレイヤーが優先権を得る。
420.4. 誘発型能力と異なり、状況起因効果は、呪文や能力の解決中に起きた事はチェックしない。
例:「このクリーチャーは、あなたの手札の枚数に等しいパワーとタフネスを持つ」というクリーチャーをコントロールしているプレイヤーが、「あなたの手札を捨て、そのあとカードを7枚引く」という呪文をプレイしたとする。このクリーチャーは、呪文の解決の途中で一時的にタフネスが0になるが、呪文の解決が終わった時点ではタフネスが7に戻っている。よって、このクリーチャーは、状況起因効果がチェックされる時点では生き残る。これと対照的に、手札が無くなった時に誘発する能力は、誘発 イベントが解決中に発生したので、呪文の解決後にスタックに積まれる。
420.5a ライフが0以下のプレイヤーはゲームに敗北する。
420.5b タフネスが0や0未満のクリーチャーはオーナーの墓地に置かれる。再生はこのイベントを置換できない。
420.5c 致死ダメージを受けた、タフネスが正の数であるクリーチャーは破壊される。致死ダメージとは、そのクリーチャーのタフネス以上のダメージである。再生はこのイベントを置換することができる。
420.5d 不正なパーマネントあるいはプレイヤーについているオーラや、何にもつけられていないオーラはオーナーの墓地に置かれる。
420.5e 同名の「伝説の/Legendary」パーマネントが複数場にある場合、それらはすべてそのオーナーの墓地に置かれる。これを「レジェンド・ルール」と言う。同じ名前を持つパーマネントのうち1つだけがレジェンドか伝説の パーマネントである場合、このルールは適用しない。
420.5g 前回の状況起因効果のチェック以降に、空のライブラリーからカードを引こうとしたプレイヤーは、ゲームに敗北する。
420.5h 10個以上の「毒/poison」カウンターを持つプレイヤーは、ゲームに敗北する。
420.5i 「ワールド/World」という特殊タイプを持つパーマネントが複数場にある場合、その中でもっとも短い期間「ワールド」の特殊タイプを持って場にあったものを除き、すべてそのオーナーの墓地に置かれる。もっとも短い期間が等しい場合、その全てがオーナーの墓地に置かれる。これを「ワールド・ルール」と言う。
420.5j スタック以外の領域にある呪文のコピーは、消滅する。スタックと場のいずれでもない領域にあるカードのコピーは、消滅する。
420.5k 不正なパーマネントについている装備品はそのパーマネントからはずれ、場に残る。
420.5m あるパーマネントに、オーラでも装備品でもないパーマネントがつけられている場合、そのパーマネントはつけられている先のパーマネントからはずれ、場に残る。
420.5n 単一のパーマネントに、+1/+1カウンターと-1/-1カウンターが乗っている場合、その2つのうちで少ないほうと同数だけ、両方のカウンターを取り除く。
421.1. 稀に、一群の行為が永久に繰り返される状況にゲームが陥ることがある。この種のループを中断する方法を「無限ルール」として規定する。
421.2. ループが、選択可能な行動を一つ以上含み、一人のプレイヤーがそれをすべてコントロールしている場合、そのプレイヤーが回数を選ぶ。ループはその回数、但し途中で他のプレイヤーが介入した場合はその時点まで、繰り返したものとみなす。
421.3. ループが、2人のプレイヤーがコントロールする選択可能な行動を少なくとも一つ含み、ループを続けるには双方のプレイヤーによる行動が必要である場合、最初のプレイヤー(ターン順でアクティブ・プレイヤーから近いプレイヤー)が回数を選ぶ。2人目のプレイヤーにはここで2つの選択肢がある。
・選んだ回数よりも少ない回数を選ぶ。この場合、ループはその回数だけ繰り返し、それから最初のプレイヤーが「最後の宣言をする」までの部分を実行する。
・最初のプレイヤーが選んだ回数を認める。この場合、ループはその回数だけ繰り返し、それから2人目のプレイヤーが「最後の宣言をする」までの部分を実行する。(どちらの場合も、最後の部分は無いことがありうる)
3人以上のプレイヤーが関与している場合、3人目も同じように選択を行なう。
例:2人対戦で、あるプレイヤーが、「{0}:[クリーチャー名]は飛行を得る」という能力を持つクリーチャーをコントロールしており、他のプレイヤーが「{0}:クリーチャー1体を対象とする。それは飛行を失う」という能力を持つパーマネントをコントロールしているとする。「無限ルール」により、どちらのプレイヤーから飛行を得る/失う能力のループを始めたとしても、アクティブ・プレイヤー以外のプレイヤーが最終的な決定権を持ち、よってそのクリーチャーが飛行を持つかどうかを決めることができる。(但し、この例は、最初のプレイヤーが少なくとも一回、そのクリーチャーに飛行を与えようとしたと仮定していることに注意すること)
421.4. ループが選択できない行動のみからなる場合、ゲームは引き分けとして終了する(rule 102.4b 参照)。
421.5. ループが、各プレイヤーがコントロールする選択可能な行動を少なくとも一つ含み、これらの行動が互いに依存していない場合、アクティブ・プレイヤーが回数を選ぶ。APNAP順で、アクティブ・プレイヤー以外のプレイヤーはその回数に合意してもよいし、より多い回数を選んでもよい。このルールは、それらの行動が一つのループでなく別々のループに存在する場合でも適用されることに注意すること。
422.1. ある行動を開始した後で適正に行動できないということが解った場合、その行動は巻き戻され、すでに行われた支払いは取り消される。取り消される行動の結果として、能力が誘発したり効果が適用されたりすることはない。その行動が呪文のプレイであった場合、呪文 カードはそれがもとあった領域に戻る。プレイヤーは、不正なプレイを行なう間にプレイした適正なマナ能力も、それまたはそれによる誘発型マナ能力によって生み出されたマナが、他の、取り消されないマナ能力に消費されたのでない限り、取り消すことができる。しかし、プレイヤーは、ライブラリーへのカードの移動、ライブラリーからスタック以外へのカードの移動を伴う行動を取り消すことはできない。
422.2. 不正な呪文や能力を取り消した時に、優先権を持っていたプレイヤーが再び優先権を得、そして改めて他の行動を取るかパスすることができる。そのプレイヤーは取り消した行動を適正な方法でやり直すことも、あるいはルール上許される別の行動を取ることもできる。
(訳注:要するに、改めて何でもできるということです)
423.1. プレイヤーがカードを引くとは、自分のライブラリーの一番上のカードを1枚、自分の手札に加えるということである。これは、各プレイヤーのドロー・ステップに、ゲームの行動として行なわれる。また、呪文や能力のコストや効果の一部として行なわれることもある。
423.2. カードは1枚ずつ引かれる。複数枚のカードを引くように指示された場合、そのプレイヤーはその枚数回だけカードを1枚ずつ引くことになる。
423.2a 複数のプレイヤーにカードを引くように指示している場合、まずアクティブ・プレイヤーがその全てのカードを引き、その後で他のプレイヤーがターン順にカードを引く。
432.2b 双頭巨人戦で複数のプレイヤーにカードを引くように指示している場合、まずアクティブ・チームの第1プレイヤー(右側に座っているプレイヤー)が全てカードを引き、次にそのチームの第2プレイヤーがカードを引く。その後、非アクティブ・チームが同様に処理する。
423.3. プレイヤーのライブラリーにカードがない状態で、カードを引いてもよい、となっている効果を処理する場合、カードを引くことを選んでもよい。rule 413.2c 参照。
423.4. 空のライブラリーからカードを引こうとしたプレイヤーは、次に優先権が発生する時点でゲームに敗北する(これは状況起因効果である。rule 420.5g 参照)。
423.5. 「引く/draw」という語を用いていない何らかの効果によってライブラリーから手札にカードが動く場合、そのカードは引かれたものとしては扱わない。これは、カードを引くことによって誘発する能力や、カードを引くことを置換する効果、また、ライブラリーが空のときの処理において違いがある。
423.6a カードを引くことを置換する効果は、ライブラリーにカードが残っていないためにカードを引くことが出来ない場合にも適用される。
423.6b 複数のカードを引くことのうちの1枚を引くことを置換する場合、その置換効果の処理は、次のカードを引く前に完全に処理される。
423.6c カードを引いた後で、そのカードに何か追加の行動をする効果が存在する。カードを引くことを置換した場合、その追加の行動は、その置換効果、あるいはそれをさらに置換した効果によって引かれたカードには影響を及ぼさない。
500.1. 効果の中には、戦闘時の攻撃クリーチャーやブロック・クリーチャーの指定を制限、またはあるクリーチャーを攻撃クリーチャーやブロック・クリーチャーとして強制的に指定させるものがある(rule 308〔攻撃クリーチャー指定ステップ〕、rule 309〔ブロック・クリーチャー指定ステップ〕参照)。ブロック制限(または攻撃制限)とは、そのクリーチャーはブロック(または攻撃)に参加できない、あるいは何らかの条件を満たしていなければブロック(または攻撃)に参加できないというものであり、ブロック強制(または攻撃強制)とは、そのクリーチャーはブロック(または攻撃)に参加しなければならない、あるいは何らかの条件を満たしていた場合にブロック(または攻撃)に参加しなければならない、というものである。
500.2. 攻撃クリーチャーの指定の一環として、アクティブ・プレイヤーはコントロールしているそれぞれのクリーチャーが攻撃しなければならない、攻撃できない、その他の攻撃制限または攻撃強制を持っていないかどうかをチェックする。もしそのような攻撃制限もしくは攻撃強制が提案された攻撃と矛盾する場合、その攻撃は不正となり、アクティブ・プレイヤーは異なる攻撃クリーチャーの組み合わせを提案しなければならない(タップしているクリーチャーおよび攻撃のためのコストを払っていないクリーチャーはそれらのクリーチャーに攻撃を要求する効果から除外される)。
例:プレイヤーが、「可能なら攻撃に参加する」クリーチャーと、能力を持たないクリーチャーをコントロールしているとする。このとき、「各ターン、2体以上のクリーチャーで攻撃することはできない」という効果があったとすると、適正な攻撃は「可能なら攻撃に参加する」クリーチャーだけによる攻撃である。他方のクリーチャーだけ、あるいは両方で攻撃したり、どちらでも攻撃しないということはできない。
500.3. ブロック・クリーチャーの指定の一環として、防御プレイヤーはコントロールしているそれぞれのクリーチャーが、ブロックしなければならない、ブロックできない、もしくは他のブロックの制限または強制を持っていないかどうかをチェックする。もしそのようなブロック制限もしくはブロック強制が提案されたブロック・クリーチャーの組み合わせと矛盾する場合、そのブロックは不正となり、防御プレイヤーは異なるブロック・クリーチャーの組み合わせを提案しなければならない(タップされているクリーチャーとブロックのためのコストを払っていないクリーチャーは、ブロックをそれらのクリーチャーに強制する効果から免除される)。
500.4. 攻撃やブロックの宣言が攻撃制限(ブロック制限)に反しているとき、その宣言は認められない。攻撃強制(ブロック強制)に関しては、(1)攻撃制限(ブロック制限)に反しない限りで、かつ(2)できる限り多くの攻撃強制(ブロック強制)を守る、ことが必要である。
500.5. 攻撃制限(ブロック制限)の違反にならずにどれだけの攻撃強制(ブロック強制)を守ることができるかということを決定する場合、その時に攻撃強制(ブロック強制)を満たしていないクリーチャーのことを考える必要はない。ただし、攻撃強制(ブロック強制)を満たすことができる選択については、その満たせる攻撃強制(ブロック強制)の数が最大になるように考えなければならない(その選択によって、他の攻撃強制(ブロック強制)を無視することになることはありうる)。
例:「可能ならブロックする」というクリーチャーと、他の、能力を持たないクリーチャーをコントロールしているプレイヤーに対し、「2体以上のクリーチャーでしかブロックできない」効果がある状況でクリーチャーが攻撃してきた。この場合、両方のクリーチャーでブロックすることか、あるいはどちらもブロックしないことしか適正ではない。どちらか一方だけでブロックすることはできない。
501.1. 回避能力は、戦闘フェイズのブロック・クリーチャー指定ステップを変更する常在型能力であり、攻撃クリーチャーをブロックできるクリーチャーを制限する。
例:シャドーと飛行を持つクリーチャーは、飛行を持つがシャドーを持たないクリーチャーにはブロックされない。
501.3. クリーチャーの中には、ブロックのしかたを制限する能力を持つものもある。回避能力と同様に、これらは戦闘フェイズのブロック・クリーチャー指定ステップのルールのみを変更する(ブロック指定後に回避能力を得たり失ったりしても意味はない)。
502.1. ほとんどの能力は、カードのルール・テキストに、何をする能力かが明確に記述されている。しかし、非常に一般的な能力や、定義を書くのにあまりに多くのスペースを要する能力もある。この場合、オブジェクトには能力の名前を「キーワード」としてのみ記してある。それに関するルールを注釈文として要約してあることもある。
502.2a 「先制攻撃/First Strike」は、戦闘ダメージ・ステップのルールを変更する常在型能力である。(rule 310〔戦闘ダメージ・ステップ〕参照)
502.2b 戦闘ダメージ・ステップの開始時、少なくとも1体の攻撃クリーチャーまたはブロック・クリーチャーが先制攻撃か二段攻撃を持っている場合、先制攻撃も二段攻撃(rule 502.28 参照)も持たないクリーチャーは戦闘ダメージを割り振らない。戦闘終了ステップに進む代わりに、第2戦闘ダメージ・ステップが行なわれ、残りのクリーチャーからのダメージを処理する。第2戦闘ダメージ・ステップの間には、残存する攻撃・ブロック クリーチャーのうちで第1戦闘ステップで戦闘ダメージを割り振らなかったものと、二段攻撃を持つものがそれぞれの戦闘ダメージを割り振る。
502.2c 第1戦闘ダメージ・ステップの後で先制攻撃を与えたり取り除いたりしても、クリーチャーが戦闘ダメージを与えなくなったり、戦闘ダメージを2回与えたりすることはない。
502.3a 「側面攻撃/Flanking」は、ブロック・クリーチャー指定ステップ中に誘発する誘発型能力である。(rule 309〔ブロック・クリーチャー指定ステップ〕参照)「側面攻撃」は、「このクリーチャーが側面攻撃を持たないクリーチャーにブロックされた時、そのブロック・クリーチャーはターン終了時まで-1/-1を得る」を意味する。
502.4b 飛行を持つクリーチャーは飛行を持たないクリーチャーにはブロックされない。飛行を持つクリーチャーは、飛行を持つクリーチャーも持たないクリーチャーもブロックできる。(rule 309〔ブロック・クリーチャー指定ステップ〕参照)
502.5b 速攻を持つクリーチャーは、そのコントローラーの最新のターンの開始時から継続してコントロールされていない場合でも、攻撃したり、コストにタップ・シンボルを含む起動型能力を使ったりすることができる。(rule 212.3d 参照)
502.6a 「土地渡り/Landwalk」や「氷雪土地渡り/Snow Landwalk」は総称であり、通常は、カードのルール・テキストに(「島渡り」「氷雪 沼渡り」「伝説の 土地渡り」といったように)特定のサブタイプ、もしくは特殊タイプが与えられている。
502.6b 土地渡りや氷雪土地渡りは回避能力である。土地渡りを持つクリーチャーは、防御プレイヤーが指定されたサブタイプ、もしくは特殊タイプの土地を一つでもコントロールしている限りブロックされない(rule 309〔ブロック・クリーチャー指定ステップ〕参照)。
502.6c 氷雪土地渡りは土地渡りの特殊な形である。氷雪土地渡りを持つクリーチャーは、防御プレイヤーが指定されたサブタイプの氷雪 土地を一つでもコントロールしている限りブロックされない。プレイヤーが、どんな土地渡りの能力でも選ぶ事を許された場合、そのプレイヤーは氷雪土地渡りの能力を選んでも良い。何らかの効果によってパーマネントのすべての土地渡りの能力が失われるとき、氷雪土地渡りも同じように能力を失う。
502.6d 土地渡りもしくは氷雪土地渡り 能力は互いを「相殺」しない。
例:氷雪 森渡りを持つクリーチャーをコントロールしている場合、防御プレイヤーが氷雪 森をコントロールしているなら、そのプレイヤーのコントロールする、氷雪 森渡りを持つクリーチャーにさえもブロックされない。
502.7a プロテクションは常在型能力であり、「プロテクション([性質])/Protection from [性質]」と書かれる。この性質は通常は色であるが(例えば「プロテクション(黒)」)、どのような特性値であってもよい。この性質がタイプ(またはサブタイプ、特殊タイプ)の場合、プロテクションは、そのタイプ(など)を持つパーマネントやその他の発生源に適用される。
502.7b プロテクションを持つパーマネントは、記述された性質を持つ呪文の対象にならず、記述された性質を持つ能力の発生源からの能力の対象にもならない。
502.7c プロテクションを持つパーマネントは、記述された性質を持つオーラによってエンチャントされる事もない。プロテクションを持つパーマネントにつけられているその種のオーラは状況起因効果によりオーナーの墓地に置かれる(rule 420〔状況起因効果〕参照)。
502.7d プロテクションを持つパーマネントは、記述された性質を持つ装備品を装備できない。そのような状況にある装備品は、そのパーマネントからはずれ、場に残る(rule 420〔状況起因効果〕参照)。
502.7e プロテクションを持つパーマネントは、記述された性質を持つダメージの発生源から与えられる全てのダメージを0に軽減する。
502.7f プロテクションを持つクリーチャーが攻撃に参加した場合、記述された性質を持つクリーチャーによってブロックされない。
502.8b シャドーを持つクリーチャーはシャドーを持たないクリーチャーにブロックされず、シャドーを持たないクリーチャーはシャドーを持つクリーチャーにブロックされない。(rule 309〔ブロック・クリーチャー指定ステップ〕参照)
502.9a 「トランプル/Trample」は、攻撃クリーチャーの戦闘ダメージの割り振りのルールを変更する常在型能力である。トランプルは、ブロック時や戦闘ダメージ以外のダメージを与えたりする時には特別な影響を及ぼさない。(rule 310〔戦闘ダメージ・ステップ〕参照)
502.9b トランプルを持つ攻撃クリーチャーのコントローラーは、ダメージをまずそれをブロックしたクリーチャー(群)に割り振る。それらのブロック・クリーチャーすべてに致死ダメージが割り振られた場合、攻撃クリーチャーのコントローラーは、残りのダメージを、ブロック・クリーチャーと防御プレイヤーに選んで割り振る。致死ダメージを割り振られたかどうかのチェック時には、今までにそのクリーチャーに与えられたダメージや同時に与えられる他のクリーチャーからのダメージも考慮に入れる(rule 502.9e 参照)。コントローラーはそれらのブロック・クリーチャーすべてに致死ダメージを割り振る必要はないが、その場合には防御プレイヤーにはダメージを割り振ることはできない。
502.9c トランプルを持つ攻撃クリーチャーをブロックしたクリーチャーが、戦闘ダメージ・ステップよりも前にすべて戦闘から取り除かれた場合、ダメージはすべて防御プレイヤーに割り振られる。
502.9d トランプルを持つクリーチャーからダメージを割り振る際には、ブロック・クリーチャーの実際のタフネスのみを考え、最終的に与えるダメージの量を変化させ得る能力や効果は考慮に入れない。
例:トランプルを持つ6/6の緑クリーチャーがプロテクション(緑)を持つ2/2のクリーチャー1体にブロックされた場合、攻撃クリーチャーのコントローラーはブロック・クリーチャーに最低2点のダメージを割り振らなければならず、そのダメージはブロック・クリーチャーのプロテクション 能力によって軽減されることになる。攻撃クリーチャーのコントローラーは、その後で、残りのダメージを防御プレイヤーに割り振ることができる。
502.9e 攻撃クリーチャーが複数いるとき、トランプルを持たないクリーチャーからのダメージを、トランプルを持つクリーチャーからのダメージが最大限生かせるように割り振るのは適正である。
例:複数の攻撃クリーチャーをブロックすることのできる能力を持った2/2クリーチャーが、1/1で特殊能力を持たないクリーチャーと、3/3でトランプルを持ったクリーチャーとをブロックしたとする。攻撃 プレイヤーは、第1の攻撃クリーチャーからの1点のダメージと第2の攻撃クリーチャーからの1点のダメージをブロック・クリーチャーに、そしてトランプルによる2点のダメージを防御プレイヤーに、それぞれ割り振ることができる。
502.10a 「バンド/Banding」は攻撃クリーチャー指定や戦闘ダメージの割り振りのルールを変更する常在型能力である。
502.10b プレイヤーが攻撃クリーチャーを指定するときに、バンドを持つクリーチャーを任意の数と、1体までのバンドを持たないクリーチャーを一つの「バンド」として宣言してもよい。(防御プレイヤーはバンドを宣言できない。しかし異なる方法でバンドを使うことができる。(rule 502.10h 参照))。
502.10c プレイヤーは任意の数の攻撃バンドを指定してもよいが、クリーチャーはそれぞれ1つのバンドにしか所属できない。
502.10d 攻撃バンドがいったん宣言されると、たとえ後で何らかの方法によって一つもしくは複数のクリーチャーのバンド 能力が取り除かれても、戦闘が終わるまでその効果は続く。但し、戦闘から取り除かれた場合には、バンドからも取り除かれる。
502.10e 攻撃クリーチャーの1体がクリーチャーによってブロックされると、同じバンドに属する他のそれぞれのクリーチャーもその攻撃クリーチャーと同じブロック・クリーチャーによってブロックされる。
例:プレイヤーが、飛行を持つクリーチャーと沼渡りを持つクリーチャーで構成されたバンドで攻撃する。防御プレイヤーは、沼をコントロールしているとしても、飛行 クリーチャーをブロックすることは可能である。防御プレイヤーがそうした場合、沼渡りを持つクリーチャーも、同じようにブロック・クリーチャーによってブロックされる。
502.10f バンドによって攻撃クリーチャーが能力を分け合ったり、能力を失ったりすることはない。バンドに所属する攻撃クリーチャーは、それぞれ別々のパーマネントである。
502.10g バンドを構成しているクリーチャーの1体が効果の影響でブロックされた場合、そのバンド全体がブロックされる。
502.10h バンドを持っている攻撃クリーチャーをコントロールしているプレイヤーは、そのクリーチャーをブロックしたクリーチャーからの戦闘ダメージをどのように割り振るかを決定する。バンドを持っているブロック・クリーチャーをコントロールしているプレイヤーは、そのクリーチャーがブロックしたクリーチャからの戦闘ダメージをどのように割り振るかを決定する。攻撃もしくはブロックする時にバンド 能力を持っていたとしても、戦闘ダメージ・ステップの開始前にその能力が取り除かれた場合はダメージは通常どおりに割り振られる。
502.11a 他の〜とのバンドは、バンドの特殊な一形態である。何らかの効果によってパーマネントがバンドを失う場合、他の〜とのバンドもまた失われる。
502.11b 「他の[クリーチャー・タイプ]とのバンド/bands with other [クリーチャー・タイプ]」は、同じ「他の[クリーチャー・タイプ]とのバンド」を持つクリーチャーと攻撃バンドを組むことができる。バンドを持つクリーチャーもこのバンドに参加できるが、バンドを持たないクリーチャーは参加できない。このバンドに含まれるクリーチャーは必ずしも「他の[クリーチャー・タイプ]とのバンド」で特定されたクリーチャー・タイプを持つ必要はない。このバンドをブロックするときは、バンド一般のルールに従って処理される。
502.11c 攻撃クリーチャーが、同じ「他の[クリーチャー・タイプ]とのバンド」を持つクリーチャー2体以上によってブロックされた場合、防御プレイヤーは攻撃クリーチャーがどのようにダメージを割り振るかを決定する。同様に、ブロック・クリーチャーが、同じ「他の[クリーチャー・タイプ]とのバンド」を持つ攻撃クリーチャー2体以上をブロックした場合、攻撃 プレイヤーはブロック・クリーチャーがどのようにダメージを割り振るかを決定する。
502.12a ランページは誘発型能力である。「ランページ N/Rampage N」は、「このクリーチャーがブロックされるたび、このクリーチャーをブロックしている2体め以降のクリーチャー1体ごとに、ターン終了時まで+N/+Nの修整を受ける」ということを意味する(rule 309〔ブロック・クリーチャー指定ステップ〕参照)。
502.12b ランページのボーナスは戦闘のたび、誘発型能力が解決される時に一回だけ計算する。その後にブロック・クリーチャーが追加、もしくは取り除かれてもその戦闘中はボーナスは変わらない。
502.13a 累加アップキープは、パーマネントに上昇するコストを負わせる誘発型能力である。「累加アップキープ:[コスト]/Cumulative upkeep ─ [コスト]」という表記は、「あなたのアップキープの開始時に、経年カウンターを1個このパーマネントの上に置く。このパーマネントの上にある経年カウンター一つごとに[コスト]を支払ってもよい。そうしなければ、これを生け贄に捧げる」ということを意味する。[コスト]に選択肢がある場合、各選択は各経年カウンターに対して別々に行なわれ、その後全体のコストを一度に支払うか、まったく支払わないかのどちらかを行なうことになる。一部のみの支払いは認められない。
例:クリーチャーが「累加アップキープ {W}か{U}」を持ち、その上に経年カウンターが2個置かれている。この能力が誘発して解決された場合、そのクリーチャーのコントローラーはその上に経年カウンターを1個置き、そのクリーチャーを場に残すために{W}{W}{W}か{W}{W}{U}か{W}{U}{U}か{U}{U}{U}を支払うことができる。
例:クリーチャーが「累加アップキープ ─ クリーチャー1体を生け贄に捧げる」を持ち、その上に経年カウンターが1個置かれている場合、この能力が誘発して解決された時点で、そのコントローラーは同一のクリーチャーを2回生け贄に捧げることを選択することはできない。2体のクリーチャーを生け贄に捧げるか、累加アップキープを持つクリーチャーを生け贄に捧げるかのいずれかをしなければならない。
502.13b パーマネントに複数の累加アップキープがある場合、それぞれが別々に誘発する。しかしながら、経年カウンターはどの特定の能力にも関連づけられていないので、それぞれの累加アップキープの解決時に、パーマネントの上にある経年カウンターの総数を数える。
例:「累加アップキープ:1点のライフを支払う」という能力を二つ持っているクリーチャーがあり、現在その上には、経年カウンターは存在しない。今、この2つの能力が誘発したとする。一つめの能力が解決されるとき、そのコントローラーはカウンターを乗せ、1点のライフを支払うことを選択した。二つめの能力が解決されるとき、さらに一つのカウンターを乗せるので、ライフの支払いは2点となる。
502.14a 警戒は攻撃宣言ステップにおけるルールを修正する常在型能力である。
502.14b 「警戒/Vigilance」を持つクリーチャーは、攻撃に参加してもタップしない (rule 308〔攻撃クリーチャー指定ステップ〕参照)。
502.15a 「フェイジング/Phasing」は、アンタップ・ステップのルールを変更する常在型能力である。
502.15b それぞれのプレイヤーのアンタップ・ステップに、そのアクティブプレイヤーがコントロールするパーマネントをアンタップする前に、そのプレイヤーのコントロールするオブジェクトのうちでフェイジングを持つもの全てがフェイズ・アウトする。同時に、フェイズ・アウトしたときにそのプレイヤーがコントロールしていた全てのパーマネントがフェイズ・インする(rule 217.8〔フェイズ・アウト〕、および rule 302.1 参照)。
502.15c 効果によってプレイヤーのアンタップ・ステップが飛ばされた場合、フェイジングのイベントはそのターン、単に起こらなくなる。
502.15d フェイズ・インあるいはフェイズ・アウトするパーマネントは、場に出るときや場を離れるときの誘発型能力を誘発させず、どうやって場に出るかを変更する効果を無視する。フェイジングについて特別に明記してある能力や効果だけが変更したり誘発したりする(アンタップ・ステップの間には優先権が発生しないので、フェイジングのイベントによって誘発した能力はアップキープ・ステップの開始時までスタックに積まれない)。
502.15e パーマネントがフェイズ・アウトしたとき、それが受けていたダメージは取り除かれる。
502.15f フェイズ・アウト領域から場に戻ったカードは、場を離れたときのものと同じパーマネントとして扱われる。これは、パーマネントが領域を変更した場合には以前の記憶を「忘れる」という rule 217.1c の例外である。
502.15g パーマネントを参照する、持続時間の定められている効果や遅延誘発型能力は、そのパーマネントがフェイズ・アウトした場合には影響を及ぼしつづけることはできない。一方、それ以外で、そのパーマネントを参照する効果(持続時間の定められていない効果を含む)は、場に戻ってきたときにも影響を与え続ける。
例:《巨大化/Giant Growth》の影響を受けているクリーチャーがフェイズ・アウトした場合、もしそのターンの間に場に戻ってきたとしても、+3/+3の修整を受けることはない。これは、この効果に持続時間が定められているからである。
502.15h フェイズ・アウトしたカードは、以前の状況を「覚えて」いて、同じ状況で場に戻ってくる。上にあったカウンターについて、また最初に場に出たときに行われた選択について、そして場を離れたときに反転していたか、タップ状態であったかどうかも「覚えて」いる。また、フェイズ・アウトしたときに誰がコントロールしていたかも「覚えて」いるけれども、コントロールを奪う効果に持続時間が定められていれば、影響力を失い、異なるプレイヤーのコントロール下で場に出ることになる。
例:《Diseased Vermin》は「あなたのアップキープの開始時に、Diseased Verminによってダメージを受けたことがある対戦相手1人を対象とする。これは、そのプレイヤーにX点のダメージを与える。Xはこの上にある感染カウンターの数である」という能力を持つ。《Diseased Vermin》がフェイズ・アウトしたとき、これにいくつのカウンターが乗っているか、そしてどの対戦相手がこれによってダメージを受けたことがあるかということを「覚えて」いる。フェイズ・インしてきたとき、それらの対戦相手をアップキープ時の誘発型能力の対象にすることができる。
502.15i パーマネントがフェイズ・アウトしたとき、そのパーマネントについている全てのオーラや装備品は同時にフェイズ・アウトする。このフェイズ・アウトする二つめの方法のことを、「間接的に」フェイズ・アウトしたとも言う。「間接的に」フェイズ・アウトしたオーラや装備品は、それ自身ではフェイズ・インしてこないが、それのついているカードがフェイズ・インしてくるときに一緒にフェイズ・インしてくる。
502.15j オーラや装備品が(エンチャントしているパーマネントと一緒にフェイズ・アウトしたのではなく)直接フェイズ・アウトした場合、それは何についていたかを「覚えて」おり、そのパーマネントについて場に戻る。オーラが場に戻った時点でそのパーマネントが場を離れていたり、あるいはエンチャントすることが不正になっていたならば、オーラは場に戻り、そしてその後でオーナーの墓地に置かれる。これは状況起因効果である(rule 420〔状況起因効果〕参照)。装備品が場に戻った時点でそのパーマネントが場を離れていたり、装備することが不正になっていたならば、装備品は場に戻り、何にも装備されないで場に残る。これは状況起因効果である(rule 420〔状況起因効果〕参照)。
502.15k フェイズ・インしたパーマネントはフェイズ・アウトした時持っていたのと同じタイムスタンプを保持する(rule 418.5d、rule 418.5e 参照)。しかしパーマネントが同時にフェイズ・インした事実は変更しない。
502.15m フェイズ・インしてきたパーマネントは速攻を持っているのと同じように攻撃に参加したり、能力をプレイするためにタップしたりできる。これは、そのパーマネントが場に出たターンにフェイズ・アウトし、フェイズ・インしてきた場合にも適用される。このパーマネントは、コントローラーが変わるか場を離れるまで、攻撃に参加したり、能力をプレイするためにタップしたりできる。
502.15n パーマネントを対象とする呪文や能力は、宣言後に対象のパーマネントがフェイズ・アウトし、解決前にフェイズ・インしてきた場合にも通常通りそのパーマネントを対象に解決される。
502.16a バイバックは、ある種のインスタントやソーサリーに存在し、スタックにある間に働く常在型能力2つからなる。「バイバック[コスト]/Buyback [コスト]」は、「あなたは、この呪文をプレイするに際して追加で[コスト]を支払ってもよい」と「バイバック・コストが支払われている場合、この呪文の解決に際し、この呪文をそのオーナーの墓地に置く代わりにそのプレイヤーの手札に戻す」ということを意味する。呪文のバイバック・コストの支払いは、rule 409.1b、rule 409.1f-h に示された追加コストの支払いに関するルールに従う。
502.17a 「馬術/Horsemanship」はポータル三國志に存在する回避能力である。
502.17b 馬術を持つクリーチャーは、馬術を持たないクリーチャーによってブロックされない。馬術を持つクリーチャーは、馬術を持つクリーチャーも持たないクリーチャーもブロックできる。(rule 309〔ブロック・クリーチャー指定ステップ〕参照)
502.18a サイクリングは、サイクリングを持つカードがプレイヤーの手札にあるときにのみ働く起動型能力である。「サイクリング [コスト]/cycling [コスト]」は、「[コスト], 手札からこのカードを捨てる:カードを1枚引く。」ということを意味する。
502.18b サイクリングはそのカードが手札にあるときにしかプレイできないが、オブジェクトが場やその他すべての領域にあるときにも存在しつづける。従って、サイクリングを持つオブジェクトは、1つもしくは多数の起動型能力を持つオブジェクトに影響を及ぼす効果の影響を受ける。
502.18c 土地サイクリング 能力は、サイクリング 能力の一種である。「[土地タイプ]サイクリング [コスト]/[土地タイプ]cycling [コスト]」は「[コスト], このカードをあなたの手札から捨てる:あなたのライブラリーから[土地タイプ]カードを1枚探し、公開してあなたの手札に加える。その後、あなたのライブラリーを切りなおす。」を意味する。いずれかのプレイヤーがカードをサイクリングしたときに誘発するカードは、土地サイクリング 能力がプレイされたときにも誘発する。サイクリングを禁止する効果によって、カードの土地サイクリング 能力のプレイも禁止される。
502.19a エコーは誘発型能力である。「エコー [コスト]/echo [コスト]」と書かれていた場合、それは「あなたのアップキープの開始時に、もしあなたがこのパーマネントのコントロールを、あなたの直前のアップキープより後に得たのであれば、[コスト]を支払わない限りこれを生け贄に捧げる」ということを意味する。
502.20a 消散は2つの能力を表すキーワードである。「消散 N/Fading N」は、「このパーマネントは、その上に消散カウンターがN個置かれた状態で場に出る」「あなたのアップキープの開始時、このパーマネントの上から消散カウンターを1個取り除く。消散カウンターを取り除けないなら、このパーマネントを生け贄に捧げる」ということを意味する。
502.21a キッカーはその呪文がスタックに積まれている間に働く常在型能力である。「キッカー [コスト]/Kicker [コスト]」は、「この呪文をプレイするに際し、あなたはさらに[コスト]を支払ってもよい」ということを意味する。「キッカー [コスト1]/[コスト2]/Kicker [コスト1] and/or [コスト2]」は、「キッカー [コスト1], キッカー [コスト2]」というのと同じである。呪文のキッカー・コストの支払いは、rule 409.1b、rule 409.1f に示された追加コストの支払いに関するルールに従う。
502.21b キッカーを持つオブジェクトは、キッカー・コストが支払われたときに起こることを特定する、追加の能力を持っている。複数のキッカー・コストを持つオブジェクトは、それぞれのキッカー・コストに対応する 能力を持っている。
502.21c キッカー・コストが支払われたときについてのそのテキストがパーマネントやプレイヤーを対象とする場合、呪文のコントローラーはその該当するキッカー・コストを支払うという意志を宣言したときにのみその対象を選ぶ。そうでなければ、その対象の選択は行われない。
502.21d [コスト1]と[コスト2]の複数のキッカー・コストを持つカードは、「[コスト1]のキッカー・コストを支払った場合には/if the [コスト1] kicker cost was paid」と「[コスト2]のキッカー・コストを支払った場合には/if the [コスト2] kicker cost was paid」という語句を含んでいる。この文章は、単にそれぞれのキッカー・コストを意味しているだけであり、実際にどれだけのコストが支払われたかは関係ない。言い換えると、「[コスト1]のキッカー・コストを支払った場合には」とは「1番めに表記されているキッカー・コストを支払った場合には」という意味であり、「[コスト2]のキッカー・コストを支払った場合には」とは「2番めに表記されているキッカー・コストを支払った場合には」という意味である。
502.22a フラッシュバックは、ある種のインスタントやソーサリー・カードに存在する、2つの常在型能力を表すキーワードであり、その1つはそのカードが墓地にある間に働き、もう1つはそのカードがスタックにある間に働く。「フラッシュバック [コスト]/Flashback [コスト]」は、「このカードのマナ・コストを払うのではなく[コスト]を支払うことで、あなたはこのカードを墓地からプレイしてもよい」「フラッシュバック・コストが支払われている場合、このカードがスタックから離れる場合、他の場所に移動させるかわりにゲームから取り除く」ということを意味する。フラッシュバック 能力を使って呪文をプレイすることは、rule 409.1b、rule 409.1f-h の代替コストを支払うことに関するルールに従う。
502.23a スレッショルドは、以前はキーワード能力であったが、今は能力語であり、ルール上の意味は存在しない。スレッショルドのキーワード能力を持っていたカードについては、訂正が出されている。オラクルを参照のこと。
502.24a マッドネスは二つの能力からなる。一つは、カードが手札にあるときに影響を与える常在型能力、もう一つは、一番目の能力が適用されたときに発生する誘発型能力である。「マッドネス [コスト]/Madness [コスト]」は、「いずれかのプレイヤーがこのカードを捨てようとする場合、そのカードは捨てられるが、そのカードを墓地に置く代わりにゲームから取り除いてもよい」と「このカードがこの方法でゲームから取り除かれたとき、そのオーナーは、マナ・コストではなく[コスト]を支払うことでこのカードをプレイしてもよい。そうしない場合、そのプレイヤーはこのカードを自分の墓地に置く」の二つの意味を持つ。
502.24b マッドネス能力で呪文をプレイする場合は、rule 409.1b および rule 409.1f の代替コストのルールに従う。
502.26a 変異は、その能力を持つカードをプレイできる時ならいつでも働く常在型能力であり、その効果は、そのカードが裏向きである時ならいつでも働く。「変異 [コスト]/Morph [コスト]」は、「あなたはこのカードを、本来のマナ・コストではなく{3}を支払うことで、裏向きで2/2の、テキストや名前やクリーチャー・タイプやエキスパンション・シンボル、マナ・コストを持たないクリーチャーとしてプレイできる。」という意味である。そのコントローラーは、インスタントをプレイできる時ならいつでもその裏向きのパーマネントの変異 コストを公開し、それを支払って表にすることができる。この行動はスタックを使わない(rule 504〔裏向きの呪文やパーマネント〕参照)。
502.26b 変異 能力を使ってカードをプレイするには、まずそれを裏向きにする。それは、テキストや名前やクリーチャー・タイプやエキスパンション・シンボル、マナ・コストを持たない、2/2の裏向きのクリーチャー カードとなる。これらの値はオブジェクトの特性のコピー可能な値である(rule 418.5〔継続的効果の相互作用〕参照)。それを(同じ特性を持つ裏向きの呪文として)スタックに置き、本来のマナ・コストではなく{3}を支払う。これは、代替コストのルールに則って処理される。変異 能力を持つカードを呪文としてプレイすることができる領域ならどの領域からでも、変異 能力を使ってカードをプレイできる。その呪文が解決されたとき、それは呪文のときと同じ特性をもったまま場に出る。変異の効果は、このパーマネントが裏向きである場合常に適用され、表向きになったときに終わる。
502.26c 変異 能力を持たないカードを裏向きにプレイすることはできない。
502.26d あなたがインスタントをプレイできるときならいつでも、あなたは裏向きのパーマネントを表向きにしてよい。そうするには、そのパーマネントのその効果が終わる時点での変異 コストが何であるかをすべてのプレイヤーに示し、それを支払い、そのパーマネントを表向きにする。変異の効果は終了し、その通常の特性を取り戻す。そのパーマネントが場に出たときに誘発される能力は、表向きになったときには誘発されず、効果を発揮しない。そのパーマネントはすでに場に出ているからである。
502.26e 表向きのパーマネントが呪文や能力によって裏向きになった場合、それは裏向きで2/2の、テキストや名前やクリーチャー・タイプやエキスパンション・シンボル、マナ・コストを持たないクリーチャーになる。これらの特性はコピー可能な値となる(rule 418.5〔継続的効果の相互作用〕およびrule 503〔オブジェクトのコピー〕参照)。また、変異と裏向きのクリーチャーに関するルールが通常通り適用される。
502.26f 変異 能力を持つカードのプレイに関する詳細については、rule 504〔裏向きの呪文やパーマネント〕を参照のこと。
502.27a 増幅は常在型能力である。「増幅 N/Amplify N」は、「このオブジェクトが場に出るに際し、あなたの手札にあるそのオブジェクトと同じクリーチャー・タイプを持つカードを望む枚数公開する。このパーマネントは、これにより公開されたカード1枚につきN個の+1/+1カウンターが置かれた状態で場に出る。このカード自身や、このカードと同時に場に出る カードを公開することはできない。」という意味である。
502.28a 「二段攻撃/Double Strike」は、戦闘ダメージ・ステップのルールを変更する常在型能力である。(rule 310〔戦闘ダメージ・ステップ〕参照
502.28b 戦闘ダメージ・ステップの開始時、少なくとも1体の攻撃クリーチャーまたはブロック・クリーチャーが二段攻撃か先制攻撃を持っている場合、二段攻撃も先制攻撃(rule 502.2〔先制攻撃〕参照)も持たないクリーチャーは戦闘ダメージを割り振らない。戦闘終了ステップに進む代わりに、第2戦闘ダメージ・ステップが行なわれ、残りのクリーチャーからのダメージを処理する。第2戦闘ダメージ・ステップの間には、残存する攻撃・ブロック クリーチャーのうちで第1戦闘ステップで戦闘ダメージを割り振らなかったものと、二段攻撃を持つものがそれぞれの戦闘ダメージを割り振る。
502.28c 第1戦闘ダメージ・ステップの間にクリーチャーから二段攻撃を取り除いた場合、そのクリーチャーは第2戦闘ダメージ・ステップではダメージを割り振らない。
502.28d 第1戦闘ダメージ・ステップに先制攻撃の戦闘ダメージをスタックに置いた後で先制攻撃を持つクリーチャーに二段攻撃を与えた場合、そのクリーチャーは、すでに第1戦闘ダメージ・ステップで戦闘ダメージを割り振っていたとしても、第2戦闘ダメージ・ステップでダメージを割り振る。
502.29a 挑発は誘発型能力である。「挑発/Provoke」は「このクリーチャーが攻撃に参加するたび、あなたは『防御プレイヤーがコントロールしているクリーチャー1体を対象とする。それはこの戦闘の間、可能ならこのクリーチャーをブロックする。』を選んでもよい。そうした場合、そのクリーチャーをアンタップする。」を意味する。
502.30a ストームは、呪文がスタックにある間に機能する誘発型能力である。「ストーム/Storm」は「あなたがこの呪文をプレイしたとき、このターン、この呪文より前にプレイされた呪文1つにつき、この呪文のコピーを1つスタックに置く。この呪文が対象を取る場合、あなたはそれぞれのコピーの対象を選びなおしてもよい。」を意味する。
502.31a 親和は呪文がスタックにある間に機能する常在型能力である。「親和(テキスト)/Affinity for (テキスト)」は、「この呪文をプレイするためのコストは、あなたがコントロールする[テキスト]1つにつき{1}少なくなる。」を意味する。
502.31b 親和 能力は、汎用マナ・コストのみを減らす。それは呪文のために支払う 色 マナを減らさない。親和 能力により、呪文をプレイするためのコストが0未満になることはない。
502.32a 双呪は呪文がスタックにある間に機能する常在型能力である。「双呪 [コスト]/Entwine [コスト]」は、「あなたは、この呪文のモードを一つだけ選ぶ代わりに、すべてのモードを選んでもよい。そうしたなら、あなたは[コスト]を追加で支払う。」を意味する。双呪 能力の使用に際しては、rule 409.1b、および rule 409.1f〜hの、モードの選択と追加コストの支払いのルールに従う。
502.32b 双呪 コストが支払われたなら、呪文の解決時に、カードに書かれたテキストの順番に従って各モードを解決する。
502.33a 装備はアーティファクト ─ 装備品 カードの起動型能力である。「装備 [コスト]/Equip [コスト]」は、「[コスト]:あなたがコントロールするクリーチャー1体を対象とし、この装備品をそれにつける。この能力は、あなたがソーサリーをプレイできるときにのみプレイできる。」を意味する。
502.33b 装備品に関する更なる解説は、rule 212.2〔アーティファクト〕を参照。
502.34a 刻印は起動型または誘発型能力で、「刻印 ─ [テキスト]/Imprint ─ [テキスト]」と表記される。この[テキスト]は、起動型または誘発型の能力である。この刻印 能力によってゲームから取り除かれているカードは、その能力の発生源に刻印されている。
502.34b 「刻印されている[タイプ]カード/imprinted [タイプ] card」は、現在そのパーマネントに刻印されているそのタイプのカードを意味する。パーマネントにそのタイプのカードが複数刻印されている場合、そのそれぞれが「刻印されている[タイプ]カード/imprinted [タイプ] card」である。
502.35a 接合というキーワードは、常在型能力と誘発型能力の2つの能力を表す。「接合 N/Modular N」とは、「このパーマネントは、N個の+1/+1カウンターを置かれた状態で場に出る。」と、「このパーマネントが場から墓地に置かれたとき、アーティファクト・クリーチャー1体を対象とする。あなたはそれに、このパーマネントに置かれていた+1/+1カウンター1個につき1個の+1/+1カウンターを置いてもよい。」を意味する。
502.36a 占術は、呪文や能力の解決時に機能する常在型能力である。「占術 N/Scry N」は、「あなたのライブラリーの一番上からN枚のカードを見る。それらのうち望む枚数のカードをあなたのライブラリーの一番下に望む順番で置き、残りをあなたのライブラリーの一番上に望む順番で置く。」を意味する。
502.37a 烈日は、オブジェクトがスタックから場に出る際に機能する常在型能力である。「烈日/Sunburst」は、「このオブジェクトがスタックからクリーチャーとして場に出る場合、それは、それのコストのために支払われたマナの色1色につき1個の+1/+1カウンターが置かれた状態で場に出る。このオブジェクトがスタックから場に出、クリーチャーとしては場に出ない場合、それは、それのコストのために支払われたマナの色1色につき1個の蓄積カウンターが置かれた状態で場に出る。」を意味する。
502.37b 烈日は、呪文の解決中、1色以上の色 マナがそれのコストに支払われた時にのみ適用される。追加コストや代替コストで支払われたマナも適用される。
502.37c 烈日によって、他の能力にある定数を設定させることがありうる。このキーワードがそうして使われていた場合、その能力を持つカードがクリーチャーかどうかは考慮しない。
例:「接合 ─ 烈日」という記述は、「このパーマネントは、それのコストのために支払われたマナの色1色につき1個の+1/+1カウンターが置かれた状態で場に出る。」と「このパーマネントが場から墓地に置かれたとき、アーティファクト・クリーチャー1体を対象とする。あなたはそれに、このパーマネントに置かれていた+1/+1カウンター1個につき1個の+1/+1カウンターを置いてもよい。」の2つの能力を意味する。
502.38a 武士道は誘発型能力である。「武士道 N/Bushido N」は「このクリーチャーがブロックに参加するかブロックされた状態になるたび、それはターン終了時まで+N/+Nの修整を受ける。」を意味する(rule 309〔ブロック・クリーチャー指定ステップ〕参照)。
502.39a 転生は誘発型能力である。「転生 N/Soulshift N」は、「このパーマネントが場から墓地に置かれたとき、あなたの墓地にある点数で見たマナ・コストがN以下のスピリット・カード1枚を対象とする。あなたはそれをあなたの手札に戻してもよい。」を意味する。
502.40a 連繋は、カードが手札にあるときに機能する常在型能力である。「連繋([タイプまたはサブタイプ]) [コスト]/Splice onto [タイプまたはサブタイプ] [コスト]」は「あなたが[タイプまたはサブタイプ]の呪文をプレイするに際し、あなたはこのカードを手札から公開してもよい。そうした場合、このカードの文章欄をその呪文の文章欄にコピーし、その呪文の追加コストとして[コスト]を支払う。」を意味する。連繋 コストの支払いに関するルールは、rule 409.1b および 409.1f-h の追加コストの支払いに関するルールに従う。
例:連繋したカードはプレイヤーの手札に残るので、後に普通に使用したり、他の呪文に連繋したりすることができる。そのカードは、連繋された呪文に「カードを1枚捨てる」という追加コストがある場合、コストとして捨てることもできる。
502.40b カードの必要な選択(対象など)を行なえない場合、連繋 能力を使うことを選ぶことはできない。同一の呪文に複数回、同じカードを連繋することはできない。複数のカードを連繋したい場合、それら全てを同時に公開し、どの順番で処理を行なうかを宣言する。元の呪文の効果を最初に処理すること。
502.40c 呪文はメインの呪文の特性を持ち、さらに連繋した各カードの文章欄を持つ。呪文は連繋したカードの他の特性(カード名、マナ・コスト、色、サブタイプ、タイプ、特殊タイプなど)を得ない。コピーされた文章中で、カード名によってカードを示している部分は、そのコピー元のカードではなく、スタック上にある呪文のことを指す。
例:《氷河の光線/Glacial Ray》は連繋(秘儀)を持つ赤のカードであり、「クリーチャー1体またはプレイヤー1人を対象とする。《氷河の光線》はそれに2点のダメージを与える」という効果を持つ。《氷河の光線》を、青の呪文である《霧中の到達/Reach Through Mists》に連繋したとする。この場合、呪文はやはり青で、ダメージを与えるのは《霧中の到達》である。従って、プロテクション(赤)を持つクリーチャーを対象とし、それに2点のダメージを与えることができる。
502.40d 追加されたテキストの対象は通常通り選択する(409.1c参照)。1つ以上の対象を持つ呪文の対象が解決時にすべて不正になった場合、呪文自体が打ち消されることに注意。
502.40e 呪文はスタックを離れた(打ち消された、ゲームから取り除かれた、解決されたなど)時点で、連繋による変更を失う。
502.42a 「献身/Offering」はそのカードをプレイできる領域にある間に働く常在型能力である。「献身([文章])/[Text] offering」は「あなたはこのカードを、あなたがインスタントをプレイできるときならいつでも[文章]であるパーマネントを生け贄に捧げることでプレイできる。そうした場合、このカードをプレイするためのコストは生け贄に捧げられたパーマネントのマナ・コスト分だけ減少する」ということを意味する。
502.42b パーマネントは、呪文のプレイを宣言するのと同時に生け贄に捧げられる(rule 409.1a 参照)。呪文の総コストは、生け贄に捧げられたパーマネントのマナ・コスト分だけ減少する(rule 409.1f 参照)。
502.42c 生け贄に捧げられたパーマネントのマナ・コストに含まれる不特定マナは、献身 能力でプレイされるカードの総コストに含まれる不特定マナを減少させる。生け贄に捧げられたパーマネントのマナ・コストに含まれる色つきのマナは、献身 能力でプレイされるカードの総コストに含まれるその色のマナを減少させる。生け贄に捧げられたパーマネントのマナ・コストに含まれる色 マナで、献身 能力でプレイされるカードの総コストの色 マナと一致しない、あるいはその色 マナよりも多い部分は、総コストの不特定マナを減少させる。
502.43a 忍術は、忍術 能力を持つカードがプレイヤーの手札にあるときにのみ機能する起動型能力である。「忍術 [コスト]/Ninjutsu [コスト]」は、「[コスト], このカードをあなたの手札から公開する, あなたがコントロールするブロックされていない 攻撃クリーチャー1体をオーナーの手札に戻す:このカードをあなたの手札からタップ状態で攻撃に参加した状態で場に出す。」を意味する。
502.43b 忍術を持つカードは、能力が宣言された時点から能力がスタックを離れるまでの間、公開されたままである。
502.43c 忍術 能力は、場に出ているいずれかのクリーチャーがブロックされていない(rule 309.2f 参照)ときにのみプレイできる。忍術を持つクリーチャーはブロックされていない状態で場に出、オーナーの手札に戻されたクリーチャーが攻撃したのと同じプレイヤーを攻撃していることになる。
502.44a 歴伝は、常在型能力と遅延誘発型能力の両方を意味する。「歴伝/Epic」は、「残りのゲームの間、あなたは呪文をプレイできない。」と「あなたの各アップキープの開始時に、この呪文を歴伝 能力を除いてコピーする。その呪文が対象をとる場合、あなたはその呪文の新しい対象を選んでもよい。」を意味する。呪文のコピーに関しては rule 503.10 参照。
502.44b プレイヤーは自分がコントロールする歴伝 呪文が解決されたらもう呪文をプレイすることはできないが、(歴伝の能力自身のように)効果により呪文のコピーをスタックに置くことはできる。
502.45a エンチャントは、「エンチャント [パーマネントまたはプレイヤー]/Enchant [パーマネントまたはプレイヤー]」と書かれる常在型能力である。エンチャント能力は、オーラ 呪文が対象に取れるものと、オーラがエンチャントできるものを特定する。
502.45b オーラに関しては、rule 212.4〔エンチャント〕を参照。
502.45c オーラが複数のエンチャント能力を持っている場合、それらの全てが適用される。オーラの対象は、それら全ての制限に従わなければならない。オーラは全てのエンチャント能力に適合するパーマネントまたはプレイヤーにしかエンチャントできない。
502.45d プレイヤーをエンチャントできるオーラは、プレイヤーを対象にでき、プレイヤーにつけられる。その種のオーラはパーマネントを対象にせず、パーマネントにつけられることはない。「エンチャント(プレイヤー)」あるいは「エンチャント(対戦相手)」を持つオーラに関して、rule 212.4d から rule 212.4k は、パーマネントという記述をプレイヤーと読み換えて適用される。
502.46a 召集は、それを持つ呪文がスタック上にあるときに機能する常在型能力である。「召集/Convoke」は「この呪文をプレイする際の追加コストとして、あなたはあなたがコントロールするアンタップ状態のクリーチャーを望む数だけタップしてもよい。これによりタップされた各クリーチャーにつき、この呪文をプレイするためのコストは、{1}かそのクリーチャーの色のマナ1点分少なくなる。」を意味する。召集 能力の使用は、rule 409.1b や rule 409.1f〜rule 409.1h の追加コストに関するルールに従う。
例:あなたは《ヴィトゥ=ガジーの守護者/Guardian of Vitu-Ghazi》をプレイしようとしている。これは召集を持つ{6}{G}{W}の呪文である。あなたはこの呪文の支払いの補助として、アーティファクト・クリーチャー1体と赤のクリーチャー1体と緑白のクリーチャー1体をタップすることにした。アーティファクト・クリーチャーと赤のクリーチャーはそれぞれ呪文のコストを{1}減らす。緑白のクリーチャーで減らす呪文のコストは、{1}か{G}か{W}のどれかを選ぶ。その後、それらのクリーチャーはあなたが《ヴィトゥ=ガジーの守護者/Guardian of Vitu-Ghazi》のコストを支払う際にタップされる。
502.47a 発掘は、発掘を持つカードがプレイヤーの墓地にある間にのみ機能する常在型能力である。「発掘 N/Dredge N」は「あなたのライブラリーに少なくともN枚のカードがあるかぎり、あなたがカードを引く場合、代わりに あなたは自分のライブラリーの一番上からN枚のカードを自分の墓地に置いてもよい。そうしたならこのカードをあなたの墓地からあなたの手札に戻す。」を意味する。
502.47b 自分のライブラリーに、発掘 能力が必要とする枚数だけのカードがないプレイヤーは、発掘 能力によって自分の墓地にカードを置くことはできない。
502.48a 変成は、変成 能力を持つカードがプレイヤーの手札にあるときにのみ機能する起動型能力である。「変成 [コスト]/Transmute [コスト]」は「[コスト], このカードを捨てる:あなたのライブラリーから、捨てたカードと同じ点数で見たマナ・コストのカードを1枚探し、そのカードを公開してあなたの手札に加える。その後あなたのライブラリーを切り直す。この能力は、あなたがソーサリーをプレイできるときにのみプレイできる。」を意味する。
502.48b 変成 能力はそのカードがプレイヤーの手札にあるときにのみプレイできるものであるが、それはそのオブジェクトが場やその他の領域にある間も存在し続ける。したがって、変成を持つオブジェクトは、オブジェクトが1つ以上の能力を持つかどうかに依存する効果の影響を受ける。
502.50a 狂喜は常在型能力である。「狂喜 N/Bloodthirst N」は「このターン、いずれかの対戦相手にダメージが与えられている場合、このパーマネントは+1/+1カウンターがN個置かれた状態で場に出る。」を意味する。
502.50b 「狂喜 X/Bloodthirst X」は狂喜の特殊な形である。「狂喜 X」は「このターン、いずれかの対戦相手にダメージが与えられている場合、このクリーチャーは+1/+1カウンターをX個置かれた状態で場に出る。Xはこのターンに対戦相手に与えられたダメージの総数に等しい。」を意味する。
502.51a 憑依はゲーム外領域から他の誘発型能力を発生させる誘発型能力である。パーマネント上の「憑依/Haunt」は「このパーマネントが場からいずれかの墓地に置かれたとき、クリーチャー1体を対象とする。このカードをゲームから取り除き、そのクリーチャーに憑依する。」を意味する。インスタント 呪文やソーサリー 呪文上の「憑依/Haunt」は「この呪文が解決中にいずれかの墓地に置かれたとき、クリーチャー1体を対象とする。このカードをゲームから取り除き、そのクリーチャーに憑依する。」を意味する。
502.51b 憑依 能力の結果としてゲーム外領域にあるカードは、その能力によって対象となったクリーチャーに『憑依している』。『憑依しているクリーチャー』とは、憑依 能力の対象となったオブジェクトのことを指す。そのオブジェクトがクリーチャーであるかどうかは関係しない。
502.52a 複製は二つの能力を表すキーワードである。一つ目は、呪文がスタック上にある間に機能する常在型能力である。二つ目は、呪文がスタック上にある間に機能する誘発型能力である。「複製 [コスト]/Replicate [コスト]」は「この呪文をプレイする際の追加コストとして、あなたは[コスト]を望む回数支払ってもよい。」と「この呪文をプレイしたとき、複製 コストが支払われていた場合、それを複製 コストが支払われた回数に等しい回数だけコピーする。その呪文が対象をとるなら、あなたはそのコピーのうち望む数の対象を新たに選んでもよい。」を意味する。呪文の複製 コストを支払う行為は、rule 409.1b や rule 409.1f-h の追加コストの支払いのルールに従う。
502.52b 呪文が複数の複製 能力を持つ場合、それぞれは別々に支払われ、他を含まない各複製自身に対する支払いを基準として誘発する。
502.53a 予見 能力は、プレイヤーの手札からのみプレイできる特殊な起動型能力である。表記は「予見 ― [起動型能力]/Forecast ― [起動型能力]」である。
502.53b 予見 能力は、そのコントローラーのアップキープ・ステップにのみ、各ターン1回のみプレイできる。予見 能力のコントローラーは、能力をプレイする際に、その能力を持つカードを手札から公開する。手札のカードでプレイしたプレイヤーは、アップキープ・ステップが終了するか、そのカードが手札を離れるか、いずれかが発生するまで公開したままにする。
502.54a 移植は、常在型能力と誘発型能力の両方を意味する。「移植 N/Graft N」は「このパーマネントは、N個の+1/+1カウンターが置かれた状態で場に出る。」と「他のクリーチャーが場に出るたび、このパーマネントの上に+1/+1カウンターがある場合、あなたはこのパーマネントの上の+1/+1カウンターを1個、そのクリーチャーの上に移動してもよい。」を意味する。
502.55a 復活は、復活を持つカードがいずれかのプレイヤーの墓地にある間にのみ機能する誘発型能力である。「復活 [コスト]/Recover [コスト]」とは「いずれかのクリーチャーが場からあなたの墓地に置かれたとき、あなたは[コスト]を支払ってもよい。そうした場合、このカードをあなたの墓地からあなたの手札に戻す。そうしない場合、このカードをゲームから取り除く。」を意味する。
502.56a 波及は、波及を持つカードがスタック上にある間にのみ機能する誘発型能力である。「波及 N/Ripple N」は「あなたがこの呪文をプレイしたとき、あなたは自分のライブラリーの一番上からN枚、あるいはあなたのライブラリーのカードがN枚未満の場合、あなたのライブラリーのすべてのカードを公開してもよい。これによりあなたのライブラリーのカードを公開した場合、あなたはそれらのカードのうち、この呪文と同じ名前のカードを好きな枚数だけマナ・コストを支払わずにプレイしてもよい。その後これにより公開されてプレイされなかったすべてのカードを、あなたのライブラリーの一番下に望む順番で置く。」を意味する。
502.57a 瞬速は、その能力を持つカードをプレイすることのできるあらゆる領域で機能する常在型能力である。「瞬速/Flash」は、「あなたはこの呪文を、あなたがインスタントをプレイできるときならいつでもプレイしてよい。」ということを意味する。
502.58a 刹那は、刹那を持つ呪文がスタック上にある間にのみ機能する常在型能力である。「刹那/Split second」は「この呪文がスタックにあるかぎり、プレイヤーは呪文やマナ能力でない起動型能力をプレイできない。」ということを意味する。
502.59a 待機は三つの能力を表すキーワードである。第一は、待機を持つカードがプレイヤーの手札にある間に機能する常在型能力である。第二と第三は、ゲーム外領域で機能する誘発型能力である。「待機 N―[コスト]/Suspend N ─ [cost]」は「あなたがこのカードを手札からプレイできる場合、あなたは[コスト]を支払ってこのカードをゲームから取り除き、その上にN個の時間カウンターを置いてもよい。この行動はスタックを使わない。」と「あなたのアップキープの開始時に、このカードが待機状態である場合、それの上から時間カウンターを1個取り除く。」と「このカードから最後の時間カウンターが取り除かれたとき、それがゲーム外にある場合、可能ならそれをマナ・コストを支払わずにプレイする。そうできない場合、それはゲーム外に残る。これによりそれをプレイして、なおかつそれがクリーチャーである場合、それはあなたがその呪文またはパーマネントのコントロールを失うまで速攻を持つ。」ということを意味する。
502.59b あるカードは、それがゲーム外領域にあり、待機を持ち、その上に時間カウンターが置かれている場合、「待機状態/suspended」である。
502.59c 待機 能力の効果により呪文をプレイすることは、rule 409.1b、rule 409.1f-h の代替コストの支払いのルールに従う。
502.60a 消失は三つの能力を表すキーワードである。「消失 N/Vanishing N」とは「このパーマネントは、N個の時間カウンターが置かれた状態で場に出る。」と「あなたのアップキープの開始時に、このパーマネントの上に時間カウンターが置かれている場合、それの上から時間カウンターを1個取り除く。」と「このパーマネントの上から最後の時間カウンターが取り除かれたとき、それを生け贄に捧げる。」を意味する。
502.60b 数値を持たない消失は「あなたのアップキープの開始時に、このパーマネントの上に時間カウンターが置かれている場合、それの上から時間カウンターを1個取り除く。」と「このパーマネントの上から最後の時間カウンターが取り除かれたとき、それを生け贄に捧げる。」を意味する。
503.1. コピー・カードは、呪文、パーマネント、あるいはカードの「コピー」を生成する、あるいは「コピー」になるカードである(古いカードの中には「コピーを探す/search for a copy」という語句があるものがあるが、この節ではそれについては扱わない。また、それらのカードはオラクルで修正されている)。
503.2. オブジェクトをコピーする場合、そのコピーは、元のオブジェクトの特性(名前、マナ・コスト、色、タイプ、特殊タイプ、サブタイプ、エキスパンション・シンボル、ルール・テキスト、パワー、タフネス)のコピー可能な値を得る。さらに、スタックにあるオブジェクトの場合、プレイ時に行なわれた選択(モード、対象、Xの値、キッカー・コストを支払ったかどうか、複数の対象にどのように影響を与えるか、など)もコピーする。オブジェクトの「コピー可能な値」とは、オブジェクトに印刷されている値に、コピー 効果、「〜として場に出る/comes into play as」の能力による影響、呪文やパーマネントを裏向きにする能力の影響を加味したものである。それ以外の(タイプを変更するようなものも含む)効果、位相、カウンターはコピーされない。
例:《キマイラ杖/Chimeric Staff》は「{X}:ターン終了時まで、《キマイラ杖》はX/Xのアーティファクト・クリーチャーになる」というアーティファクトであり、《クローン/Clone》は「《クローン》が場に出るに際し、あなたは場に出ているクリーチャー1体を選んでもよい。 そうした場合、《クローン》はそのクリーチャーのコピーとして場に出る。」というクリーチャーである。《キマイラ杖》が5/5のアーティファクト・クリーチャーになった後で、《クローン》がそれのコピーとして場に出た場合、《クローン》は5/5のアーティファクト・クリーチャーではなく、単なるアーティファクトとして場に出る(そのコピーは《キマイラ杖》の能力を持っているので、その能力を起動してクリーチャーになることはできる)。
例:《クローン/Clone》が、裏向きの《にやにや笑いの悪魔/Grinning Demon》(変異{2}{B}{B}を持つクリーチャー)のコピーとして場に出るとする。この場合、《クローン》は無色の2/2で、名前、タイプ、能力、マナ・コストを持たないクリーチャーとして場に出る。ただし、表向きであり、{2}{B}{B}を支払って表向きになることはできない。
503.3. コピーのコピー可能な情報は、そのコピーの位相によって修整された、コピーされた情報である。そのコピーを他のオブジェクトがコピーした場合には、新しいコピー可能な情報を用いる。
例:《ヴェサヴァン・ドッペルゲンガー/Vesuvan Doppelganger》は「《ヴェサヴァン・ドッペルゲンガー》が場に出るに際し、場にあるクリーチャーを選んでもよい。そうした場合、《ヴェサヴァン・ドッペルゲンガー》はその色を除いて、そのクリーチャーのコピーとなり、『あなたのアップキープの開始時に、このクリーチャーを色を除いて、他のクリーチャーのコピーとしてもよい。そうした場合、このクリーチャーはこの能力を得る』という能力を得る」という能力を持つ。《ヴェサヴァン・ドッペルゲンガー》が《灰色熊/Grizzly Bears》(能力を持たない2/2の緑のクリーチャー)のコピーとして場に出た。その後で、《クローン/Clone》がその《ヴェサヴァン・ドッペルゲンガー》のコピーとして場に出た場合には、《クローン》は2/2の青で、クリーチャー・タイプが「Bear/熊」の《灰色熊》となり、《ヴェサヴァン・ドッペルゲンガー》のアップキープ 誘発型能力を持つ。
例:《暴く者、智也/Tomoya the Revealer》(反転状態の反転カード)が《鼠の短牙/Nezumi Shortfang》(反転していない反転カード)のコピーになった場合、《暴く者、智也》の特性は《鼠の短牙》の反転した状態である《憎まれ者の傷弄り/Stabwhisker the Odious》の特性となる。
例:裏向きの《にやにや笑いの悪魔/Grinning Demon》(変異つきクリーチャー)が、表向きの《枝折りロリアン/Branchsnap Lorian》(4/1で変異{G}とトランプルを持つ緑のクリーチャー)のコピーとなった場合、その《にやにや笑いの悪魔》の特性は《枝折りロリアン》のものになるが、そのクリーチャーは裏向きなので、2/2の無色で名前やタイプや能力やマナ・コストをもたないクリーチャーのままである。{G}で表向きになることができ、表向きになると《枝折りロリアン》の特性を持つ。
例:裏向きの《にやにや笑いの悪魔》(変異つきクリーチャー)が《さまようもの/Wandering Ones》(1/1のスピリット・クリーチャーで変異をもたない)のコピーになった場合、裏向きの《さまようもの》なので、2/2の無色で名前やタイプや能力やマナ・コストをもたないクリーチャーのままである。変異を持たないので、特別な行動で表向きになることはできない。効果によって表向きになった場合には、《さまようもの》の特性を持つ。
503.4. パーマネントをコピーしているパーマネントが場にある間、それを他のパーマネントのコピーにするという効果が存在する。その変化は場に出たときの能力や場を離れたときの能力を誘発させないし、すでに存在している、そのパーマネントに影響を及ぼす効果を変更することもない。
例:《不定の多相の戦士/Unstable Shapeshifter》は「クリーチャーが場に出るたび、《不定の多相の戦士》はそのクリーチャーのコピーとなり、この能力を得る」という能力を持つ。《不定の多相の戦士》が、「クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+3/+3の修整を受ける」という効果を持つ《巨大化/Giant Growth》の影響を受けている時に他のクリーチャーが場に出た場合、《不定の多相の戦士》はそのクリーチャーのコピーとなるが、《巨大化》による+3/+3の影響は残る。
503.5. 他のパーマネントの「コピーとして」場に出る オブジェクトは、場に出るに際してそのパーマネントのコピーとなる。場に出てからそのパーマネントのコピーになるわけではない。コピーが、(「〜状態で場に出る/comes into play with」や「[これ]が場に出るに際し/as [これ] comes into play」などの)場に出る イベントを置換する能力を得ていた場合、それらの能力は効果を発揮する。また、そのコピーが持つあらゆる場に出たときの誘発型能力も誘発する機会がある。
例:《スカイシュラウドのビヒモス/Skyshroud Behemoth》は「消散2(このクリーチャーは、その上に消散カウンターが2個置かれた状態で場に出る。あなたのアップキープの開始時、そのクリーチャーの上から消散カウンターを1個取り除く。消散カウンターを取り除けないなら、そのクリーチャーを生け贄に捧げる。)」と「《スカイシュラウドのビヒモス》は、タップ状態で場に出る」という能力を持つ。《クローン/Clone》が、《スカイシュラウドのビヒモス》のコピーとして場に出る場合、消散カウンターが2個置かれて、タップ状態で場に出る。
例:《シマクマ/Striped Bears》は「シマクマが場に出たとき、カードを1枚引く」という能力を持っている。《クローン》が《シマクマ》のコピーとして場に出るとき、《クローン》は《シマクマ》の場に出るときの誘発型能力を持っているので、《クローン》のコントローラーはカードを1枚引く。
503.6. パーマネントをコピーするとき、そのパーマネントに関して行なわれた選択はコピーされない。あるオブジェクトが他のパーマネントのコピーとして場に出る場合、そのオブジェクトのコントローラーが、全ての「場に出るに際し」ての選択を行なう。
例:《クローン/Clone》が《カメレオン・スピリット/Chameleon Spirit》のコピーとして場に出る。《カメレオン・スピリット》は「カメレオン・スピリットが場に出るに際し、色を1色選ぶ」という能力を持つ。この《クローン》は、《カメレオン・スピリット》の行っていた色の選択についてはコピーしないで、《クローン》のコントローラーが改めてその選択を行なう。
503.7. パーマネントに関して行なわれた選択はコピーされないので、コピー・カードは、行われていない選択に基づく能力を得ることがある。その場合、その選択は「未定義」として扱われる。能力が未定義の値を用いようとする場合、その能力のその部分は効果を持たない。
例:《万物の声/Voice of All》が場に出て、《不定の多相の戦士/Unstable Shapeshifter》がそれをコピーしている。《万物の声/Voice of All》は「《万物の声》が場に出るに際し、色を1色選ぶ。」と「《万物の声》は、選んだ色に対するプロテクションを持つ」という能力を持つ。《不定の多相の戦士》は《万物の声》として場に出ることはなく、従って色を選択する機会がないので、《不定の多相の戦士》のプロテクション 能力はまったく意味をなさない。
503.8. プレイヤーにそのコピーが場に出たときの選択を行わせる能力が存在する場合、そのコピーはその選択を覚えており、その値が適切ならば、能力に使おうとする。もし適切でなければ、それは「未定義」として扱われる。能力が未定義の値を用いようとする場合、その能力のその部分は効果を持たない。
例:《ヴェサヴァン・ドッペルゲンガー/Vesuvan Doppelganger》が《カメレオン・スピリット/Chameleon Spirit》のコピーとして場に出る時、《ヴェサヴァン・ドッペルゲンガー》のコントローラーが青を選択し、後で、《ヴェサヴァン・ドッペルゲンガー》が《クウィリーオン・エルフ/Quirion Elves》のコピーとなったとする。《クウィリーオン・エルフ》は「{Tap}:あなたのマナ・プールに、選んだ色のマナ1点を加える」という能力を持つ。この能力をプレイした場合には、青マナを生み出すことになる。
例:《ヴェサヴァン・ドッペルゲンガー》が、《狩りの統率者/Caller of the Hunt》のコピーとして場に出た。《狩りの統率者》は「あなたが《狩りの統率者》をプレイするに際し、クリーチャー・タイプを1つ選ぶ」という能力を持つ。ここで、ゴブリンを選択した場合、後で、《ヴェサヴァン・ドッペルゲンガー》が《クウィリーオン・エルフ》のコピーとなった場合、それの(訳注:2つめの)マナ能力がプレイされたとしても、マナを出すことには失敗する。ゴブリン・マナを生み出すことはない。
503.9. コピー 効果の中には、コピー中にコピーに能力を与えるものがある。この能力は、コピーされたものと同じように、コピーのコピー可能な値として扱われる。また、コピー 効果の中には、ある特性をコピーしない、と書かれたものがある。この場合、その本来の値が保持される。
例:《クウィリーオン・エルフ/Quirion Elves》が場に出て、《不定の多相の戦士/Unstable Shapeshifter》がそれをコピーした。《不定の多相の戦士》のコピー可能な値は、《不定の多相の戦士》が「クリーチャーが場に出るたび、《不定の多相の戦士》はそのクリーチャーのコピーとなり、この能力を得る」という能力を持っていることを除いて、《クウィリーオン・エルフ》と同じになる。その後で、《クローン/Clone》が《不定の多相の戦士》のコピーとして場に出た場合、《クローン》は《不定の多相の戦士》が《クウィリーオン・エルフ》をコピーしている途中で自分自身に与えた能力も含む、新しいコピー可能な値をコピーする。
503.10. 呪文をコピーするとは、その呪文のコピーをスタックに積む、ということを意味する。呪文のコピーは「プレイ」されない。呪文の特性のコピーに加えて、例えばモード、対象、Xの値、バイバックなどの選択的コストの支払いなど、呪文をプレイするときになされた全ての選択がコピーされる(rule 409〔呪文や起動型能力のプレイ〕参照)。解決時に通常行われる選択はコピーされない。コピーの効果がコストを支払うために用いたオブジェクトを参照する場合、コピーは元の呪文のコストを支払うために用いたオブジェクトを用いる。呪文のコピーのコントローラーは、そのコピーをスタックに置いたプレイヤーである。それを表すカードは存在しないが、呪文のコピーは呪文であり、通常の呪文と同じように働く。打ち消されることも、解決されることもできるし、通常の呪文と同じタイミングのルールに乗っ取って処理される。
例:あるプレイヤーが、《エメラルドの魔除け/Emerald Charm》を対象に《分岐/Fork》をプレイした。《分岐》は、「インスタント 呪文1つかソーサリー 呪文1つを対象とする。それのコピーをスタックに置く。このとき、色はコピーしないし、コピーに関して新しい対象を選ぶことができる」という文章である。《エメラルドの魔除け》は「以下の3つから1つを選ぶ。『パーマネント1つを対象とする。それをアンタップする』『オーラでないエンチャント1つを対象とする。それを破壊する』『クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで飛行を失う』」という文章である。《分岐》の解決時に、《エメラルドの魔除け》のコピーがスタックに積まれる。このコピーは元の《エメラルドの魔除け》と同じモードを持つ。対象が同じである必要はないが、これは《分岐》がそう認めているからである。
例:《投げ飛ばし/Fling》は「《投げ飛ばし》をプレイするための追加コストとして、クリーチャー1体を生け贄に捧げる。」と「クリーチャー1体またはプレイヤー1人を対象とする。《投げ飛ばし》はそれに生け贄に捧げたクリーチャーのパワーと同じ値のダメージを与える。」という効果のインスタントである。《投げ飛ばし》のコピーが与えるダメージを決めるに際しては、元の《投げ飛ばし》で生け贄に捧げたクリーチャーのパワーを参照する。
503.10a スタック以外の領域にある呪文のコピーは、消滅する。また、スタックや場以外の領域にあるカードのコピーは、消滅する。これは状況起因効果である。rule 420 参照。
503.10b 呪文をコピーし、そのコントローラーが新しい対象を選んでもよいとなっている効果では、そのプレイヤーは対象のうちで任意の数のものを、仮にそれが不正だとしても、そのままにしておいてもよい。対象の一部あるいは全部を変更する場合、その新しい対象は適正でなければならない。プレイヤーがコピーの取る対象を選びおわったら、そのコピーはそれらを対象としてスタックに積まれる。
503.11. ある効果がパーマネントを名前で参照する場合、他のものをコピーした結果名前が変わっていたとしても、その効果はそのパーマネントを追い続ける。
例:《不定の多相の戦士/Unstable Shapeshifter》が《狂ったアーモドン/Crazed Armodon》をコピーしている。《狂ったアーモドン》は「{G}:《狂ったアーモドン》は、ターン終了時まで、+3/+0の修整を受けるとともにトランプルを得る。ターン終了時に《狂ったアーモドン》を破壊する。この能力は1ターンに1回だけしかプレイできない」という能力を持っている。この起動型能力がプレイされた後、ターン終了時までに他のもののコピーになっていたとしても、ターン終了時にこの《不定の多相の戦士》は破壊される。
503.12. プレイヤーに、オブジェクトの「コピーをプレイ/play a copy」させる効果は、呪文や能力の解決中にそのコピーがプレイされることを除いて、呪文や能力のプレイのルールに従う。土地以外のオブジェクトのコピーをプレイする場合、rule 409〔呪文や起動型能力のプレイ〕の、rule 409.1a 〜 rule 409.1h に従う。プレイされたコピーはスタック上の呪文となり、他の呪文と同じように解決したり打ち消されたりする。
504.1. カード2種類(《幻影の仮面/Illusionary Mask》、《イクシドロン/Ixidron》)または変異 能力(rule 502.26 参照)によって、呪文やパーマネントは裏向きになることがある。
504.2. スタック上にある裏向きの呪文、裏向きで場に出ているパーマネント、フェイズ・アウト領域にある裏向きのカードは、そのカード、呪文やパーマネントを裏向きにさせた能力やルールによって規定されている以外の特性を持たない。規定されている特性は、そのオブジェクトのコピー可能な値となる(rule 418.5〔継続的効果の相互作用〕とrule 503〔オブジェクトのコピー〕参照)。裏向きに場に出る オブジェクトは、それが場に出るよりも前に裏向きになるので、そのパーマネントの場に出るときの能力は(それが誘発型能力の場合)誘発しないし、(常在型能力の場合)効果を発揮しない。また、裏向きでプレイされるオブジェクトは、スタックに積まれるよりも前に裏向きになるので、その呪文の特性を見る効果はその裏向きの呪文の特性だけを見ることになる。
504.3. スタックにある裏向きの呪文、場にある裏向きのパーマネント、フェイズ・アウト領域にある裏向きのパーマネントのコントローラーは、それらの表をいつでも見ることができる。他の領域にある裏向きのカードや、自分がコントロールしていない呪文やパーマネントの表を見ることは、できない。パーマネントを裏向きにする能力やルールによっては、表向きにすることが認められている場合がある。通常、裏向きの呪文を表向きにすることはできない。
504.4. スタック上で複数の裏向きの呪文をコントロールしていたり、場にある複数の裏向きのパーマネントをコントロールしたりしている場合、常にそれぞれの裏向きの呪文やパーマネントの区別が付くようにしなければいけない。これには、呪文をプレイした順番、裏向きのパーマネントが場に出た順番、どのクリーチャーが前のターンに攻撃したか、その他それぞれの裏向きの呪文やパーマネントの相違点などが含まれる。裏向きのオブジェクトを区別する無難な方法としては、カウンターやダイスを使ったり、パーマネントが場に出た順番にしたがって並べたりするなどの方法がある。
504.5. 裏向きのパーマネントが表向きになるに際して、そのパーマネントのコピー可能な値は通常のコピー可能な値に戻る。裏向きのパーマネントに影響を与えていた効果は、そのまま表向きのパーマネントにも影響を与える。パーマネントが表向きになったときには、そのパーマネントが場に出たときに誘発する能力は誘発されない。なぜなら、そのパーマネントはすでに場に出ていたからである。
504.6. 裏向きで場にあるパーマネントがフェイズ・アウト以外の領域に移動した場合、そのオーナーはその表を見せなければならない。裏向きのオブジェクトがフェイズ・アウト領域から場以外の領域に移動した場合、オーナーはすべてのプレイヤーにその表を見せなければならない。裏向きの呪文がスタックから場以外の領域に移動した場合、オーナーはすべてのプレイヤーにその表を見せなければならない。各ゲームの終了時に、すべてのプレイヤーに、すべての裏向きのオブジェクトの表を見せなければならない。
504.7. 裏向きのパーマネントが他のパーマネントのコピーとなる場合、そのコピー可能な値は、コピーするパーマネントのコピー可能な値となり、それに裏向きの位相であることによる変更が加えられる。従ってその特性値は、裏向きにできるようにした能力やルールによって定められている、元の特性値と同じになる。ただし、表向きになった場合には、そのコピー可能な値は、コピーされている値となる。
504.8. 裏向きのパーマネントが「[このパーマネント]が表向きになるに際し〜/As [this permanent] is turned face up ...」という能力を持つことになる場合、その能力はそのパーマネントが表向きになる間に適用される。表になったあとで適用されるわけではない。
505.1. 分割カードでは、一枚のカードに2組の表が存在する。分割カードの裏は、通常のマジックのカードと同じ裏になっている。
505.2. スタック以外の領域にあるときは、分割カードは二組の特性と2つの点数で見たマナ・コストを持つ。呪文がスタックにあるときは、プレイされている側の特性だけが存在し、他方の特性は存在しないものとして扱われる。
505.3. それぞれの半分ごとに異なる色のマナ・シンボルをマナ・コストに含む分割カードは、スタックにあるときを除いては多色として扱われる。呪文がスタックにあるときは、そのプレイされている側の色だけが存在する。
505.4. 分割カードには2つのプレイできる半分が存在するが、分割カードも1枚のカードである。例えば、分割カードを引いたり捨てたりする場合、それは2枚ではなく1枚として扱われる。
505.5. スタック以外の領域にある分割カードについて、ある特定の特性を用いる効果は、分割カードのそれぞれの半分が持つ特性2つを答えとして得る。
例:《冥府からの誕生/Infernal Genesis》は「各プレイヤーのアップキープの開始時、そのプレイヤーは自分のライブラリーの一番上のカードを自分の墓地に置く。そのあと、そのプレイヤーは1/1の黒のミニオン・クリーチャー・トークンをX個場に出す。Xはそのカードの点数で見たマナ・コストである」という能力を持つ。この能力の解決時にライブラリーの一番上にあるカードが《暴行+殴打/Assault+Battery》であった場合、その点数で見たマナ・コストは「1と4」なので、5体の1/1クリーチャー・トークンを得る。
505.6. スタック以外のいずれかの領域にある分割カードの特性がある値と同じかどうか(カードが赤かどうかなど)、あるいは特性とある値を比較してどうか(点数で見たマナ・コストが2より小さいかどうかなど)を問う効果は、一つだけの答えを得る。この答えは、いずれかの分割カードのどちらかの側について「はい」になるならば「はい」になる。スタック以外のいずれかの領域にある分割カードの特性がある値と異なるかどうか(2枚のカードが異なる名前を持つかどうかなど)を問う効果も、一つだけの答えを得る。この答えは、対応する「同じかどうか」の問いに対して「いいえ」になる場合に「はい」になる。複数の特性を含む比較を、スタック以外の領域にある分割カードについて行なう場合、それぞれの特性は個別に比較される。いずれかの比較で「はい」になる場合、全体の比較も「はい」になる。
例:《虚空/Void》は、「プレイヤー1人を対象とする。数を1つ選ぶ。その数と等しい値の点数で見たマナ・コストを持つアーティファクトとクリーチャーをすべて破壊する。そのあと、そのプレイヤーはその手札を見せ、その中の土地でないカードのうち、点数で見たマナ・コストがその数と等しい値のカードをすべて捨てる」という文章である。プレイヤーが《虚空》をプレイし、1または4を指定した場合、対戦相手は《暴行+殴打》を捨てることになる。5を指定した場合には、《暴行+殴打》の点数で見たマナ・コストは5ではないので、影響を受けない。
505.7. 何らかの効果によってプレイヤーがカード名を指定する際、分割カードを指定しようとするなら、そのプレイヤーは分割カードの持つ2つの名前を両方とも指定しなければならない。
506.1. カードの中には、プレイヤーにマジックのサブゲームをプレイさせるものがある。「サブゲーム」とはカードの効果によって作られたゲームのことを、「メインゲーム」とはそのサブゲームを作った呪文や能力をプレイしたゲームのことを指す。サブゲームが進行中は、メインゲームは一時的に中断される。サブゲームが終わった後で、メインゲームが再開される。
506.2. サブゲームが進行中に誘発したメインゲームの能力は、サブゲームが完了するまでスタックに積まれない。
506.3. サブゲームを開始するにあたり、どのプレイヤーもゲームから裏向きでそれぞれのライブラリーを取り除く。それがサブゲームでのそれぞれのプレイヤーのデッキになる。裏向きでメインゲームからカードを取り除くことによる誘発型能力は誘発する。
506.3a サブゲームのそれぞれのプレイヤーのデッキはカードの最小限の数を下回ることもありうる。もしプレイヤーのデッキが7枚未満ならば、例えそのプレイヤーがマリガンしたとしてもゲーム開始と同時に負けになる。(rule 420〔状況起因効果〕参照)
506.4. サブゲームは普通のゲームと同じように進行する。どちらのプレイヤーが先攻でプレイするかはランダムに決定する。
506.5. メインゲームのすべてのオブジェクトとメインゲームの外部のすべてのカードはサブゲームの外部にあると見なす(特にサブゲームに持ち込まれたカードを除く)。サブゲームに参加していないプレイヤーは、サブゲームの外部にいると見なす。
506.5a 効果の中にはゲームの外からゲーム中にカードを持ってくることの出来るものがある。メインゲームからサブゲームに持って来られたカードはメインゲームから取り除かれたものとみなす。メインゲームからオブジェクトが取り除かれることによって誘発する、メインゲーム内の能力は誘発する。
506.6. サブゲーム終了時、どのプレイヤーも、自分の所有するオブジェクトでサブゲームに持って来られたものすべてをメインゲームのライブラリーに置き、シャッフルする。サブゲームで取り除かれたカードはメインゲームのライブラリーには入らず、メインゲームから取り除かれたものとして扱う。
例:カードをサブゲームに持ち込んだ場合、そのカードがメインゲームの内部か外部かどちらから持って来たとしても、サブゲームが終わった時にメインゲームのオーナーのライブラリーに置かれる。
506.7. もしサブゲーム中に他のサブゲームが作られた場合、複数のサブゲームとメインゲームが発生する。どのメインゲームも1つのサブゲームを持ち、どのサブゲームも1つのメインゲームを持つ。この場合、ゲームが同時にメインゲームとサブゲームの両方になることもありうる。
507.1. あるカード(《精神隷属器/Mindslaver》)は、プレイヤーのターンを他のプレイヤーによってコントロールさせる。この効果は、その影響を受けるプレイヤーが次に実際に得るターンに影響を及ぼす。ターン全てがコントロールされ、この効果は次のターンが始まるまで終わらない。
507.1a 複数のターン・コントロール 効果が同じプレイヤーに影響を及ぼす場合、お互いに上書きされる。最後に発生したものだけが有効になる。
507.2. ターンがコントロールされているプレイヤーが、何らかのオブジェクトの情報を見ることができる場合、それはそのプレイヤーとターンのコントローラーの両方が見ることができる。
例:あるプレイヤーのターンのコントローラーは、そのプレイヤーの手札や、そのプレイヤーがコントロールしている裏向き クリーチャーの特性を見ることができる。
507.3. 他のプレイヤーのターンのコントローラーは、そのプレイヤーに認められている、あるいは何らかのルールやオブジェクトによりしなければならないすべての選択や決定を行う。これには、何をプレイするかの選択や、呪文や能力に関する選択や決定を含む。
例:ターンのコントローラーは、どの呪文をプレイするか、何を呪文の対象とするかを決めることができ、呪文の解決時に必要な決定も行なう。
例:ターンのコントローラーは、そのプレイヤーのどのクリーチャーで攻撃するか、それらのクリーチャーの戦闘ダメージをどう割り振るかを決定する。
例:ターンのコントローラーは、ジャッジメントの“願い”で、どのカードをゲーム外から持ってくるかを選ぶ。ただしそのプレイヤーは、間違ったタイプのカードを選べない。
507.3a 他のプレイヤーのターンのコントローラーは、そのプレイヤーのためにコストを支払う場合、そのプレイヤーの物(カード、マナ等)のみを使用できる。
例:ターンのコントローラーが、そのプレイヤーに追加コストとしてカードを捨てる 呪文をプレイさせることにした場合、そのカードはそのプレイヤーの手札から捨てる。
507.3b 他のプレイヤーのターンのコントローラーは、そのプレイヤーを投了させられない。プレイヤーは、自分のターンが他のプレイヤーにコントロールされていても、いつでもゲームを投了することができる。rule 102.3a 参照。
507.3c 他のプレイヤーのターンのコントローラーは、ルールやオブジェクトによって必要とされていない選択や決定を行えない。また、コントローラーはトーナメント・ルールによって必要とされている選択や決定を行えない。
例:お手洗いに行くこと、カードを誰かとトレードすること、合意による引き分けを行うこと、ミスや違反でジャッジを呼ぶこと等に関しての選択を行なうのは、ターンのコントロールを他のプレイヤーが得ているとしても、現在のターン・プレイヤーである。ターンのコントローラーではない。
507.4. プレイヤーは、他のプレイヤーによって自分のターンがコントロールされている間、マナ・バーンによってライフを失わない(ただし、そのプレイヤーのマナ・プールにある未使用のマナは、通常と同様にフェイズの終了時に空になる。rule 300.3 参照)。
508.1. 反転カードには、1枚のカードに二つのカード枠がある。カードの通常の向きに書かれているテキストは、そのカードの通常の特性を意味する。追加の代替の特性は、カードに逆向きに書かれている。反転カードの背面は、通常のマジック:ザ・ギャザリングのカードである。
508.1a 反転カードの上半分には、そのカードの通常のカード名と文章欄、タイプ行、パワーとタフネスが書かれている。文章欄には通常、特定の条件が満たされた時点でそのパーマネントを「反転/flip」する能力が書かれている。
508.1b 反転カードの下半分には、代替のカード名と文章欄、タイプ行、パワーとタフネスが書かれている。これらの特性は、そのパーマネントが場にあって、なおかつそのパーマネントが反転されている場合にのみ使用される。
508.1c 反転カードの色、マナ・コスト、エキスパンション・シンボル、アーティスト名、権利表記などは、パーマネントが反転されても変わらない。また、外部からの効果による変更もそのまま適用される。
508.2. 場以外の全ての領域、および場の領域でそのパーマネントが反転される前において、反転カードはそのパーマネントの通常の特性を持つ。場の領域の反転パーマネントが反転されたら、その反転パーマネントの通常のカード名、文章欄、タイプ行、パワーとタフネスは適用されず、代わりに代替バージョンのこれらの特性が適用される。
例:《悪忌の溶岩走り/Akki Lavarunner》は、反転すると伝説の クリーチャーである《溶岩生まれのトクトク/Tok-Tok, Volcano Born》になる、伝説でないクリーチャーである。「あなたのライブラリーから伝説の カードを1枚探す」という効果はこのカードを探して来ることはできない。「伝説の クリーチャーは+2/+2の修整を受ける」という効果は、場に出ているこのカードが反転状態である(《悪忌の溶岩走り》でなく《溶岩生まれのトクトク》である)ときのみ効果を及ぼす。
508.3. あなたが反転パーマネントをコントロールしている場合、常にそのパーマネントが、タップ状態でもアンタップ状態でも、反転しているかいないかをはっきりさせる義務がある。パーマネントが反転しているかいないかを区別する一般的な方法には、コインやダイスで反転しているオブジェクトにマークを置くことなどがある。
508.4. パーマネントの反転は一方通行である。パーマネントが反転状態になったら、それを再び反転していない状態に戻すことはできない。ただし、反転したパーマネントが場を離れた場合、それはそれまでの位相を記憶しない。
509.1. 1枚のカード(《時間停止/Time Stop》)は、解決時にターンを終了する。効果によりターンが終了する場合、以下のステップを順に実行する。これは通常の呪文や能力の解決とは手順が異なる(rule 413〔呪文・能力の解決〕参照)。
509.1a スタック上のすべてのオブジェクトをゲームから取り除く。攻撃クリーチャーまたはブロック・クリーチャーがいるなら、それを戦闘から取り除く。カードで表現されないオブジェクトが場やスタック以外の領域にある場合、それは次の状況起因効果のチェック時に消滅する(rule 420〔状況起因効果〕参照)。
509.1b 状況起因効果をチェックする。いずれのプレイヤーも優先権を得ることはなく、誘発型能力もスタックに積まれない。
509.1c 現在のフェイズ/ステップが終了する。ゲームは即座にクリンナップ・ステップに移行する。現在のステップとクリンナップ・ステップの間のすべてのステップをとばす。
509.2. この手順中はどのプレイヤーも優先権を得ない。したがって、誘発型能力はスタックに積まれない。この呪文や能力の解決からクリンナップ・ステップの終りまでに誘発型能力が誘発した場合、クリンナップ・ステップに呪文や能力をプレイするタイミングがある。その後、ターンの最終的な終了の前にもう一度クリンナップ・ステップが発生する(rule 314.3 参照)。
509.3. ターンは終了するが、“ターン終了時に”の誘発型能力は誘発しない。ターン終了ステップはとばされているからである。
510.1. パーマネントの「位相/status」とは、物理的な状態のことである。位相には3つの種類があり、それぞれ2種類のいずれかの状態を取る。すなわち、タップ/アンタップ、反転/非反転、表向き/裏向きである。パーマネントは、3組の位相それぞれについて必ずどちらかの状態である。
510.2. 位相は特性ではないが、位相によってパーマネントの特性が変化しうる。
510.3. パーマネントは、呪文や能力によって特に指示されない限り、アンタップ、非反転、表向きの位相で場に出る。
510.4. パーマネントは、呪文や能力やゲームの行動が位相を変更しない限り、その位相が何も影響を持たなくても、元の位相を保つ。
例:《ディミーアのドッペルゲンガー/Dimir Doppelganger》は「{1}{U}{B}: いずれかの墓地にあるクリーチャー・カード1枚を対象とし、それをゲームから取り除く。ディミーアのドッペルゲンガーはそのカードのコピーになるとともに、この能力を得る。」という能力を持つ。これが反転カード 《呪師の弟子/Jushi Apprentice》のコピーになった場合、《呪師の弟子》の能力によってこのクリーチャーが反転した場合、《ディミーアのドッペルゲンガー》の能力を持った《暴く者、智也/Tomoya the Revealer》になる。その後、このパーマネントが《灰色熊/Grizzly Bears》のコピーになった場合、反転位相は何も意味を持たないが、反転位相のままである。その後で再びコピー 能力を用いて《鼠の短牙/Nezumi Shortfang》(別の反転カード)のコピーになった場合、《ディミーアのドッペルゲンガー》の能力を持った《憎まれ者の傷弄り/Stabwhisker the Odious》(《鼠の短牙》の反転位相)になる。
510.5. パーマネントだけが位相を持つ。場にないカードは持たない。ゲーム外領域にあるカードが裏向きになることはあるが、それはパーマネントの裏向き 位相とは何ら関係ない。
510.6. フェイズ・アウトしたパーマネントは、そのパーマネントの他の情報(誰がコントロールしているか、どのカウンターが乗っているかなど)と同じようにその位相を記憶している。フェイズ・インする際には、フェイズ・アウトしたときの状態で戻ってくる。裏向きの状態でフェイズ・アウトした場合、フェイズ・アウト領域でも裏向きのままである。
511.1. プレイヤーがコイン投げに勝つか負けるかを見るオブジェクトでコインを投げる場合、影響を受けるプレイヤーがコインを投げ、表か裏かを宣言する。宣言が結果と一致した場合、そのプレイヤはコイン投げに勝ち、そうでなければコイン投げに負ける。コインを投げたプレイヤーだけがコイン投げに勝ったり負けたりするのであり、他のプレイヤーには関係しない。
511.2. コインが表になるか裏になるかを見るオブジェクトでコインを投げる場合、影響を受けるプレイヤーがそれぞれコインを投げる。表か裏かを宣言する必要はなく、この種のコイン投げでは勝ちや負けは存在しない。
511.3. 投げられるコインの表と裏がはっきりしていない場合、どちらが表であるかを明確にしておかなければならない。他の方法であっても、同率で2つの結果が出るものであって、両方のプレイヤーがそれに同意できた場合にはそれを用いてもよい。例えば、プレイヤーは偶数面のサイコロを振り、「偶数」「奇数」と宣言することも認められるし、「奇数が表で偶数が裏」と宣言して偶数面のサイコロを振ることも認められる。
600.1. 多人数戦とは、3人以上のプレイヤーによって行なわれるゲームのことである。この章では、多人数戦で用いられるルールを取り上げる。
600.2. これらのルールは多人数戦一般に選択できる選択ルールと、さまざまな変種ルールからなる。単一のゲームで複数の選択ルールを適用してもよいが、単一のゲームに適用できる変種ルールは1つだけである。
600.3. チーム戦のトーナメントでは、デッキ 構築などに関するさまざまな追加ルールがあるが、ここでは言及しない。現行のマジックDCIフロアルール(http://www.wizards.com/default.asp?x=dci/doccenter/home)を参照すること。
600.4. 2人対戦と異なり、多人数戦では1人もしくは複数のプレイヤーがゲームから除外されても続けることができる。
600.4a プレイヤーがゲームから除外されたら、そのプレイヤーの所有するオブジェクト(rule 200.8 参照)は全てゲームから除外され、スタック上にあるそのプレイヤーがコントロールする呪文や能力は消滅し、そのプレイヤーにコントロールを与えているコントロール変更効果は終わる。その後、なおそのプレイヤーがコントロールしているオブジェクトがあったら、それらもまたゲームから取り除かれる(このルールによってゲームから取り除かれたオブジェクトで、オーナーがそのプレイヤーでないものは、ゲーム外領域に置かれる)。これは状況起因効果ではなく、プレイヤーがゲームから除外されたらすぐに発生する。優先権を持つプレイヤーがゲームから除外される場合、ゲームに残っている、ターン順で次のプレイヤーに優先権が移動する。プレイヤーがゲームから除外されても、スタック上の戦闘ダメージに影響はない。
例:アレックスは「あなたはエンチャントされているクリーチャーをコントロールする」というオーラである《支配魔法/Control Magic》を、ビアンカの《木の壁/Wall of Wood》にプレイした。アレックスがゲームから除外されたら、《支配魔法》もゲームから除外され、《木の壁》はビアンカのコントロール下に戻る。逆に、ビアンカがゲームから除外されたら、《木の壁》がゲームから除外され、《支配魔法》はアレックスの墓地に置かれる。
例:アレックスは「クリーチャー1体を対象とし、それをアンタップし、ターン終了時までそのコントロールを得る」という効果を含む《脅しつけ/Threaten》を、ビアンカの《木の壁》を対象にしてプレイした。アレックスがゲームから除外されると、《脅しつけ》のコントロール変更効果が終わり、《木の壁》はビアンカのコントロール下に戻る。
例:アレックスは「対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーのライブラリーからクリーチャー・カードを1枚探し、それをあなたのコントロール下で場に出す。その後、そのプレイヤーは自分のライブラリーを切り直す」という効果の《袖の下/Bribery》をビアンカを対象にしてプレイし、そのライブラリーから《木の壁》を出した。アレックスがゲームから除外されたら、《木の壁》もゲームから除外される。ビアンカがゲームから除外された場合にも、同じように《木の壁》はゲームから除外される。
例:アレックスは「トークンでないクリーチャーが1体場に出るたび、《起源室》がアンタップ状態なら、そのクリーチャーのコントローラーは1/1のマイア・アーティファクト・クリーチャー・トークンを場に出す」という《起源室/Genesis Chamber》をコントロールしていた。《起源室》がアレックスのコントロール下にあった間に場に出したマイア・トークンはアレックスがオーナーなので、アレックスがゲームから除外されたら、それらを全てゲームから除外する。
600.4b あるオブジェクトのコントローラーが、既にゲームから除外されたプレイヤーになることになった場合、そのオブジェクトのコントローラーは変化しない。トークンが、既にゲームから除外されたプレイヤーのコントロール下で場に出ることになった場合、そのトークンは発生しない。
600.4c ゲームから除外されたプレイヤーがオーナーであるオブジェクトがいずれかのゾーンに置かれる場合、その代わりにゲームから除外される(これには能力がスタックに置かれることも含む)。
例:《霊体の地滑り/Astral Slide》は「いずれかのプレイヤーがカードをサイクリングするたび、クリーチャー1体を対象とし、それをゲームから取り除く。そうした場合、ターン終了時に、そのクリーチャーをそのオーナーのコントロール下で場に出す」というエンチャントである。アレックスのターンに、ビアンカはこの能力を使い、アレックスの《惑乱の死霊/Hypnotic Specter》をゲームから取り除いた。そのターンの間に、ビアンカがゲームから除外された。ターン終了時に、《惑乱の死霊》を場に戻そうとする《霊体の地滑り》の遅延誘発型能力が誘発するが、スタックに置かれずにゲームから除外される。《惑乱の死霊》は場に戻らない。
600.4d 何らかのオブジェクトが、ゲームから除外されているプレイヤーに選択を求める場合、そのオブジェクトのコントローラーは別のプレイヤーを選んで選択を行なわせる。元の選択がオブジェクトのコントローラーの対戦相手によって行なわれていた場合、可能なら、そのプレイヤーは他の対戦相手を選ぶ。
600.4e プレイヤーが自分のターンの間にゲームから除外される場合、そのターンはアクティブ・プレイヤーがいない状態で継続される。アクティブ・プレイヤーが優先権を得る場合、その代わりに、状況に応じて、ターン順で次のプレイヤーが優先権を得るか、スタックの一番上のオブジェクトが解決されるか、フェイズやステップが終了する。
601.1. 「影響範囲制限」はほとんどの多人数戦に適用できる選択ルールである。変種「皇帝戦」(rule 607 参照)では常に、また、五人以上のプレイヤーによるゲームではしばしば用いられる。
601.2. プレイヤーの影響範囲とは、そのプレイヤーから何プレイヤー分離れたところまで影響が及ぶかという最大の距離のことを言う。そのプレイヤーから指定された距離以内の席に座っているプレイヤーは、そのプレイヤーの影響範囲内にいる。あるプレイヤーの影響範囲内にいるプレイヤーがコントロールしているオブジェクトも、同じく影響範囲内にある。影響範囲は、呪文、能力、効果、ダメージ、攻撃、選択について考慮される。
601.2a 影響範囲として選ばれる数字は、主として1席または2席である。プレイヤーによって影響範囲が違うこともありうる。
例:影響範囲が1席の場合、自分自身とその隣に座っているプレイヤーだけが影響範囲内にいる。
例:影響範囲が2席の場合、自分自身とその両隣、さらにもう一席隣にいるプレイヤーまでが影響範囲内となる。
601.2c 各ターンの開始時に、誰が誰の影響範囲内にいるのかが決定される。
例:影響範囲1席のゲームで、アレックスはロブの左隣に座っていて、ロブの右隣はカリッサだった。カリッサはアレックスの影響範囲内にいない。ロブがゲームから除外されると、その次のターンの開始時から、カリッサはアレックスの影響範囲に入ることになる。
601.3. クリーチャーは、そのコントローラーの影響範囲内にいる対戦相手にだけ攻撃できる。影響範囲内に対戦相手がいない場合、そのプレイヤーのコントロールするクリーチャーは攻撃できない。
601.4. プレイヤーの影響範囲外にあるオブジェクトやプレイヤーは、そのプレイヤーの呪文や能力の対象にならない。
601.5. 複数のプレイヤーに選択を行なわせるカードが存在するが、これらのカードは影響範囲の選択ルールを用いた場合には働き方が異なる。
601.5a オブジェクトまたはプレイヤーを選ばせる場合、その選ぶプレイヤーは自分の影響範囲内から選ばなければならない。
例:影響範囲1席のゲームで、アレックスはロブの左に座っていた。アレックスが《クォムバッジの魔女/Cuombajj Witches》の「クリーチャー1体またはプレイヤー1人と、いずれかの対戦相手の選んだ別のクリーチャー1体またはプレイヤー1人を対象とする。《クォムバッジの魔女》はその前者に1点、その後者に1点のダメージを与える」という能力をロブを対象に、またロブに対象を選ばせる対戦相手として指定して、起動した。ロブの選ぶことのできる対象は、彼と《クォムバッジの魔女》のコントローラーの両方の影響範囲内にあるものに限られる。すなわち、ロブ自身かアレックス、またはそのどちらかがコントロールしているクリーチャーということになる。
601.5b プレイヤーが、(オブジェクトから選ぶのではなく)1つ以上の選択肢から選ぶ場合、その選択肢が影響範囲外のオブジェクトやプレイヤーを参照していても、選ぶことができる。
例:影響範囲2席のアレックスが、ロブの左に座っている。影響範囲1席のカリッサはロブの右に座っている。アレックスは「いずれかの対戦相手は以下から1つを選ぶ ─ 「あなたはカードを2枚引く」「ターン終了時まで、あなたのコントロールするクリーチャーはそれぞれ+2/+2の修整を得る」」というカードをプレイし、カリッサに選択させることを選んだ。アレックスはカリッサの影響範囲外だが、カリッサはモードを選択することができる。
601.5c 効果に必要な選択を行なえるプレイヤーが影響範囲内にいない場合、その効果のコントローラーの左側で一番近いプレイヤーが選択を行なう。
例:影響範囲1の「皇帝戦」において、皇帝が「あなたのライブラリーの上から5枚を公開し、対戦相手はそれらのカードを2つの束に分ける。その束の1つをあなたの手札に入れ、もう1つをあなたの墓地に置く」という《嘘か真か/Fact or Fiction》をプレイした。皇帝の影響範囲内には対戦相手はいないので、皇帝の左側でもっとも近くにいる対戦相手がカードを束に分ける。
601.6. プレイヤーは、その影響範囲外にあるオブジェクトの起動型能力をプレイできない。
601.7. 誘発型能力は、その誘発 イベント全体が発生源のコントローラーの影響範囲内で起こらない限り誘発しない。
例:影響範囲1のゲームで、アレックスはボブの左に座っていた。ロブはアレックスの《灰色熊/Grizzly Bears》にオーラを2つつけていて、一方は「エンチャントされているクリーチャーがブロックされるたび」誘発するもので、もう一方は「エンチャントされているクリーチャーがいずれかのクリーチャーにブロックされるたび」誘発するものであった。アレックスの《灰色熊》が左隣のプレイヤーに攻撃し、ブロックされた場合、1つめのオーラの誘発 イベント(《灰色熊》がブロックされる)はロブの影響範囲内で完結しているので、1つめのオーラは誘発する。2つめのオーラは、ロブの影響範囲外にあるブロック・クリーチャーが関係しているので、誘発しない。
601.7a 誘発 イベントの中にオブジェクトが影響範囲を出入りすることが含まれる場合、そのイベントの種類によって決定される、直前又は直後の状況を使用して誘発するかどうかを決定する。rule 410.10 参照。
例:カリッサとアレックスはお互いに影響範囲外にある。カリッサはアレックスがオーナーであるクリーチャーをコントロールしており、また、それぞれが「いずれかのクリーチャーが場からいずれかの墓地に置かれるたび、あなたは{1}を支払ってもよい。そうした場合、あなたは1点のライフを得る」という《魂の網/Soul Net》をコントロールしている。ここで、そのクリーチャーが破壊された場合、破壊 イベントはアレックスの影響範囲外で起こったので、アレックスの《魂の網》は誘発しない。一方、そのクリーチャーはカリッサの影響範囲外である墓地に置かれるが、破壊 イベントはカリッサの影響範囲内で起こっているので、カリッサの《魂の網》は誘発する。
601.8. オーラはそのコントローラーの影響範囲外のオブジェクトにエンチャントすることはできない。オーラが不正なパーマネントについた場合、状況起因効果でオーナーの墓地に置かれる。rule 420 参照。
601.9. 装備品はそのコントローラーの影響範囲外のオブジェクトに装備されることはできない。装備品が不正なパーマネントについた場合、状況起因効果ではずれて場に残る。rule 420 参照。
601.10. 呪文や能力は、そのコントローラーの影響範囲外のオブジェクトやプレイヤーには影響を与えられない。効果の、影響範囲外のオブジェクトやプレイヤーに影響を及ぼす部分は何もしない。そうでない部分は通常通り影響を及ぼす。
例:それぞれのプレイヤーの影響範囲が1席な6人による多人数戦で、アレックスは「《紅蓮地獄》はそれぞれのクリーチャーに2点のダメージを与える」という《紅蓮地獄/Pyroclasm》をプレイした。《紅蓮地獄》は、アレックスとその両隣のプレイヤーの3人がコントロールしているクリーチャーにそれぞれ2点のダメージを与えるが、他のクリーチャーにはダメージを与えない。
601.11. 呪文や能力がゲームの情報を必要とする場合、そのコントローラーの影響範囲内の情報しか得られない。コントローラーの影響範囲外のオブジェクトやイベントに関しての情報を用いることはできない。
例:それぞれのプレイヤーの影響範囲が1席な6人による多人数戦で、アレックスは「各クリーチャーは、共通のクリーチャー・タイプを持つ他のクリーチャー1体につき+1/+1の修正を受ける」という《旗印/Coat of Arms》をコントロールしている。アレックスのクリーチャーは、アレックスとその両隣のプレイヤーがコントロールしているクリーチャーに応じて強化されるが、それ以外のクリーチャーは考慮に入れない。
例:同じゲームで、アレックスの右隣に座っていたロブのクリーチャーも、《旗印》の影響を受けて強化されるが、考慮されるのはロブとアレックスの2人のクリーチャーだけになる。ロブと《旗印》のコントローラーの両方の影響範囲内にいるのはこの2人だけだからである。
601.12. 「レジェンド・ルール」(rule 420.5e 参照)は、同名の伝説の パーマネントがもう1つ、伝説の パーマネントのコントローラーの影響範囲内にあるときにのみ適用される。
例:アレックスの影響範囲が1席で、カリッサの影響範囲が2席、その間にロブが座っているとする。アレックスがコントロールしているものと同名の伝説の パーマネントをカリッサが出したとすると、カリッサのコントロールするものだけが墓地に置かれることになる。
601.13. 「ワールド・ルール」(rule 420.5i 参照)は、ワールド・パーマネントがもう一つ、ワールド・パーマネントのコントローラーの影響範囲内にあるときにのみ適用される。
601.14. 置換・軽減効果は、特定のイベントが起こるのを待ち、そしてその全体または一部を置換する。影響範囲の選択ルールにより、置換後のイベントが実行できない効果を含むようになることもありうる。その場合、その不可能な効果は単に無視される。rule 419〔置換・軽減効果〕参照。
601.14a 置換効果が、呪文や能力の効果をそのコントローラーの影響範囲外のオブジェクトやプレイヤーに及ぼそうとした場合、イベントのその部分は何もしない。
例:アレックスは《溶岩の斧/Lava Axe》(「プレイヤー1人を対象とする。《溶岩の斧》はそのプレイヤーに5点のダメージを与える」)を、ロブを対象にしてプレイしました。これに対応してロブは《艦長の操艦/Captain's Maneuver》(「クリーチャー1体またはプレイヤー1人と、別のクリーチャー1体またはプレイヤー1人を対象とする。このターン、その前者に与えられる次のダメージ X点は、代わりにその後者に与えられる」)を、Xを3とし、もう1つの対象をアレックスの影響範囲外のプレイヤー、カリッサにした。この場合、《溶岩の斧》の解決時に起こるのはロブに2点のダメージを与えることだけで、カリッサにはダメージは与えられない。
601.14b 呪文や能力が、ある発生源からのダメージを軽減するという効果を生成した場合、その呪文や能力のコントローラーの影響範囲内にその発生源が存在しなければ影響を及ぼさない。逆に、クリーチャーやプレイヤーに与えるダメージを軽減するという効果を生成した場合、そのクリーチャーやプレイヤーが影響範囲内に無ければ影響を及ぼさない。発生源も軽減先も特定されていないダメージを軽減する効果は、発生源と軽減先の両方が影響範囲内になければ軽減しない。
例:ロブはアレックスの影響範囲内にいて、カリッサは影響範囲外にいる。アレックスが「クリーチャーによって与えられるダメージを全て軽減する」というエンチャントを出している場合、カリッサがロブにクリーチャーで攻撃したら、戦闘ダメージは通常通り与えられる。
例:ロブはアレックスの影響範囲内にいて、カリッサは影響範囲外にいる。カリッサが《電撃破/Lightning Blast》(「クリーチャー1体またはプレイヤー1人を対象とする。《電撃破》はそれに4点のダメージを与える」)をロブを対象にプレイした。これに対応して、アレックスは《名誉の道行き/Honorable Passage》(「クリーチャー1体またはプレイヤー1人を対象とする。このターン、あなたが選んだ発生源1つがそれに与えるダメージを軽減する。赤の発生源からのダメージがこの方法で軽減された場合、《名誉の道行き》はその発生源のコントローラーに軽減したのと同じだけのダメージを与える」)をロブを対象にプレイした。ロブへのダメージは軽減されるが、《名誉の道行き》によるカリッサへのダメージは与えられない。
例:ロブはアレックスの影響範囲内にいて、カリッサは影響範囲外にいる。カリッサがロブをクリーチャーで攻撃して、ロブはそれをクリーチャーでブロックした。アレックスが《聖なる日/Holy Day》(「このターン与えられる戦闘ダメージを全て軽減する」)をプレイした。カリッサとロブのクリーチャーはお互いに戦闘ダメージを与えあう。
602.1. 「複数への攻撃」は、アクティブ・プレイヤーが他のプレイヤー複数人に対して攻撃することを認める選択ルールである。この選択ルールを用いた場合にも、攻撃時に1人のプレイヤーだけを攻撃することは可能である。
602.2. 戦闘フェイズの開始時に、攻撃 プレイヤーは防御プレイヤーとなる対戦相手を選ばない。その代わりに、戦闘フェイズの間、攻撃 プレイヤーの対戦相手全てが防御プレイヤーとなる。
602.2a ルール、オブジェクト、効果で「防御プレイヤー」を参照するものは、特定の防御プレイヤー1人を参照する。全防御プレイヤーを参照するわけではない。通常、その防御プレイヤーを参照する能力を持つクリーチャーが攻撃している先のプレイヤーを参照するが、複数の防御プレイヤーから選ぶ場合、その選択はその能力のコントローラーが行なう。
602.3. 攻撃 プレイヤーは、攻撃クリーチャーを指定する際に、それぞれの攻撃する防御プレイヤーを選択する。rule 308〔攻撃クリーチャー指定ステップ〕参照。
602.3a 特定のプレイヤーを攻撃する際に適用されるものでない制限や強制は、攻撃クリーチャー全体を見て判断される。特定のプレイヤーを攻撃することに対して適用される制限や強制は、そのプレイヤーを攻撃するクリーチャー群にだけ適用される。攻撃クリーチャー全体としても攻撃は適正でなければならない。rule 500〔適正な攻撃とブロック〕参照。
例:ロブはアレックスに《灰色熊/Grizzly Bears》で攻撃し、カリッサに山渡りを持ったクリーチャーで攻撃した。山渡りを持ったクリーチャーをブロックできないかどうかは、カリッサが《山》をコントロールしているかどうかだけに関係する。
602.3b バンドを組んでいるクリーチャーは、ばらばらのプレイヤーに攻撃できない。rule 502.10〔バンド〕参照。
602.4. 複数のプレイヤーに攻撃している場合、防御プレイヤーは、ブロック・クリーチャー指定ステップに、APNAP順でブロック・クリーチャーを指定する(rule 103.4 ならびに rule 309〔ブロック・クリーチャー指定ステップ〕参照)。最初の防御プレイヤーがブロックの宣言を追えた後、次の防御プレイヤーが宣言を行なう。
602.4a 防御プレイヤーは自分のコントロールしているクリーチャーでのみブロックできる。それらのクリーチャーはそのプレイヤーに攻撃してきたクリーチャーだけをブロックでき、他のプレイヤーを攻撃しているクリーチャーをブロックすることはできない。
602.4b 防御プレイヤーのブロックが適正かどうかを判断するにあたって、他のプレイヤーを攻撃しているクリーチャーや他のプレイヤーがコントロールするブロック・クリーチャーは考慮しない。
602.5. 戦闘ダメージはAPNAP順で割り振られる。それ以外の点では、戦闘ダメージ・ステップは2人対戦の時と同じように進む。rule 310〔戦闘ダメージ・ステップ〕参照。
603.1. 変種「皇帝戦」では、必ず「クリーチャー配置」選択ルールが用いられる。また、他の変種でもチームが機能するために用いることができる。個人個人で戦う多人数戦では、この選択ルールはまず用いられない。
603.2. 全てのクリーチャーは「{Tap}: チームメイト1人を対象とする。そのプレイヤーはこのクリーチャーのコントロールを得る。この能力はソーサリーがプレイできるときにのみプレイできる」という能力を持つ。
604.1. 多人数戦では「左翼への攻撃」 「右翼への攻撃」と呼ばれるルールが用いられることがある。
604.1a 「左翼への攻撃」選択ルールを用いる場合、プレイヤーはそのすぐ左隣に座っているプレイヤーにしか攻撃できない。左隣のプレイヤーが対戦相手でない場合、そのプレイヤーは攻撃できない。
604.1b 「右翼への攻撃」選択ルールを用いる場合、プレイヤーはそのすぐ右隣に座っているプレイヤーにしか攻撃できない。右隣のプレイヤーが対戦相手でない場合、そのプレイヤーは攻撃できない。
605.1. 「無差別戦」 多人数戦では、プレイヤーはそれぞれ個人個人として競い合う。
605.2. 多人数戦での選択ルールのうちどれを使うかは、プレイの開始前に決定する。通常は、以下の選択ルールを用いる。
605.2a 「無差別戦」においては、「影響範囲制限」は用いない。行なう場合、全てのプレイヤーが同じ広さの影響範囲を持ち、その広さは開始前に定める。rule 601〔「影響範囲制限」選択ルール〕参照。
605.2b 「左翼への攻撃」 「右翼への攻撃」 「複数への攻撃」選択ルールのうちいずれか1つを用いる。rule 604〔「左翼への攻撃」 「右翼への攻撃」選択ルール〕ならびに rule 602〔「複数への攻撃」選択ルール〕参照。
605.2c 「クリーチャー配置」選択ルールは、「無差別戦」では用いない。
605.4. 「無差別戦」でのゲームの勝敗は、通常のルールに従う。rule 102〔勝ちと負け〕参照。
606.1. 「双頭巨人戦」は2人ずつのチーム2組によって行なわれる。
606.3. それぞれのチームは、テーブルの片側に並んで座る。どう座るかはそれぞれのチームが決める。それぞれ右側に座ったプレイヤーを第1プレイヤー、左側を第2プレイヤーと呼ぶ。
606.5. 「双頭巨人戦」では、共用ライフ総量を例外として、チームのリソース(手札のカード、マナなど)は共有されない。チームメイトはお互いの手札を見せあったり戦略を相談したりしても構わないが、チームメイトのカードやパーマネントを操作することはできない。
606.6a 最初の手札に不満なプレイヤーは、マリガンしてもよい。先に先攻のチームがマリガンを行なう。チームにおいてマリガンする場合、そのチームのプレイヤーがマリガンをするかどうかを別々に決定し、その後で同時にマリガンを行なう。1度目のマリガンでは、新しく引く 手札は7枚になる。そのチームの両プレイヤーが手札を確認してから、この手順を繰り返す(2度目以降は通常のルール通りに1枚ずつ手札のカードが減っていく)。プレイヤーがそれ以上マリガンしないことを選んだら、そのカードは開始時の手札となる。一旦マリガンしないことを選んだら、その後でマリガンすることはできない。先攻チームの両プレイヤーがマリガンの手順を終えたら、後攻チームが同様にマリガンを行なう。
606.6b 先攻のチームの最初のターンのドロー・ステップにカードを引くのは、第2プレイヤーだけである。第1プレイヤーはカードを引かない(rule 101.5 参照)。
606.6c プレイヤー個人ではなく、チームが優先権を持つ。
606.6d 「双頭巨人戦」では、APNAP順ルール(rule 103.4)は修整される。現在進行中のターンのチームはアクティブ・チームであり、もう一方のチームは非アクティブ・チームである。両方のチームが選択や行動を同時に行なう場合、まずアクティブ・チームが必要な選択を全て行ない、非アクティブ・チームが必要な選択を全て行なった後で、同時に行動が実行される。
606.6e チームに優先権がある場合、そのチームのプレイヤーは呪文や起動型能力をプレイしたり、特別な行動をしたりできる。チーム内で両方のプレイヤーが同時に行動を取りたいとなった場合、第1プレイヤーが行動の順番を決める。チームの両プレイヤーはチームのドロー・ステップにカードを1枚引く。チームの両プレイヤーは、そのチームのターンの間にそれぞれ1枚土地をプレイできる。
606.6f チームのどちらのプレイヤーも何もすることがなければ、チームがパスをすることになる。両方のチームが続けてパスをした場合(つまり、両方のチームのパスとパスの間に何もプレイヤーが行動しなかった場合)、スタックの一番上のオブジェクトが解決され、アクティブ・チームが再び優先権を得る。スタックが空だった場合、そのフェイズまたはステップが終わり、次のフェイズまたはステップに入る。
606.6g 効果によってプレイヤーが追加のターンを得たりフェイズやステップを得たりした場合、そのプレイヤーのチームがその追加のターン、フェイズ、ステップを得る。何らかの効果によってステップ、フェイズ、あるいはターンが飛ばされる場合、そのチームのものが飛ばされる。効果によって他のプレイヤーのターンのコントロールを得る場合、その効果のコントローラーが影響を受けたプレイヤーのチームのターンのコントロールを得る。
606.6h 双頭巨人戦において、複数のプレイヤーがカードを引く場合、まずアクティブ・チームの第1プレイヤーが全てのカードを引き、それから第2プレイヤーが全てのカードを引く。その後、非アクティブ・チームについて同様に処理する。
606.7. 変種「双頭巨人戦」は、他の多人数戦と異なる戦闘ルールを用いる。
606.7a 各チームのクリーチャーは、グループで他のチームを攻撃する。戦闘フェイズの間、アクティブ・チームは攻撃 チームとなり、アクティブ・チームの各プレイヤーは攻撃 プレイヤーとなる。同様に、非アクティブ・チームは防御チームとなり、そのプレイヤーは防御プレイヤーとなる。
「防御プレイヤー」を参照する、単発的効果や特性定義能力は、両方の防御プレイヤーではなく、いずれか1人の防御プレイヤーを参照する。その効果あるいは特性定義能力のコントローラーが、どちらのプレイヤーを参照するかを決定する。「攻撃 プレイヤー」を参照する場合も同じである。
606.7b 攻撃クリーチャー指定ステップ開始に際して、アクティブ・チームは攻撃クリーチャーを指定する。いずれかの防御プレイヤーがコントロールするオブジェクトの効果によってそのプレイヤーを攻撃できないクリーチャーは、防御チームを攻撃することはできない。アクティブ・チームの攻撃は一群で行ない、その攻撃クリーチャー群は全体として適正でなければならない。
例:双頭巨人戦のあるプレイヤーが、《テフェリーの濠》(「テフェリーの濠が場に出るに際し、色を1色選ぶ。」「選ばれた色の飛行を持たないクリーチャーは、あなたを攻撃できない。」)をコントロールしている場合、相手チームの、その色で飛行を持たないクリーチャーは、攻撃できない。
606.7c ブロック・クリーチャー指定ステップ開始に際して、防御チームはブロック・クリーチャーを指定する。防御プレイヤーのコントロールするクリーチャーは、攻撃クリーチャーをブロックできる。防御チームによるブロックは一群で行ない、ブロック・クリーチャーは全体として適正でなければならない。
例:攻撃クリーチャーが森渡りを持っていて、防御チームの一方のプレイヤーだけが《森》をコントロールしている場合、そのクリーチャーはブロックされない。
606.7d 戦闘ダメージ・ステップ開始に際して、アクティブ・チームは攻撃クリーチャーがどのように戦闘ダメージを割り振るかを宣言する。攻撃クリーチャーが防御チームにダメージを割り振る場合、アクティブ・チームは攻撃クリーチャーごとに防御プレイヤーを1人選び、そのプレイヤーにダメージを割り振る。アクティブ・チームのダメージの割り振り宣言が終わったら、防御チームが同様に戦闘ダメージを割り振る。
606.8. 「双頭巨人戦」でのゲームの勝敗は、通常のルールに従う(rule 102 参照)が、以下の特例がある。
606.8a チームの共用ライフが0以下である場合、次にいずれかのチームが優先権を得るときにそのチームの負けとなる(これは状況起因効果である。rule 420 参照)。
606.8b プレイヤーはチーム単位でのみ勝ち、あるいは負けとなる。個人での勝敗は存在しない。チームのいずれかのプレイヤーが負けとなったら、チームは負けとなる。いずれかのプレイヤーが勝ちとなったら、チームの勝ちとなる。何らかの効果でプレイヤーが勝利できない場合、そのプレイヤーのチームは勝利できない。何らかの効果でプレイヤーが敗北しない場合、そのプレイヤーのチームは敗北しない。
例:「双頭巨人戦」で、プレイヤーが「あなたは、ライフが0以下になることによって敗北しない」という《卓絶/Transcendence》をコントロールしている。このプレイヤーのチームのライフが0以下になったとしても、そのチームは負けにならない。
例:「双頭巨人戦」で、プレイヤーがカードを引くべきときにライブラリーにカードが残っていなかったとしたら、そのプレイヤーは負けとなり、そのプレイヤーの属するチームの負けとなる。
例:「双頭巨人戦」で、プレイヤーが「あなたはゲームに敗北しない。あなたの対戦相手はゲームに勝利しない」という《白金の天使/Platinum Angel》をコントロールしている。この場合、そのコントローラーとチームメイトは《白金の天使》が場にある限り、敗北しない。対戦相手のチームは勝利しない。
606.9. ダメージ、ライフの喪失、ライフの増加は、それぞれのプレイヤー個々に発生する。結果はチームの共用ライフに適用される。
例:「双頭巨人戦」で、プレイヤーが「《火炎の裂け目》はすべてのプレイヤーに4点のダメージを与える」という《火炎の裂け目/Flame Rift》をプレイした場合、各チームは8点ずつダメージを受ける。
606.9a 何らかの効果が、特定のプレイヤーのライフの値を必要とする場合、そのチームの共用ライフの半分切り上げを用いる。
例:「双頭巨人戦」でチームのライフが残り17点のときに、プレイヤーが《無情の碑出告/Heartless Hidetsugu》の「《無情の碑出告》は各プレイヤーにそのプレイヤーのライフの半分のダメージを与える」という能力をプレイした。この能力に関して、このチームの各プレイヤーのライフはそれぞれ9として扱う。従って、《無情の碑出告》はプレイヤーに各4点のダメージを与え、チームは8点のダメージを受けて残り9点となる。
例:「双頭巨人戦」で、プレイヤーが「あなたのアップキープの開始時に、あなたのライフが50点以上である場合、あなたはゲームに勝利する」というエンチャントである《忍耐の試練/Test of Endurance》をコントロールしている。そのプレイヤーのアップキープの開始時に勝利するためには、チームのライフの合計が99点以上あればよい。
例:「双頭巨人戦」で、プレイヤーが「対戦相手のライフが10点以下のとき、《隠れ潜むジャッカル》がエンチャントである場合、3/2の猟犬・クリーチャーになる」という《隠れ潜むジャッカル/Lurking Jackals》をコントロールしている。相手チームの残りライフが22点で、どちらかの対戦相手に1点のダメージを与えたとしても、《隠れ潜むジャッカル》はクリーチャーにならない。相手チームの残りライフが20点以下でなければならない。
606.9b 効果によってチームの両方のプレイヤーのライフがある値になる場合、それらの値の合計が最終的なライフの値となる。
例:「双頭巨人戦」で、プレイヤーが「各プレイヤーのライフ総量は、そのプレイヤーのコントロールするクリーチャーの数に等しくなる」という《生命の律動/Biorhythm》をプレイした。チームの1人が3体、もう1人が4体のクリーチャーをコントロールしていた場合、チームのライフ合計は7となる。
606.9c 効果によってあるプレイヤー1人のライフ総量がある値になった場合、そのプレイヤーの分のライフ総量をその値にするものとして扱い、チームのライフ総量は、その変動に伴って変化する。
例:「双頭巨人戦」で、あるチームの共用ライフ総量が25点の時、「あなたのライフ総量は20になる」という呪文をプレイしたら、そのプレイヤーのライフ総量は13点と考えられるので、そのチームの共用ライフ総量は(20−13で)7点増加し、32点になる。
606.10. 「双頭巨人戦」は各チーム3人以上でもプレイできる。その場合、20点×人数分の共用ライフ総量で始めるのがよい(これらのルールを三頭巨人、四頭巨人……などと呼ぶこともある)。
607.1. 「皇帝戦」は各チーム3人からなる複数のチームによって行なわれる。
607.2. 各チームはテーブルの一辺に並んで席に着く。それぞれのチームごとに、席順を決める。チームの中で1人が皇帝となり、チームの中央に座る。残り2人は将軍と呼ばれ、皇帝を守ることになる。
607.3. 「皇帝戦」では通常、以下の選択ルールを用いる。
607.3a 影響範囲は皇帝が2、将軍が1とする。rule 601〔「影響範囲制限」選択ルール〕参照。
607.3b 「クリーチャー配備」選択ルール(rule 603 参照)を用いる。
607.3c プレイヤーはその隣に座っている対戦相手にだけ攻撃できる。
例:「皇帝戦」の開始時には、どちらの皇帝も相手を攻撃することはできない。相手の将軍は呪文の影響範囲に入っているので、呪文の対象にすることはできる。
607.4. どちらの皇帝が先攻か、無作為の方法で決める。その後、ターンはそのプレイヤーから左に進む。
607.5. 「皇帝戦」変種ルールでは、勝敗は通常のルールに従って決定される(rule 102 参照)が、以下の特例が追加される。
607.6. 「皇帝戦」変種ルールは、同じサイズのチーム同士ならチームがいくつあってもプレイできる。チームが4人以上のプレイヤーからなる場合、影響範囲は適宜決めなおす必要がある。
607.7. 「皇帝戦」変種ルールでは、チームのリソース(手札のカード、マナなど)は共有されない。チームメイトはお互いの手札を見せあったり戦略を相談したりしても構わないが、チームメイトのカードやパーマネントを操作することはできない。
608.1. 「大乱闘戦」変種ルールは、「無差別戦」の拡張ルールであり、10人以上のプレイヤーが参加する時に用いられる。
608.2. 多人数戦での選択ルールのうちどれを使うかは、プレイの開始前に決定する。通常、「大乱闘戦」では、以下の選択ルールを用いる。
608.4. 「大乱闘戦」変種ルールは、複数のプレイヤーが同時にターンを進めることを認めている。ターンマーカーを用い、誰が現在ターンを進めているのかが判るようにするとよい。ターンマーカーを持つプレイヤーがそれぞれアクティブ・プレイヤーとなる。
608.4a 4人ごとに1つ(切り捨て)、ターンマーカーを用いる。
例:16人による「大乱闘戦」では、ターンマーカーを4つ用いる。15人なら3つである。
608.4b ゲームを始めるプレイヤーが最初のターンマーカーを持つ。以降左回り4席ごとに2つめ、3つめのターンマーカーを置く。ターンマーカーには順番を示す数が記されており、それらのマーカーを持ったプレイヤーは同時にターンを進める。
608.4c 自分のターンが終わったら、ターンマーカーを左隣のプレイヤーに渡す。自分から見て左3人までにマーカーがある場合、プレイヤーはマーカーを受け取ってはならない。その場合、左4人目にマーカーが渡るまで、そこでターンマーカーが足踏みすることになる。
608.4d プレイヤーがゲームから除外され、それによってターンマーカーの数が減る場合、ターンマーカーは取り除かれる。これはターンとターンの間に行なわれ、ゲームから除外されたプレイヤーの右側のマーカーが取り除かれる。複数のプレイヤーが同時にゲームから除外され、それによって複数のターンマーカーが取り除かれることになった場合、小さい番号のマーカーを取り除く。
608.4e プレイヤーが現在のターンの次に追加のターンを得る場合、今がそのプレイヤーのターンでないのなら、そのプレイヤーは自分の次のターンの直前に追加のターンを得る。
608.5. 「大乱闘戦」でのゲームの勝敗は、通常のルールに従う(rule 102 参照)。
609.1. 「チーム戦」は複数の同人数によるチームによって行なわれる。
609.2. 多人数戦での選択ルールのうちどれを使うかは、プレイの開始前に決定する。通常、「チーム戦」では、以下の選択ルールを用いる。
609.2a 影響範囲は2席を推奨する。
609.2b 「左翼への攻撃」 「右翼への攻撃」 「複数への攻撃」選択ルールのうちいずれか1つを用いる。rule 604〔「左翼への攻撃」 「右翼への攻撃」選択ルール〕ならびに rule 603〔「クリーチャー配置」選択ルール〕参照。
609.2c 「クリーチャー配置」選択ルールは、「チーム戦」では通常用いられない。
609.3. ゲームの開始時に、プレイヤーはチームメイト同士が隣にならないように、そしてチームが同等にばらばらになるように座る。
例:3チームによるチーム戦では、最初の座り方はA1, B1, C1, A2, B2, C2, A3, B3, C3 というようになる。
609.4. プレイヤーは、隣り合っていない対戦相手に攻撃することはできない。
609.5. 「チーム戦」でのゲームの勝敗は、通常のルールに従う(rule 102 参照)。
609.6. 「チーム戦」変種ルールでは、チームのリソース(手札のカード、マナなど)は共有されない。チームメイトは隣り合わせに座っていない限り、お互いの手札を見せあってはならない。戦略を相談したりしても構わないが、チームメイトのカードやパーマネントを操作することはできない。
マジック・ザ・ギャザリング オリジナル・ゲームデザイン: Richard Garfield
マジック総合ルールのデザイン・改良: Paul Barclay, Beth Moursund, and Bill Rose, with contributions from Charlie Camino, John Carter, Elaine Chase, Laurie Cheers, Stephen D'Angelo, Dave DeLaney, Brady Dommermuth, Mike Donais, Skaff Elias, Mike Elliott, Richard Garfield, Mark L. Gottlieb, Dan Gray, Robert Gutschera, Collin Jackson, William Jockusch, Jeff Jordan, 米村 薫, Russell Linnemann, Jim Lin, Steve Lord, Sheldon Menery, Michael Phoenix, Mark Rosewater, David Sachs, Lee Sharpe, Henry Stern, Ingo Warnke, Tom Wylie, Donald X, Vaccarino, and Bryan Zembruski
編集: Del Laugel, Michael Mikaelian and Kelly Digges
マジック・ルールマネージャー: Mark L. Gottlieb
マジックは Richard Garfieldと、Charlie C@ino, Skaff Elias, Don Felice, Tom Fontaine, Jim Lin, Joel Mick, Chris Page, Dave Pettey, Barry "Bit" Reich, Bill Rose, Elliott Segal の手によってデザインされた。マナ・シンボルは、Christopher Rush によるデザインである。
我々のプロジェクト・チームのメンバーをはじめ、このプロダクトに関った全ての人に感謝する。
翻訳:*ぱお*/米村 薫
翻訳協力:ムリア、JFK、みやけん、Vorspiel、I.C.A.、エリエル、ishan、九印、たかのを、あけぼの、みらこー、LANCER、鴨屋 真、KakiP、平良俊幸、ガレッガ、Ysman、タカーP、ミズタマ、とみやす、まにおお、金澤遊、石田貴弘、すがや、Unyara、バーン、やまぴい、chlamy
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